質問1
平成十五年に東京都では、東京都安全・安心まちづくり条例を制定し、増加し続ける犯罪を行政、区市町村が協力して防止するため、条例に基づきいろいろな事業を展開してきております。本会議の冒頭の知事の所信表明の中にも、直面するさまざまな課題の重点的取り組みの一つとして、治安問題への取り組みを挙げ、平成十五年八月に緊急治安対策本部を設置し、この八月には、新たに青少年・治安対策本部を立ち上げ、体制の強化に取り組もうとしております。これまでも多くの議員が治安対策について言及をしていると思いますが、やはり都民の関心の高いこの問題について、新人議員として改めて今回知事の基本姿勢をお聞きしたいと思います。
答弁1 ▼知事
治安対策についてでありますが、私の知事選の再選の直前に行われました世論調査によりましたら、都民の最大の関心はやはり治安の悪化にありました。ということで、再選されました後、警察庁から治安担当の副知事を招きまして努力してまいりましたが、まさに治安の維持こそ最大の都民福祉であるという観点で、これまで都は、安全・安心のまちづくりの推進、不法滞在外国人対策などの施策も展開してまいりました。
不法滞在外国人に関しましては、入管にもかけ合いまして、都の職員も協力しまして、あそこに、歌舞伎町という最悪のスポットに出張所もつくりまして、いろいろチェックをいたしましたが、こうした警察活動の強化と地元住民の協力、発奮によって、結果として東京の犯罪は目に見えて減少してはまいりました。
現在、各地域では防犯パトロールや防犯カメラの設置が進められていますが、こうした自助、共助の精神に基づく取り締まりが、やはり治安を回復する上で極めて重要だと思います。
今後とも、地域住民と警察、行政との連携によって治安の維持回復のための地域力を高め、都民の安全と安心を取り戻していきたいと思っておりますが、東京の力にも限度がありまして、またこれやはりどうにもならない問題が、それは著しい治安の悪化、それから、今まで類例のなかった犯罪のばっこの、すべてとはいいませんけど、大きな要因の一つに、不法入国、不法滞在の外国人の存在がありますね。
これは、一番多いのは中国人でありますけども、池袋に行ってもらうとわかりますが、あそこでは一つの、まあ何といいましょうか、中国の分身のような一角ができていまして、部数の多い新聞などが発行され、しかし、そこで泥棒の見張りの求人広告などがあるような始末でありまして、これも今日、世界が時間的、空間的に狭くなりますと、情報というのは簡単に伝達していく。しからば、いかなる情報がそういう不法入国、不法滞在の外国人の吸引力になっているかといいますと、これは経済格差ですね。
ちなみに、中国では、モーターショーで一億円の車を買うばかもいますけども、私にいわせると、ぼられて、大した車じゃないんですが、それを払って、高級品はステータスシンボルだとうそぶく中国人もいる一方、奥地に行けば、一日の稼ぎが一元に及ばない。一元というのは、私、何百円か知らなかった。調べたら十四円ですな。そういう経済格差が存在するということが、やはりあれだけ膨大な人口を抱えて、非常に経済そのものが膨張しているけど、大きなひずみを見せているああいう国から多くの不法入国者を招致しているわけで、吸引しているわけです。
これは何も中国に限りませんが、かつて私の友人でもありましたラモス・フィリピン大統領が私の議員時代に来まして、苦笑いしていっていましたけど、彼にくっついてきた二十数人の新聞記者が、次の日に十数人いなくなりまして、そのまま不法滞在していなくなっちゃった。これぐらい経済格差というのは、やっぱりいろいろな人たちの吸引力になるわけですね。
それが結局、不法滞在ということになれば、正式に就業できませんから犯罪に結びついていくということで、ここら辺のことは、どうやってその格差を埋めるかというのは相手側の努力でしょうが、やっぱりぬぐいがたい、しかし、なかなか対処できない東京の治安の悪化の要因になっているということも私たちは承知した上で、努力していかなくちゃいけないと思っております。
府中市でも、都の条例を受け、市民生活の安全確保に関する条例を制定し、警察署と連携を図り、犯罪のない、安全で明るいまちづくりを目指しており、また、各行政区でも同様の条例が制定されつつあると思います。
そのような中、本年二月十四日に、府中駅近くの信用金庫駐車場で殺人事件が発生し、いまだに未解決であります。市民としては大きなショックを受け、警察としても最大限の努力をされていると思いますが、二度とこのような犯罪が起こらないよう、体制づくりを早急にしていかなければならないと思います。その意味では、交番の果たす役割は大であると考えます。
この九月十四日に、府中市の防犯支部長会議が行われ、質疑の中で、市民から空き交番のことに触れられ、警察としても、OB等を含め、今後解消のため努力をしていくとの答弁がなされておりました。事実、警視庁では、限られた人員の中で、交番の統廃合も含め解消に努力をされておりますが、さらに住民の意見を聞きながら、今後も、新設を含めご努力をお願いしたいと思います。警視庁発行の「グラフ警視庁」の中にも、交番、駐在所は、安全・安心のよりどころとして二十四時間体制で活動を行いとありますので、ぜひその方向でいくようよろしくお願いします。
