平成17年第1回定例会 代表質問

住宅耐震化5か年戦略の策定を
医療費助成制度を中学生までに

石井 義修(公明党)
■難局に臨む知事の決意
 
質問1
 私は、都議会公明党を代表して質問いたします。
 今、日本は二つの危機に直面しています。確実にやってくる日本各地を襲うスーパー地震災害であり、もう一つは、放置すれば日本沈没になりかねない超少子社会の到来であります。東京は、あらゆる英知を結集し、この危機を回避しなければなりません。
 また、東京は、国を変えるだけでなく、世界の危機回避にも貢献しなければならない使命があります。前任の大統領が世界に呼びかけ、その枠組みを決めておきながら、自国の利益を盾に、地球温暖化防止条約京都議定書から、現アメリカ大統領は一人抜け出したのであります。世界の異常気象からかけがえのない地球を守るために、世界の諸都市に呼びかけ、アメリカ大統領を包囲し、同じテーブルにつくよう忠告できるのは、ノーといえる石原知事以外ないのであります。
 無所属の時代を含め、公明党が都議会に初議席を置いてことしで五十年になります。人の命は地球より重い、政治の主権者である庶民大衆一人一人のその重い命を守ることに志を定め、先輩から後輩議員に、そしてまた、その後輩議員にたいまつを引き継ぎ、懸命に戦って半世紀になります。
 私たちは、知事と同じ思いに立って、未曾有の危機を回避し、安全・安心の東京をつくるため奮闘する決意であります。難局に立ち向かう知事の決意を、まず伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 難局に立ち向かう決意についてでありますけども、少子化の問題にせよ、あるいは隣国とのかかわりにせよ、あるいは当然やってくるでしょう大災害に対する対策にせよ、我が国は本当にいろんな危険に囲まれながら、それがいつ爆発するかわからない危機に直面していると思います。しかし、どうも国の政治においても、一向にその危機感が感じられずに、国民にその実態を知らしめようともしていない感が否めません。国の政治家や官僚が、この国の将来に責任を持とうとしていないのは本当に残念なことであります。
 トインビーという歴史家が、自己決定能力を失った国家は必ず滅びるだろうといっておりますが、やはり我々は、とにかく現実を直視し、それを正確にとらえることで、持つべき機関というものを持たなくてはならないと思っております。都は、こうした国の姿勢を座視することなく、産業の活性化、都市基盤の整備や、あるいは大気汚染対策、治安、青少年対策など、独自の取り組みを進めてきたつもりでありますが、いずれにせよ、頭脳部であり心臓部である東京が沈めば、日本にあしたはないという危機意識を持って、今後とも東京の再生に取り組んでいくつもりでおります。
 
■震災対策
 
質問1
 政府の中央防災会議は、首都直下地震が起きた場合、最悪で死者は阪神大震災の二倍近い一万一千人、建物の全壊、焼失は八十五万棟、七百万人が避難生活を強いられ、経済被害は阪神大震災の十倍で、百十二兆円とする被害想定をまとめました。東京は日本の政治経済の中枢機能が集中しており、直下地震のダメージは国内のみならず、世界に及ぶことは確実であります。
 私は、十年前、阪神大震災の翌日、平成七年一月十八日午後二時、同僚の公明党都議会議員五人と神戸に飛び、阿鼻叫喚の地獄を体験してまいりました。また、新潟中越地震の直後、十一月三日、橋本議員団長、中嶋政調会長らとともに、六日町、十日町、小千谷、震度七の川口町に急行し、地震被害の惨状を目の当たりにしてまいりました。
 都としても、石原知事を先頭に、安全・安心のまちづくりを掲げ、災害対策に取り組んでいるところでありますが、この被害想定の発表を受けて、これに対応するため、知事を本部長とする全庁的な直下地震対策本部を立ち上げ、都としても、区市町村別の、しかも、どのまちのどこが危ないのかという詳細な被害想定の策定、防災計画の見直しなど、直下地震対策に総力を挙げて取り組むべきと考えます。知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 直下地震への取り組みについてでありますけども、世界有数の火山脈の上にある地震国でありまして、東京においても大地震が発生する可能性が高く、自助、共助、公助に基づく備えを講じていくことが重要であると思います。
 東京の地震の必然性と申しましょうか、非常に重厚な可能性について明かすものの一つは、先般も火事を起こしましたが、どこを掘っても、とにかく東京でも、日本そこらじゅう温泉が出るという地政学的な条件を私たちは忘れるわけにいかないと思います。
 都は、全庁的な体制を強化するために、平成十五年度に知事直轄の危機管理監を設置し、実践的な訓練を積み重ね、防災力を高めてまいりました。また、八都県市が連携し、首都圏の震災対策を強化してもまいりました。国の被害想定が出されたことも踏まえ、平成十七年度には、私が会長を務めます防災会議で、お話の都の被害想定や地域防災計画の見直しに着手するつもりでございます。今後とも地震対策に全力で取り組んでまいりますが、しかし、東京というのは広うございまして、直下型といっても、どの時点でどこに来るかということがなかなかつかめない。都市の構造も地域によって違いまして、一概に──このごろ、どこまで信憑性があるのか、新聞はいろいろ予想を報道してくれていますけども、私たちはやっぱりそういうことに右往左往することなく、やはりできるだけ冷静な現状を把握して、着実な手だてというものを講じていかなくてはならないと思います。
 ただ、この地球そのものは非常に鳴動しておりまして、先般もスマトラの大津波で物すごい被害というのを目にしましたが、調べてみますと、十九世紀の末にクラカタワというロンボク海峡の島が全部爆発して、すっ飛んでなくなったんですね。そのときの記録を見ますと、大西洋までとにかく津波が行って被害が出ているという事実が歴史にございまして、そういう点で、日本に限らず地球そのものがまだ動いているという現況の中で、繰り返して申しますけど、日本は世界最大のファイアリングの上にあるという事実を私たちは片時も忘れてはならないと思っております。
 

 
質問2
 第二に、住宅の耐震改修について伺います。
 阪神大震災の死者六千五百人の約八割が建物の倒壊が原因であるところから、都内の昭和五十六年耐震基準以前の住宅百万棟の耐震化こそ、最重要課題であります。
 これまで国の財務省は、住宅は個人の財産であり、公的支援は公益性を損なうから適当でないとしてまいりました。都も同様の考えに立ち、これまで一般民間住宅の耐震診断、耐震改修事業は全く実施しておりません。
 しかし、十五年前の雲仙普賢岳噴火災害、阪神大震災、三宅島噴火災害、新潟中越地震を経験する中で、被災者支援のための被災者生活再建支援法が制定され、それに基づき支援金額が徐々に拡大されて、公的支援は公益性を損なうとする財務省の方針は、国民世論に促される形で大きく転換されてきているのであります。
 国土交通省は、私たち都議会公明党の強力な要請にこたえ、十七年度予算で耐震改修にかかわる補助制度について、従来のばらばらであった事業を統合化し、地方公共団体の状況に応じた柔軟な事業内容に変えてきております。さらに、今後十年を目標に、住宅耐震化目標を九〇%に設定し、財政、税制の両面から耐震化を強く進めていく検討に入っております。
 ところが、国と各区に耐震対策の補助制度がありながら、安心・安全を標榜する肝心かなめな東京都には制度がないのであります。全国をリードすべき東京が、全国で一番おくれているのであります。寂しい話であります。
 先ほど、我が党の中嶋政調会長が国の内閣府に行き、首都直下地震対策にかかわる被害想定をもらってまいりました。その中では、人的被害の概要ということで、自力脱出困難者五万五千人と出ております。そこで、国は、この五万五千人に対して、夏までに総合的な対策、マスタープラン、そして、減災計画をつくると述べているところであります。したがって、都としても、全力を挙げてこれに取り組むべきであります。
 住宅の耐震化が進まなければ、建物倒壊によって多数の死者が発生します。また、建物倒壊によって道路が閉鎖されれば、災害救助活動が遮断されます。震災後の莫大な復興費用の前倒しと考えれば、耐震対策に公費を投入することは何ら公益性を損なうものではありません。金がなければ知恵を出せであります。国と都が連携し、区市町村と連携し、民間事業者と連携し、住民力、地域力を呼び覚まし、あらゆる手段を駆使して、今こそ都は耐震対策に乗り出すべきであります。今すぐにでも、国の耐震改修に上乗せする形で、耐震改修事業を実施すべきであります。また、新耐震基準に適合する耐震改修事業費の一定割合を、個人住民税から控除する減税制度についても、検討すべきであります。
 耐震改修事業は、中小企業への景気波及効果も抜群であります。耐震診断によって耐震性が不十分な住宅は、建てかえるか耐震補修をすることになりますが、仮に十万棟が建てかえ、十万棟が耐震改修事業を行うと仮定しますと、その経済波及効果は約二兆五千億円になります。
 また、耐震改修に名をかりた悪徳商法に対する訴えが、既に都消費者センターに寄せられておりますが、したがって、悪徳商法に対する対策も早急に実施し、信頼できる耐震診断士や耐震改修産業の育成など、耐震診断から改修に至るまで、信頼できるシステムの構築を検討すべきであります。
 例えば、仮称耐震改修五カ年戦略などと、具体的で時限を切った計画を策定し、全庁的な組織を立ち上げ、総力を挙げて住宅の耐震改修に取り組むべきであります。知事の決断を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 住宅への耐震対策への取り組みについてでありますが、阪神・淡路大震災の例を見ましても、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は絶対に重要、必要でございます。私もあの直後、濱渦副知事と運輸省に頼まれまして港湾の被害状況の視察に参りました。ついでに一軒だけあいていましたホテルの近くの東灘区と、それからもう一つ、長田区、非常に被害の多いところに徒歩で、歩いていって視察いたしましたけども、印象的なのは、鉄筋、鉄骨の建物は全部残っていますが、木造の建物は全部倒壊しておりました。こういう事実を他人事じゃなしに、東京の方々も認識していただいて、うちは大丈夫だ、まあ大丈夫だ、ここは大丈夫だということで済むものではございませんので、やはりこういった問題の意識を、そういう危険な家屋に住んでいらっしゃる方自身が持っていただきたいと思います。
 都としても、災害に強い都市を目指し、木造住宅の密集地域等の整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発などにより、住宅の安全の確保に努めてまいりましたし、これからも努めてまいるつもりでございます。今後とも、首都東京の安全性を高めるため、関係各局が連携し、ソフト、ハードの両面から住宅の耐震性を促し、災害への備えに万全を期すつもりでございます。
 

