平成17年第4回定例会 代表質問

国の財源調整に戦略的対抗策を
耐震偽装は被害者救済を第一に

相川 博(民主党)
■18年度予算編成にかかわる課題
 
 都議会民主党を代表して、都政の主要課題について質問いたします。
 最初に、平成十八年度東京都予算の編成にかかわる課題について何点か伺います。
 

 
質問1
 まず、三位一体改革について伺います。
 政府・与党は、去る十一月三十日、いわゆる三位一体改革に関する協議会を開き、平成十八年度予算で六千五百四十億円の補助金を削減することで合意しました。財務省が頑強に抵抗していた施設整備費約七百億円分が廃止され、その半額が税源移譲されることが決まりましたが、そのほかはほとんどが国庫負担率の引き下げという単なる自治体への負担転嫁にしかすぎません。これでは自治体の裁量の幅も創意工夫の余地も広がりません。
 これを痛み分けと称する向きもありますが、この国の将来を見据えるならば、目先の権限と予算にこだわる霞が関と、自主自立の道を阻害された地方自治体の双方の首を絞めるものであるといわざるを得ません。
 一方、全国知事会を初めとする地方六団体は、義務教育費国庫負担金や児童扶養手当の負担率引き下げについては分権改革の理念に沿わないとしているものの、生活保護費が削減対象とならなかったこと、施設整備費を対象としたことを評価し、三兆円という大規模な税源移譲を、これまでにない画期的な改革であり、大きな前進であると高く評価する声明を出しています。
 今回のいわゆる三位一体改革の内容と、それを評価する地方六団体の声明について、知事はどのように評価しているのか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 国のいわゆる三位一体改革の評価についてでありますが、この改革は、もともと政府がみずから決めた骨太の方針なるものによりますと、国と地方の明確な役割分担に基づいた、自主自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築することであったはずであります。しかし、今回の政府・与党合意は、こうした理念からおよそかけ離れた、国庫補助負担金削減の数字合わせと地方への負担転嫁以外の何物でもなく、真の地方分権にはつながるものでないと思います。
 地方六団体を初め各県の知事などが、ばらばら、いろいろ評価をしておりますけれども、確かに一歩前進かもしれませんが、しかし、今求められているのは、日本全体の健全化、発展につながる根本的な改革でありまして、この国の形をどう変えていくかを見据えた国と地方の役割分担を徹底して議論することから始めまして、明治以来の旧弊な現行制度を根本的に改造することが必要だったと思います。
 

 
質問2
 一方、三位一体の改革と連動する形で、国の都に対する不合理な財源調整が来年度に向けても行われる公算が高まっています。法人事業税に続いて、法人住民税についても分割基準の見直しの動きがあるほか、小渕内閣当時の恒久的な減税による地方税の減収分を補てんするための地方特例交付金についても廃止の動きがあると聞いております。
 法人住民税の分割基準の見直しは、単に東京に税収が集まり過ぎていることを理由とする、全く理念のないものでしかありません。さらに、地方特例交付金の廃止が現実のものとなれば、都の減収は一千四百億円にも上り、都財政に大きな打撃を与えます。
 都においても、先日発表された東京都税制調査会の答申に、知事の肝いりでこうした都への財源調整の問題を取り上げるなど、国への反論を行っていますが、いかんせん、国への影響力となると疑問符がつきます。都の主張をどのように国に取り入れさせるのか、都の戦略が問われるところですが、知事の所見を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 不合理な財源調整への対応についてでありますが、国は、首都であり、他に例を見ない大都市であります東京の巨額な財政需要や大都市の特性を考慮せずに、一方的に都から財源を吸い上げようとしております。ようやく上昇軌道に乗った我が国の景気をさらに発展させていくためには、東京の活力を高めていくことが不可欠でありますが、国には、こうした首都東京の重要性に関する社会工学的な認識が全く欠落しているといわざるを得ません。
 来年度予算に向けた取り組みが正念場を迎えるわけですけれども、都議会の皆さんなどと力を合わせまして、国の不合理な働きに対して徹底抗戦の構えで臨んでいきたいと思っております。
 

 
質問3
 次に、景気動向と税収見通しについて伺います。
 政府の月例経済報告では、八月に脱踊り場を宣言して以来、景気回復基調が続いており、十一月の報告においても、三カ月連続で緩やかに回復しているとの判断を示しています。
 内閣府の試算においても、景気回復を背景として、個人消費など需要が堅調にふえる一方、供給の面では過剰設備のスリム化が進み、日本経済の需給が引き締まってきているとしています。
 しかし、実質国内総生産、GDPの成長率の伸びは鈍化してきており、原油高による企業収益の悪化が雇用、賃金を引き下げ、さらに、政府・与党の進める増税や社会保障の負担増が個人消費を冷やすため、来年度の景気は一転して減速に向かうのではないかとの見方もあります。
 本年九月末の都税収入実績調べでは、累計収入額で昨年比一千九百八十六億円の増収となっていますが、本年度は一定の増収が見込まれるとしても、来年度は決して楽観することはできないわけであります。来年度予算全体のスキームを設定するに当たって、今後の景気動向と税収見込みをどのようにお考えか、伺います。
 
答弁3
 ▼主税局長
 十七年度の都税収入は、十一月末の法人二税の中間申告等を見きわめる必要がございまして、現時点で確たることを申し上げる状況にはございませんけれども、最近の好調な企業業績等を反映いたしまして、堅調に推移するものと考えております。
 また、十八年度の都税収入につきましては、法人事業税の分割基準の見直し、あるいは一般外形標準課税の平年度化に伴う影響によりまして、一千億円を超える減収が見込まれます。
 加えまして、景気は引き続き回復基調にあるといわれているものの、原油価格の動向などの懸念材料もございます。今後、こうした景気動向などの諸事情を十分勘案いたしまして、的確に算定してまいります。
 

 
質問4
 また同時に、中長期的視点に立った財政運営も求められています。とりわけ、人口減少社会に入ろうとする今、持続的な都財政の運営は極めて重要な課題です。
 先月発表された人口減少社会における都財政運営のあり方では、財政運営に影響を与える外部環境の変化として、生産年齢人口の減少、高齢者の増加、社会資本の老朽化、都市間競争の激化を挙げ、今後都が目指すべき財政運営は、都税収入の伸びに過大な期待を抱くのではなく、財政構造改革に取り組むことによって新たな施策の実施に必要な財源を確保し、長期的に収支の均衡を維持することであるとしています。そして、今後の財政運営に対して、各局における責任の明確化、事後検証の徹底、財政規律を担保するためのルールの設定、中長期的視点を重視した予算編成の四点を提言しております。この提言を都としてはどのように受けとめているのか、伺います。
 
答弁4
 ▼財務局長
 今後の財政運営に関する提言についてでございますが、人口減少社会や少子高齢社会の本格化による社会構造の大きな変化は、経済活動の停滞や国際競争力の低下など、社会全体に対し大きなマイナスの影響を与えることが懸念されており、これは東京においても例外ではありません。
 社会構造が大きく変化し、長期的には都税収入の大幅な伸びが期待できない中にあっても、都民の負託にこたえ、安定的に行政サービスを提供していくためには、財政構造改革をさらに一層推進し、強固で弾力的な財政体質を確立することが不可欠でございます。今回の研究会の提言には、財政構造改革を推進していく上で幾つもの重要な視点が盛り込まれており、この提言の考え方を今後の財政運営の中で十分に活用してまいります。
 
