日本人の心を大切にする育成を
振り込め詐欺対策社会的議論を |
きたしろ 勝彦(自民党) |
■心の東京革命 |
質問1
環境に優しい花と緑のガーデンシティーのまちづくり、納税者が納得するむだのない行政、犯罪の少ない治安のよい東京をとの主張のもとで、今この場に立っているわけですが、この場を与えてくださった皆さんに感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。
最初に、心の東京革命に関してです。
最近の若い人を見ていると、個人が果たすべき役割や責任を軽視する自己中心的な行動が目につきます。その大きな原因として、戦後教育に問題があったのだと私は考えています。他人を尊重する、目上の人を敬うといった日本人の精神が受け継がれず、道徳や日本の伝統文化などの内容が軽んじられてきた結果、基本的人権の尊重と個人主義が履き違えられ、利己主義の傾向が強まっているのが現実です。このままで本当に日本は大丈夫なのかと心配をしているわけです。
明治、昭和の良心を教育された世代が減っていく中で、よい点が引き継がれず、思いやりの心を持つ子どもが少なくなっています。
このような状況の中で、心の東京革命を石原知事の発案で推進していることを知り、強く共鳴、共感をした一人です。人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取り組みは、心を持った子どもたちを育成していくことであり、まさに大切な視点であります。私は、精神的な価値を軽んじてきた戦後教育に警鐘を鳴らし、日本人のあるべき姿を取り戻すこと、日本人のアイデンティティーやモラルを大切にする心を見詰め直すこと、それが心の東京革命の原点なのだと思っております。
都が取り組む総合的な青少年対策、あるいは心の東京革命を推進するに当たっても、日本人の心を大切にするという原点を忘れずに取り組んでほしいと考えているわけです。
そこで、いま一度、青少年の置かれている現状と育成のあり方について、知事はどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
答弁1 ▼知事
今日の青少年の置かれた現況とその育成についてでありますが、さきに東京都はかなり思い切った改革を青少年健全育成条例についていたしました。これは、周囲の県からも評価されまして、埼玉県も神奈川県もこれにならった改正を行ったようでありますが、いずれにしましても、社会の基本は人であります。我々がこれからのこの国家社会を託する若い世代というもののあり方が実は国家の将来を決めるわけでありまして、思い返してみますと、明治時代には、非常に有為な人材が極めて若い世代から輩出したわけであります。比べて、現在の日本は物質的な豊かさを享受している反面、それが逆にあだになって、青少年を取り巻く状況は憂慮すべき状態にあると思います。
学校もしっかりしなくちゃいけませんが、ともかく子どもが一番大きな、いろいろな、さまざまな影響を受ける場である家庭で、若い親たちが子どものしつけ、教育ができない。子どもをしっかりしかれない、育てられない親というものがふえていまして、親そのものが実は戦後の教育、しつけのゆがみから生じた、私たちから見れば、いささか物足りない親でしかない。こらえ性のない親がこらえ性のないままに子どもを育てて、結局、子どもがこらえ性という大事な要件というものを人間として欠いて、非常に放らつな風俗というものをしょうけつさせているわけでありますが、こうした状況を克服するためにも、地域の親や子どもが連携して、子どもの育成にかかわることが肝要だと思っております。日本の将来を担う青少年を我々大人の責任で育成しなくちゃならないと思っております。
警察庁に頼んで、主に治安対策の担当で招来しました竹花前副知事が、一年たった後で、やはり治安というものが行き着くと、青少年の健全育成に帰結しますということで、新しい組織も構築しましたが、これをこれからもフルに生かして、皆さんのお知恵とお力をかりながら、東京において日本の将来を担う青少年を我々の責任で健全に育成していきたいと思っております。
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■古川の整備 |
質問1
先般、九月四日には、時間一〇〇ミリを超える集中豪雨が神田川流域等を襲い、河川からの溢水被害や護岸の崩壊など、大規模な災害をもたらしました。水害の被害を受けた皆様には心からお見舞いを申し上げます。