 
質問3
 第三に、木造密集地域の整備についてであります。
 知事も施政方針で、豊島区東池袋地区、墨田区鐘ヶ淵地区など、道路整備と一体化した木造密集地域の不燃化を進め、災害に強い都市基盤の整備に取り組むと述べておりましたが、この事業は、先ほど述べた木造密集住宅の耐震化とともに、防災都市づくりの車の両輪の事業であります。想定される直下地震では、犠牲者を出さない、家をつぶさせない、家を燃やさせないという決意で、地域の住民の理解、協力も得て、あらゆる手段を駆使して、木造住宅密集地域の不燃化を進めるべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 木造住宅密集地域の整備についてでございますが、木密地域の防災性の向上には、延焼遮断帯となる幹線道路の整備とともに、地域内の細街路の拡幅や木造建物の建てかえによる不燃化が重要でございます。このため、都は、東池袋や鐘ヶ淵地区などで、都市計画道路整備に合わせ沿道の建物の共同化や不燃化を図る事業に取り組んでおります。
 延焼遮断帯の内側の区域においては、細街路の拡幅整備に努めるとともに、新防火規制や地区計画などの規制誘導策を活用し、住宅の建てかえや共同化による不燃化を、区とともに進めてまいります。
 こうしたことを実現するためには、都と区の連携強化、地域協議会の設立、住民や民間企業を含めたまちづくり勉強会の実施などにより、地域の防災意識の高揚を図っていくことが重要であります。
 木密地域の防災性の向上に向けて、このようなさまざまな活動と手法が実態に即して各地域で展開できるように、都は積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問4
 第四に、地下鉄の安全対策について伺います。
 元東大地震研、溝上恵教授は、「大地震が東京を襲う その時あなたはどこにいるか」という著書の中で、地下鉄に乗っているときに東京直下地震に遭遇した場合のシミュレーションを小説風に書き上げております。そして、地下鉄の構造は地震に対し十分な強度を持っているので、致命的な被害を受けることはないと考えるが、地下鉄の暗い空間は人間の本能に恐怖と不安をもたらし、それによって起こるパニックこそ最も危険な災害といえると述べております。
 去る二月十八日、都営地下鉄新宿線の曙橋─市ヶ谷駅間で、笹塚発本八幡行き列車に非常ブレーキがかかり、乗客四百五十人が一時間にわたって車内に閉じこめられる事故が発生いたしました。幸いにけが人もなく、駅員の誘導でトンネル内を百メートル歩き、無事市ヶ谷駅に避難することができたのでありますが、震度六を超える東京直下地震が発生すれば、地下鉄の全線にわたり地下鉄が急停車し、パニック同然の大混乱に陥ることは目に見えております。
 新年度予算において、韓国の地下鉄火災事故を教訓に、危険度の高い地下鉄駅の避難路の確保、そして排煙設備に対する助成が新規事業として実施されることは、時宜を得たものと評価するものであります。
 今後は、既存の避難誘導マニュアルなどを再度点検し、さらに有事を想定した乗客や駅員の避難訓練などの教育を行うべきであります。また、地下鉄構内に水、食料、医薬品、簡易トイレなど、帰宅困難者用のトランジットバッグを備蓄すべきであります。
 アメリカの国土安全保障省、DHSや、労働者安全保健公社、OSHAでは、被害が起こる前の危機管理、すなわちリスクマネジメントとあわせて、不測の災害やテロ攻撃に備える事故後の被害者管理、すなわちコンセクエンスマネジメントを実行しております。乗客や駅員に対する教育を平時から行うとともに、トランジットバッグの備蓄を義務づけております。
 都としても、先進国の先例に倣い、コンセクエンスマネジメント、すなわち事故後の被害者管理体制を整備すべきであります。今回発表された首都直下地震の被害想定でも、新幹線の脱線で二百人が死亡し、在来線や地下鉄でも五十から百編成の車両の脱線を想定しております。明快な所見を伺います。
 
答弁4
 ▼交通局長
 地下鉄の事故後の被害者管理体制の整備についてでございますが、大規模地震が起きた場合、都営地下鉄におきましては、列車はできる限り最寄り駅まで走行することとしておりますが、万が一、脱線等により駅間で停止した場合は、乗務員と駅係員が連携し、お客様の動揺防止に努めながら最寄り駅まで誘導いたします。
 また、負傷者への対応につきましては、お客様の協力も得ながら駅務室等に誘導し、応急処置を行います。このため、各駅に救急医療品を配備するとともに、乗務員及び駅係員全員の救命救急研修を実施しております。
 今後、中央防災会議の新たな被害想定も踏まえながら、事故後のお客様への対応を強化する観点から、脱線等を想定したパニック防止や避難誘導訓練を充実するとともに、救急医療品の整備を図るなど、事業者として万全を期してまいります。
 

 
質問5
 第五に、一年前、本会議で指摘した墨田区白鬚東の防災拠点の再整備について、重ねてお伺いいたします。
 昨年九月、知事も防災訓練の際に立ち寄っていただきましたが、東京東部の広域避難場所として整備されて以来二十五年、施設の老朽化とともに、さまざまな問題点が浮き彫りになっております。有事の際は四万人の仮設テントや仮設住宅が設置されますが、肝心な非常用トイレの数が決定的に少なく、しかもくみ取り式で、囲いも衛生対策もないのであります。地元墨田区と協議し、早急に整備すべきであります。
 また、震度七にも耐えられる非常用給水栓の整備、非常用電源の設置、住宅棟の耐震診断の実施と補修、地盤の沈下及び液状化の調査の実施などであります。これらについては、避難民を受け入れる地元自治会の皆さんと、都の関係各局がこれまでも協議してきている課題でありますが、誠意ある回答を示すべきであります。希望が持てる見解を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 白鬚東の防災拠点の施設についてでございますが、この拠点は、建物が昭和五十七年に完成し、これまで墨田地区の防災拠点として機能しており、それぞれの施設につきましては、施設管理者ごとに維持管理してまいりました。
 非常用トイレにつきましては、災害時において使いやすいように、地下便槽のふた部分を平成十七年度に四十カ所改善する予定であります。防災拠点内の建物及び附属する非常用の防災設備などの施設につきましては、関東大震災級の地震にも十分耐えられるよう整備されたものであります。
 しかしながら、建設時より相当の年数を経ていることから、施設の状況を十分把握し、必要な修繕を行うなど適切に対応してまいります。
 

 
質問6
 第六に、「地震に対する十の備え」についてであります。
 地震の際に人の命を守るのは、だれあろうその人自身であります。生きるも、命を落とすも、すべては発災後一分間で決まります。公助、共助も大事でありますが、自分の命は自分自身で守る心得を、すべての住民に一刻も早く周知することが大切であります。
 八十一年前、関東大震災の際も、本所の被服廠跡地に家財道具を大八車に満載した群衆が、警察官の制止も聞かず後から後から殺到し、そこに火の粉が降り注ぎ、やがて天高く舞い上がる火災旋風に巻き込まれた地獄絵が、横網の慰霊堂に掲げられております。
 東京消防庁は、昭和五十三年の宮城沖地震の教訓から「地震 その時十のポイント」を作成し、さらに阪神大震災の教訓、十勝沖地震の教訓を集約し、大震災に備え、個人でできる備えを十の備えとしてまとめ上げられております。これであります。
 「地震に対する十の備え」、家具類の転倒・落下防止をしておこう、けがの防止対策をしておこう、家屋や塀の強度を確認しておこう、消火の備えをしておこう、火災発生の防止対策をしておこう、非常用品を備えておこう、家族で話し合っておこう、防災環境を把握しておこう、過去の地震の教訓を学んでおこう、知識・技術を身につけておこう、グラッときたら身の安全、すばやい消火・火の始末、慌てた行動けがのもと等々、さまざまな、住民の皆さんに喚起する内容が掲げられております。幾多の災害の教訓を重ね合わせた力作であります。東京消防庁の皆様に感謝申し上げます。
 まさに人を守るのは人そのものであります。防災の備えを自覚した一人一人の住民は、十人、百人、千人、一万人の消防士に匹敵すると思います。こうした住民の力、住民力、地域の力、地域力を総結集し、来るべき東京直下地震に備えるべきであります。都内の区市町村、そして東京のすべての町会、自治会に協力をいただき、すべての住民の方々に「地震に対する十の備え」を周知すべきであります。消防総監の見解を伺います。
 
答弁6
 ▼消防総監
 「地震に対する十の備え」の徹底についてでありますが、ご指摘のとおり、都民の一人一人が、みずからの命はみずからが守るという自助の意識と防災の備えは、地震被害の軽減に重要であると認識しております。
 このため、東京消防庁では、阪神・淡路大震災、十勝沖地震等の教訓を踏まえまして、都民のとるべき「地震に対する十の備え」を取りまとめ、意識啓発に当たっております。
 「地震に対する十の備え」につきましては、今後さらに当庁のホームページへの積極的な掲載を行いますとともに、区市町村などの関係機関や町会、自治会の協力を得まして、地域のケーブルテレビ、町会等の掲示板及び各種広報誌への掲載並びに各住戸へのリーフレットの配布等により、早期の普及啓発に努めてまいります。
 

 
質問7
 昨年末、私は、歳末警戒で、向島消防署長、向島消防団長とともに各分団を巡回させていただきました。郷土愛の精神に燃え、生業の傍ら、昼夜を分かたず献身的に活躍される消防団の皆様に感銘いたしました。しかし、消防団の分団本部の建物や防災資機材格納庫が老朽化したものも見られ、消防団の皆様から改善を強く要望されたのであります。
 阪神大震災の教訓を受けて、倒壊家屋の人命救助に使用するチェーンソーやバールなどがおさめられた防災資機材格納庫が、直下地震で真っ先に倒壊したのでは話にならないのであります。予算を伴うものでありますが、あす地震が来ることを想定して、総点検し、計画的な防災資機材格納庫の耐震対策を実施すべきであります。
 また、命をかけて活動してくださる消防団の皆様の恩に報いる対策でありますが、さらなるきめ細かい顕彰制度の実施、消防団ハンドブックの改定、制服の見直し、消防団の日の設定、可搬ポンプ積載車の配置等についても前向きに検討すべきであります。
 
