問責決議(柿沢議員)

平成17年第二回定例会会議録(6月2日)から
 
 ▼議長
 追加日程第四、議員提出議案第十一号、東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議を議題といたします。
 案文は、お手元に配布いたしてあります。
 朗読は省略いたします。

議員提出議案第十一号
東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議
 右の議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第十二条の規定により提出します。
  平成十七年六月二日
(提出者)
谷村 孝彦 東村 邦浩 村上 英子
秋田 一郎 矢島 千秋 鳩山 太郎
長橋 桂一 小磯 善彦 野上じゅん子
高橋かずみ 山加 朱美 小美濃安弘
吉原  修 山田 忠昭 臼井  孝
林田  武 東野 秀平 藤井  一
ともとし春久 野島 善司 真鍋よしゆき
松原 忠義 田代ひろし 三宅 茂樹
川井しげお 鈴木 一光 吉野 利明
こいそ 明 木内 良明 鈴木貫太郎
森田 安孝 石川 芳昭 土持 正豊
倉林 辰雄 遠藤  衛 鈴木あきまさ
近藤やよい 串田 克巳 中屋 文孝
三原 將嗣 樺山たかし 田島 和明
宮崎  章 中山 秀雄 大木田 守
前島信次郎 桜井良之助 新藤 義彦
星野 篤功 いなば真一 高島なおき
服部ゆくお 古賀 俊昭 山本賢太郎
立石 晴康 清原錬太郎 小山 敏雄
大山  均 中嶋 義雄 石井 義修
橋本辰二郎 藤井 富雄 桜井  武
野田 和男 野村 有信 比留間敏夫
大西 英男 山崎 孝明 佐藤 裕彦
川島 忠一 内田  茂 三田 敏哉
田中 晃三
東京都議会議長 内田  茂殿

東京都議会議員柿沢未途君に対する問責決議
 都議会は、地方自治法第百条の権限を付与した「社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会(以下「同委員会」という。)」を設置し、関係者に膨大な記録を請求するとともに、多くの証人を喚問し、疑惑の真相究明に向け、精力的に調査を実施してきたところである。
 しかるに、同委員会の委員である都議会民主党柿沢未途議員が、同委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してきたことは誠に遺憾である。
 まず、柿沢議員は、記者会見において「百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっている」旨の発言を行った。これは、自ら同委員会の委員であるにもかかわらず、同委員会を誹謗中傷し、同委員会の権威を傷つける重大な行為である。
 また、柿沢議員は、百条調査権に基づいて提出された非公開扱いとなっている記録に記載されている個人名について、委員長の度重なる注意にもかかわらず、同委員会の場で個人名を繰り返し発言した。これは個人のプライバシーや名誉を侵害し、同委員会に対する信頼を著しく損なう行為である。
 さらに、四月二十二日の同委員会では、柿沢議員は、特定の委員が長時間にわたり尋問を行ったことが、結果として証人を入院に追い込んだかのごとき発言を行った。この発言は、当該委員の名誉を著しく傷つけるものである。
 こうした柿沢議員のこれまでの言動は、同委員会を冒とくし、都議会の名誉と品位を損なうものである。
 よって、東京都議会は、柿沢未途議員に対して、都議会の権威と信頼を失墜させた行為について反省を求め問責するものである。
 以上、決議する。
  平成十七年六月二日

東京都議会
 
 ▼議長
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 十二番 相川博君。
   〔十二番 相川博君登壇〕
 
 ▼十二番 (相川博君)
 ただいま上程されました決議案について、都議会民主党としての意見を述べさせていただきます。
 まず第一に、柿沢議員の記者会見での発言が対象とされていますが、議員の議場外での発言について、議会でその責を問われるべきではありません。しかも、既に四月十九日の社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会において、本人から、批判は不徳によるものという旨の発言がなされております。
 第二に、同委員会における発言については、委員長等の指示に基づき、既に議事録の削除、訂正を行っております。
 以上のように、柿沢議員は、同委員会の審議を本筋に戻し、円滑に進めるために最大限の努力をしてまいりました。
 したがって、問責に当たるものではなく、本決議案に反対するものであります。
 以上。(拍手)
 