こうした一〇〇ミリを超える集中豪雨は、平成十一年に、港区を流れる古川流域においても同じように、河川の溢水被害など、大規模な災害をもたらしました。
首都東京の中心部に位置し、白金、南麻布、麻布十番などを流れる古川では、昨年も台風二十二号、二十三号と立て続けに浸水被害が発生し、つい最近の九月十一日には、短時間の集中豪雨により、護岸満杯まで洪水が達しており、地元では大雨のたびに土のうを積み上げて備えなくてはならず、再度、同様な浸水被害が発生するのではないかと絶えず不安を抱えているわけです。
国際都市を標榜する東京の都心部で、絶えず集中豪雨の危険にさらされる地域が存在し、真の国際都市といえるのでしょうか。こうした現状を踏まえ、川沿いの住民の願望でもある古川の整備にすぐに取り組むべきと思います。
そしてまた、古川においては、川沿いに高速道路の橋脚やビルが建ち並び、河川の拡幅が難しいことから、河川の整備に当たっては地下調節池の整備を先行して進めていくことが必要であると思っているわけです。
現在、古川の整備について具体的にどのような検討を進めているのか、お伺いをいたします。
答弁1 ▼建設局長
古川の整備についてでありますが、古川は、流域が市街化され、水害の危険性が高く、護岸の老朽化も進んでいることから、抜本的な治水対策が必要であると認識しております。しかしながら、川沿いにビルや高速道路の橋脚が建ち並び、拡幅による河川整備が困難であるため、現在、それにかわる整備手法について具体的な調査を行っております。
お話の地下調節池につきましては、ボックス方式やトンネル方式など、貯留施設の形態や規模、洪水を取り込む取水施設の候補地などについて技術的な検討を進めております。
最近の集中豪雨被害を踏まえ、引き続き検討を進め、水害対策に積極的に取り組んでまいります。
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■芝公園の一体的管理 |
質問1
次に、芝公園の一体管理についてです。
芝公園は、増上寺、東照宮といった歴史的資源や民間ホテルなどを含む、計画面積三十三ヘクタールの公園です。そのうち、南側部分約八ヘクタールは、都立公園が約二・五ヘクタール、区立公園が約一・四ヘクタール、民間事業者区域等が約四・一ヘクタールに分かれ、それぞれの管理者が個別に管理をしています。これらの区域は、利用する都民の側から見れば一つの公園です。そのため、この部分を、ロンドンのハイドパークとかニューヨークのセントラルパークに比肩できる都心部にふさわしい公園にしていきたいと考えております。
現在、東京都では、公園別のパークマネジメントプランを作成していると聞いていますが、芝公園では、周辺の区立公園等と連携を図り、都心部における緑の拠点を確保することが重要です。そのためには、当該区域約八ヘクタールを一体的に統合し、管理することで、すばらしいロケーションを提供することができるものと思います。
そこで、都と区などの公園の管理者を一体化して管理をするべきと思いますが、考えをお伺いいたします。
答弁1 ▼建設局長
芝公園における都立公園と区立公園等の管理の一体化についてでありますが、芝公園は、日比谷公園や青山公園とともに、都心部における緑の拠点としての機能を有する公園であります。その管理につきましては、平成十八年四月から指定管理者制度を導入する予定であり、現在、その事業者を選定中であります。
お話の芝公園の区域につきましては、都立公園の指定管理者による一体的な管理の手法を今後地元区などと検討してまいります。
また、都立芝公園は、十二ヘクタールを超えて開園している公園ではありますが、俗にいう薄皮まんじゅうであります。そして、この地域には、グラウンド、テニスコートもあります。こうした状況から、南側区域の都管理の公園部分について、都と区の役割分担を踏まえ、区へ移管し、区が一体管理する手法も一つの方法として考えられるのではないでしょうか。これは要望をしておきます。
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■環状二号線新橋・虎ノ門地区 |
東京都は、新橋・虎ノ門地区において、現在、都市計画道路の環状二号線を、地下道路を街路事業、地上部の道路を再開発事業により整備しています。この路線は、臨海部を含む沿道の開発を誘発するなど、都市再生の基軸となる重要な路線であるとともに、新橋・虎ノ門地区の根幹的公共施設であり、その早期整備は地元の悲願となっております。
質問1