答弁7
 ▼消防総監
 防災資機材格納庫の耐震対策等についてでありますが、火災や震災時に地域を守る消防団の拠点となる施設に耐震対策を実施することは重要なことであります。このため、東京消防庁ではこれまでも、耐震対策を踏まえ施設の整備を図ってまいりました。今後は、老朽化した分団本部施設を優先しまして耐震対策の推進に努め、防災資機材格納庫につきましても、その後順次整備してまいります。
 また、消防団員のためにご提案のあった、きめ細かな顕彰の実施、消防団員ハンドブックの改定や制服の見直しなどの事項につきましては、今後十分に検討し、日夜地域のために貢献されている消防団員のご労苦にこたえるよう努力してまいります。
 

 
質問8
 次に、ライフラインの復旧について伺います。
 中央防災会議の被害想定によると、東京は、発災初日に水道の断水人口が約三百九十万人、下水道被害が十三万件などとなっております。この中で特に早期の復旧が必要なのは水道であります。電力、ガス、通信は民間であるのに対し、水道は都の所管であります。水道の復旧は、都の震災対策の中の重要な課題であります。
 今回の被害想定は、平成九年のそれと比べると、地震のエネルギーは一・五倍、震源域の広さは二・二五倍であり、阪神大震災と同規模の被害想定となっております。従来、水道局は、平成九年の想定に基づく復旧日数を三週間程度として、昨年の第四回定例会でも答弁しておりましたが、新たな想定下での復旧期間の見通しは立っているのか、また、水道局の耐震対策の再構築について見解を伺います。
 なお、関連して、包括外部監査の水道局に対する指摘について質問いたします。
 未利用資産の活用や料金収納コストの見直しなどは、かねてから公明党も主張してきた問題であります。さらに、待機職員など営業所業務の効率的な改善などについても、今後具体的に取り組むべきであります。企業的経営による効率性、経済性を発揮するとともに、地方公営企業としての公共性や公益性をいかに守っていくか、難しい課題でありますが、この二つの要請に水道局は正面からこたえていく必要があります。
 財政基盤の強化を初め、外部監査の指摘を踏まえ、今後の改善策について、水道局長の所見を伺います。
 
答弁8
 ▼水道局長
 国の被害想定に基づいた復旧見通し等についてでございます。
 今回、国が発表いたしました被害想定は、平成九年に都が行った想定よりも地震の規模が大きいため、水道施設に及ぼす影響もより大きいものとなっております。そのため、復旧には、従来都が想定した三週間程度よりも多くの日数を要することが見込まれております。
 一方、国の想定では、復旧日数の目標を三十日以内としております。水道局といたしましては、引き続き施設の耐震性強化を計画的に行い、地震に強い水道施設を整備してまいります。
 あわせまして、新潟県中越地震の教訓なども踏まえ、初動態勢を初めとする復旧態勢の強化や資材の確保などにつきまして、本年中を目途に局の震災応急対策計画を再構築し、一日も早い復旧に向け全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、外部監査の指摘を踏まえた今後の改善策についてでございます。今回の外部監査では、水道事業の経営に関しまして、財務状況の分析から事業所の執行体制に至るまで、専門的な見地から具体的な実務に即して指摘、意見をいただいております。こうした監査の指摘等を真摯に受けとめまして、直ちに局内に包括外部監査改善計画推進会議を設置し、現在、改善計画の策定に向け全力で取り組んでおります。
 公営企業である水道局といたしましては、将来にわたり都民の期待にこたえていくため、公共性を踏まえた上で、効率性、経済性を最大限に発揮していく必要があると考えております。今後、執行体制や資産活用など、事業全般にわたり監査の指摘等を踏まえまして、局を挙げて見直しを行い、速やかな改善を図ってまいります。
 
■防犯対策
 
 最近、防災、防犯、防疫、防衛の境目がなくなりつつあり、総合的な対策が必要であると指摘されております。
 こうした状況の中で、知事は、危機に備える対策を積極的に推進しております。二年前に治安対策担当副知事を登用し、緊急治安対策本部を設置し、安全・安心まちづくり条例の制定、スクールサポーターの配置、青少年健全育成条例の改正、警察力を強化するため、警察官OBを活用した空き交番対策、都職員の警視庁や東京入国管理局への派遣など、矢継ぎ早に対策を打ち出していることを高く評価するものであります。
 また、警視庁でも、平成十五年を治安回復元年と位置づけ、三年間で十年前の治安水準に戻すことを目標に、警視庁の総力を結集して、全庁的な取り組みを強力に展開しております。
 今定例会初日の警視総監の報告でも明らかなように、二年連続で都内の犯罪件数は減少し、逆に犯人逮捕の検挙率は上昇しているところであります。しかしながら、警視総監も依然として厳しい状況にあると率直に述べられましたように、世論調査を見ても、都民の生活実感からも、振り込め詐欺など新手の犯罪の多発や国際テロの脅威など、都民を取り巻く環境は依然として安全とはいえず、いわゆる体感治安を高めてほしいと、多くの都民が切実に願っております。
 

 
質問1
 そこで、竹花副知事に伺います。
 治安担当副知事として、これまで精力的に取り組んでこられたことを高く評価いたしますが、二年間近い今日までの取り組みのご自身の評価とこれからの課題について、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 
答弁1
 ▼竹花副知事
 都は一昨年八月以降、外国人組織犯罪対策、繁華街浄化対策、子どもを犯罪に巻き込まない対策、安全・安心まちづくりなどを中心に犯罪抑止対策を進めてまいりました。この対策には、警視庁、入国管理局はもちろんのこと、区市町村等の関係機関と緊密な連携を保ちつつ、都民の警戒心を高め、その自主的な取り組みを促すことにも努力してまいりました。
 その結果、警視庁の格段の努力や都民のさまざまな防犯活動が相まちまして、強盗、ひったくり、侵入窃盗等が前年に比べ一八ないし二六%の減少を見ておりますし、外国人組織犯罪や少年の凶悪あるいは粗暴犯罪も激減しております。
 今後、これまでの施策を継続、発展させるとともに、痴漢等の抑止対策など、新たな課題にも挑戦しまして、犯罪抑止の多様かつ広範な力を構築してまいりたいと考えております。
 

 
質問2
 また、警視庁がこの三年間、十年前の治安水準に戻すことを目標に掲げ、警視総監陣頭指揮で全庁挙げて取り組んでいることを高く評価するものでありますが、警察官やOB警察官の増員、スーパー防犯灯、街頭防犯カメラのさらなる設置などにより、都民の皆さんは、まちの安心・安全、学校の安全・安心を求めております。現在の治安状況と今後の対応について、警視総監の所見を伺います。
 
答弁2
 ▼警視総監
 現在の治安状況についてでありますが、一昨年、昨年続けての犯罪認知件数の着実な減少と、また検挙率の上昇によりまして、治安回復は一応軌道に乗せることができるものと考えております。
 ただ、ご指摘のとおり、振り込め詐欺やスキミングといった新たな手口の犯罪が急増していることに加えまして、未成年者にかかわる社会的反響の大きい事件など、凶悪かつ特異な犯罪が全国的に続発していることなどもありまして、いわゆる体感治安が十分に回復しているとは必ずしもいえない状況にあります。
 警視庁におきましては、これまで犯罪抑止総合対策を、検挙、防犯の両面から鋭意推進してきておりますが、ご指摘の防犯対策につきましては、例えばスーパー防犯灯を世田谷区の上祖師谷など八地区に、また街頭防犯カメラを新宿歌舞伎町など三地区にそれぞれ設置しておりまして、さらに来年度予算で上野地区等への設置をお願いしているところであります。
 加えまして、各地で商店街等による街頭防犯カメラの設置促進の動きがありますけれども、警視庁といたしましても、その運用等につきまして引き続き助言をしてまいりたいと考えております。
 また、学校の安全対策につきましては、去年の四月から各警察署に警察官OBのスクールサポーターを配置いたしましたほか、小中学校等における不審者侵入の対応訓練、あるいは被害防止教室など、昨年中、延べ二千五百回にわたりまして実施をしております。
 なお、警察官等の増員につきましては、昨年は東京都職員百人の派遣や私どもの内部努力によりまして、警察官の第一線現場への配置転換など、部内体制を強化いたしておりますが、人的基盤のさらなる強化のため、今定例会におきましても、警察官や再雇用職員の増員をお願いしているところであります。
 

 
質問3
 次に、急増するネット犯罪対策について伺います。
 急速に発展したインターネットの普及に伴い、その利便性とともに、そこに潜む危険性が指摘されております。はんらんする情報の中には悪質で有害なものが多く、いつ自分自身の周りに犯罪やトラブルが発生してもおかしくない状況にあります。その対策は急務であります。
 実際に、架空請求メールに伴うトラブルが急増し、社会問題となっております。いきなりパソコンや携帯電話に対して、債権回収業者を装った人物がメールで、アダルトサイトや出会い系サイトなどの利用料を請求し、銀行口座に振り込ませるなど、悪質で巧妙な手口が横行しております。
 そこで、第一に、警視庁は、ハイテク犯罪対策総合センターを中心に、ネットワーク利用犯罪などの取り締まりに取り組んでおりますが、都民の不安を一掃するため、関係機関と連携を図り、集中的な取り締まりが必要であります。警視総監の見解を伺います。
 第二に、都の取り組みについてであります。
 都も、消費者センターでの相談体制の強化や、架空請求にかかわる違反事業者の公表などを行い、ホームページで注意を促しております。しかしながら、急増するネット犯罪から都民を守るために、具体的な方策を講じるべきであります。そこで、学校や公共施設などで、犯罪やトラブルに巻き込まれないための教育や啓発を行うネットインストラクターを積極的に養成し、活用することが考えられます。都の見解を伺います。
 
