行財政改革は知事の強い指導で
マグニチュード6級震災対策を |
藤井 一(公明党) |
■東京オリンピック |
都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に質問いたします。
公明党は、都議会議員選挙の全員当選に引き続き、さきの衆議院選挙においても連立政権の中にあって、日本の構造改革を進める重要な立場をいただきました。国の政策や制度も駆使しながら、安全・安心の東京、少子高齢社会対策など喫緊の東京の課題解決に総力を挙げて取り組んでまいる決意であります。
質問1
本定例会の冒頭、知事は、東京オリンピックの招致を目指す意向を表明されました。一九六四年に開かれた東京オリンピックから四十一年、今再び東京オリンピックの開催を目指すことは、成長し続ける大都市東京の姿を世界にアピールする絶好のチャンスであり、知事の提言に賛同するものであります。
東京でオリンピックを開催する以上、従来のような単なる地球規模のスポーツの祭典で終わらせるのではなく、今、世界の大都市が直面する共通の課題に真っ向から挑戦し、二十一世紀にふさわしい大都市のあるべき姿を世界に発信する機会とすべきであります。
二〇一六年のオリンピック開催に照準を定め、安全・安心の防災、防犯先進都市東京、人間や地球に優しい環境先進都市東京、少子高齢社会に対応する福祉先進都市東京、そして交通・物流・情報通信のネットワーク先進都市東京を実現し、広く世界に都市再生のモデルを提示すべきであります。東京でのオリンピック開催は、千客万来の観光都市東京の実現、そして薄明かりの見えてきた景気回復の足取りを確固たるものにし、日本再生を促進する上でも重要であります。
知事の明快な所見を伺います。
答弁1
▼知事
東京オリンピックについてでありますが、東京オリンピックでは、単なる国際的なスポーツ大会の枠を超えて、膨大な都市施設のストックを有効活用するとともに、我が国の高度な技術力や多様な歴史文化の蓄積とスポーツとをうまく組み合わせて、日本民族ならではの独特の情操、価値観というものを提示していきたいと思っております。
このオリンピックを引き金にして日本を覆う閉塞感を打破し、二十一世紀の国際都市東京の姿を内外に発信していきたいと思っております。
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■行財政改革 |
平成十年度決算において巨額の赤字を計上した都財政は、財政再建団体転落の危機に直面する中、二度にわたり財政再建推進プランを策定し、全庁を挙げて財政再建に取り組み、その結果、平成十七年度予算において財源不足の解消を実現いたしました。
しかし、依然として、いわゆる隠れ借金は約九千億円に上り、一方で、都の財政需要は間違いなく増加が見込まれ、今後の財政運営は決して楽観できる状況にはありません。折しも来年度は第二次財政再建推進プランの最終年度に当たります。そこで、改めて都政全般にわたってのむだを省き、より効率的で効果的な都政を実現していく必要があります。
そこで、伺います。
質問1
第一に、規制緩和による歳出削減、効率化であります。現行の行政による規制や基準の中には、安全性や環境への配慮、あるいは施策の効果から見ても、根拠や存在理由を失ったものが少なくありません。例えば、学校建設の場合、教室の天井の高さは三メートルと決められています。これをオフィスビル並みの二・七メートルに改めれば、校舎建設費の二、三%の経費節減ができます。天井の高さを二・七メートルにしても子どもたちの教育環境には何ら支障がありません。都内のある小学校の場合、約五千万円の校舎建設費が節約できるという試算があります。
公明党の神崎代表がこうした事例を小泉首相に伝えたところ、首相は早速、文部科学省に指示を出し、規制緩和が検討されることになりました。こうした事例はほかにも数多く存在するはずであります。
したがって、都は、このような規制緩和による経費節減の事例を洗い出し、国に対して積極的に規制緩和を要請すべきであります。所見を伺います。
答弁1
▼財務局長
経費節減につながる規制緩和の洗い出し、及び事業の仕分けを通じた歳出削減の取り組みについてであります。
都は、財政再建推進プランに基づき、最少のコストで最大のサービスを目指す、時代変化に即して都の施策の範囲及び水準を見直す、国の仕組みを変えるという三つの基本的視点から、抜本的な事業の見直しを進めております。
先ほどお話のあった規制緩和の洗い出しと事業の仕分けにつきましては、我々の目指すところと軌を一にするご指摘であると受けとめております。
今後、経費節減、歳出削減をより一層進めるためには、監理団体を含めた各局、各部署が、国の規制を絶対視したり、既存の制度を漫然と継続することなく、より現場に近い立場から絶えず問題意識を持つことが重要なことであり、全庁一丸となってすべての事業の見直しを徹底していきたいと考えております。
質問2
第二に、徹底した事業の仕分けを展開し、大胆な歳出削減に着手する必要があります。従来型の一律カットの手法では、歳出削減はなかなか進展しません。そこで、行政のすべての事業について、そのサービスが本当に必要かどうか、また、行政と民間ではどちらが効率的か、さらに事業の効率的な執行のためには都、区市町村のどちらが所管すべきか、あるいは都の事業の各局の振り分けに不合理はないかなどを再度検討し、都の事業の絞り込み、あるいは事業の仕分けの推進を行うべきであります。
これまで都は、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合などの行政改革で所期の成果を上げてきましたが、残存する監理団体の中には、民間に売却した方がより効率的で効果的なサービスが提供できる団体がなお存在します。監理団体も含め、ぜひとも事業の仕分け作戦を展開すべきであります。所見を伺います。
都は、平成十八年度より、公会計制度を抜本的に改革し、複式簿記と発生主義会計を導入します。このことは公明党がかねてから主張してきたことであり、英断を下された知事に敬意を表するものであります。公会計制度における複式簿記と発生主義会計の導入は、全国の自治体のみならず、国も注目しているところであります。これはまさに行財政効率化のための最も効果的なツールであり、都民に対するアカウンタビリティーも制度的に保障されます。さらに、決算をスピーディーに行うことができ、前年度の決算評価を翌年度の予算に反映することが可能になります。
そこで、こうした公会計制度の改革にあわせ、都の行財政に対する新たな計画、実行、評価、改善というPDCAサイクルを制度化すべきであります。都の所見を伺います。
答弁2
▼財務局長
PDCAサイクルの制度化についてであります。
十八年度から導入する都の新たな公会計制度では、民間並みのコスト情報が反映された事業別財務諸表の作成が可能となり、ご指摘のように、行財政の一層の効率化を進める上で有効なツールを持つことになります。
今後は、事業を所管する各部署がこのツールを十二分に活用し、決算分析や事業評価の結果を次の予算に反映することが重要であります。
新たな公会計制度の導入にあわせ、各局と連携しながら、予算、執行、評価、改善を一連のものとしてとらえる制度としての東京都版マネジメントサイクルを構築していきたいと考えております。
質問3
これらの行財政改革は、何といっても強いリーダーシップのもとで実施されなければ実現できるものではありません。ぜひとも石原知事の強いリーダーシップのもと、より効率的で効果的な都政を実現すべきであります。改めて、行財政改革にかける知事の意欲、所見を伺います。
答弁3
▼知事
新たな行財政改革についてでありますが、国の方の改革が遅々として進んでいない中、都は、財政の立て直しに向けて道筋をつけるとともに、職員定数の大幅な削減や監理団体の統廃合など着実に成果を上げてきたと思います。
財政改革の努力の結果として、例えば起債の依存率は、都道府県では日本で一番少ない六・三%、国は何と四一・八%ということでありますが、いずれにしろ、それでもなお東京の改革には終わりはありませんで、行政のむだを徹底して省き、経営改革や職員の意識改革をさらに進めていく必要があると思っております。
新たに取り組む行財政改革では、公民の役割分担を原点から見直すとともに、国に先んじて導入する公会計制度や、新たな経営改革手法を積極的に活用していきたいと思っております。
