真の分権改革に向け邁進すべき
新宿駅東西自由通路早期実現を |
秋田 一郎(自民党) |
■三位一体改革 |
先般実施された衆議院議員選挙におきまして、自民党は国民から絶大なご支持をいただき、圧倒的な勝利をおさめることができました。国民は、小泉改革路線を強く支持するとともに、その行く先を非常な期待感を持って見守っています。
殊に東京では、かつてない記録的な勝利をかち取ることができました。これは、都民も自民党の示した方向性に賛同の意をあらわしたものであり、首都東京の変革に向けて、我が都議会自由民主党も大いなる負託を受けたと、責任の重さをしっかりと認識しています。この負託にこたえ、東京の再生と都民生活の質のさらなる向上を図るという重責を果たしていくためには、何よりもまず真の地方分権を確立していかなければなりません。
昨年十一月に示された三位一体改革の全体像は、みずからの省益を死守しようとする各省庁の激しい抵抗に遭って、国と地方の役割分担など本質的な議論をないがしろにしたまま、三兆円の国庫補助負担金削減額を積み上げることだけに腐心した結果、地方が求める分権改革からはほど遠いものといわざるを得ない内容となっています。
現在進められているこの三位一体改革を、形ばかりのものではなく、日本全体の発展につながる真の改革としなければなりません。そのためにも、国民からの支持を受けた小泉総理が、強いリーダーシップを発揮して改革を推進することを期待しつつ、我々も、国がその改革の方向性を誤ることのないよう、その動向を注視していくことが必要です。
地方自治体が国の過剰な関与から解放され、自主、自立的な行財政運営ができるようになれば、後ほど質問させていただく都市基盤整備や温暖化現象、ホームレス対策など、過度に産業や人口が集積した結果生じている大都市固有の問題に対して、機動的に対応することが可能となります。
質問1
今こそ、国から地方への税源や権限の移譲を着実に進めるなど、真の地方分権の確立に向けて邁進すべきときと考えますが、知事の決意を伺います。
答弁1 ▼知事
いわゆる国の三位一体改革について、都はこれからどう対応していくかということでありますが、この改革は、政府が自分からいい出した骨太の方針なるものによりますと、国と地方の明確な役割分担に基づいた自主、自立の地域社会から成る地方分権型の新しい行政システムを構築するということでありました。
しかし、具体的に国が持ち出したのは、いきなり義務教育費を、何というんでしょうか、地方に任せて勝手に使えということで、私は、これはやっぱり義務教育の危機だと思って反対いたしましたが、とにかくこういう本来の目的、理念からかけ離れた提案の仕方は非常に問題があると思いまして、私も真っ向から反対しましたし、総理にも建言しましたし、経済諮問委員会ですか、その幹部たちにも、歴訪して、しっかりしてくれということを申したら、みんな同感でありましたが、いずれにしろ、その結果は、国の各省や政治家による目先の利害調整に終始して、地方分権の実現という目的がもう全くネグられたと。そこにおいて、政治のリーダーシップというものは全然感じられないていたらくでありました。
今求められているのは、日本全体の発展につながる改革を実現することでありまして、今般の総選挙も、構造改革の一つの大きな引き金ということで、郵政にフォーカスされた選挙であったと思うんですが、しかし、やはりそれは改革の一部でありまして、これを一つの突破口にしてもう一回仕切り直しをして、明治以来続いているこの旧弊な現行の制度というものを根本的に改革する必要が、もう必要だと思っております。これはもう歴史的の必然、蓋然でありまして、これをしない限り日本は、非常に硬直した官僚支配というものの体質を変えることができない。
今後も、再三にわたって国に求めていくつもりでありますし、真の分権改革の実現に向けて、都議会と連携しつつ、積極的に、かつ具体的に建言もし、取り組んでいきたいと思っております。
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■新宿駅周辺の再編整備 |
質問1
次に、新宿駅の地下歩行者ネットワークの整備について伺います。
品川駅や田町駅では、自由通路が整備されており、駅周辺における歩行者の利便性や回遊性が確保されています。ところが、新宿駅は、一日約三百五十万人が利用する日本一のターミナル駅であるにもかかわらず、自由通路がありません。駅周辺の東西方向の歩行者通行は、鉄道により約五百メートルにわたり分断されており、地下のメトロプロムナードのほかには狭小な角筈地下道しかなく、東西自由通路の早期整備は二十数年来の地元の悲願であります。