答弁3
 ▼警視総監
 インターネット利用犯罪の実態と取り組みについてでありますが、昨年中、警視庁に寄せられましたインターネット利用犯罪などのハイテク相談は約六千六百件に上っておりまして、おととしに比べて一割近く増加しております。このうち、架空請求や不当請求といった詐欺悪質商法等に関する相談が全体の約三割を占めておりますほか、インターネットオークションに関する相談が千百件と、前年から倍増をいたしております。また、相手をだまして個人情報を入手するいわゆるフィッシングを手段とした詐欺など、次々と新たな手口も出現しております。
 こうした情勢の中、警視庁では、平成十二年に設置をいたしましたハイテク犯罪対策総合センターがサイバーパトロールを常時実施をいたしまして、ネットワーク上の有害、違法な情報収集を行っておりますほか、悪質なインターネット利用犯罪等の集中的な取り締まりを推進しているところでありまして、昨年二百三十六件、二百二十六人を検挙いたしております。
 また、防犯対策といたしまして、インターネットオークション事業者に対しまして、犯罪の被害が発生しないようにシステムを改善することを指導しておりますし、あるいは青少年を含む利用者個々のセキュリティー意識の向上を図るため、各種の広報、啓発活動を行っているところであります。
 今後とも、プロバイダー等の関連業界、あるいは教育機関などとも連携を図りながら、ネットワーク社会の秩序の維持とその健全な発展のため、インターネット利用犯罪等の検挙と対策を強力に推進してまいります。
 
 ▼生活文化局長
 架空請求メールなど、ネット犯罪に対する都の取り組みについてでございますが、架空請求メールなどによる都民の不安を解消するために、本日から、専用相談電話架空請求一一〇番を開設するとともに、架空請求メールを都民から通報していただき、その通報に基づき違法サイトの削除をインターネット接続事業者に要請することとしております。
 また、ネットトラブルの防止に向けた都民への啓発を効果的なものにするため、都が講師を学校や地域に派遣する出前講座におきまして、業界団体等の専門家の派遣を新たに開始し、より多くの都民に対する消費者教育を実施するなど、被害の未然防止に向けた取り組みを強化してまいります。
 
■青少年の健全育成
 
質問1
 有害な情報のはんらんや、青少年が悪質な犯罪に巻き込まれる事件の発生など、青少年を取り巻く環境はますます悪化しております。
 先日、大阪・寝屋川市の小学校で十七歳の少年が起こした殺傷事件は、社会総体に大きなショックを与えました。何が原因なのか、我々は何をなすべきなのか、今こそ真剣に、家庭教育、学校教育、社会教育の立場から、青少年の健全育成はいかにあるべきか、答えを出さなければなりません。知事の所見をまず伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 青少年健全育成に関する基本的な考え方でありますが、やはり人材こそ最大の国家の財産でありまして、現下の青少年を取り巻く状況は、これはもう彼らの責任というよりも、むしろ私たち大人の責任でありますが、非常に憂慮すべき状況にあると思います。そういう実態を大人は、子どもの将来のために、国家の将来のために直視する必要があると思います。
 青少年の育成については、ご指摘のとおり、学校教育のみならず、やはり地域、家庭の、特に家庭の教育、しつけが親を含めた大人たちの責任だと思います。昔は本当に、近くで遊んでおりますと、非常に横町のうるさいおじさんとかおばあさんがいまして、そこで遊んじゃいかんとか、ああしろ、こうしろと怒られたもんですが、そういう風習が全くなくなってしまったというのは本当に残念なことであります。
 繰り返して申しますけども、子どもには大人からしかられる権利がありますし、逆にいえば、大人は子どもをしかる責任があるわけでありまして、青少年の健全育成のためにも親や地域が責任を自覚し、子どもを厳しくしつけるということが絶対に必要だと思います。
 しかし、この間、条例の改正に関していろいろ意見をお聞きしました。六本木で婦人科のクリニックを開いていらっしゃる赤枝先生という先生に聞きますと、子どもに小遣いをせびられて、それまで余裕がないから、おまえ、援助交際したらどうだという親がいるそうであります。この援助交際というのも売春そのものでありますけど、そういう言葉のあやに、何か親まで幻惑されて、そういうことを子どもに親がいうというこの事態というのは、本当に肌にアワを生じるような現況にあると思います。
 いずれにしろ、私たちは、コンラッド・ローレンツという動物行動学者はいいましたが、やはり幼いときの子どもに抑制を強いる、我慢を要するに教える。寒けりゃすぐ暖房、暑けりゃすぐ冷房ということじゃなしに、あるいはおなかすいたらすぐ間食ということじゃなしに、やはり子どものこらえ性というものを幼い時期から培っていく努力というものを特に家庭でしませんと、結局、野方図に育てた子どもは、外へ行ってああいう実態の風俗にまみれて堕落していくということになるのではないかと思います。
 

 
質問2
 第二に、学校教育の立場から伺います。
 私は、昨年末、錦糸町駅頭で新潟中越地震の募金活動を行いました。大勢の人が賛同し、真心の浄財を預かりました。その中に中学生や高校生、そして多くの若者も立ちどまり、僕たちの応援メッセージを新潟の人たちに届けてほしい、そういって、財布からお小遣いをカンパしてくれたのであります。今どきの若者は、などとよくいいますが、とんでもないことであります。この善意を伸ばさなくてはいけないと率直に感じました。青少年健全育成の立場から、教育長の見解を伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 青少年の健全育成についてでございますが、児童生徒がボランティアなどの社会奉仕体験活動を通して、お話にありましたように、相手を思いやる心や、互いに助け合い協力し合って生きていく態度を身につけますことは、健全な社会を築き上げていく上で極めて重要なことでございます。
 現在、各学校では、総合的な学習の時間や学校行事などにおきまして、地域の清掃や高齢者との交流などの社会奉仕体験活動が盛んに行われておりますし、また、こうした児童生徒のとうとい活動の普及啓発をするために、東京都としましても、未来を拓く体験発表会や児童・生徒表彰などを開催しているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを一層充実させていきますとともに、都立高校におきましては、平成十九年度からの奉仕体験活動の必修化に向けまして、来年度には奉仕体験活動実践・研究校を二十校指定しまして、お話のような青少年の健全な育成を図ってまいります。
 

 
質問3
 第三に、社会教育の立場から伺います。
 都は、有害な情報から青少年を保護するため、平成十六年の青少年健全育成条例の改正で、不健全な図書類についての規制を強化する措置をとりました。しかし、今やインターネットから有害情報が大量に流され、青少年は、犯罪に巻き込むおそれのある情報に無防備にさらされております。
 今回提案されている条例の改正は、これらの情報から青少年を保護するため、事業者がフィルタリングの提供に努めることを規定するなど、他の道府県より踏み込んだ内容となっております。これはインターネット利用に伴う危険な現状を踏まえた対応であり、高く評価するものであります。今後、条例施行の効果を上げるため、具体策を竹花副知事に伺います。
 
答弁3
 ▼竹花副知事
 インターネットからもたらされる有害情報からの青少年の保護についてであります。
 我が国も批准しております子どもの権利条約第十七条によれば、児童の福祉に有害な情報及び資料から児童を保護するための適当な指針の発展が奨励されております。援助交際や女子の下着の売買サイト等、青少年に有害な情報が、青少年が多数利用する携帯電話やパソコンにあふれている我が国の状況は、この条約の規定に反しているといい得るものであります。
 そこで、都は国に先駆けまして、青少年健全育成条例の改正を通じて、この状況の改善に二つの方向から取り組みたいと考えております。
 その一つは、青少年が危険の少ない携帯電話等の機器を所持できるようにすること、もう一つは、青少年自身が危険を遠ざける力を向上することの二つであります。
 このような観点から、都においては、今後、条例の改正がなされますれば、これをバックアップにいたしまして、インターネット事業者やインターネットカフェに自主的な取り組みを促すとともに、保護者向け啓発用ガイドブックを作成し、またNPO、事業者、学校、保護者等が連携しまして、家庭、学校等における多様な対話、討論、啓発セミナーを実施することとしております。
 ご指摘の寝屋川の事件等の幾多の事件が私どもに発しております警告を深く受けとめまして、青少年をバーチャルな世界に奪われてしまわないように、ネット社会の危険から青少年を守る取り組みに全力を傾けたいと考えております。
 

 
質問4
 あわせて、私は昨年の本会議でも指摘いたしましたが、青少年の健全育成を阻害する一部の低俗なメディア対策についてであります。
 まちのコンビニや駅頭に堂々と、だれはばかることもなく、卑わいな写真や漫画本が並べられております。子どもたちにとって知らなくてもよい情報がはんらんしております。先進国では到底見られない恥ずかしい光景であり、これは形を変えた虐待ではないかと思います。
 社会は子どもの鏡であり、その鏡であるべき社会が、自分の子どもや孫にも見せられないような不条理なことをやっていて、一方で青少年に健全になれといっても説得力はないのであります。売れれば何でもあり、後は野となれ山となれ、一部の商業主義的なメディアへの自主規制の呼びかけを含め、竹花副知事の対応策を伺います。
 
答弁4
 ▼竹花副知事
 青少年の健全育成を阻害するメディアへの対応についてでございますが、まず、昨年の青少年健全育成条例の改正後、不健全図書のはんらんを改善するための関係業界の自主的な取り組みが強化をされまして、大半のコンビニ店を中心に、状況が大きくよい方向に変わってきております。
 今後、ことし一月に施行されました自動販売機の図書の販売にかかわる規制の実施状況を検証するなど、さらに関係業界の指導に努めていきたいと考えております。
 一方、中高生を対象といたしました一部メディアには、性行動をせかす情報があふれておりまして、知らぬは親や大人だけという状況でございます。
 今回の条例改正では、青少年に安易な性行動をいたずらに助長することがないように、青少年に情報を提供する者に自主的な努力を求める規定を設けたいと考えております。これをてこに、今後、関係事業団体に対し、自主的な取り組みを働きかけてまいりたいと考えております。
 また、駅頭などで売られている不健全な出版物が電車内に持ち込まれ読まれていることも、ご指摘のように恥ずかしい光景でございます。そこで新年度から、こうした行為の防止対策を検討するための協議会を新たに設置することといたしております。
 