新しい公会計制度、いろいろ問題もあるでしょうが、しかし、これを徹底しますれば、国会でやっているように、四年前の決算委員会を開いて、内閣もかわり、大臣もかわっているのに閣僚が決算委員会に出席するというようなばかな、そういうルーティンというのは廃止されていくと思います。
今後、十一月を目途に改革の指針を明らかにしまして、機を失することなくスピード感を持って、より効率的で効果的な都政の実現に取り組んでいきたいと思っております。
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■震災対策 |
質問1
次に、東京の安全・安心のための対策について伺います。
まず、震災対策について伺います。
公明党はこれまで、昨年の第三回定例会、第四回定例会、そして本年の第一回定例会本会議、予算特別委員会等で震災対策について取り上げ、今こそ都民の生命、財産を守り、東京の安全・安心のまちづくりのために住宅の耐震化を推進すべきであると繰り返し繰り返し訴えてまいりました。知事は、公明党の提案を受け、今定例会の所信表明において、木造住宅の耐震化の促進に取り組むことを明らかにしました。
震災対策の最大の眼目は、公明党が繰り返し強調している木造住宅の耐震化であります。公明党は、国が住宅の耐震化に乗り出し、各区市も耐震助成制度を行っている今こそ、都は助成制度を設け、住宅の耐震化に取り組むべきと主張してまいりました。今こそ知事の決断を促すものであります。知事の所見を伺います。
答弁1
▼知事
住宅の耐震化への取り組みについてでありますが、阪神・淡路大震災の例を見ましても、私も、三日後に運輸省の依頼を受けて行ったついでに、被害の甚だしかった長田区と東灘区を眺めてまいりましたが、ともかく相当古い鉄筋あるいは鉄骨の住宅でも残っておりますが、木造は全部倒れているというていたらくでありました。しかも、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は絶対に必要だと思っております。
都としては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域などの整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発など住宅の安全確保に努めてまいりました。
今後は、自助、共助、公助の原則を踏まえつつ、安価で簡易な住宅の耐震改修工法などを都民に広く情報提供していきたいと思っております。
静岡県がやっています事例を見ましても、幾通りかなるほどなと思うのがありまして、そういったものをゾーン、ゾーンでまとめて発注すれば価格も落ちつくと思いますし、いずれにしろ、そういう情報を広くとにかく都民に提供して、現実に少しずつでもまちを変えるということが必要だと思っております。
建物の倒壊による道路閉塞は致命的なことになります。それを防止するなど、公共性の高い地域については、耐震化助成の検討など、都民の負担軽減を図っていきたいと思っております。
首都東京の防災性を高めるために、より一層住宅の耐震化に取り組み、災害への備えに万全を期したいと思っております。
質問2
第二に、地震対策に関連して、現行の防災計画の見直しと、中規模程度の地震に対する新たな被害想定の策定について質問いたします。
ことし二月、国の中央防災会議では、マグニチュード七・三規模の首都直下地震に対する被害想定を発表しました。公明党は、本年第一回定例会の代表質問において、都も改めて被害想定の見直しを行い、それをもとにした対策の確立と減災計画を策定すべきであると主張いたしました。これに対し石原知事は、被害想定や地域防災計画を見直すと答弁をし、今定例会の所信表明でも同様の趣旨の発言を行いました。
そこでまず、新たな被害想定はいつ発表するのか、また、地域防災計画の見直しのポイントなどを明らかにすべきであります。
一方、七月に起きた千葉県北西部地震では、都内でも最大震度五強を記録し、エレベーターの長時間停止と人が閉じ込められるトラブルの発生、地域住民の避難体制の盲点、東京都の初動態勢の脆弱さなど、さまざまな課題が浮き彫りになりました。今回の地震では、人的被害、物的被害が少なくて済みましたが、過去の地震の周期から見て、今後も同程度の規模の地震が多発する可能性は極めて高いと多くの地震学者が指摘しております。
そこで、マグニチュード七・二規模の首都直下地震とは別に、マグニチュード六からマグニチュード七未満の地震による被害想定を新たに策定し、独自の対策を確立すべきであります。都の所見を伺います。
その際、新たな対策に取り組むに当たっては、今回の地震の教訓を生かすことが重要であり、一つには、エレベーター閉じ込め防止対策、二つには、建物などの下敷きになり自力での脱出が困難になった場合、民間の建設機材などを活用した救助体制の整備などが緊急課題であります。また、既に指摘されている、高齢者や障害者などのいわゆる災害時要援護者の避難体制の整備も、改めてその必要性が浮き彫りにされました。これらの課題に対する当局の見解を伺います。
答弁2
▼総務局長
まず、地震の被害想定及び地域防災計画の見直しについてでございます。
現在検討中の新たな被害想定は、国の中央防災会議が公表した被害想定に加えまして、千葉県北西部地震で顕在化した都市型災害や、現行の被害想定を策定した平成九年以降の東京の状況変化を踏まえまして、年度内に取りまとめ、公表することとしております。
また、地域防災計画の見直しに当たりましては、中高層ビルの被害やターミナルごとの帰宅困難者数、地域別被害状況などをもとに具体的な検討を行い、予防対策から応急対策まで抜本的な見直しを行い、来年度に策定する予定でございます。
次に、マグニチュード六クラスの地震の被害想定と、それに基づく対策についてでございます。
この規模の地震は、首都圏において発生する可能性が高いといわれております。また、全都的に大きな被害が出ると予測されるマグニチュード七クラスの地震に比べまして、このクラスの地震は、地域別に被害の大きいところとそうでないところが鮮明となり、これに伴う想定は、計画的な地震対策を行う上で有効でございます。
このため、現在検討中の被害想定の中に、マグニチュード六クラスの地震における被害想定も取り込むこととし、その対策についても十分検討してまいります。
次に、エレベーター並びに自力脱出が困難な方の対策についてでございます。
エレベーターの閉じ込め対策につきましては、緊急停止システムの改善や救出体制の整備などが重要でございます。都は既にエレベーター業界へこれらを働きかけておりますが、国も対策を検討しておりまして、国等と十分連携しながら対策を講じてまいります。
また、自力脱出が困難な方の対策につきましては、九月一日の都の総合防災訓練におきまして、東京消防庁、消防団及び地域ボランティアが、地域連携を想定し、救出訓練を実施いたしました。
今後、区市町村に対し、建設機材を有する地域企業の参加による救出訓練の実施を新たに働きかけるなど、地域における救出体制の整備に努めてまいります。
▼福祉保健局長
災害時要援護者の避難体制の整備についてですが、災害発生時に、高齢者、障害者などのいわゆる災害時要援護者に迅速に避難いただくためには、情報伝達体制の整備、災害時要援護者情報の共有及び避難支援計画の具体化が重要であります。
こうした点を踏まえ、本年三月には、国の検討会におきまして災害時要援護者の避難支援ガイドラインが取りまとめられ、区市町村に示されました。
都は、災害時における要援護者への対応について、障害者団体や民生委員などを通じて周知を図るとともに、安全対策の徹底に努めており、今後、ガイドラインも踏まえた区市町村の取り組みが強化されますよう、支援と総合調整を行ってまいります。
質問3
第三に、予算特別委員会で指摘しましたが、耐震改修に名をかりた悪徳商法への対策も不可欠であります。安心して耐震改修を依頼できる耐震診断士制度を創設すべきであります。見解を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
耐震診断士制度の創設についてでございますが、都民が安心して住宅の耐震化に取り組むためには、技術者の育成と適切な情報提供が重要でございます。このため、建築関係団体と連携し、耐震診断や耐震改修を行う建築士、工務店等の知識、技能の向上に向けた講習会を実施するとともに、講習会修了者に関する情報を都民に提供する仕組みを構築してまいります。