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■行財政改革
 
質問1
 都は、先月二十九日、「行財政改革の新たな指針」をまとめました。この指針では、明治以来の中央集権・官治システムが歴史的な使命を終えたとし、地方の自主自立と、公を多様な主体が担う二十一世紀型の新たな行政システムを構築するとしていますが、その一方で、大都市の活力が国の命運を左右するなどと、大都市の役割を殊さらに強調しています。
 都市への人口や機能の集中という一般的傾向は理解しますが、東京の大都市化は、まさしく石原知事のいう明治以来の中央集権・官治システムによるものではないでしょうか。権力が一カ所に集中することによって、そこに人口や機能の強い集中圧力がかかってきたのであります。分権によって権力が分散すれば、そうした集中圧力は弱まり、ブロックごとの核となる都市に人口、機能が集まることになります。加えて、今後の人口減少によって、中長期的に見れば、東京も都市として縮小していくことは避けられないことであります。
 そこで伺いますが、知事は、東京の将来の姿をどのようなものととらえておられるのか、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 東京の将来の姿についてでありますけれども、東京の将来を考える上で大切なことは、抜本的な権限移譲など地方分権改革を強力に進めながら、東京が首都であり続け、東京の持つ潜在的な力を十二分に発揮させることだと思います。東京を中心とする首都圏には、多彩な人材と質の高い情報、そして高度な技術が集積しておりまして、三千三百万人を擁する広大な経済圏、生活圏が形成されております。今後、我が国の人口減少の時代を迎えてもなお、首都圏への人口や諸機能の集積は総体的に進んでいくと思います。
 また、世界に目を転じますと、大都市圏の集積が国境を越えて経済発展をリードするという二十一世紀の都市文明に直面するとともに、東アジアの発展などにより、日本は熾烈な国際競争に巻き込まれていくわけです。国家全体の利益という視点に立ちますと、日本を牽引する大都市の役割を明確に位置づけ、そうした観点から東京の将来をとらえ、国と地方のあり方を考えていかなければならないと思っております。
 

 
質問2
 また、この指針では、大都市経営の総合性、一体性もまた再三強調されていますが、地方の自主自立とどう整合性をとられようとお考えなのでしょうか。
 とりわけ特別区との関係では、都は、既に二十年前の時点で、都政は、府県行政あるいは広域的立場からの大都市行政に徹し切れないことを問題とし、新しい都は、基本的に府県事務及び大都市区域における広域自治体にふさわしい大都市事務を処理するという立場に立っていたのであります。今回の指針に書かれた都区制度の抜本的見直しに当たっても、いま一度こうした原点に立ち返って都の役割を考えるべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 特別区の区域を中心とする東京の大都市地域は、一体として首都機能を担い、日本の発展をリードしてまいりました。新たな自治制度の構築に当たりましては、東京の将来を展望し、責任を持ってこの地域を総合的、一体的に経営する主体が不可欠でございます。これまで、この役割は都が担ってきましたが、今後、広域的な自治体である都と、住民に身近な事務を処理する基礎的な自治体である区が、それぞれどのような役割を果たしていくのかを徹底的に検証し、議論をしていく必要がございます。
 都といたしましては、こうした考え方に立ちまして、幅広い観点から都区制度の抜本的な見直しを進めてまいります。
 

 
質問3
 一方、行財政システムの改革においては、官民の役割分担の見直し、新たな都庁マネジメントの構築について意欲的な取り組みが列挙されています。
 民主党は、七月の都議会議員選挙での東京マニフェストにおいて、官と民が対等のパートナーシップを結び、新たな公共空間をつくり出していくPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップの理念を打ち出しており、今回の指針はその理念に沿うものだと考えています。
 指針の中では、これからの都庁のあり方について、より少ない人材で中核業務を担い、その達成水準を向上させていく少数精鋭の体制づくりが求められるとして、職員採用チャネルの多様化が示されています。
 今後は、民間の専門家を任期つき職員として採用したり、高度な経営判断を要する局長級に民間人を採用するなど、官と民の垣根を取り払った人材登用を考えてもよいのではないかと考えますが、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 都における人材登用についてでございます。
 職員の大量退職によりマンパワーが減少する中で、複雑多様化する行政需要への対応をしていくためには、少数精鋭の体制づくりが求められております。都は、これまでも、産業技術研究所の所長に民間出身者を迎えるなど、専門性の高い管理職ポストへの民間人の登用や任期つき職員制度を活用してまいりました。今後とも、時代の流れを踏まえ、必要な人材を労働市場から適時に確保するため、新規学卒者に偏らず、多様な採用手段を講じてまいります。
 なお、局長級職員は、局長、技監、理事など、その職ごとの職責、求められる能力等は異なりますが、特定の分野におきまして高度の専門的能力を必要とする場合、民間人を含め、その職にふさわしい人材の登用を検討していく必要があると考えております。
 

 
質問4
 また、指針では、平成十九年度から、都の直営の施設にも指定管理者制度を順次導入するとしています。本定例会には指定管理者指定の議案が多数提出されていますが、対象となっている二百十の施設の中で、実際に指定管理者を公募したのは百四十八施設、約七割、その中で民間事業者が選定された施設は四十六施設、約三割、これまでも民間に委託していた施設を除くと、三十二施設、約二割にしかすぎません。
 公の施設の管理であること、固有職員の雇用を考慮しなければならないこと、監理団体等のこれまでの努力もあるわけですから、一概に問題とはいえませんが、原則公募とした指定管理者の選定が約七割にとどまっていること、新たに指定管理者の候補となった民間事業者が二〇%程度にすぎないことなど、都がどれだけ民の力を本当に生かそうとしているのか、疑念を抱かせる点もあります。
 都は、今回の指定管理者の選定についてどう評価しているのか、所見を伺います。
 
答弁4
 ▼総務局長
 指定管理者の選定についてでございます。
 例えば、島しょに設置されている海のふるさと村のように、施設の性格や目的などから競争の効果が得にくい場合に限り、一部を特命といたしましたが、公募、特命ともに、すべての事業者から事業計画書や財務諸表、活動実績書などの提出を求め、外部委員を含む選定委員会におきましてさまざまな項目を詳細に審査し、厳正に選定を行いました。
 この結果、監理団体も危機意識を強め、より質の高い提案が示されるなど、全体として創意工夫を生かしたサービスや経費節減といった具体的な成果が得られました。制度導入段階の目的はおおむね達成できたものと評価をしております。
 

 
質問5
 公営企業についても、既に多額の債務を抱えながらも、間もなく迎える施設更新期に巨額の投資費用が必要となることから、コスト構造を見直し、さらなる効率性の発揮や、長期的な経営見通しに立脚した抜本的な経営改革を行うとして、各局ごとに具体例が示されています。交通、水道、下水道各局は、こうした指摘を受けて、今後どのように経営改革を進めようとお考えか、各局長の見解を伺います。
 
答弁5
 ▼交通局長
 地下鉄やバスなど都営交通の経営は、乗客数の大幅な伸びが期待できない一方、民間事業者とのサービス競争が激化する中で、多額の累積欠損金を抱えるなど、大変厳しい状況が続いております。このため、現在、平成十六年度に策定しました三カ年の経営計画、チャレンジ二〇〇四に基づきまして、地下鉄各駅やバス営業所の民間委託などによる人件費コストの削減を初めとした経営の効率化を積極的に進めているところでございます。
 今後は、今回策定された行財政改革の新たな指針を踏まえまして、さらに民間並みの効率性を発揮するよう業務全般にわたる徹底した見直しを行うなど、局を挙げて経営の抜本的な改革に取り組んでまいります。
 
