酒井大史(民主党) |
■財政構造改革 |
▼酒井委員
平成十六年度決算は経常収支比率も改善され、また、現在取り組み中の第二次財政再建推進プランも着実に進捗するなど、財政再建は順調に進んでいるようであります。しかし、国においては、新たな行革指針で、公務員の純減を中心とした、自治体にさらなる行財政改革を求めており、東京都においても、生産年齢人口の減少から人口そのものの減少へと移っていくことは不可避であります。
当面の税収増という追い風で、第二次財政再建プラン自体がなし崩し的に終了しないためにも、東京都においては確実にこのプランの目標を達成すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
▼財務局長
第二次財政再建推進プランにつきましては、これまでの取り組みにより、十七年度予算では財源不足を解消するなど、目標の達成に向けて着実に歩みを進めてございます。しかし、もう一方の目標であります経常収支比率の改善につきましては、九〇%以下に引き下げるという目標には達しておらず、一層の取り組みが必要であります。
そのためにも、今までの取り組みの手綱を決して緩めることなく、内部努力や施策の見直しなど、プランに掲げた具体的方策に対してしっかりと取り組み、第二次財政再建推進プランの目標達成に全力を挙げていく所存でございます。
▼酒井委員
目標達成の際、法人事業税に続き法人住民税にも分割基準を導入し、東京都から税源を奪う国の動きには強く反対するのはもちろんでありますけれども、これまでの東京都の先駆的な取り組みや提言を踏まえ、抜本的な地方税財政制度改革の提言も積極的に行っていくべきと考えます。
東京都が銀行業等へ外形標準課税を導入したことにより、不十分とはいえ、法人事業税の外形標準課税が実現しました。また、東京都は、基幹税である所得税、消費税を自治体へ移譲することも提言してきており、これらは今現実の課題となってきています。
今後は地方交付税の見直しが焦点になりますが、東京都が手をこまねいていると、新たに東京都から税源を奪い、さらに税制をゆがめることにもなりかねません。税財源移譲、交付税原資の国、地方税間の入れかえや、外形標準課税の拡大による自治体の財源保障や偏在性の是正などを進め、地方交付税制度を、政策誘導や財源保障制度ではなく、本来の財政調整制度に立ち返らせることが必要です。
全国的視野に立った地方税財政制度に関する公平公正な提言を今後も積極的に行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
▼主税局長
東京都税制調査会は、平成十二年度に、国庫支出金、地方交付税の抜本的見直しとあわせまして、国税から地方税への税源移譲を中心とした地方税財政制度改革につきまして、財政調整制度のあり方も含めて先駆的な答申を行ったところでございます。
都もこれを受けまして、さまざまな機会をとらえまして税源移譲などを国に提案要求してまいりましたけれども、現在、三位一体改革に伴う、所得税から住民税への三兆円規模の税源移譲がようやく実現しようとしております。
今後とも、地方消費税の充実など、地方分権の時代にふさわしい今後の地方税財政制度のあり方につきまして、都税制調査会なども活用しながら引き続き検討してまいります。
▼酒井委員
人口減少、少子高齢社会という、かつて経験したことのない社会を迎えるのが明らかな現在、右肩上がりの時代の発想に基づく財政運営から脱却をしなければなりません。
例えばオリンピックについても、一九六〇年代の高度成長期に行った東京オリンピックと、これからの低成長、マイナス成長期にあるオリンピックとでは、投資のあり方は根本的に異なるはずであります。かつてのような成長の夢を描くのではなく、落ち着きの中で将来の活力を培っていくべきであります。
また、ベビーブーマーが育っていく時代ではなく、出生率が著しく低下し、今後の人口減少が明らかな時代では、この少子化傾向に歯どめをかけることが極めて重要になってきます。
本年七月に発表された「都財政が直面する課題」でも述べられていますが、社会構造の大きな変化を踏まえ、十年先、二十年先という長期的視点から財政運営のあり方を真剣に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
