平成17年第4回定例会 代表質問

耐震強度偽装の早期再発防止を
多摩地域に産業支援拠点整備を

新藤 義彦(自民党)
■行財政制度
   
 平成十七年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自民党を代表して質問いたします。
 質問に入る前に、先月十五日に挙式された清子内親王殿下と黒田慶樹さんのご成婚を心よりお喜び申し上げます。一都民として、今後の心安らぐお暮らしを願うものであります。
 その同じ十五日は、自由民主党五十周年の記念すべき日でもありました。我が党は、過去幾多の変遷を経て五十年の節目を迎えたわけでございますが、一貫して国民の視点から、空理空論ではなく現実的な政治選択をしてきました。
 これから我が国は、初めて人口減少社会に突入していきます。今こそ、将来世代を見据えて、明治維新、戦後の改革に続き、この国の新たな形をつくっていく時代です。
 過日の記者会見で、知事は、自民党東京都連は役に立たないと申されましたが、石原伸晃氏がその都連会長に就任されました。今後、内田幹事長と相携えて、我が都議会自由民主党は国政に都政の息吹を吹き込んでまいります。
 国会議員には、都政の抱える課題解決に力を十分発揮してもらい、理不尽な国政に対してノーといえる強力な体制をつくってまいります。
 国は、三位一体改革を旗印に、地方への権限移譲を進める姿勢を示しています。しかし、その実態は、約八百兆の公的債務残高を抱えた国の財源再建にすぎません。血のにじむような東京の努力を範とすべきであります。
 都としても、座して待つのではなく、東京から地方自治のありようを発信し、徹底的に抵抗する覚悟が必要です。
 都においても重要課題が山積しています。着実に財政再建を進める一方、都民生活や経済のボトルネックになっている環状道路等の整備をスピードアップし、都市再生を促進する必要があります。
 一方では、都民の生命と暮らしを守るため、都が独自に築いてきた福祉施策等の維持発展にも意を用いるべきであります。
 また、防災、防犯、中小企業の振興、環境対策、教育改革など、積極果敢に取り組んでいく必要があります。
 我が都議会自由民主党は、石原知事としっかり意思疎通を図り、責任政党として、これらの課題解決に誠心誠意取り組んでいくことをお約束して、質問に入ります。
 

 
質問1
 最初に、行財政改革の新たな指針について伺います。
 今、我が国は、社会経済構造の大きな転換期にあり、歴史的な改革を断行すべきときを迎えています。他国にも例を見ない急速な少子高齢化が進み、初めて人口減少社会を迎える中で、国と地方の債務は増加の一途をたどっています。今後も、我が国の経済や社会の活力を維持するためには、単なる行政の効率化だけでなく、行政や国のあり方まで踏み込んだ改革が喫緊の課題であります。
 小さな政府と地方分権の確立を目指し、官から民への流れを促進し、公務員制度改革などを強力に推進していくためには、我が国を牽引する大都市東京の存在を踏まえた議論が不可欠であります。
 国においては、国と地方のあり方を見直す議論がなされている今こそ、都は、国に先んじて国を動かす改革を具体的に発信していく必要があります。
 昨年九月に、我が党が中心となった行財政改革基本問題特別委員会は、大都市行政や首都圏全体を見据えた広域行政のあり方などについて報告するとともに、執行機関に対して、行財政全般にわたる新たな改革の大綱の策定を求めました。
 都はこれを受けて、さきの定例会で行革大綱の指針を策定することを知事が表明し、去る十一月二十九日に「行財政改革の新たな指針」を公表しました。
 指針では、東京発の自治論を展開するとともに、行財政システムの改革においても、官から民への流れを確かなものとする方向性がより鮮明となるなど、我が党のかねてからの主張と軌を一にする内容となっております。今回の指針の基本的な考え方と、抜本的な行財政改革の推進に向けた決意について、知事に伺います。
 二十一世紀にふさわしい新しい行政システムの構築には、この指針に示された改革の方向性を踏まえ、より具体的な行動を都庁全体が速やかに行っていく必要があります。今後、自治制度や行財政システムの改革などをどのように進めていくのか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 「行財政改革の新たな指針」についてでありますが、かつて田中角栄総理が提唱した日本列島改造論が大きな引き金になってもたらされました国土の均衡のある発展という全国一律の画一的な価値観は、大都市の活力が国の命運を左右する都市の時代にあって、既に矛盾しておりまして、意味はなくなったと思います。国家全体の利益という視点に立てば、都市の自治や大都市の経営という観点から、国や地方のあり方を考えていく必要があります。
 今後の自治制度改革に当たっては、国の発展を牽引する大都市の役割を明確に位置づけまして、大都市がその潜在力を十分に発揮できる仕組みをつくっていかなければならないと思います。
 また、東京から分権改革を進めていくためにも、都みずからのさらなる行政改革が不可欠であります。行政は公の担い手の一つにすぎないという原点に立ち返りまして、新たな経営改革手法を積極的に導入しながら、スリムで仕事のできる効率的な都庁を実現していきたいと思っております。
 今回の指針を起点として東京発自治論を展開するとともに、公を多様な主体が担う仕組みを提起して、二十一世紀にふさわしい行政システムを構築していきたいと思っております。
 
 ▼知事本局長
 行財政改革の新たな指針を踏まえた改革の進め方についてお答えいたします。
 今回の指針は、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告を踏まえ、自治制度から行財政システム全般にわたる改革の方向性を明らかにしたものであります。今後、この指針に基づき、改革の内容を具体化し、早期に実行していく必要があります。
 このため、自治制度については、東京自治制度懇談会で、平成十八年中を目途に、道州制を含む広域的な自治体や東京における大都市制度のあり方などの検討を進め、国の動向などに適切に対応しながら、東京発自治論を展開してまいります。
 また、行財政システムにつきましては、来年七月を目途に、今後三カ年にわたる改革全般の具体的な内容を明らかにした行財政改革実行プログラムを策定し、都庁全体で迅速に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 次に、都財政について伺います。
 都財政は、財政再建に向けたこれまでの懸命な取り組みに加え、景気回復を受けた都税収入の増加もあり、再生に向けた確かな道のりをたどりつつあります。こうした機運を逃すことなく、隠れ借金の解消や基金の残高不足解消など、都財政が抱える負の遺産を早急に精算する一方、オリンピックへの基金積み立てなど将来需要に対応することも肝要です。
 これから迎える少子高齢、人口減少社会に柔軟に対応し、新たな施策の積極的な展開は都民共通の願いであり、安定した財政基盤の確立が何よりも重要です。
 しかし、現在進行中の三位一体改革は、地方の猛烈な反対により、生活保護費への都道府県負担の導入は撤回されたものの、地方には全く裁量の余地のない児童手当が新たに標的とされるなど、地方に負担をつけ回しするものとなっています。
 法人事業税の分割基準は、十七年度の税制改正で見直され、十八年度以降の都税収入への影響額は六百億円を上回ることは必至です。加えて、法人住民税の分割基準まで見直されれば、その影響額は七百億円に上ると推計されます。
 こうした国の動きは、都や特別区の貴重な財源である法人住民税を財源調整の手段とするもので、断じて認めるわけにはいきません。
 また、地方特例交付金は、十一年度の恒久的な減税に伴う地方税の減収額を補てんするものですが、個人住民税の定率減税廃止の議論が進む中、交付金制度そのものを廃止しようとする動きが懸念されています。
 法人関係税の減税は継続しながら、その補てん措置である交付金を一方的に廃止されれば、千四百億円もの収入減が見込まれており、まさに理不尽というしかありません。
 さらに、国では、道路特定財源を一般財源化しようとする動きもあります。
 そもそも道路特定財源は、自動車の利用者が負担し、その財源を道路整備に充てる受益者負担の制度です。首都圏の道路整備は、交通渋滞の解消による経済効果はもとより、環境改善効果や防災性の向上といった大都市特有の課題解決に向け、ますます重要となっております。
 知事も述べているように、道路特定財源は道路関係の施策に重点的に投資されるべきです。道路整備の重要性を一貫して主張してきた我が党としても、首都圏が抱える切迫した道路需要を考慮することなく一般財源化を進めることは、決して許すことができません。
 東京富裕論といった誤った認識に基づくこれらの措置は、数千億円規模で都の貴重な財源を奪うものであり、到底容認できません。都財政に大きな影響を与える一連の国の動きに対してどのように対処していくのか、知事の所見を伺います。
 真の地方分権を目指し、地方税財政制度の抜本的見直しを行うという、あるべき姿から逸脱したこうした動きに対しては、毅然と反論していくことが必要です。我が党も反対の姿勢を明確にし、都議会はもとより衆参の国会議員も含め、責任政党として行動していく覚悟であります。
 
答弁2
 ▼知事
 税財政をめぐる国の動きへの対応についてでありますが、国では、東京ひとり勝ち論という極めて誤った見解が展開されております。都から財政を吸い上げようとする身勝手な動きが依然として絶えません。例えば、大都市から税源を奪い取るために、このIT時代に、ITというものの普遍によって本社の業務が極めて軽減されたという、非常に文明工学的にも常軌を逸した理由を持ち出しまして、法人事業税の分割基準をまた見直して、繰り返し、一方的に決めてしまいましたが、さらに、法人住民税の分割基準の見直しまで浮上させている現況であります。
 これらは、首都東京の巨額な財政需要、また大都市の特性を顧みない暴論であると思います。いかにも場当たりな、目先だけを考えたやり口でありまして、東京が活力を失えば、我が国全体の活力も低下するという悪循環に陥ることは、火を見るより明らかであります。ようやく上昇軌道に乗った我が国の景気にも悪影響を与えかねない危険があるにもかかわらず、国はそうした認識が全く欠落していると思わざるを得ません。
 道路特定財源についても、整備効果の大きさを考えれば、首都圏に重点的に投資すべきでありまして、国は、その必要性、重要性をほとんど理解をしていないと考えざるを得ません。
 いよいよ来年度予算に向けた取り組みが正念場になりますが、国の不合理な動きに対しては、都議会の皆様、また東京都出身の与党国会議員などと力を合わせながら、徹底抗戦の構えで臨んでいくつもりでございます。
 

