都市型水害解消の迅速な取組を
オリンピックの東京招致に賛意 |
野村 有信(自民党) |
■行財政制度 |
平成十七年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
去る七月の都議選に続き、この十一日には衆議院選が実施され、我が党は激しい選挙戦を戦い、いずれも都民及び国民の皆様から大きなご信任をいただきました。
とりわけ衆議院選では、全議席の六割強の二百九十六議席を、また東京においても、小選挙区と比例を合わせ、全候補者を当選させていただきました。
我が党は、選挙戦を通して、我が国の構造改革の本丸として郵政民営化を争点に掲げ、国民の全面的な支持をいただきました。大きな政府から小さな政府へと、我が国の経済、行政、金融の改革が待ったなしの状態であることを、国民が切実に感じているからこその結果だったと思います。
さて、少子高齢化が進行する一方で、十年余に及ぶバブル経済崩壊後の長期低迷期に、国及び地方自治体は膨大な累積債務を背負い、呻吟しております。少子高齢社会において安定的な社会経済システムを維持するためには、これ以上の財政負担は極めて困難であります。
民間の資本蓄積が不十分な時代には国営企業が重要な役割を果たしてきましたが、世界第二位の経済大国である我が国においては、政府の担ってきた役割の中で、民間にできることは民間に任せるのが自然の流れだと考えます。
先行き不透明な三位一体改革の行方もしっかりと注視し、国から地方への税源や権限の移譲を着実に進めていかなければなりません。
また、憲法や教育基本法の改正などの国家的懸案事項についても、国家のありようや民族の気概をきちっと踏まえ、課題解決に向け道筋を明示していくときであると考えます。
ところで、今年度の経済財政白書によりますと、我が国経済は、バブル崩壊後の負の遺産を清算し、経済の重石となり長期停滞の大きな要因であった不良債権問題が正常化したとうたっています。
こうした状況を反映し、近年の経済活動は活況を呈し、直近のGDPや設備投資などは軒並み好転し、株価も高値を更新するなど、景気は踊り場を脱し、明るい兆しが見えてきました。都も、この機をとらえ、財政再建を確固たるものとしていく一方、都民の生命と暮らしを守り、首都東京のさらなる発展と日本の変革を目指し、首都機能の強化や防災・防犯、循環型都市づくり、中小企業振興、福祉・医療対策、教育改革などの課題解決に着実に取り組んでいく必要があります。
なお、先般知事は、平成二十八年オリンピックの東京招致を表明されました。前回の開催から既に半世紀がたち、今やバブル崩壊からも立ち直りを見せ、成熟した国家としてのありようを世界に示す絶好の機会になり得るものと考えます。
我が都議会自由民主党は、責任政党として、将来に向けた明るい展望を現実のものとするため、今後とも石原知事としっかりと手を携え、都政の重要課題に果敢に取り組んでいくことをお約束し、質問に入ります。
質問1
まず、財政問題について伺います。
先日、都は、平成十六年度普通会計決算を発表いたしました。依然として赤字が継続しているものの、実質収支の赤字額は、前年度の四百四十九億円に対し、二百七十六億円に縮小し、財政の弾力性を示す経常収支比率も改善するなど、着実に回復の兆しを見せております。
平成十一年当時の財政危機を知る我々にとっては、よくぞここまで回復してきたとの感があります。これは、まさしく、これまで石原知事と我が党がともに力を合わせ、財政再建推進プランを策定し、都財政の健全化に取り組んできた成果のあらわれであります。都財政は、財政再建という悲願を達成するまであと一歩のところまで来ていると我々は評価しております。
庁内では、既に十八年度予算編成に向けた作業が開始されているとのことでありますが、来年度は、第二次財政再建推進プランの最終年度であり、これまでの取り組みを総括する重要な年であります。十八年度予算は、財政再建の成否を左右するばかりか、都政全般に対する明るい展望を都民に示すことが期待される予算ではないかと考えます。
財政再建の手綱を決して緩めることなく、その一方で都民要望にも配慮し、しっかりと総仕上げをしていただきたいと思います。財政再建の達成に向けて、十八年度予算をどのように編成していくのか、知事の決意を伺います。
答弁1 ▼知事
十八年度予算編成についてでありますが、都財政は、財政再建に向けた懸命の努力がようやく実を結び始めておりまして、就任したころに比べれば、状況は大分好転してきたと考えております。
しかし、依然として巨額のいわゆる隠れ借金を抱えておりまして、決算でも赤字が続いており、加えて、少子高齢化の進展など今後の社会構造の大きな変化を考えますと、このところの税収の増加を考慮してもなお、まだまだ安心できる段階ではございません。
そのため、十八年度予算では、第二次財政再建推進プランの最終年度として、財源不足の解消など、プランの目標を確実に仕上げ、さらに隠れ借金の圧縮に努め、財政再建の足取りを確固たるものとしていきたいと思っておりまして、同時に、まちづくり、福祉、安全対策など喫緊の課題に対しては、限りある財源を重点的に配分し、東京のさらなる発展に向けた礎を築いていきたいと考えております。
質問2
財政運営においては、当面の課題に的確に対応することはもちろん、長期的な視点に立った戦略的な取り組みが不可欠であります。今後の都政が、社会構造の大きな変化に柔軟に対応し、より一層都民福祉の向上を図っていくためには、財政構造改革をこれからも間断なく進めなくてはなりません。
公会計制度改革で都の取り組んでいる複式簿記・発生主義の導入は、財政構造改革のための強力なツールであり、我が国初の取り組みに対し、その先進性を高く評価するところでありますが、新たな会計制度を確実に機能させるには、企業会計の発想や利点を活用し、都政改革につなげることこそが重要なのであります。
もとより、営利を目的とする民間企業と自治体とでは、その果たすべき役割やあり方は異なります。しかし、事業執行のスピードやコスト意識など、自治体の側が積極的に学び、取り入れていくべき部分も多いはずであり、そのことを都政を担う一人一人の職員がしっかり認識してほしいと思うのであります。
知事は、所信表明において、この会計制度改革を契機として職員の意識改革を進めていくと表明されましたが、これを敷衍した新たな会計制度のより具体的な活用の考え方について伺います。
答弁2 ▼財務局長
新たな会計制度活用の考え方についてでございますが、複式簿記・発生主義会計を導入する都の新たな公会計制度においては、個々の事業単位で、人件費、金利、減価償却費など、民間並みのコスト情報が反映された事業別財務諸表を作成することが可能となり、これまでは困難であった事業単位での費用対効果の検証などを行うことができるようになります。
重要なことは、この財務諸表を活用し、これまで以上に質の高い決算分析や事業評価を行い、その結果を次の予算に的確に反映させることであり、いわば東京都版マネジメントサイクルを構築していく必要があると考えております。
新たな会計制度を通じて、民間では至極当然のコスト意識や経営感覚を職員に根づかせ、こうした意識改革を原動力として、都政改革を強力に推進してまいります。
質問3
次に、地方法人課税の分割基準の見直しについて伺います。
平成十七年度の税制改正において、IT化の進展などを理由として、法人事業税の分割基準の見直しが行われました。しかし、これは、三位一体改革に伴う税源移譲を行うと、区市町村を含めた東京の地域が増収になるとして、東京都から六百億円を剥奪する税の理屈を全く無視した、単なる数字合わせであります。
加えて、最近、十九年度から実施される所得税から住民税への税源移譲によって、都や大都市に税収が集中することを殊さらに強調し、法人住民税を含めた地方法人課税の分割基準のさらなる見直しを検討する動きがあると聞いております。
法人住民税は、都や特別区の貴重な財源であります。こうした国の動きは、分割基準の見直しに名をかりて都をねらい撃ちにする財源調整にほかならず、断じて容認することはできません。今後、国のこうした動きに都としてどのように対応していくのか、知事の所見を伺います。
答弁3 ▼知事
分割基準の見直しについてでありますが、これは東京にとってはまさに法外、論外の国のやり口でありまして、既に法人事業税を既存の分割に決めたときも、全くこれは東京の立場、大都市の立場をしんしゃくせずに、ああいう乱暴な措置をとったわけですが、さらにこれが、IT化の時代に、ITを駆使して働いている本社の社員というものの、実質的に仕事の分量というのが逆にふえても、減っているわけじゃないんですが、それをどう解釈してか、地方の工場とかその他支店で働く人間たちの労働力というものをどういうふうに過剰に評価したのか、いずれにしろ、さらに一方的な分割基準を国が一方的に決めまして、東京の収奪を行っているわけです。
十七年度の法人事業税の分割基準の見直しは、これは税の理念や大都市の財政需要を全く無視した、地方交付税の不交付団体である東京をまさにねらい撃ちにした一方的な財源調整にほかならないと思います。
最近、さらに法人住民税の分割基準についても見直す動きがあるようでありますが、住民税は、地域の構成員に広く負担を求める性格の税でありまして、今、分割基準を見直さなければならない理由はどこにも見当たりません。
こうした不合理な財源調整を重ねて行うことは、公平であるべき税制を大きくゆがめるものでありまして、断じて認めるわけにはならないと思います。
都としても、都議会の皆様のご協力をいただきながら、理念のない国のこうしたその場しのぎの動きに対して、断固として対応を図っていきたいと思います。
そもそも、これはやっぱり、私の私見でありますけど、憲法違反の疑義も私はあると思いますし、まずとにかく、段階としては、都の税調でこの違法性について審議していただき、国とどういう形で争うかということを積極的に論議していただいて、対案をできるだけ早く出していただきたいと思っております。