▼財務局長
「都財政が直面する課題」でお示しいたしましたとおり、人口減少社会や少子高齢社会の本格化による社会構造の大きな変化は、経済活動の停滞や国際競争力の低下など、社会全体に対し大きなマイナスの影響を与えることが懸念されております。これは東京においても例外ではありません。
とりわけ財政面における影響は深刻であります。都財政は今後、高齢化に伴う社会福祉関係費や大規模施設の維持更新経費など、財政需要の増加が懸念される一方、その財源を負担する世代が減少するという二重に厳しい時代を迎えることとなります。
このように、社会構造が大きく変化し、長期的には都税収入の大幅な伸びが期待できない中にあって、都民の負託にこたえ、安定的に行政サービスを提供していくためには、状況の変化に的確に対応できる、強固で柔軟な財政体質を確立することが不可欠でありまして、これまで以上に長期的視点に立った財政運営を行っていくことが重要であると認識しております。
財務局は、今後とも、時代状況の変化を踏まえた財政運営のあり方について検討を続けてまいります。
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■救命救急体制の整備 |
▼酒井委員
近年、新聞等でも報道されているように、だれが見ても軽微な状況で救急出動を求める利用者がふえ、消防庁としても対応に苦慮されていることと思います。
真に救急車を必要とする重篤な傷病者へ少しでも早く救急車を派遣できるよう、消防庁においてもさまざまな対策を考えていることと思いますが、現実に平成十六年においては、救急車が出場してから現場までと、現場から病院までの到着時間が五年前と比較してどのようになっているのか、状況をまずお伺いいたします。
▼消防総監
平成十六年の救急隊の出場から現場到着までの平均時間は六分十八秒であり、平成十一年の五分二十四秒と比較いたしますと、五十四秒伸びております。
また、同じく、平成十六年の現場出発から医療機関到着までの平均時間は八分五十四秒であり、平成十一年の八分三十秒と比較いたしますと、二十四秒伸びております。
▼酒井委員
五年前と比較をして、通算一分以上、到着時間が伸びていることがわかりました。
消防庁としても、可能な限り、救急車の増車を初めとした体制整備や、軽微な状況の方が安易に救急出動を求めないようなシステムづくりをしていただきたいと思いますが、このような状況にあって、まず取り組むべき課題は、現場において救命救急措置が行えるような体制整備であると思います。
一般のご家庭や路上等では限界もあると思いますが、人の多く集まる公共施設や公共交通機関等では、特に救命救急措置の体制整備に向けた準備が必要であり、現実に対応が可能であると考えます。救命救急措置を一分でも早く行うことが、その方の生存に大きくかかわることからも、その体制整備は重要であると考えます。
先ほど服部副委員長の質問にもありましたけれども、この救命救急措置を施す機器の一つとして、自動体外式除細動器、いわゆるAEDがあります。平成十六年七月一日、厚生労働省医政局長の通知により、従来、医師、看護師、救急救命士のみに使用が認められていたAEDが一般市民でも使用が認められ、心筋梗塞などの心疾患に対応できるようになりました。
そこで、都庁を初めとした公共施設等へのAEDの設置が求められるわけですけれども、繰り返しになりますが、東京消防庁では、公共施設、区市町村を含め、今まで具体的にどのような施設にAEDを何台整備したのか、お伺いいたします。
▼消防総監
平成十七年度の東京都重点事業といたしまして、動物園、児童会館、障害者総合スポーツセンターなど公共施設や区市町村百五の施設に百七台、また、消防署、消防出張所などに二百九十一台、計三百九十八台のAEDを配置いたしました。
▼酒井委員
ただいまのご答弁によりますと、動物園、児童会館、障害者総合スポーツセンターなど百五の施設に設置をしたとのことですけれども、AEDの使用については、先ほど服部委員の方からもご紹介があったように、比較的わかりやすく使用方法が機械に記載をされているものの、突然の事態に対応するためには、日ごろの訓練や実際の使用体験が大きくかかわってくるものと思います。
