平成17年第4回定例会 一般質問

神奈川県警と連携で治安対策を
保育所の待機児童対策に工夫を

真木 茂(民主党)
■治安対策
 
質問1
 東京都内には約九百四十カ所もの交番があり、この交番の存在が我が国における治安の確保に大きく貢献をしていることは、だれもが認めるところであります。
 治安の悪化が叫ばれる中で、交番の新設を求める声が続出し、私の住む町田市においても、交番の設置要望箇所は、正式要望だけでも八カ所にも及びます。警視庁は、町田市のこうした切実な声にこたえ、忠生地区に大型交番という形で準備をしていただいていることに感謝を申し上げますとともに、まだまだ不十分との声にも適宜適切におこたえをいただきますことを、まずもって要望をさせていただきます。
 しかし、交番の設置には大変な費用がかかることも事実であります。交番を一つ新設いたしますと、建設費用のみならず、警察官が新たに必要となり、交番の新設が容易でないことも理解できるものであります。
 そこで、厳しい財政状況の中、警視庁が地元自治体と協力し、既存の交番を適正に配置し直すことで、この交番問題に一定の前進を図ることができるのではないかと考えます。
 例えば、新しい駅前には交番がないけれども、近くの街道沿いには交番があり、駅前への交番の設置を住民が求めているなど、必ずしもまちの変化に対応しているとはいえないところがございます。こうした問題に対処するために、行政や地域住民も交えて協議する場というものが必要ではないかと考えます。つまり、既存の交番や駐在所の数をふやさなくても、新たに交番や駐在所を適正に配置し直すことで住民のニーズを満たすことができるのではないか。そして、その交番の適正な配置については、住民と最も近いところで地域の利害を調整することも可能な地元自治体が警視庁と協議することが、地域の主体的な治安対策として有効ではないかと考えるところであります。
 そのような考えのもと、交番の適正な配置について警視総監の見解を伺うものであります。
 
答弁1
 ▼警視総監
 交番の適正配置についてでありますが、従来から、交番、駐在所の配置につきましては、その地域における事件、事故の発生状況や人口の増減、用地の確保などを総合的に勘案し、治安対策上適正で住民のニーズにこたえるものとなるよう行っているところであります。
 ご指摘の交番、駐在所の移転につきましても、こうした観点に立ちまして、かつ地元自治体や地域住民のご意見を十分にしんしゃくをしながら、まちの変化に応じたものとなるよう行っているところであり、平成十五年度から現在までの三カ年におきましては、二十四カ所の交番、駐在所の移転を行っております。
 一方、交番の新設要望が、町田市内におきましても、お話のとおり八カ所あり、都内全体では約九十カ所に及んでいることも踏まえまして、ただいま申し上げた点に十分配意しながら、引き続き交番、駐在所の適正配置に努めてまいります。
 

 
質問2
 また、私の地元の町田市では、治安の悪化が叫ばれて久しくなりました。その内実を分析してみますと、その多くは窃盗犯であり、凶悪犯がふえているわけではありません。そして、その窃盗犯が多い原因として、町田市は三方を神奈川県に囲まれていて、窃盗犯が警視庁の権限の及ばない神奈川県に逃げやすいから、プロの集団にねらわれやすいなどということがいわれています。
 私は、この問題を二〇〇三年二月、この本会議質問で取り上げ、警視総監に神奈川県警との連携の強化を求めたところ、その一カ月後の三月二十六日には、大がかりな警視庁と神奈川県警本部との合同の都県境対策会議が開催され、以降、合同検問の範囲拡大のための協定の見直し、合同訓練、一斉補導、さらにはJR町田駅南口の非合法ピンクゾーンの取り締まりなど、神奈川県警との協力体制が飛躍的に前進し、町田市内の犯罪認知件数が大幅に減少していることは、大いに感謝するものであります。
 しかしながら、町田市におけるプロの犯罪集団の、町田は逃げやすいという認識を改めさせるには、さらに徹底した、町田は逃げられないとするための対策を神奈川県警と協力して構築し、さらにその事実を市民一般、さらにはプロの犯罪集団に示していくことが重要だと考えます。さらなる神奈川県警との連携の強化、そしてそのことの周知について、警視総監の見解を伺うものであります。
 