今後とも、都民が安心して耐震化が図れるよう、積極的に取り組んでまいります。
質問4
第四に、地震計ネットワークについて伺います。
先般の千葉県北西部地震では、地震計データを気象庁へ送信するのに二十二分もかかり、その結果、官邸対策室の設置や首都高速道路の閉鎖がおくれるなどの大きな影響が出ました。今回明らかになったのは都の地震計システムの能力不足でありましたが、各区市町村に設置されている地震計については、その老朽化が懸念されます。データのもととなる区市町村の地震計は、阪神・淡路大震災後の平成八年から設置し、既に十年近くが経過しており、信頼性に疑問が提示されております。首都直下型地震に備え、地震計更新を含めシステム全体の再整備が必要と考えます。所見を伺います。
答弁4
▼総務局長
地震計システムの再整備についてでございます。
今回の千葉県北西部地震では、地震計データの送信のおくれや機器の老朽化などの課題が顕在化しました。
都は既に送信時間を短縮するとともに、都が主導して、国と八都県市による地震計データ伝送等改善検討委員会を発足させました。送信時間や機器の更新、システムのバックアップ等の課題につきまして、年度内には方針を取りまとめる予定でございます。
この方針を踏まえまして、空白地域の解消を目指すとともに、一層の信頼性の向上を図るため、地震計の更新を含めたシステム全体の再整備を進めてまいります。
質問5
次に、税制面からの住宅の耐震化促進という観点から、固定資産税について申し上げます。
都は、景気対策のため、平成十二年より、新築住宅については三年間、固定資産税、都市計画税を減免しております。しかも、五十平方メートルから百二十平方メートルの住宅では全額免除であります。中小企業への景気波及効果が極めて高い耐震改修についても、固定資産税の免除を行うべきであります。見解を伺います。
答弁5
▼主税局長
固定資産税の減免措置を講じることにつきましては、さまざまな耐震化促進策の中の助成制度の効果等との比較考量、そして、中古住宅一戸当たりの固定資産税負担額が一万九千円程度でありまして、これを減免するとした場合の効果及び他の既存住宅との税負担の公平の問題など、種々検討すべき課題がございます。
今後、ご指摘の中小企業への波及効果も含めまして、関係局と連携を図りつつ、国の税制改正の動向をも見きわめつつ、引き続き検討してまいります。
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■水害対策 |
質問1
水害対策に関連し、地球温暖化対策について伺います。
知事も所信表明で述べておりますように、地球温暖化に対する取り組みが国家レベルで求められており、八都県市でのディーゼル対策や都としてのCO2削減計画に積極的に取り組む知事の姿勢を高く評価するものであります。
今、アメリカでは、相次ぐ強大なハリケーンの発生で、地球温暖化防止条約京都議定書への参加を拒否したブッシュ大統領に批判が高まっております。世界の異常気象からかけがえのない地球を守るため、アメリカを初め世界に向けて温暖化防止への取り組みを呼びかけるべきであります。知事の明快な所見を伺います。
答弁1
▼知事
地球温暖化対策でありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨、そういった異常な気象が頻発しておりまして、災害が頻発しておりまして、島しょ国家は、例えばマーシャル、キリバチそうでありますけれども、水没の危機に瀕しているなど、地球温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると思います。
かつてクリントンの時代に、アメリカがイニシアチブをとっていい出した京都議定書が、代がかわり政党がかわれば、アメリカのイニシアチブで今度はつぶされる。アメリカだけがとにかく参加しないという理解できない状況が起こっているわけですけれども、今回のアメリカは気の毒ではありますが、二つのハリケーンでずたずたにされたというのは、これはやっぱり自然のアメリカの今日の政治姿勢に対する一つの批判ではないかという気がしないでもございません。
いずれにしろ、京都議定書が二月に発効しました。これを日本も遵守し、それぞれの国が力を合わせて温暖化対策に真摯に取り組む必要があると思っております。
いずれにしろ、この気候変動による深刻な影響を防止するためには、世界の国々がその責任に応じて温暖化対策に取り組まなければならないと思っております。
都はこの夏、温暖化対策に積極的に取り組むドイツやイギリスの政府とともに、温暖化対策の強化を呼びかける一連のキャンペーンを行ってまいりました。今後とも東京から先駆的な温暖化対策に取り組むとともに、その成果を世界各国に発信するなど、地球温暖化の防止に向けた世界的な機運を高めるよう、都としても最大限の努力を行っていくつもりでございます。
質問2
次に、水害対策について伺います。
九月四日から五日未明にかけて、中野、杉並、世田谷、北区などは、一時間最大一一二ミリ、総雨量二六〇ミリの集中豪雨に見舞われました。その結果、中野、杉並両区を中心に東京都全域で約五千棟に及ぶ水害被害が発生しました。被災者の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
都議会公明党は、直ちに集中豪雨対策に関する具体的な申し入れを都知事に行ったところであり、公明党の提言を受け、被災者に対し都営住宅の提供など迅速な対応策を講じたことを高く評価するものであります。都においても、引き続き被災者支援を進めていくべきであります。
さて、都は、これまで調節池や護岸の改修等に取り組み、治水対策を推進してきました。今回の被害の状況では、河川が未改修であった地域の被害が大きかったようであります。被害を受けた方々は、これまでも大雨のたびに危険にさらされ、不安な日々を過ごされてきました。この不安を一日も早く解消することが都の責務であります。頻発する今回のような集中豪雨と浸水被害に対して、都は真正面から立ち向かい、河川整備の前倒し実施など当面の対策並びに中長期の対策が必要と考えます。都市型水害への取り組みについて、まず知事の決意と所信を伺いたいと思います。
答弁2
▼知事
都市型水害への取り組みについてでありますが、治水は政の根幹をなすものでありまして、都はこれまでも河川の整備に重点的に取り組んでまいりました。
今回の集中豪雨は、何しろ一時間に一〇〇ミリ、場所によっては短時間で二六〇ミリという記録的な降雨、豪雨でありました。
被害が多かった妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸未整備区間の早期整備を指示いたしました。
今後とも、未整備区間の解消や、流域の特性に応じた貯水池の効果的な整備など、治水対策に積極的に取り組んでいきたいと思っております。
自然の災害というのは人間の知恵を超えたものがありまして、施設の整備だけで対応するにはおのずと限界があると思いますが、自助、共助の観点から、みずからの地域の危険性をまず知っていただく浸水予想区域図の公表など、ソフトの対応、提供も必要であると思っております。
都民の生活を守るために、ハード、ソフトの両面から総合的に治水対策に取り組み、推進していきたいと思っております。
質問3
今回の集中豪雨では、都内全域で五千棟にも及ぶ浸水被害が発生し、特に半地下の車庫や地下室への浸水が目立ちました。水害に関しては、既にハザードマップが作成されており、集中豪雨による被害もある程度予測が可能であります。
そこで、事前に被害が予測できる地域、また過去に被害が繰り返された地域に関しては、止水設備や排水ポンプの設置を今まで以上に強く誘導し、義務づけることが必要であります。さらに、被害を拡大した半地下式住宅などについても、今後はその規制のあり方等を検討すべきであります。所見を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
地下室などにおける浸水対策についてでございますが、集中豪雨による河川のはんらんから都民の生命、財産を守るためには、河川の整備とともに、地下空間における浸水対策が重要であると考えております。
