平成17年第3回定例会 一般質問

市町村合併で行財政改革を推進
多摩振興に向けた積極的支援を

臼井 孝(自民党)
■市町村合併
 
 さきの総選挙で示された国民の意思は改革でありました。しかし、これは郵政の改革だけではなしに、知事がよくいわれるところの旧弊の打破にあり、明治以来の我が国の伝統的官僚政治による統制、規制が国民を支配してきたことに対する改革の意思表明であります。今こそこの改革の国民意思のもとに国のあり方を変えることです。
 官から民へ、そして中央集権から地方分権への潮流は、二十一世紀のとめることのできない流れとなってきました。
 

  
質問1
 地方分権による三位一体の改革が進み、市町村はみずから財源を調達し、自立した経営が求められますが、果たして今の基礎的自治体のままで対応できるのでしょうか。自治体の行財政改革は待ったなしと思われます。
 この行財政改革の最大の方策は市町村合併であることから、平成の大合併が進められたと考えます。
 私も、旧秋川市と旧五日市町の合併に携わり、あきる野市を発足させ、ことしで十年がたちましたが、この経験から、市町村合併は、難しい局面はありましたが、大変意義あるものと認識しています。知事にお伺いいたしますが、今後の基礎的自治体のあるべき姿を踏まえて、市町村合併をどのように考えているか、率直な認識をお聞かせください。
 
答弁1
 ▼知事
 市町村合併についてでありますが、明治初期には実に七万以上も町村があったようでありますけれども、日本の近代国家としての形成が進み、戦後の地方自治の確立、そして近年の地方分権の推進を背景に、今年度末には千八百余りの市町村数になるという見込みだそうであります。
 こうした合併は、我が国における交通や通信の飛躍的な発達、生活圏の広域化、行政改革に対する国民の要請など踏まえた一つの歴史的必然と認識しております。
 市町村合併は、新たな行政需要の対応力を強化し、地方主権を確立していくための有効な手段だと思いますが、あくまで、やはり該当地の住民の意向というものを最大限そんたくする必要があると思います。
 また、皮肉なことに、道州制といわれておりますけれども、既存の都道府県の行政区分の区割りというんでしょうか、境界というものが邪魔になっていて、仄聞しますと、北陸でしょうか、東北でしょうか、ある山間の村では、互いに合併して町を形成したいんだけども、皮肉なことにそれを望んでいる二つか三つの複数の村が違う県に所属しているという、まあ皮肉な現象も起こっているようでありますが、いずれにしろ、これもかなりやっかいなバリアだと思いますけれども、住民の意思をあくまでもそんたくして、私は、しかも行政の合理性というものを追求するためにも有効な手段としてこれからも推進されるべき問題と心得ております。
 
▲ページのトップへ
■多摩振興
   
質問1
 まず、私の地元には、多摩川水系の秋川が流れていますが、この川は親水性の河川で、都民の憩いの場となっています。昔より魚族を育んできたこの母なる川も、山崩れの土砂や周辺の市街地などから流出する土砂が河床に堆積をして、岩や大きな石が埋まり、平坦になるなど、魚や水生生物にとって生息しにくい環境になってきました。
 そもそも、川は蛇行し、水を蓄え、瀬やふちをつくり、とろ場に多くの魚がすみつくのが本来の姿です。河床の平坦化は、魚のえさ場や隠れ家を奪い、最近ではカワウの格好のえさ場になってしまっています。地元漁協がアユの放流事業を行っていますが、放流と同時にカワウ被害に遭うことなど、その対策に苦慮しています。
 そこで提案ですが、水産振興の観点から、アユを中心とした川魚の回復を目指して、瀬やふちの再生など多様な河川形状を復元し、よりよい漁場を創出する事業を実施すべきと考えますが、所見を伺います。
 また、カワウによる食害は、水産資源の枯渇だけでなく、魚の放流事業を行っている地元の漁業組合への打撃は少なくありません。都はカワウの被害防止等についてどのような対策をとっているか伺います。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 よりよい漁場の創出についてでございます。東京の河川を、魚を初めとする多くの生物が生息し、都民が親しめるものにしていくことは重要な課題であります。現在、河川を中心とした今後十年間の水産業振興プランの作成を河川管理者の協力も得ながら進めております。
 当該プランには、川魚の復活や、ヤマメ、マスなどの養殖生産量の増大、魚を育む水量や水質などの環境整備を盛り込むことが重要であると認識しております。これを踏まえ、遊漁者のみならず、都民が親しめる河川環境の創出に努めてまいります。
 次にカワウの被害防止対策についてでございます。カワウによる魚の捕食被害は、カワウの増加や河床の平坦化などが原因で拡大しており、川魚が減少するなど、水産業に深刻な影響を及ぼしております。
 都はこれまで、多摩川流域においてカワウの飛来状況調査や花火による追い払いなど防除方法の試験を行っているほか、漁業協同組合が行う魚の隠れ家づくり等への支援を行っております。
 また、カワウは都県境を越えて移動することから、国及び関係都県は広域連絡協議会を設置し、防止策の検討を行っております。さらに、水産業振興プランを策定し、カワウが魚を捕食しにくい河川の環境づくりを進めてまいります。
 

