精神障害の普及啓発は不可欠
多摩地域の建築制限の緩和を |
斉藤 あつし(民主党) |
■精神保健福祉施策 |
こんにちは。斉藤あつしでございます。私、もともと東京消防庁の消防官で、都の職員でございましたが、だからといって行政におもねることなく、地元の皆さん、そして都民の皆さんの期待にこたえるべく、それこそ、たとえ火の中水の中、頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、三点質問を出しております。
一つは、精神保健福祉についてです。
現在、精神医療、精神障害は、日本ではまだ研究及び制度整備が必要な分野と考えられます。精神障害者への支援体制については、区市町村において種々の事務手続の移管を初めとして、今後は地域での自立を目的とした、十年単位での、東京都においては社会的入院と目される五千人の入院患者の退院及び在宅化など、今後、自治体にとって多くの事業、そしてまた課題が存在しております。
しかし、これまで東京都が中心となってこの分野に取り組んでまいりましたため、予算や経験、そして知識が十分ではない市区町村にとって、都立病院や保健所で実績を豊富に持っている都からのいろいろな形での支援がなくては、やはり対応や、そしてまた事業の継続、充実は難しいと考えられることがあります。
そして、さらに今、国の制度改正が控えていることなどを考えると、まさに精神保健福祉の分野は転換点に来ているといえます。
こういった中で、今後は、一般都民の皆さんにこの疾病や障害についていかに正しく理解をしていただくかが、これらさまざまな施策を順調に展開していく上で重要になってくると考えられます。特に前述のように、退院、そして在宅、つまり地域での自立を促すということが大きな目標になってくるのであれば、地域の方々に正しく、的確にこの疾病や障害、そしてその手助けの方法など、これを理解していただかなくてはならないと考えます。
単にこれは差別をなくしていくという目的ではなく、周辺の人間関係によるトラブルを未然に防いだり、病状が悪化したときなど、地域の住民がそれに対して協力をする、そしてまた、地域自治体の展開するホームヘルパーや施設の協力者、こういったものを拡大していく、こういったことにつながってまいります。知識の広がりと偏見の撤廃によって促すことができるであろうということがたくさんあるわけです。逆に、このような一般都民に向けた啓発活動を省いて行政だけで努力をしてみても、恐らく限界があることは容易に想像がつくものであります。
現在、学校や職場で、うつを初めとして精神疾患そして障害については、一般の方にも関心の高い分野であります。取り組みも必要だと考えられている課題でありましょう。しかし、実際には的確な予防策、対応策が構築しにくい課題であるのも事実であります。そのような状況の中で、東京都の役割は、この課題のリーダーシップをとることができる機関として大きく期待するものであります。
以上のようなことを踏まえて、以下、三点質問いたします。
質問1
一問目、今後の精神保健福祉施策について、疾病、障害に対する都の考え方を踏まえて、東京都はどのようにしていくか、どう考えているのでしょうか、お聞かせください。
答弁1 ▼福祉保健局長
今後の精神保健福祉施策の方向性についてでございますが、精神疾患はだれもがかかる可能性のある病気の一つでございますが、適切な医療の継続と福祉サービスの提供により、精神障害者が地域で安定した生活を送ることは可能でございます。
精神保健福祉施策は、これまで入院医療を中心として実施されてきましたが、平成十四年度に改正された精神保健福祉法や、昨年国が示した精神保健医療福祉改革ビジョンにおきましては、区市町村をサービス提供主体とした地域生活中心の施策への転換が明確に示されております。
都としても、精神障害者施策を地域生活中心のものへと転換していくため、地域における医療の確保やグループホーム等の福祉サービス基盤の整備に一層努めてまいります。
質問2
二点目。さまざまな施策の上で、精神障害に対する一般の方への知識の普及、啓発活動は不可欠であります。今後の具体的取り組み、広報についての具体的な取り組みについて伺います。
答弁2 ▼福祉保健局長
精神障害の普及啓発活動についてでございますが、精神障害者の安定した地域生活を支えていくためには、精神障害について都民の正しい理解を得ることが必要でございます。このため、都はこれまでもリーフレットの作成、配布や広報誌の発行等を通じて、精神障害についての知識の普及に取り組んでまいりました。
今後とも精神保健福祉センターが中心となったシンポジウムの開催や、区市町村が実施する地域住民向け講習会への支援を行うとともに、民間団体とも連携して精神障害の幅広い普及啓発活動に努めてまいります。
質問3
三点目、先ほどと少し重複するところもありますが、区市町村に対する都の支援についてどのように考えているか。これがなくては区市町村も動くのに大変厳しいものがあります。ぜひお聞かせください。
答弁3 ▼福祉保健局長
区市町村に対する都の支援についてでございますが、精神障害者の地域生活を支えるためには、住民に最も身近な区市町村がサービス提供の中心的な役割を担うことが大切でございます。
都はこれまで、地域の相談拠点となる地域生活支援センターの整備や人材の養成を行うとともに、ホームヘルプサービス等の実施主体である区市町村を支援してまいりました。
今後とも区市町村職員等を対象としたケアマネジメント従事者養成研修等を実施するとともに、広域的自治体として引き続きサービス基盤の整備や区市町村への情報提供、技術的支援を行ってまいります。
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■都有地活用での住民への配慮 |
では、大きな二点目でございます。