都はこれまで、地下空間への浸水を防ぐための防水板の設置など、国が定めたガイドラインの普及啓発に努めてまいりました。今後、業界団体を通じ、さらにその活用を図るとともに、都が主催する講習会、ホームページへの登載などにより、積極的にガイドラインの周知徹底を図ってまいります。
また、浸水が予想される地域につきましては、区市町村と連携し、地区計画を活用した地下の住居規制などの方策を検討し、浸水対策の一層の推進に努めてまいります。
質問4
さて、今回の水害では、大惨事につながりかねない深刻な事例も数多く報告されています。
杉並区のある半地下のマンションでは、住居の一階部分が天井近くまで水没、住人が気づいたときには既にドアが水圧であかず、一一九番通報もつながらなかったために、近所の人が窓を割って救出しました。
また、妊娠中の女性が駆けつけた救急隊員に助け出され、ボートで病院に搬送されたり、体の不自由なご婦人の寝ていたベッドが水没寸前となり、近くにいた公明党議員が腰まで水につかりながら、間一髪、救助いたしました。
一方、行政サイドでも、通報や問い合わせの電話が殺到し、その対応に追われて、本来の業務や的確な初動態勢の確立に支障が生じたこともあったと聞いております。
したがって、重要なことは、災害対策本部や応急対策本部の立ち上げなどを初め、緊急時の態勢を今回の災害の教訓を生かして見直すことであります。区市町村の役割、都、国の役割を改めて明確化した上で、災害の状況に合わせて的確かつ弾力的に対応できる態勢をあらかじめ検討し、整備すべきであります。とりわけ、災害時の情報収集・伝達体制、職員の出動、消防、警察との連携などの初動態勢のスムーズな展開が重要であり、都は、区市町村との連携を今まで以上に強化すべきであります。所見を伺います。
答弁4
▼総務局長
初動態勢における都と区市町村の連携強化についてでございます。
被害を最小限に食いとめるため、災害発生時における情報収集、伝達や、職員参集などの初動態勢の確保は極めて重要でございます。都はこれまでも区市町村に対し、職員の動員配備計画や警戒情報の収集、伝達などの整備について働きかけを行ってまいりました。
今後は、この災害を教訓といたしまして、災害情報の活用や避難勧告の判断基準の共通化などに努めるとともに、災害時における迅速な対応に向け、区市町村と連携を一層強化してまいります。
質問5
関連して、これまで水害被災者に対しては、災害救助法の適用がない限り、一時的な避難場所として都営住宅の活用が行われておりませんでした。区市の担当者からは疑問の声が寄せられておりました。火災は、焼失面積が七割以上の場合、罹災住宅として都営住宅が活用されるものの、水害の場合は、家が流されたりしない限り適用外とされてきたわけであります。
今回の広域水害の場合は、災害救助法の適用前に水害被災者に対して都営住宅の活用を都が打ち出したことは高く評価するものであります。今後も、水害発生時における被災者への都営住宅の活用については明確な基準を設けるべきであり、区市町村の要請にこたえて弾力的に活用すべきであります。所見を伺います。
答弁5
▼都市整備局長
水害発生時における被災者への都営住宅の活用についてでございますが、これまで都は、三宅島噴火災害のような大規模災害発生時に都営住宅等の一時提供を行ってまいりました。
今回の水害におきましては、被災した各区市からの要請にこたえ、災害救助法適用外の区域も含め、床上浸水のため避難所等に避難した被災者に対して、原則一カ月、必要に応じて三カ月まで、都営住宅を提供することといたしました。
今後とも、自然災害により住居が全壊、半壊、床上浸水した場合などは、区市町村からの要請にこたえながら、一時避難所として都営住宅を弾力的に活用して、被災者の居住の安定を図ってまいります。
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■学校の安全対策 |
質問1
公明党の提案を受け、文部科学省は、今年度の新規事業として、学校安全ボランティア、いわゆるスクールガードを活用した地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を実施することとしております。
この事業においては、小学校におけるスクールガードを対象とした養成講習を今年度十四の区市で実施するとともに、これらのスクールガードの指導や学校の安全体制について指導助言するため、地域学校安全指導員、すなわちスクールガードリーダーによる巡回指導を十一の区市、百四十七校で行う予定と聞いております。早期に事業を開始すべきと考えますが、具体的な事業開始日程について伺います。
答弁1
▼教育長
学校安全ボランティアについてでございますけれども、都教育委員会といたしまして、学校安全のために地域のボランティアを活用する取り組みを進めることが極めて重要でありますことから、ご指摘の地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業を区市町村の希望に応じて実施することとしております。
具体的な事業開始日程につきましては、都教育委員会から実施区市に対しまして、九月中旬に実施についての文書を発出したところでありまして、具体的に準備の整った区市から、十月以降順次実施していく予定でございます。
質問2
平成十七年度に初めて実施する事業であり、実施の調整が整わなかった区市町村や、補正予算が組めないため実施がおくれた区市町村もありますが、今後とも各区市の教育委員会と連携を密にし、来年度はこの事業を実施する区市町村の増加を図るべきと考えます。都の所見を伺います。
答弁2
▼教育長
来年度の実施区市についてでございますけれども、ご指摘のように、本年度については、さまざまな事情によりまして本事業の実施を見送った区市も見受けられますことから、各区市町村に来年度の事業の実施についてのアンケート調査を行ったところ、スクールガードの養成講習につきましては十九区市、スクールガード・リーダーによる巡回指導につきましては二十五区市から、来年度の事業実施の希望が寄せられているところでございます。
東京都教育委員会としましても、今後とも多くの区市が実施できるよう努めてまいります。
質問3
次に、警視庁においては、警察官OBを活用したスクールサポーターを警察署に配置し、非行防止や児童等の安全確保に効果を上げています。このスクールガード事業を実施するに当たっては、警視庁と関係部局の密接な連携が必要であると考えます。例えば、スクールガードの養成講習における講師を警察官や学校関係者に依頼し、また、スクールガードリーダーについては、経験豊かなノウハウを有している警察官OBに委嘱するなど地域の警察署との連携が重要であり、そのためにも関係部局による連携協力の体制を整えるべきであります。教育長の見解を伺います。
答弁3
▼教育長
関係部局の連携、協力体制についてでございますが、都教育委員会では、本年二月の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、教育庁の関係課に加えまして、青少年・治安対策本部及び生活文化局の参加を得まして、学校安全体制の整備等に関する連絡会を設置し、関係部局との連携を図っているところであります。
地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業につきましても、この連絡会でその内容を調整し、さらに警視庁と連携しつつ、事業実施のための準備を進めているところであります。
今後、この連絡会に区市の参加を求めて拡充いたしまして、なお一層関係部局との連携を図り、本推進事業の円滑な実施を図るとともに、事業成果の普及等にも取り組んでまいります。
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■少子高齢社会対策 |
質問1
まず、少子化対策について伺います。
全国的に少子化が進む中、東京は合計特殊出生率は全国最低でありますが、いわゆる都心回帰などにより児童数そのものは増加するという、他の都市には見られない状況にあります。こうした状況の中で、大都市東京の長として、少子化対策に関する知事自身のお考えをまず伺いたいと思います。
答弁1
▼知事
