平成17年第1回定例会 代表質問

都市基盤整備に積極的な予算を
福祉はきめ細かな施策展開を

比留間 敏夫(自民党)
■沖ノ鳥島問題

 平成十七年第一回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、質問をいたします。
 平成十七年は、戦後六十年に当たります。人にたとえれば還暦ですが、国内外の情勢を見ますと、北朝鮮の核所有宣言や拉致問題、北方領土問題、中国との歴史認識問題、持続可能な社会保障制度の確立など、対応のおくれや問題の先送りなど持ち越された課題が山積をいたしております。
 こうした中で、六十年の節目に、ぜひとも解決の目途を明らかにし、これ以上先送りしてはならないものに、現行憲法と教育基本法の見直しがあります。
 敗戦直後から占領政策をしいたGHQは、日本を再び世界のひのき舞台に上がらせないため、巧妙な言論統制やマスコミ操作を通して、いわゆる戦後思想を押しつけました。憲法九条の戦争の放棄は、前文にいう平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して成り立つほど、現実の国際情勢は甘いものではありません。一国平和主義の幻想を捨て去るべきではないでしょうか。
 近年の世論調査でも、憲法改正容認派が六割を超えております。同様に、これまでの伝統や慣習を排除した結果、教育基本法は、個人の尊厳を強調する余り、今日の教育の乱れや規律の低下、学力の低下などをもたらしております。既に、米国や英国では、教育改革を実施し、学力向上を目指しております。多くの国民的議論の上に、一刻も早く新しい時代にふさわしい法規に書き改めるべきであります。
 さて、大企業の多くは、収益力を回復しております。しかしながら、消費が依然として伸び悩むなど、多くの中小企業者や都民、国民は、景気の回復を実感しておりません。
 こうした中で編成された十七年度の国家予算では、歳入の四二%、三十四兆円を起債で生み出し、バブル時代のツケも回って、国債の残高は十七年度末には五百三十八兆円にならんとしています。これは税収の十二倍、ほぼGDPに相当します。先進国では最悪であります。
 これに対して、都の起債残高は六兆八千億円と、税収の一・六倍におさまっております。財政再建はいまだ道半ばであり、引き続き気持ちを引き締めて財政運営を行う必要があることにかわりはありませんが、都の財政構造改革への取り組みは、国を一歩も二歩も先んじていると評価することができます。
 明治の啓蒙思想家、福沢諭吉は、立国は私なり、公にあらざるなりと述べているとおり、国家建設は官僚によるべきものではなく、個人や民間の結集で行われるべきものであります。そのためには、構造改革を一層推進して、中央から地方へ、官から民への流れを促進し、経済を活性化する必要があります。
 我が党は、石原知事の与党として、知事とともに都民の負託にしっかりこたえてまいりますことをお約束し、質問に入ります。
 


質問1
 まず初めに、中国による違法な海洋調査が繰り返されている沖ノ鳥島について伺います。
 日本最南端に位置する沖ノ鳥島は、我が国の固有の領土であるとともに、都の区域であり、国土の保全や漁業の操業、海底資源の開発など、極めて重要な海域を有しております。
 ところで、沖ノ鳥島は、国連海洋法条約上、れっきとした島であるにもかかわらず、中国は、昨年来、島ではなく岩であり、排他的経済水域は設定できないと主張し始めました。また、この主張に合わせて、中国は同島周辺水域において、我が国の同意を得ない違法な海洋調査を活発化させています。
 その一方で、中国は、南沙諸島の岩礁にコンクリート製の構築物を設置し、自国の島と称しており、ご都合主義のきわみであります。中国のこうした理不尽な主張や行動に対し、国家の威信をかけ、毅然として対処するのは当然であります。みずから領土であることを明確にして、航行する船舶の安全を図るため灯台を設置するなど、断固たる措置を講ずるべきと考えます。我が党は、中国のいわれのない主張や行動に対して、東京が日本を守るの気概を持って臨みます。
 そうした中、都は、来年度から国に先駆け、率先して漁業操業などの経済活動を行うことを表明いたしました。我が党は、こうした知事の力強い姿勢に敬意を込め、絶大なる賛意を表するものであります。
 そこで、改めて、国家とは何か、国土とは何かという観点から、沖ノ鳥島に対する知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 沖ノ鳥島についてでありますが、国政の大眼目というのは、やはり国民の財産、生命を守るということがもう第一義だと思います。そして、まさにこの沖ノ鳥島はその国民の財産たる領土の一部でありまして、これは、国連の海洋法条約に照らしてもれっきとした島であることは明白でありまして、東京都下の我が国固有の領土であることも、歴史的経緯から見て厳然たる事実であります。
 ご指摘のとおり、中国は、我が国の領土、領海、排他的経済水域への侵犯を意図的に繰り返しておりまして、これを、そのたび、ご都合主義的な主張で正当化をしようとしております。
 一年前の尖閣諸島魚釣島への不法上陸に続きまして、今回の沖ノ鳥島の周辺海域をあえて除いて海洋調査を通告してきましたが、その意図は火を見るよりも明らかでありまして、これまでも中国は、我が国の経済水域で違法な調査を繰り返しておりまして、条約に基づくその調査結果の提供を一向にいたしておりません。政府は遅まきながら腰を上げようとしておりますが、総合的な戦略に裏づけられた確固たる国家的意思がどうもまだはっきり感じられないうらみはございます。
 我が国の国益を侵害しようとする行動に対しては、断固たる態度で臨むべきであると思いますし、また東京都も、東京都の責任においてその先鞭をつけられたらと思って、今回のいろいろ計画を立てました。
 国に対しては、今後も毅然とした対応をとるよう強く求めるとともに、来年度からは、都は独自に沖ノ鳥島周辺において漁業活動を開始し──たまたま東京都の漁業組合長は前の小笠原の組合長で、硫黄島出身であの地域を非常によく知っている人でありまして、挙げて協力したいといっておりますが、いずれにしろ、その漁業活動によってこの海域が我が国の排他的経済水域であるということを、事実として広く周知していきたいと思います。
 先般、たまたま、佐賀大学の上原さんという教授が、既にパテントをとりまして、文部科学省も予算をつけまして、深層の、深いところの水をくみ上げて──これは非常にミネラルとプランクトンの多い水ですけれども、それをくみ上げますと、大体二度、三度の水温が、あのあたりの表面では二十五度を超すわけであります。その温度差で、アンモニアと水を混ぜたある溶液を作用させますと、アンモニアの気化によってエネルギーが生じて簡単な発電ができる、それをもう成功しておりますが、さほどお金のかからない装置なので、この島で発電もし、あそこに住居も構えて、一つの既成事実というものを都も国も協力してつくっていきたいと思っております。
 先般、私も非常に親しいボルトンという国務次官が来まして、来るたびいろいろ話してはおるんですが、そのとき、彼にあのあたりの地図を見せましたら、アメリカ人もそういう認識を欠いておるんですけれども、あの沖ノ鳥島というのは、まさにグアム島から日本近海、中国大陸に対する艦船、特に原潜の通路にかかっておりまして、そういう認識をアメリカ側もまた的確に持っていかなかったということを私、指摘しました。非常に参考になったといっておりましたが、いずれにしろ、東京都は東京都の意思で、日本の、東京都の国土であるこの沖ノ鳥島をしっかりと守っていきたいと思っております。
 