 
質問3
 次に、都区制度改革について伺います。
 都区制度は、東京の自治システムとして機能してきましたが、行財政改革基本問題特別委員会の報告でも述べたように、今日の社会経済情勢の変化を踏まえ、首都東京の大都市経営にふさわしい自治制度が求められています。
 そのためには、東京における大都市行政のあり方、広域的な課題への対応などを根本から議論し、都区の役割分担などを改めて見直すことが必要であります。
 先般、特別区制度調査会が報告書を発表し、都も「行財政改革の新たな指針」を公表しました。双方とも現行の都区制度を抜本的に見直すべきとしております。今後、都と特別区は、ともに次の改革を視点に置いて、さらに活発な議論を行うことを期待しますが、将来に向けた都区制度の見直しについて、知事の所見を伺います。
 次に、五項目の課題についての都区協議ですが、議論の入り口となる都区の役割分担と財源配分の問題、いわゆる大都市事務の問題については、現時点でも都区の意見は平行線で、解決の糸口は見出せませんでした。
 これまでの議論では、政令指定都市が行う事務をどう扱うのかが最大の争点となっていますが、都区の役割分担を議論するためには、双方が東京をどうするのかという大きな観点に立った議論が必要です。我が党としても、特別区の区域が大阪、横浜などの大都市とも比較にならないほどさまざまな機能が集積し、膨大で複雑な行政需要があると理解しておりますが、これまでのように事務の範囲の議論に終始せず、より大きな観点での議論が必要であると考えます。
 大都市事務の問題は、まず双方が歩み寄り、次の制度改革を視野に置いた議論の中で整理してもよいと考えますが、都はどのように対応しようとしているのか、お伺いします。
 もちろん都区の役割分担と財源配分という課題は、都区制度の根幹にかかわる重要な問題でありますが、十分に議論を行った上でも結論が出ませんでした。
 一方、先月の政府税調では、今後の税制のあり方で、所得税を個人住民税に移行する新しい税制のあり方が議論されたとのことであり、都道府県と基礎的自治体との税配分については今後の議論にゆだねられております。
 したがって、この問題については、政府税調の議論も見定めつつ、今後の議論の中で整理することを都区で確認し、これを出発点として、十八年度財調協議において具体的な協議を進めていくべきです。
 都も区も予算編成作業が大詰めを迎えており、今後は、清掃関連経費、小中学校改築経費、都市計画交付金についての財調協議を急ぎ、十八年度予算に間に合うよう結論を得るべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼知事
 都区制度改革についてでありますけれども、国全体でも、都道府県の今のあり方について、道州制という問題が積極的に提起されておりますが、この現在の自治制度は、すべて時代にそぐわなくなっておりまして、東京を初めとする大都市の役割を明確に位置づけた新たな制度を、都区制度についても構築する必要があると思っております。
 中でも、東京は日本の首都でありまして、頭脳部、心臓部でもありますから、都区制度についても、この集積のメリットを最大限に生かして、東京の発展を支えるシステムとして改革すべきであると思います。
 その際、特別区の区域を総合的、一体的にとらえた大都市経営の視点が不可欠であると思います。
 都が今後とも大都市経営の主体としての役割を果たすのか、区が都にかわっていかなる役割を担うのか、徹底的に検証しまして、議論を積み重ね、行政区分も含め、現行制度の枠にとらわれない抜本的な見直しを行っていきたいと思っております。
 
 ▼総務局長
 いわゆる五項目の課題のうち、大都市事務の議論についてでございます。これまでの協議におきまして、都区で真摯な議論を重ねてまいりましたが、大都市事務のとらえ方につきましては、見解が大きく異なっております。都といたしましては、東京が将来どうあるべきかという観点に立ちまして、都と区がどのような事務を担っていくか、十分に議論をしていく必要があると考えております。
 さきに発表されました特別区制度調査会の報告でも、また、今回都が策定いたしました行財政改革の新たな指針におきましても、現行の都区制度は抜本的な見直しが必要であるという点で一致をしておりまして、将来に向けたより大きな議論が必要となっております。
 したがいまして、ご指摘のように、大都市事務の問題につきましても、次の制度改革を見据えて、より大きな視野に立って特別区と議論をしてまいります。
 次に、五項目のうち具体的な課題の協議についてでございます。ご指摘の小中学校改築経費など、具体的な課題は特別区における現実の財政需要にかかわるものでございまして、速やかな協議が必要であると考えております。
 十八年度の都区財政調整に関する協議は今月二日から始まっており、これまでの検討結果を踏まえながら、小中学校改築経費、清掃関連経費などの具体的な算定内容や、特別区都市計画交付金の取り扱いにつきまして、特別区との協議を進め、早期の解決を図ってまいります。
 

 
質問4
 次に、指定管理者制度について伺います。
 地方自治法の改正により、公の施設に指定管理者制度が導入されます。都は、平成十八年四月から、これまで監理団体などに管理を委託していた二百十の施設に制度を導入するため、本定例会に、管理者の指定の議決に係る議案が七十一件提案されました。
 指定管理者の候補者の選定を通じて、民間の力も活用しつつ都民サービスの向上と経費の削減を実現するという制度の趣旨が達成できたのか、また、結果をどのように評価しているのか、伺います。
 
答弁4
 ▼総務局長
 指定管理者制度についてでございます。都が有する公の施設につきまして、個々の施設の目的や性格を踏まえ、百四十八施設を公募といたしましたが、その結果、民間事業者が参入した施設は三割を超える四十六施設となりました。
 事業者からの提案を、外部委員を含む選定委員会におきまして厳正に審査した結果、二十四時間有人管理などのすぐれたサービス向上策を提案した事業者が選定されるとともに、公募した施設の平均で、管理経費が約一割縮減されるなど、具体的な成果が得られました。
 また、競争によりまして、監理団体は危機意識を強め、より質の高い提案が示されるなど、総体として都民サービスの向上が図られており、制度導入段階の目的はおおむね達成できたものと評価をしております。
 

 
質問5
 次に、人事給与制度について伺います。
 公務員の総人件費削減は、小泉内閣が掲げる重要課題の一つであります。これまで都は、民間の厳しい情勢や都財政の状況を踏まえ、当時、全国で最も厳しい給与削減を実施するなど、人事給与制度については常に先駆的な取り組みを進めてきました。今回の見直しでは、労使交渉が難航し、組合側も苦渋の決断であったと聞いております。
 知事は、これまで、都政の先頭に立ってさまざまな課題の解決に努めてこられましたが、知事を支える職員のやる気と意欲を高める人事給与制度を構築することも重要であります。今回の人事給与制度改革は抜本的な見直しといわれていますが、その基本的な考え方について、知事の所見を伺います。
 今回の見直しが、職員の士気を高め、都庁の組織力を強化することになることを期待する一方、公務員給与への厳しい視線に対して、都民の理解が得られるような努力も重要です。その具体的な取り組み内容と人件費削減効果について伺います。
 
答弁5
 ▼知事
 都職員の人事給与制度についてでありますが、今後、団塊の世代の多量退職などによりまして、マンパワーの大幅な減少が見込まれる中、限られた人材の力を最大限に生かしていく必要がございます。
 今回の取り組みは、国や他団体に先駆けまして、これまでの一律的、年功的な給与構造を見直す大きな改革でありまして、仕事ぶりに応じためり張りのある処遇を実現することによって、職員一人一人の力を引き出して、都庁の組織力を強化するものであると思っております。
 これを行いますと、現場での上司の責任というのは極めて重大になってくると思いますが、ともかく、これを契機にさらなる改革に取り組みまして、少数精鋭で仕事のできる執行体制を確立していきたいと思っております。
 
 ▼総務局長
 人事制度改革の具体的内容と効果についてでございます。
 今回の改正は、人事給与制度全般を、職責、能力、業績を重視した方向へ見直すものでございます。
 具体的には、給料表について、年功的に上昇する給与水準の抑制を図るとともに、職員の仕事ぶりを最も身近なところで把握をしている所属課長の意向がよりきめ細かく処遇に反映される新たな昇給制度を導入いたします。また、特別給につきましても、職責や勤務実績をより徹底する観点から見直しを行いました。
 人事委員会の勧告に基づく今回の給与改定の結果、教員や警察、消防を含む都の全職員の人件費は、平年度ベースで百二十五億円の削減となる見込みでございます。
 
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■産業廃棄物対策
 質問1
 産業廃棄物の適正処理やリサイクル推進は、都の環境行政にとって大きな課題であります。これまで、都内で発生する産業廃棄物の多くが他県に持ち出されていましたが、先般発表した今後の産業廃棄物対策の方針では、飛散アスベストの溶融技術が未熟なため、セメントで固めて都の処分場で受け入れる方針を定め、全国の産業廃棄物問題を先導的に解決する姿勢が打ち出されました。
 また、従来から我が党は、有害なPCB廃棄物の長期保管や紛失等による環境汚染を指摘し、適正処理施設の整備を主張してきました。先月、PCB廃棄物無害化処理施設が稼働しました。二十世紀の負の遺産を解消することが期待されています。
 こうした有害廃棄物対策のほか、建設廃棄物などの不法投棄対策や廃プラスチックなどのリサイクル推進の三つの柱が打ち出されていますが、これらの産業廃棄物対策の推進に関する知事の見解を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 今後の産業廃棄物対策の推進についてでありますが、東京の持続可能な発展には、産業活動から生じる廃棄物の適正処理や、リサイクルを推進するための社会システムの確立が不可欠であります。
 東京の産業廃棄物の処理は、多くを他県に依存しておりまして、有害廃棄物の処理や不法投棄の問題は、長い間の懸案として残されております。このために、都は、PCBなどの有害廃棄物の都内処理を率先して進めることや、廃プラスチックのリサイクルの推進など、産業廃棄物対策について総合的に取り組んでいくことといたしました。
 特に、飛散性のアスベストについては、今年度じゅうに都の処分場に受け入れを開始いたします。
 今後とも、不法投棄の撲滅など産業廃棄物問題の解決に向け、八都県市と連携しながら、国に先駆けた果断な取り組みを東京から全国に発信していきたいと思っております。
 