  
質問2
 続いて、多摩の森林、林業について伺います。
 多摩の西部地域には、二十三区の面積に匹敵する約五万ヘクタールの森林があります。多摩の森林の六割は杉、ヒノキを主体とした人工林で、林業を通じて地域の人々の力で守り育てられてきました。今日、経営は極めて困難でありますが、将来にわたり林業を支えていくことが大切です。それはなぜかといえば、林業は、林業経営を通じ、森林を守る人材や技術、経営上の工夫と知恵を生み出してきたからであります。大切な都民の財産である多摩の森林を守るには、林業を中心とした森林整備への支援が必要です。都の支援の現状について伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 森林整備に対する都の支援の現状についてでございます。多摩の森林は木材の生産や水源の涵養、都民の憩いの場の提供などさまざまな役割を果たしていることから、総合的な整備が必要でございます。
 そこで、都では、森林所有者などが行う造林や間伐等の作業に対する補助、効率的伐採手法の普及指導、崩壊した山腹の復旧、合理的な林業経営の基盤となる林道整備や木材加工施設の設置などを支援しております。なお、間伐については、林業振興に加え、森林保全の視点からも積極的に支援を行っております。
 今後もこれらの事業を着実に推進し、適切な森林の再生、整備、育成が図られるよう支援してまいります。
 

  
質問3
 次に、シカの食害による森林の荒廃が深刻です。去る九月十二日、自然環境保全審議会からシカ保護管理計画が答申されました。今後の具体的なシカの捕獲計画と、シカによる森林被害の復旧に対する都の取り組みについて伺います。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 シカの捕獲と、シカ被害により荒廃した森林の復旧についてでございます。
 東京都シカ保護管理計画では、来年度末までにシカの生息数を千頭以下に抑制することを目指しております。このため、本年度は、関係市町村と協力いたしまして、七百頭程度の捕獲を計画しております。
 森林の復旧については、土砂流出により崩壊のおそれがある奧多摩町オオダワ地区等の箇所において、昨年度より治山、砂防事業により復旧を図ってきているところでございます。
 また、土砂流出まで及んでいない箇所につきましては、シカ防護さく等を設置した上で造林を実施し、森林の復旧に努めております。
 

  
質問4
 続いて、多摩産材の住宅への活用についてであります。
 多摩産の木材利用を促進することで最も大きな影響力を持つのは住宅市場です。都民の木造住宅に対する志向は強いのでありますが、多摩産材の使用は少ないのであります。
 東京の森を育てるために、都民に多摩産の木材を使った住宅づくりを積極的にPRすることが必要です。都は、東京の木・いえづくり協議会を設立してPRするなどの取り組みは評価できます。しかし、都民の利用を促す仕組みが必要ではないでしょうか。そのための具体的、直接的な支援策を早急に検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 多摩産材の住宅への活用についてのお尋ねでございますが、都は、多摩産材を活用した木造住宅普及のため、木材供給者や住宅生産事業者などで構成する、東京の木・いえづくり協議会の設立や運営に対して支援を行ってまいりました。
 協議会では、今年度、住まい、森、環境をテーマにセミナーやイベントを開催し、都民に多摩産材を活用した住まいの魅力をPRしていく予定でございます。
 また、多摩産材を活用する家づくりに対し、現在、協議会と民間金融機関が提携した優遇融資などの支援策を検討しております。
 都といたしましては、今後とも、家づくりに多摩産材が活用されるよう積極的に取り組んでまいります。
 

  
質問5
 次に、現在の林業は採算性の改善は難しい状況ですが、森林の再生、観光振興、災害対策のためにも林道整備を進めることが大切です。林道には木材搬出経費削減の効果があり、林業コスト削減に有効な手段であります。木材生産の基盤となる林道をどのように整備していくのか、都に伺います。
 