 ▼水道局長
 水道事業は、都民生活と都市活動を支えるライフラインとして、安全性、安定性を最重要の事業運営方針としていくことはもとより、経営のさらなる効率性を追求していく必要があると認識しております。このため、平成十六年に東京水道経営プラン二〇〇四を策定し、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けまして、民間委託の推進や職員定数の削減等に努め、効率的な経営を推進しております。
 今後は、行財政改革の新たな指針を踏まえまして、施設整備や全体的な水運用にかかわる計画策定など事業運営の根幹をなす業務につきましては、局がみずから行ってまいりますが、その他の業務につきましては、第三セクターや民間企業を積極的に活用するなど一層の効率化を進め、経営改革に取り組んでまいります。
 
 ▼下水道局長
 今後の経営改革についてのお尋ねでございますが、下水道事業は、多発する都市型水害への対応が求められているとともに、明治期の建設以来、時を経て老朽化が進みます施設の更新など、大きな課題を抱えております。このため、将来にわたり安定したサービスを提供し、都民生活の安全・安心を確保するとともに、現行の料金水準を維持していくことを目的として、経営計画二〇〇四を策定いたしました。
 現在、経営計画に基づきまして、徹底したコスト縮減や出張所業務の民間委託など、業務の効率化を進めております。策定された指針を踏まえまして、今後とも、さらなる業務の効率化などの経営改革に取り組んでまいります。
 
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■談合防止策の強化と契約制度の見直し
 
質問1
 先月十一日、都が発注した河川の防潮堤の工事をめぐり談合を行ったとして、建設会社八社の合わせて十一人が逮捕されました。
 都が発注した工事をめぐっては、七月に、水道工事での談合事件で、上場企業の建設会社の役員が暴力団組長と組んで談合の仕切り役をやり、さらに、談合に応じなかった業者を脅迫したとして、五人が逮捕、起訴されたばかりであります。
 都の発注工事をめぐる談合事件の摘発は、過去五年間で十件に上っています。相次ぐ談合の摘発に対しては、先日、石原知事が記者会見で、私にいわせれば、談合が発覚した後の指名停止の期間が短過ぎる、あるいは、もうちょっと重いペナルティーを科さないと談合というのは後を絶たないと思います、と述べています。
 この指名停止期間の延長や、事件に応じた適用基準の見直しは都の裁量で決められます。相次ぐ談合の防止策として、この際、都が行う指名停止の期間の延長を提案しますが、知事のご見解をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 談合防止の強化でありますけれども、都は、これまでも、一般競争入札の実施範囲の拡大を初めとする各種防止策を講じてまいりました。しかしながら、今般の河川工事の談合事件に見られるように、いまだに談合が行われている実態があります。このような談合をなくすために、前にも申しましたが、今まで以上に、例えば応札停止期間の延長など、重いペナルティーを科す必要があると思います。既に指名停止措置強化の方針を決定し、具体的な方策の検討を指示いたしました。
 

 
質問2
 契約制度の見直しについては、監査対象だった二件の問題から提言をさせていただきます。
 まず、都立高校のパソコン教室のリース契約について、総額十億円を上回るむだ遣いが監査委員から指摘されています。
 これについては、先日の各会計決算特別委員会で、我が会派の伊藤ゆう議員が、昨年度リース契約を結んだ八校について調べたところ、平均落札率が九七%を超えており、うち五校では九九%台という異常な数値となっていること、異なる業者の落札金額が百円単位まで同じケースがあることなどを指摘し、談合の疑いがあると指摘をしました。
 その上で、こうしたリース契約について、入札が適正に行われたかをチェックするために、予定価格の事後公表を行うべきであると指摘しましたが、財務局は否定的な答弁に終始をしました。
 都では現在、工事の契約に関しては、二百五十万円を超える契約金額の予定価格を公表していますが、物品・委託契約の予定価格は全く公表していません。入札の適正化のため、予定価格の公表範囲を拡大すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 予定価格の公表範囲の拡大についてでありますけれども、入札には、競争性と透明性という二つの要因があると思います。予定価格は、競争性の確保を図る観点から、非公表とするのが原則であります。しかしながら、工事請負契約について、予定価格の情報をめぐるさまざまな不正行為を防止するために、競争性よりも透明性の確保を優先し、国に先駆けて予定価格を公表しております。
 一方、物品購入や業務委託契約については、工事請負契約と同じような問題が発生するおそれが少ないことから、契約の原則である競争性の確保を図るため、予定価格を公表することは考えておりません。
 

 
質問3
 公営企業会計決算特別委員会では、花輪ともふみ議員が、水道局の第三セクター、PUCと東京水道サービスの二社との間で、都が特命随意契約で百十一件、百二十一億円余りという巨額の発注を行っている実態を指摘しました。
 東京水道サービスとの随意契約の中には、十三億円以上という巨額の契約すらあります。ことし二月に公表された包括外部監査でも随意契約の多さが指摘されているにもかかわらず、私たちの目から見て十分な取り組みが行われているとはとても思われません。
 随意契約はあくまで例外的に認められているものであります。少額以外の理由による随意契約に対して、より一層のチェックを行い、競争性を高めるため、入札方式を採用していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼水道局長
 随意契約の見直しについてでございますが、昨年度の包括外部監査における意見を受けまして、すべての随意契約について契約内容の精査を直ちに行い、競争入札の拡大を図ってまいりました。今後とも、受託市場の動向を勘案いたしまして、可能な限り競争入札を導入してまいります。
 しかしながら、民間に委託した定型業務に係る監督指導や全体的な水運用の調整など、事業運営上重要な業務につきましては、広域かつ一体的な運営の確保が強く求められます。こうした業務は競争入札により民間事業者に委託することは困難であると考えており、都の水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかりと関与できる第三セクターを活用してまいります。このことによりまして、水道事業の安全性、安定性を確保するとともに、さらなる効率的な運営を実現してまいります。
 