 
質問2
 全国各地で建設廃棄物の不法投棄や不適正保管が後を絶ちませんが、都は、これらを抜本的に防止するため、建設廃棄物を総合的に管理する新しい仕組みの構築を首都圏サミットで提唱しました。この実現に向け今後どのように取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 建設廃棄物を総合的に管理する新たな仕組みの実現に向けた取り組みについてでございます。
 先日、八都県市首脳会議において都が提唱いたしました不法投棄等を根本的に防止する新たな取り組みづくりについては、ほかの県市からも多くの賛同がありました。
 今後、建設廃棄物を解体工事から処分に至るまで総合的に管理する仕組みについて、都が独自に実証実験を行うとともに、八都県市で検討を進め、法改正など共同で国に提案してまいります。
 

 
質問3
 廃プラスチックは、もともとエネルギーの塊であり、我が国の産業にとって大変貴重な資源でありますが、多くが利用されず埋め立て処分されてきました。これを有効利用することにより、化石燃料の消費量と廃棄物の処分量を同時に削減することが可能となります。この廃プラスチックのリサイクルにどのように取り組んでいるのか、伺います。
 
答弁3
 ▼環境局長
 産業廃棄物の廃プラスチックのリサイクルについてでございます。
 埋立処分量の削減や化石燃料の節減のためには、廃プラスチックのリサイクルを進めることが重要でございます。都内の事業所から排出される廃プラスチックは、分別されずに、少量ずつ排出されていることなどから、リサイクルすることが困難になっております。
 このため、都は、産業界と連携しながら廃プラスチックの効率的な分別回収システムを構築し、産業用資源としての有効利用を促進するための仕組みづくりを進めているところでございます。これらの取り組みによりまして、廃プラスチックの埋立処分量ゼロを目指してまいります。
 
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■スギ花粉症
 
質問1
 首都圏では、約四人に一人がスギ花粉症患者となっております。社会的、経済的な影響は看過できない状況にあります。杉林は、戦後間もなく、大規模な伐採により荒廃した林地の復旧と将来の木材供給のため、国の政策として、自然林を人工林へと転換し、拡大造林されたものであり、今では多摩の森は杉林に覆われています。
 一方、昭和四十年代から木材輸入自由化などにより国産材の価格が下落し、今では伐採や搬出する経費すら賄えない状況になっています。その結果、杉林が長期にわたって放置され、花粉を大量に発生する森へと、さま変わりしてしまいました。
 知事は、今回、総合的かつ抜本的な花粉症対策を講じていくと表明されました。実施に当たっては、従来の間伐に加え、杉を主伐する抜本的な対応が必要であり、主伐後の木材の活用を視野に入れた林業再生とともに、人工林と自然林の調和した色彩豊かな森に回復する取り組みが必要です。今後の花粉発生源対策の取り組みについて、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 今後の花粉発生源対策の取り組みについてでありますけれども、首都圏では、四人に一人が花粉症に悩んでいる現況であります。
 かつての日本の森林は、杉や広葉樹が調和した美しい景観を呈しておりました。ちなみに、日本の森林率は六四%という高率でありまして、世界の平均が三〇%に比べますと、いかにも日本は森の国であります。しかし、戦後の国の拡大造林政策の失敗と、その後、長期にわたり森林が放置されたことによりまして、花粉症問題が深刻化してきました。
 古来、日本人は、豊かな木の文化をはぐくみ、林業を営む中で、木材の活用と森林の整備をあわせて行ってまいりました。しかし、今日、我が国は、世界有数の森林国でありながら、安易に木材を海外に求め、木の文化を忘れたばかりか、森林そのものへの関心も薄らいでしまった現況であります。今こそ木の文化に思いをいたして、林業の再生による木材の活用と森林整備の調和を取り戻すべく、花粉発生源対策に臨むべきときだと思っております。
 都県境を越えて飛散する花粉の対策について、過日、八都県市や関東知事会とともに、国に対して責任のある対応を要請する一方、都は、国や他県市に先駆け、根本的な花粉発生源対策に踏み出すことといたしました。
 

 
質問2
 また、都は、国に先駆けて花粉症対策本部を設置し、総合的取り組みを開始するとしましたが、同本部の具体的な取り組みについて伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 花粉症対策本部の具体的な取り組みについてでございますが、花粉症対策に当たりましては、長期にわたる抜本的な花粉発生源対策や保健医療対策等、幅広い取り組みが必要となります。
 そこで、本年十一月に副知事を座長とし、関連十四局から成る東京都花粉症対策本部を設置し、全庁を挙げた取り組みを開始したところでございます。
 対策本部では、関係局から構成される森林整備、多摩産材の流通、森林整備のための試験研究調査、都民からの支援を検討する都民協働等の部会を設置し、具体的な検討を行うとともに、得られた成果につきましては、速やかに可能なところから反映させてまいります。
 
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■危機管理への対応
 
質問1
 アジアで限定的に発生していた鳥から鳥へ感染する鳥インフルエンザは、中東からヨーロッパ等へ急速に広がりつつあります。二〇〇三年以来、鳥から人への感染による死者は既に六十人を超え、WHOでは、このウイルスが変異して人から人へ感染するようになれば、大流行するとの警告を発しています。
 このため米国では、十一月、新型インフルエンザの世界的流行に備えて七十一億ドルの国家戦略を立て、EUでも、感染拡大を防ぐため、アジアの途上国に三千万ユーロの資金を拠出すると発表しました。我が国においても十一月に行動計画を発表したところです。新型インフルエンザがいつ出現してもおかしくないといわれる状況において、都は新型インフルエンザにどう取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 新型インフルエンザ対策についてでございます。人口の集中する東京の特性を踏まえますと、感染が拡大してからの対応では遅く、発生や流行の前に十分な備えをしておくことが重要であると考えております。
 このため、都は、昨年末に東京都新興感染症対策会議を設置し、流行予測、情報提供、大規模発生時の対応等の検討を進め、本年十月二十日に新型インフルエンザ対策の取りまとめを行いました。
 今月中には都の行動計画を策定し、全庁的な取り組みを強めますとともに、今後、国及び医師会等関係機関と連携し、予防策の周知、監視体制、医療体制の整備、治療薬の確保を図ってまいります。また、流行期におきましては、社会活動及び事業活動の自粛要請などに努めてまいります。
 

 
質問2
 また、新型インフルエンザが発生した場合、ワクチンが完成するまでの間、有効な治療薬として抗インフルエンザウイルス薬タミフルが注目されています。先般公表された国の行動計画では、タミフルの備蓄については、行政が二千百万人分を備蓄するとし、その半分を都道府県が負担、備蓄することとなっています。
 ワクチンの開発や治療薬の備蓄は、国家レベルの危機管理として国が責任を持って主体的に行うべきですが、都はタミフルの備蓄についてどのように考え、また今後どのように備蓄を進めていくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 抗インフルエンザウイルス薬の備蓄についてでございますが、お話のタミフルは、インフルエンザの治療薬として広く使われておりまして、新型インフルエンザ発生時にも、その効果が期待されているものでございます。
 新型インフルエンザ対策に必要なタミフルの確保は、本来、国の責任において取り組むべきものでございますが、国際的な需給逼迫の中、現時点では備蓄に向けた新たな調達は困難であると聞いております。
 このたび、国が、来年度からの輸入備蓄の見通しを明らかにしたことから、都は確実な調達を国に求めるとともに、必要な備蓄を進めてまいります。
 なお、この間、万が一の新型インフルエンザの発生に備えては、都医師会や都薬剤師会とも連携いたしまして、この冬のインフルエンザ治療用のタミフルを活用するなど、適切な対応を図っていくこととしております。
 

 
質問3
 次に、防火安全対策について伺います。
 新宿歌舞伎町の雑居ビル火災は記憶に新しいところですが、東京の都市部では、高層建物の中にさまざまな用途の事務所が複合的に入居し、万が一の場合の避難、初期消火等が困難なところが多いと聞いています。都民だれもが安心して建物を利用できるようにするためには、事業者とともに、行政からも建物の防火安全に関する情報を提供する仕組みをつくることが非常に重要であると考えますが、消防総監の見解を伺います。
 
答弁3
 ▼消防総監
 建物の防火安全対策についてのお尋ねでございますが、首都東京は、建物の高層、深層、大規模化による避難の困難性や雇用形態の多様化による防火管理体制の低下など、火災危険要因が増大しております。
 さらに、火災事例を検証いたしますと、法令基準を形式的に満たしているだけで、実質的な防火安全性を有していないことにより、被害の拡大を招いた事例も見受けられます。
 また、多くのたっとい命が失われた火災の発生などにより、防火安全について都民の関心が高まり、アンケートによりますと、利用者からは、建物が防火上安全であるかどうか知らせてほしい、事業者からは、自分の建物が防火上優良な建物であることを表示できるようにしてほしいとの意見が多数を占めております。
 これらのことから、法令に適合しているほか、防火安全上一定の基準を満たしたものにつきましては、当庁が優良な建物と認定し、シンボルマークの掲出を承認するなど、都民に情報提供する新たな制度が必要であると考えております。現在、この制度の創設に向けて、火災予防条例の改正を視野に入れました具体的な検討を行っております。
 