答弁5
 ▼産業労働局長
 林道は、将来にわたる林業の維持発展のために必要不可欠な基盤となる施設であると認識しております。しかし、多摩の山は急峻かつ地形が複雑で、林道工事に多額の経費と時間がかかることから、十分な整備が進んでいるとはいえない状況にございます。
 日々の森林の管理と木材搬出を促進し、一層の林業振興を図るためには、幹線林道のみならず、支線となる作業道も含めた、きめ細かな林道整備が必要であります。
 そこで、現在、林道の配置、規格等を定めた整備計画を見直しているところであります。今後も積極的に林道の整備を進め、林業の振興を図ってまいります。
 

  
質問6
 五つ目として、先日の新聞によれば、ことしの都心部でのスギ花粉飛散量は史上最大規模と発表されました。知事もことしはスギ花粉症になられたようですが、多くの都民が花粉症に苦しめられました。どうしてもこれは退治しなければならないと思います。スギ花粉の増大は戦後の拡大造林政策により、花粉の多く発生する杉林を放置してきた国の責任であるといえます。国に対して発生源対策を強く求めるべきであると思います。
 また、飛散するスギ花粉は、広く関東圏から飛来しており、広域的対策も必要であります。
 ところで、現在行われている間伐では、スギ花粉の削減効果は極めて短期的です。スギ花粉を確実に削減するためには、伐採期を過ぎた杉を本格的に伐採をし、苗木を植えるなど、森林の循環を進めることが効果的といわれていますが、都は今後、森林の循環を回復するという視点を踏まえ、スギ花粉の発生源対策を進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁6
 ▼産業労働局長
 花粉を減らすためには、間伐のみならず、杉林の本格的伐採が必要であります。このため、伐採後の木材活用に向け、搬出コストの低減や品質向上なども含めた、長期的かつ総合的な林業施策の展開を検討しております。
 また、関東地方全体の杉林面積に占める東京の杉林は六%にすぎず、花粉発生源対策には広域的な対応が不可欠であります。都は現在、八都県市と連携し、森林整備と木材流通の促進による抜本的な対策の検討を進めております。
 さらに、杉の造林の拡大を奨励してきた国に対し、花粉対策の取り組みの強化を強く要望してまいります。
 

  
質問7
 次に、圏央道及びアクセス道路等の進捗状況と見通しについて伺います。
 圏央道の中央道八王子ジャンクションまでの工事については、地域住民は、圏央道が今年度中に中央道に接続されると大きな期待を持っていましたが、この残された工事区間は地下水など環境にも配慮をしたことにより、大変苦労して工事が現在進められていると聞いています。そこで圏央道の進捗状況について伺います。
 続いて、圏央道に関連する道路の進捗状況とその見通しについてですが、新滝山街道を初め、地元要望の強い秋多三・三・九号線の楢原あきる野線などの関連する都道の進捗状況、そして見通しについて伺います。
 
答弁7
 ▼建設局長
 圏央道の進捗状況についてでありますが、本路線は、首都圏三環状道路の一つとして、首都圏の渋滞緩和と環境改善などに資するとともに、多摩地域の発展にも大きく寄与する重要な路線でございます。
 都内区間二十四・六キロのうち、現在、青梅インターチェンジからあきる野インターチェンジまでの十・七キロが供用しております。残る十三・九キロのうち、中央道八王子ジャンクションまでの九・六キロにつきましては、用地取得を完了しており、工事につきましても約八割進捗しております。
 今後とも、来年秋の中央道との接続に向け、事業の促進に努めてまいります。
 次に、圏央道に関連する都道整備についてでありますが、新滝山街道は、全線七キロのうち三・三キロが開通し、残る高尾街道から東側の三・七キロで用地取得を進めており、順次、遺跡調査や切り土工事を行っております。
 秋多三・三・九は、あきる野市草花地区の二百五十メートル区間で事業中であり、今年度、用地取得及び擁壁工事を行っております。
 また、楢原あきる野線は、現在、秋川にかかる東秋留橋の下部工事を進めており、今後、雨間立体につきましても早期着手するなど、残る区間の整備を進めてまいります。
 今後とも、国費などの財源確保に努め、地元関係者の理解と協力を得て、事業の推進に努めてまいります。
 

