平成17年第3回定例会 一般質問

多摩ニュータウン再生の調整を
臨海副都心開発計画の見直しを

原田 恭子(ネット)
■多摩ニュータウン
   
 都議会生活者ネットワークを代表し、質問させていただきます原田恭子です。
 まちづくりにおいての市民主権の確立が私のテーマです。これからもこの視点を大切に活動していきたいと思います。よろしくお願いします。
 さて初めに、ニュータウンの再生について伺います。
 一九五〇年代の高度成長期、多摩地域の乱開発に歯どめをかけ、良好な住宅確保のため、国と都の事業としてスタートした多摩ニュータウンですが、第一次入居から四十年経過した今、再生に向けてのさまざまな課題が浮上しております。特に分譲住宅の建てかえは、都市計画上の規制に加え、一つの管理組合の抱えている世帯数が多い、初期の入居から四十年も経過すると住んでいる人の状況が大きく変化しているなどの理由から、住民の建てかえに向けての合意をとっていくことが大変困難です。
 東京都も、住民とともに建てかえに向けての努力をしているという点では評価するものですが、まだまだ辛抱強い話し合いが必要です。また、エレベーターのない五階建ての上下移動、集合住宅から最寄りのバス停までの急な坂道での移動など、高齢化に伴う対応も緊急課題です。地域では、NPO、市民、自治体それぞれの立場で知恵を出し合い、問題解決に向けての努力が続けられていますが、その道のりは決して易しいものではありません。
 現在、国土交通省では、計画開発住宅市街地の今後のあり方検討委員会、また、東京都でも、東京都住宅政策審議会の中で、ニュータウンの再生について審議されています。これらの動きを踏まえ、ニュータウンの再生計画の新たなビジョンを、ニュータウン関連市と市民、まちづくりNPOも含めた協議の場を設定し、方向性を確認していく必要があると考えます。これからのまちづくりは、市民、基礎自治体の主体が重んじられるべきです。再生計画への市民参加をどのようにコーディネートしていくか、東京都の総合調整の役割が問われます。

 

 
質問1
 多摩ニュータウンの再生に向けての役割を東京都はどう考えているか、お聞かせください。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 多摩ニュータウン再生に向けた都の役割についてでございますが、多摩ニュータウンは、それぞれの時代の要請を踏まえ、先導的なまちづくりを進めてまいりましたが、今日では、開発者主体の建設の時代から、地域や生活者の視点に立った地域経営の時代を迎えております。また、四十年に及ぶ事業期間の中では、開発時期ごとに地域の特性やまちづくりの課題も異なっております。
 都といたしましては、地域経営の主体である地元市や関係機関と連携しつつ、多摩ニュータウン全体を視野に入れ、広域的な観点からまちづくりに取り組んでまいります。
 

 
質問2
 また、ニュータウンのまちづくりへの市民及びNPOの参画をどのように考えているか、お伺いします。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 ニュータウンのまちづくりへの市民やNPOの参画についてでございますが、多摩ニュータウンでは多くの市民やNPOが積極的に活動しており、まちづくりに対する意識は高いと認識しております。地元市と市民が協働して、多摩ニュータウンの魅力を高めるなど、まちづくりを主体的に進めていくことは望ましいことと考えております。
 

 
質問3
 将来的に市民が自主的にまちづくりを進めていくために、東京都、都市再生機構、東京都住宅供給公社がそれぞれ持っているニュータウン事業の記録を一元的に保存し、公開していく必要があると考えますが、いかがですか。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 多摩ニュータウン事業記録の公開等についてでございますが、多摩ニュータウン事業の主な資料は、既にパルテノン多摩の歴史ミュージアムや、東京都新都市建設公社のまちづくり支援センターにおいて体系的に整理し、公開されております。都は、従来からこれらの施設に対し資料提供を行ってまいりました。引き続き地元市等の要請に基づき協力してまいります。
 
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■臨海副都心開発
 
質問1
 次に、臨海副都心開発と、これにかかわる東京ファッションタウン及びタイム二十四の二社の経営破綻について伺います。
 今回のこの二社は民間会社であり、ファッション関係や情報関連の貸しビル業ですが、東京都が全面的に計画し、臨海副都心開発の一環としてつくられてきたものです。したがって、今回の破綻についても、開発全体の危機の表面化としてとらえるべきです。この開発の最大の矛盾は、地下の巨大な共同溝に象徴的なように、一挙に巨額の投資をして、また一挙にまちづくりを進めることでした。バブル崩壊とともに、その矛盾は露呈し始め、ついに今回の二社の破綻としてあらわれたのです。
 二社の破綻処理は、個別経営責任としても、それを指導監督する立場としても、東京都の責任は重大であり、都及び都民の財産に多大な損害を与えることは事実です。このために、都民への責任は厳しく問われなければなりません。見解をお伺いします。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 二社の再生計画についてでございます。
 二社は、民間主導で設立された会社でありますが、長引く景気低迷により不測の賃料相場の低落が続いたため、多額の負債を抱え、返済のめどが立たない状況にありました。そこで、都は、出資者といたしまして、ファッション及び情報関連産業の活動の拠点、交流の場としての機能を維持しつつ、事業の再生に向け抜本的処理を行うよう、二社及び関係者に働きかけてまいりました。その結果、金融機関等の債権放棄などにより事業継続が図られ、テナントへの影響を回避するとともに、都の財政負担が最小限に抑えられる再生計画案が策定できたものと考えております。
 

