平成17年第3回定例会 一般質問

朝市などへ公共施設貸し出しを
木材を活用した東京大改造を

岡崎 幸夫(民主党)
■都有施設の空き地の有効活用
   
 私、岡崎幸夫は、都議会民主党、すなわち中村明彦幹事長、柿沢未途政策調査会長、相川博総務会長を先頭に活動している三十五名の会派の一員として質問をさせていただきます。
 今日の経済状況は、つい先日、IMFの公表した本年の世界経済見通しで、我が国のGDP伸び率予想を四月時点の〇・八%から二・〇%へと大幅上方修正されたり、株価も四年ぶりに一万三千円突破、出来高最高を記録したり、企業倒産件数もこの十年では最も少ない件数が予測されたりと、明るい報告も少なくないのですが、都区部の家計消費支出や都内の新設住宅着工戸数はほぼ横ばいか減少傾向にあり、完全失業率も、全国ではこの五年で約一%下がったとはいえ、都内は依然として五%前後と厳しい状態が続いております。さらには、ニートは五十二万人に上り、別の統計では約八十四万七千人ともいわれております。また、フリーターも二百十七万人と明らかにされております。
 こうした中で、人々の生活も多様になってきており、フレキシブルな労働形態や週休二日制の定着等で余暇の過ごし方も、どこかのだれかではありませんが、人生いろいろ、会社もいろいろ、余暇の過ごし方もいろいろ、きのうは靖国もいろいろ、歴史もいろいろでしたが、コンビニエンスストア花盛りの今日、大手スーパーも深夜営業に踏み切るところも幾つもある状態です。にもかかわらず、都民向けの公共施設の多くが午前八時半から午後九時ぐらいまでとなっていますが、これらの深夜、早朝等の有効活用を考えなければいけないと思います。
 そこで、就労対策やまちの楽しみを増大させるために、住宅や福祉施設等を除く公共施設の空地を、屋台や露店、朝市等に深夜、早朝、開放することを提案いたします。
 東京では、第二次大戦後には、新宿や新橋のやみ市に代表されるような露店が一時は一万四千軒存在していました。しかし、計画の多くが挫折をし、ほころびをつくろい続けるかのように進められてきた第二次大戦後の都市計画の過程で、昭和二十六年、この露店の撤去が断行されました。しかし、今日では公共施設が多く建設され、公共施設には可能な限り空地が多くとって建設されておりますので、こういうところを利用した屋台や露店、朝市等の出店が可能であります。
 屋台で有名な博多では、道路上に出店を許可していますが、どんどんと規制が厳しくなって、一時は四百軒あった屋台が今はその半分程度になっております。それでも文化として定着しておりますので、お客さんの中には、わざわざ大阪からも飛行機に乗って博多の屋台を楽しみに行く方もいらっしゃいます。このように、夜間、周辺環境が容認し得るのであれば、屋台や露店を許可すればまちににぎわいが生まれ、うまく育てられれば文化にもなっていくと思います。また、雇用の拡大につながるとともに、一家を養うことも不可能ではありませんで、中には、屋台から店舗経営へと移行した飲食業者もいらっしゃいます。ぜひともこのことをモデル事業として、どこかの駅前広場や公共空地とか、可能なところを利用して取り組むべきだと思っております。
 もちろん、いい面だけではありませんし、やかましい、汚いなどといった都民からの苦情も予想されますので、一定の歯どめを、貸与期間や迷惑改善努力等の条件を守らない場合は即許可停止といったことを決めておけばよいと思います。
 同じく朝市についても同様です。全国でも、不定期も含めて朝市や曜市を開催している地域は数百カ所あるでしょう。東京でも各地域で展開されております。
 