■東京港の保安対策
 
質問1
 改正SOLAS条約が発効して半年後の本年一月、四日市港に入港したコンテナ船において、密入国した男女五人が逮捕されました。その後、この船が横浜港に入港した際には、さらに二名の密入国者と乗組員が逮捕されております。この船は最終的には東京港へ寄港する予定でしたが、取り調べのため、東京港への寄港は取りやめとなっております。
 このような密入国事件が今なお発生している現状を踏まえ、外国人犯罪を水際で断固防ぐため、港湾における保安体制のなお一層の充実強化が求められるところであります。
 東京港では、昨年七月までに、フェンス、ゲート約十二キロメートルの整備は完了しておりますが、そこでさらに、改正SOLAS条約発効後の取り組み状況と、隣接港湾や関係機関などとの広域連携の進捗状況について、港湾局長の見解を伺います。
 
答弁1
 ▼港湾局長
 まず、東京港における保安対策の取り組み状況でございます。
 密入国などの外国人犯罪を水際で阻止する取り組みの充実が求められておりますのは、ご指摘のとおりでございます。このため、東京港では、水際の第一線でございますふ頭の出入り管理の徹底を図っているところであり、フェンス等の整備に引き続き、今年度内に監視カメラや照明設備の設置を完了させます。
 さらに、本年四月には東京港管理事務所に指令センターを新設するとともに、十三名の専任監視員を配置し、二十四時間の常駐監視体制を構築してまいります。
 東京港が今後とも日本を代表する国際貿易港として発展していくためには、世界に信頼される港づくりが不可欠であり、水際保安対策の取り組みを一層強化してまいります。
 次に、隣接港湾等との広域連携の進捗状況でございます。
 広域連携の新たな取り組みといたしまして、都が横浜港などの隣接港湾に呼びかけ発足した東京湾保安対策協議会に、本年二月、木更津港及び横須賀港の参加を得まして、文字どおり東京湾全域の広域連携体制を整えたところでございます。
 この協議会では、昨年の晴海ふ頭での合同保安訓練に続き、本年は、横浜港ですべての機関が参加しての情報伝達や密輸、密入国への現場対応の訓練を六月を目途に実施する予定でございます。
 都は、民間事業者とも連携し、東京港における保安対策の充実に取り組むとともに、この協議会を通じ、東京湾岸の港湾関係機関との連携をさらに強化して、水際の危機管理に万全を期してまいります。
 
■国民保護法
 
 国際テロ組織による脅威が顕在化するなど、我が国を取り巻く危機管理、そして安全保障は大きく様相を変えております。このような状況のもと、昨年、武力攻撃や大規模テロ等から国民の生命、財産を守るため、国民保護法が制定されました。今定例会には、この法律を受け条例案が提出されております。都が国民保護の対策に本格的に取り組むことは大きな意義があります。
 そこで伺います。
 

 
質問1
 第一は、首都東京の責任を担う立場として、国民保護の法制度が整備されたことに対する認識と評価を知事にお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 国民保護の法制度についてでありますが、武力攻撃やテロ等において、国民の生命、財産を守るために必要な手だてを講じることは当然の国家の責任であります。法整備はむしろ遅きに失したほどでありますが、ようやく国家そのものも、拉致の問題とか、あるいは隣国とのかかわりその他で、ある種の危機感というものを持ち出したようで、いずれにしろ、こういう事態の中で、国と自治体が一体となった体制が整いつつあるということは、評価というか当然のことだと思います。万が一のときには、地方自治体としても国に全面協力して、全力を挙げ都民の生命、財産を保護する努力をするつもりであります。
 

 
質問2
 第二は、武力攻撃や大規模テロ等において、国民を迅速、安全に避難誘導するためには、警察、消防、自衛隊との連携が極めて重要であります。計画作成においても、こうした機関と緊密に連携して取り組む必要があります。見解を伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 国民保護計画におけます警察、消防、自衛隊との連携についてでございますが、武力攻撃や大規模テロなどに際しまして、住民の避難誘導等の国民保護措置を迅速に行うためには、警察、消防、自衛隊との緊密な連携が不可欠でございます。
 このため、都ではこれまでも、これらの機関の参加を得まして、天然痘やサリンを想定いたしましたNBCテロ災害図上訓練などを実施してまいりました。
 既に、庁内各局、関係機関でつくります国民保護計画策定検討会議を設置しておりますが、今後とも、効果的な連携のあり方について十分に検討してまいります。
 

 
質問3
 第三は、国民保護のため、さまざまな措置が円滑に行われるためには、計画作成に当たり、都だけではなく、区市町村や民間団体なども含めた幅広い意見を反映させるべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 国民保護計画への都民意見の反映についてでございますが、国民保護措置を円滑に行うためには、避難、救援から復旧に至るまで、都民及び多くの機関、団体の理解と協力を得ることが必要でございます。そのためには、計画を作成する段階で、広く関係者の意見を聞くことが重要であると考えております。
 今回提案しております東京都国民保護協議会条例で定めます協議会の委員には、区市町村や民間団体からも選任し、幅広いご意見をいただき、それらを計画に反映してまいります。
 
■少子化対策
 
 石原知事は、所信表明において、深刻化する少子化問題に懸念を表明し、その対策に取り組むことを明らかにされました。
 私たち公明党も、坂口前厚生労働大臣をトップに、少子社会対策本部を立ち上げ、福祉、医療、教育、仕事、住宅、環境など、総合的な対策に取り組んでいるところであります。この三月末を目途に、少子社会トータルプランをまとめる方針であります。
 少子化の進行の歯どめをかけ、そして東京の明るい展望を開くため、以下質問いたします。
 

 
質問1
 第一に、子育て対策のかなめである医療費の助成制度についてであります。
 平成五年十二月、私たち都議会公明党は、乳幼児医療費の無料化を実現するために、財務当局とちょうちょうはっしの激論を展開し、財源捻出の折衝を行い、第一会派の自民党執行部の皆様とともに、医療費助成制度の意義を確認し合い、当時の鈴木知事を粘り強く説得し、第四回定例本会議の公明党代表質問で提案し、実現にこぎつけたのが、乳幼児医療費助成制度のスタートでありました。十二年の歳月を超えて再び提案するものであります。
 現在、この助成制度は小学校入学前まで実施されておりますが、各区市では、所得制限の撤廃や対象年齢の引き上げなど、さらに上乗せの助成制度を実施しております。都としての制度の拡大を多くの都民の皆様が求めているのであります。
 公明党は、厚生労働省とも直接折衝しているところでありますが、国への要望、また区市町村を支援する次世代育成支援補助金などを使うなど知恵を出し、医療費助成制度を中学生まで拡大すべきであります。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 乳幼児医療費助成制度についてでありますが、本制度は、少子社会において子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものであり、対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してまいりました。
 また、これまでも国に対して、少子社会対策推進のため、乳幼児に対する医療保険制度の充実を提案要求してまいりましたが、国は、昨年末に策定した子ども・子育て応援プランで、社会保障の枠にとらわれることなく、次世代育成支援施策について総合的かつ効果的な視点に立って幅広く検討することとしており、今後、この点も踏まえて適切に対処してまいります。
 

 
質問2
 次に、子育て支援における住宅対策について伺います。
 子育て支援においては、子どもを健やかに育てる環境を整えることが必要であります。その環境整備の一つとして、住宅政策は重要であります。
 そこでまず、民間住宅についてであります。
 東京の住宅事情は、改善の方向にあるとはいえ、子どもの数がふえるにつれ、戸建ての住宅やマンションを購入することが困難になってきております。これが少子化を加速させる要因の一つであります。そこで、良質で低廉な住宅の供給がさらに促進されるよう、市場の環境を整備することが必要であります。
 都は現在、一般の市場価格より三割程度安い住宅を供給する実証実験を進め、合理的な住宅生産システムの確立を目指しています。さらに、良質で低廉な中古住宅が活発に市場に出回るようにするために、仲介業者、金融機関、検査・保証機関等が連携し、中古住宅の流通を活性化するための仕組みづくりも検討しております。見解を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 戸建て住宅の実証実験等の今後の取り組みについてでございますが、子どもを健やかに育てる上で、生活の基盤である住宅が果たす役割は大きいと考えております。
 都は、戸建て価格三割引き下げの実証実験を現在進めておりますが、今後、この成果を生かして生産システムの合理化の指針を策定し、講習会などを通じて中小工務店などに広く普及する、このことにより、大手メーカーも含めた価格競争を活発化させ、住宅市場の構造改革を進めてまいります。
 また、中古住宅の検査、仲介、融資などを連携して行うネットワークづくりについて、現在、関係事業者と協議を進めており、できるだけ早期にその具体的な仕組みを取りまとめ、中古住宅の流通を活性化してまいります。
 

 
質問3
 次に、公共住宅、とりわけ都営住宅に関連して伺います。
 都内には約二十六万戸の都営住宅ストックが存在し、住宅困窮者である都民のセーフティーネットとしての役割を果たしております。さきにも述べましたが、子どもの数がふえればふえるほど、戸建ての住宅やマンションの購入が遠のいていきます。せめて一定の広さが確保できる都営住宅に入りたくても、なかなか当選しないというのが現状であります。
 現在、都では、子どもが三人以上いる世帯に対しては、入居について優遇措置を講じておりますが、少子化対策の意味から、多子世帯に対する優遇措置をさらに拡充すべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 都営住宅における多子世帯に対する優遇措置の拡充についてでございますが、現在、都営住宅への入居におきましては、子どもが三人以上いる多子世帯に対して、当選の確率が高くなる優遇抽せんや特別枠による優先入居といった優遇措置を実施しております。
 今後、募集方式の工夫など、少子化対策に都営住宅を一層活用していくための方策を検討してまいります。
 