 
質問2
 私たち生活者ネットワークは、開発当初より、現実的な臨海副都心の開発見直しを提案してきました。今回の事態で、全体の事業の見直しはいよいよ不可欠となったと考えます。全体を見渡したとき、域内の整備は終わったとはいえ、アクセスのための広域幹線道路など、莫大な事業費約四千四百億円という計画は残されており、小手先の解決では都民の納得が得られません。環境配慮や事業リスクの減少、今後の基盤更新への配慮という点から、事業計画を市民参加型で抜本的に見直すことが都の未来への責任であると考えますが、いかがでしょうか、知事にお伺いします。
 
答弁2
 ▼知事
 臨海副都心の開発と今後についてでありますけれども、十数年前のあのバブルというのは、何といいましょうか、今になってほぞをかんでも追いつかない節がたくさんありますけれども、しかし、国全体が浮かれて突っ込んでいって、それで泡がはじけて今日のていたらくになりました。都も国に乗せられて随分突っ走り、突っ込んでいって、あそこにはいろいろな隠れ借金といいましょうか、不良資産といいましょうか、抱えた結果になって往生していますけれども、これはうまく合理的に処理していかなきゃならないと思っていますが、いずれにしろ、しかし、結果としては、あの副都心は大変なにぎわいを示して、一つの東京の名所にもなりつつあります。
 そういう好条件もあるわけでありまして、結果として臨海副都心の開発の目的は色あせていないと思いますが、いずれにしろ、バブルの崩壊の後始末というものをこれからいかにきめ細かく合理的にしていくかということが都の抱えている難題の一つだと思います。
 今後も首都東京の魅力と活力を最大限に生み出すように創意工夫を重ねながら、すべき開発は続けていかなくてはならないし、すべきものだと思っております。
 
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■食の安全の確保
 
 食料生産は、長いこと自然の中で営まれてきました。ところが、より高い経済効率を求め、食料の生産が行われる中で、使用される化学肥料や農薬、殺菌剤、加工段階では着色料や保存料、添加物など、おびただしい化学物質に依存するようになってきました。その結果、消費者の不安は解消されることなく次々と新たな不安が生まれ、BSE、遺伝子組みかえ食品は現代の食への不安を象徴するものといえます。
 

 
質問1
 このような状況において、食品及び飼料として安全性未審査の遺伝子組みかえトウモロコシBt10が二〇〇一年から二〇〇四年にわたって米国において栽培され、日本にも輸入されましたが、国の水際検査により、飼料安全法に違反するものとして積み戻しの措置がとられました。
 遺伝子組みかえトウモロコシBt10は、抗生物質耐性遺伝子として、EUでは取り扱いが禁止され、日本でも未審査の状態にありますが、二〇〇一年以来、既に国内市場に流通している可能性があり、消費者に新たな不安が広がっています。市場に流通する食品に対し、監視、検査は都道府県の責務であり、この未審査のものについて都の適切な対処が必要と考えますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 遺伝子組みかえ食品への対応についてでございます。
 我が国において、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品は、食品衛生法により輸入や販売が認められておりません。本年五月、輸入時に国が行う飼料用トウモロコシの検査において、安全性未審査の遺伝子組みかえ品種であるBt10の混入が判明いたしました。都では、市場流通食品について、安全性未審査の遺伝子組みかえ食品混入の有無を確認する検査を行っておりまして、Bt10も検査対象として実施しているところでございます。
 

 
質問2
 また、飼料としての安全性が確認されていないBt10について、都の適切な対処が必要と考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 安全性未審査の遺伝子組みかえ飼料についてでございますが、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律では、規格基準に合わない飼料の使用が原因となって家畜に被害が生じる等のおそれがある場合には、必要な措置を講じていくこととされております。現在、農林水産省から国の食品安全委員会に対しまして、Bt10の飼料としての安全性評価を依頼しているところであり、その結果を見守り、適切に対応してまいります。
 

 
質問3
 消費者の不安を解決するために、東京都には独自の東京都消費生活条例第八条の規定に基づく申し出制度があり、その意義は大きいものです。今こそこの真価が問われているときと考えますが、消費者から疑わしきを未然に防止する観点で申し出があった場合、都の対応をお伺いします。
 
答弁3
 ▼生活文化局長
 東京都消費生活条例第八条に基づく申し出制度についてでございます。
 この制度は、消費者の権利が侵されている疑いがあるときは、知事に対して、適当な措置をとるべきことを求めることができるものでございます。都民より、この八条に基づく申し出があった場合には、関係各局と調整を行った上で、適切に対応してまいります。
 

 
質問4
 東京都は、ことし一月、農業者、消費者及び学識経験者の外部委員で構成する遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会を設け、国の制度の問題点を明らかにし、事前の情報提供や近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方について検討を行ってきました。この検討委員会の報告を受け、速やかに遺伝子組みかえ作物の栽培に係る指導指針の策定を行う旨、今年第一回定例会で生活者ネットワークの一般質問に答弁をいただいております。
 改めて現在の進捗状況と今後の対応を伺い、一般質問を終わります。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 遺伝子組みかえ作物の栽培に係る指導指針の策定についてでございます。
 本年一月から、外部委員で構成する遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会において検討が進められてまいりました。その後、座長を中心に取りまとめがなされており、近々報告書が提出されることになっております。都では、これを受け次第、早急に指導指針の案を作成し、パブリックコメントを経た後に正式な指導指針として策定し、公表する予定でございます。
 
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