■十七年度予算案

質問1
 石原知事は、就任から今日に至るまで、持続可能な都政運営を求めて、血のにじむ思いをしながら財政再建に取り組んでまいりました。十七年度予算は、これまでの取り組みを十分に踏まえ、さらに、二千人を上回る職員定数の削減を図るなど、財政再建に向けた取り組みが数多く盛り込まれております。
 同時に、これまでの我が党の主張を真摯に受けとめ、都市再生、治安対策、さらにはヒートアイランド対策やディーゼル車対策といった、環境対策などの充実が図られております。その意味では、施策の充実を図るとともに、一層の構造改革を進めるバランスのとれた予算であると評価しております。
 加えて、今回、臨時的な財源対策を行わず、予算編成を行うことができたとのことでありますが、これは石原都政にとって初めてのことであります。
 ただ、都税収入の大幅な伸びが追い風になったことも事実であります。いみじくも知事が記者会見で、追い風参考記録と述べられましたが、追い風に助けられることもなく記録が出せるように、今後も引き続き職員の削減や給与の見直しなど、厳しい内部努力をさらに重ね、都財政の構造改革に努める必要があることはいうまでもありません。
 そこで、石原知事にとって六度目の予算編成となる、十七年度予算に対する基本的な考え方を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 十七年度予算についてでありますが、都財政は、一時の危機的な状況をこそ脱しましたものの、基金残高が底をつき、巨額の隠れ借金が存在するなど、その再建はいまだ道半ばであります。一方で、治安の回復や都市再生、産業力の強化、福祉、医療の充実など、多くの課題を抱えております。
 そのため、十七年度予算は、東京の新たな発展を目指しつつ、財政構造改革を一層推進する予算と位置づけて、現下の都政が直面する緊急課題に財源を重点的、効率的に配分しまして、都民の負託に積極的にこたえるとともに、財政再建と都財政の体力回復の取り組みを進め、財政構造改革を一層推進することを柱として編成をいたしました。
 今回の予算は、都政の将来を展望して、都民のために必要な施策をしっかりと進めながら、同時に、強固で弾力的な財政基盤の確立を目指したものになっていると考えております。
 ちなみに、各自治体、国もそうでありますけれども、財政を支えるために起債をしておりますが、東京都の起債依存度は六・二%、国はこれ、何と四〇%、四二%でありますが、他の地方自治体も平均が一四・六%ありまして、多分東京の起債依存度は、日本で一番低いものになっていると思っております。
 


質問2
 十七年度予算における都税収入は、企業収益の好転を受け、三千三百億円の大幅な増となることを見込むことができたわけでありますが、今後とも、さらに税収が増加する保証はどこにもありません。今後の景気動向、そしてそれに伴う都税収入の先行きに、一抹の不安があることも事実であります。
 十七年度における税収をどのように見込んだのか、また、今後の都税収入の先行きをどのように見込んでいるのか、伺います。
 
答弁2
 ▼主税局長
 平成十七年度予算の税収見込みについてでございますが、輸出、設備投資に支えられ、景気の回復基調が続く中で、上場企業の十七年三月期決算が過去最高益を更新すると見込まれるなど、大企業、製造業を中心に企業収益は大幅に改善してございます。
 こうした経済状況を背景に、都税収入の約四割を占める法人二税が十六年度当初予算対比で約三千億円の大幅な増収が見込まれることなどから、都税総額で約三千三百億円増の四兆二千五百八億円を見込みました。
 都税収入の先行きについてでありますが、これまで都税収入は、景気変動の影響を受け、極めて不安定な形で増減を繰り返してきております。景気の回復は底がたく推移すると見込まれるものの、このところの足踏み状態に加え、不安定な為替、原油価格など懸念材料もあることから、都税収入の先行きについては、今後の景気動向を注視しつつ慎重に見きわめてまいります。
 


質問3
 今回の予算の特徴の一つとして、投資的経費を大幅に増加させていることが挙げられます。投資的経費は、前年度予算に比べて八・九%の増となっており、これほど大幅な伸びを示したのは、平成三年度以来であります。
 我が党は、これまで、日本再生のためには、東京の再生が不可欠であり、立ちおくれている東京の都市基盤の整備には、重点的に財源を投下することが必要だと主張してまいりました。日本経済が立ち直りを見せ始めていることについても、これまでの都市再生事業の成果が少なからず寄与しているはずであります。
 都民生活の利便性を向上させるためにも、また、激化する世界規模での都市間競争に打ち勝つためにも、まだまだ東京の都市基盤は整備が必要であります。今後も、都市基盤の整備は重要な課題であるとの認識のもとで、全体の予算編成を行うべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼知事
 都市基盤整備の重要性についてでありますが、まさにご指摘のとおりでありまして、幾ら基礎の弱い、やわい地盤に立派なものを建てても、非常に貧弱なものにしかなり得ない。やはり都市というものが発展していくためにも、インフラのきちっとした整備というものが絶対に不可欠であると思います。
 東京都の都市基盤は依然として立ちおくれた状況にありまして、都民生活の利便性や東京の産業の活性化、さらには国際競争力を向上させる上で、一層の整備促進が必要と認識しております。このため、今回の予算では、首都高速道路品川線や骨格幹線道路の整備、連続立体交差化の推進、羽田の空港の再拡張など、将来に向かって投資効果の高い事業を積極的に推進しております。都市基盤の整備については、今後、厳しい財政状況にあっても、東京の再生のために、引き続き限りのある財源を重点的に投入していく考えでおります。
 
