人間優先で外環地上部の整備を
東京農業の維持・発展のために |
高橋 かずみ(自民党) |
■テロ対策 |
去る七月七日と二十一日にロンドンで連続爆破テロが発生するなど、世界の大都市にテロの脅威が広がっており、今やテロ対策は世界共通の重要課題であります。
かつて、東京でも地下鉄サリン事件を経験しております。以降、我が国でも危機管理体制の整備が叫ばれ、こうしたテロなどに対応するために、ようやく国も本格的に立ち上がり、現在、都でも国民保護計画の作成を進めているところであります。
国民保護法の仕組みでは、まず、国がテロであるとの事態の認定を行い、被災者の避難や救援などについての方針を示し、それに基づいて知事が具体的な措置を行うことになっております。しかし、こうした仕組みで果たして都民の安全を守れるか、疑問に感じざるを得ません。
そこで、お伺いいたします。
質問1
ロンドンのようなテロが起きた場合、知事としてどのような考えで対応するのか、ご所見をお聞かせください。
答弁1 ▼知事
テロへの対応についてでありますが、テロの未然防止は基本的には国の役割でありますけれども、日本の首都であり、頭脳部であり、心臓部であります東京でのテロへの備えは、国はもとより、東京都の重要な課題でもあります。
万が一テロが起きた場合、人的、経済的にも甚大な被害を招きかねず、都としては、迅速な初動対応により被害の最小化に努める必要があると思います。
どういう形で大きな暴力行為が現出するかはわかりませんが、それについて国がテロと認定する前であろうとも、既存の法律や制度に拘泥することなく、首都東京を守るため、知事の判断によりまして直ちに自衛隊の出動を求めるなど、被害者の救出、救助に当たるなど、全力を挙げて緊急事態に対処していくつもりでございます。
質問2
都は、現在、東京都国民保護計画の作成を進めておりますが、今後どのようにテロへの対処の実効性を高めていくのか、伺います。
答弁2 ▼総務局長
世界の大都市でテロが相次いでおり、今回公表しました国民保護計画の素案では、テロへの対処も重点課題の一つとして位置づけをしております。
素案では、都がこれまで実施してまいりましたNBCテロ災害を想定した訓練などの成果を踏まえまして、特に、不特定多数の人々が利用する鉄道や劇場等の施設における警戒や、避難誘導などの体制強化を図っていくこととしております。
現在、事業者と意見交換をしておりまして、今後は、さらに計画に基づくテロ対応のマニュアルの整備や訓練の実施を事業者に働きかけるなど、実効性を高めてまいります。
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■東京外かく環状道路の整備促進 |
外環の計画については、これまでも首都東京の再生のため、一貫して事業促進の立場から、機会あるごとに質問をしてまいりました。
私の地元練馬区では、八月十日に練馬区の外環建設促進議員連盟主催で練馬区外環整備促進大会を開催し、大深度方式による早期整備、青梅街道、目白通りへのインターチェンジ設置などについて決議し、国土交通大臣と都知事に要請を行ったところであります。
また、国と都は、関係する区市とともに、これまで三年以上にわたり住民との話し合いを続け、八月二十三日には、外環の必要性の議論について区切りをつけたと仄聞しております。
さらに、九月十六日には、国土交通大臣と都知事が計画の具体化に向けた国と都の考え方を公表するなど、外環の早期整備に向けた取り組みは着実に前進しております。
ところで、外環には高速道路の本線だけでなく、地上部に都市計画道路外環ノ2が計画されております。しかしながら、練馬区の西部地域における南北方向の都市計画道路は、この外環ノ2を含めて四路線計画決定されておりますが、その整備は著しくおくれており、大地震の際の避難など、防災面が脆弱であります。また、外環ノ2が計画されている上石神井駅周辺では、地域の活性化に向けたまちづくりの検討も進められております。
質問1
そこで、この地上部の都市計画道路外環ノ2について、今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。
また、地上部の都市計画道路を整備するに際して、広い歩行者空間の確保や自転車通行レーンの設置、緑豊かな道づくりなど、人間優先の視点に立った道路整備が必要であると思いますが、都の見解をお伺いいたします。
答弁1 ▼都市整備局長
外環地上部の道路についてでございますが、外環本線にあわせて計画されている都市計画道路外環ノ2は、東京の幹線道路のネットワークを形成し、交通の円滑化を図るとともに、地域の利便性向上や沿線のまちづくりに寄与する道路でございます。
