交通局は放置自転車に姿勢示せ
十条まちづくりに都積極支援を |
高木 けい(自民党) |
■駅周辺の放置自転車対策 |
私は、知事並びに関係局長に、首都東京の都市機能の一層の整備と向上を目指して、以下大きく三点の質問をいたします。
まず、駅周辺等の放置自転車対策についてお伺いいたします。
放置自転車問題は、今や我が国大都市特有の社会問題の一つとなりました。生活文化局の調べによると、本年四月現在、都内の放置自転車台数は約十三万四千台、都内の主要駅周辺を中心に、例外なく地域の深刻な課題となっております。
東京都は、今後、東京大マラソンや東京オリンピックの招致など、東京を世界に発信していくことに力を入れていかなければならない中で、放置自転車問題による駅周辺の都市機能の低下、歩行者の危険度の増大、まちの景観、美観の悪化などは大きなマイナス要因と思われます。
千客万来の観光都市を目指し、万人にとって暮らしやすい、安心・安全な首都東京を築いていくためには、この問題に対する今後一層の努力と、東京都の大きな視点での方針や姿勢が必要であると考えます。
質問1
そこで、まず知事にお伺いいたします。特に都内主要駅周辺の放置自転車対策について、今後、都はどのような姿勢で臨む決意があるのか、お尋ねいたします。
答弁1 ▼知事
駅周辺の放置自転車対策についてでありますが、自転車は、渋滞がなかなか解決しない大都市にあって、大変効用性の高い移動手段であると思います。何しろ都心部での渋滞時に、車の平均時速が十五キロ云々のときに、自転車はもうそれを軽く追い抜いていくていたらくでありますから。
その自転車が無秩序に駅前を占拠している状況は、確かに都市機能の低下をもたらすだけでなく、景観を損なう要因ともなり、早急に解決すべき課題と認識しております。
放置自転車対策は、区市町村が中心となって取り組んでおりますが、やはり鉄道事業者等の関係者も協力して進めることが重要であると思います。都としては、今後とも区市町村や関係機関と連携しながら、効果的な対策の推進に努めていくつもりでございます。
さて、そもそも放置自転車問題は、自転車利用者のモラルに負うところが大きいのですが、しかし、物理的に駐輪場が確保されていなければ、幾らモラルの向上を訴えても、全く意味をなさないものでもあります。したがって、ソフト、ハード両面の対策があって初めて、この問題の解決に向けて一定の成果が上がることになるでしょう。
そこで、駐輪場の整備ですが、これはだれの責任において行われるべきなのでしょうか。ここに自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる通称自転車法という法律があります。この法律は、第五条で、駐輪を発生させている原因者が責任を持って駐輪場を確保、整備するなど、その原因者の責任を明確にし、対策を講じる努力義務を規定しています。
つまり、例えばスーパーマーケットのお客さんの駐輪対策は、そのスーパーマーケットが行うことであり、行政の施設であれば行政が、同じように、駅周辺であれば鉄道事業者がその対策を行う義務があるということを明確に規定したものであります。
しかし、生活文化局の調査でも明らかなように、駅周辺の放置自転車は、全体としてここ数年減少傾向にあるものの、例えば、都内で最も放置台数の多い池袋駅で二千二百十七台、第二位の大塚駅で千九百五十一台、私の地元である北区の赤羽駅は第九位で千四百七十三台と、依然として深刻な状況を露呈しているところも多く見られます。
この間、放置自転車台数が全体として減少傾向にあるのは、駐輪場を積極的に設置してきた市区町村の独自の努力によるところが大きく、鉄道事業者の姿勢はまことに消極的といわざるを得ませんでした。
豊島区が法定外目的税として放置自転車対策推進税を導入しようとした背景も、鉄道事業者の非協力的な対応に業を煮やして、このような考えに至ったといわれています。法定外目的税という方法に対して賛否両論はありますが、しかし、まことに深刻なこの問題の解決のためには、このような手法もあって当然であります。
駅周辺の放置自転車問題が深刻なのは豊島区だけではありません。例えば私の地元のあるJR駅では、公道的な役割を持つJR敷地内に放置された乗客の自転車を、JRの職員が区道上に移動し、移動された自転車を区の嘱託職員が整理し撤去している光景が日常的に見られます。自転車法の趣旨を全く遵守しないこのような鉄道事業者の行為は、社会的責任を放棄しているといわざるを得ません。法定外目的税によって協力を促そうという考え方は、こういう事情からやむなく出てきたものだと思うのです。