答弁2
 ▼警視総監
 神奈川県警との連携についてでありますが、当庁と神奈川県警では、平成十五年三月に両警察のトップが出席する都県境合同会議を開催しまして以来、都県境で事案が発生した場合には、東京、神奈川双方の隣接する地域で広域初動捜査を相互に協力して実施する仕組みを整えてきており、毎年、合同訓練や事件検討会を行っているところであります。
 町田署におきましても、神奈川県の隣接八署との間で、緊急配備訓練を初め、不法滞在外国人の取り締まりや補導活動などを合同で頻繁に行っており、また、事案の発生時には、都県の境界にとらわれることなく、町田署と神奈川県側の各署とが一体となりまして緊急配備等の警察活動を展開しているところであり、犯罪者にとりまして町田は逃げやすいという状況には現在ございません。
 こうした施策、また町田署の地道な取り組みによりまして、町田管内の現在の刑法犯認知件数は、都県境合同会議開催前年の平成十四年と比べまして二三%の減少、とりわけ窃盗につきましては三二%減少するなど、町田の治安は着実によくなってきております。
 神奈川県警との連携につきましては、今後ともさらに強化をしてまいりますとともに、これまでの成果や今後の取り組みについて、市の広報誌への掲載等、自治体の協力もいただきながら効果的な広報を行ってまいりたいと考えております。
 
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■ペット斎場
 
 ペットブームといわれて久しい今日、都内の犬の登録数は毎年約二万頭ずつ増加しています。飼われるペットがふえれば、息を引き取るペットも当然増加してきており、そのため、ペット専用の火葬場や墓地が全国的にも増加してきています。確認しているだけでも、都内にそのような施設が既に二十カ所ほどあるようでございます。
 しかし、東京都が正式に把握しているのは、環境確保条例に基づく届け出だけであります。その届け出は、焼却炉一基につき一時間当たり五十キログラム以上の焼却能力のある焼却炉にとどまっており、一時間当たり五十キログラム未満の焼却炉は届け出の必要もなく、都も国も全体の状況は把握できてはおりません。これ以外で東京都の持つ武器としては悪臭防止法だけであり、これはペット斎場から悪臭が発生していない限り、東京都としては指導する権限もございません。
 本来、ペットの死体は廃棄物であり、一般廃棄物として処理されてきました。ところが、昭和五十四年の旧厚生省の通知により、愛玩動物の死体を埋葬、供養する場合は廃棄物には該当しないという判断を受け、ペットの火葬については廃棄物処理法の適用も受けない状態となり、現在では法規のエアポケットといわざるを得ない状況となっています。
 現在、町田市でも、ペット斎場の建設をめぐって地域住民との紛争が続いているところでありますが、たとえ動物とはいえ、火葬や埋葬が行われる施設が近所に設置されることに対し、多少なりとも抵抗があるのは普通の感覚だと存じます。ペット斎場のニーズがますます高くなる時代を前にして、行政としての一定の指導が必要だと考えます。
 

  
質問1
 しかしながら、このペット斎場の規制、指導をめぐっては、国の仕事なのか、都道府県の仕事なのか、それとも市区町村の仕事なのか、判断の分かれるところでございます。東京都として、ペット斎場の問題についてどう認識しているのか、仮に地方自治体の仕事だとするならば、東京都の仕事なのか、基礎自治体の仕事なのか、まだ東京都の考えは一切表明されたことはございません。基礎自治体としてもペット斎場規制はどこの仕事なのかを様子を見ている状態であり、都としてのコメントが必要だと考えます。東京都として地元自治体との役割分担をどう考えるのか、見解を求めるものであります。
 