区では、昨年から新宿駅周辺整備検討会を設置し、実現に向け検討していると聞いておりますが、費用負担や具体的な計画を早期に確定することが重要と考えます。私は、新宿駅を活力とにぎわいのある拠点とし、区民や駅利用者にとって使いやすい東西自由通路とすべきと考えますが、その早期整備に当たって、都はどのように取り組んでいくのか、伺います。
答弁1 ▼都市整備局長
新宿駅東西自由通路の整備についてでございますが、自由通路は、新宿駅周辺における円滑な人の流れを確保し、にぎわいと活力あるまちの形成に必要な施設と認識いたしております。その早期整備に当たりましては、駅構内の通路や、駅改修のための工事用通路など、既存の空間を有効に活用することが必要でございます。
都といたしましては、今後とも、地元区の取り組み状況を踏まえ、整備の具体化に向け、国や鉄道事業者との調整など、必要な協力を行ってまいります。
質問2
一方、新宿駅周辺地区では、平成十九年度に地下鉄十三号線の開通が予定され、明治通りの下に通路が新たに設けられます。また、国道二〇号線下においても、南口地区基盤整備事業に伴い、新宿駅東南口から明治通りまでが地下通路でつながる予定と聞いています。このような事業が進む中で、新宿駅周辺の地上部は、歩行者のすれ違いや車いす、ベビーカーの通行が容易ではなく、地元住民からはサブナードの延伸が強く要望されています。
区役所交差点から明治通りまでサブナードの地下歩道を延伸させることは、新宿駅周辺の歩行環境の改善につながることから、地下鉄十三号線の開業に合わせ、早急に整備すべきであると考えますが、東京都の思いをお聞かせください。
答弁2 ▼都市整備局長
サブナードの延伸についてでございますが、新宿駅周辺における地下歩行者道ネットワークは、これまで公共と民間が役割を分担した上で整備を進めてまいりました。お尋ねの靖国通り地下歩道の延伸は、現在整備中の地下鉄十三号線とサブナードを接続することとなり、歩行者の利便性向上に資するものと認識いたしております。その実現には、周辺のまちづくりとの整合を図った上で、整備主体や事業スキーム等を検討することが不可欠でございます。これらの課題について、現在地元区が主体となって検討を進めており、都は区の取り組み状況を踏まえ、必要な協力を行ってまいります。
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■地球温暖化対策 |
東京の年平均気温は、この百年間で約三度も上昇しました。この先もこのまま温暖化が進行すれば、百年後にはさらに三度、五百年後には十五度、千年後には三十度も上昇し、真夏日には何と六十度を超えてしまう計算になります。また、別の研究によれば、二〇三〇年ごろには、東京の夕方六時の気温が四十三度を超えるとの報告もあります。これ以上の気温上昇はただごとではなく、都民の生命にとっての危機であり、温暖化対策は待ったなしです。
質問1
そこで、まず壁面緑化について質問します。
小中学校では、夏の暑さ対策としてエアコンを設置する動きも出てきていますが、エアコンを使えば使うほど排熱によって外気温が高まり、悪循環です。夏の暑さをしのぐとともに温暖化を防止するためには、緑の力、自然の力を生かした壁面緑化が有効です。
これが壁面緑化、通称緑のカーテンです。(写真を示す)ちょっと小さいかもしれませんが……。あるテレビ番組によれば、この緑のカーテンを設置し、教室の温度が何と六度も下がったとの結果も出ています。また、ヘチマやキュウリを育てることで、教育の面での効果も生んでいます。何よりストレスの多いといわれる子どもたちに潤いを与えています。壁面緑化をさらに広げていくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1 ▼環境局長
壁面緑化の取り組みについてでございます。
壁面緑化は、日射を遮るとともに、植物の蒸散作用により気温を引き下げる効果があるのはご指摘のとおりでございます。都におきましては、本年度、都立高校、新宿都税事務所などで壁面緑化のモデル事業を実施しております。
また、壁面緑化を広く普及するには、区、市や民間での取り組みも必要でございます。このため、都では、現在壁面緑化のさまざまな技術や具体的効果を示したガイドラインを作成中であり、今後、このガイドラインに基づき、区、市や民間の施設による壁面緑化の取り組みを進めてまいります。