 
質問4
 都営住宅の多子世帯への優遇政策とともに重要なのが、若年ファミリー世帯に対する都営住宅の供給であります。
 都は、平成十三年度、若年ファミリー世帯を対象に、都営住宅に都独自の期限つき入居制度を導入いたしました。現在、二十三区のうち十二区にこの期限つき入居制度が導入されていますが、少子化対策を考えた場合、若年ファミリーに対する期限つき入居制度を他の地域でも実施すべきであります。この期限つき入居制度は、高齢化が著しい都営住宅の活力の維持にも効果があります。所見を伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 若年ファミリー向け期限つき入居制度の拡充についてでございますが、本制度は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平性の確保を図るとともに、地域の活性化にも寄与するものとして、平成十三年度に都が単独で建設した一部の都営住宅に、全国に先駆けて導入したものでございます。
 平成十五年度には、対象とする住宅を利便性の高い地域の一般都営住宅にも拡大し、制度の充実を図ってまいりました。
 今後、これまでの実施結果やご提案の趣旨も踏まえ、制度拡充に向け取り組んでまいります。
 

 
質問5
 現在、国土交通省は公営住宅法の改正を検討しております。そこで、次回の改正に合わせて、子育て支援住宅の導入を国に強く働きかけるべきであります。都営住宅の建てかえ時に導入するとか、民間の借り上げ型の可能性も検討すべきであります。生活の最も重要な基盤は住宅であります。少子化対策のベースには、やはり子育て支援のための住宅が不可欠であります。国への働きかけを含め、所見を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 子育て支援住宅の導入についてでございますが、住宅供給の大部分を民間が占めている現在におきましては、都民ニーズに対応した住宅の供給に向け、市場の整備、誘導を図るとともに、市場では対応できない部分を公的住宅が補完していくことが、住宅政策の基本的枠組みでございます。
 この枠組みのもと、都はこれまでも、良質、低廉な住宅供給促進に向けた市場の整備、誘導や、子育て支援のための公的住宅ストックの有効活用などを図ってまいりました。
 今後とも、子育て支援に関する国の動向も注視しながら、住宅政策における少子対策のあり方について幅広く検討してまいります。
 

 
質問6
 次に、少子化対策における喫煙対策について伺います。
 先進国の中でいまだ喫煙率の高い我が国も、最近は低下傾向にありますが、育児中の二十代、三十代の若い世代では、男女ともに高い傾向が続いております。たばこは本人の好みの問題であり、とやかくいうつもりはありませんが、乳幼児の周辺の喫煙は、乳幼児の健康、安全面から問題があります。乳幼児の周辺での喫煙による受動喫煙によって、乳幼児突然死症候群、肺炎、気管支炎、ぜんそく発作、中耳炎のリスクが高まります。
 また、妊娠、出産、育児にかかわる年代の喫煙は、男女ともに不妊の大きな原因となっております。
 また、妊娠中の喫煙は、流産、早産、低体重、未熟児、情緒不安定、小児がんの原因につながります。
 我が国は、WHOたばこ規制枠組み条約に九十八番目に署名し、また昨年、都は、健康増進法の施行に伴い、禁煙・分煙対策を徹底し、各種のリーフレット等による啓発を行っているところでありますが、若い世代へのさらなる啓発を徹底すべきであります。
 小中高では、単にリーフレットを配布するだけではなく、健康教育の一環として、たばこ問題を取り上げるべきであります。また、若い男女、そして子育て世代に対し、たばこによる健康被害の知識の普及を行うべきであります。明快な所見を伺います。
 
答弁6
 ▼教育長
 健康教育の一環としての喫煙対策を取り上げることについてでございますが、ご指摘のように、若い世代の喫煙率が高い傾向が続いておりまして、学校における喫煙防止に関する指導は一層重要な事項となっております。現在、保健体育、特別活動等におきまして、小学校では喫煙の身体への影響や受動喫煙につきまして、中学校ではたばこの煙の有害性や喫煙の依存性につきまして、高等学校では喫煙の胎児への影響や適切な意思決定と行動選択につきまして、各発達段階に応じた指導を行っておりますが、今後ともこれらの指導の充実に努めますとともに、昨年七月に作成、配布をしました喫煙防止リーフレットをホームページに掲載をしまして、各学校での活用を図ってまいります。
 また、本年二月策定の都立学校における健康づくり推進計画に基づきまして、新たな取り組みとして実施する青少年健康危険行動調査の中で、生徒の喫煙についての実態把握を行いまして、その分析結果をも踏まえまして、より実効性のある健康教育を推進してまいります。
 
 ▼福祉保健局長
 若い男女及び子育て世代に対する、たばこによる健康被害の知識の普及についてでありますが、若い世代の喫煙対策は、本人及び乳幼児の健康を守る観点から重要と考えており、都は、その対策の一環として、妊婦の喫煙や乳幼児の受動喫煙の健康への影響についても明記したリーフレットを作成するなど、普及啓発に努めております。
 また、区市町村が効果的に喫煙対策に取り組むことができるよう、母子保健に携わる指導者を対象に研修を実施しております。
 今後とも、さまざまな広報媒体を活用しながら、あらゆる機会をとらえて効果的な喫煙対策の普及啓発に努めてまいります。
 
■女性支援対策
 
質問1
 ドメスチックバイオレンス、DV対策について伺います。
 昨年十二月、改正配偶者暴力防止法が施行され、保護命令制度の拡充を初めとする幾つかの改善が図られました。しかし、依然として、DVによる殺人事件は二日に一人の割合で起きております。今後、都においては、今回の改正法で策定が義務づけられた基本計画を速やかに策定し、配偶者暴力の防止と被害者の支援のための実効性のある取り組みを進めるべきであります。
 東京都に寄せられた配偶者暴力の相談件数は、平成十三年度三千三百三十四件から、平成十五年度には九千百二十七件と大幅に増大しております。また、被害者の中には、直接電話をして相談することをためらい、その結果、支援を受けるまで相当な期間を要した事例もあると聞いております。配偶者暴力の被害者を速やかに支援につなげていくためにも、被害者の状況に応じて適切に対応していくことが重要であります。
 こうしたことから、近年進歩が著しいIT技術を活用し、例えばネットによるQアンドAのように、自分の知りたい情報を検索できるネット相談室の創設を図るなど、被害者にとってより利用しやすい相談方法を検討すべきであります。見解を伺います。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 配偶者暴力に関する相談の方法についてでございますが、配偶者暴力に関する相談は、情報提供を求めるものから緊急に対応を必要とするものまで多岐にわたっております。これらの相談に適切に対応していくためには、情報提供や相談方法の多様化を図り、相談者にとって利用しやすい環境を整えていくことが重要と考えております。
 このため、ご提案のインターネットを活用したQアンドAなどによる相談の実施についても具体的に検討してまいります。
 

 
質問2
 次に、生涯を通じた女性の健康支援策について伺います。
 働く女性の増加や高齢化を背景に、女性が直面する病気や健康上の問題が多様化しております。また、妊娠、出産年齢の上昇が乳がんや子宮がんなどの増加を招くなど、女性の生涯を通じた健康維持増進のため、より一層の体制整備が求められております。
 これまで公明党は、性差に基づく医療の必要性を指摘し、女性専用外来を都立病院に設置すべきであると強く主張してまいりました。その結果、都立大塚病院、墨東病院、府中病院、保健医療公社大久保病院において順次開設されております。
 私は先日、墨東病院の女性医師から、開設以来、病院を訪れる人たちに対し、きめ細かな配慮と行き届いた診察をしてくださっている様子を伺い、大変に感動いたしました。完全電話予約制で、地域的な縛りもなく、紹介状がなくても診察してもらえるこの制度は大変に好評であります。提案した私たち公明党としても誇りに思っております。決断した知事を、利用者の方々とともに高く評価するものであります。
 現在、多摩南部地域病院でも設置に向けた具体的な検討が進められておりますが、一日も早い開設を要望いたします。
 さらに、今後は、女性が生涯、健康で生きがいのある生活を送るために、また、女性特有の心身に関する悩みを解決するためにも、女性がその健康状態に応じて的確に自己管理を行うことができるよう、身近な地域に利用しやすい相談体制の整備を進めることが重要であります。
 例えば千葉県では、県内十四カ所の保健所で女性のための健康相談窓口を開設し、保健師による電話相談を実施し、さらに、女性医師が予約制により面談相談を実施しております。都においても、女性の身体的、精神的な悩みや不安などについて気軽に相談できる体制を整備していくことが重要であります。生活に密着した身近な区市町村において、女性が相談しやすい相談窓口の設置などを進めるため、都は支援すべきであります。所見を伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 女性の健康相談窓口の設置についてでありますが、女性特有の疾病や健康課題に適切に対応していくためには、女性医師などが同性ならではのきめ細かな対応を行っていくことが大切であると認識しております。
 こうした観点から、都はこれまで、都立病院や公社病院に女性専用外来の設置を進めるとともに、東京都女性のための健康ホットラインや不妊ホットラインを開設し、看護師等による電話相談を実施しております。
 お話の女性が安心して身近な場所で相談できる体制の整備を進めていくことは重要であり、包括補助制度の活用などにより、区市町村が行う女性のための健康相談の取り組みを積極的に支援してまいります。
 

 
質問3
 次に、女性の仕事と家庭、子育ての両立支援策について伺います。
 現在、東京都では、昨年七月に東京しごとセンターをオープンさせ、ヤング向けサービス、ミドル向けサービス、高年齢者向けサービスなど、各年齢別の相談窓口を設置し、職業相談やキャリアカウンセリング及びセミナーなどを行っております。このしごとセンターに、子育て中の仕事探しのための支援策として、仕事と子育ての両立支援相談窓口を設置すべきであります。所見を伺います。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 しごとセンターにおける仕事と家庭の両立についてのお尋ねでございますが、しごとセンターは、一人一人の適性や状況を踏まえたきめ細かな対応を特色としております。仕事と家庭の両立支援も大切な役割と認識しております。
 このため、情報コーナーを設置するとともに、六月の男女雇用平等推進月間に女性の再就職講座や各種セミナーを開催するなど、両立支援の相談窓口としての機能の充実を図ってまいります。
 