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■オリンピック
 
質問1
  第三回定例会での我が会派の中村幹事長の代表質問でも伺いましたが、二十一世紀の東京にオリンピックを招致する意義、なぜ東京なのかを国際社会に訴える理念がいまだに全く見えてきません。
 外部の有識者による東京オリンピック基本構想懇談会で現在議論を進めているというものの、その委員に選ばれた乙武洋匡さんは、自身のホームページで、正直戸惑っています、一体何を期待されているのかなと、都民として生活してきた立場から、今このまちに本当にオリンピックが必要なのかという疑問も抱いていますと率直な心情を語っているのであります。
 また、招致費用、大会運営費、競技施設の整備に幾らかかるのか、競技施設や選手村がどこに配置されるのか、さらに、オリンピックを通じて東京がどのように変わるのかなど、オリンピック開催計画の基本的な部分も何一つ明らかになっていません。このような状況の中でオリンピック開催の是非を問われても、その判断は下せないと私たちは考えています。
 以上のような問題意識から、先月二十九日には、都議会民主党として、東京オリンピックの全体像を速やかに都議会に示すことを申し入れました。その後、知事は記者会見において、オリンピック計画のラフスケッチ、ドラフトを春には出すと述べましたが、基本構想策定に向けた知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 オリンピックの基本構想策定についてでありますけれども、招致を実現するためには、他都市との競争に打ち勝つ、東京ならではの独創的なオリンピックのあり方を示すことが必要であります。基本理念や大会運営のあり方について、現在、各界有識者をメンバーとした東京オリンピック基本構想懇談会で活発な議論が行われておりまして、私も立ち会っておりますけれども、非常にとっぴなようで実は将来性のある意見も出ておりまして、この会議では、IT技術の活用や日本の文化の発信など、さまざまな提言をいただいております。
 乙武さんはそういう見解をお持ちかもしれませんが、しかし、彼も含めてですね、外側の方々も含めて、いろんな論というものをいただいて、それを収れんし、立派なオリンピックを実現していきたいと思っております。
 しかし、このオリンピックをやるべきか、べからざるか、そんなことを基本的に論じていると、大きなプロジェクトは足踏みするだけで、一向に進んでいかないものです。今の日本にオリンピックがふさわしくないか、ふさわしいかという議論もあり得るでしょうけれども、しかし、私は、今の日本にオリンピックの招致がふさわしくないという日本人は、そうたくさんいないと私は思います。
 この懇談会の検討結果を踏まえて、東京オリンピックの基本的な考え方について、できるだけ早く議会にも示していくつもりでございます。
 

 
質問2
 ちなみに、前回、昭和二十七年五月十九日の都議会における東京オリンピック招致決議は、全会一致で採択されています。今回のオリンピック招致に当たっても、議会はもとより都民の幅広いコンセンサスを得ることが、招致の成功にとって不可欠であると考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼知事本局長
 オリンピック招致に当たっての都民のコンセンサスについてのご質問にお答えいたします。
 都民から幅広いコンセンサスを得ることは、日本オリンピック委員会や国際オリンピック委員会における立候補都市の選考におきましても、極めて重要な要素でございます。そのために都は、東京におけるオリンピックの開催について、今後積極的な広報活動や各種団体への働きかけを行い、より多くの都民、国民の共感、賛同を得て、オリンピック招致を実現してまいります。
 

 
質問3
 石原知事は、さきの所信表明において、必要となる資金の一部をあらかじめ基金に蓄えておくことで、国家的プロジェクトであるオリンピックに対する十全の備えを講じておきたいと述べました。しかし、都財政は約九千億円の隠れ借金を抱えており、国による不当な財源調整の影響などもあって、決して潤沢な財政状況でないのは、それこそ都が一番よく知っているはずです。そのような状況の中、一説には一兆円ともいわれるオリンピックのための基金の原資がどこから出てくるのか、伺います。
 
答弁3
 ▼財務局長
 オリンピックのための基金についてのお尋ねでございますが、現時点では、その所要額を初め詳細が未定であります。オリンピックに係る財源の確保は非常に重要な課題であると認識しております。オリンピックは、まさに国家的なプロジェクトであり、国からのバックアップも得ながら、必要な資金について適切に対処してまいります。
 

 
質問4
 東京オリンピックの前には、多摩国体といわれている、多摩・島しょ地区を中心に行われる東京国体が平成二十五年に予定されています。東京国体のメーン会場に有力視されている味の素スタジアムは、国体の会場とするには、雨天のときのための体育館を新たに整備しなければなりません。そのほかにも、三十八にも上る競技の施設や関係者の宿泊、輸送システムの整備も求められており、ハード面での課題は山積みであります。平成二十五年の東京国体に向けた開催準備の今後の見通しについて伺います。
 
答弁4
 ▼教育長
 東京国体に向けました開催準備の今後の見通しについてであります。
 本年六月に区市町村の代表及び関係部局で構成いたします東京国体準備推進会議を開催いたしまして、大会開催方針等を検討するとともに、区市町村及び競技団体に対しまして、競技会の開催意向や施設の調査を実施しているところであります。
 今後、平成十八年度には会場地選定案を策定いたしまして、十九年度早々に、各界各層の方々から成ります東京国体準備委員会を設立の上、メーン会場を含む会場地や施設整備に関する方針を決定するなど、開催に向けまして万全を期してまいります。
 
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■耐震データ偽造問題
       
 姉歯建築設計事務所によるマンション構造計算書の偽造が発覚してから二週間余りが経過しました。地震国日本において厳格に守られるべきである耐震強度の計算書が偽造され、それを検査機関がやすやすと見過ごしてきた驚くべき実態が明らかになり、重大な社会事件となっています。
 

 
質問1
 都議会民主党では、先月二十四日に耐震データ偽造プロジェクトチームを設置し、翌二十五日には渋谷区のフォルトゥナ代々木初台、二十七日には江東区のグランドステージ住吉を視察し、被害に遭われた住民の声を聞いてまいりました。それを受けて、先月二十八日、知事に六項目の申し入れを行いました。その基本は、被害をこうむったマンション住民がこれまでどおりの生活を取り戻すために負うべき負担をゼロにすることであります。
 今、行政に求められているのは、何の落ち度もないのに突然自治体から退去勧告を受け、我が家からほうり出されるマンション住民の生活を全力で支援していくことだと考えています。国会では、ヒューザーが悪いとかイーホームズが悪いとか、派手な議論ばかりが繰り広げられておりますが、そのような責任の所在を云々するのは、突然の被害に遭った住民たちの救済が済んだ後の問題ではないでしょうか。
 被害者に対する都としての支援の基本的考え方について知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 構造計算書偽造問題にかかわる居住者支援についてでありますけれども、これは、先ほど新藤さんの質問にもお答えしましたが、構造的に、基本的にこれは国に責任があるんですよ。しかし、てんびんに人の命がかかっているから、まあ国に泣きつかれて、要するに、今ある制度の中で、国も出し惜しみをしながら地方自治体に協力してということで、まあ応諾しましたが、もともとこれは、かつての金融機関の救済と同じく国の責任で、要するに救済されるべきものだと私は思います。国がそういってきて、都が負担する経済的な要するに負担というものは、都民の税金ですからね。これはやっぱり私は考えませんとね。ここで人の名前を挙げるつもりないけれども、横浜の親しい松沢知事が、全部負担するということを明言しましたが、私はやっぱりちょっとそれはフライングじゃないかというコメントを添えました。
 これは、この間も国交省の次官が来て、いろいろ説明しましたが、要するに、私はそのとき申し上げたのは、国交省の中にもいろいろ異論があるじゃないか、早く統一見解を出してもらいたい、そうしなければ、こちらは態度を決められないんだということをいいまして、要するに、遅まきですけれども、今週の火曜日ですか、ああいうスキームというのができた。
 しかし、なお私たちは、これにだってかなり不満ですな。やっぱりね、これは本来国の責任ですよ。しかし、人の命がかかっているから、私たち、仕方なしに、国の要するに協力の要請に応じますけれども、あくまでも今回の問題の背景は、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が関与できない仕組みとなっていること、国による確認検査機関への指導監督が不十分であったこと、こうした中で起きた事件でありまして、繰り返して申しますけれども、国の責任は極めて重大だと思います。
 偽造の当事者や瑕疵担保責任を有する売り主は当然のことでありますが、元請の設計事務所や国の指定確認検査機関など関係者の責任追及も必要だと思います。
 しかしながら、繰り返して申しますけれども、都としては、何よりも都民の生命の安全を確保する必要から、とにかく地震があす来てもおかしくない要するに状況でありますから、緊急措置として、都民住宅などの活用を決定し、また、固定資産税及び都市計画税の減免も決定いたしました。
 都としては、都民の安全を緊急に確保する観点から、国の支援方策を踏まえながら、区市と連携を図り、居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向け、必要な対策を講じてまいります。
 