少子化対策についてでありますが、少子化は、ある程度社会が豊かになり成熟してきますと、高齢化が進んだ先進国においては、長期的に見ると例外なく進行していく現象だと思います。
しかし、それが度を越しますと、やはり危機感が増殖されて、フランスにしろドイツにしろ果敢にこれに取り組んで、ある効果を上げていますが、いずれにしろ、その背景には、それぞれの国家の成り立ちや社会経済システム、国民性、価値観などによる相違があると思います。
また、少子化への対応も、税制や児童手当、労働環境の整備などさまざまな方法が考えられます。
無論、単純にそれをまねて横引きできるものではありませんが、フランスにしろどこにしろ、日本の身になってみますと、非常にサジェスティブな先例もございまして、これをじかに見聞することは、この国の次代を担う子どもたちの健全な育成を考える上でも意義あるものと思っております。
実は先般、ある予定がございまして、あわせてフランスに行って事情を視察しようと思いましたが、そちらの方の予定が中止になりましたので、残念ながら行けませんでした。日を見て、日程の都合がつけば、ぜひ現地に赴いて勉強してきたいと思っております。
質問2
次に、子育て支援策について伺います。
先月発表された厚生労働省の人口動態統計の速報値によると、ことし上半期で我が国の人口が既に三万一千三十四人も減少したことが明らかになりました。下半期もこの傾向が続けば、年内にも我が国の人口は史上初めて減少に転じることになり、政府の予測よりも二年早く人口減少時代に突入することになります。
そこで、公明党の提案によって昭和四十四年から東京都で発足し、今や国の制度となった児童手当についても、人口減少を食いとめたフランスやドイツの例に倣い、その対象年齢や支給額を大幅に引き上げるべきであり、ようやく世論もそれを認めるようになりました。かつて一部野党やマスコミがばらまきと批判したことが、いかに時代認識を欠いた批判であったことが明らかになったのであります。
公明党はさきの衆議院選のマニフェストで、児童手当の対象年齢を来年度から小学校六年生まで引き上げ、所得制限についても一千万円まで引き上げることを明記しております。これは極めて実現性が高い施策であります。
そこで、都制度である乳幼児医療費助成制度について、公明党はこれまで、制度の対象年齢の引き上げと所得制限の緩和を主張し、段階的に実現してまいりました。この制度の所得制限は、平成六年の制度創設以来、児童手当と連動しておりますが、来年度から児童手当制度の所得制限が公明党のマニフェストどおり大幅に緩和された場合、医療費助成制度の所得制限についても、当然これに準拠して緩和されるべきであります。見解を伺います。
また、対象年齢については、現在、小学校就学前までとなっておりますが、これでは早生まれの子どもは六年強しか助成を受けることができないケースが生じるため不公平であるとの指摘もあります。対象年齢を七歳の誕生日前までとするべきであります。所見を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
乳幼児医療費助成制度についてですが、この制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、ご指摘のとおり、所得制限の基準は、国における児童手当に準拠してきたものです。
お話のように、この基準の緩和は国の課題でございますが、これまで児童手当に準拠してきたという経緯を踏まえた上で、今後とも制度の趣旨に沿うよう適切に対処してまいります。
次に、乳幼児医療費助成制度の対象年齢についてですが、現在、本制度の対象年齢を義務教育就学前としているのは、小学校においては、学校保健法に基づき定期健康診断の実施や保健室の設置など、健康管理体制が確立されていることを踏まえたものであり、現在の対象年齢の設定は適切なものと考えております。
しかしながら、現在の対象年齢について不公平であるという指摘もあるとのお話でございますので、今後、関係者からの意見も聴取してまいります。
質問3
次に、都営住宅を活用した少子化対策について伺います。
少子化対策のベースは、いうまでもなく、安心して子どもを産み、育てられる環境を整備することであり、まず第一には住宅の確保であります。都は、全国に先駆けて若年ファミリー世帯を対象に独自の期限つき入居制度を導入しました。しかし、都心及び周辺区の利便性の高い地域だけでなく、すべての区と市で実施すべきであります。また、多子世帯についてもその優遇措置を拡充すべきであります。公明党は、本年の第一回定例会において、少子化対策として都営住宅の活用をさらに拡大すべきであると主張いたしました。
そこで、期限つき入居制度及び都営住宅を活用した多子世帯に対する優遇措置の拡充について、都の所見を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
都営住宅を活用した少子化対策についてでございますが、次世代を担う子どもを安心して産み、健やかに育てる上で、住宅の果たす役割は極めて重要であると認識いたしております。
若年ファミリー世帯向け期限つき入居制度につきましては、現在、都心及びその周辺区に限定して実施しておりますが、今後は、少子化の進行に対応して、対象地域を都内全域に拡大する必要があると考えております。
また、子どもが三人以上いる、いわゆる多子世帯への優遇措置につきましては、当選の確率が高くなる優遇抽選や、特別枠による優先入居を実施してまいりました。
今後は、多子世帯に対しても都内全域で期限つき入居制度を実施していきたいと考えております。少子化への都営住宅の活用に今後とも努めてまいります。
質問4
次に、認証保育所と保育ママモデル事業について伺います。
都が平成十三年に創設した認証保育所は、都民の保育ニーズにマッチし、好評を博しています。しかし、制度創設から五年目を迎えた現在、認証保育所制度もまた新たな進化を遂げなければならない時期に来ていると思います。既に都内の主要な駅周辺に開設された認証保育所は、その地域にとって貴重な拠点施設となっており、さらにこれを発展させ、例えば家庭福祉員、すなわち保育ママなど既存のほかの保育機能との連携により、認証保育所をその地域における子育て支援拠点としてさらに整備、発展させるべきであります。所見を伺います。
答弁4
▼福祉保健局長
認証保育所についてでございますが、認証保育所は、事業者の創意工夫により質の高い保育サービスを提供していくことを基本的な考え方としており、ニーズの高い学童保育や病後児保育などの自主的取り組みを行っている施設もございます。
昨年度には、認証保育所と少人数で家庭的な保育を行う家庭福祉員とが、それぞれの特性を生かして地域の保育力向上を図る連携の取り組みがモデル的に実施されました。今後は、これらの取り組みにおける成果や課題を、保育関係者などと連携しつつ検証してまいります。
質問5
次に、子どもに関する相談体制について伺います。
昨年度、都の児童相談所が処理した児童虐待の相談件数は三千二十六件と、十年前の十四倍近くに上っております。本年四月には児童福祉法が改正され、住民に身近な区市町村が児童相談に応じる第一義的な窓口となり、都道府県は、区市町村への支援と困難事例への対応に重点化することが明確にされました。
既に都においては、全国に先駆け、身近な区市町村の相談窓口として子ども家庭支援センターの設置を進めるとともに、児童虐待防止の機能を持つ先駆型子ども家庭支援センターの設置を進めております。公明党もこれまで、早期に全区市町村に設置すべきであると主張してまいりました。
そこで、先駆型子ども家庭支援センターの現在の設置状況と、全区市町村への設置の具体的なスケジュールをお示しいただきたい。
また一方で、児童福祉法の改正により都の役割も明確化され、今まで以上に高い専門性を有した相談体制が求められております。都が進める、仮称子ども家庭総合センターについては、都全体を視野に入れた広域的かつ専門的な子育て支援のセンターとして位置づけ、福祉と保健の分野にとどまることなく、教育や青少年健全育成の分野なども含めた親と子を支援する拠点としていくべきであります。所見を伺います。
答弁5
▼福祉保健局長
先駆型子ども家庭支援センターについてでございますが、都はこれまでも、地域における児童虐待防止の取り組みを一層推進するため、区市町村における総合的な相談支援の拠点としての役割に加えまして、家庭における児童虐待防止のための機能もつけ加えました先駆型子ども家庭支援センターの設置を促進してまいりました。その結果、昨年度よりも十二カ所増加し、現在二十区市に設置されております。