答弁1
 ▼環境局長
 ペット飼育の増加に伴いまして、ペットの火葬場などが住宅地などに設置され、一部では周辺住民との間でトラブルが生じていることは承知しております。
 ご指摘のように、ペット斎場については、現行法令上の位置づけや行政の役割が必ずしも明確ではありませんけれども、地域住民に身近な施設であり、悪臭など地域の環境問題の観点とともに、近隣住民の理解を得ることが望ましいと考えております。
 こうしたことから、基本的には地元自治体による対応が重要であると認識しております。
 各区市においてペット火葬に関する条例等を設けているケースも増加しており、都といたしましては、地元自治体に対して情報提供や技術的な支援を行ってまいります。
 
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■保育園の待機児童対策
 
 保育園の待機児童は、東京都全体で八千七百三十三人も存在し、幾ら保育園を新設しても追いつかない状態にあります。しかし、その待機児童の実態を年齢別に分析をすると、ゼロ、一、二歳が大半であり、三歳では一千百十四人、四歳以上になると三百三十八人と本当にわずかであり、全体で見れば定員割れをしているのが実態であります。
 このようになる原因として何よりも大きいのは、厚生労働省の基準による保育士一人で見ることができる子どもの数が、ゼロ歳児では三人、一歳児では六人、二歳児では六人なのが、三歳児では二十人になり、四歳児、五歳児では三十人と急激にふえていくことによります。
 このことから、例えば東京都の平均的な保育園である定員百名の保育園の場合、ゼロ歳児の定員が九名、一歳児の定員が十二名、二歳児の定員が十六名なのに対し、三歳児からは二十名となり、四歳児と五歳児では四十四名と大きく差が生じてきているのであります。このことによって、ほとんどの区市では、二歳までは待機児童がいっぱいなのに四歳以上になると定員割れがたくさんあるということにつながるのであります。
 私は、この問題の解決策として、保育園を次から次に新設するのではなく、既存の保育園のゼロ、一、二歳のクラスを二クラス化していくことで、ほとんどの待機児童を解消することができると考えるものであります。実際に、私の地元の町田市においても、ゼロ、一歳児の定員の総数は、四十四の保育園で九百二十八名、これに対し待機児童は三百八名、つまり、約半分の保育園がゼロ、一歳児クラスを一つずつつくることで町田市の待機児童は解消するのであります。
 このゼロ、一、二歳だけを二クラス化することは、新しく保育園をつくるのと比べた場合、普通の保育園を新設すると建設費が約七千万円なのに対し、三つの教室を増築するのは約二千万円と三割弱、運営費については、事務員なども要らないことから、新設では約一億一千万円なのに対し、三クラスの増設では約三千万円と三割弱で済むのであります。
 これで、待機児童対策としては全く同じ効果を生むものであるとともに、将来子どもが少なくなったときにも保育園が廃園になる必要もなく、柔軟に対応できるのであります。
 待機児童対策を、保育園の新設を中心に進めるのではなく、ゼロ、一、二歳の二クラス化で対応することが極めて現実的で即効性のある対策であります。
 

 
質問1
 保育園の補助金制度が大きく変わり、保育園の施設整備の役割が基本的に国と市区町村の仕事となった中で、引き続き東京都として保育行政にしっかりと取り組んでいく決意を、まず知事にお伺いをいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 保育行政についてでありますが、次代を担う子どもを健全に育成することは、親だけではなく、社会全体の責務であると思っております。安心して子どもを育てられる環境を整備するためには、都民の多様な保育ニーズにこたえることが重要であると思います。
 このため、都は、大都市特有の保育ニーズに対応した認証保育所制度を、JR東日本など、駅周辺の資産保有者の協力も得まして創設し、都民からの広範な支持を得て、既に三百カ所を数えるまでに整備が進んでおります。
 今後とも、区市町村とも連携して、地域の子育て環境の整備に積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 同時に、市区町村がこうした工夫により待機児童解消に取り組んでいくことに対し、助成のあり方を検討すべきだと考えますが、福祉保健局長の見解を問うものであります。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 保育所の待機児童対策についてのお尋ねでございますが、保育を必要とする人のため、保育サービスの供給体制を充実することは重要な課題でございまして、都は、現在、保育サービス基盤の整備を含めまして、地域の実情に応じた柔軟な取り組みを支援し、区市町村の裁量を高めた方策を検討しております。
 この制度の構築に当たりましては、ご指摘の保育所の定員増など、区市町村の創意工夫を促す仕組みとしてまいります。
 