■地方分権改革

質問1
 国の三位一体改革は、我が党が懸念したとおり、本来、国が財政負担を負うべき義務教育費国庫負担金などが削減対象とされ、地方分権改革とはほど遠いものになっているばかりか、生活保護費などの具体的取り扱いが先送りされ、先行きが不透明なものとなっております。
 さらに重大なのは、法人事業税分割基準の見直しなど、東京をねらい撃ちにした不当な財源調整の動きがはっきりとしたことです。我が党は、こうした理不尽な動きに断固として反対するものであります。
 国は、この改革を十八年度までに終わらせる考えだと聞いていますが、このまま幕を引かせることなく、引き続き地方分権改革に取り組むべきであると考えます。
 知事は、国の三位一体改革の現状をどのように認識し、今後、地方分権改革にどう取り組もうと考えているのか、ご所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 いわゆる国の三位一体改革についてでありますが、国の各省と地方を巻き込んで、鳴り物入りで進められてきましたけれども、結局、国の支出を地方につけかえるだけで、何ら実質的な分権に結びつかない結果と相なりました。国の権限を温存する交付金化に至っては、改革の趣旨に逆行するものといわざるを得ません。
 先般、前全国知事会の会長の梶原君と個人的に会って意見交換しましたが、私、そのときに真顔で、君はこの間のできは六〇%といったけれども、本気でそう思っているのかといったら、彼は苦笑いしながら、これは限りなくゼロに近い六〇%、六十点だということで、彼自身もほぞをかむ思いでいると思います。
 国と地方を合わせた長期債務は、数年後には一千兆という天文学的な数字に膨れ上がろうとしておりまして、地方交付税を含めた抜本的な改革が不可避であるにもかかわらず、どうも国の対応はその場しのぎに終始しておりまして、一向に財政的な危機感が感じられません。国の政治家も官僚も、この国の将来にどうも一向に責任を持とうとしていないという感じがして、憂慮にたえないわけであります。
 大都市圏の集積のメリットが経済発展をリードするのは、二十一世紀の都市文明の社会工学的な必然でありまして、今求められるのは、確固とした歴史観に立って、我が国全体の発展につながる改革を実現することだと思っております。
 東京を初めとする大都市が、持てる力を十分に発揮できる制度としなければならないと思います。まして、東京ひとり勝ち論などという議論の横行を許してはならないと考えております。
 
■都区制度改革

質問1
 平成十二年に、地方自治法の改正と地方分権一括法の制定によって、特別区は東京都の内部団体的な性格から脱却し、市町村と同様の基礎的な自治体に位置づけられました。本来なら、これによって特別区の区域における都区の大都市事務の役割分担について、一定の整理が行われ、これに沿った財源配分も行われるべきであったと思われます。
 しかし、法が施行されるときまでに具体的な協議が調わず、制度改革の積み残し課題とされて今日に至っております。現在、都区間の最大の懸案事項となっております。具体的に、都区間の大都市事務の役割分担を踏まえた財源配分のあり方を中心にした五項目の課題であります。
 この問題の根幹は、特別区の区域内において、都が行うべき大都市事務とは具体的に何かということに尽きるわけでありますが、石原知事が日ごろから国に対して主張している三位一体改革における国と地方の役割分担と財源配分の問題と同根のものであります。いいかえれば、都区制度改革を進めることが、東京から国に対して真の地方自治のあり方を指し示すことになるのではないでしょうか。問題は、都がこの都区制度改革をどう理解し、評価するかということであると考えます。
 そこで、まず、地方自治法の改正、地方分権の一括法の制定によって明確にされた都区の役割分担を、知事はどのように認識し評価しているのか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 都区の役割分担についてでありますが、地方分権改革は、地方の営みとの総和が国を支える新たなシステムに国の形を変えることでありまして、日本再生への道筋であると思っております。
 そのためには、地域がみずからの足で立ち、個性を発揮していく仕組みを構築するとともに、東京を初めとする大都市が、集積のメリットを生かして我が国の発展を促進することも重要であると思います。
 平成十年の法改正によりまして、区は基礎的自治体に位置づけられましたが、都は、広域自治体として大都市の一体的な行政を行うことが明らかにもされました。大事なことは東京をどうするかでありまして、そのために基礎的な自治体である区が何をすべきか、また、その区そのものの行政区分も、ちょっと私はいろいろ問題あると思いますけれども、いずれにしろ、そういった問題も含めて、大都市行政、府県行政を担う都が何をすべきか、こういうことを具体的に都と区で真摯な議論をしていくことが必要であると思っております。
 


質問2
 これらの課題は、十七年度末までに解決することが都区間で確認されておりますが、相変わらず議論が平行線であることなど、協議が進んでいないのが実情であります。解決までに残された時間もわずかでありますが、我々の働きかけもあって、ようやく具体的な協議が始まったところであります。
 都区制度においては、法定の協議機関である都区協議会も整備されております。これからも積極的に活用し、速やかな解決に向けて努力すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 
答弁2
 ▼総務局長
 都区制度改革におきます五項目の課題についてでございますが、五項目のうち基本となります都区の役割分担につきましては、現在、都区財政調整制度を活用して、都が具体的にどのような事務を行うべきかについて、都区協議会のもとで都区双方が考え方を出し合い、議論を進めております。
 都といたしましては、区部が大阪や横浜を上回る規模の大都市であり、都が一体的に行うべき事務は広範囲に及ぶと考えております。一方、区は、都が行う事務は一般的な市町村が行う事務の範囲に限定されるとしております。
 今後の議論におきましては、東京の将来を見据えまして、都区がともに協力して東京の発展に取り組むことができるよう、十七年度の合意形成に向けて精力的に協議を進めてまいります。
 