本年四月に策定いたしました次世代育成支援東京都行動計画では、平成十九年度までに四十九のすべての区市での設置を目指しており、この目標達成に向け、今後とも強力に働きかけてまいります。
次に、子ども家庭総合センターについてでございますが、家庭や地域の養育力が低下する中、虐待、非行などの問題は複雑、深刻化しております。こうした問題に適切に対処するためには、福祉、保健、教育、警察などの専門機関の連携をより強化し、相談体制についてもその充実を図ることが必要であります。
そのため、新たに設置する仮称子ども家庭総合センターにおきましては、関係各局が連携して支援を行う総合相談窓口の設置に向け、現在、児童相談センターを所管する福祉保健局、教育相談センターを所管する教育庁、少年センターを所管する警視庁が参加して、鋭意検討を進めている段階でございます。
質問6
次に、介護予防拠点について質問いたします。
九月十八日の総務省の高齢者人口の推計によると、六十五歳以上の高齢者は総人口の二割に達し、国民の五人に一人は六十五歳以上となっています。
こうした急激な高齢化に対し、公明党は昨年四月、介護予防十カ年戦略を発表し、平成二十年までに中学校区に一カ所、平成二十三年までに小学校区に一カ所、介護予防拠点を整備する構想を掲げました。
現在、区市町村では、来年度の介護予防の本格実施に向けて介護保険事業支援計画の作成が進められており、また国の交付金や都の補助金を受け、モデル的に施設整備に着手しています。
しかし、早くも、介護予防教室に申し込んでも定員が少なくてなかなか入れないとか、遠くて通うのが大変などという声が上がっており、身近な介護予防サービス拠点の早期整備が強く望まれています。
こうした我々の主張を受けて都は、本年三月の予算特別委員会において、公共施設や学校施設の活用はもちろん、民間のスポーツクラブやアスレチッククラブなども活用して介護予防拠点の整備を進める方針を明らかにしました。
改正介護保険法が成立した現在、民間施設を活用するなど多様な手法を駆使して、人材の確保や必要な機器類の整備を含め、拠点整備を急ぐべきであります。都の所見を伺います。
答弁6
▼福祉保健局長
介護予防拠点の整備についてでございますが、お話の区市町村によるフィットネスクラブなどの民間施設等を活用した介護予防拠点整備への財政支援については、これまで国に対し提案要求を行ってまいりましたが、今年度、新たに創設された、国の地域介護・福祉空間整備等交付金の対象とすることができました。また都は、この交付金の対象とならないトレーニング機器などの整備に対しても、今年度、区市町村への独自補助を実施しております。
今後とも、これらの取り組みに加え、介護予防指導者の養成などの人材確保にも取り組み、来年四月からの改正介護保険法の施行に向け、民間施設等を活用して、身近な地域における介護予防拠点の早期整備に努めてまいります。
質問7
次に、高齢者及び障害者の居住安定策について伺います。
さきに述べたとおり、全国の六十五歳以上の高齢者は五人に一人に上り、十年後には四人に一人になると予想されています。増大する高齢者にとって大きな心配の種は、居住の保障であります。六十歳以上の高齢者で見ると、東京では約二割が民間賃貸住宅に入居し、今後とも増加傾向にあります。しかし、貸し主の側は、約六割が、病気や火災、事故などの懸念から、高齢者の入居に消極的であります。
都はこれまで、高齢者が民間賃貸住宅に入居する際に見守りサービスなどを行うあんしん入居制度を創設し、活用を働きかけてまいりました。しかし、その窓口は、防災・建築まちづくりセンター一カ所しかなく、利用者の負担も大きいことから、平成十三年の制度発足以降、その実績は約百五十件にとどまっております。
公明党は、本年の予算特別委員会において、後期高齢者や障害者にとっても安心して住める住宅の確保が重要であると主張いたしました。そこで、あんしん入居制度の申し込みの窓口を拡大して利用しやすいよう改善し、さらに障害者も利用対象に加えるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁7
▼都市整備局長
あんしん入居制度の拡充についてでございますが、高齢化の進展の中で、あんしん入居制度を高齢者等が利用しやすくしていくことは大変重要であると考えております。このため、制度の利用拡大に向け関係団体と協議を進めてまいりましたが、このたびその仕組みが整ったことから、十月の新制度実施に向けて準備を進めております。
新制度では、新たに障害者を対象に加え、さらに利用料金の引き下げやサービスの細分化を図るとともに、申込窓口を地域の不動産店に大幅に拡大いたします。また、関係団体、区市町村、福祉部局を加えた連絡会を設置し、新制度の普及促進を図ってまいります。こうした取り組みを通じ、高齢者等の一層の住居の安定に努めてまいります。
次に、高齢社会対策に関連し、シルバーパスの負担変更について一言申し上げます。
十七年度の税制改正で高齢者の課税最低限が引き上げられ、結果としてシルバーパスの負担が増大することのないよう、強く要望するものであります。
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■難病対策 |
質問1
難病とは、原因不明、治療法が確立されていない疾病であり、慢性的な症状、長期にわたる治療のため、本人のみならず家族にも介護や看護など物心両面にわたる重い負担がかかっています。
現在、国は百二十一の難病を指定し、そのうち四十五の疾病について医療費等の助成を行い、都は国の制度に上乗せして、二十七の疾病について独自の助成を行っています。福祉先進都市東京として大いに評価されるべきであり、今後も国に先駆けた取り組みを望むものであります。
そこで、現在、難病対策で課題の一つになっているのが、難病に指定されない難病患者へのケアであります。原因不明、治療法未確立など難病の範疇に入りながら、病名が指定されていないため施策の対象にならず、難病の重い症状に加えて、経済的、精神的な負担に苦しんでいる患者がいます。
都内に住む二十六歳のある女性は、全身にほくろがあり、低身長、低体重、聴覚障害で、十八歳のときにレオパード症候群の疑いと診断されました。しかしその後、原因不明の膵腫瘍、角膜混濁、右手・指の障害などさまざまな症状が次々と出て、最近になって反射性交感神経性ジストロフィーやスミス症候群の疑いがあるとも診断されました。
しかし、反射性交感神経性ジストロフィーもスミス症候群も難病に指定されていないため、施策の対象になりません。現在、それぞれの症状について対症療法は受けていますが、根本治療の方法は見つからず、家族も医療費の負担に苦しみ、親亡き後の生活も心配されています。
そこで提案ですが、国や都の指定を待って救済の手を差し伸べるのではなく、一歩踏み出して、国の指定を受ける前の難病患者を支援する枠組み、あるいは指定までのつなぎとなる新たな受け皿が必要であります。都の取り組みを強く求めます。所見を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
国の指定を受けていない難病患者への支援についてでございますが、ご指摘のとおり、国の治療研究事業以外の難治性疾患で苦しんでいる患者、家族がおられることは承知しております。都では、こうしたことを踏まえ、国の治療研究事業の対象とならない九疾病に対しても、都単独事業として医療費助成を行っております。
今後とも、国に対し、治療研究体制の充実や対象疾病の拡大を強く働きかけるとともに、新たな難治性疾患の実態把握や、東京都特殊疾病対策協議会委員に新たな分野の専門家を加えるなど、より幅広い見地から検討を行ってまいります。
質問2
また、小児慢性特定疾患対策については、このほど国の制度が改変され、対象疾病がふえ、対象年齢も延長されました。しかし、その一方で、対象疾患ごとの認定基準が厳しくなり、今回の制度改変で、医療費助成の対象から外れた子どもがいます。この認定基準について、疾病によっては厳格過ぎるのではないかという声も聞かれます。