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■住宅政策
 
質問1
 次に、姉歯建築設計事務所による構造計算書偽造問題について伺います。
 今回の問題は、一級建築士が構造計算書を偽造するという、職業倫理のみじんも感じられない許されざる行為が招いたものです。
 建築物は、そこに住まう人間の生活の根幹であり、安心して暮らしていくためのいわばとりででもあります。その安全性が担保されないという事態は、当該マンションの住民だけではなく、周辺住民をも巻き込んだ重大な社会問題を引き起こします。我が党は、この件に関して、当面の緊急対策とあわせて問題の全容解明と再発防止を図り、都民の不安を一日も早く解消するため全力を挙げて取り組む決意であります。
 そこで、社会不安ともなっている今回の問題に関し、知事はどのように認識し、またどのように対応していくのか、所見を伺います。
 また、昨日、国は、住民の安全確保を図り、円滑な生活再建に資するため、公的支援策を発表しました。緊急な対応が求められる居住者の移転費用の助成や転居先の賃貸住宅の家賃補助について、都はどのように対応するのか、伺います。
 今回の問題は、一級建築士としてのモラルの問題に端を発したものでありますが、それだけにとどまらず、指定確認検査機関、施工者、売り主、そして行政に至るまで、多くの問題点が浮き彫りになってまいりました。すべての関係者、関係機関が社会的に深刻な影響を与えている現状を深く受けとめなければなりません。
 国民、都民の信頼を回復するために何よりも必要なことは、実効性のある再発防止策を早急に打ち立てることであります。検査、確認業務など建築確認制度全般にわたり、再発防止策をできるだけ早期に講じるべきと思いますが、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 構造計算書偽造の問題についてでありますけれども、この問題の背景には、国が指定した民間確認検査機関の審査に自治体が関与できない仕組みとなっていることでありまして、国による確認検査機関への指導監督が不十分であったこと、こうした中で起きた事件で、国の責任は極めて重大であります。
 ちなみに、この間も記者会見でお見せしましたが、こういう分厚い書類を、要するに要約して、この裏表一枚紙で持ってきて、東京都なりいろんな自治体が審査しなくちゃいけない。これは基本的に無理なことだと思いますが、こうした中で起きた事件でありまして、これは基本的に国の責任は非常に重大だと思います。
 偽造の当事者や瑕疵担保責任を有する売り主は当然のこと、元請の設計事務所や国の指定確認検査機関など、関係者の責任追及も必要であります。
 居住者はもとより、社会全体に大きな不安を与えたことについて、都としても強い怒りを覚えるわけであります。
 ただ、今般、この問題が厄介なことは、問題のてんびんに人の命がかかっているわけでありまして、これはやはりすべてに優先して配慮されるべき問題であります。ゆえにも、都は、国が、いわゆる地域住宅交付金制度を踏まえて、結果として国が四五%の負担、地方自治体が五五%の負担という、このスキームの中で事を解決していこうという基本姿勢に、本当は反対しなくちゃいけないと思います、これは。
 例えば、この根底には、平成十七年に、最高裁の判例で、民間の指定確認検査機関による建築確認事務は、区域を所管する特定行政府である自治体の事務である、これが判例でありますが、ここに、事務かもしれませんけれども、こんな紙一枚で、事が、事務が完璧に果たせるわけがないんです。ですから、これは、事務でありましても、自治体の責任であるとはいっていないわけですね。
 この問題について、基本的に私は国と対決するつもりでした。しかし、片っ方に人間の生命のてんびんがかかっている。過去に、日本の経済の命運を決するかもしれない金融機関の破綻に対処するために、あれは一九九八年でしたか、私の息子も含めて、塩崎君とか根本君とか、民主党の枝野君とか、若い国会議員が、これは大変なことになるというので、公金、いわゆる真水の、要するに投与というものを提唱して、これは大蔵省が反対して、結局つぶされたんです。それから四年たって、これはやっぱりこのまま済まぬぞということで、かなり時間がかかって実現して効果を上げましたが、本当はもっと早くやっていればよかった。
 この問題も、本当は、基本的にそうした時点で討論さるべきことですけれども、銀行の命運よりも人間の命の方が大事でありますから、これは国の提唱を受けざるを得ないということで、都も不本意ながらある負担を背負うわけでありますけれども、本来、やはり基本的に国の責任、それが非常にずさんだったということを、私たちはここでもう一度繰り返して国に、要するに主張もしております。
 都としては、何よりも都民の安全を確保する必要から、緊急措置として、都民住宅の活用を決定、また固定資産税及び都市計画税の減免も決定いたしました。
 国に対して、支援の統一的な見解を示すよう強く求めてきましたが、昨日、国は、公的な支援方策を発表いたしました。この内容は、今、実質的に申し上げたとおりであります。
 都としては、都民の安全を緊急に確保する観点から、国の支援策を踏まえながら、区市と連携を図り、居住者の速やかな退去と円滑な生活再建に向け、必要な対策を講じていくつもりであります。
 重要なことは、速やかに社会全体の不安を解消していく、国はその責任において徹底的な制度の検証と見直しを行うべきでありまして、国に早期の改正を求めてまいります。
 
 ▼都市整備局長
 構造計算書偽造問題にかかわるマンション居住者に対する経済的支援措置についてでございます。
 今回の事態は、制度の構造、運用に問題があって生じたものでありまして、都は、国に対し、国みずからの責任を明らかにするとともに、統一的な支援のあり方を示すよう求めてまいりました。
 昨日、国は、住民の安全確保や生活の安定を図るため、転居費用や転居先家賃の助成など、居住者に対する公的支援策を発表いたしました。公的支援を行うに当たりましては、国に設置された構造計算書偽造問題対策連絡協議会において、転居費用や家賃の助成について関係自治体間での統一的な取り扱いを検討することとされており、都といたしましては、その中で国や区市と十分協議し、適切に対応してまいります。
 次に、建築確認制度全般にかかわる再発防止策についてでございますが、今回のような問題が発生したことは、建築物の安全確保を所管する局長としてまことに残念でございます。既に元請設計事務所八社に対し、立入検査を実施したところであり、法に抵触することが明らかになれば、厳正に処分いたします。
 確認制度につきましては、国に対し、都の現場での実務経験を生かした提案を行いながら、制度の検証と見直しを強く求めてまいります。
 都においては、都が指定した確認検査機関に対する定期的な立入検査の実施、構造計算書の審査マニュアルの作成など、区市と連携をとりながら、実効性のある再発防止策を国の制度改正に先んじて実施してまいります。これらの取り組みを推進し、信頼される建築行政の確立を図ってまいります。
 

 
質問2
 次に、現在都内で、戦後形成された住宅ストックが更新期を迎え、少子高齢社会が進展する中、都民の住まいの安心を確保することがより一層重要になっています。
 国では、社会資本整備審議会の答申を受け、公的住宅の新規建設中心から、市場の活用やストックの有効活用を重視し、地域が主体性を発揮できるよう、基本法制の整備に取り組んでいます。
 都は既に、市場重視、ストック重視の政策へと転換していますが、その方向をより確実なものにする東京都住宅政策審議会の中間のまとめが発表されました。そこで、中間のまとめにおける今後の都の住宅政策の基本的な考え方を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 住宅政策審議会の中間のまとめについてでございますが、このまとめでは、住宅は生活の基盤であると同時に、都市を構成する基本的要素であり、居住の魅力の向上は、都市社会に活力と安定をもたらすものであるとしております。
 このような観点から、今後の住宅政策の展開の方向として、第一に、都市整備と一体となって住宅整備を推進すること、第二に、透明で競争性の高い住宅市場を構築すること、第三に、公的住宅はもとより、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネットを構築すること、以上の三つの基本的方向が示されております。
 

 
質問3
 本年八月に発行された平成十七年版国民生活白書では、大都市における住宅事情と少子化の相関関係が指摘されております。少子化の要因については、さまざまな議論はありますが、住宅事情もその一つであります。
 少子化対策の観点から、安心して子どもを産み育てられる住まいの確保に積極的に取り組むべきですが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 住宅政策に関する少子化対策についてでございますが、子どもを健やかに育てる上で、生活の基盤である住宅が果たす役割は極めて重要であります。都は、これまでも若年ファミリー世帯を対象に、都営住宅への期限つき入居制度を導入するなど、子育て世帯への良質な住宅供給に努めてまいりました。
 今年度は、多子世帯向けを新設し、来年度からは募集戸数を制度改正前の三倍にふやすなど、ファミリー世帯向けの期限つき入居制度の拡充を図ることとしております。
 また、まちづくりにおいても、都有地を活用し、子育て世帯のニーズに対応した民間賃貸住宅の供給等を行う勝どき一丁目地区プロジェクトに取り組んでおります。
 今後とも、こうしたハード、ソフト両面からの取り組みを一層促進するとともに、中古住宅の流通市場の整備等を通じ、都民が安心して子どもを産み、育てられる住まいを確保できるよう、総合的に取り組んでまいります。
 

 
質問4
 住宅は、生活の基盤であり、都市を形づくる基本的な要素ですが、東京ではマンションが広く普及し、都民の居住形態として定着しています。その一方で、都心部や駅の近くなど利便性の高い地域を中心に老朽マンションが増加しております。このまま放置すれば、スラム化し、犯罪、災害の危険性、景観の悪化など、周辺地域までも悪影響を及ぼすものとなります。
 都市の活力の維持向上の観点からも、マンションの長寿命化や建てかえの円滑化が重要な課題であると考えますが、今後の取り組みについて所見を伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 マンションの長寿命化や建てかえの円滑化に向けた今後の取り組みについてでございますが、都は、先月、マンション管理ガイドラインを策定し、一般に販売いたしましたが、用意した千部が二日間で完売となるなど、マンション管理に対する関心は非常に高いものがございます。
 引き続き、情報提供の充実を図るとともに、関係団体との連携を強化することなどにより、マンションの適正な管理を誘導し、長寿命化を促進してまいります。
 一方、都内には建てかえ時期を迎えている老朽マンションも数多く存在いたします。建てかえに関しましては、都の提唱により法整備が進み、実績も上がりつつございますが、老朽マンションの中には、法定容積率を超えているものや、権利者の多い大規模な団地型マンションなど、建てかえに向けた合意形成が難しいものも多くございます。
 このため、こうしたマンションの円滑な建てかえを可能とする方策について幅広く検討し、さらなる法整備を国に求めていくなど、建てかえの円滑化に取り組んでまいります。
 

 
質問5
 次に、民間活用型都民住宅について伺います。
 公的住宅の一つである都民住宅は、バブル期に中堅所得者が賃貸住宅に入居できないという深刻な事態を解消するために導入され、民間との連携による住宅政策として大きな役割を果たしてきました。しかし、地価や家賃が全体的に下落する中で、バブル期当時の高額な建築費を償還している都民住宅は、家賃が高どまりせざるを得ず、その結果として空き家を抱えています。都民住宅のオーナーは、血のにじむ努力で空き家の解消を図っていますが、いずれ経営が行き詰まるのは明白です。
 そこで、これらオーナーの経営状態を立て直すために、都としてどのような方策をとろうとしているのか、所見を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 民間活用型都民住宅の経営改善についてでございますが、都民住宅の空き家発生の要因は、家賃だけでなく、入居者の収入や家族構成などに制限があることも影響しております。
 このため、都は、本年度、所得や同居親族要件などの運用について見直しを行ったところでございます。
 また国は、一定期間入居者を確保できない場合に、自治体の判断で入居者の資格要件を緩和できるよう、制度の弾力化を行ったところでございます。都は、これを柔軟に活用するなど、入居者を確保しやすくするための条件整備に努めるとともに、事業者の経営安定のための方策について引き続き検討してまいります。
 