質問2
また、この夏は、打ち水の取り組みが多くのマスコミでも取り上げられました。打ち水をすれば、気化熱を奪って気温が一度から二度も下がると聞いています。打ち水は、コンクリートジャングルにひとときの潤いを与えるとともに、情緒ある風物詩でもあります。墨田区では打ち水に雨水を利用しており、水資源の有効活用も図っています。この打ち水の取り組みを積極的に進めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2 ▼環境局長
打ち水の取り組みについてでございます。
打ち水は、先人たちの知恵により、だれもが手軽にできるヒートアイランド対策であり、市民団体が全国的に打ち水作戦を展開しております。都は、ここ三年、都民広場で行われるこの催しに協力をするとともに、都内の打ち水作戦に使用する水については、下水再生水を無償で提供するなど、積極的に支援しているところでございます。
また、都では、丸の内地区などにおいて、保水性舗装の施工とともに、路面への散水を実施しております。今後とも、区や市民団体と連携して、打ち水など水を生かしたヒートアイランド対策に取り組んでまいります。
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■ホームレス対策 |
一昨日、平成十七年八月の路上生活者概数調査の結果が公表されました。それによれば、東京二十三区内の路上生活者は四千二百六十三人となり、昨年の同時期と比べて約千二百人以上も減少しています。毎年八月の調査では、平成十一年度の約五千八百人をピークに、この間五千人台で推移し、今回大幅に減少したといえると思います。
その要因の一つは、昨年六月から新宿区内の二公園を皮切りに始まった、ホームレス地域生活移行支援事業の成果です。この事業は都内の五公園で順次行われており、現在までに七百人を超えるホームレスがテントを撤去し、地域の借り上げ住居に移行したと聞いています。
私の地元の新宿中央公園では、公園内のテント数が激減し、ことしの春には子どもと保護者が安心して遊べるちびっこ広場がオープンするなど、公園は区民の憩いの場として大きく生まれ変わりました。
この事業の目的であるホームレスの自立支援と公園の機能回復に向けて、引き続き事業を着実に推進することを願っています。
私は、都議会自由民主党のホームレス対策協議会の一員として、ホームレス問題の抜本的解決に向けて活動してまいりました。いうまでもなく、ホームレス問題は、先進国の大都市が抱える共通の問題であり、都市の解決能力が問われる課題です。そうした観点から見ると、東京都と特別区が共同で取り組んできた事業については、他の都市に例を見ない大きな成果を上げていると評価しています。
質問1
ただ、二十三区全体に広く目を転じれば、まだまだブルーテントが林立している地域は数多く存在し、このままでは、首都東京の名にふさわしい状況とはとてもいえません。そこで、現在の都内のホームレスの状況について、都はどのように認識し、対応するつもりなのか、所見を伺います。
答弁1 ▼福祉保健局長
都は、これまで、特別区と共同で緊急一時保護センターや自立支援センターを設置いたしまして、就労自立を図るとともに、お話の地域生活移行支援事業の実施により、地域での自立生活への移行を推進してまいりました。これらの独自の取り組みが功を奏しまして、ホームレスの数は前年に比べ約二割に当たる一千二百人以上も減少いたしました。
しかしながら、現在でも河川や公園などで多くのホームレスが起居し、ブルーテントが残っているのはご指摘のとおりでございます。今後とも特別区と協力しながら、ホームレスが早期に路上生活から抜け出し、地域で自立が図れるよう支援に努め、あわせて施設管理者と連携して公園等の適正な利用を実現してまいります。
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■使用料等滞納金回収 |
次に、使用料等滞納金回収の取り組みについて伺います。
先日行われたインターネット公売では、主税局に設置した都債権特別回収班が港湾局の債権回収で差し押さえた物件が出品されました。また、今月からは警視庁と連携して、違法駐車レッカー費用の回収を始めたと聞いています。