質問4
次に、自治制度から行財政システム全般にわたる改革の新たな指針について伺います。
都は、石原知事の強力なリーダーシップのもと、職員定数の削減や監理団体改革を推進するなど、内部改革は大きな前進を見せております。
また、庁内の改革だけでなく、ディーゼル車排出ガス規制や治安対策など、都民の安全・安心を確保するため、都政が直面する緊急の課題について、国に先駆けて新たな施策を実行してまいりました。しかし、現実の社会経済は、常にダイナミックな変貌を遂げております。現状にとどまることなく、より効率的、効果的な行政サービスを提供するという観点から、都の行財政運営の仕組みを不断に見直すことが不可欠であり、都政ある限り行革に終わりはないのであります。
一方、我が国の地方自治制度は、昭和二十二年の地方自治法の施行から半世紀以上の歳月を経ていますが、国主導の中央集権的な性格を色濃く残したまま、今日に至るまで抜本的な見直しが行われていません。国と地方の役割分担を明確にしないまま依然として残されている国の関与と統制が地方分権の推進と自治の実現を妨げ、我が国の将来の発展にとって大きな障害ともなっております。
おくればせながら国は、地方税財政制度の見直しや、自治の枠組みを抜本的に改革する道州制を検討しておりますが、必ずしも本質的な議論が行われているとは思いません。
これらの改革は、国と地方のあり方を根本から見直すものであり、今後の都政運営のあり方や都民生活そのものに極めて大きな影響を与えるものです。首都東京の行政運営を預かるものとして、国に任せることなく、都の立場から具体的に発信をしていく必要があると考えます。
そうした認識のもと、都議会では、我が党が中心となって行財政改革基本問題特別委員会を設置し、自治制度の根本にさかのぼり、中長期的視点から都政のあるべき姿、都政の果たすべき役割について検討を重ねてまいりました。昨年九月に取りまとめた報告書では、執行機関に対して、行財政全般にわたる新たな改革の大綱の策定を強く求めたところであります。
今回、知事が自治制度から行財政システム全般にわたる改革の新たな指針を出されるということは、我が党の主張と軌を一にするところであると考えます。そこで、知事はどのような考えに基づいて指針を策定するつもりか、所見を伺います。
答弁4 ▼知事
新たな改革の指針についてでありますが、地方自治体の現況、現場というものを実態としてとらえていない国が、まさに机上の空論としかいいようのない、現実性を欠いた物の考え方を進めようとしておりまして、道州制をめぐる議論を見ましても、現行制度を維持したままの、地図の上での区割りに興じている印象を否めません。国と地方のあり方、ひいては我が国の形をどう変えていくかということを本質的に考えていないのが実情であります。
世界もそうでありますが、日本も、やはり時間的、空間的に非常に狭小な社会になりました。そういう中で、従来になかった行政というものがそれぞれの地域で求められているわけでありますけれども、それをいかに地域性、地域性というものを核に据えながら束ねていくかが地方の責任であると同時に、それを理解し、受け入れ、手を添えるのが国の責任だと思いますけれども、いずれにしろ、有効な手だてを一向に示さない国に先駆けまして、都は、地方分権改革に関する基本的見解を今後明らかにするとともに、八都県市の連携を駆使して、従来やってまいりました広域的な課題の具体的解決を図るなど、これまでも独自の取り組みを続けて、重ねてまいりましたが、そういった実態が国に伝わっていない。
先般も、私の古い友人であります、今、地方制度調査会の会長ですか、諸井君が訪ねてきまして、東京がイニシアチブをとってやってきました首都圏の広域行政の話をしまして、非常に参考になったといって帰りましたが、いずれにしろ、私たちが地道にやってきたこういった実績を生かしながら、自治制度のあり方について、地に足のついた検討を進めていくつもりでございます。
また、この改革にあわせて、公民の役割分担を原点から見直すなど、都みずからの行政改革をさらに進めていく必要があると思っております。
今後、都議会の行財政改革基本問題特別委員会の報告も踏まえて、自治制度から行財政システムの全般にわたる改革を一般的に取り組むための指針を明らかにし、国や他の地方自治体に対して強く発信していくつもりでございます。
質問5
自治制度のあり方を検討するに当たっては、都市がその生産や消費の拡大を通じて、日本経済を牽引する役割を果たしてきたことを忘れてはなりません。大都市、とりわけ首都東京の発展は、我が国の発展のためにも極めて重要であります。
多彩な人材や企業などが高度に集積する東京のメリットを生かしつつ、過度の集中に起因するさまざまな都市問題を克服し、国際的な都市間競争を勝ち抜くことが、日本全体の発展のために必要なのであります。
都市の興亡が国家の興亡を左右するといわれる現在、歴史的な考察に基づく都市のあり方や経済の実態を踏まえた都市経営のあり方などに関して、さまざまな見識に基づいた議論を得るためには、行政内部の検討にとどまることなく、専門家を交えた幅広い検討が不可欠であります。
今回の指針の策定に当たって、具体的に外部の専門家を活用してどのように検討していくのか伺います。
答弁5 ▼知事本局長
現行の自治制度には、国と地方の役割分担を初め、広域行政の枠組みや大都市行政のあり方など、地方自治の本質にかかわる課題が山積しております。この仕組みを変えることは、今後の都政運営や都民生活に大きな影響を及ぼすことから、法律や制度の側面からだけではなく、大都市東京の実態や、広域自治体として都が果たすべき役割を十分に踏まえた上で議論を進めていく必要があります。
そのため、さまざまな分野の専門家に加え、企業経営者等も交えた組織を設け、地に足の着いた東京発の自治論を展開してまいりたいと考えております。この会議では、道州制の議論や三位一体改革などの動向を見据えつつ、来年にかけて自治制度改革全般について方向を検討するとともに、本年十一月を目途に策定する指針の中にその議論の内容を反映させていく予定であります。
質問6
次に、都区制度改革について伺います。
我が党は、昨年九月に都区制度改革推進議員連盟を設立して以来、都区間で最大の懸案事項となっている五項目の課題について、たびたび質問してまいりました。それは、この問題が小中学校改築経費などの具体的な課題ばかりでなく、都区の役割分担と財源配分という改革の根本にかかわる大きな課題が含まれているからであります。
知事は、これまでの答弁で、東京の将来を見据えての改革、二十三区の行政区分のあり方も含めた都区の仕組みづくりなどを強調されてきております。地方自治制度が大きな変換期を迎えている今、都と区との関係を再構築するためにも、具体的な課題などは今年度中に仕切りをつけて、知事のいう将来展望を見据えた新しい都区協議に転換していくべきと思います。知事の所見を伺います。
また、協議は、現在までのところ入り口でとどまっており、具体的な課題についても合意点が見出せない状況にあります。残された協議期間はわずかであり、膠着状態を打開するためには、都区双方の歩み寄りが必要です。まず、都が現実的な解決の糸口を見出し、協議をまとめていくべきであると考えますが、所見を伺います。
答弁6 ▼知事
都区制度改革についてでありますが、日本の首都であり、頭脳部であり、心臓部でもあります東京の将来を見据えて、今後、抜本的な自治改革が必要であると思っております。そのためには、東京の行政を担う都と区の新たな関係の構築について、都区双方が根本的に考え直していくことが必要である、重要であると思っております。
都区の仕事の分担だけではなく、行政区分の問題なども、お互いに考えを出し合って議論していくことが、将来の東京の発展、日本の発展につながっていくと思っております。
今後、そうした議論を進めるためにも、現在、都区で協議中の小中学校の改築経費等の具体的な課題については、今年度じゅうの合意形成に向けて精力的に取り組んでいくつもりでおります。
▼総務局長
都区制度改革に関する都区協議についてお答えをいたします。
現在、特別区の助役と都の部長等で構成する都区財政調整協議会におきまして、五項目の課題の議論を進めております。これまでに協議会を五回開催しておりますが、去る九月二十一日には、個別の課題でございます小中学校改築経費、清掃関連経費、都市計画交付金につきまして、具体的な協議に入ったところでございます。
ご指摘の各課題の解決は大変重要であると認識をしており、今年度中の合意形成に向けまして、都区双方からの提案を含めてさらに議論を重ね、精力的に協議を促進してまいります。
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■災害対策 |
質問1
まず、水害解消に向けた取り組みについて伺います。
今月四日夜半から五日未明にかけて東京を襲った集中豪雨は、杉並区や中野区を中心に大きな被害を与えました。浸水被害を受けた都民の皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、我が党としても、甚大な被害にかんがみ、集中豪雨による被害者の救済措置について都知事に申し入れたところであります。
都においては、道路や護岸等の公共施設の早急な復旧にいち早く取り組むことと同時に、被害者の救済を迅速に行うことを切望いたします。
さて、都は、これまで一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう着実に河川整備を行ってきておりますが、今回の集中豪雨は、被害の大きかった杉並区内で、一時間最大雨量一一二ミリ、総雨量二六三ミリを記録しました。そのため、東京都全域で約五千棟に及ぶ浸水被害が発生しました。これは、整備水準をはるかに超える降雨であり、天災であったといわざるを得ません。