環状二号線の地下道路については、トンネル上部の開口部が地域分断の原因になるとして、換気塔を設置した上でふさいでほしいとの強い地元要望があります。この開口部についての方向性を早急に定め、整備に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、環状二号線の地下道路整備の進め方についてお伺いをいたします。
答弁1 ▼建設局長
環状第二号線の汐留・新橋・虎ノ門地区における地下道路整備の進め方についてでありますが、本路線は、都心部の渋滞緩和を図るとともに、都心部と臨海部を結ぶ幹線道路ネットワークを形成する重要な路線でございます。
当該区間につきましては、トンネルの一部区間に開口部を計画しておりましたが、このほど換気塔設置の見通しがついたことから、開口部を設けないトンネルとする方向で調整を進めております。
今後、地元の理解と協力を得ながら、早期完成を目指し、事業を推進してまいります。
質問2
次に、地元にとって最も関心が高い地上部の道路の整備形態についてお伺いをいたします。
環状二号線の地上部は、将来、沿道住民が道路を横断して自由に交流でき、にぎわいが創出されるような道路空間として整備されるべきだと思います。また、ヒートアイランド対策の一環として、緑豊かな空間を確保するなど、環境に配慮した道路づくりも重要と考えます。
そこで、地上部道路の整備イメージについて都の見解をお伺いします。
答弁2 ▼都市整備局長
環状第二号線新橋・虎ノ門地区の地上部の整備イメージについてでございますが、地上部の道路は、地下の本線部と異なり、地域内道路としての性格が強いため、地域の交流やにぎわいの創出、道路景観や環境への配慮が重要でございます。
今後、緑豊かでゆとりある歩道の確保や、ヒートアイランド対策として保水性舗装を採用するほか、街路灯や舗装のデザインに工夫を凝らすなど、国際都市東京にふさわしい洗練された道路空間の創出に向け、関係者間で協議しながら整備内容を具体化してまいります。
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■振り込め詐欺対策 |
質問1
これまで振り込め詐欺対策については、警察を初め事業者においてもさまざまな取り組みが行われてまいりましたが、いまだに多くの被害者が後を絶っておりません。
そこで、まず、知事の所信表明にありました振り込め詐欺総合対策会議について、いつから、どのようなメンバーで、どのような検討をしていくのか、お伺いをいたします。
答弁1 ▼青少年・治安対策本部長
振り込め詐欺対策に関する会議についてでありますが、都と警視庁が中心となりまして、区市町村、金融機関、通信事業者、フランチャイズチェーン事業者及び弁護士会などの関係機関による総合対策会議を来月早々にも設置する予定であります。
この会議におきましては、振り込め詐欺撲滅のための効果的な総合対策を打ち出していきたいと考えております。
具体的には、ATMの対策としまして、容易に振り込めない、引き出せない対策、また、被害に遭いやすい高齢者や女性の被害防止対策、そして、被害者救済対策などを検討し、施策の具体化を図ってまいります。
質問2
振り込め詐欺の被害が後を絶たない背景には、金融機関のATM設置台数の増加や、コンビニエンスストアへのATM設置等、容易に振り込みや引き出しがしやすい環境があると私は認識しております。これは利便性を求める都民のニーズにこたえたものでありますが、その裏側には犯罪の危険性の落とし穴があり、重要なのは、利便性と安全性のバランスをどのようにとっていくかということであります。犯罪の危険性をいかに最小限にしていくかを、金融機関のみならず、社会の中で議論していくべきではないでしょうか。振り込め詐欺の対策に関する会議には金融機関の参加も予定されているようですが、こうした点を踏まえて、まさにこのような議論がなされることが必要と考えますが、お伺いをいたします。
答弁2 ▼青少年・治安対策本部長
ATMに関する問題、すなわち利便性と安全性に関する議論についてでありますが、この種の犯罪被害を最小にとどめるためには、何といいましても、金融機関やコンビニエンスストアに設置されているATMにつきまして、一回当たり、あるいは一日当たりの振り込みや引き出しの限度額を低く設定することが極めて効果的な対策であると考えています。したがいまして、利便性を念頭に置きつつも、ご指摘のとおり、都民の安全を確保するために、こうしたATM対策につきましても会議の場で具体的に議論してまいりたいと考えております。