また、知事の所信表明にも触れられている、犯罪は、警察、行政の対策はもとより、地域での自主的な取り組みが大きな威力を発揮すると地域の協力に期待しており、私も当然のことと思います。また、昨日の青少年・治安対策本部長の答弁にも、町会、自治会への支援を約束しておりました。その意味からも、地域の方々が防犯パトロールや防犯キャンペーン等の取り組みをする際の連絡場所や地域安全活動の拠点としての安全センター的な場としてより一層交番を活用できるよう、ご検討をお願いしたいと思います。
府中市では、殺人事件発生以来、不安が高まり、地域の要請で防犯カメラを三十一基設置することにしました。このような動きを行政としてサポートしていくことは、犯罪抑止には必要と考えます。
そこで、青少年・治安対策本部長にお伺いします。
質問2
都は、安全・安心まちづくりアカデミーを実施し、防犯ボランティアリーダーを養成するなど、犯罪に強いまちづくりをソフト面から支援し、その結果、都内各地において多くのボランティア団体が組織され、防犯パトロールなどの防犯活動が積極的に展開され、地域における防犯力の向上に大いに貢献していると考えております。
そして、ソフト面だけでなく、ハード面の防犯まちづくりについても、防犯カメラ等の防犯設備の設置について支援を行っていると聞いておりますが、これまでの実績をお伺いいたします。
答弁2 ▼青少年・治安対策本部長
防犯カメラなど防犯設備の設置に関する支援についてでありますが、都は、街頭での犯罪を減らすために、商店街などの地域団体が防犯設備を充実させる場合、これを支援しております。
その実績ですが、平成十五年は十三、十六年度は二十六の地域団体に補助金を交付しています。
平成十七年度は、現在までに府中市など六自治体の九つの地域団体から補助金の申請を受けているところであります。
質問3
また、都内の治安状況は改善しつつあるとはいえ、繁華街などでは、依然として多くの犯罪が発生して都民生活を脅かしております。このような状況の中、防犯カメラの設置による犯罪の抑止効果は大いに期待できるものと考えますが、所見をお伺いします。
答弁3 ▼青少年・治安対策本部長
防犯カメラによる犯罪の抑止効果についてでありますが、防犯カメラは、犯罪を行おうとする者に見られているという意識を与え、犯罪を思いとどまらせる効果が期待できます。
また、防犯カメラの設置を契機として、住民の防犯意識が高まり、防犯パトロールが実施されるなど、地域の防犯力が高まるという効果があると考えています。
こうしたことから、引き続き、商店街、町会、自治会等が行う防犯カメラ等の設置に対する支援を行ってまいります。
東京都では、東京の新しい都市ビジョン構想で、通勤、通学などで市区民が安心して通行できるよう、また、事件事故等の発生時の緊急通報手段として、スーパー防犯灯というものがあります。これは、正式には街頭緊急通報システムというもので、非常用赤色灯、非常ベル、防犯カメラ、インターホン等を備えた防犯灯で、緊急時には警察への通報や映像の伝送をすることができるもので、地域の路上犯罪の発生状況等を勘案して設置されるものと承知しております。
平成十三年度及び十四年度には国費によるモデル事業として、十五年度からは国からの補助事業として整備され、現在までに都内八地区、百九台が設置されており、犯罪の抑止に効果を発揮しているということであります。
安全の確保には必ず予算がつきもので、このシステムも例外ではなく、決して安価なものではないようです。しかしながら、女性や子どもなどの社会的弱者であっても安心して歩けるまちであるためにも、厳しい都財政ではありますが、引き続きスーパー防犯灯の設置計画を推進されますよう強く要望するものであります。
質問4
次に、警視総監にお伺いします。
ところで、警視庁では、治安回復三年計画ということで頑張っておられ、ことしはその三年目に当たるということであります。治安水準を十年前に戻すということで、いろいろな施策の展開、努力をされていることと思いますが、これまでの犯罪抑止対策の推進状況と今後の課題について伺いたいと思います。
答弁4 ▼警視総監
犯罪抑止対策の推進状況でありますけれども、警視庁では、近年の治安の悪化にかんがみまして、平成十五年を治安回復元年と位置づけて、犯罪抑止のための検挙、防犯両面の総合対策を、都庁を初めとする関係機関、団体、そして都民の皆様方の幅広いご協力をいただきながら、全庁を挙げて推進してまいりました。
特に、都民の身近で発生し、大きな不安要因となっております強盗、侵入窃盗、ひったくり、性犯罪、この四つの犯罪を重点犯罪に指定いたしまして、それらの発生の総数を、本年末までの三年間で平成四年の水準に戻すことを目標に、犯罪抑止に取り組んでまいりました。
その結果、本年八月末現在、都内におけるこれら指定重点犯罪の認知件数の合計は約一万六千件で、これは、対策を始める前の平成十四年の同期に比べまして四一%のマイナスと大幅に減少しており、目標としております平成四年に比べましても一四%下回っているところであります。また、これら指定重点犯罪の検挙率も六〇%にまで回復しておりまして、全国平均の三九%を大きく上回っております。