テレビ、新聞などの報道によれば、局地的な集中豪雨の頻発は、地球温暖化に端を発する地球規模の異常気象が原因ともいわれております。
そこで、最近の頻発する集中豪雨による都市型水害について、知事はどのような認識をお持ちなのか伺います。
答弁1 ▼知事
都市型水害についてでありますが、治水は、前から申し上げていましたように、政の根幹でありまして、都はこれまでも、治水対策として、護岸や調節池の整備に具体的に取り組んでまいりました。
今回の集中豪雨では、一時間に一〇〇ミリを超え、短時間で、場所によっては二六〇ミリを上回るという記録的な降雨、豪雨でありました。
神田川・環七地下貯水池において、完成間近の二期区間にも、現場の判断で急遽水を取り込みまして、被害の広大化を阻止するために総力を挙げて対策を講じました。これは非常に現場の果断な判断で、大きな結果を生んでくれたと思っております。
新人の議員の皆さん、ご存じないでしょうが、東京は既に、長年かけて膨大な、はんらんを防ぐための地下の貯水池をつくっているんです。二期工事もほとんどできたところへ今度のあれが起こったわけですが、ぜひあれをごらんいただきたい。
これに比べれば、海抜ゼロメートルが州土の大部分を占めているルイジアナにしろ、今回の被害地のテキサスですか、あの部分にしろ、私は、何で今までそういう整備をしなかったのか疑義にたえませんが、アメリカは自業自得で、ほったらかしにしてきたので、こういう災害に遭ったわけで、それに比べれば、これは本当に東京は万全に近い対策をして、今度、あの神田川の、要するに貯水池というものがいかに役に立ったかということを、私たちは改めて評価するわけでありますけれども、また、あの被害が多かった妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸の未整備区間の早期整備も指示いたしました。
自然現象にはとても人知で及ばぬものがございまして、設備の整備で対応するにはおのずと限界があるわけであります。水害に限らず災害には、都民の皆様に常に申しておりますが、まず自助、共助の精神で取り組んでいただくことが肝要であると思っております。
今後とも、区や、区市町村と十分に連携し、浸水予想区域図の公表などソフト対策も進め、都民生活の安全確保に努めてまいります。
質問2
また、今回の集中豪雨では、神田川・環七地下調節池において、平成九年の供用開始以来、第一期区間が初めて満杯となり、緊急措置として、現場の機敏な判断により工事中の第二期区間への取水を行ったと聞いております。そこで、この地下調節池の効果と今後の具体的な取り組みについて伺います。
答弁2 ▼建設局長
環七地下調節池の効果と今後の治水対策の取り組みについてでありますが、今回の集中豪雨により、環七地下調節池には二期区間を合わせまして四十二万立方メートルの洪水を貯留し、約三十ヘクタールの区域が浸水を免れたと考えております。
また、被害状況を検証しますと、一時間五〇ミリの降雨に対応する護岸や調節池が整備された箇所では比較的被害が少なく、減災効果が発揮されております。このため、妙正寺川や善福寺川の五〇ミリ護岸の未整備区間を緊急に整備できるよう、河川激甚災害対策特別緊急事業の実施に向け、現在国と調整を進めております。
また、平成十九年の出水期までに、妙正寺川からも環七地下調節池への取水が可能となるよう施設の整備を行うなど、水害対策に全力で取り組んでまいります。
質問3
次に、三宅島空港について伺います。
三宅島空港については、三宅村火山ガスに対する安全確保に関する条例により、空港敷地の北側半分が高濃度地区に指定されています。この結果、現在、緊急な場合におけるヘリコプターの使用を除き、使用できない状況になっています。
一方で、避難指示解除後七カ月が経過し、三宅島では、二千五百人を超える方々が生活を営んでおります。これらの村民の方々の生活の利便性の向上と、三宅島の観光産業振興をさらに後押しするために、三宅島空港の再開検討を知事が指示いたしました。速やかな再開を望みますが、一方で、まだ火山ガスが噴出中であり、高濃度地区という制約下で、村民や観光客の安全の確保を忘れてはなりません。
三宅島空港の再開に向け、どのように課題を乗り越えていくのか伺います。
答弁3 ▼港湾局長
三宅島空港の再開についてでございますが、三宅村が本来の姿を取り戻すためには、空港の早期再開が強く望まれます。再開に当たりましては、空港を利用する方々などの安全確保が重要であることはご指摘のとおりでございます。
具体的には、ターミナルビルの復旧、脱硫化や空港設備の改修等ハード面の整備、運航に必要な安全マニュアルの作成等、航空機の安全運航に必要な体制の確保が不可欠であると認識しております。
このため、空港の一日も早い再開に向け、三宅村安全確保対策専門家会議や、国、航空会社などの関係機関と密接な連携のもと、必要な準備を早急に進めてまいります。
質問4
次に、震災対策について伺います。
本年二月、国の中央防災会議は、首都直下で大地震が発生した場合、最悪で死者一万三千人、約八十五万棟の建物が全壊、焼失すると公表しました。
昨年来、新潟県中越地震を初め、福岡や宮城でも大規模な地震が相次いで発生し、大きな被害が生じています。首都東京に目を向けてみても、首都直下地震の切迫性が指摘される中、去る七月二十三日に発生した千葉県北西部地震では、都内で十三年ぶりに震度五強を観測し、都民は不安にかられました。
幸いにも大きな被害はなかったものの、エレベーターの閉じ込め、鉄道の運行停止など、新たな課題が明らかになりました。今回の地震の教訓を生かした今後の対応の方向について、知事の所見を伺います。
答弁4 ▼知事
震災対策の今後の方向についてでありますが、今回の地震で、都市機能が集中、集積している東京ゆえに、交通機関の混乱やエレベーターの閉じ込めなど、都市型災害が顕著にあらわれました。
都は、既に関係機関、業界へ改善を働きかけておりまして、また今後は、顕在化した課題を被害想定に取り込むとともに、地域防災計画の抜本的見直しを行ってまいるつもりであります。
さらに、訓練や啓発を通じ、都民の災害対応能力の一層の向上に努めていくつもりであります。
今後の、地震を天の配剤ととらえて、都市型災害に強い都市づくりに取り組み、全力を挙げて都民の安全を守っていきたいと思っております。
このところ、ちょっと地震が頻発しておりまして、国も何か慌てて直下型災害対策の委員会なるものをこしらえて、わけがわかっているのかわからないような学者も集めて会議をしておりますが、東京からも危機管理監と災害対策の志方参与が出席しておりますが、二人の報告を聞きますと、至るところピントがずれていて、行われている議論に現実性がないと。これはしようがないですが、やっぱり都は都で、みずからをみずから助けるという努力をこれからも重ねていくつもりでございます。
質問5
また、東京区部には、木造住宅密集地域のうち、震災時に甚大な被害が予想される区域が六千五百ヘクタールも存在し、その整備には莫大な費用と長期間を要することなどから、改善は余り進んでいないのが実態であります。
都は、こうした地域において、新たな取り組みとして、避難路や延焼遮断帯となる道路の整備と一体的に進める沿道のまちづくり、いわゆる沿道一体整備事業を進めようとしていると聞いています。その事業の基本的な考え方と現在の取り組み状況について伺います。
答弁5 ▼都市整備局長
沿道一体整備事業についてでございますが、木造住宅密集地域における沿道一体整備事業は、避難路や延焼遮断帯となる都市計画道路の整備をきっかけに、官民が協働して沿道のまちづくりを進め、地域の防災性の向上を図るものでございます。
都では、平成十六年度から、東池袋、鐘ケ淵両地区の整備を重点事業と位置づけ、沿道住民の意向調査などを実施してまいりました。この結果を踏まえ、本年七月には地元区とともに住民との懇談会を開催し、道路整備にあわせて住宅の共同化や不燃化が行われるよう、合意形成に努めております。年内には全国初の本格的な沿道一体整備事業として両地区の事業化を図り、これをモデルに今後事業を展開してまいります。
質問6
木造住宅の耐震化についてでありますが、阪神・淡路大震災では、昭和五十六年以前の木造住宅が多数倒壊し、死者六千四百名余の約八割が、倒壊した住宅などによる圧死でありました。新潟県中越地震、福岡県西方沖地震でも、昭和五十六年以前の木造住宅に大きな被害が発生しており、東京においても、木造住宅の耐震化は喫緊の課題であります。
都は、これまで木造住宅の耐震診断などについて都民に普及啓発活動などを行ってきていますが、知事もいわれるように、自分の家は大丈夫だろうという都民の危機意識の低下等もあって、木造住宅の耐震化は十分進んでいないのが現状です。このような状況にかんがみ、第二回定例会において、全会派の共同提案で、個人住宅の耐震化支援に関する決議を行いました。
都は、都民の負担軽減のためのさまざまな検討を行っていると聞いていますが、せめて寝室だけでも安全にするような安価で簡易な改修ができないものか、検討状況を伺います。
答弁6 ▼都市整備局長
木造住宅の耐震化についてでございますが、震災時に建物の倒壊から人命を守るためには、本格的な住宅の耐震化はもとより、安価で簡易な耐震改修工法の普及を図ることが重要でございます。
このため、都としては、住宅の補強工法や、建物が倒壊しても人命は守れる防災用のベッドなどの装置について一般に募集し、その中から経済性、信頼性にすぐれた工法等を選定し、広く都民に情報提供していく予定でございます。
また、避難の安全を確保するなど公共性の高い地域については、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しております。
今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえつつ、住宅の耐震化に向けて積極的に取り組んでまいります。
質問7