ご答弁の例示にはありませんでしたが、この都庁舎においても、第一、第二庁舎、議会棟にそれぞれ一台ずつ設置をされ、そこにいる警備員さんなどは、これを使えるような訓練を受けていると聞きました。
そこで、さきに挙げられたような、多くの都民が訪れる公共施設で働く都職員のAED講習受講状況並びに今後の受講への取り組みについて、当該各局を代表して、今回最も多く設置されている福祉保健局の取り組みについて伺います。
▼福祉保健局長
福祉保健局では、児童会館や障害者総合スポーツセンター、保健所など、都民の利用が多い施設を中心にAEDを二十六台設置しておりまして、これらの施設の職員については、ことし六月に、AEDの使用方法を含めた応急手当てに関する講習を実施したところでございます。
また、その他の施設においても、職員を独自に講習会に参加させるなど、使用方法等の習得に努めております。
さらに、都民の安全・安心を担う我が福祉保健局といたしまして、職員が救急事故現場に居合わせた場合などに速やかにAEDを使用して救命活動を行うことができるよう、今年度中に本庁に勤務する職員すべてにAED講習会を実施することとし、先日、第一回を既に開催したところでございます。
▼酒井委員
ただいま都職員の受講状況について伺いましたが、東京消防庁における現在までのAEDの受講者数はどのくらいなのか、また、公共施設等における都職員の受講に対応できる体制は整っているのか、お伺いいたします。
▼消防総監
AEDの項目を加えました救命講習を本年一月二十一日から開始しており、十月三十一日現在、既に十二万六千九百六十八人の都民等が受講しております。
東京消防庁では、AED講習用の資器材を整備するなど、都職員を含め、都民のあらゆる要請にこたえられるよう講習体制を整えております。
▼酒井委員
東京消防庁における受講体制の整備が整っていることはわかりました。
私も先月、普通救命救急の講習を受けてまいりましたので、万が一ここでだれかが倒れても使えると思いますが、このAEDについては、心停止から除細動までの時間が一分経過するごとに、七から一〇%ずつ生存率が低下をするという統計もあります。東京消防庁においては、都職員だけではなく、区市町村施設における職員や多くの都民がAEDを効果的に使用できるよう、取り組みを進めていただくよう要望をいたします。
また、本日、当委員会に出席をされている各局の局長さんにおかれましても、それぞれが所管をする施設において、現場の職員が万が一のときAEDを活用できるよう、講習を勧めていただきますようお願いをして、次の質問に移ります。
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■自殺者対策 |
▼酒井委員
この問題については、さきの第三回定例会一般質問でも総体的に質問いたしましたが、本日は、都としての自殺者対策について若干具体的に質問させていただきます。
繰り返しになりますが、警察庁生活安全局の資料によると、平成十六年中における自殺者の総数は三万二千三百二十五人と、数字を置きかえると、二十分に一人の割合でみずから命を絶っている方がいる状況にあります。
自殺の原因については、すべてを把握することはできませんが、遺書ありの自殺者のうち、健康問題が約三九%、経済、生活問題が約三三%、家庭問題が約一〇%、勤務問題が六%となっています。
また、年代別自殺者数においては、六十歳以上の方が年齢区分としてはトップになっているものの、四十代から五十代という子育て真っ最中、働き盛りの世代の方が、平成十六年中で一万二千八百七十四人と全体の約四割を占めています。
このことからも、働き盛りの方々の経済的な問題が自殺の大きな要因になっていることがうかがわれます。これ以上自殺者をふやさないため、首都東京において、自殺予防に向けた取り組みを強化していくことは急務の課題であります。
このような状況の中、都においては、平成十五年度、十六年度の二カ年において、一保健所の取り組みとはいえ、西多摩地区におけるうつ病対策自殺防止プロジェクトを実施したことは時宜を得た取り組みであり、高く評価するものであります。
そこで、まず伺います。都が実施をした西多摩地区におけるうつ病対策自殺防止プロジェクトについて、その地区で本プロジェクトを行うこととなった経緯について伺います。
▼福祉保健局長