一人でも多くの子どもが助成の対象になるよう、東京都として認定基準の見直しを国に働きかけるべきであると思いますが、都の所見を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
最後に、小児慢性特定疾患の認定基準についてでございますが、今回の児童福祉法改正により、小児慢性特定疾患制度は法的根拠を持つ安定的な制度となり、対象疾患の拡大を図る一方、対象者を重症者に重点化するため、疾患ごとの病状による認定基準を導入いたしました。あわせて、慢性疾患の子どもを養育した経験者が相談員となるピアカウンセリングをこの十月から新たに開始いたします。
お話のように、この認定基準につきましては、都民からさまざまなご意見もいただいておりまして、都としては、こうした声も含め、制度改正後の状況を十分に把握しながら、適切に対応してまいります。
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■団塊の世代を活用した若年雇用対策等 |
質問1
次に、雇用対策について伺います。
昨年六月、高齢者雇用安定法が改正され、定年年齢の引き上げや継続雇用の導入などが義務化されましたが、それでも二〇〇七年問題と指摘されているように、今後は、団塊の世代の大量退職により、企業現場における人材不足が深刻化すると危惧されています。またあわせて、ベテラン社員が培ってきた技術、技能の後継者不足や、業種、職種によっては労働力の確保が困難となるなどの問題が顕在化し始めております。
東京の活力を維持し、豊かな都民生活を実現するためには、団塊の世代が培ってきた技術や技能を、次代を担う若年者に円滑に継承することが重要であります。
したがって、団塊の世代のノウハウを次世代に伝授するという視点と、従来から課題となっていた若年雇用の促進、職業能力開発という視点を組み合わせた施策が重要であります。
そこで、昨年七月に開設し、若年者の就業支援にも積極的に取り組んできた東京しごとセンターと都内に十六校ある技術専門校との連携を強化し、団塊の世代の意欲と能力を活用した若年者に対する職業訓練の充実を図るシステムを構築すべきであります。同時に、そこで、再就職を目指す団塊の世代のスキルアップのための研修も可能にすべきであります。見解を伺います。
答弁1
▼産業労働局長
団塊の世代を活用した若年者に対する職業訓練の充実等についてでございますが、東京の産業の活性化と豊かな都民生活の実現を図るためには、団塊の世代の技術、技能を若年者に伝え、若年者の就業を促進することが重要でございます。
このため、しごとセンターと技術専門校が連携して、技術、技能を持つ団塊の世代を技術専門校の講師や民間企業における教育訓練指導者など、幅広く若年者の職業能力開発に活用する仕組みを検討してまいります。
また、団塊の世代の再就職も重要な課題であり、しごとセンターや技術専門校におきまして、スキルアップや新たな分野での就業を促進するため、能力開発の充実を図ってまいります。
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■アスベスト問題 |
質問1
過去にアスベスト製品を製造していた企業の従業員が中皮腫で死亡する事例が相次いで報告されています。また、従業員の作業服を洗濯した家族が、付着したアスベストで中皮腫を発病した事例も出てきております。さらに、工場周辺の住民まで中皮腫を発病し、事業者から見舞金の支給も行われています。このように、アスベスト被害は労働者だけにとどまらず、家族、周辺住民へと広がり、労働災害から公害へと認識を改めなければなりません。
アスベストは、一九七〇年代をピークに大量に輸入、使用され、吸い込んでから発症するまで平均三十八年とされることから、今後発病者がふえる可能性が懸念されます。したがって、都はこの問題で積極的できめ細かな対策を講ずるべきであります。
まず、都の施設におけるアスベストの使用状況及び処理状況を明らかにすべきであります。
答弁1
▼環境局長
都有施設のアスベスト使用状況等についてでございます。
都では、平成元年度に都有施設のアスベスト使用状況を調査し、その結果に基づき対策を進めてまいりました。吹きつけアスベスト等の使用が確認された三百九施設のうち、除去等の措置が必要とされた百九十施設すべてにおいて必要な対策がとられていることを確認しております。
なお、これまで対象としていなかった一部建材にまで調査範囲を広げるとともに、過去に対策を行った箇所の再点検も含めて、現在改めてフォロー調査を実施しており、十月半ばを目途に取りまとめる予定でございます。
今後、対策の必要性の優先順位が高い施設から順次、アスベストの除去、封じ込め等の対策を実施してまいります。
質問2
次に、学校の校舎等のアスベスト使用について、昭和六十二年に当時の文部省の全国調査が行われていますが、調査対象を昭和五十一年以前の建築物に限定したり、給食室や廊下を除外したため、全国で調査確認漏れが相次いでおります。
都内では、この夏休み期間を利用して、文京、大田、世田谷、北の四区で、十二の小中学校と児童館一カ所の計画的な除去工事が行われております。子どもたちが安全に過ごせるよう、学校等の教育施設はアスベストの使用が確認された場合、速やかに対策を講じるべきであります。
また、学校で使用している給食用のかまなどの用具類のアスベストも問題であり、緊急かつ速やかに取りかえを行うべきであります。都の取り組みを伺います。
また、学校の問題は、公立校だけでなく、私立の学校も同様の課題を抱えており、私学のアスベスト対策も不可欠であります。
答弁2
▼教育長
学校におけるアスベストへの対応についてでございますが、現在、文部科学省では、全国の学校施設及び用具類のアスベスト使用状況について調査を実施しております。
都教育委員会としましても、これらの全国調査に対応して都立学校及び公立小中学校について調査を進めており、さらに都立学校施設につきましては、都有施設の基準を踏まえまして、項目を加えた調査を実施しているところでございます。
調査の結果、都立学校においてアスベストの使用が確認された場合、施設におきましては緊急度に応じてアスベストの処理工事を行うとともに、用具類につきましても、緊急度に応じて使用禁止及びアスベストを使用しない用具等への交換措置を講じてまいります。
また、公立の小中学校につきましても、区市町村教育委員会に対し適切な対応を求めてまいります。
▼生活文化局長
私立学校に対するアスベスト対策についてでございます。
現在、文部科学省から調査依頼を受けまして、私立の幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専修学校、各種学校を対象に、吹きつけアスベスト等使用実態調査を実施しております。
都としては、昭和六十三年度、平成元年度に私立学校に対するアスベスト対策事業を実施したところでありまして、今回の調査結果に基づき適切に対処してまいります。
質問3
また、住宅関連では、都営、公社住宅が問題です。これらについても早急に対策を講じるべきでありますが、見解を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
都営住宅及び公社住宅のアスベスト対策についてでございますが、住宅は居住者が日常の生活を送る場であり、その安全性を確保していくことは重要であると考えております。過去の実態調査において判明した吹きつけ石綿等について、対策が必要なものに関してはすべて処理を行ったところでございます。
現在、環境局の方針に基づき、改めて都営住宅及び公社住宅における飛散性石綿含有材料の使用状況等について調査中でございますが、対策の必要が生じた場合には速やかに対処し、万全を期してまいります。
質問4
次に、アスベストを使用した建築物の解体によるアスベストの飛散が懸念されています。今後、建てかえの時期を迎え、解体工事が増加します。解体工事現場からの飛散を防ぐためには、まず対象を的確に捕捉し、適切な対策が行われているか、確認、指導することが重要であります。都の対応を伺います。
また、東京都は、どれだけ都内でアスベスト除去工事等が行われているのか、常にその実態を踏まえて、区市町村への技術支援や都民への情報提供を行うべきですが、都の考えを伺います。
答弁4
▼環境局長
飛散防止対策の指導等についてであります。
