▼東村委員
臨海は、開発に着手して約十七年たちました。この東京にあって、この前もたまたま外国人の方が来たときに、レインボーブリッジを渡った瞬間、臨海の地域を見て、エクセレントグレートといったのですよ。感動したのです。すばらしい、東京にもこんなすばらしいところがあるのかということで感動したわけでございまして、私もこのレインボーブリッジを渡ると、見た瞬間の光景というのは、何度見ても非常に感動するわけでございます。
そういった中で、比較できるかどうかわかりませんけれども、東京ディズニーランドは年間の来場者が二千万人と聞いております。臨海副都心は、データによりますと年間四千万人の人が来ているわけなんですね。どうもディズニーの方が有名に聞こえますけれども、臨海は実は四千万人来ている。
我が党はかねてから、特にまちづくりについてはにぎわいが必要だ、こういうことをずっといってまいりました。商業や業務、それから住宅、学校、こういった多機能なものが集積されて、初めてまちづくりができる。現在も、臨海副都心には数百社のテナントやまた事業者が活動して、三万九千人もの人が就業している。本当に一大副都心になってまいりました。この進出されている事業者は、売却方式だとか長期貸付方式、地代を払って長期貸付方式で進出したり、また、今度はそのつくられたビルにテナントとして入居する、このような三通りの方法でここへ進出をされているわけでございます。
その中で、この平成十六年度の決算の中にも、長期貸付方式、地代の収入の中に臨海三セクからの収入も含まれております。そこで、この臨海三セクについて、さらに突っ込んで質問をしたいと思います。
よく企業が破綻をする場合、どういう場合か。皆さんご存じのように、端的にいうと、バランスシート、貸借対照表上で債務超過に陥った場合、それだけじゃなくて、そこに銀行がもうこれ以上だめだと見切りをつけて、債務超過でだめだと見切りをつけて融資先の銀行が手を引く場合、これが大体の破綻の原因でございます。
この臨海三セク、三つの有価証券報告書など、すべてじゃありませんけれども、有価証券報告書などから私はこの会社の債務超過の額を調べたら、東京テレポートセンターは七十億、臨海副都心建設は百九十七億、竹芝地域開発は百億。これだけあると、普通、銀行は手を引くわけなんですけれども、この臨海三セクについて金融機関はどういうスタンスをとっているのか、まずこれについて伺いたいと思います。
▼港湾局長
臨海三セクの債務超過額は、ただいま先生お話ししたとおり、平成十六年度決算で、合計で債務超過額が三百六十七億円でございます。通常でございますと、先生ご指摘のとおり、債務超過がこれだけあり、かつ企業の将来性が認められない場合には、一般的には、銀行が融資を引き揚げたり経営破綻に至るということは間々あるわけでございます。
しかしながら、臨海三セクにつきましては、一つには、金融機関においても臨海開発事業の重要性を認識しておりまして、事業の継続発展についての、あるいは将来性についてのコンセンサスが十分形成されているということが一つと、それから、金融機関も協力して策定した平成十年の経営安定化策、これの着実な実施が現在行われておりまして、その結果、臨海三セクの経営改善に一定の成果があらわれてきております。こういうことから、金融機関は引き続き都と協力して臨海三セクを支援していく、そういうスタンスであると理解しております。
▼東村委員
ここが一番のポイントになってくるわけでございまして、金融機関が、ある程度経営改善が現在まだ認められる、そういう意味で積極的に支援をしているという話がありました。
ただ、先ほどいった財務諸表の中のバランスシートを見て、よく、勘定足って銭足らず、黒字倒産という言葉もありますけれども、今は本当に倒産はキャッシュフローというのが物すごく大事でありまして、キャッシュフローを見るとき、キャッシュフロー計算書をつくるのも大事なんですけれども、端的に見るときは、バランスシートの流動資産と流動負債を比べるのです。流動資産というのは現金等価物になりやすい資産でありまして、それで流動負債がまず賄えるかどうか、これで大体普通の経営者は判断するのですね。
そういう中で、東京テレポートセンターの平成十六年度の流動負債は六百四十一億、流動資産は百十億しかない。さらに、十六年度の東京臨海副都心建設の流動負債は二千八十九億、これに対して流動資産は九百四十八億しかない。さらには、竹芝地域開発株式会社は、流動負債は九百六十六億、これに対して流動資産は八十三億しかない。これだったら、恐らくキャッシュフローはもう回らないだろう。本当に当面、もう破綻するのじゃないかと、私はこの財務諸表の上だけで見れば考えるのですけれども、これについていかがでしょうか。
▼港湾局長
平成十年度に策定しました経営安定化策によりまして、金融機関が、金利軽減措置ないしは元利棚上げによりまして資金繰り支援を現在実施しているわけでございますけれども、具体的にこの長期の借入金につきまして、先生おっしゃるように、非常に長期の借入金が大きいわけでございますけれども、これは、長期の借入金について、長期金利ではなくて短期金利を適用するなどの方法がとられておりまして、金融機関との関係で毎年度契約更新する短期借入金として整理しております。