これまで都は、外環本線を地下化した場合の外環ノ2の取り扱いについて、緑豊かな道路とするなど、検討の方向を地元に示してまいりました。
今後は、本線の計画の具体化にあわせて、国や沿線自治体などとともに検討を進めてまいります。
次に、人間優先の視点に立った外環ノ2の道路整備についてでございますが、都市計画道路は、都市の活力や防災機能の向上のみならず、質の高い生活環境の実現など、都民生活を支える重要な都市施設でございます。
これまで都は、高齢者の増加や人々の意識、ニーズの多様化への対応など、利用者の視点に立ち、道路整備の推進に努めてまいりました。
外環ノ2の検討に当たりましても、ご提案の広い歩行者空間の確保や、緑豊かな道路づくりについて、国や沿線自治体など、関係機関と協議、調整を図ってまいります。
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■補助第二三〇号線の整備 |
次に、地下鉄大江戸線の導入空間である補助第二三〇号線の笹目通りから大泉学園通りまでの整備について、お尋ねいたします。
本路線は、地元住民が待ち望んでいる都営地下鉄大江戸線の大泉学園町方面への延伸に際し、その導入空間ともなる路線であり、早期の整備が期待されているところであります。
質問1
笹目通りから土支田通りまでの道路整備については、一部の区間において、ことしの三月に事業計画決定された練馬区施行の土地区画整理事業によって具体的に動き始めたと聞いております。
また、そのほかの区間についても、機会あるごとに、地域の熱き要望を受けて質問をしてきたところでありますが、改めて、この笹目通りから土支田通りまでの区間で行われている、いわゆる沿道一体整備について、現在の取り組み状況と今後の見通しについてお伺いいたします。
答弁1 ▼都市整備局長
補助第二三〇号線の笹目通りから土支田通りまでの区間の沿道一体整備についてでございますが、この事業の目的は、道路の整備にあわせて沿道の民間開発を促進し、良好な市街地が早期に形成されるよう誘導するものでございます。
このため、練馬区と連携しながら地区計画などのルールづくりを進め、この九月には関係権利者に対する相談会を開催するなど、土地利用の意向把握に努めてまいりました。
今後は、本年七月に着手した用地測量を年度内に完了させ、沿道のまちづくりに向けて、早期事業化を目指してまいります。
質問2
さらに、その西側である土支田通りから大泉学園通りまでの区間については、まちの将来像に関する意向調査を実施していると聞いております。そこで、今後の整備に向けた取り組みについてお伺いいたします。
答弁2 ▼建設局長
補助第二三〇号線の土支田通りから大泉学園通りまでの区間の取り組みについてでありますが、平成十五年度に練馬区と検討会を設置し、これまで沿道の土地利用の現況調査などを実施しております。
今年度は、練馬区におきまして、まちづくりに関するアンケート調査を沿道の方々を対象に実施し、対象者の三割に当たる約千通の回答をいただきました。現在、十一月のアンケート結果の公表に向け、取りまとめを行っております。
今後、この結果を踏まえ、歩行者の安全や沿道の環境に配慮し、街路整備とあわせた地区計画の策定など、沿道のまちづくりについて練馬区と検討を進めてまいります。
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■都市農業の振興対策 |
質問1
都内には、農産物を販売している農家が約八千戸あります。これらの農家の多くは、消費者に近いという立地上のメリットを生かし、付加価値の高いブランド野菜や果樹ををつくり出したり、少量多品目型生産に取り組むなど、創意と工夫を重ねた経営を展開しております。
しかしながら、こうした努力にもかかわらず、サラリーマン並みの所得を家族全体で稼ぎ出しているのは、このうちの一〇%にも及びません。それだけ、農業で生計を立てることが厳しいということであります。
我が党は、農業者の努力が報われ、経営的に魅力ある都市農業にならなければ東京農業の維持発展はないとの危機感から、これまで以上に東京の農業者を支援する事業を拡充するよう提案し、その実現を図るよう、強く求めてまいりました。
そこで、都は、厳しい生産環境の中で汗をかいて農業を続けていこうとする農業者の思いを酌み、東京農業の維持と活性化のために、次代を担う農業者をどのように支援していくのか、お伺いいたします。
答弁1 ▼産業労働局長