  
質問8
 次に、多摩地域における連続立体交差事業の進捗状況について伺います。
 多摩地域の道路交通の円滑化を図るためには、南北道路の整備や道路交通のボトルネックとなっている踏切の解消が不可欠です。これまで我が党は、連続立体交差事業の促進を強く求めてまいりました。この事業は、多額の費用と長い期間を要する事業でありますが、着実に一歩一歩前進しており、JR中央線やJR南武線など、工事が目に見えて進んでいることを実感しています。
 中央線では、三鷹駅から国分寺駅間において高架橋の柱が日に日に建ち並び、高架化への期待が一層高まってまいりました。西国分寺駅から立川駅間においても、この日曜日には上り線の仮の線路への切りかえ工事が無事完了し、着実に工事が進んでいます。
 また、南武線では、矢野口駅付近において近々高架化が完了すると聞いており、長年にわたる地域住民の協力と関係者のご努力の成果がようやく現実のものとなってまいりました。沿線住民が大きな期待を寄せ、一日も早い完成が望まれている中央線及び南武線の連続立体交差事業の今後の取り組みについて伺います。
 
答弁8
 ▼建設局長
 JR中央線と南武線の連続立体交差事業の取り組みについてでありますが、本事業は、多摩地域における南北交通の円滑化や沿線のまちづくりにも寄与する極めて重要な事業でございます。
 中央線の三鷹―国分寺間は平成十九年春に、西国分寺―立川間は二十年秋に下り線を高架化いたします。これにより、踏切の遮断時間や横断距離が短縮され、渋滞の緩和と安全性の向上が図られます。
 引き続き、上り線の工事を進め、三鷹―国分寺間は二十年秋に、西国分寺―立川間は二十二年春に立体化が完了する予定でございます。
 また、南武線では、来月九日に矢野口駅付近の立体化が完了し、鶴川街道など八カ所の踏切が除却されます。引き続き、稲城長沼―南多摩付近の第二期工事に着手いたします。
 今後とも、国費などの財源確保を図りながら、沿線住民の理解と協力を得まして、着実に事業を推進してまいります。
 

  
質問9
 さて、市町村に対する財政支援について伺いますが、多摩地域は人口四百万人を超える地域であり、各市町村は地域住民の豊かな暮らしの充実を図るため、懸命に取り組んでいます。しかし、現実に財政的に厳しい状況を迎えており、さらに国の三位一体の改革の中で先行き不透明な状況に置かれています。今後、多摩地域の振興を一層図るためには、都みずからが行う事業を積極的に推進することと、市町村自身がその持てる力を発揮し、課題を解決できるように支援することが肝要です。
 都が広域自治体として行う市町村に対する財政補完は、市町村が今後とも十分な行政を行うための主要な柱であり、市町村振興交付金、調整交付金が果たす役割は極めて重要であります。
 そこで、両交付金を時代に合ったものとして、市町村に対する都の支援を一層充実強化すべきと考えますが、総務局長の所見を伺います。
 
答弁9
 ▼総務局長
 市町村に対する都の支援についてでございます。
 多摩地区の振興に当たりましては、地域の発展を支える市町村の取り組みが不可欠であり、都が広域自治体として市町村の一般財源を補完する市町村振興交付金、調整交付金は大きな役割を果たしております。
 しかし、市町村が、今日のように極めて厳しい財政状況の中で、創意工夫を凝らした事業を適切に実施していくことができるようにするためには、これらの交付金が一層効果的な財源補完となるよう、改善を図っていく必要がございます。
 今後、多摩地域のさらなる振興と市町村の自主性、自立性の向上を促進する観点から、市町村振興交付金、調整交付金などの支援制度のあり方につきまして検討してまいります。
 

  
 多摩振興の最後に申し上げます。
 旧都立秋川高校の施設で学んでいた三宅の子どもたちが、来年度をもって全員が巣立っていきます。さて、その後の旧都立秋川高校の跡地利用についてでありますが、元来、教育施設として設置されたものであり、今後も青少年育成のために活用すべきであると考えます。
 約十三万平方メートルの広大な敷地は、多摩地域の新たな拠点になり得るものです。多摩地域は、スポーツ・文化施設の整備が依然として脆弱な状態です。多摩地域にスポーツ・文化交流を通じて世界の青少年が触れ合い、理解と協力を深めることのできる場を持つことの意義は大きいと思います。
 知事は、さきの所信表明で、東京オリンピックの招致について触れられました。私は大賛成です。次代を担う青少年のスポーツ交流こそ世界の平和を象徴するものであります。この際、旧都立秋川高校の大きなキャンパスを国際的スポーツ交流や東京多摩国体の会場に利用できるよう要望しておきます。
 