 
質問4
 次に、女性専用車両の導入について伺います。
 電車などでの痴漢、わいせつ行為は、卑劣な犯罪であります。こうした犯罪は、届け出があったものだけでも、昨年一年間に二千二百件にも上り、過去最悪を記録しております。さらに、届け出ずに泣き寝入りした被害者はこの十倍以上といわれております。また、都のアンケート調査でも、六〇%以上の人が電車の中で被害に遭ったと答えております。一方、男性にとっても、冤罪により社会的地位を失い苦しんでいる人も少なくありません。
 知事も先月の定例会見で、電車内における痴漢の問題に触れ、痴漢行為は卑劣な性犯罪であり看過できないと述べ、女性や未成年者等が安心して利用できる車両の導入を主張し、さらに痴漢は都民の恥だという強いメッセージを発すべきだと述べております。
 女性専用車両は既に関西において、朝のラッシュ時に八社、二十三路線で導入され、痴漢行為の減少という効果を上げております。しかし、首都圏においては、夜間での導入を含め、京王電鉄、JR埼京線、横浜市営地下鉄の三線のみであり、大きくおくれております。
 このような事態を重く受けとめ、昨年十二月、東京都緊急治安対策本部と警視庁生活安全部が協議し、首都圏の各鉄道事業者に対し、駅構内・電車内等公共空間における反社会的行為の防止のための統一キャンペーンへの協力を要請し、その中で、女性専用車両実現を求めたことを高く評価いたします。痴漢等の犯罪から女性を守るために、性犯罪の抑止に向けて竹花副知事の決意を伺います。
 また、女性専用車両の導入について、交通局長の所見を伺います。
 
答弁4
 ▼竹花副知事
 痴漢対策についてであります。過日の警視庁の発表によれば、昨年中の電車内での痴漢犯罪の検挙者は、平成八年の約三倍に増加をし、被害者の約半数は未成年であるという状況でございます。暗数を考えますと、いつまでもこんな状況を放置しておくわけにはまいりません。
 都は昨年七月以降、鉄道事業者や警視庁と、そのための方策を検討してまいりました。その中で、ご指摘の女性専用列車の導入を初め、新たな取り組みを開始する機運が高まってきております。都としては警視庁と連携をいたしまして、さらに検討を重ね、できるだけ早期に事業者、さらに利用者なども巻き込んだ、痴漢問題解決に向けた統一的な行動を行うこととして準備を進めております。
 被害者の皆さんの無念や怒りに思いをいたしまして、何とかこの状況を切り開いてまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
 
 ▼交通局長
 女性専用車両の導入についてでございますが、痴漢や迷惑行為の防止は、鉄道事業者にとって重要な課題と認識しております。今後一層、警備員の配置、巡回や啓発ポスター、放送等の充実強化を行うとともに、計画されております統一キャンペーンに参加し、その防止に取り組んでまいります。
 また、安全で安心してご利用いただけるよう、輸送力の増強を図り、混雑緩和に努力するとともに、女性専用車両については、安全性、定時性の面からさまざまな課題があることから、引き続きその試行的導入について検討してまいります。
 
■新銀行
 
質問1
 開業を間近に控え、幅広い都民や中小企業関係者の新銀行への期待はいよいよ大きなものとなっております。景気が底を打ったとはいえ、なお中小企業を取り巻く経済環境は厳しく、平成十六年の都内の中小企業倒産件数は依然として三千件近くに及んでおります。一度倒産した中小企業は、優秀な技術や人材、豊富な事業実績を持ちながらも資金調達が妨げられ、事業再建が著しく困難なため、関連企業の連鎖倒産を招くなど、地域経済停滞の要因ともなっております。東京の経済再生を図る上での重要な課題が、こうした倒産企業を支援する、いわゆる敗者復活を可能とする社会システムの構築であります。公明党は再三このことを指摘し、具体的提案を行い、施策に反映してまいりました。
 我が国においては、倒産企業向けの資金調達環境が極めて未整備であります。その中にあって、再建企業向け融資、すなわちDIPファイナンスは、民事再生法を活用して事業再建を目指す中小企業の、起業再生を支援する数少ない有効な手法の一つでありますが、リスクを伴うことから、これまでは政府系金融機関のみで取り扱うという限界がありました。
 そこで新たな提案として、中小企業の総合的支援を目的としている新銀行においては、これまで明らかにされた融資メニューに加え、DIPファイナンスにも積極的に取り組むべきであります。また、倒産による関連企業への影響を最小限にするための融資も、あわせて実施すべきと考えます。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼新銀行設立本部長
 DIPファイナンス等による中小企業に対する支援についてでございますが、倒産企業は、すぐれた事業実績や将来性が認められたとしても、資金調達が極めて困難なために事業再建の道が閉ざされる場合が多いのが現状でございます。
 新銀行では、こうした倒産企業の再建の道を広げるため、一定の条件のもとに融資の対象としてまいります。具体的には、民事再生法に基づく再生計画の認可を受けた事業者等で、その計画の実現可能性が十分見込まれ、代表者の保証や債務関係等について問題がないと判断した場合には、DIPファイナンスの実施を検討してまいります。
 また、連鎖倒産を防止する観点から、倒産企業の関連会社に対する融資についても、当該企業の状況見通し等を判断の上、融資の対象としてまいります。
  

 
質問2
 さらに新銀行は、すぐれた技術を有する中小企業に対しても、技術力・将来性重視型融資で支援を行ったり、あるいは公明党の主張を受け、個人保証の解除システムを導入するなど、内容の充実が図られておりますが、こうした取り組みとあわせて、創業期の企業等に対する支援も充実すべきであります。新たな技術やノウハウをもったベンチャー企業の市場参入を促すことは、既存企業をも巻き込んだ新たな競争を生み出し、産業全体の活性化を促します。しかし現状では、創業期においては資金調達に制約があり、スムーズな起業の妨げとなっております。
 そこで新銀行では、こうしたすぐれた技術力を有するベンチャー企業に対し、創業期においても資金面から支援を実施していくことが重要であります。都が設置したベンチャーファンドとの連携を含めて、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼新銀行設立本部長
 ベンチャー企業等に対する支援についてでございますが、新銀行は、技術やノウハウを持ち、将来の成長が見込まれる企業に対して、技術力・将来性重視型融資により資金を提供してまいりますが、とりわけベンチャー企業については、ベンチャーキャピタルとの提携などにより、積極的に融資機会を拡大してまいります。
 また、創業直後で、キャッシュフローが回っていなかったり、審査に必要な決算書類等がそろわないため融資できないベンチャー企業に対しては、一手法として、ベンチャーファンドへの出資を通じて必要な資金を供給してまいります。その際、都が設立したベンチャーファンドについても出資の対象としてまいります。
 
■環境対策
 
質問1
 地球温暖化対策について伺います。
 先月十六日、京都議定書が発効し、CO2削減という世界共通の課題に向けて、多くの国々の対策と取り組みが求められることになりました。しかし、これは最大の排出国であるアメリカが参加せず、一方、今後、排出量が増大するであろう途上国に対する削減義務がなく、問題を抱えたままの発効であります。
 ところで、日本における温室効果ガスの排出量は、二〇〇三年で九〇年度比〇・八%増となっており、目標達成には極めて厳しい状況にあります。これは東京についても同様であり、都としても独自の対策を講じているところでありますが、改めてCO2削減に対する知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 都の地球温暖化対策についてでありますが、干ばつや豪雨の頻発、あるいは島しょ国家の水没の危機、キリバチとかマーシャルの方の本当に標高の五メートル無いような砂地でできた国というのは、本当にこのままいくと埋没するわけですけども、あるいはマラリアなどの疫病の蔓延などに加えて、食料や水資源をめぐる国際紛争の発生も頻発しているわけであります。地球の温暖化は人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題であると思います。
 先月やっと発効しました京都議定書は、地球温暖化を阻止するための初めての国際的枠組みでありますが、この地球全体、つまり非常に大規模なグローバルな気候の変動に挑む本当にわずかの第一歩でしかないと思います。これを続けていくこと、先ほど申しましたけど、ちりも積もれば山となるという、そういう志で、私たちはやはり一つずつ、少しずつつまり努力を実現していく必要があるんじゃないかと思います。
 温室効果ガスの濃度を安定させ、気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構成するすべての主体が早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないわけであります。そういう形にならない緊密な連携というものが、結果としてはこの地球を救い得るのかもしれません。
 都は、今回の条例改正により、エネルギーの需給両面にわたる総合的なCO2削減の取り組みを展開するとともに、環境に配慮したマンションや省エネ型家電製品の普及を促すラベリング制度などを創設するなど、先駆的な対策を着実に推進していくつもりでございます。
 たびたび例に引きましたが、東欧の詩人のゲオルグの、たとえ地球があす滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという、一人一人が自分の足元を固め、自分たちの子孫のためにこの地球を守るという、そういう志というものを私たちは改めて固めていかないとなりません。それがないと、本当に地球は、ホーキングがいったように、割と簡単に惑星として崩壊してしまうという感じが非常に強くいたします。これは一時はやった変な終末感覚ではなしに、やはり信憑性を帯びてきただけに非常に恐ろしい感じがいたします。それなりに私たちはすべき努力を重ねていかなくてはならないと思っております。
 そうした志を持って、都民や企業などと連携し、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進して、その成果を全国に発信していきたいと思っております。
  

 
質問2
 今定例会には、都民の健康と安全を確保する環境に関する条例の改正案が出され、大規模事業所のCO2削減強化など、四つの制度の強化充実が提案されております。特に従来から課題であった家庭部門対策では、エアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビの三品目について、家電販売業者に省エネラベルの表示を義務づけています。昨年の第一回定例会で公明党の質問に対し、省エネラベルの対象品目の拡大を検討すると答弁しておりますが、上記の三品目以外の拡大について、方針を明らかにすべきであります。あわせて、この省エネラベル制度の効果を高めるためには、全国的な普及拡大が不可欠であります。全国各地の自治体との連携について所見を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 省エネラベルの品目拡大及び制度の全国普及についてでございますが、今回の条例改正は、省エネ性能の高い家電製品の普及を図るため、エアコン、冷蔵庫、ブラウン管テレビの三品目につきまして、省エネ性能を示すラベルの表示を販売店に義務づけるものでございます。
 これは、家電製品の省エネ基準の達成度に基づき、都が独自に作成した相対評価を示すものでございまして、液晶テレビ、プラズマテレビにつきましては、来年度の国の省エネ基準の策定動向を踏まえ、品目拡大を図ってまいります。
 また、都は、八都県市や、この取り組みに積極的な自治体、NPOと共同いたしまして、全国的な推進組織を立ち上げたところであります。今後は、この組織を活用しながら、制度の全国的な普及を進めてまいります。
  