我が国の自殺死亡者数は、平成十年に三万人を超えて以来、ほぼ横ばいで推移しておりまして、国も効果的な予防対策が緊急の課題であるとしております。
自殺者は、うつ病など精神疾患を有する割合が高いことから、うつ病対策を含む心の健康づくりが重要でございまして、また、働き盛りの中高年男性の自殺者が増加していることから、職場での健康づくりを担う職域保健での取り組みが重要となっております。
西多摩保健所では、こうした状況を踏まえ、うつ病対策を地域における重点課題の一つとして位置づけまして、国の地域産業保健センターの協力を得ながら、従来接点の少なかった職域保健との連携によるプロジェクトを実施したものでございます。
▼酒井委員
次に、本プロジェクトにおいては、民間事業者や地域産業保健センターとの連携を図りながら取り組みを行ったということですが、具体的にはどのような規模で事業を行い、それによってどういった効果が得られたのか、伺います。
また、都における本プロジェクトの評価と事業成果の活用についてお伺いいたします。
▼福祉保健局長
このプロジェクトでは、西多摩地域の約百の企業に対しまして、心の健康づくり対策等に関する実態調査を実施いたしました。この結果、小規模な事業所では、うつ病に対する正しい理解を得るための機会が少なく、心の健康づくりへの取り組みが十分ではないことなどが明らかになりました。
このため、企業等へのうつ病予防リーフレットの配布、事業主、従業員に対する健康教育、健康管理担当者向け研修会の実施などの普及啓発活動を行いましたところ、調査に協力した企業や研修参加者から保健所への相談が増加するとともに、企業みずからが研修を実施するなど、心の健康づくりに対する意識が非常に高まりました。
また、こうした取り組みを報告書として取りまとめ、都内の各保健所、市町村、参加企業等へ広く情報提供を行ったところでございます。
このプロジェクトは、地域保健と職域保健とが連携した心の健康づくり対策のモデルとなるものでございまして、今後、その成果も踏まえまして、健康づくり施策に生かしてまいります。
▼酒井委員
次に、都としては、本プロジェクト以外にも、平成十六年度において自殺予防に向けてのさまざまな取り組みを行っていることと思いますが、自殺予防に向けた取り組みとしては、その直接的な要因となるうつ病対策のみならず、うつ病になる手前での対策も必要であると思います。
そこで、例えば精神保健福祉センター等において、自殺予防に向けて、うつ対策や心の健康づくりはどのような取り組みをされているのか、お伺いいたします。
▼福祉保健局長
うつ病対策や心の健康づくりに関しましては、保健所において、精神保健福祉に関するさまざまな相談に応じております。
また、精神保健福祉センターでは、より複雑な相談に対応するとともに、区市町村や医療機関などの職員を対象といたしまして、専門的な見地から、うつ病や自殺予防に関する研修、対応が困難な事例への助言などを行っております。
加えて、うつ病に関する正しい知識の普及啓発を図るため、リーフレットの作成、配布や、自殺予防のホームページを開設しているところでございます。
▼酒井委員
福祉保健局としての取り組みについてはわかりました。
次に、初めに紹介したとおり、自殺者の多くが働き盛りの四十代、五十代であったり、自殺原因の多くを経済問題や勤務問題が占めている状況からも、労働問題への対応も自殺防止に大きくかかわってくるものと思います。
そこで伺います。都は平成十六年度に、従来のハローワークでは対応し切れなかった、きめの細かい就業支援のため、しごとセンターを開設しました。ここでは、高齢者、中高年、若年者と、それぞれの年代に応じた取り組みを行っていますが、特に働き盛りの中高年の方々への対応が重要と考えます。しごとセンターにおける中高年の方々への成果はどうだったのか、また今後の対応についてもお伺いいたします。
▼産業労働局長
自殺の要因といたしましては、心の健康や経済、生活問題など、さまざまな背景が指摘されておりまして、雇用就業対策も含め総合的な取り組みが必要であると認識しております。
このため、しごとセンターにおきましては、働き盛りでありながらも、失業や仕事に関するさまざまな不安を抱えて訪れる中高年の方々に対しまして、幅広く相談に応じているところでございます。