 
質問2
 災害とは違い、被害住民を無条件で都営住宅に入れるわけにはいかないと当初は述べていた知事も、先月二十五日には一転して、緊急措置として、都営住宅、都民住宅、公社住宅、計五百戸の提供に踏み切りました。
 さらに、被害マンションに係る固定資産税や都市計画税については、私たちの申し入れを受け、今年度分の免除が決まりました。申し入れのときに横山副知事は、固定資産税等については全くの盲点だったと語っていましたが、申し入れを受けての都の迅速な対応は大いに評価をさせていただきたいと思います。
 しかし、受け入れ先となる都営住宅等の家賃については、三十日の都市整備委員会の集中質疑で、都市整備局が、都が負担するのは適切ではないと否定的な答弁を繰り返すなど、消極的な姿勢に終始しています。私たちは、区から退去勧告を出され、ローンと家賃の二重苦に苦しむ人も出ている中で、このような都の姿勢は問題だといってきました。
 こうした中、国は昨日、当面の被害者支援策を正式に打ち出しました。住民の引っ越し費用、さらに分譲マンションの解体や建てかえ費用についても、地方自治体と連携して補助を行うというものになっています。都が消極的姿勢を見せているうちに、国が一歩も二歩も先を行ってしまった格好であります。
 国費だけでも八十億円に上る支援策が、負担を求められる地方自治体に何の相談もないまま決められてしまうのは問題というわけでありますけれども、しかし、こうなった以上、都としても、都営住宅等の家賃減免など、被害に遭ったマンション住民への経済的支援を決断すべきときだと考えます。所見を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 マンション居住者に対する経済的支援措置についてでございますが、今回の事態は、制度の構造、運用に根本的な問題があって生じたものであり、都は国に対し、国みずからの責任を明らかにするとともに、国が統一的支援のあり方を示すことが、国の責任であるとして強く求めてきたところでございます。
 十一月三十日の都市整備委員会での対応は、そうしたことを考えてのことでありまして、消極的な対応ではないということを申し述べさせていただきます。
 そういうことでございますが、昨日、国は、住民の安全確保や生活の安定を図るため、転居費用や転居先家賃の助成など居住者に対する公的支援策を発表いたしました。
 公的支援を行うに当たりましては、国に設置されました構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について、関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都としては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 

 
質問3
 そもそも今回の事件が発覚したのは、国土交通大臣指定の指定確認検査機関であるイーホームズ社が、内部監査で構造計算書の偽造に気づいたことが発端でした。イーホームズ社は、検査業務は適正だったと説明していましたが、国土交通省の調べでは、同社が建築確認を行った九十八件の構造計算書のうち、八十九件までが建築基準法の規定どおりに検査が行われていなかったとのことであります。しかも、二十九日の国会質疑においては、民間指定確認検査機関の最大手である日本ERIまでが偽装を見逃していたという事実が明らかになっています。
 このようないいかげんな検査業務を行っていた指定確認検査機関について責任が問われるのはいうまでもありませんが、十分に指導監督できていなかった国の責任も問われなければなりません。国の指定確認検査機関に対する監督責任を追及していくべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 確認検査機関に対する国の監督責任についてでございますが、指定確認検査制度は、建築物の違反取り締まりや検査の実効性を確保するため、平成十年の建築基準法の改正により導入されたものでありまして、民間機関の指定に当たり、建築物の安全性が低下することのないよう適切な指導をすることなどの附帯決議とともに、可決成立したものでございます。
 今回の問題の一因は、民間機関に対する国の指導が不十分であったことにあり、国の監督責任は極めて重いと考えます。都といたしましては、制度の信頼回復に向けて、国に対し、確認検査機関への監督強化など制度の改善を強く要望してまいります。
 

 
質問4
 さらに、姉歯建築士に構造計算を下請に出していた元請の設計事務所の責任も重大であります。都は既に、耐震データ偽造マンションの設計元請となった八社に緊急の立入検査を行っており、石原知事も会見で、都がその資格を認定するような立場にあるなら、そういったものも改めて問い直す必要はあると思うと、設計事務所に何らかの処分を行う考えを語っていますが、設計事務所八社の立入検査の結果と今後の対応について所見を伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 元請の設計事務所に対する立入検査の結果と今後の対応についてでございますが、立入検査は、今回の問題についての責任の所在を明確にし、再発を防止する上で重要なことと認識いたしております。
 このため、これまでに都に登録のある元請の設計事務所八社に対し、事情聴取と立入検査を完了いたしました。現在、その内容を精査中でございますが、法に抵触することが明らかになれば、厳正に処分いたします。今後とも、公正な建築行政の推進に積極的に努めてまいります。
 

 
質問5
 国土交通省はこの五日、姉歯建築士を建築基準法違反で刑事告発し、それを受けて、警視庁などによる合同捜査本部が発足しました。ほかの関係者にも刑事責任を追及する方針であります。しかし、今回の耐震データ偽造問題で危険な建築物を設計した姉歯建築士について建築基準法違反を問うとすれば、その罰則は罰金五十万円と、事件の重大さに比べれば信じられないくらい軽いもので済んでしまいます。
 規制緩和、民間開放の基本である事後チェック行政の考え方は、例えば今回の建築確認事務でいえば、民間が適正な検査を行うものと信頼するかわりに、その信頼を裏切った検査機関には厳しいペナルティーが科されるものでなければなりません。先ほどの談合に関する指名停止期間の延長とも相通じるものでありますが、事後チェック行政における罰則強化の考え方について見解を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 建築確認検査制度の罰則強化についてでございますが、今回の構造設計にかかわる不正について、その再発を防止することは、建築物の安全性の確保にとって極めて重要でございます。
 現行制度では、設計者が法に抵触する行為を行った場合、五十万円以下の罰金とあわせ、建築士法上の行政処分により資格を取り消されることもございます。また、確認検査機関が法に抵触する行為を行った場合、業務の停止や指定の取り消しなどの処分の規定がございます。
 今回の事件の重要性を考え、都としては、確認検査制度の実効性確保の観点から、行政処分の一層の厳格化や罰則規定の強化を国に強く要望してまいります。
 

 
質問6
 ところで、神戸市では、阪神・淡路大震災で違反建築物の倒壊が被害を大きくしたとの教訓から、市に違反建築対策室を設置し、ホームページで違反建築の告発の受け付けなどを行っています。設計業界では、神戸市は厳しくなったと評判で、多くの設計士が、神戸市内での仕事では、より緊張感を持って取り組むといわれています。このような違反建築対策の強化が都においても必要であると考えますが、所見を伺います。
 
答弁6
 ▼都市整備局長
 違反建築対策の強化についてでございますが、建築物の安全性を確保するためには、建築確認制度の適正な運用とともに、違反建築対策を強化し、建築規制の実効性を担保することが重要であると認識しております。
 都はこれまで、建築物安全安心実施計画を策定し、警察や消防との連携強化を図るなど、違反建築物の総合的対策を推進してまいりました。また、区や市と連携し、毎年、違反建築防止週間を設け、重点的な違反建築物の取り締まりを行ってきたところでございます。
 今回の問題を真摯に受けとめ、工事途中のパトロールを充実するなど違反建築対策に積極的に取り組み、建築物の安全性の確保を図ってまいります。