つまり、会計の処理の形式上、短期借入金として計上しておりますことから、短期借入金が十六年度は六百億ほどあるわけでございますけれども、その内容は実は長期の設備資金でございまして、短期の運転資金ということではございません。また、事業運営に必要な資金が確保されているかどうかを示す減価償却前の利益、これをごらんいただきますと、七年連続の黒字を計上しておりまして、十六年度では八十三億円となっております。
したがって、一見厳しいように見えるものの、キャッシュフローは十分回っており、その点の問題はないというふうに解しております。
▼東村委員
今おっしゃったように、短期借入金は、これは短期借入金ではなくて長期借入金だ、銀行側の金融支援のために、表示上これは短期借入金にせざるを得ないということで短期で持っている。
それで、今ちょっと私、短期借入金の額を引きますと、東京テレポートセンターは、実質流動負債が六十億になる。それから、臨海副都心は、実質流動負債が七百八十六億になる。竹芝地域開発は実質十八億円になる。これを比較すると、それぞれの、テレポートセンターの流動資産百十億で賄えるし、また臨海副都心建設の流動資産九百四十八億でも賄える。さらには、竹芝地域開発の流動資産八十三億でも賄える。これがわかって、私はほっとしたのですけれども、キャッシュフローは当面、銀行が金融支援をしてくれる間は続くだろう。
その上で、先ほど棚上げという話があったのですけれども、銀行が元利を棚上げしている。元利棚上げしていたら、普通、借入金残高というのは減らないのですね。減らないのですけれども、この決算書を見ていたら、四百億ほど残高が減少してきています。これは、なぜここまで四百億も残高が減少したのか。これについて伺いたいと思います。
▼港湾局長
平成十年度に十年間の経営安定化策をやったわけでございますけれども、臨海三セクでは、収入確保や経費削減にとどまらず、資金需要などをにらみながら、元本返済による有利子負債の削減という内部努力も行ってまいりました。
その際に、五年たったところの平成十四年、経営安定化策のちょうど中間点でございますけれども、この時点で中間見直しを行いまして、計画の前半で当初計画以上の経営改善がございましたところから、計画の後半を実施するに当たりまして、資金繰りに影響を与えない範囲内で元本の返済を行いまして、利息支払いの削減も図ってきたところでございます。このような努力の結果、借入金の残高は十年度に比べまして四百億円減少したわけでございます。
こうした残金の減少と金融機関の金利軽減措置が相まちまして、利息支払いは、平成十六年度には、九年度に比べまして四〇%の削減となります五十九億円にまで減少したものでございます。金融機関の支援に都の支援、三セク自身の内部努力、こういったものが相まって、十一年度以降六年連続で営業黒字を計上することなど、収益改善に一定の成果を上げてきたところでございます。
▼東村委員
一つは当初計画以上の経営改善が見られたということと、金融機関の支援、都の支援、三セク自身の内部努力、この三位一体の改革というのでしょうか、これが実を結んだ。それによって四百億という--これは四百億と一言でいいますけれども、かなりの額だと思います。これが、私なんかが見るには一つのバロメーターになっているのかな。臨海三セクが一生懸命努力しているバロメーターになっているのかなということがわかるわけですけれども。
ところで、よく臨海三セクというと、必ず早く売却しろという論議が出るのです。そういう中で、臨海三セクというのは、第三セクターである以上、売却をしなくても、民間のいわゆる力、活力、民間のノウハウをまずは導入することができるのです。それをやらないでいきなりというのは、これは経営努力していないなと思うのですけれども、今回さまざまな経営改善の中で、民間のノウハウ、活力を生かしてきたのかどうか。もし生かしてきたのであれば、その努力によってどれだけの結果が上げられたのか。これについてお答え願いたいと思います。
▼港湾局長
臨海三セクは臨海開発事業において重要な役割を担っておりまして、その機能を十分発揮していくためには、先生おっしゃるとおり、企業的な経営、営業展開というものが非常に大切であると理解しております。そういう意味で、民間活力や民間のノウハウをどういう形で導入することが必要かということで、具体的に知恵を絞り、そしてそれを実施してきたわけでございます。
具体的に申しますと、これまで臨海三セクでは、ビル事業の営業部門にビル事業の経験のある民間出身者を社員として配置するほか、不動産仲介業者などの外部の専門企業などを活用するなど、積極的な営業展開を行っております。