 
質問1
 今や東京の商店街は営業の苦しさにあえいでいるところが多いのですが、収入は少ない、後継者に跡を継がせるほどの売り上げもない、長時間労働は当たり前、週休二日などとんでもないといったありさまです。さらに、各地の朝市等でよく売られる生鮮食料品を扱う店もほとんどない商店街も増しております。そこで、都内でも数はそう多くありませんけれども、不定期な朝市を行っている商店街もありますが、こうした朝市などの支援等で、地域の商店街振興の強化をしてはどうでしょうか。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 商店街の朝市などへの支援についてでございますが、商店街が消費者ニーズにこたえた多様な取り組みを行うことは大切でございます。都内商店街の中には、地域住民だけでなく、来訪者にとっても魅力のある朝市などを実施し、まちのにぎわいづくりや活性化に役立っているところがございます。
 都は、新・元気を出せ商店街事業を通じまして、こうした商店街の創意工夫を凝らした取り組みを引き続き支援してまいります。
 

 
質問2
 さらに、これもモデル事業としてで結構ですけれども、朝市などの場所として、都有施設の空き地などを当該施設が使用していない時間帯に貸し出すことを実施してはいかがでしょうか。所見をお伺いします。
 
答弁2
 ▼財務局長
 都有施設の敷地を朝市などに貸し出すことについてでございます。
 公の施設などの行政財産の目的外使用は、本来の用途や目的を妨げない限度で許可することができることとされております。都の施設の閉館時間などにおける敷地の使用については、これまでも休日に町会行事の実施場所や商業地域の駐車場として許可している例もございます。
 ご提案の朝市などにつきましては、実施主体の性格、開催の態様、周辺環境など事業内容の公共性や公益性に照らしながら、個別の事案ごとに判断していくこととなります。
 
▲ページのトップへ
■多摩産材導入の拡大
 
 次に、木材を活用した東京大改造についてお伺いいたします。
 毎年、記録的な暑さが続いておりますが、都市部でのヒートアイランド現象を伴う地球温暖化対策は、全世界で猛威を振るっておりまして、百年に一度の大干ばつや豪雨、史上最大級のハリケーン等々、今やテロとの闘いも人類生存の重要なテーマでありますが、地球温暖化との闘いも人類普遍の生存をかけた闘いになってまいりました。
 東京都でも、屋上緑化や保水性舗装等、ヒートアイランド対策に取り組んでおりますが、まだ緒についたばかりといえましょう。
 私は、それらに加えて、どうしてもコンクリートでなければならないものは別にして、都内のコンクリート建築を少なくして、鉄骨で結構ですから、多摩産材を多く使った木造建築を都内の施設に採用すべきと考えます。
 近代コンクリート工法に毒された我が国の建築行政は、コンクリートの建物では、例えば都営住宅等は七十年ぐらい耐用年数を見ているはずなのに、大体四十年ぐらいで建てかえざるを得ないものが多いわけですし、戦後、都内の建築物は、四十年維持すれば大変長い方だともいわれております。
 これに対して木造建築は、つくり方によっては、大田区の池上本願寺の五重塔を見るまでもなく、数百年も長もちするものも珍しくありません。百年、二百年は当たり前、最大の欠点は火事に弱いということであります。
 近代的な建築物は、金銭的には世界経済の約一割を占め、建築業界も含めるとそれ以外の経済分野が使う量の何倍もの木材、鉱物、水等を使っており、建築物に使用されるマテリアル、素材は、世界経済に毎年投入されるマテリアルのざっと四〇%を占めるといわれております。その廃棄物の量も、例えば一年間で東京都で出る産業廃棄物の中で建設関係の廃棄物は、下水汚泥を除けば、約七割を占めております。
 こういう大規模な消費を現代社会は繰り返しておりますが、過去百年の間に世界の森林被覆は五分の一減少し、それも熱帯雨林や周囲には余り森林のない地域の森林等、貴重な森林が多く占めております。中でも我が国は、一九八〇年代には七億五千万立方メートルの木造建築物を建てたが、その大半が熱帯雨林等からの輸入材であり、今日、世界で流通するあらゆる木材の実に三七%が日本に行き着いているといわれております。もはや今後こうしたことを継続することは許されないと思います。
 木造建築を使った建物のよさは随所で報告されておりまして、例えば特別養護老人ホームでは、木材の使用量の多い施設では、少ない施設に比べ、インフルエンザの罹患率が五%、転倒等の骨折四・一%、不眠の出現率も二・九%少ないことが報告されております。幼稚園でも風邪を引く子が少ない、けがも少ない、落ち着く、温かみがある、風通しがよくなって冷房を入れなくて済んだ、軽量なので耐震性も強い、採光が多くて明るい等、木を多く使う長所が指摘されています。
 先ほども申し上げましたが、最大の欠点は燃えやすいことですが、林野庁も意欲的で、加工技術も発達して、不燃性あるいは耐火性にすぐれた木材も、シックハウス、あるいはシックスクールを起こさない材料も開発されてきています。
 幸い東京都も区部、多摩合計で三〇%弱の森林面積があり、特に多摩地域の六〇%は杉やヒノキの人工林が広がっております。ぜひともこの多摩産材を活用していただきたいと思います。
 