質問3
 これからの都と区の関係は、都区制度の特殊性を踏まえながら、区の行財政基盤を強化するとともに、都自身の広域的な対応力を高め、双方の連携のもとに、首都東京の抱える課題を解決する体制を築いていくことこそ、東京という他に類を見ない大都市地域における行政の充実強化を図る道筋ではないかと考えます。
 そのためには、基礎的自治体優先の原則に立って、身近な事務を区に任せ、より戦略的な対応が図れるよう、都は、都内市町村の地域を含めた府県行政と区間にまたがる広域的大都市行政に徹するべきではないでしょうか。知事の決意を伺います。
 
答弁3
 ▼知事
 都の役割についてでありますが、東京都には都市の病理ともいうべき諸問題が先鋭的にあらわれておりまして、環境、治安の悪化、交通渋滞などへの対応が喫緊の問題として迫られております。都市の病理を克服し、日本の首都であり、頭脳部である、心臓部である東京は、世界に誇り得る政治、経済、文化活動を展開することが、国家のためにも必要だと思います。
 このため、身近な住民サービスは基礎的自治体である特別区に任せる一方、都は、特別区という大都市地域を総合的、一体的にとらえた都市経営を強化するとともに、首都圏全体を見据えた行政に力を注いでいきたいと思っております。
 
■指定管理者制度

質問1
 平成十五年六月に地方自治法が改正され、全国の自治体が有する公の施設に指定管理者制度が導入されることとなりました。都においても、現在管理委託を行っている施設について、平成十八年度に新しい制度へ移行することが義務づけられており、具体的な手続が開始される時期を迎えています。
 本定例会でも、このための条例改正が三十三件提案されていますが、民間の力も活用しつつ、都民サービスの向上と経費の削減を実現するという制度の趣旨を、どのように生かし制度を導入するかが重要です。
 そこで、まず、都全体を通して指定管理者制度導入の考え方、対象となる公の施設及び導入の方法はどのようなものか、伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 指定管理者制度の導入についてでございますが、指定管理者制度は、公の施設におけるサービスの向上と経費の削減を目的としておりまして、制度の趣旨を踏まえ、これまでに管理委託を行っております施設につきましては、平成十八年四月に導入をいたします。対象となります公の施設は、公園や体育施設、福祉施設、文化施設などでございまして、都営住宅全体を一つと数えますと二百施設程度となります。
 制度導入に必要な規定整備を行うため、関連する条例改正案を今定例会に提案しており、条例改正後、各局における募集、選定を経まして、平成十七年第三回ないし第四回定例会で指定の議決をいただく予定となっております。
 


質問2
 本制度では、民間事業者の参入も想定されていますが、都が有する公の施設にはさまざまなものがあり、その特性を踏まえて制度を導入する必要がありますが、基本的な方法や手続については、それぞれの施設が別々に対応するのではなく、都として統一的な考え方が必要と思いますが、その点に関して、どのように進めていくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 統一的な考え方に基づく指定管理者制度導入の進め方についてでございますが、都が有します公の施設は多種多様でございまして、個々の施設の設置目的や特性を十分踏まえ、最も適切な形で制度を導入していきたいと思っております。しかし、選定方法や指定期間などの全体に共通いたします基本的な考え方につきましては、都として統一的な取り扱いとなるよう各局と調整してまいります。
 


質問3
 さらに、この制度では、事業者選定のいかんが、都民の利用に影響しかねません。そこで、都民の代表である議会に対して、指定の議決だけでなく、今後、募集や選定の過程についても、適切に報告を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 議会への報告についてでございますが、指定管理者の指定の議決の際には、選定の経過や理由を十分にご説明し、透明性や公平性を明らかにすることが必要であると考えております。
 したがいまして、条例改正後に行う募集や選定につきまして、その内容を公表することを統一的な考え方としており、議会に対しましても、適切な時期をとらえ、関係局から説明を行ってまいります。
 
■防災対策

質問1
 ことしは、阪神・淡路大震災から十年という節目の年でもあります。改めて震災の記憶がよみがえるとともに、昨年のたび重なる風水害の襲来や、十月の新潟県中越地震、十二月のスマトラ沖大地震による甚大な災害が発生したことで、都民の災害に対する不安や危機感は、これまでになく高まっています。新潟県中越地震においては、発災当時の混乱や食糧、物資の不足が報道されましたが、今、多くの課題が明らかになりました。
 そこで、まず、今後の都の震災対策にどのように生かしていくかを伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 新潟県中越地震を踏まえました震災対策についてお答え申し上げます。
 昨年十二月に新潟県に調査団を派遣し、間もなく報告書がまとまる予定でございます。このたびの地震では、情報の途絶、国、県、市町村間の調整不足、避難所の耐震性の不足、避難者への対応の混乱、山間部の孤立などの問題点があったと考えております。
 こうした教訓を踏まえまして、今後、職員参集態勢の再検討や、さまざまな場面を想定し合同で通信訓練を実施するなど、国、都、区市町村間におきます情報連絡体制の確立、連携強化を図りますとともに、避難所の耐震補強の促進、避難所運営マニュアルの充実、山間部での救出、救助の具体的行動を定めた計画の作成などに取り組んでまいります。
 


