平成17年第3回定例会 一般質問

妙正寺川取水・護岸工事を急げ
防災空間の確実な設置の取組を

高倉 良生(公明党)
■水害対策
 
 今月四日から五日にかけ東京を襲った集中豪雨は、これまでの水害対策の想定をはるかに超えるものでした。
 私は、あふれ出た水で川幅が大きく広がった妙正寺川で、暗やみの中、腰まで水につかりながら、ひとり暮らしの高齢者を避難させたり、一軒一軒安否を確認して回るなど、全力で救援活動に当たりました。集中豪雨の恐ろしさを嫌というほど痛感した一夜でございました。
 昨日、知事は、公明党の代表質問に対し、妙正寺川や善福寺川の未整備区間の早期整備を指示したと答弁されました。大変心強い限りであります。知事の対応を高く評価するとともに、今後の取り組みに強く期待いたします。
 時間一〇〇ミリを超える大雨は、そう頻繁に降るものではないとの見方もありますが、昨年、全国で五〇ミリ以上の激しい雨は四百七十回も降っております。今回も、東京では八月、九月と二度の豪雨が襲い、今月の豪雨では被災住宅が五千棟にも及ぶ甚大な被害が発生いたしました。都の水害対策を抜本的に見直すことが急務であることを強く訴えたいのであります。
 こうした異常気象現象は、アメリカでのハリケーン災害などとあわせて、地球温暖化の影響ではないかと指摘されており、水害対策を進めていく上で、都としても、地球温暖化対策を一段と強化すべきであることは論をまちません。
 

  
質問1
 都は、企業の温暖化防止の取り組みとして、本年三月に環境確保条例を改正し、大規模事業所にCO2の削減を求める地球温暖化対策計画書制度を強化するとともに、東京電力などの電気事業者を対象に、CO2の削減計画と再生可能エネルギーの導入計画の策定を求めるエネルギー環境計画書制度も創設しました。
 これに基づいて、電気事業者九社から初めてのエネルギー環境計画書が提出されたものの、九社のうち六社が、二〇一〇年度の再生可能エネルギー導入目標が一・三五%という、国の義務化している数値と同じ低い目標を掲げてきております。しかし、これでは電力事業者による実質的なCO2削減の効果は、到底期待できるものではありません。
 四十七都道府県で唯一東京都が導入した画期的なこの制度を実効あるものにするためには、国に対し再生可能エネルギーの導入目標値を高くするよう強く求めると同時に、事業者に対しても、目標を高くするよう求めるべきであります。
 都の対応について、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 地球温暖化対策としての再生可能エネルギーの導入についてでありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨などの異常気象が頻発しておりまして、地球温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であります。再三申してきましたが、南太平洋では、間もなく国家として埋没するような、砂州でできた国が二つも三つもありまして、地球温暖化を防止するためには、省エネルギー対策の推進に加え、太陽光や風力発電など再生エネルギーの普及を進めることが重要であります。
 こういう観点から、都はみずからバイオマス発電や太陽光発電施設の設置など、先駆的な取り組みを進めるとともに、エネルギー環境計画書制度を創設しまして、電力業者に対しても再生可能エネルギーの導入目標の設定を義務づけました。
 一方、フランスやドイツなどEU諸国に比べますと、我が国の再生可能エネルギーの拡大に向けた姿勢はまだまだ消極的であるといわざるを得ません。再生可能エネルギーの利用を拡大していくため、都は、国に対して導入目標の引き上げを強く要求するとともに、各電力会社に対しても一層の導入を求めていくつもりでございます。
 

