きめ細かく基盤技術産業支援を
都民大運動としての食育推進を |
鈴木 あきまさ(自民党) |
■中小企業金融支援 |
我が国経済には、景気回復に向けた明るい兆しが見え始めています。しかしながら、中小企業の経営状況に目を移しますと、原油高や鋼材価格の高騰が暗い影を落としており、業況改善に向けた動きはまだまだ弱いというのが実態です。
質問1
このように依然として厳しい経営環境に置かれている都内中小企業を支援するため、都が我が党の申し入れに迅速にこたえ、制度融資の年末年始特別対策を実施したことを評価します。中でも、小規模企業融資の要件緩和により、優遇金利による融資対象が約十万事業所も増加するなど、大きな効果が期待されます。
今何よりも重要なことは、景気回復の動きを都内産業の大部分を占める中小企業に広げ、都内経済、そして我が国経済を本格的に回復の流れに乗せることが重要です。そのためにも、金融支援充実の取り組みを一過性のものに終わらせることなく、来年度に向けて、制度融資を中小企業にとって一層利用しやすいものとしていく努力が必要と考えますが、所見を伺います。
答弁1
▼産業労働局長
中小企業の年末年始の資金需要にこたえるため、本年十一月より、小規模企業融資の要件緩和とともに、緊急の資金繰りに対応するクイック融資の限度額引き上げなどの特別対策を実施しております。このうち小規模企業融資の十一月一カ月間の実績は、前月比二一%増の二百十二億円と、利用が大幅に拡大しております。
今後も厳しい経営環境にある中小企業を資金面から支援し、東京の産業活力を強化して、景気回復の動きを本格的なものにすることが重要であると考えております。このため、中小企業のニーズをきめ細かく把握し、創意工夫により制度融資を一層利用しやすいものとしていくよう努めてまいります。
質問2
一方、我が党は、中小企業を守る立場から、国の信用補完制度について代表質問を行いました。この制度は、中小企業への資金供給の円滑化を図る上で非常に重要なものと認識しておりますが、その中で私は、保証料率の弾力化について、中小企業に与える影響と都の対応について改めて伺います。
答弁2
▼産業労働局長
これは、現在一律とされている保証料率を、個々の中小企業の経営状況に応じた料率とするものでございます。これにより、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われることや、経営実績に欠けるなどリスクが高く保証が困難であった層への保証を可能にし、資金供給の促進を図るメリットが期待できるとされております。
しかし一方で、業況によっては保証料負担が増加する場合も考えられます。このため、この見直しにより経営基盤が脆弱な中小企業に悪影響が生じないよう、国に強く求めているところでございます。また、都といたしましても、信用保証協会と連携しながら、鋭意適切な対応に努めてまいります。
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■中小企業への支援策 |
今年度、経済産業省は、新産業創造戦略二〇〇五五を策定しました。そこには、燃料電池、ロボット等の戦略七分野や地域再生施策などに加えて、高度部材、基盤技術産業への施策の重点化、人材、技術等の蓄積、進化、知的財産重視の経営の促進などに力を入れることになっています。特に、東京都が推進しているナノテクノロジーなど最先端新産業分野などの競争力の源となる高度部材産業集積と、それを支える多様な技術を担うたくみの中小企業を強化するためのプログラムを今年度中に定め、重点的に支援していくとしています。
世界の頂点を行く最先端技術の発展の陰には、それを支える優秀な基盤技術が欠かせません。このサポーティングインダストリーに、最先端産業と同じレベルで光を当てることが重要であります。基盤技術を担う中小企業の、つまりサポーティングインダストリーの集積こそ、大田区は日本の代表であり、東京の誇りであります。
町工場が約五千に減少したとはいえ、日本を代表する機械金属系を中心とする産業集積地であることには変わりありません。さらには、現在ある町工場は、近年の社会経済活動の低迷化と仕事の海外流出という大きな荒波を乗り越えてきた実績があり、各工場には中核となる技術、技能が存在し、単なる下請を脱し、基盤技術産業としての地位を築いている中小企業、また、単なる加工業から進化し、独自の製品を有する中小企業など、新たな地位を築いているものもあります。
質問1