質問2
 都は、先般、小笠原諸島の津波浸水予測調査報告書を発表しましたが、これによりますと、東南海、南海地震が同時発生した場合には、小笠原諸島では十メートルを超える大津波が発生すると予測をしています。
 東京湾は安全であると思われていますが、過去には、約二メートルの津波が押し寄せたとの記録もあります。しかも、防潮堤などは整備されているものの、近年、臨海部や河川沿いでは、親水性を高めるために、人工なぎさやスーパー堤防のように、だれもが水辺に近づける施設がふえており、津波に対する警戒も怠ってはなりません。
 十七年度重点事業として、島しょ部の津波対策に取り組むとしていますが、東京湾においても、新たな津波対策を早急に講じるべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 東京湾の津波対策についてでございますが、津波から身を守るには、まず地震発生後速やかに水辺から避難することが重要でございます。これまでも地域防災計画に基づきまして津波対策に取り組んでまいりましたが、防潮堤の外側にある施設も増加しております。
 このため、都は、今回の津波浸水予測調査報告書をもとに、既に関係区及び関係機関との津波対策連絡会議を開催いたしました。今後、関係区と連携し、津波情報を伝達する方法の統一化や、避難方法の周知を図るなど、素早い避難が可能となるよう取り組みを進めてまいります。
 


質問3
 一方、東部低地帯では、満潮面以下の地域が区部面積の五分の一に当たる約百二十四平方キロにわたって広がっています。これらの地域の堤防が地震により被災した場合、人的、物的な被害は、はかり知れません。このような事態を防ぐために、地震への備えを着実に実施すべきと考えます。
 そこで、東部低地帯の河川では、地震に備えてどのような対策を進めるのか、今後の取り組みについて伺います。
 
答弁3
 ▼建設局長
 河川の地震対策についてでありますが、東部低地帯は地盤が軟弱であることに加え、満潮面以下の地域に百五十万人が居住しております。都は、都民の生命と財産を守るため、隅田川や江東内部河川など計画延長百二十キロにおいて堤防や護岸の耐震補強を進めております。このうち、荒川と並行する中川の下流部など特に整備が急がれる五キロにつきましては、新たな五カ年計画に基づき、平成二十年度までに完成させます。
 さらに、液状化のおそれのある綾瀬川や新中川などにつきましても、耐震補強の調査検討を進めてまいります。
 今後とも、都民が安心して暮らせるよう、地震に強く、親しみのある川づくりを着実に推進してまいります。
 


質問4
 昨年の台風二十二号や二十三号では、区部の広い範囲で被害が発生をしました。下水道局は、現在、一時間五〇ミリの降雨に対応できるようにするため、幹線やポンプ所などの施設整備を進めていますが、整備はまだ半分程度しか進んでおりません。そのため、従来の雨水整備クイックプランを改定し、これまで以上に浸水対策の効果を短期間に上げられる新・雨水整備クイックプランを策定しました。しかし、十月の台風では、新クイックプランの対象となっていないところでも、浸水地区が見受けられました。
 そこで、これらの地区についても新たに追加するなど、浸水対策を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁4
 ▼下水道局長
 浸水対策の強化についてでありますが、従来のプランの効果を検証し、新たな事業手法などを取り入れ、これまで以上にお客様が効果を実感できるよう、昨年九月に新・雨水整備クイックプランを策定いたしました。
 しかし、十月の台風では、対策箇所となっていないところでも浸水が発生いたしました。このため、浸水の範囲や規模、実施中の事業との関係などを早急に調査、分析した上で、必要な地区を追加していきます。
 今年度中には具体的な地区を選定いたしまして、できるところから速やかに実施し、一刻も早い浸水被害の軽減に努めてまいります。
 


質問5
 都では、かねてより、震災時の飲料水を確保するため、応急給水槽の整備を進めておりますが、これに加えて、浄水場や給水所などの施設も、給水拠点としての役割が期待されております。
 しかしながら、浄水場は、都県境などの周辺部に位置しており、また応急給水槽は、震災時の必要最小限の水量を確保しているにすぎません。こうしたことから、給水所が一層重要な意味を持ってまいります。特に、首都機能が集中する都心部においては、芝、淀橋などの給水所もあるものの、いまだに地域的な偏在などの問題もあると聞いております。
 そこで、都心部を初めとした今後の給水所整備の取り組みについて伺います。
 
答弁5
 ▼水道局長
 震災対策としての今後の給水所整備の取り組みについてでございますが、水道局では、平常時はもとより、事故時や震災時にも強い、より信頼性の高い水道施設の整備に取り組んでおります。
 とりわけ給水所は、安定給水を維持するためのかなめとなる施設であるとともに、常時数万トンに及ぶ多量の水が蓄えられておりますことから、震災時におきましては応急給水の重要な拠点として機能することとなります。
 しかし、ご指摘のとおり、都心部を初めとした地域では、給水所の地域的な偏在などにより震災時等における給水の安定性確保に課題を抱えている地域もございます。
 こうした状況を踏まえまして、今後、代々木給水所や板橋区の大谷口給水所などを計画的に整備し、平常時の安定給水はもとより、災害時におきましても必要な水を都民に供給できるよう万全を期してまいります。
 
■治安及び健全育成

質問1
 近年、増加の一途をたどっていた都内の犯罪認知件数も、ようやく鎮静化の兆しを示し始めています。しかし、その一方で、最近、おれおれ詐欺や架空請求などのいわゆる振り込め詐欺、スキミングによるカードの偽造、さらにはフィッシングと呼ばれる新たな手口による犯罪の頻発が、都民の日常の暮らしを脅かしています。こうした犯罪の増加を食いとめるためには、都民一人一人に対して、被害を受けないよう適切な情報を伝え、指導啓発することが大切だと思いますが、これまで警視庁ではどのような対応をしてきたか、また、今後どのように取り組んでいくつもりかを伺います。
 
答弁1
 ▼警視総監
 新たな手口による犯罪の被害防止対策でありますけれども、ご指摘のとおり、新手口の犯罪の発生があった場合には、これを検挙することはもちろんでありますけれども、同時に、その手口内容や被害防止策を都民に速やかに情報提供いたしまして、さらなる被害の防止を図っていくことが大変大事であると考えております。
 このため警視庁では、新聞、テレビ等のマスメディアを通じまして積極的な広報を行い、あるいは新聞の折り込みで各戸に配布しております「広報けいしちょう」や警視庁のホームページあるいはメール等のさまざまな広報媒体を活用いたしまして、こうした犯罪の実態について広く都民への周知を図っているところであります。
 それからまた、例えば振り込め詐欺につきましては、警察署ごとに実施しております防犯教室におきまして、おれおれ詐欺の再現テープを利用した広報をこれまでに千回以上実施いたしましたほか、注意喚起のための被害防止ステッカーを約五十七万枚作成いたしまして、高齢者宅への個別訪問や巡回連絡の際に配布するなど、さまざまな方法による指導、啓発に努めているところであります。
 今後とも、新たな手口による犯罪が発生した場合には、こうした観点から、引き続き迅速かつ効果的な対策を講じてまいりたいと考えております。
 