避難場所についてですが、地域の防災性の向上を図り、逃げないで済むまちを実現するには、長い期間を要することから、いざというときのために、避難場所の確保は極めて重要です。ところが、区部では、避難場所の約二割がグラウンドなどの民有地であることから、こうした土地が最近さまざまな開発にさらされていると聞いています。
避難場所の確保という観点から大きな問題であり、都は、このような開発に際し、避難場所をどのように担保し、どう確保していくのか所見を伺います。
答弁7 ▼都市整備局長
避難場所の確保についてでございますが、避難場所は、地震時の大火から都民の生命を守るため、鎮火するまで待つ場所であり、身近なところに必要な広さを確保することが重要でございます。このため、公園などの公共用地だけでなく、大規模民有地についても、土地所有者の協力を得て都が指定し、その確保に努めております。
しかしながら、ご指摘のような民有地については、開発に伴って避難場所としての機能の担保が困難となる状況が生じております。都といたしましては、開発を適切に誘導するための指針を策定し、その機能が引き続き確保できるよう協力を求めてまいります。
また、同様に、工場跡地などの大規模開発で生まれる空閑地につきましては、新たな避難場所として指定するよう努めてまいります。
質問8
東京港の震災対策について伺います。
一たび大規模地震により岸壁などの港湾施設が被災した場合、港湾の利用に支障を来たし、経済活動に多大な影響を及ぼすこととなります。このため、東京港では、震災時における緊急救援物資の輸送や国際コンテナ物流等の機能を維持することが、非常に重要な課題となっています。
また、防潮堤や水門等の海岸保全施設についても、液状化等に対する耐震強化策を万全にしておく必要があります。
そこで、東京港における耐震強化岸壁の整備や海岸保全施設への耐震対策にどのように取り組んでいくのか伺います。
答弁8 ▼港湾局長
東京港の震災対策についてでございますが、現在、東京港においては、阪神・淡路大震災後の新たな耐震基準に基づき、緊急救援物資や国際コンテナ貨物を輸送する耐震強化岸壁を順次整備するとともに、海岸保全施設についても液状化対策等を進めております。
首都直下地震の切迫性が指摘される中、先般公表いたしました第七次改訂港湾計画の中間報告では、東京港の防災機能の強化を最重点課題と位置づけ、耐震強化岸壁は、現行計画十八バースに加え、新たに品川ふ頭や中央防波堤外側など十四バースの整備を計画しております。また、ゼロメートル地帯を中心に海岸保全施設の耐震化を引き続き推進し、震災に強い東京港を実現してまいります。
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■駐車取り締まりの民間委託 |
質問1
近年のモータリゼーションは、流通経済の発展に寄与する一方、交通機関における自動車のシェアは急激に拡大し、都心部を中心とした恒常的な違法駐車の大きな要因となっております。
こうした違法駐車は、交通事故や交通渋滞を引き起こすなど、都民生活にも著しい弊害をもたらしているところであります。しかしながら、治安情勢が悪化している現状においては、違法駐車の取り締まりに投入できる警察の執行力にも限界があることから、新たな対応が求められてきました。
こうした中、昨年の道路交通法の改正により、来年六月を目途に、違法駐車の取り締まり関係事務を民間に委託することができるとともに、放置車両についての使用者責任が拡充されることになったと聞き及んでおります。
殊に民間委託につきましては、我が党が提唱する、民間にできることは民間にという規制緩和策の一環であり、大きな政府から小さな政府へ向けての画期的な取り組みであると期待しているところであります。
これらを踏まえて、駐車取り締まり関係事務を民間委託することにより、どのような効果が期待できるのか、警視総監の見解を伺います。
答弁1 ▼警視総監
駐車取り締まり関係事務の民間委託により期待される効果についてのご質問にお答えをいたします。
来年六月を目途に施行されます道交法の一部改正は、ご指摘のとおり、二つの柱がありまして、一つは、放置車両の使用者責任を拡充して、いわゆる逃げ得を許さないようにすることでありますけれども、いま一つが違法駐車取り締まり関係事務の民間委託で、具体的には、放置車両の確認並びに標章の取りつけを民間委託できるようにすることでありまして、今、着々とその準備を進めております。
施行の当初は、都内では、二十三区のうち、十二区におきまして民間委託を導入することになりますが、民間の駐車監視員が、その地域ごとの駐車実態に応じまして放置車両の確認事務を専従して行うことになりますことから、違法駐車取り締まりに係る執行力が強化されて、現在に比べまして相当程度違法駐車の解消が見込まれ、違法駐車を原因とする交通渋滞の緩和あるいは交通事故の防止が期待されるところであります。
また、こうした民間委託を行うことによりまして、合理化されました警察力を、犯罪抑止対策、その他緊急に対処しなければならない業務に対応させることが可能になるものと考えております。
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■町会、自治会等との連携 |
質問1
町会、自治会は、地域の人々の触れ合い、交流の場として、長い歴史と伝統を持つ日本独特のすばらしい組織であり、同時に、区市町村及び都政が行う地方自治の基盤でもあります。
現在、都民の都政に対する最も多い要望は、治安、防災、環境、高齢少子社会等への対応となっていますが、これらの問題は、行政だけでは解決を図ることに限界があり、都民との協働が欠かせない分野であります。
そうした意味で、町会、自治会の存在は今でも非常に重要であると考え、我が党は、去る八月一日、町会等と緊密な関係を持ち、都と連携して都民や地域の諸課題の解決を図っていくため、町会等振興議員連盟を立ち上げました。これにより、今後一層、町会、自治会が地域特性を高めるとともに、地方自治体が行う施策の方向を定めたり協働したりして、手をつなぎ合っていく足がかりとしたいと考えています。
ともすれば区市町村の対応にゆだねるだけでなく、都としても地域の力を高め、都政の課題に積極的に取り組んでもらうためにも、町会、自治会等との連携を深めていく必要があると思いますが、所見を伺います。
また、特に都民要望の高い治安対策については、町会、自治会等との連携が効果的であると考えますが、所見を伺います。
答弁1 ▼生活文化局長
町会、自治会等との連携についてでございますが、ご指摘のとおり、都政のさまざまな課題を行政のみで解決していくことには限界があります。都民との協働を進め、対応していくことが重要でございます。
町会、自治会は大切な地域コミュニティのかなめであり、行政と住民のパイプ役として非常に重要かつ公益的な役割を果たしていると認識しております。そのため、東京都では、平成八年度より、東京都町会連合会との連絡会を通じて、治安対策や防災対策などさまざまなテーマで意見交換を行っているところであります。
今後とも、連絡会等を活用して緊密な関係を築き、地域の力が生かせるよう連携を深めてまいります。
▼青少年・治安対策本部長
治安対策における町会、自治会等との連携についてでありますが、平成十五年から都内の犯罪認知件数は減少に転じています。特に平成十六年は、前年と比べると空き巣やひったくりなどの地域における犯罪が大幅に減少しております。これは、町会や自治会の防犯パトロールや広報活動などの努力が大きく貢献しており、感謝をしているところでございます。
治安対策では、地域がみずから防犯に取り組み、防犯力を向上させることが重要ですが、町会、自治会の活動は、まさにこうした地域の力を具体化したものと考えております。
都といたしましても、東京の犯罪を減らすために、引き続き町会や自治会の活動を積極的に支援し、連携を図ってまいりたいと考えております。
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■都市基盤整備 |
質問1
まず、東京の都市再生に向けた取り組みについて伺います。
東京の都市再生は、高コスト構造の改善を図るインフラ整備に加え、都や地元区、民間企業などの連携により、地域特性を生かした優良なプロジェクトが進展し、旺盛な活力と魅力あるまちづくりが進められております。
例えば、東京駅周辺では、質の高い国際ビジネス拠点が形成されつつあり、また、六本木や汐留では、業務・商業など多様な機能の導入により新たなにぎわい空間が形成されています。さらに秋葉原や品川など、都内では多数のプロジェクトが進行しています。
東京の都市再生が着実に進んでいる中、副都心の一つである渋谷地区は、地下鉄十三号線の整備や東急東横線の相互直通化など大規模な基盤整備が進められている一方で、敷地が小規模な上に建物の老朽化が進み、また駅周辺では、歩行者空間の不足や自動車の混雑、駅における複雑な乗りかえ動線などの課題を抱えており、土地利用、インフラの両面にわたるまちづくりへの抜本的な対応が求められています。
知事は、本定例会でオリンピックの東京招致の決意を表明されましたが、渋谷周辺の国立競技場など既存ストックを活用することも十分考えられます。こうした状況のもと、大規模な基盤整備が進む今このときを千載一遇のチャンスととらえ、都としても渋谷地区の都市再生を積極的に支援していくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1 ▼都市整備局長
渋谷地区の都市再生についてでございますが、当地区は、ファッションやITコンテンツなどの企業の集積を生かしつつ、職、住、遊、学といった多様な機能が融合する副都心として、首都東京の重要な機能を担っております。現在、地下鉄十三号線の整備などが進んでおりますが、大規模ビルの老朽化や狭隘ビルの乱立、駅周辺の交通混雑などといったさまざまな課題を抱えております。