そこでまず、こうした東京のものづくり産業を支えている基盤技術産業に、最先端技術産業と同様に、今こそ東京都も支援をする必要があると考えますが、知事はどのようにお考えか伺います。
また、基盤技術産業は、先端的産業との関係で重要な存在であるばかりでなく、企業数が多い上に、技術分野別でもそのすそ野が広いという特徴があり、まさに今日の東京のものづくり産業の基盤となっています。このようなことから、その支援に当たっては、各企業の状況に合ったきめ細かな対応が求められます。
都として、このような多種多様な企業ニーズにこたえるため、支援策の充実を今後どのように図ろうとしているのか伺います。
答弁1
▼知事
基盤技術産業への支援についてでありますが、これは残念ながら、いわば日本の産業の盲点となっているうらみがあります。プレスだとかシャーリングとか、とにかく職人さんの手先を使っての、物をつくるという大事な産業ですけれども、これはまさに先端技術を駆使して立派なものをつくっていく、そのさらに前提として日本の産業を支えているわけでありまして、鈴木議員の選挙区であります、私のかつて選挙区でもありましたが、大田区の南蒲田には、物を削る日本の超名人とされている岩井さんのような方がおられて、この人も、ご夫婦二人でとにかく工場をしている。しかも、やっているのが原子炉の軸であるとか、致命的な部分をこの人の技術でつくっているわけですけれども、さらに、国際的なものとしては、ロケットの先端部分の製作、これはアメリカが新しい宇宙船、あるいはロケットをつくるとき、設計図どおりのものをつくれないから、日本に依頼してくる。これは、へら絞りという技術で、遠心力を使って鉄板を絞り出していって、注文どおりの非常に複雑な形をつくるわけですけれども、そういった先端産業の製品化の前提としてさまざまな基盤技術が利用されているわけであり、日本の先端技術製品が世界マーケットでの競争に勝っていくためには、この先端産業の基礎を支えている基盤技術がまさに必要不可欠であります。
東京には、こうした基盤技術を担う中小企業が、先端技術企業とともに高度に集積しておりますが、率直にいって余り恵まれておりません。都は、今後とも、基盤技術に対する支援を行いまして、何よりもこの技術を継承する後継者の養成というものを心がけていきたいと思っておりますが、世界に誇る技術力を有する東京の製造業の持続的な発展のためにも不可欠な努力だと思っております。
しかし、これはどこかに国レベルで集中した基盤産業のセンターのようなものでつくるべきだと私は思っております。例えば、まだまだスペースのある三多摩であるとか、そういうところにいろんな基盤技術というものを、もうちょっと恵まれた条件で発揮していく、それほど大きなものにならずに済みますけれども、そういう工場の施設というものを国の努力でつくっていくべきではないかと思っております。
▼産業労働局長
基盤技術を担う中小企業への支援についてでございます。
基盤技術産業は、ご指摘のとおり、先端技術を駆使した製品化を支えている重要な産業分野であり、東京のものづくり産業にとって不可欠の存在でございます。都は、これまで各支援機関を通じて製品開発、資金調達、販路対策等の分野で中小企業が抱える多様な課題にこたえるさまざまな施策を実施してまいりました。
今後は、来年四月に独立行政法人化する産業技術研究所におきまして、評価測定の精度向上やデザイン支援の充実などを目指すとともに、中小企業振興公社での販路開拓支援事業の強化を検討するなど、基盤技術産業の多様な企業ニーズにより幅広く対応できるよう努めてまいります。
しかし、この工場群にさらなる荒波が押し寄せているのが現状です。大企業の業績の回復に合わせ、基盤技術を担う中小企業への発注もふえてきていますが、同時に、発注に合わせた生産量を上げようにも、工場の拡大が思うようにできない状況となっているのであります。それは、工場の集積密度の低下に伴い、これまでも問題となってきた住工混在の問題も顕著化し、操業環境が産業側にとって大変厳しい状況となっているためであります。そのため、優秀な中小企業が、動きたくなくても、地方や川崎、横浜などに転出を余儀なくされている状況も見られます。
現在、大田区では、工場アパートなど新たな用地を購入し建設を進めていますが、区レベルの取り組みでは、財源的にはおのずと限界があります。優良企業の流出は、それとネットワークを張ってともに技術を磨いてきた企業にとってもダメージとなり、ひいては技術力の空洞化を招きます。また、雇用の面から大きな損失となります。