質問2
 一方、都の消費生活総合センターでは、本日から架空請求緊急対策がスタートしましたが、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、あわせて伺います。
 
答弁2
 ▼生活文化局長
 架空請求に対する都の具体的な取り組みについてでございますが、都内の消費生活センターでは架空請求の相談が激増し、手口の悪質、巧妙化によりまして被害が深刻化しております。このため、架空請求緊急対策班を設置し、相談部門と事業者指導部門が一体となった強力な取り組みを本日から開始いたしました。
 具体的な取り組みとして、専用相談電話、架空請求一一〇番を開設し、相談体制を充実するとともに、相談現場から直ちに悪質業者に対し、電話やメールで警告を行ってまいります。
 また、メールによる架空請求が急増しているため、都民からの通報制度を創設いたしまして、この通報に基づき、電話会社に対しては、悪用されている携帯電話の利用停止を、金融機関に対しては、不正に使用された預金口座の凍結を要請してまいります。
 さらに、架空請求専用ホームページやビデオの作成などによりまして、最新の手口や対応策などを広く都民に提供し、被害の未然防止を図ってまいります。
 実施に当たっては、警視庁等関係機関との連携を一層強化し、都民の不安解消に向け、全力で取り組んでまいります。
 


質問3
 ところで、最近の治安情勢を反映して、警視庁でも十六年度は二百人、十七年度は三百人の増員が行われる予定であると聞いています。せっかくの増員を、こうした新たな手口の犯罪対策や、近隣住民をいまだ不安に陥れている未解決の凶悪事件の捜査などに、重点的に振り向けて対応すべきと考えますが、警視総監の所見を伺います。
 
答弁3
 ▼警視総監
 増員した警察官の配分についてでありますが、平成十六年度増員につきましては、その一部を重要凶悪事件の捜査にかかわる体制の充実強化に充て、平成十七年度の増員につきましても、引き続き、増員の趣旨に沿って、未解決事件を含めた重要凶悪事件の捜査体制の強化を図る予定であります。
 また、警視庁では、継続的な内部努力によりまして、その時々の犯罪情勢を踏まえた部内体制の強化を実施してきておりまして、昨年におきましては、ご指摘のいわゆる振り込め詐欺に対応するため、都民に身近な知能犯罪緊急対策本部を設置いたしますとともに、外国人犯罪組織や暴力団組織を背景にしたスキミング等新たな手口の犯罪に対する捜査体制を強化いたしました。
 今後とも、警察官等の増員による人的基盤のさらなる強化と継続的な内部努力によりまして、都民の体感治安を脅かす新たな手口の犯罪や身近な犯罪に的確に対応してまいりたいと考えております。
 


質問4
 健全育成について伺います。
 都は、青少年を取り巻く環境の悪化に対応するため、先般、青少年健全育成条例を改正し、図書規制、深夜外出規制などの取り組みを開始をいたしました。しかし、インターネットからの有害情報の規制や性行動の低年齢化に対する取り組みなど、新たな課題に対応するため、今定例会で育成条例を改正することになりました。
 これらの条例の内容は、青少年問題に対し積極的な対応を図るものですが、条例改正の基本的な考え方について知事の所見を伺います。
 
答弁4
 ▼知事
 青少年健全育成条例改正の基本的な考えについてでありますが、まさに人材こそ国家の最大の財産でありまして、現下の青少年を取り巻く状況は、大変憂慮すべき状況にあると思います。
 先般も、改正のために、また、今後の問題のために、専門家に任せて、盛り場における青少年の実態なるものを、私、映像として見ましたが、これは本当に慄然とする思いがいたします。しかも、彼らを子弟として抱えている親御さんたちを含めた周囲の大人たちが、そういう現状を実際に熟知していない。
 ご承知のように、条例では、唾尿の売買なるものを禁止しまして、これは読めばわかります、何と何であるかが。しかし、実際それを、どういう価値観というか、どういう心象で、実に平然と、全く何の価値観も感じさせない、非常に漂白された印象で若い人たちが平気で売買しているという実態というものは、これはもう映像として見なければその実感がつかめない。
 そういうものが実ははんらんしているわけでありまして、ある専門家、識者に聞きますと、東京などはまだつまりほかの遊び場があっていいけれども、地方の大都市、地方の中都市に行くと、これはもっと性に関する風俗というものが直截に紊乱していて、本当に慄然とする状況だそうであります。
 今回の条例改正は、こうした認識を踏まえ、子どもたちが安心して育つ環境をつくること、インターネットの利用や青少年の性のあり方などで、親や関係者が子どもに適切な指導を行うことを強く求めるものであります。条例改正の趣旨について理解を広め、日本の未来を担う青少年たちを健全に育成したいと思っております。
 例えば一つの事例をとらえますと、渋谷あたりで週末に放浪して、もう深夜家へ帰らずにいる少女たちにインタビューをしまして、親は心配していないかといったら、親にはちゃんと連絡している。親なら親の電話を聞きまして、逆にそのスタッフが親に電話をしますと、ちゃんと携帯でさっき電話をしたと、今何々ちゃんのうちで勉強していると。とんでもない、当人たちは手つないで、そこで男あさりしてふらふらしているわけでありまして、親に電話して、親がそのまま引っかかって、うちの子どもはどこでちゃんと勉強していますというと、横で電話が終わった後、ほら、ごらんなさいと、きゃあと嬌声を上げて、親も含めて大人をばかにする。
 つまり、親は親としての責任というものを放棄して、携帯で子どもと着実につながっているという一種のバーチャルな親子の関係に安住していて、全く本質的に子どもの心配をしない。こういった認識は、やはり現況というのは、私は、やっぱり子どもの責任よりも大人の責任だと思います。
 そういう点で、条例を通じて、改正を通じて、大人の方々にやっぱり子どもが今どういう状況にあるかという、正確に、できれば視覚的に認識してもらいたいなと思いますが、これはなかなかちょっと難しいんです。
 