これらの課題を解決し、渋谷を副都心にふさわしいまちへと再生していくためには、まず地元区が主体となって、渋谷のまちづくりに向けた積極的な取り組みを進めていくことが必要でございます。都は、こうした地元区の取り組み状況を踏まえつつ、都市再生緊急整備地域の指定に向け、必要な支援、協力を行ってまいります。
質問2
次に、東京港第七次改訂港湾計画について伺います。
我が党は、ことしの第一回定例会において、日本の国際競争力の強化のためにも、今後、羽田空港の再拡張に伴い、陸海空の物流結節点として一層重要性を増す東京港の将来に対する新たな戦略的道筋をつけるべきと主張しました。
このたび、十年後の東京港の姿を見据えた第七次改訂港湾計画の策定に向けて中間報告がまとめられましたが、計画の方針に国際競争力強化が掲げられており、まさに時宜を得た内容であると考えます。
そこで、東京港の国際物流機能強化に向けた戦略的取り組みが必要と考えますが、今回の改訂港湾計画で新たに取り組む計画内容について伺います。
答弁2 ▼港湾局長
第七次改訂港湾計画の物流機能の取り組みについてでございますが、中間報告では、経済活動のグローバル化に伴うアジア諸国との貿易量の増加を踏まえ、十年後のコンテナ取扱量を、現在の一・四倍となる四百六十万個と予測いたしました。この貨物需要に対応するため、本計画では、まず既存の大井及び青海ふ頭の機能を強化するとともに、新たに中央防波堤地区に我が国最大級となる大水深の国際コンテナふ頭を整備することとしております。
また、羽田空港の再拡張に伴う航空貨物も視野に入れた高機能物流拠点を形成してまいります。
さらに、IT化の推進や施設の共同利用による効率化など、ソフト面の施策についても官民一体となって取り組み、首都圏の生活と産業を支える東京港の国際競争力を強化してまいります。
質問3
一方、東京港は、レインボーブリッジやお台場を中心に、水辺と街並みが融合した都民にとっての潤いの場であるとともに、巨大なコンテナクレーンや停泊する大型船がダイナミックな景観を展開する場であります。今後、羽田空港の再拡張に伴い、ますます多くの人々が東京を訪れることになりますが、船舶や飛行機から見た景観は、首都東京に対する第一印象となります。
そこで、首都東京の玄関口として、世界に誇る美しい港づくりを目指し、新たな視点から良好な景観づくりを進めることが重要と考えますが、東京港の魅力的な景観づくりにどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
答弁3 ▼港湾局長
東京港の景観形成についてでございますが、東京港では、これまでも、緑豊かな海上公園や水辺と調和したレインボーブリッジなど、魅力ある景観づくりに努めてまいりましたが、ご指摘のとおり、今後、羽田空港再拡張に伴う来訪者の増加や水辺の観光振興の観点から、航空機や船舶からの景観も重要となります。
このため、首都東京の玄関口に位置する中央防波堤地区を、港湾計画に良好な港湾景観を形成する区域として新たに位置づけ、先駆的な景観形成を進めてまいります。具体的には、デザイン、色彩、高さ等に配慮した各種の港湾施設と特色ある大規模公園や水辺が調和した、東京港ならではの景観形成を目指してまいります。
質問4
次に、外かく環状道路の取り組みについて伺います。
我が党は、東京の集積のメリットを生かし、激化する国際競争力に打ち勝ち、東京から日本を再生すべく、圏央道や中央環状線など三環状道路の整備促進に石原知事とともに全力で取り組んでまいりました。
その結果、圏央道については、平成十八年に関越道と中央道の連絡が予定され、また、中央環状線のうち唯一未着手区間であった品川線についても、都が街路事業によって今年度から着手したところであります。
残るのは外環です。首都圏の渋滞解消や、それによる物流の効率化、環境改善を図る上でも、外環の早期整備が必要不可欠であります。
平成十一年の石原知事就任以降、地元との話し合いが始まり、大深度地下案を示すなど、広く意見を聞きながら検討が進められてまいりました。これまでの知事の積極的でかつ丁寧な取り組みについて、大いに敬意を表するものであります。
また、今般、知事は、新たに国と都の考え方を公表し、強力に事業推進に努めると発言されました。
そこで、改めて外環の事業推進に向けた知事の決意を伺います。
答弁4 ▼知事
外かく環状道路の事業推進についてでありますが、外環道は、日本社会全体のダイナミズムを高め、我が国の国際競争力の向上、国家の繁栄、東京の発展に不可欠な道路であります。
私は、就任以来一貫して、早期完成に向けて外環道の意義を主張してまいりました。あの扇国交大臣の代に、ようやく国も動いてくれまして、凍結を解除し、いろいろその後進展がございますが、今般、外環道の具体的な計画をまとめる時期と判断して、構造やインターチェンジなど基本的な考え方について、国とすり合わせをして、ともに公表いたしました。
外環道の一日も早い完成に向け、総力を挙げて取り組むつもりであります。
オリンピックの東京誘致が決まりましたら、これも一つの刺激になって、こういった大都市、特に首都にとって不可欠の環状線というものが一日も早く完成されることを熱願しております。
質問5
また、今回の国と都の考え方について、具体的な内容を伺います。
答弁5 ▼都市整備局長
外環の国と都の考え方の具体的内容についてでございますが、外環は、経済活動の高コスト構造を是正し、首都東京の再生に必要不可欠な道路でございます。これまで、幅広く地元との話し合いを行うなど丁寧に取り組み、今般、外環の構造などについて基本的な考え方を、国とともに公表したところでございます。
具体的には、外環の構造を大深度地下とすること、接続する高速道路は東名、中央、関越とすること、本線と同時に整備するインターチェンジは、目白通り、青梅街道、東八道路とし、このうち青梅街道インターチェンジについては、関越道方面だけの出入り口とすることなどでございます。
今後は、この考え方をもとに、沿線自治体などの意見を聞き、外環の早期事業化に向け、速やかに都市計画の手続を進めるなど、積極的に取り組んでまいります。
なお、高速道路の利用に関連して、我が党は、過去何度となく、中央道の高井戸から八王子間の料金問題について是正を訴えてきました。中央道は、多摩地域の都民及び企業などにとって重要な道路でありますが、首都高速道路公団、日本道路公団と事業主体が異なることから別料金となっており、地域格差が長年にわたり生じております。来月には両公団がともに民営化されますが、都は、こうした機会をとらえ、料金体系の見直しに向けなお一層国に粘り強く働きかけることを要請し、次の質問に移ります。
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■アスベスト問題 |
質問1
本年六月末に、兵庫県の企業、株式会社クボタが、アスベストに起因する疾病について、死亡者を含め百名近い被害者が出ていることを公表して以来、多くの企業から同様な公表があり、マスコミ報道も連日アスベスト関連記事を取り上げております。しかも、被害が工場従事者にとどまらず、その家族や周辺住民に影響していることが報道され、アスベスト問題は、もはや労働災害にとどまらず、周辺環境へも広がり、国民全体の問題となっています。
この間の経過を見ますと、アスベストの危険性にいち早く対応を進めてきたヨーロッパ諸国に比べ、我が国の対応は極めて遅く、そのことが今回の被害拡大の原因であるといわざるを得ません。多くの健康被害が明らかになってきたことによって、都民の不安は、これまでとは比較にならないほど大きなものとなっています。
そこで、今回のアスベスト問題に関する国の取り組みと都の対応について、知事の所見を伺います。
答弁1 ▼知事
アスベスト問題についてでありますが、私、先般、ある生命保険の関係者から聞きましたが、驚くことに、日本の生命保険会社も、これが問題になった八〇年代、既に外国の情報を受けて、生命保険の対象で、私、保険のことは詳しくわかりませんが、保険率というんでしょうか、そういうものを、アスベストに関しては、要するに考え直したということでありました。ところが、民間のそういう生保の企業がそういう措置を講じているのに、国は、つまり厚生省は全く動かなかったということで、今日のていたらくになったわけであります。アスベストの被害が拡大したのは、ともかく、要するに国の怠慢以外に何物でもないと思っております。
国もようやく、被害者の救済や飛散防止対策の強化などの検討に着手したところでありますが、こうした対策を早急に実施するように、これからも強く求めてまいります。
都は、平成元年に既にアスベスト対策推進会議を設置し、都施設の安全対策を実施するとともに、建物を解体する際のアスベスト飛散防止を条例で義務づけるなど、先駆的に取り組んでまいりました。
今後とも、都民の不安解消と被害発生の防止に向け、全庁的に取り組んでまいります。
質問2
都内には、アスベストを原料とした製造工場は現在は一つもないと聞いていますが、アスベストを含む建材を使用している建物は多数存在することが見込まれています。これらの建物では、老朽化により建物内に飛散したり、建物の改修工事や解体工事の際に飛散するなどの危険性があり、従業員の生命、健康にかかわる喫緊の課題であるだけでなく、住民にも影響を広げる危険性を持っています。
今後、建物のアスベスト除去のための改修工事や解体工事の増加が見込まれますが、周辺大気への飛散防止対策についてどのように取り組んでいくのか伺います。
答弁2 ▼環境局長
アスベストによる被害を防止するためには、解体事業者による飛散防止対策の徹底が極めて重要であります。このため、都は、関連業界に対し、解体作業場所の密閉など、法や条例に基づく飛散防止対策の徹底と近隣住民への情報提供を改めて要請したところでございます。
また、今後、解体現場への立入検査を強化するとともに、周辺環境調査を実施するなど、飛散防止対策が確実に実行されるよう取り組んでまいります。