質問2
さてそこで、鉄道事業者はJRだけではありませんので、JRを初め、多くの私鉄にこの問題の解決に向けた協力を促していくために、私は東京都交通局の姿勢が最も大切であると思います。なぜならば、すべての鉄道事業者がこの問題に消極的である中で、都営地下鉄、都電荒川線など、東京都独自の公共的交通機関を持っている交通局が、自転車法の趣旨を遵守し、放置自転車問題の解決に向けて率先してその姿勢を示し、具体的な対策に乗り出していくことになれば、JRを初めとする私鉄各社にも大きな影響を与えることになると思うからであります。
今や大都市特有の社会問題となった放置自転車対策について、首都東京の役割を踏まえた東京都交通局の積極的な姿勢と対策についてご答弁願いたいと思います。
答弁2
▼交通局長
交通局では、鉄道事業者として、自転車法の趣旨を踏まえまして、区などが駐輪場を設置する場合、積極的に協力することとしております。
このため、これまで交通局が所管いたします高架下などの用地の提供や、駅の上部空間を利用した地下駐輪場設置のための建設支援、また、駅前放置自転車クリーンキャンペーンへの参加など、各種の対策に取り組んできたところでございます。
今後とも、公営交通としての立場から、区などとさらに密接な連携を図りながら、引き続き放置自転車対策を進めてまいります。
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■十条地区まちづくり |
質問1
東京都の防災都市づくり推進計画において、災害に強いまちづくりを進めるための重点整備地域に指定されている十条地区まちづくりについてお伺いいたします。
北区では、本年八月、行政と地域住民が一体となった十条地区まちづくり協議会を発足させ、それを受けて十月には、十条地区まちづくり基本構想を発表いたしました。当該地区は、木造住宅が密集するいわゆる木密地域で、震災時の危険度が高い上に、埼京線十条駅付近立体化などの課題を抱えた、防災性の向上を主眼とした新たなまちづくりの必要性の極めて高い地域であります。
この基本構想で、北区は、十条地区約九十五ヘクタールの将来像を、魅力ある安全で安心して住める、にぎわいと安らぎを奏でるまちと定め、今後精力的にまちづくりを進めていく決意を示しました。そして、当該地域九十五ヘクタールを、十条駅周辺エリア、補助八三号線沿道エリア、木造住宅密集エリアの三ブロックに分け、それぞれの地域特性に合わせたまちづくりを展開することとしています。
そこで、まずお伺いいたしますが、今後、東京都として、当該地区全体のまちづくりについてどのように関与、援助、推進していくつもりなのか、その方針を示していただきたいと思います。
答弁1
▼都市整備局長
十条地区におけるまちづくりについてでございますが、当地区は、老朽木造住宅が密集し、都市基盤が脆弱であるなど、防災面での課題が多いため、都の防災都市づくり推進計画におきまして重点整備地域に位置づけております。
都は、昨年六月に都区連絡会を設置し、これらの課題の解決に向け、木密地域の整備方策などの検討を地元区とともに進めております。また、本年八月に設立された住民主体のまちづくり全体協議会に都も参画するなど、基本構想実現に向けた区の取り組みに対し、積極的に支援してまいります。
質問2
次に、エリアごとに幾つかお伺いいたします。
まず、十条駅周辺エリアについてですが、駅西口では市街地再開発事業が予定されており、地域住民も入ったまちづくりが進められています。この進捗状況はいかがでしょうか。
また、東口側は、駅に接するように木造住宅が密集しており、駅前広場もなく、にぎわいに乏しい状況にあります。過日は、上りホームのすぐ裏手で五棟を焼く火災が発生したところでもあり、防災上の観点からも、早急な空地の確保、駅前広場の設置など、まちづくりへの取り組みが求められます。そこで、東京都は、北区と連携して今後どのように取り組みを進めていくのか、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼都市整備局長