 
質問3
 今定例会では、東京都廃棄物条例の改正案が提出されました。ここ数年、企業の倫理性や社会的責任が問われています。廃棄物処理はまさにこれに該当します。廃棄物排出事業者の中には、処理を安易に委託業者に任せ切りにして問題を起こしている例が少なくありません。
 今回の改正案では、まず排出事業者の社会的責任を強調していますが、条例の実効を上げるためには、業者の報告義務の徹底、公表のあり方の検討が不可欠であります。所見を伺います。
 
答弁3
 ▼環境局長
 廃棄物条例の改正についてでございますが、条例改正案では、産業廃棄物を排出する事業者が社会的責任を果たすことを求める観点から、排出事業者に対し、適正処理に向けた具体的な取り組み状況についての報告を義務づけまして、都は、それをわかりやすく公表することとしております。
 都は、報告の持つこうした重要性について事業者に周知し、報告の徹底を図ってまいります。
 なお、報告のない事業者に対しては勧告を行いまして、これに応じない場合は、その事実を公表することとしております。
  

 
質問4
 同時に、処理業者の社会的責任も重要であります。産業廃棄物の処理状況について報告を求め、それを公表することになりますが、報告の正確性が強く求められております。排出事業者が信頼できる処理業者を選択するためにも、報告の内容の正確性が問われます。所見を伺います。
 
答弁4
 ▼環境局長
 産業廃棄物処理業者からの報告についてでございますが、本制度は、処理業者の処理状況を公表することにより、その透明性を高め、排出事業者が適正な処理を確実に行う処理業者を選定しやすくするものでございまして、この制度を有効に機能させるためには、報告内容の正確性の確保が極めて重要でございます。
 このため、処理業者に対しましては、制度の趣旨を十分に周知し、適切な報告を求めていくほか、必要に応じて立入調査などを実施いたしまして報告内容の確認を行うなど、その正確性の確保に努めてまいります。
 
■多摩の振興策
 
質問1
 多摩地域は都民の三分の一に当たる四百万人が暮らすエリアであり、最近では、先端技術産業や大学、企業の研究開発機能等の集積を生かした産学連携の取り組みが積極的に図られております。
 また一方では、森林や丘陵、里山などの自然にも恵まれ、都心部に隣接した利便性も相まって、生活に優しい地域でもあります。特に多摩の自然は世界遺産にも匹敵する貴重な財産だと私は思います。
 私は多摩の市町村議員の皆さんと連携し、多摩の諸問題解決に力を合わせて活動している立場から、今回、都が発表した多摩リーディングプロジェクトについて高く評価するものであります。すなわち、多摩の施策展開の視点、振興策の三つの柱、多摩重点事業の推進、国等の事業への働きかけなど、詳細に練り上げられております。実施に当たっては、地元市町村の意向を踏まえ実施すべきであります。
 
答弁1
 ▼総務局長
 多摩振興についてでございますが、分権時代におけます多摩振興には、都や国の施策だけでなく、住民に身近な行政を行う市町村の役割が大変重要でございます。
 このため、多摩リーディングプロジェクトによりまして、都が実施いたします二十の重点推進事業を明らかにいたしますとともに、市町村への支援といたしまして、多摩島しょ底力発揮事業の創設、自主的、自立的な行財政運営に努力する市町村に対する財政支援等を適切に行ってまいります。
 多摩振興策の推進に当たりましては、市町村の意見を十分に踏まえますとともに、連携を密にして事業の実効性を高めてまいります。
  

 
質問2
 リーディングプロジェクトに関し、多摩の市会議員から指摘された二点について伺います。具体的な事例でありますが、南北道路の整備に当たっては、地元に反対運動などがあると、そこの市で事業がぷっつりと切れてしまい、道路がつながらず、渋滞解消に連動しない事例が見られます。また、国の圏央道整備と都のアクセス道路との関係と同様、都の南北道路整備と市の東西道路整備が連携したとき、初めて多摩における道路ネットワークが確たるものになります。関係市との連携を図りつつ進めるべきであります。
 
答弁2
 ▼建設局長
 多摩南北道路の整備に当たっての関係市との連携についての質問にお答えします。
 多摩リーディングプロジェクトにおきましては、多摩南北道路主要五路線の重点的整備を、都市間連携の強化や渋滞解消のかぎを握る事業として位置づけております。
 この南北道路は複数の市にまたがるため、整備に当たっては、交差する都道や市道の計画内容、整備スケジュール、地元対応の方法や手順などにつきまして、関係市と十分調整しながら事業を進める必要があります。
 今後とも、所管事務所と関係市とが密接な連携を図りながら、住民の理解と協力を得て、道路整備の推進に取り組んでまいります。
  

 
質問3
 多摩の森林再生事業についてですが、手入れのおくれている杉、ヒノキの人工林について、計画的に間伐を行い、森をよみがえらせるとありますが、特に杉の針葉樹林については、広葉樹林もまざった針広混交林化、すなわち針葉樹と広葉樹の混合林化を進め、森をよみがえらせる事業を着実に行うべきであります。畑を荒らす猿やイノシシ、そして多摩の水源林を食い荒らすシカを、木の実のなるふるさとの山に戻すことになり、スギ花粉削減対策にも有効であります。これらを含め所見を伺います。
 
答弁3
 ▼環境局長
 多摩振興に関しまして、多摩の森林再生事業についてでございますが、森林は、水源の涵養、土砂の流出防止、野生動植物の生息環境の提供、さらには観光レクリエーションの場の提供など、さまざまな機能を有しております。
 多摩の森林再生事業は、計画的な間伐によりまして、針葉樹と広葉樹のいわゆる針広混交林化を進め、森林が持つこれら公益的機能を回復させるもので、多摩地域の振興にとっても重要な事業でございます。
 ご指摘を踏まえまして、市町村との連携をさらに深めるとともに、森林所有者の理解も得ながら、間伐が着実に実施できるよう積極的に取り組んでまいります。
 
■財政問題
 
質問1
 十七年度予算案は、都税の三千三百億円の増収という、いわば追い風に乗って編成されました。この追い風を活用して、隠れ借金への対応、財政調整基金への積み立てで都財政の体力回復を図りつつ、七年ぶりに無理な財源対策を行うことなく予算案を編成することができたのであります。
 税収増をすべて予算執行に回すべきという一部の人々がおりますが、乱暴な主張であります。これは財政の基本を知らない暴論であります。増収分を思い切って都財政の体力回復に投入した知事の決断を高く評価するものであります。
 また、都市再生事業に投資的経費を投入することを否定する人々がおりますが、誤った主張であります。来るべき直下地震に備え、安全・安心の都市基盤整備は、東京の重点課題解決と中小企業への経済的波及効果を伴う景気対策にも連動する重大な事業であります。こうした偏見に惑わされることなく、毅然として予算編成した財務当局の努力を高く評価するものであります。
 さまざまな諸課題に適切に対処しつつ編成された十七年度予算案には、これまで私たち公明党の主張が数多く反映されております。一般歳出に占める保健と福祉の割合は過去最高の一七・四%に上り、都民福祉の充実と改革を着実に進める予算となっております。
 また、新年度予算では重要政策を決めて、そこに重点的に予算を配分することも時宜にかなっております。改めて予算編成の特徴について、財務局長の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼財務局長
 十七年度予算は、東京の新たな発展を目指しつつ、財政構造改革を一層推進する予算と位置づけまして、まず、都民の負託に積極的にこたえる面では、立ちおくれている都市基盤を整備するため、投資的経費が前年度比で八・九%増と、平成三年度以来の高い伸びを確保したことが特徴として挙げられます。
 また、都民福祉の充実を図るため、目的別の歳出では、一般歳出に占める福祉と保健の構成比が一七・四%と、過去最高水準になっております。
 一方、財政構造改革を一層推進する面では、都税収入の大幅な増加を改革の好機としてとらえまして、七年ぶりに臨時的な財源対策をすることなく均衡予算を組むとともに、都財政の体力回復を図るため、隠れ借金を約千八百億円解消し、財政調整基金につきましても、久方ぶりに大幅な積み立てを行ったことが挙げられます。
 さらには、都債の発行を抑制し、起債依存度は六・二%と極めて低い水準にとどめていることなどが、今回の予算での主な特徴というべきものでございます。
  

 
質問2
 なお、こうした基本的な財政配分を高く評価しながらも、あえて一言申し上げます。私が冒頭から申し上げておりますように、あす来るかもしれない首都東京直下地震への対策、そして日本沈没を回避する少子化対策への備えの究極の二つの命題については、都は総力を挙げて取り組むべきであります。
 その意味で、木造住宅の耐震改修や医療費助成制度の拡大は喫緊の課題であります。ただし、既に十七年度予算は編成されておりますので、今後の都の全体予算の執行の段階で柔軟に対応したり、十八年度の国への概算要求に都として強く要望することも重要であります。また、区市町村との連携によるなど創意と工夫を凝らし、英知を結集して対応すべきであります。知事の所見を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 喫緊の課題への予算の執行についての対応でございますけども、十七年度予算は、災害への備え、子育て支援など、現下の都政が抱える喫緊の課題に的確にこたえ、都民のために必要な施策を進めていくための予算になっております。今後、緊急かつ臨時的に対応すべき事態が生じたときには、補正予算も編成するとともに、場合によっては、十六年度の途中で三宅島への帰島支援を行ったように、その時点で果断に適切な措置を速やかに講じるなど、機動的に対応していくつもりでございます。
  

 
 なお、こうした重要課題については、来る予算特別委員会の中嶋政調会長の質問、また引き続く常任委員会の我が公明党の会派の質問の中で、第二弾、第三弾の質問を展開することを申し上げまして、代表質問を終わります。

 

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