 
質問1
 都でも都営住宅が毎年三千戸ぐらいの建てかえを実施し、都立校も大規模な増改修を本年度十四校も実施しております。これらに多摩産材の導入を拡大すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁1
 ▼教育長
 都立学校におきます多摩産材の活用についてでございますが、都教育委員会では、本年一月に策定されました多摩リーディングプロジェクトの一環といたしまして、都立学校における多摩産材の優先的な活用に取り組むことといたしました。今年度は増改築や改修工事に合わせまして、モデル的に三校を選定し、カウンセリング室や視聴覚室など、利用効果の高い教室の一部に木材を活用することといたしました。
 今後、木質化によります経済効果、木の持ついやし効果、精神的ゆとりの教育効果などを把握、検証してまいります。
 
 ▼都市整備局長
 都営住宅への多摩産材導入の拡大についてのお尋ねですが、都における多摩産材の利用拡大に向けた取り組みの一環として、都営住宅におきましては、外構整備工事などへの活用を進めており、平成十六年度には延べ二十一団地で使用しております。
 また、平成十六年十二月以降に発注した都営住宅におきましても、集会室の内装の一部に活用を始めたところであります。
 今後とも、多摩産材の利用拡大に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 次に、道路施設への間伐材の利用についてお伺いいたします。
 都も、わずかではありますが、多摩産の間伐材を利用して、イギリス大使館前のガードフェンス等や、福生市の永田橋付近のガードフェンスや川づくりに取り組んでおりますが、さらに徹底してこの多摩産材の間伐材を活用すべきと思います。
 近年、森林の二酸化炭素の吸収量が注目をされておりますが、その量は、一トンの木をつくるために一・六トンの二酸化炭素を取り入れ、一・二トンの酸素を放出しております。これは、樹齢三十年ぐらいの直径が約二十五センチメートル、高さ約二十メートルの杉の木だと、一年間に二十から三十五キロの二酸化炭素を取り込み、十五から二十六キロの酸素をつくり出す。したがって、この木が十本から二十本もあれば、一人の人間の呼吸を賄えるということになります。
 しかし、この木材も朽ち果てさせたのでは、せっかく吸収した二酸化炭素がまた空中に放出されますから、意味がありません。使わなければいけません。使うことによって、吸収した二酸化炭素を固定し続けることができます。
 山が荒れる大きな原因の一つに、間伐が行き渡らないことが挙げられます。間伐不十分だと、木がやせ、下草も生じず、落ち葉もくさらず、大雨が降ると土砂が流出し、木の根っこがむき出しになり、大規模な土砂崩れを招き、土砂の流出で河川が荒れ、海が荒れてしまいます。
 杜の都仙台には、森は海の恋人という言葉があるように、森が豊かであれば、河川は豊かで、海も豊かであります。
 毎年、春になると、東京への新入生や新入社員の転居がふえますが、そうした方々の中にも、地方では花粉症には無縁であったのに、東京に来て花粉症になったとか、地方で花粉症は軽かったのに、ほとんどの人が東京でひどくなったという話を見聞きします。特にことしはひどかった。しかし、近年では花粉を余り出さない杉等も開発されてきております。
 道路施設の中には、長野県の小布施町は、葛飾北斎の記念館のあるところですが、ここは駅から記念館までの歩道のほとんどに木の舗装が施されております。これから行楽シーズンを迎え、平日もにぎわうであろうこういった観光客対策も視野に入れながら、道路施設に間伐材を使うことを求めますが、いかがでしょうか。
 