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■東京の都市再生
 
質問1
 都内では、平成十四年七月に七地域が都市再生緊急整備地域の指定を受け、東京駅周辺や秋葉原駅周辺などでは、地域特性を生かした民間プロジェクトによって国際ビジネス拠点が実現しつつあります。
 一方、緊急整備地域の一つである新宿駅周辺では、北新宿地区の再開発や地下鉄十三号線整備など都市の開発事業が進んでいます。この地域は、一日約三百五十万人が利用する新宿駅を中心に、デパートや飲食店が集積する日本有数の商業地を形成しており、さらなる発展が期待されています。また、歌舞伎町においては、治安回復を契機として、地元区や地権者などによるまちづくりの動きも見られます。
 そこで、新宿駅周辺の再生を含めた地域全体のまちづくりを一層推進すべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 新宿駅周辺のまちづくりについてでございますが、新宿駅周辺は、高層ビルのオフィス街を中心に業務機能の立地が進んでいる西口や、商業、文化、アミューズメント機能が集積している東口など、多様な魅力を備えたにぎわいのあるまちが形成されております。
 しかし、鉄道によってまちが分断されているため、駅を挟んだ東西地域の有機的な連携が阻害されるなどの問題が生じております。また、歌舞伎町や駅南口などのまちづくりが個々に検討されており、新宿の持つポテンシャルが十分に発揮されておりません。
 今後、新宿駅周辺をより一層魅力と活力にあふれた副都心としていくためには、地元区が主体となって地域特性を生かしたまちづくりに取り組むことが重要であり、都は、その取り組み状況を踏まえつつ、必要な支援を行ってまいります。
 

 
質問2
 インフラ整備の面では、新宿駅とその周辺の歩行者ネットワークを充実することが、新宿駅周辺を活力と魅力あるまちへと再生する上で重要な施策であります。特に新宿駅では、東西に分断された西口と東口広場を結ぶ自由通路を整備することが長年の課題となっています。実現すれば、東西の回遊性が確保され、駅周辺全体を再生、活性化させていくことが可能となります。しかし、これまでの関係者の間での協議では、幅員をめぐってJR東日本との調整が難航していると聞いています。
 現在、駅構内にある、十分な幅員を有する通路を活用すれば、建設コストを削減し、幅員二十五メートル程度で東西自由通路ができるのではないでしょうか。早急かつ経済的に東西自由通路を整備するには、この既存の空間をまず有効活用することが重要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 新宿駅の東西自由通路についてでございますが、自由通路は、駅周辺の回遊性を向上し、にぎわいと活力あふれるまちの形成にとって必要な施設であると認識いたしております。
 現在、新宿駅では、国の事業として甲州街道の拡幅工事が行われており、駅構内において工事用通路が築造されております。お話の東西自由通路を早期に整備するためには、ご指摘の供用中の通路と、現在工事用として使われている通路とを有効に活用することが重要でございます。
 都は、東西自由通路の早期実現に向けて、国やJRとの協議、調整や技術的支援を行うなど、区の取り組みに対し、積極的に協力してまいります。
 

 
質問3
 次に、中央環状新宿線について伺います。
 首都圏三環状道路を初めとする高速道路ネットワークの整備は、首都圏の広域連携を実現し、日本経済の中枢である首都圏経済の活性化に大きく寄与するものであります。その一つである中央環状新宿線も、高速道路ネットワークをつなぐ極めて整備効果の大きい事業であり、都民もその一日も早い完成を待望しておりますが、先日、当初予定の平成十八年度末完成が、最大で三年程度おくれるとの報道がありました。そこで、中央環状新宿線の開業時期と都の対応について伺います。
 
答弁3
 ▼建設局長
 首都高速中央環状新宿線の開業時期と都の対応についてでございますが、本路線は首都東京の再生にとって極めて重要な路線でありまして、これまで首都高速道路公団が、板橋区熊野町から目黒区青葉台に至る全長十一キロの区間におきまして、平成十九年三月の開通に向けて事業を進めてまいりました。
 しかしながら、本年十月の公団民営化後、新会社として事業計画を策定する中で、開通のおくれと事業費の増加について首都高速道路株式会社から報告がございました。
 これを受けまして、都では、会社とともに新宿線工程等管理委員会を設置し、現場調査を行うとともに、工程や事業費を精査いたしました。
 この結果、板橋区熊野町から中央道につながる四号線までの七・六キロを平成十九年十二月に先行供用し、残りの東名高速につながる三号線までの区間は二十一年度までに供用することといたしました。また、事業費の増加につきましては、会社の提示額から一割程度縮減するよう調整を進めております。
 今回このような結果になったことは大変残念でありますが、今後は、都と新会社が緊密に連携し、これ以上のおくれや事業費増が生じないよう努めてまいります。
 
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■小笠原への交通アクセス
     
 小笠原村は、本土への交通手段として、片道二十六時間の「おがさわら丸」のみに頼る、極めて不便な状況に置かれています。テクノスーパーライナー、TSLは、所要時間の大幅な短縮を目指して国家プロジェクトとして技術開発された超高速船で、本年秋、小笠原航路に就航する予定でした。
 しかし、昨今の原油価格の急騰などにより、年間二十億円にも上る巨額の運航赤字が見込まれる状況となり、国も都も、運航への支援を断念せざるを得ない事態となりました。大変残念な結果でありますが、唯一の生活航路である小笠原航路の長期的、安定的運航の確保こそ重要であり、都の判断はやむを得ないと考えます。
 

 
質問1
 ただ、都には今後の課題があります。まず、TSL断念の結果、村民等に生じた影響への対応であります。
 TSLによる観光客の増加を見込んで、宿泊施設や飲食店などの受け入れ施設を整備した村民が少なからずいると聞いております。今後の動向によっては、さまざまな問題の発生が予想され、TSL導入にかかわった当事者の一員として、東京都もこうした村民等に対し適切に対応していく必要があると考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 小笠原への交通アクセスについてでございます。小笠原村におきましては、TSL就航による観光客の増加に対応するため、受け入れ態勢の整備、充実に努めてきておりました。TSLが就航できなくなったことによる村民への影響につきましては、宿泊施設等の整備件数や資金の借り入れ状況など、村を通じて実情の把握に努めており、その対応策につきまして、村と連携の上、具体的な検討を始めております。
 また、現在、村では観光客確保に向け、モニターキャンペーンを実施しておりますが、整備された宿泊施設等が有効に活用されるよう、都といたしましても、村及び関係機関と連携しつつ、観光客の増加に向けた振興策に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 中長期的には、TSL断念後の交通アクセスをどう向上させるかであります。
 現在取り組んでいる世界自然遺産への登録は、小笠原諸島の自然の魅力を世界にPRするまたとない機会となりますが、交通アクセスの改善が大きな課題となります。今後、自然環境との調和にも配慮しつつ、村民生活の安定と観光振興を中心とした経済の活性化を図るためには、返還以来の村の悲願である航空路開設を早期に実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 小笠原への交通アクセスについてでありますけれども、小笠原諸島は、本土から非常に離れた離島でありまして、島民の生活の安定と観光振興を図る上で、交通アクセスの改善が大きな課題であります。
 残念ながら、本年就航予定であったTSLについては、原油価格の急騰ということで断念せざるを得ない状況になりました。
 航空路の開設については、自然環境との調和など、解決すべき課題は多うございますけれども、小笠原の振興を図る上で極めて重要だと考えております。最小限の三種空港は必要じゃないか。かつてのように、谷を二つ埋めるようなあんな膨大な計画は、ちょっと現実性は私はなかなかないと思います。ですから、今ある地形を利用しまして、最低限三種空港を、緊急対策のためにも観光のためにも必要だと思っております。
 今後、その実現に向けて所要の調査を行うなど、国と協議しながら検討を進めてまいりたいと思っております。
 
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■多摩地区水道の経営改善
 
質問1
 都では現在、平成十五年度に策定した多摩地区水道経営改善基本計画に基づいて、多摩地区二十五市町への事務委託を順次解消しており、今定例会に四市の事務委託廃止の議案が提案されています。事務委託の解消に当たっては、これまで市町が行ってきた業務を円滑に都に引き継ぐとともに、効率的な業務執行を図ることが重要であります。
 今後も民間委託を推進する必要がありますが、一方では、民間業者の指導監督や、水道供給の安全性、安定性に直接かかわる業務など、競争入札による委託になじまない業務もあるかと考えます。水道局では、こうしたことを考慮して、多摩地区水道の経営に第三セクターを活用していますが、包括外部監査では、第三セクターの活用に当たって、位置づけの明確化や透明性の確保が強く求められました。
 そこで、今後の多摩地区水道の業務について、第三セクターをどのように活用していくのか、あわせて、第三セクターの位置づけの明確化と透明性をどのようにして確保していくのか伺います。
 
答弁1
 ▼水道局長
 多摩地区水道における第三セクターの活用についてのご質問にお答えいたします。
 多摩地区水道の全体的な施設の整備や、広域的な水運用にかかわる計画の策定など、事業運営の根幹をなす業務につきましては水道局が実施してまいります。また、経営の効率性をさらに発揮するため、水道工事、メーター交換業務及び検針業務などの定型業務につきましては、一般の民間事業者への委託等をさらに拡大してまいります。
 これらの定型業務に係る監督指導など、これまで主に市町の職員が担ってまいりました業務や、浄水所、給水所等の監視及び水運用の調整など、事業運営上重要な業務につきましては、広域的かつ一体的な運営を図るとともに、水道事業体としての安全性、安定性を確保していくことが強く求められます。このため、こうした業務につきましては、水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかりと関与できる第三セクターを活用し、実施してまいります。
 また、第三セクターの位置づけの明確化と透明性の確保についてでございますが、第三セクターにつきましては、今後、当局の関与を強化し、一体となった効率的、効果的な事業運営の担い手として明確に位置づけてまいります。
 こうしたことから、経営の効率性を担保するとともに、一層の透明性を確保し、そのあり方について都民からの批判を招くことのないよう、情報公開の推進や外部の専門家による定期的な監査の導入などを行ってまいります。
 今後、これらの措置を講じた上で、事業運営上重要な業務につきまして、第三セクターを活用し、多摩地区水道の安全性、安定性の確保と効率的な運営を実現してまいります。
 