また、早期就職を促進するために、民間就職支援会社の専任のカウンセラーが、就職に至るまでのきめ細かな支援を継続的に行っております。
昨年七月の開設以来、中高年の利用者は延べ三万人を超え、新規利用者約九千人のうち、三人に二人の約五千八百人が就職するなど、成果を上げております。
今後とも、積極的に就業支援に取り組んでまいります。
▼酒井委員
次に、都においては、労働相談情報センターにおいても、労働問題に関連したメンタルヘルスの相談を行っているそうですが、この労働相談情報センターでは具体的にどのような取り組みを行っているのか、また関係機関とどう連携をしているのか、お伺いいたします。
▼産業労働局長
都内六カ所にございます労働相談情報センターでは、労働問題に関しまして広く相談を受けておりまして、突然の失業や、職場でのさまざまな人間関係などの問題に直面している相談者の悩みにこたえるなど、精神的負担の解消や心の健康づくりに寄与する効果も果たしてきたと認識しております。
平成十六年度の相談件数は約四万五千件でございましたが、このうち、直接メンタルヘルスと関連した相談は千七百六十五件でございました。また、専門的な対応が必要なものにつきましては、本人の希望によりまして、臨床心理士などによる心の健康相談を実施しており、十六年度は百七十四件でございました。さらに、相談者が深刻な病状にあると推測されるような場合には、保健所、病院等、関係機関との連携を図っているところでございます。
▼酒井委員
今後とも、労働問題、就業問題から起因するうつ病や自殺の防止に向けて、産業労働局と福祉保健局が連携しながら取り組みを進めていただきたいと思いますが、日ごろ社内での取り組みが不十分な中小企業で悩んでいる労働者を救うためにも、労働相談などの都の取り組みを積極的にアピールしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
▼産業労働局長
労働相談情報センターでは、さきに申し上げました労働相談に加えまして、職場における心の健康をテーマとしたセミナー等を実施し、労働者の不安の解消に努めているところでございます。
これらの事業は、職場内のトラブルを未然に防止し、労働者が安心して働ける環境をつくる上で重要でありまして、パンフレットやホームページによる日常的なPRに加え、街頭労働相談やパート労働月間、さらには年末の特別相談会などの機会を通じて周知を図っているところでございます。今後とも積極的に周知に努めてまいりたいと思います。
▼酒井委員
本日の質問は、中高年世代への対策が中心となってしまいましたが、最後に、平成十六年度のさまざまな施策の成果を踏まえ、都として、あらゆる世代の自殺防止に向けて、今後、市区町村との連携など、どのように取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
▼福祉保健局長
自殺の背景には、就業問題のほか、多額の負債あるいは孤独や病など、社会的、経済的なさまざまな要因がございます。自殺を予防するためには、したがいまして、社会全体で幅広い取り組みが必要であるというふうに考えております。
都では、福祉保健局や産業労働局における相談体制の整備を初め、保健医療従事者への研修、正しい知識の普及啓発など、都民の心の健康づくりに取り組んでいるところでございます。今後とも、関係局、関係機関と連携し、総合的な取り組みを推進してまいります。
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■電子都庁 |
▼酒井委員
東京都はここ数年、文書管理システム、電子入札、そして電子申請と順次都庁の電子化を行い、特に電子入札並びに電子申請については、都民の利便性向上に役立っていることと思います。これら電子都庁の取り組みは、摂南大学経営情報学部島田研究室の二〇〇五年度電子自治体進展度上位ランキングにおいても、都道府県別で前年度の第三位からトップになるなど、手前みそではなく、客観的に評価をされています。
そこで、今回は、電子都庁の取り組みの中で総務局が所管をする電子申請について、何点か質問させていただきます。この電子申請については、現在、都内区市町村との共同運営を行う中、順次対象手続の拡大を図っていますが、今回は都の取り組みに限定して質問いたします。