 

 
質問7
 マンションを安く建てられることでだれにメリットがあるかといえば、まずヒューザーのような建築主であり、次いで施工業者ではないかと思われます。しかも、今回の事件で耐震性に問題があるとされた物件リストを見れば明らかなように、建築主、設計者、施工者の組み合わせはほぼ同じであります。これらの会社が建設にかかわったマンションは、そのすべてに耐震強度の偽造のおそれがあると考えるべきではないでしょうか。その検証のためにも、そうしたマンションを施工した建設会社の施工物件を初め、都内で施工されたマンションの耐震強度の再点検を早急に行うべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁7
 ▼都市整備局長
 マンションの耐震強度の再点検についてでございますが、今回の一級建築士による構造計算書の偽造を設計段階、建築確認段階で見抜けなかったことで都民に与えた大きな不安は、一刻も早く解消しなければならないと考えます。都は、特定行政庁である区市と連携し、現在、姉歯建築士が関与したとされるマンション等について、総力を挙げて点検に取り組んでいるところでございます。
 都内で施工されたマンションの再点検につきましては、売り主などが社会的責任として行うことが望ましいと考えており、都として、このことを速やかに業界に要請してまいりたいと思っております。
 

 
質問8
 今回の事件によって、マンション住民の多くが、自分の住んでいるマンションは本当に安全なのだろうかという疑問や不安を感じるとともに、マンション業界や建築業界全体に強い不信感を抱いています。そうした不安を解消するため、マンション等の耐震性の問い合わせに応じる専門の相談窓口を都において設けるべきであると考えますが、所見を伺います。
 
答弁8
 ▼都市整備局長
 耐震性に関する相談窓口の設置についてでございますが、建築物の強度につきましては、専門家によるわかりやすい説明を行うことが重要でございます。このため、現在、都及び多くの区市並びに建築関係団体等におきまして、専門の相談窓口を設置し、都民からの建築物に関する相談に当たっております。
 今後とも、これらの区市や建築関係団体等との連携を強化し、相談窓口の一層の充実を図りながら、都民が安心できるよう適切に対応してまいります。
 
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■景観施策
 
質問1
 知事はよく、東京の町並みを、ごみ箱をひっくり返したようなひどいものであると表現されます。このような問題意識から、知事は本年一月に、東京都景観審議会に対して、東京における今後の景観施策のあり方について諮問をされ、これに対して、先月十四日、今後の景観施策のあり方について中間の取りまとめが発表されました。
 この中では、美しさと風格を備えた都市空間の形成、歴史、文化の継承と観光資源としての活用、景観の骨格となる緑や水辺の保全、再生、公共事業等と連携した地域の景観づくりの四つの政策課題が示され、それぞれに対して施策の方向が提言をされています。
 この中で注目すべきは、眺望の保全、地域特性に応じた建築物の高さ等の誘導のほか、大規模建築物や大規模工作物、公共サインや屋外広告物など、全体として規制や制限をかける方向でなければ良好な都市景観は形成されないという論調で統一されていることであります。私たちも、東京の都市づくりについて、これまで進められてきた規制緩和一辺倒ではなく、一定の規制や歯どめを組み合わせていくべきだと再三主張してきたことでもあり、歓迎すべきものと考えています。
 しかし、このような方向性は、これまで知事が進めてきた規制緩和を中心に据えた都市再生に軌道修正を求めるものとも解釈できますが、今後の景観施策のあり方について知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 今後の景観施策のあり方についてでありますけれども、数十年前に英国の写真家が撮った、あれは愛宕山の上から撮った江戸全体のパノラマの写真がありますが、お寺の伽藍を除けば高層建築はほとんどなくて、屋根は濃い灰色のかわらでふかれ、壁は白、実にしょうしゃなモノクロームの町並みでありました。
 これは、明治政府に、近代ホテルをつくってほしいという依頼で来日しましたフランク・ロイド・ライトの日記を読みますと、彼は来てみて、江戸の美しさに心を打たれまして、コンセプトを変えて、コンクリートを使わない、日本らしい素材でホテルをつくろうということで、この間取り壊しになりましたが、大谷石を使った、有名な建築物の帝国ホテルをつくったわけであります。
 それに比べて今日の東京を見ますと、個々の建築のデザインにはいろいろ工夫が凝らされておりますが、色彩や形態がばらばらで、町並みの統一感に欠け、都市全体の景観に対する配慮があるとは、とてもいえません。
 しかし、国際競争力を備えた、魅力とにぎわいのある東京を実現するためには、都市再生を推進する中で、良好な景観を形成していくことが不可欠であると思っております。このため、都心部の機能更新などの機会をとらえて、例えば、東京を代表する建築物と周辺の眺望の保全、あるいは国際ビジネスセンターのスカイラインの統一、そして、水辺空間など自然を意識した景観形成など、景観の視点を重視した都市づくりを進めていくことが肝要であると心得ております。今後とも、こうした取り組みを積み重ねて、美しく風格のある東京の実現に何とか取り組んでいきたいと思っております。
 

 
質問2
 中間のまとめでは、歴史的建造物を、都市の記憶を次世代に伝える重要な手がかりと位置づけ、その保全、活用を積極的に図っていくことを提言しています。そのための具体的方策として、税の減免による都選定歴史的建造物の保存支援の検討、都市計画制度を活用した近代洋風建築の保存、復元などが提案されております。
 中でも、個人や企業が所有する都選定歴史的建造物について固定資産税、都市計画税の減免制度を創設することは、公的所有の建造物だけに非課税措置が講じられている現状の是正のためにも、ぜひ実現に向け検討すべきであると考えます。
 しかしながら、それらの建造物をさらに確実に都民の共有財産として残していくためには、単に建造物を保存していくのみならず、その姿を保ちながら、都民が協力し、積極的に建造物を活用していく方策を検討していく必要があると考えます。
 歴史的建造物の積極的な活用の今後の取り組みについて所見を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 歴史的建造物の積極的な活用についてでございますが、東京には歴史と文化を今日に伝える数多くの建造物がございます。これらは、長く都民に親しまれ、都市に潤いをもたらす貴重な景観資源となっております。
 歴史的建造物につきましては、その保存はもとより、都市づくりや観光政策に活用することが重要でございます。このため、景観審議会の中間のまとめでは、都が情報を収集、発信し、所有者と利活用希望者をコーディネートする仕組みの検討について提言しております。
 今後、最終答申を受け、提言の具体化に向け取り組んでまいります。
 
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■都立病院改革
 
質問1
 都は、平成十三年十二月に策定した都立病院改革マスタープランに基づき、将来にわたる都民の医療ニーズに的確に対応し、医療サービスの向上を図るため、都立病院の再編整備を進めてきました。
 この中で、都立豊島病院は、高齢者医療センター併設地域病院として老人医療センターと統合後、民営化としていましたが、昨年三月に板橋区からの要望を受けたため、改めて区立病院化に向けた協議を開始することになりました。協議の結果、資産の取り扱い等に関して両者の考え方の隔たりが大きく、本年十月二十六日、東京都、板橋区双方から断念の表明がなされたのは周知のとおりであります。
 この間の検討に一年半を要しましたが、そもそも板橋区側は、独自に病院を運営していく上で、財政的基盤など、当初から大きな問題を抱えていたといわざるを得ません。
 そこで、豊島病院の板橋区移管をめぐる今回の区との協議結果について、都としてどのように評価しているのか、改めて伺います。
 