質問3
景気が踊り場を脱したとはいえ、いまだに厳しい経営環境に置かれている中小企業にとっては、アスベスト除去対策は新たな負担を強いるものであり、都として適切な金融支援策を講じるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁3 ▼産業労働局長
中小企業が行うアスベスト対策への金融支援についてでございますが、ご指摘のとおり、都内中小企業は依然として厳しい経営環境に置かれておりまして、アスベスト除去などの対策は新たな負担となる懸念がございます。しかしながら、事は従業員などの健康にもかかわる重要な問題でありまして、緊急の対応が求められております。
このため、中小企業が行う工場や事業所のアスベスト使用状況調査や、その除去と機能回復工事などに要する資金への金融支援の実施に向け、融資要件などその具体的内容を早急に取りまとめてまいります。
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■地球温暖化対策都庁プラン |
質問1
都では、本年三月に環境確保条例を改正し、大規模事業所における温室効果ガスの削減対策を進めています。さらにこの八月には、地球温暖化対策都庁プランを策定し、東京都みずから排出する温室効果ガスの削減対策に取り組むこととしました。民間事業者の温暖化対策を促進する意味からも、都内最大規模の排出事業者である東京都がこのプランをしっかりと実行していくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。
答弁1 ▼知事
地球温暖化対策でありますが、世界じゅうで干ばつや豪雨が頻発し、島しょ国家は水没の危機に瀕するなど、これはマーシャルとキリバチがそうでありますが、彼らは既に、国が沈んで埋没したときに逃げていくところはオーストラリアだと決めているようですけれども、これも本当に有史以来の悲惨な、非常に危険な状況の到来を意味していると思います。地球温暖化は、人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると認識しております。
気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構成するすべての主体が、早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないと思います。
都は先月、地球温暖化対策都庁プランを策定し、今後五年間で温室効果ガス排出量を一〇%削減するという、極めて高い目標を掲げました。
今後、大規模な都有施設における省エネ改修や、太陽光発電を初めとした再生可能エネルギーの導入などを率先して進めることによりまして、民間事業者のさらなる取り組みを誘導し、地球温暖化対策を一層強力に推進していきたいと思っております。
質問2
また、本定例会の知事発言にもありましたように、これまで焼却していた下水汚泥を炭化して燃料とする下水汚泥炭化事業は、温暖化対策として大幅なCO2の削減が可能と聞いておりますが、この事業の内容と効果について伺います。
答弁2 ▼下水道局長
下水汚泥炭化事業の内容と効果についてでございますが、下水道局は、都庁全体の事務事業活動に伴う温室効果ガスの最大の排出者として、昨年、いち早くアースプラン二〇〇四を策定し、さまざまな地球温暖化防止対策に取り組んでおります。
今回、その一環といたしまして、従来焼却していました下水汚泥から炭化物を製造し、発電用燃料として売却する国内初の取り組みを進めることといたしました。この事業によりまして、二酸化炭素に換算しますと、一年間で三万七千トンの温室効果ガスの削減が可能になります。これは、山手線内側の面積の一・七倍に当たる約一万ヘクタールの森林が吸収する量に相当いたします。
今後とも、温室効果ガスの削減に向け、対策を積極的に推進してまいります。
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■中小企業対策 |
質問1
まず、金融施策について伺います。
景気回復の本格化を期待する一方で、昨今の原油高による影響や鋼材価格の高騰の影響が、中小企業をめぐる経営環境を厳しいものにしております。東京の活力の源泉は、都内産業の大部分を占める中小企業であります。原油高騰の現下の経済情勢に適切に対処し、景気回復の足取りをより確かなものとしていくために、都の積極的な取り組みを求めるものであります。
そこで、中小企業の資金需要が高まる年末に向けて、制度融資による支援強化策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1 ▼産業労働局長
都が本年七月に実施した調査では、石油・化学製品の価格高騰による悪影響があるとする中小企業の割合は約八割に上るなど、原油高や鋼材価格の高騰が中小企業経営に大きな影響を及ぼしております。これらの中小企業に対し適時適切な金融支援を行い、経営の安定化を図ることが、景気回復を確かなものにしていくためにも必要でございます。
このため、資金需要が高まる年末に向け、金融支援を強化すべく、信用保証協会等の関係機関とも連携しながら、融資要件の緩和などその具体的方策を検討してまいります。
質問2
この四月に開業した新銀行東京は、七月から店舗が六カ所となり、いよいよ業務を本格的に展開するまでになってきました。既存銀行が無担保の中小企業融資を強化するなどの動きが生まれ、金融界によい意味での刺激を与えております。
都の新銀行東京に対する出資者としての関与は、銀行法との兼ね合いもあり、一定の限界はありますが、一千億円もの都費が投入されており、その設立の趣旨も踏まえ、都は最大の株主として、新商品の開発など、新銀行東京が常に一歩進んだ中小企業支援に取り組むよう求めていくべきであると考えますが、所見を伺います。
答弁2 ▼産業労働局長
新銀行東京についてでございます。
都はこれまでも、新銀行東京がその設立趣旨に沿った中小企業支援を実施するよう働きかけてまいりました。融資・保証の九月末実績は七月末実績の二倍を大きく上回り、約五百六十億円にも達する見込みと聞いております。
新銀行東京におきましては、「常に新しい」をキャッチフレーズとし、中小企業のニーズにこたえた新商品の開発を進めております。具体的には、新たに、公共工事の受注業者及び下請業者の資金繰り支援を目的とした公共工事代金債権信託や、商社の取引先に対する売り掛け債権を一時的に肩がわりする融資を行う予定であると聞いております。
都は、今後とも、新銀行東京がこうした多様な手法による中小企業支援を一層充実するよう、株主として積極的に働きかけてまいります。
質問3
次に、ものづくり産業の支援について伺います。
都内中小企業は、取引先工場の海外移転や産業構造の変化などの影響により、厳しい経営環境に置かれています。加えて、中国を初めとするアジア諸国が、低廉な労働コストと生産技術の向上を背景として、急速に競争力をつけてきております。都内のものづくり企業は、品質面においても優位性を維持していくことが課題となっています。
このような状況においても高い受注率を確保しているのは、高い品質管理や製品開発を行っている企業であり、その取り組みを行政の最前線で支えているのが都立産業技術研究所であると考えます。
現在、産業技術研究所は、平成十八年度の地方独立行政法人化に向けて準備を進めていると聞いております。地方独立行政法人となることにより、民間の経営手法の導入による機動的、効率的な運営や、すぐれた外部人材の積極的活用などが可能となり、一層充実したサービスの提供が期待できると考えます。
こうした独立行政法人化により、ソフト面をどのように充実していくのでしょうか。また、最先端の技術開発に挑戦する中小企業を十分に支援していくためには、老朽化した機器の更新など、技術支援を支えるハード面の機能向上も重要であります。
このたびの地方独立行政法人化にあわせ、今後、産業技術研究所の技術支援機能をどのように強化していくのか、所見を伺います。
答弁3 ▼産業労働局長
産業技術研究所の技術支援機能強化についてでございますが、現在、来年四月の地方独立行政法人化に向け、外部人材の活用等による事業の弾力的運営や、産学公連携の推進など、ソフト面の機能向上を図るべく準備を進めております。
また、都内中小企業の国際競争力を高めていくためには、世界に通用する品質証明書の発行や、先端技術を活用したスピーディーな試作品の開発支援などを可能にするハード面の整備も重要な課題となっております。
こうしたことから、現在、企業ニーズ等の調査を実施中でございまして、これらの調査結果や最新の産業技術の動向等を踏まえまして、産業技術研究所の今後の技術支援機能の強化が図れるよう、鋭意検討を進めてまいります。
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■食育の推進 |
質問1
さきの国会で、生涯にわたり健全な心身を養い、豊かな人間性をはぐくむため、食育を総合的、計画的に推進することを目的とした食育基本法が制定されました。
今日の日本では、食生活の乱れによる肥満、生活習慣病の増加やキレやすい子の増加、食の安全・安心の関心の高まり、食の生産と消費の乖離など、食をめぐるさまざまな問題が生じています。
特に東京では、調理済みの食品が手軽に買えるなど、便利さの一方、農水産物の生産現場と離れているため、農業など生産活動との触れ合いが少なく、都民は自然の恩恵や生産活動の苦労に対する理解が不足しがちです。次代を担う子どもたちの人間形成を考えたとき、大きな問題といえます。
このような東京でこそ、食育に積極的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1 ▼知事