質問3
振り込め詐欺については、これまで新聞等でも報道され、都民にも広く周知されているはずですが、これまで各種の啓発が行われてきたにもかかわらず、十分な成果が上がっていないのが現状です。振り込め詐欺対策を進めるに当たっては、何といっても被害防止のための都民への啓発は欠かせないところですが、今後はどのような形で啓発を行っていくことが必要と考えるのか、お伺いをいたします。
答弁3 ▼青少年・治安対策本部長
都民への啓発についてでありますが、振り込め詐欺事件では、高齢者や女性の方が多く被害に遭われておりまして、特にこうした方々に対する啓発活動が被害防止に不可欠であります。これまでもいろいろな啓発活動がなされていますが、被害者になりやすい高齢者や女性に対して、より一層直接的に注意喚起できる方策を警察や区市町村などと検討し、その実施を図ってまいります。
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■中小企業の支援 |
質問1
次に、都内中小企業の国際化支援についてお伺いをいたします。
グローバル化が進展し、大企業が生産拠点を海外に移転させたことなどにより、都内ものづくり企業の取引高は著しく減少してきております。意欲のある中小企業は、新たなビジネス機会を確保するため、海外展開を指向していますが、人、金、情報、ノウハウといった経営資源の不足や具体的なビジネスチャンスに恵まれないことから、いまだ海外展開を進められない中小企業が多数存在しています。こうした中小企業の課題を解決し、国際化によりビジネス機会を拡大させることは、中小企業の取引高の増加を図る上で非常に重要なことと考えます。
さらに、外資系企業に対してビジネスや生活に関する情報をきめ細かく提供することで、東京への定着を図るとともに、新たな取引相手を海外から東京に呼び込むといった取り組みも必要であると考えます。
そこで、都内中小企業と海外企業との取引拡大についての取り組み状況と今後の方向性についてお伺いをいたします。
答弁1
▼産業労働局長
中小企業と海外企業との取引拡大についてでございます。
国際競争が一段と厳しくなる中、都内中小企業の活性化を図るには、海外企業との取引拡大がこれまでにも増して重要でございます。
都は、これまで海外貿易情報の提供、海外での展示商談会の開催等により、都内中小企業の海外展開を支援してまいりました。さらに、本年八月には、外資系企業の定着促進等を図るため、東京ビジネスエントリーポイントを開設し、ビジネス、生活の両面にわたる情報提供と相談対応を開始したところでございます。
今後、都内中小企業と海外企業との一層の取引拡大に向け、効果的な施策展開を図ってまいります。
質問2
中小企業に対するデザイン活用支援についてお伺いをいたします。
我が国製造業は、これまで小型化、軽量化、高速化といった製品自体の機能、性能の向上や低価格化を目指した技術開発を行い、強い競争力を誇ってまいりました。しかし、近年、中国を初めとするアジア諸国が、価格面のみならず品質面でも急速に競争力を高めております。こうした経済状況の中で、ものづくり産業では一層の高付加価値化、差別化を図ることが重要な課題となっており、企業戦略としてのデザイン活用が注目されております。大手の自動車メーカーや家電メーカー等では、デザイン戦略の見直しにより新たなブランド構築を進めてきておりますが、中小企業においては、まだまだ取り組みがおくれているのが実情であり、行政の支援が強く求められているところであります。
都内中小企業がグローバルな経済競争を勝ち抜いていけるよう、デザイン活用支援を強化していくべきと考えますが、お伺いをいたします。
答弁2
▼産業労働局長
デザイン活用支援の強化についてでございます。
デザインは、製品の魅力向上や企業のイメージアップに資するものであり、中小企業の競争力強化のための経営戦略として非常に重要なものであると認識しております。
こうしたことから、都は、中小企業のデザイン開発力を強化するセミナーや、デザイナーと中小企業とのマッチングを図る商品デザイン特選マーケットなど、さまざまな支援事業を実施しております。
今後とも産業技術研究所のデザイン支援機能を充実するとともに、中小企業振興公社の経営支援機能と一体的に活用することより、都内中小企業のニーズに合致した、より効果的なデザイン活用支援策を実施してまいります。
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