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■産業振興
 
質問1
 都内ものづくり産業の支援について伺います。
 景気は回復基調にあるといわれていますが、東京の中小ものづくり産業は、いまだ業績の回復には至っていません。バブル崩壊後の景気低迷が中小企業の体力を長期にわたり弱めた上、アジア諸国との国際競争の激化や経営者の高齢化などの構造的問題が生じています。
 東京の製造業は、平成二年と平成十五年を比較すると、工場数で六三・四%、従業員数で五八・三%に低下するなど、このままでは、東京の宝である、世界に誇る技術力を持った中小ものづくり産業の一大集積が失われてしまうおそれがあります。悪循環に陥る前に、都内ものづくり産業の衰退に歯どめをかけ、大都市の活力を維持できるよう、強力な支援体制を整備していくべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 ものづくり産業の支援体制の整備についてでございます。
 ご指摘のとおり、東京の製造業は長期減少傾向にございますが、一方で、高い技術力を持った中小企業は数多く存在し、その中には世界に通用する製品を生み出している企業もございます。こうした技術力を承継し、企業活動をさらに促進することにより、ますます激しくなる国際競争に打ち勝っていける中小企業群を育てていくことが重要でございます。
 今後、都は、中小企業に対する技術支援機能を一層高めるとともに、販路開拓支援の充実や、来春開設する産業技術大学院大学との協同による産学公連携の拡大など、支援体制の強化に積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 次に、多摩の産業支援拠点の整備について伺います。
 多摩地域の製造業は、平成十五年の出荷額で二十三区を上回るまでになりました。電子部品や電気機械の製造業など、時代の先端を行く中小企業の集積は、圏央道の整備により加速するものと期待されます。多摩地域の産業の特質をさらに伸ばし、地域の力強い発展につなげていく必要があります。
 都は、産業支援拠点として多摩中小企業振興センターを設置していますが、暫定の施設であり、最新の技術や先端企業のニーズに対応できる設備が十分とはいえません。多摩における本格的な産業支援拠点の早急な整備が、多摩の産業活性化にとって必要と考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 多摩地域の産業支援拠点の整備についてでございます。
 多摩地域には、電子回路の製造装置で世界の五〇%以上のシェアを持つハイテク企業があるなど、製品開発、設計、試作機能を持つ企業が数多く存在しております。このような企業活動においては、高価な機器や一時的使用の機器など、中小企業では保有が困難なものが多数あり、こうした点からも技術支援機関の果たす役割は大きいと認識しております。
 しかし、現在の多摩中小企業振興センターは暫定施設のため、機器設置上の制約や障害があり、最新の技術開発などを行う企業ニーズに十分こたえられていない状況にあります。多摩地域に本格的な産業支援拠点を早期に整備する必要があるわけでありまして、具体化に向けた作業を精力的に行ってまいります。
 

 
質問3
 次に、商店街振興について伺います。
 都内の多くの商店街では、さまざまなコミュニティ活動を展開し、地域の課題解決に積極的な役割を果たすようになっております。商店街の地域貢献活動を都がより強力に後押しすれば、商店街振興のみならず、防犯・防災、高齢者福祉、リサイクルなどの行政施策を一層効果的に推進することができます。
 そこで、商店街の役割や機能についての情報を関係各局が十分に共有して連携体制をつくり、商店街のこうした公共的な取り組みを積極的に集中的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 商店街の振興についてでございますが、近年、商店街は、コミュニティの核として、地域に貢献する有意義な取り組みを数多く実施しております。こうした活動の中で、商店街は、防犯・防災、環境・リサイクル、高齢者福祉など、緊急かつ重要な行政課題を解決していく上でも、地域における行政のパートナーとして積極的な役割を果たすようになっております。
 今後、産業力強化会議などを通じまして、各局の施策と商店街振興施策との緊密な連携協力体制を構築し、都の施策推進に寄与する商店街の取り組みへの支援を強めるなど、新・元気を出せ商店街事業の一層の充実を図っていくことが重要であると考えております。
 

 
 商店街を振興する上で、商工会議所等の果たす役割も大切です。今回の三位一体改革で、商工会議所等が実施する各種事業の国の補助金が廃止されると聞きました。都は、商工会議所等の果たす重要な役割にかんがみ、経営改善普及事業の財源を確保し、小規模事業者への支援を図るよう要望します。
 

 
質問4
 次に、中小企業金融ですが、現在、国では、部分保証の導入や保証料率の弾力化などの信用補完制度の見直しを進めていますが、これは都の制度融資にも大きく影響します。見直しに当たっては、中小企業の振興という視点に軸足を置き、適切な配慮が必要と考えますが、所見を伺います。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 信用補完制度見直しへの対応についてでございます。国において検討されている部分保証の導入は、金融機関に適切な責任分担を求めるものでありますが、貸出姿勢の消極化を招くことも懸念されるところでございます。
 また、保証料率の弾力化により、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われる一方、企業の経営状況によっては、保証料負担が増加する場合も想定されます。このため、制度見直しに当たりましては、経営基盤が脆弱な中小企業に悪影響が生じないよう十分に配慮すべきことを、今後とも国に対し強く求めてまいります。
 都といたしましても、信用保証協会と連携しながら、中小企業の資金調達に支障が生じないよう、積極的な対応に努めてまいります。
 

 
質問5
 次に、中小企業者等への固定資産税の減免措置です。
 景気が回復基調にあるとはいえ、中小企業者は依然として重い税負担感を抱いております。景気等に配慮するとともに、商業地に対する条例減額制度など、都独自の四つの軽減措置を来年度も引き続き継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 
答弁5
 ▼知事
 固定資産税などの軽減措置についてであります。
 都はこれまで、その時々の社会経済状況の変化を踏まえて、商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、景気対策、定住確保などの観点から、負担水準の上限引き下げや小規模非住宅用地に対する減免措置など、都独自の四つの軽減措置を実施してまいりました。
 これらの都独自の四つの軽減措置の平成十八年度の取り扱いについては、国の税制改正の動向、景気の状況などを踏まえつつ、都民の負担感等を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討してまいります。
 

 
質問6
 次に、東京の水辺空間の魅力向上について伺います。
 かつての東京は、西欧の水の都ベネチアに例えられるほど美しい水辺が広がっていました。しかし、現在の川や運河は、水辺を背にして建物が建ち並び、人々の意識から遠ざかって久しい状況です。
 都市における水辺の再生は、世界的潮流になっております。韓国のソウルでは、都心部の河川を覆う高架道路が撤去され、かつての水辺空間がよみがえりました。
 知事は、オリンピックの東京招致を表明されましたが、前回のオリンピックでは、緊急的な整備の必要から、日本橋川などを覆う形で高速道路が建設されました。今回の招致を機に、東京の顔となる水辺景観の回復に向けた期待も高まっています。
 先般、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想の中間のまとめが公表されました。国際観光都市東京の魅力を高める上で重要な取り組みであると考えますが、本構想の実現に向けた知事の所見を伺います。
 
答弁6
 ▼知事
 東京の水辺空間の魅力向上についてでありますが、おっしゃるとおり、東京にはかつて水路が縦横に広がっておりまして、遊びや憩いの場として多くのにぎわいがありましたが、現在は、川を背にして連なるビル群や、舟艇が自由に接岸しにくい護岸など、水辺の持つ魅力が一向に生かされておりません。
 例えば、現代美術館があります、そばの、かつての木場のあたりの運河は非常にうまくできておりますけれども、そこに橋をかけましたら、これは手こぎのボートでも満潮のときには頭を下げなきゃ下を通れないんです。こういう川の実態を無視した、要するにインフラの整備というのは全く意味がないと思いますが、そういった事例を踏まえまして――前回のオリンピックには、待ったなしということで、江戸の象徴であります日本橋の上に高架道路が通って、どこに日本橋があるかわからないようなことになりましたが、そういうものも反省いたしまして、こうした状況を改善し、都市そのものが、住む人だけではなくて、海外から来られる方々にも魅力を備えるような、川や運河などの水辺と人間をつなぐ取り組みが必要であると痛感しております。
 今後、オリンピック招致も視野に入れながら、水上レストランによる水域の活用や、魅力のある舟運ルートの開発、水辺から眺める景観の向上などによりまして、東京の水辺空間を観光資源として再生していきたいと思っております。
 
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■青少年の健全育成
       
 昨年一年間に、都内で小中学生が被害者となった犯罪が約一万件も発生している一方、本年六月までに検挙された少年が約七千人に上るなど、少年による犯罪も深刻な問題となっています。
 都は、改正された青少年健全育成条例の運用により、繁華街における少年の深夜徘回の防止や、インターネット、携帯電話へのフィルタリングの導入などの施策を進めています。
 

 
質問1
 昨今の青少年を取り巻く問題を解決するためには、改正条例の適切な運用を図るとともに、不断の見直しが必要です。その一つに、有害玩具の問題があります。
 九月に、和歌山県の高速道路で改造エアガンの発砲事件が発生し、また最近、都内においても、通行人への銃撃や都バスの窓ガラス破損事件が発生しております。現在市販されているエアガンには、特段の改造をしなくても、けがをさせる威力を持つものがあると聞いています。都は、現状を把握し、条例に基づき、青少年の健全育成を阻害するおそれのある有害玩具に指定するなどの適切な対応を図るべきと思いますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼青少年・治安対策本部長
 エアガンの現状と指定についてお答えをいたします。
 製造業者の組合では、自主的に年齢別に威力の上限を設定しておりますけれども、販売店での年齢確認は不十分でありまして、十八歳以上向けのエアガンであっても、青少年に販売されている実態がございます。さらに、組合に未加入の業者は、アルミの空き缶を貫通させるほどの高い威力を持つものを製造し、一般に販売しています。
 そこで、こうしたエアガンの危険性について周知を図るとともに、青少年への販売等を禁止するため、青少年健全育成条例の指定玩具とするよう、早急に青少年健全育成審議会に諮問したいと考えております。
 

 
質問2
 子どもの犯罪被害や少年犯罪が増加する背景には、人間関係の希薄化やテレビゲーム、過度の塾通いなど、子どもが地域の人々と接する機会が減少し、地域の教育力が弱まっていることが指摘されています。犯罪の被害や有害な環境から子どもを守るためには、地域社会が一体となった取り組みを徹底すべきであります。それには、行政が、地域社会の中核である商店街、町会、自治会などと連携を深めていくことが重要であります。
 都は、地域団体とどのような連携を図りながら青少年の健全育成に取り組んでいくのか伺います。
 