答弁1
 ▼病院経営本部長
 豊島病院の移管に関する板橋区との協議についてでございます。
 資産の取り扱いにとどまらず、運営形態や行政的医療の取り扱いなど、さまざまな観点から協議を積み重ね、結論を得るまでに長期間を要したことはご指摘のとおりでございます。
 しかし、一方では、協議の過程で、リハビリテーション医療の充実など具体的な地域のニーズも明らかになりました。今後の検討に当たりましては、これらの経緯を十分踏まえて対応してまいります。
 

 
質問2
 いずれにしても、今回の結論が出た以上、今後は、住民が安心して医療サービスを受けられるよう、新たな病院運営のあり方を再構築することが求められています。その際、地域の要望にも配慮するとともに、運営主体としては、民営にとどまらず、公社、公営企業法全部適用や独立行政法人など最近の医療経営環境の動向を踏まえ、幅広く検討すべきと考えます。
 そこで、今後の豊島病院について現段階でどのように考えているのか、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼病院経営本部長
 今後の豊島病院の方向性についてでございますが、マスタープランで統合対象でございました老人医療センターとの関係も含めて、改めて検討する必要があると考えております。
 地域の要望にも配慮しながら、関係局と協議を行い、早急に結論を出してまいります。
 

 
 一方、マスタープランで豊島病院との統合対象であった老人医療センターのあり方も十分考慮すべきであります。老人医療センターは、急速に進展する高齢社会に対応するために、高度で専門的な医療水準を備えた医療機関であり、将来ともこうした医療水準を安定して確保できる体制の構築が重要と考えます。この点も踏まえて早急に検討することを要望しておきます。
 
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■障害者福祉
 
質問1
 さきの特別国会で成立した障害者自立支援法は、国が義務として障害者の自立を支援するとしており、これまでなかった障害者福祉の基本的大前提が定められました。これは、支援費制度による契約概念の導入よりずっと大きな、ある意味では革命的変化であるといえます。しかし、実際には、障害者が自立できるためのサービスが提供され、社会参加が進むような制度にはなっておりません。
 例えば、自立支援法では、入所施設への支援費の支払いが日割り計算となっています。利用実績に応じて支払うというのは、一見、当然に見えるかもしれません。しかし、入所者が週末や年末年始に外泊したらどうなるのでしょうか。休みの日に実家に泊まりに行って親孝行したり、友達と遊びに出かけたりというのは、一般的にいってごく普通のことだと思います。しかし、このごく普通のことが、自立支援法のもとでは普通でなくなってしまうのであります。
 二十人が暮らす入所施設で、週末に十人が外泊するとします。日割り計算だと、十人掛ける二日分の支援費は支給されなくなり、施設の収入は半減するわけであります。入所者の外泊が施設の収入減に直結し、施設側としては、外泊を制限するか、それとも外泊を認めて施設がつぶれるかしかなくなるわけであります。
 このように、障害者が普通のことを普通にしようとすると施設経営が成り立たなくなってしまうのが今回の自立支援法なのであります。どうしてこのような不合理が起きるのでしょうか。施設経営の実態や、そこに暮らす障害者の生活を考慮せずに、ただただ財政支出を減らすことを目的として制度設計をしたからにほかなりません。
 こういった自立支援法の問題点について、民主党は国会審議において再三指摘をしましたが、一向に改善されないまま政府・与党によって可決、成立を見てしまったことは、将来にとって大きな禍根を残すものだと思います。
 自立支援法では、障害者の多くが低所得者であるという実態を無視し、障害福祉サービス利用と自立支援医療について応益負担、すなわち原則一割の定率負担を導入しています。この定率負担の導入により、障害者のサービス利用の抑制や生活の質の低下を招いてしまっては、本末転倒といわなければなりません。
 国が行う負担軽減策に加え、都としても独自に低所得者に対する負担軽減策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 障害者自立支援法の施行に伴う低所得者への対応についてのお尋ねでございますが、障害者自立支援法では、負担の公平化と制度の安定的運営を図る観点から、一割の定率負担を原則としておりますが、その上で、月額負担上限額の設定や社会福祉法人が行うサービス提供についての減免措置の実施など、低所得者に対する配慮がなされているところでございます。
 今後、制度の実施に向けた国の動向を見きわめながら、サービスの利用状況等も踏まえ、都として適切に対処してまいります。
 

 
質問2
 そもそも一割負担の導入は、負担ができるような障害者の経済的自立をバックアップすることとセットされています。経済的自立があって初めて自己負担が議論できるのです。その点は極めて重要です。
 障害者の経済的自立を実現するには、一般企業等への就労を進めることが何よりも重要です。民間企業における障害者の法定雇用率は一・八%ですが、東京労働局の調査によれば、平成十六年六月現在の民間企業の実雇用率は一・三五%で、前年度より〇・〇二ポイントふえたものの、依然として東京が全国最下位であります。
 さらに、障害者雇用促進法の改正により、今後は精神障害者も雇用率の算定対象とされ、精神障害者の雇用対策の強化が打ち出されました。精神障害については、医療や生活面での支援が必要ですが、働く場での取り組みが一層重要となっています。
 このように、今、東京の企業には、これまで以上の障害者雇用の取り組みが求められているといえます。こうした状況下でも障害者雇用が進まないのは、企業が雇用管理上の配慮など条件整備に消極的であったり、障害者雇用に関する理解が不足しているからにほかなりません。受け入れる側の条件さえ整えば、心身障害者の多くは一般就労が可能です。障害者の一般就労拡大に向けての企業への働きかけと支援について見解を伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 障害者の一般就労拡大を図るための取り組みについてでございます。
 障害者雇用の促進は重要な課題でございまして、企業の障害者雇用に対する理解を促すとともに、企業の行う条件整備への支援が求められていると認識しております。また、障害の状況に応じて、医療や生活面も含めた関係機関の連携も必要でございます。
 都はこれまで、障害者雇用に関する理解の促進と、国が実施する賃金や施設整備に関する助成金など各種支援制度の周知に努めてまいりました。
 今後とも、関係機関と一層の連携を図り、障害者の一般就労の拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。
 
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■花粉症対策と森林再生
         
 本年三月二十五日の予算特別委員会で、私は、今にも花粉が飛び散りそうな朝どりの杉の枝を委員会室に持ち込み、委員の皆様から嫌悪のまなざしを向けられました。それが功を奏したというわけではありませんが、石原知事も人生で初めて花粉症にかかられたということで、都も俄然、花粉症対策に力が入り始めているようであります。くしくも先月十四日、私の誕生日には、花粉症対策本部を立ち上げ、多摩地区で発生するスギ花粉の量を十年間で二割削減するという数値目標を決めましたが、私も二十年来の花粉症患者の一人として、東京都の取り組みを大いに期待するものであります。
 また、先月十八日、私たち都議会民主党も西多摩地域に赴き、製材施設やシカ被害地、林道や間伐の状況、そして多摩産材を活用した檜原中学校などを視察しましたが、地道な努力なくしては森林再生はなし得ないということを改めて痛感いたしました。
 