まず、平成十六年度において電子化された象徴的な手続と、都の全体計画の中での電子申請の達成状況を伺います。また、利用実態について、書面申請と電子申請の割合についてお伺いいたします。
▼総務局長
都は、職員採用試験など、都独自に百七十三の申請手続を電子化してまいりました。さらに平成十七年一月からは、都と区市町村が共同で運営する電子申請を開始しまして、各種講座の申し込み受け付けなど、新たに百四十一手続を電子化いたしました。その結果、平成十七年三月末で、都においての電子化が可能と考えられる手続約九百四十のうち、三百十四を電子化することができました。都全体の電子申請件数は約二十四万件となっております。
電子申請の割合につきましては、書面による申請割合が高いものもございますけれども、施設予約申し込みのように五割を超える手続もふえてきつつある状況にございます。
▼酒井委員
この電子申請をさらに多くの都民の方に利用していただくためには、利便性の確保や安全性の向上も欠かせないものと思います。ことし四月より個人情報保護法が施行され、一部過剰に反応し過ぎな点もあると思いますが、都民の個人情報に関する意識が向上していることもあり、この電子申請についても、セキュリティー管理が大きな課題であると思います。特に電子申請における個人情報の漏えい防止についてどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。
▼総務局長
電子申請では、個人情報を厳重に保護するために、セキュリティーポリシーを定めまして、技術面、設備面等さまざまな点から徹底したセキュリティー管理を実施しております。例えば、技術面ではデータの暗号化やファイアウオールの設置など、設備面ではコンピューター室への入退室管理や二十四時間のカメラ監視など、運用面ではマニュアル整備と研修などを実施しまして、あらゆる脅威に対して個人情報の漏えい防止に努めております。
▼酒井委員
次に、今後、電子申請で行える手続が充実をしていく中で、行政書士や司法書士等専門家による代理申請の件数もふえていくものと想定されます。その際、申請者本人の電子証明書のみならず、代理人の電子証明書も必要になってきます。代理人によっては、その職域の中で既に発行されている電子証明書を活用している状況もあります。
そこで、都の電子申請では、どのような種類の電子証明書を使うことができるのでしょうか。この点については、行政書士や司法書士等が独自の電子証明書を使えるようにすべきと考えますが、所見をお伺いするのと同時に、あわせて、最後に、今後利用者の意見等も踏まえながら、電子申請の利便性向上に向けた今後の取り組みについてもお伺いをし、質問を終わりにしたいと思います。
▼総務局長
二点お答えをいたします。
まず、都独自に電子化をしました申請手続は、本人によるものに限定してきました。これに対しまして共同運営では、本人ばかりでなく、代理人にも対応しまして、利用者の利便性を高めることとしております。この代理申請におきましては、本人、代理人それぞれの電子証明書が必要でございます。この証明書は、知事が行う公的個人認証に基づくものと、電子認証登記所が行う商業登記に基づくものとがございます。
お話の行政書士や司法書士等の使用する民間認証局が発行する電子証明書への対応につきましては、システム連携基準の策定や、システム改修の規模とその影響などを見定める必要がございますので、今後の検討課題と認識をしております。
それから、利便性の向上等に向けた今後の取り組みでございますが、これまでの電子申請は、申請件数の多いものから順次実施してまいりました。今後、より一層きめ細かい対応が求められていると考えております。これまで寄せられました利用者の意見はもとより、ネット上でアンケートを実施するなど、いまだ電子申請を利用されていない都民の声にも耳を傾けまして、手続の電子化に反映させていく予定でございます。
今後とも、利用者の利便性の向上を図りますとともに、個人情報保護及びセキュリティー確保に万全を期しながら、都民がわかりやすく、安心して利用できる電子申請サービスの普及拡大に努めてまいります。
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