十条駅周辺エリアにおけるまちづくりの進捗状況と今後の取り組みについてでございますが、現在、駅西口では、組合施行による再開発の事業化に向け、相談所の開設や地権者による協議会の発足など、具体的な動きが出てきております。また、東口周辺では、防災性の向上や地域の活性化を図るため、木密事業の導入による主要生活道路や防災広場の整備方策などについて、区とともに検討しております。
都は今後、区との連携をさらに強化し、駅周辺のにぎわいのある拠点の形成に向けた地元のまちづくりを支援してまいります。
質問3
次に、補助八三号線沿道エリアについてお伺いいたします。
都道補助八三号線、通称岩槻街道の整備は、北区においては喫緊の課題といわれています。この都市計画道路は、昭和二十一年に拡幅の計画がなされたまま現在に至っており、北区内でも危険な道路の一つといわれています。
交通量に比して道幅が極端に狭いため、歩道が十分にとれず、電柱が左右に林立し、歩行者は電柱の陰に隠れるようにして車をよけている状況です。沿道には北区立十条台小学校、荒川小学校という二つの小学校があるため、児童の通学路にもなっており、日常的に事故が起こっても何ら不思議ではありません。
また、この道路は木造住宅密集地域を貫き、その沿道には小規模で老朽化した住宅が立ち並んでいることから、防災性の向上という観点からも、道路整備と一体となった沿道整備の早急な取り組みが必要です。北区としては、十条まちづくりのきっかけとしても、この道路の早期事業化を進めたい意向であり、今後この道路の事業化に対する都の見解を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
補助第八三号線の事業化についてでございますが、十条地区を貫く本路線、通称岩槻街道は、道幅も狭く、沿道には小規模で老朽化した住宅が連檐していることから、防災面からも拡幅整備が強く求められており、第三次事業化計画に位置づけられております。
このため、道路整備に当たりましては、沿道に残る小規模な土地を有効活用し、建物の不燃化や共同化を促進するなど、まちづくりと一体となった取り組みが極めて効果的でございます。今後、地元区と沿道のまちづくりの取り組み方針などの検討を進めるとともに、来年度から地元住民との話し合いに入り、本路線の早期事業化に向け取り組んでまいります。
質問4
最後に、木造住宅密集エリアですが、北区では、環状七号線の外側部分に位置する上十条五丁目、十条仲原三、四丁目地区を新たにこのエリアに位置づけ、エリアの拡大を図りました。
従前は、環状七号線が延焼遮断帯であるという理由からか、防災都市づくりの指定から外れていましたが、この地域は今まで指定されている地域と同じか、それ以上に住宅密集率が高く、地形的にも災害に弱いといわれています。
地域のつながり、まちの形成の歴史、地形や地域住民の活動範囲などを総合的に考えると、この地域も都の防災都市づくり推進計画でいうところの整備地域に指定すべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁4
▼都市整備局長
上十条五丁目地区等の整備地域の指定についてでございますが、木密地域の改善を効果的に進めていくためには、優先的に整備する地域を定め、事業を集中的かつ重層的に実施することが重要と考えております。このため都は、地元区とも協議の上、昨年三月、整備地域の見直しを行い、防災都市づくり推進計画を改定したところでございます。
ご指摘の地区の指定につきましては、今後の改定の際に、地震に関する地域危険度や周辺市街地の整備状況等を勘案し、地元区の意見も踏まえ検討してまいります。
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■北区内都市計画道路及び沿道整備の促進 |
質問1
北区内都市計画道路の整備促進と田端二丁目付近土地区画整理事業に伴う諸課題についてであります。
現在、北区内都市計画道路整備率は五六%であります。この整備率を上げるためには、第三次事業化計画に位置づけられている各路線の整備を着実に進め、活力、安全、環境、暮らしの四つの基本目標実現に向けて、東京都が精力的に努力すべきであると考えます。
現在、東京都では、放射線、環状線など、首都東京の骨格となる幹線道路ネットワークの整備に努めており、ここに多くの予算を必要とすることは理解できます。しかし一方で、先ほど取り上げた八三号線のような、道幅の狭い、歩道が十分に確保できない地域の生活道路の整備にも目を向ける必要があると思います。例えば北区内では、既に事業化されている補助七三号線赤羽駅西口から清水坂まで、また、八八号線豊島二丁目から五丁目交差点までの区間などがこれに当たります。