一つの例でございますけれども、二〇〇三年問題で、臨海三セクビルを含む多くの都内の既存ビルで、新築ビルへ古いビルから移転するテナントが出てきたわけでございますけれども、そういう状況にもかかわらず、有明フロンティアビルの入居率は、二〇〇三年前と二〇〇三年後を見ますと、むしろ二〇〇三年後に入居率が九〇%となりまして、この二〇〇三年問題を無事クリアしたという入居率を確保しております。
また、十七年度の半年間の新規テナントの獲得面積も、会社全体で一万六千平米を確保しておりまして、こういった点からいっても、民間ノウハウの活用の一つの成果のあらわれだと認識しております。
また、内部管理部門におきましても、会計なり金融知識にたけた社員、それから法的知識が豊富な社員を民間より中途採用しまして、そのノウハウを活用いたしまして、経費削減を徹底しております。
今後とも、民間ならではのスキルを十分活用しまして、積極的に臨海三セクの役割を果たしていきたいと思っております。
▼東村委員
今、民間のノウハウまた経験を生かした--ビル事業なんかは民間出身の社員を配置したり、不動産仲介業者なんかも雇っているし、また会計、金融にたけた社員も採用し、さらには法的知識がある社員もどんどん採用して、総合的に戦略をとられている。あとは社長だけですかね。社長がかわれば、ほぼ民間と同じような流れになってくるのでしょうけれども、その上で私は、これは本当に民間のノウハウをここまで活用して、さらに売却ということもやはり考えられないかということを私自身思いまして、現地をやはり見なきゃいけないと思って、現地を見させていただきました。
非常に驚いたのは、ファッションタウンやタイム二十四と同じようなテナントビルかなと私は思っていたのですけれども、これはすごい機能を持っているなということに改めて驚きました。例えばテレコムセンターであれば、例の共同溝の管理センターがあり、変電所があり、地冷といわれている地域冷暖房の管理のセンターもございます。さらには、あの地域の自家発電装置まで見させていただきましたけれども、自家発電装置まであそこで保有している。何かあったらバックアップできる体制まであそこで整えられている。さらには、台場フロンティアとか青海だとか有明のフロンティアビルですら、いい方は悪いのですけれども、特に台場フロンティアなんか、変電所に地冷、いわゆる地域冷暖房、ガスプラント、下水道ポンプ場までありました。非常にこのビル自体が臨海の大きなコアになっている。これは単なるテナントビルじゃないなということを改めて認識させていただいたわけでございます。
よく引き合いに出される例で、これはいつか忘れましたけれども、後楽園のポンプ所が一回議会で取り上げられたことがありました。これも私は調べてみたのですけれども、この後楽園のポンプ所は、土地を更地にして、その上に森ビルがビルを建てた。下水道局ですよね。それで、下の下水ポンプ場と土地の所有権は下水道局にあって、森ビルと土地の賃貸借契約をした。それで、こういうやり方もできるのじゃないかという議論が確かにあったと思うのですよ。
ただ、よく見たら、このテレコムセンターや台場フロンティア、青海、有明フロンティアビルというのは、地下だけじゃなくて屋上まで、この設備が一体となって続いているものですから、単なる更地にしてこのような森ビルに売却をするような、森ビルが土地を借りて建物を建てるようなやり方はできないな。これをやると、あの地域全体の大きな支障になるなということを思いました。
やはり見ることは大事だなということを本当に痛感させられて、私なんか口だけの会計士ですから、財務諸表を先に見てしまうのですけれども、現地を見てどういう役割を果たしているのかということを確かめることが本当に大事だなということを痛感させられたわけでございます。
そういった中で、さらに同じように大阪府がりんくうゲートタワーというのを建てました。あのりんくうゲートタワーを建てて、あれを会社更生法によってビルを金融機関に信託をして、経営主体である新生銀行や不動産会社が営業譲渡を受けてやるというやり方が始まりました。りんくうゲートタワーも、これも調べたのですけれども、これは臨海三セクみたいに設備プラントの管理、いわゆるコア施設を有していないのですね。そこを単体で売れる。こういうところは私はどんどん売却してもいいと思いますし、差し支えないところは売却という考え方も出てくると思うのです。
ただ、このインフラ整備をきちっと見てやはり判断をしなきゃいけないなということを考えたわけでございますが、そこで、ぜひとも局長にもう一度、臨海副都心における地域インフラ管理において、この臨海三セクが果たす役割、これについて答えてもらいたいと思います。
▼港湾局長
臨海三セクは、都の主導のもとに、この開発に当たりまして先行的に複合的インフラ施設の整備を行ってまいりまして、さらに、その管理運営を通じまして、都の機能を代替補完して、まちの成長、成熟を促してまいりました。