都はこれまでに、特別工業地区建築条例を廃止して、工場立地法上の規制を緩和するなど、ものづくり産業の立地環境面の整備を進めてきましたが、中小企業が老朽化した工場を建て直そうとしても、こうした施設整備への助成制度は、現在、東京都にはありません。これでは、企業誘致に力を入れている近隣県などへの流出を食いとめることはできません。
都として、基盤技術を担う中小企業へのハード面の支援策の充実を図るよう、強く要望します。よみがえれ町工場、知事に中小企業へのさらなる支援策を望みます。
質問2
また、日本の労働力を考えるとき、団塊の世代の退職に伴う二〇〇七年問題も重要な課題であります。基盤産業を支え、その競争力を支えているのは人であります。最先端の高度技術の分野だけではなく、基盤産業の幅広い技術、技能の分野においても、有能な人材をいかに育成し、確保していくのか、これが重要であります。また、ものづくりを支えている人たちの持っている力をいかに継承し、未来に向けて発展させていくか、これも重要な問題であります。
そこで、人材の育成、確保と技術、技能の継承について、都はどのような取り組みをする必要があると考えているのか伺います。今、たくみと呼ばれ、基盤産業の雄とも呼ばれる方々の技術、技能を次の世代に引き継いでいかなければなりません。
答弁2
▼産業労働局長
基盤技術産業における人材育成などの取り組みについてでございますが、団塊世代の大量退職が見込まれる中、すぐれた技術、技能の継承や人材の育成確保は、産業の活力を維持する上で重要な課題であると認識しております。
都はこれまでも技術専門校におきまして高度熟練技能の継承を図るため、東京ものづくり名工塾を実施してまいりました。また、すぐれた技術者を育成した中小企業の中から、城南や多摩地域の企業を表彰するなど、人材育成の機運醸成にも努めております。
今後は、中小企業が取り組む人材育成確保への支援を一層強化していくため、積極的なPRを行うとともに、名工塾の規模拡大や内容の充実を検討してまいります。
質問3
次に、大田、品川など、東京港臨海部における道路、特に臨港道路の交通対策について伺います。
例えば、大田区城南島地区などでは、主要交差点で通過車両を円滑にさばくことができず、大型トラックなどで慢性的な渋滞を来しており、企業衰退の大きな原因ともなっております。このため、最寄りの駅とをつなぐバス輸送もおくれがちとなり、もともと日中の運行便数が少ないことも相まって、公共交通サービスの面で立ちおくれた状況になっているといえます。臨海部に立地している企業の中には、このような公共交通の過疎地という悪条件の中、社員の出勤や新規採用にも苦慮し、移転を検討している企業もあります。
基盤産業の集積地として、この地域が今後とも大きな役割を担っていくためには、まさにそこで加工された製品や部品類を迅速に効率的に輸送できる道路交通機能の充実が何よりも重要な要素となることは自明の理であります。
羽田空港の国際化を二〇〇九年に控え、また国際貿易港である東京港において、今後ますます外貿コンテナ貨物の取り扱いが増加していくという見通しの中、その足元の大田、品川の東京港臨海部、特に大井ふ頭や城南島地区の道路交通がこのような状況のままであっていいのか、産業振興の視点はもとより、港湾物流の効率化の観点からも大きな問題です。
そこでお伺いをします。港湾物流の円滑化に向け、東京港臨海部、特に大井ふ頭や城南島地区における臨港道路の渋滞改善対策に都はどのように取り組んでいくのか、お答えください。
答弁3
▼港湾局長
東京港の臨港道路の渋滞改良対策についてのお尋ねでございます。
近年、東京港の取扱貨物量の増加等に伴い、大型車両の交通量が増大し、ご指摘のとおり、大井ふ頭や隣接する城南島で道路の渋滞が発生しております。このため、道路交通の改善対策を進め、港湾物流の効率化を図ることが喫緊の重要課題であると認識しております。
そこで、これまでこの地域の二カ所の交差点改良を実施いたしますとともに、現在、大井ふ頭におきまして、一般車両とコンテナ車両等を分離して交通の円滑化を図る道路改修工事を実施中でございます。さらに今後、国道三五七号線に隣接する交差点の改良を行うとともに、ふ頭を利用する関係事業者と連携した路上放置車両対策等にも取り組み、港湾物流の効率化を推進してまいります。
質問4
次に、中小企業への支援で忘れてならない課題として、商店街振興について伺います。
都は先月、第一回東京商店街グランプリを開催しましたが、その成果と、その波及効果を高めるための今後の都の取り組みについて伺います。