▲ページのトップへ
■個人都民税の徴収率向上と区市町村支援
   
質問1
 次に、個人都民税の徴収率の向上と区市町村への支援について伺います。
 三位一体改革、本格的な地方分権の到来に当たり、自主財源の確保は緊急の課題であります。そういう中において、歳入所管局である主税局は、さまざまな施策を講ずることにより、着実に徴収率を向上させていることは高く評価できます。さらに、税財源移譲を見据え、主税局では昨年四月個人都民税対策室を設置し、この設置により区市町村への支援を強化することで大変感謝をされていると聞いております。
 そこで、個人都民税対策室を設置した目的についてお伺いします。また、都は、区市町村に具体的にどのような支援を行っているのか、伺います。
 
答弁1
 ▼主税局長
 個人都民税対策につきましての二点のご質問にお答え申し上げます。
 まず、個人都民税対策室の設置目的についてでございますけれども、個人都民税は、各区市町村が区市町村民税とあわせて賦課徴収しているものでございます。しかしながら、都税全体の徴収率と個人都民税の徴収率は大きく乖離しております。また、所得税から個人住民税へ税源移譲が見込まれる中、徴収率の向上が緊急の課題となっております。
 このため、都と区市町村が協力、連携を深めながら、徴収率の向上と税負担の公平の確保を図るため、他の道府県に先駆けまして、区市町村に対しさまざまな支援を行う個人都民税対策室を昨年四月に設置したものでございます。
 続きまして、区市町村への具体的な支援についてでございますけれども、現在、区市町村の困難な滞納事案を都が引き受けまして処理するという直接支援を行っております。対策室の設置以降、四十八団体から七百二事案、四十六億円の引き受け実績がございます。
 また、これまでに、都の職員を十六団体におのおの二カ月間派遣いたしまして、区市の職員とともに処理することで、都の滞納整理のノウハウを学んでいただく間接的な支援も行っております。
 さらに、区市から職員を延べ五十二人、おのおの一年間から二年間受け入れる支援も行っております。
 今後とも、本格的な分権社会の到来と、国から地方への税源移譲を見据えまして、各区市町村の徴収部門へのさまざまな支援を積極的に継続してまいります。
 
▲ページのトップへ
■首都大学東京
 
質問1
 都は、大学改革に積極的に取り組んだ結果、今年四月に公立大学法人を設立し、これまでの都立の四大学を再編統合して首都大学東京を開学しました。また、今般の組織改正により大学管理本部を廃止し、新たに総務局に大学改革の所管組織を設置したところであります。しかし、大学改革についてはまだ緒についたばかりであり、さらなる推進と努力が必要です。
 ここで改めて首都大学東京は、開学後、設置理念の実現にどう取り組んでいるのか伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 首都大学東京の開学後の取り組みについてでございますが、首都大学東京では、大都市のさまざまな課題を解決し、リーダーとして活躍できる人材の育成を目指し、現場重視の体験型インターンシップ、課題解決能力を高める基礎ゼミなど、新たな実践的教育を実施しております。
 また、社会に開かれた大学として、生涯学習の拠点となるオープンユニバーシティーのほか、地域産業の振興を図るため、産学公連携センターを開設しております。
 今後、さらに、新しい時代の要請にこたえ、公立大学としての使命を果たすため、インダストリアルアートコースや都市政策コースの新設など、東京の産業力の強化や発展に寄与する教育研究を充実してまいります。
 都といたしましては、首都大学東京の設置理念の実現に向けまして、公立大学法人に対し、評価委員会による大学運営の評価等を踏まえ、適切な指導や支援を行ってまいります。
 

 
質問2
 これからの大学教育では、社会ニーズに的確に対応できる高度な知識、技術を有する人材の育成が不可欠といわれています。特に産業界から要望の強い高度専門職業人の育成のため、来年四月、産業技術大学院大学の開学が予定されていますが、産業技術大学院大学ではどのような教育に取り組むのか、または、開学に向けての準備状況について伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 産業技術大学院大学は、東京の産業を活性化する意欲と能力を持つ高度専門技術者の育成を目的とする専門職大学院として設置いたします。そのため、第一線で活躍する先端企業の実務家などを教員に招き、産業界のニーズを的確に即応させた実践的な教育プログラムを実施することとしております。
 本年六月には文部科学省に設置認可申請を済ませ、現在、主に中小企業や大学生などを対象とした広報活動を積極的に実施しております。十月からは受験生を対象とした説明会を開催するなど、来年四月の開学に向け万全を期してまいります。
 
▲ページのトップへ

戻る