 
質問2
 さらに、都民についても消費行動を見直し、地球温暖化対策を一層推進していく必要があります。十月からは、大規模な新築マンションの販売広告に環境性能の表示を義務づける、マンション環境性能表示制度が施行されます。都民が環境に配慮したマンションを選択するためには、表示制度の意義と表示内容を理解することが必要であり、都民への啓発が欠かせないと考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 この制度は、大規模な新築マンションの販売広告に、建物の省エネ性や緑化の割合など、環境性能表示を義務づけ、都民がマンションを購入する際、環境に配慮した物件を選びやすいよう情報提供を行うものであります。
 ご指摘のように、この制度の効果を高めるためには、多くの都民に制度の周知を図ることが大切であります。今後、都の広報紙に掲載するほか、住宅情報誌の活用、シンポジウムの開催など、事業者団体と連携しながら普及活動に努めてまいります。
 

 
質問3
 さて、今回の集中豪雨による水害被害について具体的に伺います。
 第一に、環七地下に建設されている調節池の問題です。
 調節池は妙正寺川まで延びてきていますが、まだ妙正寺川の水は取水できません。一日も早い取水は、住民がひとしく望んでいることでございます。
 取水施設の設置は平成二十年とされていますが、十八年や十九年の出水に対する不安は解消されません。計画の前倒しなど、対応を急ぐべきであります。さらに、未整備区間の護岸改修も早期に推進することが不可欠であります。あわせて所見を伺います。
 
答弁3
 ▼建設局長
 妙正寺川からの取水と護岸整備についてでありますが、取水施設につきましては、環七地下調節池トンネル部の完成に引き続き、今年度から工事に着手し、平成二十年の完成を目指してまいります。
 その取水の時期につきましては、工事の安全確保や工程調整などを考慮しながら、十九年の出水期までに暫定的な取水が可能となるよう整備を進めてまいります。
 また、被害の大きかった未整備区間の護岸につきましても、緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、現在調整を進めております。
 今後とも、関係する区や住民の協力を得ながら、事業の推進に努め、水害対策に全力で取り組んでまいります。
 

 
質問4
 第二に、妙正寺川と江古田川との合流地点では、都の新クイックプランに基づく第二妙正寺川幹線の設置が進められています。一部暫定利用されていますが、落合水再生センターに向け準備が進んでいる部分も早期に利用できるようにすべきです。見解を伺います。
 
答弁4
 ▼下水道局長
 第二妙正寺川幹線の暫定貯留利用についてでございますが、第二妙正寺川幹線は、練馬区、中野区、新宿区の浸水被害軽減を目的とした下水道幹線でございます。この幹線では暫定的に二万二千立方メートルの貯留を行うこととし、このうち、中野区立江古田公園より上流部につきましては、既に平成七年度から容量九千立法メートルの貯留管として利用しております。
 九月四日の豪雨時には、この部分が満水となり、中野区江古田、沼袋地区の浸水被害軽減に寄与できたものと考えております。
 残る一万三千立方メートルの貯留区間につきましては、平成十八年度末の貯留開始を目指し、鋭意整備を進めてまいります。
 

 
質問5
 第三に、半地下の車庫や地下室などは、水没や下水の逆流などにより大きな被害が出ました。流域では、低層住宅地の環境保護から、高さを制限するなど用途地域の制限があります。しかし、今後の水害対策を考える上では、河川対策だけでなく、まちづくりの手法を活用しての取り組みが考えられます。危険地域における地下の利用を規制する、あるいは制限の緩和により地下を利用しないで済むようにするなど、規制と緩和の両面からアプローチし、都市計画と水害対策を効果的に連動させる取り組みを検討すべきであります。所見を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 浸水対策とまちづくりについてでございますが、集中豪雨による河川のはんらんから都民の生命、財産を守るためには、河川や下水道の整備とともに、まちづくりの面からの浸水対策も重要であると認識しております。浸水が予想される地域での建物の地下利用に当たりましては、防水板を設けるなど、みずから対策を講ずることが基本でございますが、こうした地域においては、区市町村と連携し、地区計画を活用した地下利用規制などの方策を検討していく必要がございます。都といたしましては、こうした考えに沿って、区市町村とともに浸水対策の一層の推進に努めてまいります。
 

