委員会調査報告書の決定

百条調査特別委員会速記録(平成17年6月6日)から
 
 ▼山崎委員長
 これより、社会福祉法人東京都社会福祉事業団が運営する東京都社会福祉総合学院に関する付託事項について調査を行います。
 委員会調査報告書について議題といたします。
 委員会調査報告書(案)は、お手元に配布してあります。
 朗読は省略いたします。
 
 ▼山崎委員長
 本件に対し発言の申し出がありますので、これを許します。
 
 ▼柿沢委員
 本委員会報告書(案)について、主な点についてのみ意見を述べます。
 まず、九ページに記載された(3)、調査の視点、〔1〕、違法・不当の有無、〔2〕、疑惑捏造の経緯と責任についてです。
 本委員会は、地方自治法第九十八条第一項及び第百条第一項ないし第十一項に基づく調査を行うため、同法第百十条第一項及び東京都議会委員会条例第四条により設置されたものであります。
 設置に当たって定められた調査事項は、社会福祉総合学院に関する次の事項。一、学院に関する平成十六年度包括外部監査結果に対する東京都の対応、二、学院の設立の経緯及び運営の状況、三、学院に関連する財産管理の状況、四、事業団が学院に関連して東京都から受けた補助金の執行状況、五、事業団が福祉人材養成事業に関して学校法人と締結した契約内容、六、その他調査に必要な事項であります。
 したがって、〔1〕、違法・不当の有無については調査事項に該当しますが、〔1〕により違法性、不当性がなかったと判断した場合、その旨を調査報告としてまとめ、議長に報告するのが委員会の役割であります。
 〔2〕の「なぜ濱渦副知事がこれを違法・不当とし、社会福祉総合学院を問題化しようとしたのか、その経緯と責任の所在を明らかにする。」ためには、改めてその旨を調査事項とする議会の議決が必要であります。委員会の恣意的な判断で、議会の議決とは異なる調査事項を調査の対象とすることは、委員会の越権行為であります。
 委員長も、三月二十三日の委員会において、調査権の限界として、第一は、調査権が及ぶのは、議会権限を有効適切に行使するために必要な事項に限られること。また、当該事件の調査事項に限られること。第二は、純粋に執行権の範囲に属する事項については限界があること。第三は、個人のプライバシー、思想信条の自由を最大限尊重する必要があるということを挙げていること。
 五月十二日の内田証人の証言においても、「議会運営委員会での議論は、その設置要領を定める中で、調査事項として、社会福祉総合学院に関する疑惑、疑念について五項目、その他一項目であり、その他の項目について、自民党の委員の意見として、副知事からの要請によりこの質問が行われた状況があるので、これも対象としたい旨の発言がありました。対する意見として、それなら正式に項目をふやして対応すべきとの発言もありましたが、大多数がこのままでよいという意見があり、設置が定まり、手順を踏んで本会議において全会一致で議決されたものであります。」、こう発言をされておりますことから、当初より、六項目の調査事項では、副知事からの要請によりこの質問が行われたことが対象にならない懸念があったこと。
 同日、委員長からも、本来であれば、こういう題にすべきという思いが私はあるんですが、あったんですが、予算特別委員会における民主党中村議員の質問に対して濱渦副知事の答弁により問題提起された社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会、これが本来の題名であるとの発言があり、委員長におかれても、調査事項との乖離が認識をされていること。
 以上の点から、〔2〕、疑惑捏造の経緯と責任を調査の対象とすることには疑義があります。これを調査の対象とするためには、改めてその旨を調査事項とする議会の議決が必要であります。
 次に、一二ページに記載された、(3)、出頭拒否と偽証、〔1〕、富田議員の「正当な理由」のない出頭拒否についてであります。
 既に述べたように、〔2〕、疑惑捏造の経緯と責任を調査の対象とするためには、改めてその旨を調査事項とする議会の議決が必要であります。加えて、委員会の調査権は当該事件の調査事項に限られるのであり、富田議員に対する出頭請求は調査権の逸脱であります。