答弁2
 ▼青少年・治安対策本部長
 青少年の健全育成を図る上での地域団体との連携についてでありますが、さまざまな地域団体と連携をし、一体的に取り組みを進めることは不可欠でありまして、これまでも、地域の商店街や町会、自治会の力添えを得まして、心の東京革命の事業や中学生の職場体験などを推進してきたところであります。
 今後とも、商店街振興組合連合会や町会連合会なども参画し、本年六月に立ち上げました東京子ども応援協議会を推進母体としまして、さまざまな地域団体と連携を強化しながら、子どもたちが地域で健やかに育つよう、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 
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■個人情報保護
 
質問1
 個人情報の保護に関する法律が全面施行されてから八カ月が過ぎました。都民の関心が高まっており、事業者も個人情報保護に関する方針や個人情報の利用目的を公表するなど、個人情報の保護対策が一般的に行われるようになってきました。
 しかし、個人情報保護法や条例が施行されてもなお情報の流出事故が後を絶たない一方で、国勢調査への協力が得られにくくなったり、町会、自治会の名簿や学校の緊急連絡網が作成できないなどの過剰反応による問題も指摘されています。
 そこで、条例施行後に扱ったさまざまな相談や苦情の実態を踏まえて、都民が法律や条例の解釈を誤解したり混乱したりすることのないよう、個人情報保護の適切な取り扱いについて普及、浸透させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 東京都は、本年四月の法施行と同時に、個人情報保護に関する総合相談窓口を生活文化局に設置いたしまして、各局とも連携して今まで対応してきたところでございます。
 今までに寄せられた相談や苦情の事例といたしましては、道を尋ねられて個人宅の場所を教えたら法律違反になるのかとか、知らない会社からのダイレクトメールをやめてほしいなど、さまざまなものがございます。このように、まだ法施行後間がないこともございまして、個人の権利利益の保護と個人情報の適切な利用とのバランスがとれていない状況が一部に見受けられます。
 今後も引き続き実生活に即した事例を積み重ね、個人情報の適切な取り扱いについて広く都民、事業者の間に共通認識が得られるよう、相談窓口や説明会等を通じてより一層普及啓発に努めてまいります。
 
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■都立病院改革
 
質問1
 都立病院改革は、限られた医療資源を最大限有効活用し、患者中心の効果的な医療提供体制の実現を目指すものであり、この十月末に結論が出された都立豊島病院の板橋区移管問題も、その一環と理解しています。
 我が党は、この問題を含め、地域医療の充実に果たす基礎的自治体の役割の重要性について繰り返し主張し、板橋区の積極的な取り組みに期待を寄せていました。残念ながら、豊島病院の板橋区移管は断念する結果となりましたが、地域医療の充実に関する区の役割は今後とも変わるはずのないものと考えます。
 都との協議を継続する間にも、板橋区は、区民に必要な医療のあり方を独自に協議、検討しており、区移管断念後に提出された要望書でも、地域医療充実に向けたみずからの努力について言及していると聞いています。今後の豊島病院のあり方について、こういった区からの要望も踏まえながら検討すべきと考えますが、都の基本的な考え方を伺います。
 
答弁1
 ▼病院経営本部長
 今後の豊島病院のあり方についてでございますが、豊島病院はこれまでも地域医療の充実に大きく貢献してきており、今後も、運営主体のいかんにかかわらず、その役割は変わらないものと考えております。
 今回提出された板橋区からの要望書は、地域医療の充実に向けた区の姿勢を明らかにした上で、区民の視点からの具体的な医療ニーズへの対応を求めているものでございます。
 今後の豊島病院のあり方につきましては、こうした地域の要望にも配慮しながら、関係局とも協議を行い、早急に結論を出してまいります。
 

 
質問2
 次に、都立駒込病院の改修計画について伺います。
 駒込病院は、がん医療において国内トップクラスの診療実績を持ち、国内屈指の技術を持つ病院として高く評価されています。しかし、建物は、建築後三十年を経過して老朽化が進み、狭隘で、患者ニーズの変化や医療技術の進展への対応が困難になっているとの指摘があり、このたび、診療を継続しながら駒込病院を全面的に改修する計画が発表されました。
 そこで、駒込病院を、がん・感染症医療センターとして今後どのように機能強化を図っていくのか、都の具体的な考え方を伺います。
 また、改修に当たってはPFI手法の導入を計画していますが、なぜPFI手法を活用しようとするのか伺います。
 
答弁2
 ▼病院経営本部長
 駒込病院の機能強化についてでございますが、今回の計画では、一床当たりの病床面積を拡張し療養環境の改善を図るほか、手術室の拡充などによる総合診療機能の強化に加えて、がん化学療法のための外来治療センターの充実や最先端の放射線機器の導入など、専門性を一層高めていきます。
 こうした医療機能の強化により、駒込病院を都におけるがん・感染症医療センターにふさわしい施設として整備し、都民の期待にこたえてまいります。
 最後に、PFI手法活用の理由についてでございますが、設計施工など施設の整備に加えて、維持管理、医療事務などの医療周辺業務を長期包括的に委託することにより、事業コストの削減を図るとともに、一体的できめの細かい患者サービスの提供が可能であり、また、必要に応じて民間資金を活用することにより、経費の平準化も可能となると考えております。このようなPFI手法のメリットを生かしながら、駒込病院の効率的で効果的な改修、運営を目指してまいります。
 
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■福祉保健施策
 
質問1
 さきの第三回定例会で、我が党は、昨年八月の福祉保健局発足以来これまでの取り組みをなお一層強力に推進するために、今後の施策について新たな方向性を示すべきであると指摘しました。本定例会では、知事は、改革をさらに進めるため、改めて福祉と保健、医療に対する基本姿勢を明らかにしていきたいと述べております。
 都は、今後も、利用者本位の福祉実現と、都民の生命と健康を守る保健、医療の充実に努めていくことが求められております。これまでの成果を礎に、福祉改革と医療改革をさらに推し進めるために、都立施設改革も重要な柱の一つと考えています。
 民間でできることは民間に任せるという考え方を基本に、福祉、保健、医療に関する都立施設改革をさらに徹底する新たな方針を示すべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 福祉、保健、医療の新たな方針についてでありますけれども、都はこれまで、国に先駆けた独自の施策を展開し、福祉改革と医療改革を推進してまいりました。
 社会保障全般に対する都民の不安を解消し、この改革をさらに推し進めるために、福祉と保健医療の両分野を貫く都の基本姿勢を早期に示していきたいと思っております。
 都民一人一人の自立を促すことを基本に据えまして、民間、地域、行政、それぞれの力を最大限に生かした効率的、効果的な施策をこの中に盛り込むつもりでございます。
 都立施設改革についても、すべての施設を対象に、民間にできることは民間にゆだねるとの原則を徹底させた、利用者本位の新たな改革方針を明らかにしたいと思っております。
 

 
質問2
 次に、障害者福祉について伺います。
 衆議院解散により一度は廃案になった障害者自立支援法が、さきの特別国会において可決成立しました。既に先月公布され、一部を除いて来年四月から施行されます。
 障害者自立支援法は、障害者の地域での自立を支援する観点から、身体、知的、精神の三障害のサービスの一元化、障害者の状況に応じたサービスを提供するための事業体系の再編、就労支援の強化など、これまでの障害者福祉のあり方を抜本的に変革するものです。
 障害者自立支援法の成立を受け、その目指す理念を実現するために、都は今後の障害者福祉にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 今後の障害者福祉についてでございますが、障害者自立支援法は、障害の種別にかかわらず、区市町村を主体とした福祉サービスを一元的に提供する仕組みの創設や就労支援の強化などにより、障害者の自立した生活を支援することを目的としております。
 法の目指す理念は、これまで都が進めてまいりました利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の考え方や取り組みと合致するものでございます。
 法の施行に当たりましては、都と区市町村とが一体となって移行準備を進め、利用者が安心して新たな制度を利用できるよう、万全を期してまいります。
 

 
質問3
 また、障害者自立支援法は、制度を安定的に運営していくために定率負担を導入していくこととしています。利用者の増加に対応し、みんなで制度を支えていくためには、利用者にも応分の負担をお願いすることはやむを得ないと考えます。
 しかし、地域での自立生活を支える基幹的なサービスであるホームヘルプサービスは、これまで、国制度に加えて、都は独自の減免策を講じてきた経緯があります。今回の定率負担の導入により、生活保護世帯以外の障害者は、現行に比べ負担がふえてしまいます。低所得者に対する減免制度はありますが、所得の少ない障害者には影響が大きく、きめ細かな配慮が求められます。
 これまでの都独自の減免制度により、多くの障害者が必要なホームヘルプサービスを受けながら地域での自立生活を送っている現状を踏まえ、所得の少ない障害者に対しては、都としてさらに踏み込んだ独自の負担軽減措置を講ずる必要があると考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 ホームヘルプサービスの利用者負担についてでございますが、障害者自立支援法では、一割の定率負担を原則とした上で、月額負担上限額の設定や、社会福祉法人が行うサービス提供についての減免措置の実施など、低所得者に対する配慮がなされております。
 これらに加え、障害者が地域において自立して生活していく上で基幹的な役割を果たすホームヘルプサービスに関しましては、さらにきめ細かい配慮が必要であると考えられることから、国に対して激変緩和措置の実施を提案してまいりました。
 今後とも国に働きかけるとともに、その動向を見きわめながら、都独自の負担軽減措置も含め検討してまいります。
 

 
質問4
 次に、国民健康保険制度における都道府県調整交付金について伺います。
 今年度から新たに導入された都道府県調整交付金は、都道府県が制定する条例に基づき、国民健康保険の財政を調整するため、区市町村に対して交付するものであります。
 都からの調整交付金の総額は、平年度ベースで五百億円を上回ると見込まれており、都が行う財政調整の方法によっては、区市町村の国民健康保険の財政に大きな影響を与えることが懸念されます。そこで、条例案における財政調整に関する都の基本的な考え方を伺います。
 