質問5
 脱法ドラッグ対策について伺います。
 先日、警察庁より公表された資料によりますと、昨年一年間に我が国で薬物の乱用により逮捕された人は、過去最高の二千六百人以上に上り、錠剤型合成麻薬MDMAや大麻は、二十歳代の乱用が目立っております。
 我が党は、これまで脱法ドラッグを規制するための条例制定について、提案を行ってまいりました。今回、我が党の要請にこたえ、都が脱法ドラッグを規制するための条例案を提案したことについて、高く評価するものであります。
 脱法ドラッグの規制に関しては、都や国が他の自治体に先駆け、行政としての明確な対応方針を示したものであります。しかしながら、条例をつくるだけで都内から脱法ドラッグの乱用がなくなるわけではありません。都は、今後、この条例をもとに、脱法ドラッグ対策をどのように進めていくか、所見を伺います。
 
答弁5
 ▼福祉保健局長
 今後の脱法ドラッグ対策の進め方についてでありますが、今回提案している条例により、これまで法律での規制が困難であった脱法ドラッグについて実効性のある取り締まりが可能となります。
 具体的には、脱法ドラッグを迅速に知事指定薬物に指定をし、その製造、販売などの禁止や、必要な立入調査を行うとともに、違反者に対しては罰則を科するなど、脱法ドラッグの取り締まりを強力に実施いたします。
 あわせて、学校やボランティア団体と協力し、青少年への正しい知識の普及啓発の充実に努めるなど関係機関と連携を図り、条例の規定を最大限に活用し、都内における薬物乱用の根絶に向けて全力で取り組んでまいります。
 
■多摩振興

 十七年度予算案の復活について、我が党の強い要望にこたえ、市町村調整交付金が前年度比二十億円増の二百十億円となりました。市町村支援に対する知事の姿勢を高く評価をいたします。
 我が党は、これまでも、多摩振興について、実効性のある振興策を実施し、多摩の山積する課題を着実に解決していくべきであると主張してきました。こうした中、知事が、都の振興策を積極的に展開していくため、多摩の基本施策として多摩リーディングプロジェクトを取りまとめたことは、大変意義があります。
 そこで、このプロジェクトについて何点か伺います。

質問1
 今回のリーディングプロジェクトでは、横田基地の軍民共用化を視野に入れることを多摩振興の基本的な視点の一つに加え、横田基地に対する都の姿勢を明らかにしています。最近、報道を見ても、基地の軍民共用化はいよいよ現実味を帯びており、その実現によって、多摩を中心にした人や物の動きを活発化させることが見込まれ、多摩の将来を大きく変革するものであると考えます。一方、騒音や交通面で基地周辺の自治体や住民は不安を感じていることも事実です。
 こうした点を踏まえ、多摩振興の観点に立って、軍民共用化について、都として今後どのように取り組むか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 横田の軍民共用化でありますけれども、軍民共用化については、これまで日米両政府に早期実現を求めてまいりまして、先日も、日米安全保障協議会の委員会のいわゆる2プラス2、国務省、国防省、日本の外務省、防衛庁が合議する会議が開催され、具体的な協議が行われる段階に入りまして、ようやく機は熟しつつあるような気がいたします。
 軍民共用化は、人や物の流れを活発にし、産業の活性化や雇用の促進につながるなど、今後の多摩振興の引き金になるものであると思っております。
 ちなみに、一部の新聞が報道しておりましたが、あそこに空軍の本部を持ってくるというのは、決して、その空軍の本部が来るから飛行機がふえるということじゃないんです、これは。それは誤解しないでいただきたい。ほとんどの機材は全部グアムに移しまして、要するに機能としての、こういう電子工学の時代に、日本の空における日米安保にのっとった防衛の体制の要するに推進も含めて、機能としてあそこに中心部を移すということのようでありまして、決してそれに伴って機材がふえるということではございません。
 この問題については、近県からも非常に期待が多くて、山梨県の知事なども、羽田、成田は三、四時間かかりますが、横田なら圏央道ができると一時間以内で行くことができる、もうぜひとも早く実現してほしいと要請もされております。
 共用化の実現のためには、道路や鉄道など交通網の改善や騒音対策などが必要でありまして、こうした課題に対して、国が責任持って対応するよう積極的に求めつつ、都としても、国と連携しながら取り組んでまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、国に対米交渉の促進を強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を図っていきたいと思っております。
 


質問2
 多摩地域には、企業の研究機関や大学等が数多く立地するなど、豊富な地域資源が存在しています。四月には、首都大学東京の開学に合わせ、産学公連携センターの開設も予定をされております。
 こうした中、リーディングプロジェクトにおいても、産業支援システムの再整備として、多摩地域における産業支援機能の充実を図るとしています。今後、多摩地域における産業振興をより一層推進することが必要であると考えますが、新たな産業支援体制の構築に向けた基本的な考え方と方向性について伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 多摩地域における産業振興についてでございますが、産業力を強化するためには、地域の資源を有効に活用し、地域の持つポテンシャルを引き出すことが不可欠でございます。このため、企業ニーズの把握や地域特性分析等の調査を踏まえ、現在の経営技術支援機能を抜本的に再検討し、新たな支援体制の具体的な姿を提示してまいります。
 産業技術研究所につきましても、独立行政法人化を進める中で、支援体制の整備を図ってまいります。
 そうした中で、多摩地域の中核拠点の整備を含め、多摩地域の強みを生かし、時代に合った専門性の高い支援体制を構築してまいります。
 