食育への取り組みについてでありますが、健全な食生活は、健康的な心身と豊かな人間性をはぐくみ、生きる力の礎となっていると思います。
近年、子どもの孤食、つまり、親もいずに一人だけで飯を食う、あるいは親たちの都合で朝ご飯を食べられない欠食、朝食の欠食などが非常にふえているようでありますが、調査ですと、登校した後の子どもが、学校で落ちつかない、授業に身が入らない、いらいらする、けんか早くなるというものが非常にふえているようで、その大きな原因が、朝ご飯を食べずに我慢しながら登校してくるという、そういうものが起因しているようであります。
いずれにしろ、家庭での基本的な食生活の習慣が乱れている。このままでは伝統的な食文化の継承も困難になるおそれが十分ございます。
農業などの生産現場に接する機会が少ない東京では、生産体験を通じた自然への感謝の念をはぐくむことが必要であると思いますし、今後、学校における農業生産などの体験や、学校給食を通した生産者との交流、各地域で食育に取り組むリーダーの育成など、総合的に展開する食育の推進計画を策定するつもりでございます。
今日の日本が失いつつある大切な食の文化を、東京が率先してよみがえらせていきたいと思っております。
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■中央卸売市場の整備計画 |
質問1
昨年六月の卸売市場法の改正を踏まえ、都では第八次卸売市場整備計画を策定すると聞いています。近年、卸売市場は、市場経由率の低下、市場関係業者の経営悪化、市場間格差の拡大等、流通環境が大きく変化しています。本年四月に東京都卸売市場審議会から答申のあった卸売市場整備基本方針では、卸売市場の活性化、競争力強化の観点から、卸売市場のあり方について抜本的な見直しが必要な時期に来ていると指摘しています。
今回の整備計画では、卸売市場の競争力を強化するために、どのように市場の整備に取り組んでいくのか伺います。
答弁1 ▼中央卸売市場長
本年十月に策定予定の第八次卸売市場整備計画では、卸売市場の競争力強化を図るため、東京都卸売市場審議会答申を踏まえ、消費者サイドに軸足を置いた市場運営を初め、二十四時間対応が可能な商品搬出態勢の強化など、市場機能をより効率的、効果的に発揮できる方策を取り入れてまいります。
また、各市場の整備に当たっては、それぞれの市場が果たしている役割を検討し、老朽施設の計画的な更新、安全・安心の確保など、流通環境の変化に積極的に対応した施設整備、長期的な戦略的投資など、総合的な視点から計画化に努めてまいります。
質問2
また、多摩地域には、中央卸売市場として多摩ニュータウン市場が唯一設置されていますが、取扱数量が著しく低迷しており、多摩地域における生鮮食料品の市場流通の大部分は、集荷力や販売力のある地方卸売市場が担っているのが実情であります。
中央卸売市場の新設は認めないとする国の方針が明らかにされている中で、多摩地域の卸売市場の整備については、地産地消を促進するなど、地域の特性を生かせる地方卸売市場の機能強化に重点を置くべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2 ▼中央卸売市場長
多摩地域の卸売市場の整備についてでありますが、第八次整備計画では、中央卸売市場の新設を認めないという国の整備方針や、多摩地域においては地方卸売市場が生鮮食料品の市場流通の大部分を担っている実態などを踏まえ、今後、多摩地域の安定的な流通体制については、中央卸売市場の整備ではなく、地方卸売市場の機能強化により実現を図ってまいります。
そのため、地方卸売市場に対して一層の規制緩和や品質管理の高度化などを図るとともに、多摩の地場産品の流通など地域特性を生かした生産、消費の連携が進められるよう、積極的に支援をしてまいります。
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■子育て、高齢者支援策 |
質問1
都の子育て支援関連の予算のうち、大きな割合を占めるものが、認可保育所に対するいわゆる都加算補助でありますが、一方で、一般の在宅の子育て家庭への支援策は必ずしも拡充されていないとの指摘があります。
これらの都加算補助は、東京における保育サービスの充実をこれまで財政面から支えてきましたが、本来、市町村が対応すべき公務員保育士の人件費にも補助されているため、公立保育所の高コスト体質を温存する結果を招いているなど、今日では、地域の創意工夫を生かす仕組みとはなっていないとの批判もあります。
少子化の進行に歯どめをかけるためには、子育て支援の中核的な役割を担う区市町村がみずからの創意工夫で地域のニーズに敏感に対応することを、都として強力にバックアップすることが重要と考えております。そのためには、既存の制度を抜本的に再構築して、自由度を持った財政支援の形に改めるとともに、ソフト、ハードを含めた区市町村支援策の拡充が重要であると考えますが、所見を伺います。
答弁1 ▼福祉保健局長
子育てに関する区市町村支援についてでございますが、安心して子どもを産み育てられる環境を整備するためには、すべての子育て家庭を対象に、地域の実情に応じた多様な施策を展開していくことが重要でございます。
地域の子育て支援を担う区市町村の取り組みをより創意工夫されたものとするためには、お話しの補助制度を含めまして、柔軟な支援の仕組みに再構築することが必要と考えております。
今後、こうした点も十分踏まえつつ、区市町村の取り組みが一層充実されますよう、都としてソフト、ハード両面から積極的な支援を行ってまいります。
質問2
あわせて、これまで手薄であった在宅の子育て家庭を経済的な面から支援するための取り組みを充実させることも必要ではないかと考えます。
こうしたことから、少子化の進行を少しでも押しとどめるためにも、子育ての経済的負担を軽減する児童手当の対象年齢の拡大を、我が党の政策の一つとして提言したところであります。
少子化の要因としては、未婚化、晩婚化、初産年齢の上昇などが指摘されており、背景には、価値観の変化や子育ての負担感の増大があるなど、さまざまな議論が展開されています。そして、その対応についても、税制や労働面からのアプローチなど、多様な議論がありますが、こうした中で、我が党の政策提言について都はどのように受けとめているのか、所見を伺います。
答弁2 ▼福祉保健局長
児童手当の拡充についてでございますが、現在、少子社会への対応策につきましては、子育て家庭への経済的負担の軽減を初めとしまして、仕事と子育てとを両立できる労働環境の改善など、さまざまな議論があることは承知しておるところでございます。
我が国の急速な少子化の進行に適切に対応するための方策につきましては、広く社会的なコンセンサスを得ることが重要であると考えております。ご提案の児童手当の対象年齢の拡大につきましては、貴重な政策提言と受けとめており、こうした議論や国の動向を十分に見定めながら、引き続き研究してまいります。
質問3
次に、改正介護保険法への都の取り組みについて伺います。
さきの通常国会において、介護保険制度改革関連法が成立しました。介護保険制度を将来にわたり安定的で持続可能なものとしていくために、介護予防を重視する仕組みへの転換を図るとともに、身近な地域で地域の特性に応じた多様かつ柔軟なサービス提供を可能とするための地域密着型サービスを創設することなどが、今回の改正の趣旨であります。
しかしながら、大都市東京では、高齢化とともに、都市化や核家族化の進展により、ひとり暮らしの高齢者や高齢夫婦世帯が増加するとともに、認知症高齢者の増加も一層重要な問題となってまいります。こうした高齢者を地域で支えるためには、ショートステイなどの在宅サービスの充実や、新たに創設される小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの普及が不可欠であります。
今後、都としても、大規模広域型施設中心から発想を転換し、こうした小規模地域密着型サービスの基盤整備を行うことが最重要課題であると考えますが、所見を伺います。
答弁3 ▼福祉保健局長
介護サービス基盤の整備についてでございますが、都は、高齢者が介護が必要になっても地域で安心して暮らせるよう、これまでも認知症高齢者グループホームなどの設置促進に重点的に取り組んでまいりました。
お話しの認知症高齢者などを地域で支えるためには、今後、ショートステイなどの在宅での暮らしを支えるサービスの充実や、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスの基盤整備をより強力に進めていくことが重要と考えております。
こうした観点を踏まえ、本年度中に策定する東京都高齢者保健福祉計画におきまして、在宅サービス充実の方向性を明確にした上で、区市町村と連携し、地域における介護サービス基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。
本格的な少子高齢社会を迎え、まさに人口減少社会が現実のものとなろうとしている今日、都は、我が党とともに福祉改革に全力で取り組んできた結果、さまざまな分野で大きな成果を上げてきました。また、昨年八月の福祉保健局発足以降、福祉分野と保健医療分野の融合による成果も幾つか出ております。
これまでの取り組みをなお一層強力に推し進めるためにも、今後の施策について新たな方向性を示すべきであることをこの際指摘し、次に移ります。
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■多摩の病院PFI事業 |
質問1
次に、都立病院の再編整備の一環として進めている多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターの整備について伺います。