答弁4
 ▼福祉保健局長
 国民健康保険調整交付金についてでございますが、区市町村における国民健康保険事業は、多額の一般財源を投入して運営している実態がございまして、その財政は大変厳しい状況にございます。
 今回新たに導入された調整交付金は、平成二十年度に予定されております医療保険制度の改革に先立ちまして、都道府県が地域の実情に応じて保険者間の財政調整を行うことにより、国民健康保険制度の財政基盤を強化することを目的とするものでございます。
 都は、この調整交付金を有効に活用して、区市町村間の財政力の格差調整を図るとともに、健康増進施策を通じた疾病予防や、保険料の収納率向上などの取り組みを支援することによりまして、健全で安定的な事業運営を実現するよう努めてまいります。
 
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■教育施策
 
質問1
 十月二十六日、中央教育審議会の答申では、学級編制にかかわる学校や市区町村教育委員会の権限と責任を拡大する必要があると提言されています。今後、この答申の方向で制度化が図られれば、区市町村教育委員会に学級編制権が移譲されることも想定されます。こうした中で、都教育委員会では学級編制についてどのように考えていくのか、改めて伺います。
 
答弁1
 ▼教育長
 学級編制についてでありますが、学級は、学校の教育活動を行う基礎的な集団でございまして、児童生徒が社会性を養う生活集団としての機能と、児童生徒の確かな学力を育成する学習集団としての機能とがございます。
 都教育委員会といたしましては、生活集団としての教育効果を考えた場合、児童生徒が集団の中で互いに切磋琢磨し、社会的適応能力をはぐくむため、学級には一定規模が必要であると考えております。
 一方、学習集団といたしましては、教科等の特性に応じた多様な集団を編成できる少人数指導が有効であると考えておりまして、基礎学力の向上に配慮いたしましてきめ細やかな指導を行っていくためには、少人数指導の充実に努める必要があると考えております。
 なお、文部科学省では、現在、学級編制に関しまして、都道府県及び区市町村の権限につきまして検討を進めているというふうに聞いております。
 今後とも、国の動向を注視しまして、都教育委員会として適切に対応してまいります。
 

 
質問2
 また、調査研究協力者会議報告書は、授業中にじっとしていられない、いわゆる小一問題の対策について触れています。
 小一問題は家庭のしつけに要因があると思いますが、幼児期に基本的な生活習慣や規範意識を十分身につけ、小学校入学時から落ちついて学習することが必要です。このことが学力向上にもつながります。都教委は今後どのように学校を支援しようとしているのか伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 いわゆる小一問題にかかわる学校への支援についてでございます。
 小一問題とは、お話のように、小学校に入学したばかりの一年生が、集団行動がとれない、授業中に座っていられない、話を聞かないなどの状態が数カ月継続する状態をいいます。
 こうした問題は、家庭のしつけに負うところが非常に大きいわけでございますが、その解決には、基本的な生活習慣や規範意識を幼児期から育成すること、小学校入学前と入学後との急激な生活環境の変化を緩和することなどが有効でございます。
 このため、都教育委員会は、モデル地区を指定しまして、家庭や地域との連携、協働した幼児期からの規範意識を高める研究や、小学校への円滑な接続を図るためのカリキュラム開発を実施するなどいたしまして、区市町村教育委員会や保育所、幼稚園、学校を支援しているところでございます。
 今後は、研究の成果を広く普及啓発するとともに、法改正の動向や国の教職員定数改善計画の動向も踏まえまして、人的支援を含めた小一問題へのより一層効果的な対応を検討してまいります。
 
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■東京オリンピック
 
質問1
 我が党は、さきの定例会における石原知事の招致表明に対し、直ちに先頭に立って積極的に取り組むことを表明しました。
 都は現在、オリンピックの基本理念の検討を進めていますが、オリンピックは、単なるスポーツの祭典にとどまらず、都の未来を開くための重要な契機であります。まず、東京、日本の存在感を示し、東京、そして日本の魅力、すなわち文化や風土の多様性、さらには技術、産業の先駆性を世界にPRすべきです。
 そこで、これらの情報を積極的に発信することにより、意義ある東京オリンピックの実現に向けて、招致に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 オリンピック招致への取り組みについてでありますが、オリンピックの招致戦略の中で、情報発信は重要な手法の一つであります。東京にはITなど世界に冠たる先進的な技術や産業の集積、江戸から今日の東京にはぐくまれてきた多様で独創的な文化、伝統というものがございまして、世界に類を見ない集中、集積の進んだ都市の充実した機能など、誇るべき多くの資源がございます。
 これらの東京の魅力により、東京・日本の存在感を広く世界に示しまして、都市間の競争に打ち勝ち、オリンピックの招致を実現させたいと思っております。
 

 
質問2
 知事は、所信表明で、オリンピック準備に向け、基金の積み立てを行うと表明しました。今後の資金需要を考えた場合、先見の明ある取り組みであると賛意を示すものでありますが、改めて知事のねらいをお伺いします。
 
答弁2
 ▼知事
 オリンピックに関連した基金への積み立てについてでありますが、一部のメディアに途方もない金額が一方的に出ておりましたが、これは別に根拠のあるものではございませんが、いずれにしろ、オリンピックの開催はまさに国家的プロジェクトでありまして、財政面を含め、国を挙げてのバックアップが不可欠であります。
 都としても、オリンピックに関連したさまざまな財政需要に対応するため、十全の備えを講じておく必要がありまして、将来の財政運営をも勘案して、基金への積み立てを行うものであります。これによりオリンピック招致をより確かなものとしていきたいと思っております。
 

 
 オリンピックの招致は、交通渋滞や大気汚染などを解消するための基盤整備を促進する契機でもあります。例えば「ゆりかもめ」は、今年度末に豊洲まで開業する予定ですが、勝どきまで延伸する構想があるとのことです。臨海部と都心部との交通アクセスを向上させるために、さらに新橋まで延伸し、環状交通とすることが有効であると考えます。
 「ゆりかもめ」など公共交通ネットワークのさらなる充実を要望し、次の質問に移ります。
 
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■東京マラソン
 
質問1
 知事は、平成十五年に大規模な市民マラソンの構想を発表して以来、実現に向けて精力的に取り組み、十月二十日、日本陸連と基本的な事項の合意書を取り交わしました。
 東京マラソンは、平成十九年二月に開催し、皇居、銀座、浅草、臨海副都心などの都心の観光名所をコースとし、トップランナーとともに市民ランナーが三万人規模で参加するアジア最大級の大都市東京マラソンとなります。
 この大会は、観光都市東京を世界にアピールする絶好の機会であるとともに、障害者を含めた一般ランナーにとっては、都心を走るという長年の望みをかなえるものです。
 知事は先月、ニューヨークシティーマラソンを視察し、今回の視察で得たノウハウを十分に生かして、アジア最大のマラソン大会に育てていきたいと述べました。知事は、今後どのような点に力を入れて東京マラソンに取り組んでいかれるのか、意気込みをあわせて伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 東京大マラソンの取り組みについてでありますけれども、去る十一月、ニューヨークシティーマラソンを視察して、改めて我が国の既存のマラソン大会との違いを痛感いたしました。
 ちなみに、もう一つ申しますと、ニューヨークに比べて、東京の道路ははるかにましですな。私は、非常にあのニューヨークの道路は凸凹が多過ぎて、野口みずきさんですが、来ておられました、表彰を受けるために。彼女に聞きましたけれども、非常に怖いと。けがしやすいですね。高速道路もなお非常にギャップが多くて、私、先導車に乗せてもらって、ランナーの走る道をずっとたどりましたけれども、確かに、本当に東京に比べて非常にニューヨークは道路そのものは質は劣悪だと思って、そういう点では、私は、東京でやるマラソンというのは、非常にニューヨークになれているランナーにとっては格好のものとなると思っております。
 いずれにしろ、何よりも、単なるマラソン大会にこれをとどめずに、エキスポを初めとしたイベントや、沿道のバンド演奏とか、市民による趣向を凝らした応援など、さまざまな行事を含めた大マラソン祭りというものを、ニューヨークにも倣って、それ以上の盛況として東京で催したいと思っております。
 こうしたニューヨークで学びました長所をさらに拡大して、単なる大規模マラソンにとどめることなく、東京の魅力を、これもまた一つのメディアとして、マラソンをメディアとして世界に発信できる祭典にしていきたいと思っております。
 

 
質問2
 交通規制や運営ボランティアの確保など、今後解決すべき課題を乗り越えていくためにも、知事の強いリーダーシップが必要です。同時に、大会を盛り上げるためには、都民が東京マラソンを支え、つくり上げていくような取り組みが必要です。
 こうした観点から、子どもたちに、本大会で走ることができなくても、参加意識を持たせることはとりわけ重要だと考えます。そこで、我が党では、小中学生が参加できるボランティア体験の実施やミニマラソンの開催など、子どもも対象にしたイベントを実施することを提案しますが、これについての見解を伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 東京マラソンについてでございますが、都民が一丸となって大会を応援しまして、支える仕組みづくり、これは東京マラソンを成功させる上で大変重要なことでございます。こうした仕組みには、大人だけでなく、お話のように、子どもたちも参加することが必要であるというふうに考えております。
 ご提案の趣旨も含めまして、国内外の人々と交流する場や、三万人のランナーを支えるボランティアへの参画など、大マラソン祭りに子どもたちが参加する仕組みづくりを今後検討してまいります。
 

 
 先ほど触れましたが、建築強度偽装問題は、安全性より、採算性や経済至上主義に走る余り発生した事件だと考えます。これを契機に、建物の本来のあるべき安全を確保するため、必要な法整備や行政指導を行い、信頼される住宅施策に努めるとともに、今後、退去を求められた方々の転居に伴う学校や保育園への受け入れについても、配慮を強く要望します。
 倒壊すれば何百人もの命が失われることへの配慮が欠如していることに慄然としましたが、同時に、日本人の誇るよき気質が失われた思いで、暗たんたる気持ちです。日本の技術者や職人は、目に見えない部分に精魂を傾け、磨きをかけてきました。人間としてやっていいことと悪いこと、当たり前のことを、家庭や学校、地域の社会から日ごろから教え込ませることが大切だと思います。都市再生だけではなく、人間再生も必要だと痛感したわけです。
 都議会自由民主党としては、このような視点からも改革を積極的に進めていくことを申し上げて、代表質問を終わります。
 
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