 一三ページにおいて、「「正当な理由」の有無は、証人ではなく本委員会が判断するものである。」としていますけれども、出頭請求そのものの正当性について、本委員会設置に当たって定められた調査事項に該当するかどうか、厳密に判断をされなければなりません。その点に立てば、そもそも出頭請求そのものが調査権の限界を超えており、無効であるといわざるを得ません。
 次に、二六ページに記載された再付議の必要性についてであります。
 本報告書(案)では、本委員会は、以下の理由から再付議は必要ないと判断するとしていますけれども、今回のように既に公有財産運用委員会の付議を経ている物件について、その利用状況がどの程度変われば再付議が必要かという判断基準までは示されていないということが、四月二十五日の幸田福祉保健局長の証言においていわれておりますけれども、こうしたことは理解をしますけれども、適正を期する意味では付議すべきであったというふうに考えます。
 東京都社会福祉総合学院の運営に関する調査改善委員会報告書においても、今回のケースは付議すべき案件であったというふうになっております。
 次に、二七ページ以下に記載された、〔3〕、定期建物賃貸借契約の有効性について、「定期建物賃貸借契約として有効に成立している。」としている点であります。
 本報告書(案)では、定期建物賃貸借契約として有効に成立している根拠として、公正証書(平成十四年四月二十二日付)と合意確認書(平成十四年三月二十九日付)を挙げていますけれども、合意確認書では「再契約ができる旨、甲(事業団)が承諾することを条件として」と書いてございます。
 敬心学園から事業団あて学校設立申請に係る念書(平成十四年三月二十日付)がありますけれども、これには「契約期間の更新を無条件に保証するものではないことを理解」とあります。あくまで無条件に保証するものではないという、こうした理解であるというふうに思いますが、しかし、同日の事業団から生活文化局長あて文書では、「事業が継続的・安定的に実施できるよう十分に配慮する。」とあり、本報告書(案)でも、二三ページにおいて、これにより「「長期にわたり安定して使用できる」という条件が満たされた。」としています。
 事業団から厚生労働省社会・援護局及び医政局あて文書(平成十四年三月二十八日付)では、「一定期間経過の後成果等を検証・評価する必要があると考え、当初の契約期間は五年とした。」とあり、「当初の契約期間」という表現をしています。
 本委員会、四月十九日ですけれども、この小林敬心学園理事長証言「通常、学校設置を引き受けるに当たりまして、五年で終わるようなことを考える人はいないと思います。」、並びに山内生活文化局長証言「五年で廃止しますと、五年でやめますという学校の申請があれば、それは基本的にはそれを認可するということはなかなか難しいと思います。」、さらに定期建物賃貸借契約に係る記録より、定期建物賃貸借契約として有効に成立していると断言するのには無理があると考えます。
 仮に、形式的な契約成立を認めたとしても、実態はそのような状況にはなく、これが争いになり裁判となった場合、勝訴の見込みはありません。この点について十二分に配慮、考慮すべきであります。
 東京都社会福祉総合学院の運営に関する調査改善委員会報告書においても、「定期建物賃貸借契約が終了した後も、現在在学している学生が平成二十年度まで在学することから、敬心学園に対し授業に必要な範囲で建物の使用を認める。」といわざるを得なくなっています。
 委員長のご配慮により、本報告書(案)二八ページに「平成十九年度以降の対応について適切にすべきである。」との表現が盛り込まれたことは評価をいたしますけれども、それでもなお「定期建物賃貸借契約として有効に成立している。」と断言するのには無理があるといわざるを得ません。
 以上の諸点により、本委員会報告書(案)に反対をするものであります。
 なお、私は、今主な点に限って問題点を指摘いたしましたけれども、その他の未解明の問題についても引き続き厳正な調査を行い、真相を解明する必要があると考えます。
 とりわけ、私たちが再三要求している同委員会の調査に係る重要な関係人である包括外部監査人、弁護士意見に係る弁護士について、証人あるいは参考人として出頭を求めることが必要であり、これらがまだ実現しておりません。
 よって、委員会の継続審議を求めるものであります。
 以上でございます。
 