さらに、こうした全体的な犯罪抑止対策の効果といたしまして、殺人等の重要凶悪事件の発生も減少しております。とりわけ捜査一課が担当しております殺人、強盗などの重要事件の特捜本部の設置につきましては、従前は二十件を超える年がほとんどでありましたけれども、中には平成十一年のように三十三件も設置された年もありますが、おととしはこれが十二件、昨年は十七件、本年はこれまでのところ八件と、相当少なくなってきておりまして、全体として都内の治安は着実に回復してきているところであります。
引き続き、さらなる治安の回復に向けまして努力をしてまいりたいと思っておりますが、他方で、いわゆる振り込め詐欺等が依然として多発しておりますことから、現在、警視庁で身近な知能犯罪緊急対策本部を設置して、強力に検挙対策を推進しておりますほか、さまざまな広報手段を用いて都民、国民に注意喚起を図るなど、こうした新手の犯罪の抑止対策にも鋭意取り組んでいるところであります。
質問5
次に、繁華街の治安対策について伺います。
新宿、渋谷、池袋などを中心とした繁華街の環境も、各種条例の制定により徐々によくなっているようではありますが、相変わらず違法風俗営業、ピンクチラシ、女性に対するつきまとい、風俗店の客引き等も現存しており、薬物の街頭販売も行われているようです。これらの環境の浄化に向け、さらなる取り組みが望まれているのではないでしょうか。
そこで、繁華街対策のこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
答弁5 ▼警視総監
盛り場対策のこれまでの成果と今後の取り組みについてでありますが、警視庁では、昨年四月から、特に問題の多い新宿歌舞伎町、池袋及び六本木を最重点地区とする三地区特別対策本部を設置しまして、この三地区に対する戦略的かつ総合的な取り組みを強力に行ってまいりました。
特に歌舞伎町におきましては、対策を強化した昨年四月からこれまでの間に、違法個室マッサージ店約百店舗、わいせつビデオ店約百五十店舗、カジノ等の賭博店約三十店舗を摘発いたしまして、これらの店舗を閉鎖に追い込みましたほか、本年四月に施行されました改正迷惑防止条例に基づく集中的な取り締まりを行った結果、従前、相当数路上を徘回しておりました客引きが、現在、ほとんど見当たらなくなってきております。
加えまして、路上の違法駐車や立て看板、置き看板のたぐいは徹底的に排除あるいは撤去しておりまして、歌舞伎町の状況は大幅に改善されてきているものと考えております。また、歌舞伎町以外の盛り場におきましても同様の取り組みを推進しており、着実に成果が上がっているところであります。
警視庁といたしましては、引き続き、盛り場における強力な取り締まりを継続いたしますとともに、その成果の定着を図るためにも、都庁を初め関係機関、団体、それから地元商店街等との連携を図りながら、これらの盛り場がより安全で安心なものとなるよう、そのまちづくりにも積極的に参画をしてまいりたいと考えております。
質問6
最後に、都としての教育的責任者である教育長にお伺いします。
平成十三年に発生した大阪教育大学附属池田小学校の事件、さらには本年二月の大阪府寝屋川市立中央小学校の事件は、多くの保護者や学校関係者に強い衝撃を与えました。これらの事件も踏まえ、現在、各区市町村教育委員会では、小中学校の防犯対策にいろいろと取り組んでおります。府中市でも、市内二十二小学校すべてに警備員を常駐させることとしました。まさに児童生徒の安全の確保は急務であります。
都教育委員会としても、スクールガードについて、区市と連携し、推進をしつつありますが、さらに小中学校の防犯対策に積極的に取り組み、不安を一日も早く払拭していくべきと考えますが、教育長の所見をお伺いします。
答弁6 ▼教育長
小中学校の防犯対策についてでございますけれども、学校は、本来、児童生徒が安心して学ぶ場でございまして、生命が脅かされるようなことは絶対あってはならないことから、学校におきます防犯対策に万全を期すことは極めて重要でございます。
平成十三年に発生いたしました大阪教育大学附属池田小学校の事件を受けまして、東京都では、警視庁の協力を得て、都内のすべての小中学校等に緊急通報体制、学校一一〇番を設置しました。
また、本年の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、各区市町村におきましても、警備員の配置や防犯設備の配備など、さまざまな安全対策に努めてきているところでございますが、東京都におきましても、緊急に区市教育委員会の担当者連絡会を開催いたしまして、学校の安全管理の総点検を改めて行うよう指導したところでございます。
さらに、本年度より、すべての公立小中学校を対象といたしまして防犯教室指導者講習会を実施するとともに、地域のボランティア、いわゆるスクールガードを活用するために、地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施しているところでございます。
今後とも、区市町村教育委員会と連携しつつ、学校の防犯対策の強化に一層取り組んでまいります。
|