 ▼議長(内田茂君)
 二十三番 小美濃安弘君。
   〔二十三番 小美濃安弘君登壇〕
 
 ▼二十三番 (小美濃安弘君)
 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、柿沢未途議員に対する問責決議案について賛成の立場から討論を行います。
 柿沢議員は、調査特別委員会の委員でありながら、委員としての自覚を欠き、委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してまいりました。
 まず、百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっている旨の発言であります。議員の発言は自由とはいえ、議場はもちろん、議場外であっても、議会や委員会の権威を傷つけることに対して、議会として黙っているわけにはいかないのであります。
 地方自治法第百三十四条の議員の懲罰にかかわる判例においても、議会の品位を汚し、その権威を失墜するような言動は、議会外において生じた行為についても、場所的には、議場または議会の延長であり、事項的には、議会の運営にかかわるものと認めるべき事項には懲罰を課することができる、これは昭和二十四年十二月二十八日福岡地裁の判例でありますが、としておるわけであります。この判例から見ても、柿沢議員の発言は、委員会外とはいえ公開の記者会見の場で行われたことであり、本来ならば懲罰にも当たる問題であります。
 適切に運営されている同委員会を人民裁判の空気を帯びているとの発言は、民主党も設置に賛成をした同委員会の権威を傷つけ、都民の同委員会への信頼を損ねるものであります。人民裁判なるものの実態と意味をわかっての発言でしょうか。
 委員会の運営や他の委員の尋問などに対し、人民裁判の空気を帯びるなどとの表現で委員会を批判するのは、民主主義社会における議会制度に対する誹謗発言であり、猛省を求めるものであります。
 さて、我々議員は、個人や他の議員のプライバシー、名誉を傷つけるおそれのあるものに対しては特別に注意を払い、都民の意思を代表する議会人としての責任を持っての発言をしなければなりません。
 去る四月十九日と二十五日の同委員会での尋問において、非公開扱いとなっている記録の一般職員の個人名部分の発言があり、さらに、五月十二日の尋問において、委員長自身が、一般職員から提出された記録資料について個人情報等が含まれているので取り扱いに注意するようにと発言し、委員長もその記録の読み上げに注意を払って行ったにもかかわらず、同議員はその記録資料の個人名部分について特定の個人を識別できる発言を行いました。
 その結果、その職員はその後いろいろな状況により、家族と別に生活しているとのことであります。悩みかつ真剣に考え、勇気を奮って真実を陳述した職員の心を思うと、胸が痛くなります。まことに軽率な言動であると思います。
 さらに、四月二十二日の尋問において、発言していない他の委員の氏名を用いて発言したかのように尋問したこと、また、他の委員の尋問時間が長時間にわたり証人を体調不良とさせたことなど、不用意、不適切ともいえる発言をしております。
 これら他の委員に関する発言について、委員長等の指示に基づき、議事録から削除、訂正を行っておりますが、五月三十一日の同委員会で民主党委員は、削除等をしたのであるから問責されるいわれはない旨の発言をしています。しかし、これは議会の権威として、議会での不適切発言を載せるわけにはいかないので削除などしたものであって、発言者個人をそれによって免責するものではありません。
 こうした柿沢議員のこれまでの言動は、議会の権威と信頼を著しく損なうものであり、我が党は、二度とこのようなことのなきよう、同議員には反省を求め、問責決議案に対する賛成討論といたします。(拍手)
 