次代を担う農業者への支援についてでございますが、都は、担い手の確保、育成のため、新たに就農する後継者を対象に、栽培方法や経営等の研修を実施しております。また、農家の女性の農業経営への参画意欲が高まっておりまして、農産物の加工や販売等の研修を実施してまいりました。
一方、農業経営の活性化のために、これまで収益を向上させる栽培施設や直売所の設置等に集団で取り組む農業者を支援してまいりましたが、今年度からは個別の農業者も対象に加え、減農薬栽培に取り組むエコファーマーや、経営改善に意欲的な認定農業者等を重点的に支援しております。
今後とも、次代を担う農業者を積極的に支援し、東京農業の維持と活性化に努めてまいります。
質問2
さて、先日、都内二十三区の緑被率が減少しているとの新聞報道がありました。都内には、現在約八千四百ヘクタールの農地があります。これは東京の公園面積約七千ヘクタールを大きく上回り、都民にとって大切な緑地となっております。
農地は、都民に新鮮で安全な農産物を提供する生産機能のみならず、ヒートアイランド現象の緩和や雨水浸透による洪水防止機能、さらには災害時の避難場所など、多くの公益的機能をあわせ持っております。
しかし、こうした貴重な東京の農地が、最近五年間で約一千ヘクタールも減少しております。さらに、農家の高齢化に伴う農地の遊休化も進んでおります。将来にわたって東京の農地を確実に保全していくことが、東京の緑を守る点からも不可欠であります。農業の後継者を確保することはもちろんのことでありますが、広く一般都民の参画と協力を得ることが必要ではないかと思います。
練馬区では、全国に先駆け、農家が区民に農業を教える体験農園を開園して、高く評価されているところであります。このシステムは、わずか十年で都全体に広がり、現在では十五区市、三十四農園、二千区画を超えております。多くの都民が農業に興味を持ち、携わってみたいと考えているのであります。
都は、こうした中、今年度から貴重な農地と多様な担い手をマッチングさせる事業を開始したとのことでありますが、事業の趣旨と具体的な内容をお伺いいたします。
新たな担い手をはぐくみ、広範な都民の支持を得なければ、将来にわたる東京農業の発展はあり得ません。これからもさまざまな工夫を凝らし、東京農業をより盤石なものにしていただきたいと思います。
答弁2 ▼産業労働局長
次に、農地と担い手のマッチング事業についてでございます。
本事業は、農地の遊休化を防ぐため、就農を希望する都民と遊休農地とを取り持つことを目的としております。本年九月からデータベースの構築を開始し、当面、都内遊休農地の約一割に当たる二百カ所と、就農を希望する都民千人の登録を目指しております。
今後は、地元の区市町村や農業委員会と協力しまして、遊休農地の円滑な貸借関係の形成に向けた働きかけや、荒廃した農地の整備など、マッチングに向けた条件を整えてまいります。
これにより、新規の就農希望者や農作業の受託を望むNPO等の多様な担い手を確保し、遊休農地の最適な活用を図ってまいります。
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■東京の住宅施策 |
質問1
公営住宅を初めとする公的住宅は、地域に暮らすすべての住民の共有財産であります。そうした観点から、東京の住宅施策の推進に当たっては、総合的かつ体系的な取り組みとともに、地域に配慮したきめ細かな施策の展開が求められます。
そのためには、地域の実情や地元住民の要望等に通じており、福祉施策やまちづくりの中心的担い手である区市町村との連携が極めて重要であります。
こうした中、区市町村においては、公的住宅の管理戸数が増加しているにもかかわらず、一部には管理体制等が脆弱な面も見受けられます。このため、区市町村に対する都の積極的な支援が不可欠であると考えます。
そこで、お伺いいたします。
今年度から、地域の自主性や創意工夫の活用に配慮した地域住宅交付金制度が、国において新たに構築されたと聞いております。そうした制度も活用しながら、都は、区市町村との連携を密にし、必要な支援をしていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
答弁1 ▼都市整備局長
区市町村の住宅施策への支援についてでございますが、東京の住宅施策を推進する上で、福祉や地域のまちづくりの担い手である区市町村との連携は重要であると思っております。
都は、これまでも実務研修会などを通じ、適正な公的住宅の管理に向けた情報提供や技術支援を行うとともに、老朽化した区市町村の公営住宅の建てかえに対しても、財政支援を行っております。