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■震災時の水の備え
 
 東京都では、震災時に対する水の備えとして、総務局予算の中で応急給水槽の設置を続け、全都で半径二キロメートルに一つの考え方に基づき、応急給水槽の設置を平成十六年度で終了をいたしました。つまり、今年度の十七年度、来年度の十八年度予算要求の中では、水の備えを増強するための予算は存在せず、東京都としての水を蓄える努力は、総務局、水道局ともに終了したことになっております。
 しかし、この終了したというのは、一人一日三リットルの飲み水を三日分確保するという考え方に基づくものであります。しかし、震災時に本当に必要な水は、飲み水とともにトイレの水であったりします。また、応急給水槽は、法律上、消防水利としても使うことができることとなっています。最近整備された応急給水槽は百トン槽が多いのでございますが、これは消防車のポンプが約二十分で送水してしまう水量であります。
 これらのことを考え合わせたとき、水を蓄える行政としての努力はまだまだ継続すべき重要な課題であり、理論上は成り立つ一日一人三リットルの飲み水を三日分確保したという理屈は、実際の災害時には机上の空論だったということになりかねないのであります。
 私は、かねてから、この応急給水槽の設置を一般会計の総務局予算で賄っていることに強い不満を持っておりました。というのも、東京電力にしろ、東京ガスにしろ、NTTにしろ、民間企業は災害対策を、一円も税金を入れることなく、企業の社会的使命として企業努力の中で対応していただいております。それなのに、なぜ東京都水道局だけは税金で賄うんだと憤っているところでありますが、確かに電気や電話よりも直接に命にかかわる水の問題を企業努力に任せておくというのは、行政の怠慢といわれても否定できません。
 水道局には、水をとめない、災害時も水を流し続ける、その努力を引き続きしてもらうこととして、水を蓄えておく、水を備える備水の仕事は税金でやってもいいだろう、ただし、その権限は、従来どおり総務局が権限を持つのではなく、世界一の水道会社である東京都水道局の技術と責任で、もち屋もち屋の主体性を発揮し、応急給水槽だけでなく、いろいろな新しい工夫を凝らしながら水の計画的備蓄を図るようにすべきではないかと考えるものであります。
 

 
質問1
 このままでは、東京都としての水の蓄えは前進いたしません。しかし、これで十分なわけではないと考えます。ついては、十八年度は無理だとしても、十九年度以降、総務局予算の中で、水道局への委託事業として、水道局のノウハウを生かした震災時の水の備蓄についての調査研究予算を計上し、新しい技術、手法が完成し次第、総務局予算ながらも水道局の責任で水の備蓄をしていくというようなシステムを構築すべきだと考えるものでありますが、総務局の見解を問うものであります。
 
答弁1
 ▼総務局長
 震災時の水の備えについてでございますが、これまで都では、役割分担に基づきまして、総務局が応急給水槽の設置などにより応急給水体制を整備するとともに、水道局が隣接県市との送水管の接続による水の相互融通に取り組んでおります。さらに、区市町村におきましても、受水槽の活用などに努めております。
 震災時に都民の生命を守るためには、ご指摘のとおり、飲料水をより安定的に確保し、供給することが重要でございます。今後、震災で想定されるさまざまな場面に対応した給水体制のあり方につきまして、関係機関が連携し、調査研究を含め、検討してまいります。
 

 
 以上、最後の質問をさせていただきました。
 本日ご清聴いただきましたこと、そして、四年半、石原知事を初め、理事者の皆様、そして議員各位には、さまざまなご指導、ご鞭撻を賜りましたことに心より御礼を申し上げ、万感の思いを込め、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
 
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