解体現場におけるアスベストの飛散防止を徹底するためには、対象となる工事現場を把握するとともに、事業者に対する的確な指導を行うことが重要であります。このため都は、関連業界に対し、解体作業場所の密閉など、法や条例に基づく飛散防止対策の徹底と、近隣住民への解体工事に関する情報提供を改めて要請したところでございます。
今後とも、解体工事現場への立入検査の強化や周辺の環境調査を実施するとともに、地元自治体と連携し、届け出時における指導を強化することや、事業者への説明会を開催することなどにより、飛散防止対策を徹底してまいります。
最後に、区市町村への技術支援等についてであります。
地元自治体がアスベスト除去工事に関し的確に指導監督を行っていくためには、解体現場を点検する上での留意点や、アスベスト建材に関する正確な情報を把握することが不可欠であります。
このため、都は、飛散防止マニュアルや点検の手引を作成いたしましたが、今後とも地元自治体からの技術的な相談に応じるなど、必要な支援を行ってまいります。
また、都民からの問い合わせ等に対しては、ホームページやパンフレットを十分に活用するなど、的確な情報提供に努めてまいります。
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■羽田空港跡地利用 |
次に、羽田空港の再拡張、国際化に伴う跡地利用についてであります。
国においては、現在、四本目の滑走路であるD滑走路整備事業が、来年の着工に向けて環境影響評価手続等を進めています。また、PFI手法を用いて行われる国際線地区の整備事業については、エプロン等整備事業が来年三月に契約される予定であり、国際線ターミナルや貨物ターミナルの整備事業も来年六月ごろには契約される見込みであると聞いております。
このように、国の事業は着々と再拡張、国際化に向けて整備されています。いよいよ今後は羽田空港跡地利用の検討を本格化していくことが重要であります。
地元大田区では、ことし六月に、跡地利用を検討するたたき台としてゾーニングイメージを作成しました。
そこで伺います。
質問1
第一に、沖合展開事業では二百ヘクタールとされていた跡地が、再拡張、国際化に至る過程で、残念ながら現在では五十三ヘクタールに縮小されてしまいました。これ以上減ってしまっては、跡地としてまとまりのある開発はできません。跡地の面積は五十三ヘクタールで確定すべきと考えます。都の所見を伺います。
答弁1
▼都市整備局長
羽田空港跡地の範囲についてでございますが、跡地は、国際線ターミナルなど国際化の拠点施設に隣接する重要な空間であると認識しております。
ご指摘のとおり、跡地の範囲は当初の二百ヘクタールから大きく変更されてきており、現在、国は、跡地の範囲の見込みとして五十三ヘクタールを都と区に対して提示しております。
跡地利用の検討に当たりましては、跡地の範囲が前提となることから、今後、再拡張、国際化の進捗に応じて、国が適切な時期に関係者と調整の上、責任を持って確定していくべきものと考えております。
質問2
第二に、当初は、都が埋め立てた羽田沖の土地を国が沖合展開事業用地として購入し、一方、沖合移転後の跡地を都が国から購入するという計画でありました。この計画どおり、五十三ヘクタールの跡地については、あくまで都が国から購入すべきと考えます。所見を伺います。
答弁2
▼都市整備局長
跡地の取り扱いについてでございますが、羽田空港を取り巻く状況は、沖合展開事業開始時から今日の再拡張、国際化に至る間で、財源スキームや跡地の範囲などが大きく変化してきております。
そうした中で大事なことは、空港機能をサポートするとともに、空港の持つ可能性を活用した跡地利用計画を立てることでございます。現在、国が所有している跡地の今後の取り扱いについては、その跡地利用の内容に応じて適切に対応していくべきものと考えております。
質問3
第三に、都はこれまで、跡地利用について主体的に検討を進めることを表明してきました。そこで、具体的な検討を進めるための課題は何か、また、今後の取り組みについて明らかにしていただきたいと思います。所見を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
跡地利用の課題とその取り組みについてでございますが、跡地利用の検討に当たりましては、まずは、今後明らかになる国際線地区におけるPFI事業の整備内容を十分踏まえることが必要でございます。その上で、幹線道路や護岸など跡地利用に不可欠な都市基盤施設の全体像を明確にしていくことが重要と考えております。
こうした課題を国や地元自治体とも調整しながら、都が主体となって跡地利用計画の策定に取り組んでまいります。
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■三宅島帰島支援 |
質問1
本年二月に帰島が開始された三宅村の発表によれば、九月現在、帰島した人は二千百五十八人であり、帰島した人の割合は六七%となっています。
公明党は、帰島後の三宅支援策を探るため、七月下旬、三宅島に視察団を派遣しました。私も同僚三名とともに参加しました。雄山からのガスも少なく、全島を車で回り、都道や橋、砂防ダムなどが整備されている現状を見てまいりました。
また、島民の代表と懇談し、さまざまな要望や苦情をお聞きしてきました。島民からは、空港や特養ホームを再開してほしいとか、観光客をふやしたい、漁場を整備してほしい等々、村や都、国の支援を強く求めていました。
そこでまず、都道や砂防ダムを初め、治山ダム、港湾等のインフラ施設の整備状況について明らかにしていただきたいと思います。
答弁1
▼総務局長
三宅島のインフラ整備の状況についてでございますが、都道を初め電気、水道等のライフラインは、住民の帰島までにすべて復旧しておりました。
その他のインフラの九月現在の整備状況でございますが、港湾等につきましては、被災した四つの港のうち三つの港の復旧が完了し、残る一つの港は今年度中に完了する計画でございます。
砂防ダムにつきましては、五十一基の計画中四十基が完成し、残る十一基も今年度中に完成する予定でございます。
また、治山ダムにつきましては、事業化されているダムの八割強に当たる百十基が完成しており、引き続き国など関係機関と連携しながら、残る整備を着実に進めてまいります。
質問2
第二に、三宅島空港の再開についてであります。現在、三宅島空港は敷地の半分が高濃度地区に指定されているため、定期航空路が途絶えたままになっています。島民を初め観光客が三宅島に行くには、夜行の船便しかありません。
そのような中、このたび知事が空港の早期再開に向け検討することを指示されました。空港の再開に当たっては、安全確保を十分に行わなければならないのは当然ですが、三宅島の早期復興には、三宅島空港の一日も早い再開が不可欠であります。
答弁2
▼港湾局長
三宅島空港の再開についてでございますが、三宅島の早期復興のためには、ご指摘のとおり、空港の一日も早い再開が極めて重要であると認識しております。
このため、三宅村安全確保対策専門家会議や国、航空会社などの関係機関と密接な連携のもと、火山ガスに対する空港利用者などの安全性の確保や、安全マニュアルの作成等、航空機の安全運航体制の整備、また、空港ターミナルビルの復旧及び脱硫化など、空港の早期再開に必要な準備を早急に進めてまいります。
質問3
第三に、雄山の噴火による火山灰が三宅周辺の海に堆積しているため、イセエビやトコブシ、テングサなどが減っています。そこで都は、築いそのための投石事業など早急に漁場整備を行うべきと考えます。
以上所見を伺い、代表質問を終わります。ありがとうございました。
答弁3
▼産業労働局長
三宅島の漁場整備についてでございます。
都では、噴火の翌年から、火山灰の堆積や流入による三宅島周辺漁場への影響を継続的に調査しております。現在、この結果を踏まえ、テングサの回復状況を示したマップを漁業者に提供しており、今年度は、伊勢エビなどの資源を回復するため、火山灰の影響が少なく早期の回復が望める赤場暁及び台ケ浜地域において、投石による漁場整備を進めております。
さらに、ハタ類の稚魚やトコブシなどの放流によって着実な資源の増殖を図っており、今後とも、三宅島漁業の復興を目指して積極的に取り組んでまいります。
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