 
質問6
 第四に、妙正寺川が学校の真ん中を流れる都立中野工業高校は、これまでも再三にわたり水害発生のおそれが懸念されていました。今回の豪雨により実習室などが浸水し、授業用の機器に被害が出るなど、その懸念が現実のものになったわけであります。授業に支障のないよう、早期復旧と今後の対策に取り組むべきです。見解を伺います。
 
答弁6
 ▼教育長
 都立中野工業高等学校の早期復旧と今後の対策についてでございます。
 先般の台風十四号の影響による集中豪雨によりまして、中野工業高校では、校舎の広範囲にわたりまして床上浸水したため、全館が停電し、特別教室や実習棟の備品が冠水するなど、被害が発生しました。
 電気設備につきましては早急に復旧工事を行うとともに、床上浸水した校内を清掃、消毒の上、三日間の休校の後に授業を再開いたしました。現在も使用できない一部の備品、什器につきましては、修繕、購入などにより、教育活動への影響を最小限にとどめるよう迅速に適切な対応を進めております。
 また、中野工業高校の水害の予防対策につきましては、これを契機に、校舎内への水の流入を防ぐ止水壁の設置や電気設備のかさ上げなど、改善を図るとともに、区、地域住民との連絡体制を強化するなど、万全の体制を講ずるよう努めてまいります。
 
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■分譲マンションの管理対策
   
 次に、分譲マンションの管理について伺います。
 都内で着工される住宅のおよそ四割は分譲マンションです。そのストックはここ十年で二倍に増加して百二十万戸を超え、マンションは東京の主要な居住形態になっています。その一方で、維持管理においては、長期修繕計画の不備や修繕積立金の不足など、さまざまな問題が生じています。こうした状況が続けば、建物の劣化が進み、将来的には空き家の発生からスラム化の懸念が強まるなど、都市をむしばんでいくことが予想されます。
 

 
質問1
 新規に分譲されるマンションを良質なストックとしていくには、特に分譲のときから維持管理の体制を整えることが重要であります。良質なストックがふえれば、市場の活性化にもつながります。分譲マンションの問題について、これまで施策の空白領域だったのが新規分譲時の対応ですが、新たな取り組みとして、マンションの購入予定者に対し、分譲事業者や管理組合が行うべきことなどを明確にしたガイドラインを都として策定することが必要と考えます。所見を伺います。
 その際、管理規約の中に長期修繕計画の見直し事項を盛り込むことや、管理組合として長期修繕計画を策定すること、そのための修繕積立金をどう確保するのかなどを明確にすべきであります。あわせて所見を伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 マンション管理のガイドラインについてでございますが、マンションは管理組合が主体となって管理を行うものでございますが、区分所有者の管理に対する知識不足や組合への参加意識の低さなどから、管理がおろそかになる状況も見られるところであります。マンションの適正な管理が行われるためには、区分所有者が、入居に当たりその重要性を認識していること。そのためには、売り主は販売時に入居後の管理に関して十分説明することが重要でございます。このため、都は、管理組合が実施することが必要な事項に加え、売り主が購入者に対し説明すべき事項などを盛り込んだガイドラインを早急に策定してまいります。
 次に、長期修繕計画などについてでございますが、マンションを良質なストックとして維持していくためには、実態に即した長期修繕計画の策定が重要でございます。このため、今回取りまとめるガイドラインでは、この修繕計画を建物の劣化状況に応じて一定期間ごとに見直す規定をあらかじめ管理規約に盛り込むことや、計画と連動した修繕積立金の見直しなどについて提示することを考えております。ガイドラインは、こうした適正な管理を行う上で、管理組合や売り主が実施することが望ましい事項を具体的に示すものであり、都は今後、関係団体と連携し、その普及に努めてまいります。
 