例えば、お話にありましたとおり、テレコムセンタービルには電力、ガス、下水道、地域冷暖房などのプラントや、ライフラインや通信設備が入っている共同溝の管理センターなどが設置されまして、臨海三セクはそれらを安定的、効率的に提供してきております。ほかのビルにつきましても、それぞれのプラントのいわば中継点になっておりまして、それぞれのエリアにこういったインフラを提供している、こういう役割を持ってきておりまして、単なる貸しビル業ではございません。
台場地区が概成いたしましたけれども、これから有明地区、青海地区の開発が続くわけでございまして、現在においても、依然として臨海三セクは重要な役割を担っております。今後とも、三セクを有効に活用しつつ、開発を進めてまいります。
▼東村委員
それで、このテレコムセンターに行ったときにお聞きしてびっくりしたのですが、七月二十三日の千葉県北西部地震、足立区なんかは物すごく揺れたわけですけれども、私の多摩の方でもかなり揺れました。それで、聞いたら、このテレコムセンターの耐震構造というのはすばらしいものがあって、あの千葉県北西部地震で全く揺れなかった。それは、データセンターという一つの通信データ会社が入っているために、そういうことがあってはいけないということで、相当の耐震化をしているらしいのですね。
この話をある大手の通信データ会社にしたら、大変興味を持っていまして、そういうところがあるのですかと。確かに、よく立地が悪いといわれていますけれども、データ通信にとって、立地の問題というのは余り大きな問題ではないらしいのですね。やはり耐震化にたえられるというところを、今非常に皆さんニーズで求めているのです。こういうのがありながら、なかなか積極的にこういうところに入ってこない。これをやっていくのがやはり東京都の役目だし、臨海三セクはもっと努力しなきゃいけないと思うのです。
それで、東京都は、港湾局だけでこれを抱えないで、もっともっと、そういう経済界とパイプのある産労だとか、いろんな局があるのです。きょうは都市整備局もいらっしゃっていますが、都市整備局なんかにも協力を求めて、局の垣根を越えて、ここをどう生かすかということを本気になって考えていかないと、また何年かたったら売る、売らないとかいう議論が出てきて、入っているテナントの人たちが本当に不安がっているわけなんですね。そういうことを含めて、やはりもっともっと局の垣根を越えて努力をしなきゃいけない。そうして初めていろんな負託にこたえられるのじゃないかと思うのですけれども、この点について局長の決意を伺いたいと思います。
▼港湾局長
臨海副都心開発は、既成市街地の再開発というものとは全く異なっておりまして、東京港に新しく生み出された埋立地に、全く新しいまちをゼロからつくり上げていくというものでございました。このような開発では、先行的にインフラを整備して、安定的に管理することが極めて大事でございます。
インフラ整備は、多額の初期投資を必要といたしまして、資金回収に長い期間を要する事業でございます。民間資金だけではなくて、民活法を適用して国の資金も導入できるなど多額の資金調達が可能である手段として、当時最も有利であった三セク方式をその時点で取り上げたわけでございます。
また、お話にあったテレコムセンターを初めとする臨海三セクビルは、インフラ機能のほかにも、商業・業務のさまざまなニーズにこたえられるハイスペックなビルでございまして、多様な集積の受け皿としての高い機能を備えております。こうした機能を私どもは十分PRいたしまして、ご指摘のとおり、まさに都民の財産でございまして、関係各局との連携を強化して、産業の集積やにぎわいの創出の核となるよう活用を図ってまいりたいと考えております。
臨海三セクを取り巻く経営環境は依然厳しいものがございますけれども、今後の開発を着実に推進するという目的のもとに、三セクの内部努力はもちろんのこと、東京都それから金融機関の協力も得まして、経営改善の徹底を図ってまいりたいと存じます。
▼東村委員
最後に、依然経営環境は厳しいということはやはり認識しておいてもらいたいのです。これはもう明らかでありますから。その上で、経営改善がかなりなされて黒字ベースになってきたといっても、まだまだ足りないわけですから、それはもっともっと努力をしなきゃいけない。今のままでいいわけじゃないのです。そして、先ほどいいましたような、もっともっと局の垣根を越えてこれに取り組んでいかなければ、この臨海三セクの問題は解決できないと思っています。売れれば簡単なんですけれども、売れないという現状もある。
こういった都民の本当に必要な財産--ただありがたいことに、今どんどん臨海副都心もさま変わりしてきました。にぎわいが出てきました。これからいろんな人が恐らく乗り出してくると思います。地価も上がってまいりました。そういう意味で、しっかりとこの問題に取り組んで、責任を持って局長は、自分は二年間だけだとか三年間だけだ、そういう発想じゃなくて、それよりも、自分がいる間にこの問題を解決していくのだというぐらいの意気込みで取り組んでいただきたいということをお願いしたいと思います。
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