答弁2
 ▼建設局長
 道路施設への間伐材の活用についてでありますが、道路施設に間伐材を使用することは、ぬくもりのある歩行空間の形成や森林資源の有効活用などの観点から重要であると考えており、都はこれまでガードフェンスに間伐材を活用するモデル工事を施工してまいりました。
 本年度は井の頭恩賜公園周辺の吉祥寺通りを予定しており、これからも緑の多い空間に接している都道で順次実施してまいります。
 なお、お話しの歩道舗装への間伐材の活用は、安全性、耐久性、コストなど多くの課題があることから、今後、慎重に検討してまいります。
 

 
質問3
 このように、木材の活用を進め、切った跡には花粉の少ない木を植えることにより花粉症の発生源を減らし、東京人が春も生き生きと活動でき、医療費の抑制も進み、仕事の能率にも寄与すると思います。
 また、間伐を行うことによって地面まで日光が行き届き、下草も生え、豊かな山の栄養分が河川、ひいては東京湾に流れ、数多くの命をはぐくみます。しかし、現実は全く逆であります。日の差し込まぬ森、下草も生えず、土砂の流れる山になっているのです。
 このような状況をつくったのは、知事のいわれるとおり、むやみに拡大造林政策をとり、森林を荒廃のままに任せた国の責任であります。しかし、一千二百万都民のためにも、このまま放置することはできません。
 まず東京都がみずから多摩産材を活用するとともに、さらなる流通拡大を図り、森林を守る基盤である林業の振興に取り組んでいく必要があると思いますが、ご所見をお伺いします。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 木材の活用促進による林業の振興についてでございますが、戦後の国の拡大造林政策のもと、かつての色彩豊かな多摩の森は、今日、一面杉とヒノキの青い山となっております。その後、木材価格の下落による林業の低迷を背景に、多くの森林が放置され、荒れるに任されてきました。その結果、現在では、土砂崩れや花粉の大量発生等のさまざまな問題が生じております。
 都はこれまでも多摩産材を活用してまいりましたが、今後、一層の生産コストの低減と新たな需要の開拓を図り、林業の振興を通じて森林の整備、それによる花粉量の削減を進めてまいります。さらに、国に対しても、林業基盤の整備や花粉症の発生源対策について、強く要望してまいります。
 

 
 さらに、適切に森を管理することによって、東京の大小の河川のはんらんを幾らかでも抑制することにつながると思います。森が雨を浸透させる能力は、草地の二倍、裸地の三倍以上あるといわれておりますが、東京の河川の上流部に降った雨が一度に河川に流れ出すのではなく、緩やかに流れ出す機能を強化することになります。
 今や、東京都区部の八割はコンクリートで覆われ、いつの間にやら世界的に見ても最も単調なコンクリートに囲まれたオフィスビルとマンション、派手なネオンの繁華街というまちに変わってしまい、日本的なよさがほとんど見られなくなってしまいました。しかし、我が国の文化の特質を最もあらわす一つである木を公共施設に数多く使うことによって、東京の大改造を果たし、世界にも日本の文化を発信し得るまちになることを希望して、私、岡崎幸夫の質問を終わりにします。
 
▲ページのトップへ

戻る
HP評価アンケート