現在、私の地元である小平市の花小金井南町三丁目の話でありますが、東京都水道局がそれまで資材置き場として使用していた所有地がございます。現在はこの目的については使っていないわけなんですが、ここの土地約六千平米を二十年間の定期借地として、いわゆるスーパー銭湯、ロードサイドの銭湯ですね、この企業に貸し出すことになりました。この場所の周辺は戸建て住宅の密集地であり、スーパー銭湯が完成した際には深夜までの営業になるということで、周辺住民からは、駐車場に入る車、これによる周辺道路の交通渋滞や騒音、そしてまた看板や駐車場のライトなどの光の害について懸念が出され、この事業に対する周辺住民の批判の声が多く寄せられました。その後、幸いにして、住民の相互の努力もあり、また事業者側の方の努力もあり、複数の自治会を横断する形で形成された周辺住民による住環境を守る会と銭湯の事業者間で、この住環境保全を目的とした具体的な協定の締結に向けて議論が進められ、東京都水道局としても、この協定の締結に向けた動きを十分確認した上で、現在、様子を見守っているということになっております。
質問1
さて、現在、翻って都全体を見たときに、第二次都庁改革アクションプランにも見られるように、都有地の使い方についてはさまざまな形が今後あると思われます。そして、今後、このような事例と類似したものが出てくることは十分に考えられることです。都有地の貸し付けに当たって、借り受け者が周辺住民と協定を締結し、理解を確保するようにするなど、的確に地域との信頼関係を築くよう、土地所有者としての東京都は借り受け者に指導すべきと考えますが、東京都の見解を伺います。これにつきましては、都民と都の関係ですので、知事より答弁をいただきたいと思います。
答弁1 ▼知事
都有地活用における周辺住民への配慮についてでありますが、都有地の民間貸付に当たりましては、借り受け者の事業が適法であることはもとより、あくまでも地域の理解を得ることが、借り受け者にとっても何よりも大切なことだと思います。
いずこの事例にせよ、今後とも近隣との調和のとれた利用が行われるよう、十分な配慮を契約上求めてまいります。
質問2
二点目、住環境保全については、本来、地元市町村がその地域の状況に応じたルールづくりをすることが原則とは聞いておりますが、近年問題となりました光の害やにおいの害など、市町村ではなかなか基準づくりに不安がある部分も大変多くなっております。そのため、市町村の規則づくりに対して、情報や研究実績豊富な東京都からの知識の提供などの支援が当然期待されるものでありますが、これについてどう考えるか伺いたいと思います。
答弁2
▼環境局長
住環境の保全についてのご質問でございます。
住環境の保全に当たり、多くの自治体において、その地域の実情や特性を勘案した対応を行うため、条例や要綱の制定など、自治体独自のルールづくりが行われております。
都といたしましては、このような地元自治体の対応を支援するため、要請に応じて技術的な助言などを積極的に行ってまいります。
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■都市計画道路予定地住民への広報 |
質問1
では、三点目でございます。
三点目の一番、都市計画道路予定地の住民に対する都市計画道路の情報提供について伺います。
既に都市計画道路が決定されているものの、現在未着手となっている路線の中には、二十年、そしてまた三十年もの間にわたって計画の進捗に関する情報が不十分な地域があります。そのため、地域によっては予定地住民の高齢化が進み、自発的な情報収集が難しい住民がふえている場合もあります。未着手の道路予定地は、事業主体が東京都か地元区市町村かが明確になっていないこともあり、計画の内容や当該地の整備時期の予測などの情報把握について十分ではない上に、予定地が都市計画法第五十三条によって、住宅の建てかえに関する幾つかの制約を受けているという、つまりは情報が少ない中で制約を受けているという中途半端な状況が道路予定地の住民から不安の声として聞いております。
府中所沢線の国分寺市における住民説明会において、隣接する未整備区間の小平市、その市民の参加を認められ、予定地住民の計画に対する理解に効果があったということも聞いております。東京都として、さらなる予定地住民の不安解消のために、今以上の情報提供、広報に積極的に努めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1
▼都市整備局長
その情報提供についてでございますが、都市計画道路に関する十分な情報提供を行うことは、関係住民の不安を解消し、理解を得ていく上で重要でございます。
このため、都はこれまでも相談窓口の設置や電話での個別対応、インターネットを通じた情報提供などに努めてまいりました。また、都市計画の決定や変更に際しては、地元区市町村と協力し、説明会の開催や地元住民との意見交換、パンフレットの配布などきめ細かく対応し、周知を図っております。
今後とも地元自治体と連携しながら、関係住民への情報提供に積極的に取り組んでまいります。
質問2
二点目。都市計画道路の予定地内では、法律上、二階までしか建てられないなどの建築制限がかかっております。特に多摩の都市計画道路は五割しか完成しておらず、さらにいえば、北多摩の地域では三割、四割といった状況です。既に未着手区間の住民への制限は、長期間かつ広域に及んでいます。それぞれの計画道路の必要性の確認については、整備方針の中間まとめで触れておりますが、必要とされた計画道路についても、着手までは相当の時間を要すと思われます。
こうした中、区部では、昨年より一定条件のもと、建築制限の緩和を実施していると聞いております。多摩地区でも、今後十年間で優先的に整備すべき路線以外の路線については、こうした都市計画道路予定地内の建築制限の緩和を進めるべきと考えますが、東京都の所見を伺います。
答弁2
▼都市整備局長
多摩地域における都市計画道路予定地内の建築制限の緩和についてでございますが、多摩地域の都市計画道路を重点的かつ効率的に整備するため、現在、関係市町と共同で新たな整備方針を策定中であり、八月末には中間のまとめを公表いたしました。この中で、優先整備路線以外の路線において木造や鉄骨造などの三階建てを可能とする建築制限の緩和に関し、基本的な考え方を示しております。
今後とも、関係市町の意向を踏まえながら、多摩地域における具体的な緩和のあり方についてさらに検討を進めてまいります
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