さて、最近の商店街の新しい動きとして、商店会の会員や地元有志などで株式会社やNPOを設立し、テナント誘致や収益事業を展開する例が見られます。また、東京商工会議所などの広域団体が商店街と連携して、活性化事業に取り組む例も出てきております。
商店街を活性化するためには、こうした活動主体による取り組みに対しても柔軟に支援できる新たな仕組みをつくる必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁4
▼産業労働局長
東京商店街グランプリについてでございます。
グランプリには、区市の推薦を受け八十六事業もの応募があり、レトロな街並みを生かしたイベントや地元芸術家と連携したまちづくりなど、すぐれた取り組みが見られたところでございます。商店街からは、よりよい事業にしていく励みになった、今後の参考にしたいなどの声が多く聞かれました。
都は今後、応募全事業の事例集を配布し、ホームページにも掲載するほか、都提供テレビ番組など、各広報媒体で紹介し、広く都内商店街や都民に普及いたしたいと考えております。
さらに、若手商人の研修会で受賞者に講師として協力いただくなど、先進的な事業の仕組みや手法を共有化し、商店街の活性化につなげていくよう支援してまいります。
次に、商店街を活性化する取り組みへの支援についてでございます。
現在、商店街が会社やNPO法人を設立し、独自の戦略を持って商店街全体の再生を進めることや、高齢化に対応したコミュニティビジネスに取り組むなど、自由な発想で多様な活動を行う例がふえております。こうした取り組みは、商店街に新たな人材や資金を呼び込み、これまでにない事業展開をもたらすことから、商店街の活性化に有効であると考えております。また、商工会議所などの団体が商店街と連携して広域的な活性化事業を実施することも、商店街振興を幅広く展開する上で重要でございます。
都は今後、商店街の活性化に寄与するこうした新たな取り組みを促進するよう、効果的な支援策を検討してまいります。
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■食品産業の振興と食育 |
質問1
次に、都立食品技術センター条例の改正に当たって、食品産業の振興と食育について伺います。
現在、都内には約二千の食品製造業者があり、歴史と伝統ある産業として都民に豊かな食材を提供するとともに、地域の経済を支えています。さらに、食品関連産業は、販売業や飲食店等を加えると、事業所数が十万を超える重要な産業分野でもあります。
食品技術センターは、長年にわたる業界の要望にこたえ、平成二年に秋葉原に設立され、以来、新たな加工食品の開発、技術の普及など、関連業界を技術面で支援しています。センターを先日見学をし、年間千二百件に上る相談や研修会の開催など、都内の食品製造業者にとってなくてはならない存在である、大きな期待が寄せられているということを実感してまいりました。こうした期待に今後ともこたえていくのは当然のことですが、条例改正を機に、さらに業界へのサービスを質、量ともに高め、食品産業の振興を図っていく必要があると考えます。
そこでまず、どのような考えに基づいて食品技術センターの設置条例を改正し、食品産業の振興や食の安全確保に取り組んでいくのか伺います。
答弁1
▼産業労働局長
現在、食品技術センターでは食品の加工に関する研究を、また農林総合研究センターでは農畜産物の生産に関する研究をそれぞれ実施しております。来年度から両センターの運営を統合し、相互の人材、情報、ノウハウ等を活用して試験研究を一体的に進め、食品加工業及び農林水産業の振興と食の安全・安心を追求していく考えでございます。
今後、食品技術センターでは、特産農産物を利用した食品開発など、業界のニーズを踏まえた試験研究課題に取り組み、サービスの向上を図ってまいります。
質問2
明治時代、今の大田区で育成された馬込半白胡瓜は、久しく市場から遠ざかっていましたが、センターの支援によって東京特産の漬物に加工され、羽田空港などで販売されています。未利用食材の加工利用や伝統野菜の復活など、食品工業技術と農林水産技術を活用した一層の業界支援策を期待するところであります。
さて、「広報東京都」最新号の第一面は食育の記事です。食の問題は、都民にとって産業振興や健康づくりだけの問題ではありません。うざい、むかつく、すぐ切れるといった今の子どもたち、対人関係をつくれず、感情を抑制する力がなく、創造性の欠如した子どもたちが急増している原因は、まさに食にあると思います。食事の前のいただきますという言葉には、食べ物となった生き物に対する、命をいただきますという意味があります。いただきますから始まる温かい家庭、美しい家庭を再生しなくてはなりません。