これらの事業を推進するためには、まず用地の確保がかぎとなりますが、早期整備を期待する地元の目からは、事業用地の買収が着実に進んでいないようにも見受けられます。事業に協力する意向で、すぐにでも用地買収に応じるつもりの地権者に対して、東京都として積極的な対応が望まれます。
そこで、お伺いいたしますが、補助七三号線及び八八号線における用地取得の現状と今後の取り組みについて、お答え願います。
答弁1
▼建設局長
補助第七三号線などの用地取得についてでございますが、地域生活を支える基幹的な道路の整備は、防災性の向上や交通の円滑化を図る上で大変重要でございます。お話の補助第七三号線は、今年度末までに五五%、補助第八八号線は四〇%の用地を取得する予定でございます。
今後とも、関係権利者の意向に配慮しつつ、歩行者空間やバスベイの確保など、事業効果の早期発現につながる用地取得を進め、地元住民の理解と協力を得ながら事業の推進に努めてまいります。
質問2
次に、田端二丁目付近土地区画整理事業の中心を走る補助九二号線については、今後事業化が予定されている街路整備と、既に事業中の区画整理という二つの事業によって一本の道路が整備されることになっています。
そこで、まず田端二丁目付近土地区画整理事業の見通しについてお答えください。また、第三次事業化計画にも位置づけられている北区中里三丁目から補助九三号線までの区間の街路事業整備方針について、今後の見通しをお答えください。
答弁2
▼都市整備局長
田端二丁目付近土地区画整理事業についてでございますが、当地区は、かつて戦災復興事業として組合施行による区画整理事業に着手いたしましたが、組合設立認可について争いがあり、裁判の結果、認可が取り消された経緯がございます。その後、長期間の事業中断を経て、都が事業を引き継ぐこととなったものでございます。
都は、土地の複雑な権利関係を整理するため、精力的に地権者と折衝を重ね、ようやく今年度から建物移転に着手する段階に至りました。今後、早期整備を望む地元の要請にこたえられるよう、積極的に移転及び工事を進め、平成二十五年度までに事業を完成させる予定でございます。
▼建設局長
補助第九二号線の整備方針についてでございますが、本路線は、京浜東北線に沿って北区と台東区を結ぶ幹線道路でございます。このうち、北区中里三丁目から補助第九三号線までの区間につきましては、田端二丁目付近土地区画整理事業の区域に隣接する区間と山手線交差部の区間、合わせて二百九十メートルが第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけられております。
今後、土地区画整理区域に隣接する区間につきましては、区画整理事業の進捗状況に合わせ、街路事業による整備を計画的に行ってまいります。また、橋梁構造となる山手線交差部につきましては、鉄道交差部における空間の確保など、整備に向けた課題の整理を進めてまいります。
質問3
区画整理区域内には、都道補助九三号線沿いに田端駅前通り商店街があります。昭和二十一年の都市計画決定以来、何度となく計画がとんざする中で、商店街の中に区画整理の買収済み用地が点在し、その空き地が長期間放置されています。その結果、商店街の一体感がなくなり、商業集積という商店街の機能は著しく低下しています。現在進められている区画整理事業に伴って商店街としての活力を取り戻すために、都としてどのような対応を考えているのか、お答えください。
答弁3
▼都市整備局長
区画整理区域内における商店街への対応についてでございますが、ご指摘の土地は、地権者からの申し出により、事業化に先立って取得した都有地であり、区画整理事業により区域内の地権者の土地と交換することで、商業用地として再び活用される予定でございます。
したがいまして、この商店街には点在する空き地がなくなり、連続性が確保できることから、地域にふさわしいまちが再生するものと考えております。
今後、区画整理事業を進める中で、当該商店街の方々とも十分話し合いながら、新たな活力あるまちづくりの実現に向けて努めてまいります。
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