 
質問1
 花粉症対策としては、十八年度予算編成に向けて積極的な対応が期待できそうですが、森林再生というものは短期間でなし得るものではなく、十年、二十年、百年先を見据えた取り組みが必要であります。また一方で、私を含む花粉症患者の多くは、一日でも早く花粉症の苦しみから解放されることを心から願っています。石原知事の花粉症対策への意気込みを伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 花粉症対策の取り組みについてでありますが、花粉症患者は近年増加しておりまして、首都圏では四人に一人が患者といわれております。患者の苦痛はいうまでもありませんが、社会的、経済的にも大きな損失がございまして、ちなみに、科学技術庁の平成十二年の発表では、花粉症による社会的、経済的損失は二千八百六十億円ということでありますが、これは大変な数字だと思います。
 花粉症の問題が深刻化した背景には、戦後の国の拡大造林政策の失敗と、その後の長期にわたる森林の放置というものがありますが、先般、八都県市の長や関東知事会とともに、国に対して責任のある対応を要請しました。また、隣接の県市に対して、都の花粉発生源対策のスキームを提示し、理解と協力を求めるなど、広域的な取り組みもあわせて行っていくように指示をいたしました。
 かけがえのない多摩の森林を花粉の少ない森としてよみがえらせるためには、木材の活用による林業と森林の再生が不可欠でありまして、五十年、百年単位での取り組みが、とにかくはっきりと示されることが必要だと思います。多くの都民をうつうつたる気分にさせる花粉症への対策に、時を移さず積極的に取り組んでいきたいと思っております。
 

 
質問2
 花粉症といえば、スギ花粉ばかりが脚光を浴びておりますが、実は夏から秋の花粉症、稲やブタクサ、ヨモギなどによる花粉によって苦しんでいる人も意外に多いものです。特にブタクサは、杉が騒がれる以前の花粉症の代表格で、空き地や河原など、雑草が生えているところであればどこにでも見ることができます。
 このように、花粉症の治療、予防を進めていく上では、スギ花粉だけでなく、ブタクサや稲、ヨモギなどさまざまな植物の花粉による影響を調査し、それらすべてを視野に入れた対策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 花粉症対策についてですが、花粉症の原因となる植物といたしましては、杉以外にも、稲科の植物や、ブタクサ、ヨモギなどが知られており、それぞれの花粉の飛散時期などに合わせ、適切な予防行動をとることが必要でございます。
 このため、都では、従前から、これらの植物の花粉飛散状況を年間を通じて観測し、そのデータを広く提供するとともに、予防、治療について保健所などでの相談対応や、パンフレット、ホームページによる普及啓発を行っております。今後とも花粉症の実態把握に努め、必要な情報提供を行うなど花粉症対策に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 花粉症対策として森林再生に取り組んでいくためには、これを安定的に継続させていくための財源確保が不可欠です。近年、都道府県の中には、環境森林税を導入する動きが活発になっており、既に高知県や岡山県など六県が実施し、近県では神奈川県や埼玉県でも検討が進んでいます。私も一昨年の予算特別委員会で森林管理の財源確保の手法について質問したところですが、現在、都としては、環境森林税ではなく、基金を設立し、都民や企業への募金を呼びかけようとしているようであります。
 私は、花粉症対策を着実に実施していくためにも、基金の目的を花粉症対策に特化するなど、より多くの都民や企業から理解と協力が得られるような工夫をしていくべきと考えます。花粉症対策としての基金の設置について見解を伺います
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 花粉症対策における基金の設置についてでございます。
 花粉発生源対策では、杉の本格的な伐採を軌道に乗せることが不可欠でございます。
 一方、杉林の針広混交林化や花粉の少ない杉への転換は、長期にわたり計画的に進めることが肝要でございます。
 花粉症対策の一環として、都民共有の貴重な財産である森林を守り、子孫に受け継ぐ息の長い取り組みは、広く都民の理解に基づく都民運動として展開していく必要がございます。
 こうしたことから、将来にわたり花粉症対策を着実に進めるに当たり、多くの都民や企業の善意に支えられた基金を設置することは、有力な手法と考えております。
 

 
質問4
 次に、木材の利用促進についてであります。
 都議会民主党の視察では、教室などが木でできている檜原中学校を視察し、そこで学ぶ生徒たちの声も聞くことができました。生徒からは、掃除のときに机を運ぶのが重いといった声も聞かれましたが、おおむね好意的な意見が多く、生徒たちの顔もどこかしら輝いているようでもありました。
 木でできた空間は健康にもよいといわれ、老人ホームや学校での調査では、木がたくさん使われている施設の方がインフルエンザやけがなどの発生率が低いという報告もあります。また、十月の林野庁のプレスリリースでは、森林の力で人間の抗がん能力を高めるナチュラルキラー細胞が活性することも報告されています。こうしたことから、私たちの身近なところが木に囲まれるということは、林業支援だけでなく健康にも大きなプラスであるといえます。
 都が発表した総合的な花粉症対策の中では、多摩の杉林を百年がかりで伐採していくとしていますが、同時に、伐採した杉をどう使うのかという観点から、木材流通と使用の拡大が打ち出されています。
 私は、この際、都において、学校など公的施設での木材利用の数値目標を定めるなど、木の活用を積極的に推進していく必要があると考えますが、見解を伺います。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 木材の活用の積極的な推進についてでございます。
 現在の森林の荒廃と花粉の大量発生は、国産材の需要の低迷により、杉林が長期にわたり放置されてきたことに原因がございます。花粉の発生を抑制するとともに、本来の森林を取り戻すためには、何よりも杉の本格的な伐採を可能にする木材の需要の確保と拡大が不可欠でございます。
 このため、まず、公共の施設、事業が率先して木材を利用することが必要でありまして、今回設置いたしました花粉症対策本部の木材流通部会におきまして、さまざまな方策を検討してまいります。
 

 
質問5
 森林づくりに関連して、里山の保全について伺います。
 昨年四月に策定された森づくり推進プランでは、森の再生、保全の一環として、里山林の保全施策の推進が掲げられているところであります。十一月二十四日の東京都自然環境保全審議会の答申を受け、今年度中にも、横沢入地区が里山保全地域に指定されることになるようですが、今後、さらに多くの里山が保全地域として指定されることを求めるものであります。
 また、横沢入地区では、今後、間伐や下草刈り、あるいは水路等の整備など、継続的に人の手を入れていく方針となっていますが、私は、里山の景観を復元し、保全していくためには、都民と十分な連携をしていく必要があると考えています。
 最後に、横沢入地区の里山保全について、今後どのように取り組んでいくのか見解を伺い、質問を終わります。
 
答弁5
 ▼環境局長
 横沢入地区の里山保全の取り組みについてのご質問でございます。
 里山保全地域は、森林や谷戸に人の手を入れ、里山の自然を回復し、活用を図っていこうとする地域でございます。
 当地域におきましては、都民、ボランティア団体、企業などと協働して、湿地や水田の復元、森林の間伐作業などの保全作業を実施していくほか、小中学生の環境学習や都民の農林業体験の場として利活用を図ってまいります。
 また、地元住民など関係者で構成される協議会を設けまして、具体的な保全方法の検討を行い、多くの都民と連携しながら、横沢入地区の里山保全に努めてまいります。
 
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