この事業は、多摩の広域基幹病院として、がん医療や救急医療の一層の充実を図る府中病院と、NICUや小児ICUを整備する小児総合医療センターの二つの病院を一体的に整備するものであります。
整備に当たっては、PFI手法を導入することで、設計や建設だけでなく、開設後十五年間以上の長期にわたり、医事事務や建物管理等、医療周辺業務を包括的に民間事業者に委託するものと聞いています。
民間活力を活用するPFIは、官民の適切な役割と責任の分担のもと、民間でできるものはでき得る限り民間にゆだねることを法の基本理念としたものであり、いわゆる小さな政府を志向する動きに即したものでありますが、まず、病院事業においてこのPFI手法を選択する意義がどこにあるのか、改めて見解を伺います。
答弁1 ▼病院経営本部長
多摩広域基幹病院及び小児総合医療センターのPFI事業による整備に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、PFI手法を選択する意義についてでございますが、いわゆるPFIの仕組みは、社会資本の整備と、より良質な公共サービスの提供を効率的、効果的に実現するため、官民の適切な責任分担のもと、公共施設等の建設や維持管理、運営などに、できる限り民間の持つ技術や能力を活用しようとするものでございます。
今回の病院事業におけるPFIにおきましては、設計、施工、運営を一括して契約するとともに、長期包括的な業務委託を行うことによりまして、事業コストの削減を初め、きめ細かい患者サービスの提供ができるなど、大きなメリットがあると考えております。
質問2
我が国の病院PFI事業は、全国的にも緒についたばかりであり、都立病院としても初めてPFI手法を導入するということになります。社会経済状況はもちろん、医療をめぐっては、保険制度を初め環境の変化は大変目まぐるしく、また、医療技術の進歩も日進月歩であります。
そこで、今回の病院PFI事業では、こうした状況も見据えて、十五年間の長きにわたり、医療環境の変化に適切に対応しながら、病院機能を維持することはもちろん、必要な患者サービスを日々向上させていくことが極めて重要となります。
都としては、こうした変化に対応する仕組みを、病院PFI事業の中でどのように工夫をしているのか、取り組みを伺います。
答弁2 ▼病院経営本部長
医療環境の変化等に対応するための工夫についてでございますが、事業者の選定に当たりましては、事業環境の変化への対応力などを重視して審査することとしております。
また、契約において大幅な物価変動や診療報酬の改定などに対応する弾力的な条項を設けることを初め、事業実施に際しましては、将来の変化に柔軟に対応できる具体的な業務計画を事業者に策定させるなど、安定した医療サービスの確保のためにさまざまな工夫を行っております。
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■東京オリンピックの招致 |
質問1
我が党は、先月、オリンピックの東京招致を衆議院選挙における東京独自の地域公約に掲げたところであります。今回の知事の所信表明には改めて賛意を表するものであります。
思い返せば、昭和三十九年の前回の東京オリンピックにおいては、戦災から復興した新しい東京を世界じゅうの人々に見てもらおうと、全国民が一丸となって成功に向けた国民運動を展開しました。また、オリンピックを契機に進められた大規模な都市インフラの整備は、その後の高度経済成長の大きな原動力となりました。
オリンピックは、経済や社会全体に大きな波及効果を有する世界的なビッグイベントです。もし東京で開催されることが決まった場合、オリンピックの準備に伴うさまざまな活動が、二十一世紀初頭の東京、ひいては日本経済を大きく飛躍させ、国民の意識を高揚させるまたとない契機になるでしょうし、開催期間中、国内で日本選手の活躍を目の当たりにすることは、国民全体に希望をもたらす明るいニュースとなることは間違いありません。
ただし、オリンピックを東京に招致するためには、まず日本の代表都市に選ばれなければなりません。今後、都民や企業に賛同を求めながら、招致に向けた東京全体の機運を高めていくことも重要です。
そこで、これからさまざまな取り組みを始めていくに当たり、オリンピック招致に向けた知事の意気込みを伺います。
オリンピックの招致には、当該都市の議会の議決が必要であり、議会と執行機関が一体となった取り組みが必要であることはいうまでもありません。知事の発言をしっかり受けとめ、我々都議会も一致協力していくことが重要です。我が党は、都議会の先頭に立って、執行機関とともに招致に取り組んでいくことを表明しておきます。
答弁1 ▼知事
東京オリンピック招致についてでありますが、オリンピックは、東京という成熟した都市の姿を世界に示し、日本の存在をアピールし直す絶好の機会であるとともに、日本を覆うこの閉塞感を打破する起爆剤ともなると思っております。
先般終演しましたあの愛知地球博も、それぞれ創意を凝らして、万博というのは大体どこがやっても同じような感じが否めませんけど、これは大成功で終わりました。こういったものも一つの好ましい事例だと思いますが、いずれにしろ、開催都市の国際的な競争に勝ち抜くには、国を挙げてのバックアップと周到な招致戦略が不可欠であると思っております。
都は、都議会と一体となって、都民、国民はもとより、産業界や競技団体など幅広い分野からの支援、協力を得ながら、オリンピック招致のイニシアチブを発揮し、ぜひぜひ東京オリンピックを実現したいと思っております。
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■東京多摩国体 |
質問1
次に、平成二十五年に開催予定の東京多摩国体について伺います。
オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であり、国体は我が国最大のスポーツの祭典であります。東京においては、東京オリンピックの五年前、昭和三十四年の第十四回国民体育大会以来、五十四年ぶりの開催となります。今回の第六十八回大会は、多摩・島しょ地区を中心に開催することとなっており、大会開催に当たっては、東京、とりわけ多摩・島しょ地域の発展に資すると同時に、二十一世紀にふさわしい時代に即応した魅力ある国体としていくべきと考えます。
そこで、平成十九年度には都議会の開催決議を行う必要があるなど、いよいよ本格的な準備段階に入りつつありますが、具体的な準備状況はどうなっているか伺います。
答弁1
▼教育長
国民体育大会についてでございますけれども、平成二十五年に開催予定であります東京国体は、東京の多様な地域特性を生かしながら、多摩・島しょ地区を中心に開催しまして、多くの産業や観光資源を有します東京の魅力を全国にアピールする大会を目指しております。
本年六月に、区市町村や関係部局で構成いたします、実務レベルの検討組織であります東京国体準備推進会議を設置いたしまして、大会開催方針等の検討を行っております。
また、七月には、全区市町村及び全競技団体を対象にしました連絡会議をそれぞれ開催し、競技会開催意向調査をするなど、具体的に開催準備を進めているところでございます。
平成十九年度には、広く各界各層の方々から成ります東京国体準備委員会を設立しまして、全都的な取り組みを推進していくとともに、都議会において開催決議をいただきたいと考えております。
質問2
また、我が党には、この競技を誘致したいといった区市町村からの声も届き始めています。国体で行われる予定の三十七競技それぞれの競技会開催に当たっては、会場となる区市町村がその運営主体となるため、都との十分な連携なしには競技会は成り立ちません。
そこで、開催の前提となる会場地選定や競技施設の整備などについて区市町村との連携をどのように図っていくのか伺います。
答弁2
▼教育長
区市町村との連携についてでございますが、各競技会の開催に当たりましては、都と会場地であります区市町村や競技団体が密接に連携することが不可欠でございます。
会場地選定や競技会の準備につきましては、区市町村の意向を踏まえながら、区市町村連絡会議等において、関係団体などとも十分協議、調整しまして合意形成を図って進めてまいりたいというふうに考えております。
さて、知事は、老人週間にちなんで、この十四日、ことし百歳を迎えた台東区在住の正木義久さんを訪問し、長寿を祝福されました。
都内の百歳以上の長寿者は、ことし三千七十九人と初めて三千人を超え、少子化と同時に高齢化が一段と進行しています。
現在、保育、労働、経済支援などさまざまな少子化対策を強力に推進していますが、残念ながら出生数の減少を食いとめるには至っておりません。
その一方、増大する高齢者に対しては、シルバー人材として積極的な社会参加が重要であります。
一国の経済成長は、労働、資本、技術の三つの要素から成りますが、我が国では、労働力よりも技術力や資本の寄与度が高いとされています。問題は、人間の頭数ではなく、一人一人の労働力の質にあります。
団塊世代の大量退職が数年後から一気に始まりますが、大量退職者の中から、長年にわたり身につけた確かな技術や技能を中小企業に役立てたり、また、さまざまな経験や体験を、地域の福祉問題や教育、健全育成などにNPOやボランティアとして生かせれば、今後、大きな力となっていくはずであります。
また、大量退職は、若者の就業機会を拡大するとともに、企業のコストを引き下げます。企業や地域社会に貢献する元気老人がどんどんふえていけば、高齢者に関連した財政コストも少なくて済み、その分、次世代育成施策の充実に振り向けることも可能となります。
いたずらに少子高齢化に憶することなく、また、口当たりのよい無責任な幻想を振りまく一部の政党などと違い、我が党は、安心子育て、安心老後の社会システムを構築すべく邁進していることを申し上げ、代表質問を終わります。
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