今後は、こうした取り組みに加え、今年度創設された地域住宅交付金制度を活用し、この制度に基づく地域住宅計画の策定を通じて、区市町村の住宅施策の推進を支援してまいります。
質問2
次に、高齢者の民間賃貸住宅への入居支援策についてお尋ねいたします。
最近の調査結果によりますと、世帯主が六十五歳以上の都内の高齢者世帯のうち、毎年五千世帯を超える世帯が、民間賃貸住宅に新たに入居しているとのことであります。高齢社会がますます進展する中、今後も民間賃貸住宅に入居する高齢者世帯の増加が予想されることから、都はこれまで、高齢者が民間賃貸住宅に入居しやすいよう日常の見守りサービスなどを行う、あんしん入居制度により支援を行ってまいりました。
しかしながら、窓口が東京都防災建築まちづくりセンター一カ所であることから、高齢者が利用しにくい状況にありました。こうしたことから、都は、この十月から利用拡大に向けて、申込窓口を地域の不動産業者に広げていくと仄聞しております。地域の不動産業者は、家主との関係など地域社会でのつながりも深く、これまでも高齢者の入居の仲介に努めるなど、重要な役割を果たしてまいりました。
地域の不動産業者をあんしん入居制度の申込窓口として活用することは、高齢者などを地域で支えていく仕組みの一つとして、大変意義のあるものだと思います。高齢者等の居住の安定確保を進めていくためには、より多くの不動産業者でこの制度が取り扱えることが重要だと思います。そのために都はどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
答弁2 ▼都市整備局長
あんしん入居制度の拡充についてでございますが、この制度は、高齢者の民間賃貸住宅への入居支援を目的とするものでございます。その利用拡大を図る上で、地域に密着して活動している不動産業者の協力を得ることは、大変重要だと思っております。
このため、不動産関係団体と連携し、この十月から、地域の不動産業者を窓口として申し込みを受け付ける新たな制度を開始することといたしました。現在、円滑な導入に向け、不動産業者への説明会や研修をきめ細かく実施しております。
今後とも、より多くの地域の不動産業者の参加が得られるよう、関係団体と連携して積極的に取り組んでまいります。
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■水道局研修・開発センター |
質問1
最後に、水道事業についてお尋ねいたします。
水道事業の使命は、安全でおいしい水を安定的に供給することであります。そのためには、これまでの事業運営を通して蓄積してきた職員の経験や技術を十分に活用し、施設の運転や維持管理を適切に実施していくことが不可欠であると思うのであります。
東京都水道局では、これまでもアウトソーシングの拡大等による職員定数の削減に努めており、このことは評価しておりますが、一方では、職員が現場での経験を積む機会が少なくなっていると聞いております。効率化に向けた取り組みを今後ともさらに進めていく中で、これまで蓄積してきたノウハウや技術をいかに維持し、将来に伝えていくかが、喫緊の課題となっているのであります。
さらに、水道事業が直面する新たな課題に対応していくための技術開発についても、我が国最大の水道事業者として、東京都水道局の積極的な取り組みが求められております。
こうしたことを踏まえ、水道局では新たに研修・開発センターを設置し、本格的な研修開発体制が整うと聞いております。将来に向けた研修開発機能の充実は、東京都のみならず、日本の水道界全体に及ぶ重要課題であると考えます。
そこで、研修・開発センターを核として、今後どのような取り組みを展開していくのか、お伺いいたします。ぜひ、将来に禍根を残すことのないよう、遺漏のない万全の体制を整えていただきたいと思います。
答弁1
▼水道局長
水道局研修・開発センターにおける今後の取り組みについてお答えいたします。
ご指摘のとおり、水道は都民生活と都市活動を支える重要な基盤施設でございまして、絶えることなく安定した給水を行うという使命を果たしていくためには、これまでの事業運営を通じまして培ってまいりましたノウハウや技術の継承が不可欠であると考えております。
このため、研修・開発センターを核といたしまして、実習フィールド等を活用いたしました実践的なトレーニングを充実するなど、人材育成に積極的に取り組むとともに、水道固有のニーズに対応した技術開発を行ってまいります。
また、日本水道協会や大学、民間企業等と連携いたしまして、我が国水道界全体の技術の維持向上に努めてまいります。
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