 ▼曽根委員
 本調査特別委員会に関する委員長の報告書(案)について、日本共産党都議団の意見を述べます。
 まず、委員会設置に至る経過についてですが、二月二十三日、包括外部監査報告当日の新聞報道、同月二十五日の知事の記者会見での、けが人が出るとの発言、その後三月十四日予算特別委員会において民主党議員の質問に対する濱渦副知事による都の補助金が不法であるかのごとき議会答弁が本委員会設置の契機となったのは事実です。
 しかし、設置に当たって確認されたように、本委員会はあくまで社会福祉総合学院にかかわる東京都の自治事務のあり方についての調査が目的であり、六つの調査項目をその内容としてスタートしたものです。
 したがって、我が党は、その後の証人喚問においても、学院の運営にかかわりのない議員の喚問や、喚問に対する出頭拒否を不当なものとする決定には、委員会の目的と、議員の政治活動を保障する立場から反対しました。
 また、調査結果については、第一に、学院の建物を貸し付けての臨床福祉専門学校の設立の経緯について、調査の結果、違法性を指摘するような具体的な根拠がなかったことは事実です。
 第二に、学院の建物が学校法人に転貸されているとか、貸し付けや補助金について法的に問題があるかのような報道や指摘について、これが事実ではないことも明らかになりました。
 したがって我が党は、本調査委員会の、学院の運営は法的に問題がないとの結論に賛成です。
 ただし、法的に問題がなかったことと、学院の運営状態が都民から見て適切かどうかは別の問題です。
 学院の委託と専門学校の設立については、我が党が意見開陳でも指摘したように、事業団の直接運営で始まった学院を初年度の途中から再検討し、翌年度から敬心学園への委託に切りかえるという特異な経過をたどったことや、敬心学園の専門学校設立についても、本来自前とすべき校地や校舎を持たず、建物も定期借家としながら、念書等を添えて、特例中の特例として私学審議会にかけるなど、無理を重ねての設置にこぎつけたことは明瞭であります。これが都が責任を持つべき人材育成の学院のあり方として最適な道を歩んできたとは到底いえないことは、その後の入学者の減少などにあらわれていることを指摘せざるを得ません。
 また、学院の建物貸し付けの際、公有財産管理運用委員会への再付議は必要であったかという点について、本委員会は、再付議は必要とはいえないと判断するとされていますが、多額の経費を費やして建設した都有資産の管理運用について公的な責任を果たすという原点に立てば、再付議は必要であったとするのが本来のあり方ではないかと考えるものです。
 本委員会で偽証があったと認定し、告発に該当すると決定した濱渦氏の問題については、報告書(案)にあるとおり司直による解明が必要であり、当然本会議における告発が不可欠であると考えます。
 以上、本報告書(案)について何点か意見を述べましたが、全体の結論については我が党としても同意するところであり、賛成であることを申し上げます。
 最後に、問題の根源として石原知事自身の都民や都議会不在の都政運営があったことは明白であり、知事の政治責任が重く問われていることを強く指摘して、日本共産党の意見とします。
 
 ▼山崎委員長
 発言は終わりました。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本件は、お手元配布の委員会調査報告書(案)のとおりとすることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕
 
 ▼山崎委員長
 起立多数と認めます。よって、委員会調査報告書は、お手元配布のとおり決定いたしました。
 これをもちまして、社会福祉法人東京都社会福祉事業団が運営する東京都社会福祉総合学院に関する付託事項についての調査を終了いたします。
 なお、本会議における委員長口頭報告につきましては、理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
 
 ▼山崎委員長
 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 
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