知事は、日ごろから行政分野の縦割りを超えた横断的な取り組みを目指すとおっしゃっています。各局が一丸となって滞納金の回収に当たることは、住民負担の公平性確保に資するものであり、高く評価するものであります。
質問1
そこで、昨年度の使用料等滞納金回収トライアルの実績及び今年度から開始した使用料等滞納金回収本格実施の目標について伺います。また、主税局のノウハウをどのように活用して今後取り組んでいくのか、あわせて伺います。
答弁1 ▼主税局長
使用料等滞納金回収につきましての二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、使用料等滞納金回収の実績及び目標についてでございますが、各局及び警視庁との連携のもとに、都財政の再建と住民負担の公平性を図ることを目的といたしまして、昨年度のトライアルに引き続きまして、今年度から本格実施を行っております。
平成十六年度に実施いたしましたトライアルにおきましては、六局九債権を主税局で引き受けまして、地方税法の滞納処分の例により処理できるいわゆる公債権につきましては、人員ベースで六五%の処理を、裁判所の関与が必要な私債権につきましては、二十件の支払い督促申し立てを実施したところでございます。本格実施に当たり、平成十七年度につきましては、公債権につきましては人員ベースで五〇%以上の処理を、そして私債権につきましては人員ベースで一〇%以上の支払い督促申し立て、及び数件の強制執行を目標としております。
続きまして、今後の取り組みについてでございますが、平成十七年度は、主税局に専担係を設置いたしまして、対象債権も十二局及び警視庁の二十六債権へと拡大したところでございます。これらの滞納整理に当たりましては、主税局がこれまで培ってまいりました徴税ノウハウを活用いたしまして、公債権につきましては徹底した財産調査と速やかな滞納処分を行い、私債権につきましては、総務局とも緊密に連携いたしまして、支払い督促申し立て及び強制執行を行うことによりまして、主税局が引き受けた困難案件の早期解決を図ってまいります。
また、今年度の本格実施への一連の取り組みの中で把握いたしました課題と、そしてその解決策につきましても、各局等と連携いたしまして研究し、新たな滞納を発生させない予防的視点からの事務改善についてご提言申し上げるなど、積極的に取り組んでまいります。
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■商店街振興 |
最近、元気な商店街のさまざまな取り組みがマスコミにもたびたび取り上げられ、改めて商店街の魅力とその役割が注目されています。例えば新宿・神楽坂では、近隣の大学と連携したまちづくりフォーラムや、伝統を生かした芸能鑑賞会など、多彩な催しが実施されています。最近では、商店主や地元有志が、粋なまちづくり倶楽部というNPO法人を設立するなど、商店街と地域が一体になってまちづくりへの幅広い取り組みを進めています。
地域の特性や資源を取り込み、活用することによって、商店街はまち全体を活性化する中心となるのです。にぎわいと活気のある商店街は地域の共有財産であり、商店街振興は、まさに地域振興の切り札ともいうべき重要な施策です。また、商店街は、防犯、防災、福祉や環境などの行政課題を地域で解決していく推進役として欠くことのできない公共的な団体となっています。
質問1
我が党は、こうした商店街の活動を幅広く支援する、新・元気を出せ商店街事業の充実に力を尽くしており、今年度は予算規模が大幅に拡大され、地域との連携事業なども新設されました。そこで、今年度の新・元気を出せ商店街事業の取り組み状況と、今後の都の事業展開について伺い、質問を終わります。
答弁1
▼産業労働局長
新・元気を出せ商店街事業についてでございます。
今年度の交付決定件数は約二千三百件となっており、空き店舗を活用した多様な取り組みや、複数の商店街による共催事業などが増加しております。また、視覚障害者の買い物をサポートする音声誘導機器の設置や、食と健康をテーマに交流の場をつくるコミュニティレストランの運営など、先進的な取り組みも数多く見られるところでございます。
都は、今後、商店街が地域と連携してまちづくりを進めるモデル事業を拡充するとともに、福祉や防災などの重要な行政課題に対応する商店街の取り組みを促進し、商店街が地域に果たす役割が一層高まるよう施策を展開してまいります。
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