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■障害者自立支援策
   
 障害者が地域で自立して生活できる環境づくりを進めることは、これからの切実な課題であります。
 私は、本年五月、知的障害者や家族が実現を求めていた通所施設の設置を何とか促進させようと、厚生労働省を訪ね、西副大臣に要望してまいりました。
 都では、障害者地域生活支援緊急三カ年プランで単独の補助制度を設け、地域生活支援型の入所、通所施設やグループホームの設置を進めてきました。
 しかし、知的障害者に限っても、入所施設待機者はまだ千人ほどいることに加え、毎年養護学校を卒業する人が千人近くおり、そのうちかなりの人が施設の利用を必要としています。入所施設から地域に戻る人も含めると、新たな地域生活支援型の施設整備はますます必要となります。
 

 
質問1
 こうしたことから、緊急三カ年プラン後の新たな施設整備計画の策定が必要であります。また、緊急三カ年プランの対象外だった精神障害者についても、新たな地域生活支援の基盤整備が求められており、都は、知的障害、身体障害に加え、精神障害も含めたトータルな新計画を策定すべきと考えます。
 新たな計画では、施設整備だけでなく、障害者の就労支援を進めていくことも重要であり、区市町村の就労支援事業の拡大や、民間企業との連携なども含めたものとすべきであります。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 障害者に関する新たな計画の策定についてでございますが、現在、国は、知的、身体、精神の三障害に共通いたしました一元的なサービス提供体制の構築や、就労支援の強化を目的とした障害者自立支援法案の国会への再提出の準備を進めております。
 また、今月発表された東京都障害者施策推進協議会の中間提言におきましても、精神障害者も含め、区市町村が主体的に取り組む福祉サービスの基盤整備を積極的に支援していくことや、就労支援策を充実することが必要であるとされております。
 都としては、これらの動向や提言などを踏まえまして、障害者が地域で生き生きと暮らせる社会の実現に向けて、適切に対処してまいります。
 
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■警察大学校等移転跡地の整備
   
 本年五月、東京都、中野区、杉並区の三者による警察大学校等移転跡地の土地利用連絡調整会が、中野駅そばの跡地約十四ヘクタールを含む土地利用計画案を発表いたしました。跡地利用では、にぎわいの核となるまちづくりが進められますが、周辺は十万人規模の広域避難場所に指定されており、防災公園を中心とする三、四ヘクタールの緑地空間を設けるとされています。
 

 
質問1
 広域避難場所であることの重要性を考慮するなら、都はその責務として、防災空間を確実に設置することを第一に取り組むことが大事だと考えます。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 警察大学校等の移転跡地整備における防災空間についてでございますが、都は、地震時の大火から都民の生命を守る重要な防災空間として避難場所を指定しております。このため、公共用地だけでなく、大規模民有地についても、所有者の協力を得て、その確保に努めております。当該跡地は避難場所に指定されていることから、土地利用転換後におきましても、その機能が引き続き担保できるよう、都は、関係区とともに、本年五月に発表した跡地利用計画案に盛り込んだところでございます。
 今後、地区計画などを活用し、必要な防災空間を確保してまいります。
 

 
質問2
 跡地に最初に建設される新東京警察病院についても、災害時の医療拠点として十分機能を発揮できるよう、都は取り組んでいくべきであります。所見を伺います。
 また、小児救急医療の機能や、現在同病院で実施されている女性専用外来について、思春期外来も含め、さらに充実した形での実施を強く要望いたします。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 東京警察病院についてでございますが、本病院は平成二十年春に千代田区から中野区へ移転する予定であり、新病院の整備に当たりましては、ヘリポートの設置や免震構造の採用など、災害時の医療確保にも配慮していく予定と聞いております。
 都は、現在、東京警察病院を災害発生時の医療機能確保のための災害拠点病院の一つに指定しておりますが、引き続き同病院を災害拠点病院として指定する予定でございまして、移転後もその機能が十分に発揮できるように努めてまいります。
 
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