 ▼議長(内田茂君)
 五十六番 古館和憲君。
   〔五十六番 古館和憲君登壇〕
 
 ▼五十六番 (古館和憲君)
 日本共産党を代表して、柿沢未途議員に対する問責決議に反対の立場から討論を行います。
 本決議案は、柿沢未途議員に対して、都議会百条委員会での発言のみならず、記者会見など議会外での発言に対しても都議会の名においてその責任を問い、反省を求めるというものです。
 柿沢議員の記者会見での発言を問責の対象としている点については、議員がみずからの発言について責任を問われるのは、議会内におけるものに限るべきであって、記者会見を含めて議会外での言動に対してまでその責任を問うことは、議員の政治活動の自由に反するものであり、絶対にあってはならないことであります。
 なお、柿沢議員の百条委員会での発言については、非公開資料に記載された人物名を引用したり、委員長が慎重な扱いを要請した陳述書についても、陳述者の肩書きを述べるなど、配慮に欠ける発言が繰り返し行われました。これらは百条調査権に基づく特別委員会に対する都職員や都民の信頼を損ない、その権威を傷つける行為であることは明瞭です。
 しかしながら、これらの言動は、当該委員会の運営上の問題として委員会の中で対応すべき事柄であります。
 よって、本決議案には反対することを申し上げて、日本共産党の討論といたします。
 以上。(拍手)
 
 ▼議長(内田茂君)
 十六番 長橋桂一君。
   〔十六番 長橋桂一君登壇〕
 
 ▼十六番 (長橋桂一君)
 都議会公明党を代表して、民主党柿沢未途議員に対する問責決議に賛成の立場から討論を行います。
 地方自治法第百条に基づく社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会は、三月十四日の予算特別委員会の民主党の中村委員の質問に対して、濱渦副知事が、包括外部監査人によって補助金が正当ではないかもしれないという疑念を発せられた、財産が正当な形で、不法でない形で処理がされないといけないと、あたかも東京都社会福祉総合学院の運営等に疑惑があるような答弁をしたことに端を発して設置されたものであります。
 我が党は、この調査特別委員会において提出された膨大な記録を精査し、積極的に証人に対する喚問を行い、疑惑の真相究明に向けて精力的に調査をしてまいりました。
 しかるに同委員会の委員である民主党柿沢未途議員は、委員会の内外において数々の不適切な発言を繰り返してまいりました。
 まず、民主党柿沢未途議員は、記者会見において、百条委員会は人民裁判の空気を帯びてしまっているなどと、暴言に等しい発言を行いました。これは、みずから委員会の委員であるにもかかわらず、同委員会を誹謗中傷し、同委員会の権威を傷つける重大な行為であります。厳しくその行為が糾弾されるのは当然であります。それにもかかわらず、民主党柿沢未途議員は、この件については謝罪はいたしかねると、反省どころか居直り同然の発言に終始いたしました。
 また、四月二十二日の同委員会で、民主党柿沢未途議員は、特定の委員が長時間にわたって尋問を行ったことが、結果として証人を入院に追い込んだかのごとき発言を行いました。この発言は、当該委員の名誉を著しく傷つけるものであります。恣意的、主観的に過ぎるゆがんだ発言であります。
 さらに、民主党柿沢未途議員は、非公開扱いとなっている記録に記載されている個人名について、委員長の注意にもかかわらず、同委員会の場で意図的に個人を特定させる発言を繰り返しました。これは個人のプライバシーや名誉を侵害し、同委員会に対する信頼を著しく損なう行為であり、議員としての見識と資質を問われる行為であります。
 よって、我が党としては、民主党柿沢未途議員に対して、都議会の権威と信頼を失墜させた行為について猛省を求め、厳しく問責するものであります。
 以上で討論を終わります。(拍手)
 
 ▼議長(内田茂君)
 九十八番 大河原雅子さん。
   〔九十八番 大河原雅子君登壇〕
 
 ▼九十八番 (大河原雅子君)
 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、柿沢未途議員に対する問責決議について、反対の立場から意見を述べます。
 都議会百条委員会の内外における柿沢委員の発言には、個人の名誉やプライバシーにかかわるものもあり、非公開として慎重な扱いを求められている文書についても、極めて不適切であったことはまことに残念です。
 しかし、議員の職務である審議において不適切な発言や行き過ぎた表現があったにせよ、これを委員会内での協議で是正できず、本会議で問責するというのは、議会みずからの討議能力、自浄能力が問われることです。
 よって、柿沢議員に対する問責決議には反対します。(拍手)
 
 ▼議長(内田茂君)
 以上をもって討論を終了いたします。
 
 ▼議長(内田茂君)
 これより採決に入ります。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案どおり決定することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
 
 ▼議長(内田茂君)
 起立多数と認めます。よって、本案は、原案のとおり可決されました。
 
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