小学校の校庭の一角で米や野菜を栽培し、大地の恵みや害虫駆除など育てる苦労をみずから体験して、でき上がった米やサツマイモを食べることで好き嫌いがなくなり、給食を残す子がいなくなるともいいます。このように教育の場から食を見直すことが重要であり、そのためには、積極的に地元の食材を学校給食に利用したり、学童農園の設置、運営の支援を拡大する必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
地元食材の学校給食での利用や学童農園の拡大についてでございます。
今日、自然の恵みである食や生産の労苦に対する感謝の気持ちが薄れつつありますので、これをはぐくむために身近な地元の食材を活用することや、学童みずからの農業体験など、さまざまな取り組みが求められております。そこで、今年度から、農地がない都心部の学校で都内産農産物の給食への利用を始めるとともに、生産者をお招きし、さまざまなご苦労についてお話をいただいております。また、学童農園につきましても都内全域に拡大しているところでありまして、今後とも、生産者と学校との相互理解と協力のもと、こうした取り組みを積極的に進めてまいります。
質問3
こうした体験は、子どもだけではなく、その親の世代が取り組むことが大事です。そのためには、体験の場の整備や情報発信の仕組みづくりはもちろん、指導する人、サポートする人などの人材の育成が大切です。団塊の世代が定年を迎え、これまでの経験を生かして地域活動に参加したいと考える人も多いのではないでしょうか。今後、都の食育を総合的に推進する上で、人材の育成とそのネットワーク化が最も重要であり、栄養士や教育関係者や食品製造業者、医師、関係者などの食育ボランティアが人材の核となって進められることが理想と考えます。
第三回定例会で我が党の代表質問に答えて、石原知事は、総合的な食育の推進計画を策定すると述べられましたが、その計画づくりでは、人材の育成についてどのように考えられているでしょうか。
答弁3
▼産業労働局長
食育の推進計画における人材の育成についてでございますが、食育を着実に推進するためには、家庭での取り組みに加え、学校や地域での食育を担う人材を育成するとともに、その輪を広げ、ネットワークを形成することが不可欠でございます。
都では、食育推進計画の策定に向けて、本年十一月、関係六局による食育推進検討会議を設置したところでありますが、この中で、食育の推進の中心的な役割を担うことが期待される教員、栄養士、農業生産者等をリーダーとして養成することを検討してまいります。
質問4
この食育を都民大運動として展開し、国よりも早く都がイニシアチブをとって、東京発の食育を推進すべきと考えますが、知事の所見をお伺いをして、私の全質問を終わります。
答弁4
▼知事
食育の推進についてでありますが、自然の恵みへの感謝の念や正しい食生活は、世代を超えて、日々家族の団らんの食事の中で自然としつけられ、生活の知恵として受け継がれてまいりました。しかし、今日、東京では、こうした一家団らんが希薄になりまして、小中学生の個食や、あるいは欠食の増加が指摘されるように、家庭での基本的な食生活が失われております。
ある学校で先生が、親の情愛を味わうために、週日のある日、子どもたちにお母さんのつくるお弁当を持ってくるようにということにしましたら、ある家庭では、これは何も一人ではないし、数件例があったようですけど、お母さんが子どもにカロリーメイトなるものを持たせて昼食にしたと。これは本当に暗然とした思いを私いたしましたが、これは家族のきずなを脅かすとともに、青少年の健全な育成にもかかわる深刻な問題であると思います。
ご指摘のように、食育は、健全な食生活習慣や食への感謝の心を養うとともに、健康的な心身と豊かな人間性をはぐくみ、生きる力の礎を形づくる全人格的な取り組みであると思います。
今後、食育の場である家庭や学校、そして地域社会が一体となって、知育、徳育、体育の基本となる食育に取り組んでいかなければならないと思っております。都は、率先して食育に関する情報発信や人材育成に取り組み、都民とともに都市生活での食育を東京から発信していきたいと思っております。
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