質問3
 多摩振興の実を上げるためには、都と市町村とが一体となった施策展開が不可欠であります。市町村にとっては厳しい財政運営が続く中で、都として、今後どのように市町村事業への支援を行っていくのか、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 多摩リーディングプロジェクトについてでございますが、このプロジェクトでは、都が実施いたします多摩重点推進事業の推進などと並びまして、重要な役割を担う市町村への支援を今後の振興策の柱の一つに位置づけております。
 都といたしましては、今後とも、自主的、自立的な行財政運営を行い、地域発展のために努力している市町村に対し、市町村調整交付金、振興交付金、振興基金によります財政支援や情報提供などを適切に実施してまいります。
 また、新たに多摩島しょ底力発揮事業を創設し、地域資源を発掘、発信するなど、今後の多摩の発展に向けて市町村が取り組むまちづくり事業を積極的に支援してまいります。
 


質問4
 最後に、このプロジェクトが目指す多摩振興に向けた知事の決意を伺います。
 
答弁4
 ▼知事
 多摩振興についてでありますが、東京の三分の一の人口を擁する多摩地域は、最先端技術が集積し、製造品の出荷額は区部を上回るものになっておりまして、豊かな自然環境にも恵まれておりまして、都心へのアクセスのよさも、アクセスもだんだん改良されまして、首都を牽引する大きな可能性を秘めたまさに未来的な地域であると思います。
 こうしたポテンシャルを十全に開花させていくために、多摩リーディングプロジェクトを策定いたしました。横田基地の軍民共用化に積極的に取り組むとともに、圏央道アクセス道路や南北道路の整備など、都の事業を重点的に推進していきたいと思っております。
 国や市町村との連携をさらに強化し、首都圏の中核をなす多摩の実現に力を尽くしていきたいと思っております。
 
■都市と地球の持続可能性の確保

質問1
 環境確保条例の改正案に関連して、都市と地球の持続可能性の確保に向けた取り組みについて伺います。
 先月十六日、温室効果ガスの国際的な削減目標を定めた京都議定書がついに発効し、温暖化防止の世界的な行動が開始されました。しかしながら、最大の温室効果ガス排出国である米国が議定書から離脱し、中国やインドなど途上国には削減義務が課せられていないといった、議定書の実効性に関する課題も指摘されております。
 京都議定書の発効は、我々人類に課せられた最初の一歩にすぎないわけでありますが、議定書発効を契機として、今後、都はどのように地球温暖化問題に取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 温暖化対策についての都の取り組みでありますが、世界じゅうに干ばつや豪雨が頻発し、島しょ国家の水没の危機、現にキリバチですか、どこだかはもう完全に数年後に水没すると。何しろ一番標高の高いところが五メートルしかない国家ですから、この国は、国がなくなったらオーストラリアへ逃げていくというのが決まっているそうでありますけれども、そういう現況がどんどんどんどん深刻化しているわけでありまして、あるいは一方では、マラリアの蔓延の恐れなどに加えて、食糧や水資源を巡る国際紛争の発生までもが懸念されておりまして、一時好転を期待されておりましたインドとパキスタンの関係も、あそこのヒマラヤの水源を確保するためのダムをどうするかということで、また険悪な状況になっておりますが、地球温暖化は、人類の生存そのものにかかわる喫緊の課題でありまして、現に中国の黄河などは干上がってしまって、ほとんど水が流れていない。地図の上には川として残っておりますけれども、河口にはまだ一滴の水も流れてこないという現況であります。
 先月発効しました京都議定書は、地球温暖化を阻止するための初めての国際的枠組みでありますが、グローバルな気候変動に挑む第一歩にすぎません。温室効果ガスの濃度を安定化させ、気候変動による深刻な影響を防止するためには、社会を構築するすべての主体が、早期かつ永続的に温暖化対策に取り組まなければならないと思っております。
 都は、今回の条例改正によって、エネルギーの需給両面にわたる総合的なCO2削減の取り組みを展開するとともに、環境に配慮したマンションや、省エネ型の家庭電気製品の普及を促すラベリング制度などを創設しまして、先駆的な対策を着実に推進してまいります。
 いずれにしろ、こういった取り組みというのは、ごくささいに見えますが、まさにちりも積もれば山となるということです。だれかがとにかくできることから始めないといけないことだと思います。
 私、かつて、講演を聞きました。ブラックホールの発見者のホーキングは、人間が文明を発達させることで非常に不自然な循環が地球を覆っていって、このままでいくと、人間はもたない、地球はもたない。多分宇宙全体の時間からすれば、本当に瞬間に近い形で、もう百年足らずで地球は惑星として崩壊するだろうと恐ろしい予言をしたのを、私、印象的に聞きましたが、まさにそういった事態が下手をすると現実のものとなりかねない現況だと思っております。
 いずれにしろ、もうとにかく事を防ごうという、ちりも積もれば山となるという志で都民や企業などと連携し、持続可能な社会の構築に向けた取り組みを推進して、その成果を全国に発信していきたいと思っております。
 


質問2
 都では、大規模事業所の温室効果ガスの削減を図る地球温暖化対策計画書制度の強化や、家電製品の省エネ性能を店頭で示す省エネラベリング制度の創設など、四つの制度の強化、創設によって実効性のある温暖化対策を推進していくこととし、条例改正案を本定例会に提案をしています。
 実際に平成十四年度の都内の温室効果ガス排出量は、平成二年度比で一五・九%も増加しており、早急な対応強化が必要なことはいうまでもありません。都は、これまでも、大規模事業所の温室効果ガス削減を図るため、地球温暖化対策計画書制度を実施してきましたが、今回の改正によって具体的にどのように制度を強化しようとしているのか、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 地球温暖化対策計画書制度の強化についてでございますが、これまでは事業者の任意な目標設定などを求めてまいりました。今回の制度は、都の指導助言と評価公表によって、より高いCO2削減目標の設定と、着実な対策実施を誘導するものでございます。温暖化対策に積極的に取り組む企業が、社会的にも高く評価される仕組みでございまして、省エネ法や他の自治体の制度にはない、都独自の制度でございます。
 計画策定に当たりましては、都が削減対策指針に基づき取り組むべき対策メニューを示すとともに、計画の中間年及び終了時に成果を評価公表することで、事業者の積極的取り組みを促していくなどにより、制度の実効性を確保してまいります。
 


質問3
 今回の地球温暖化対策計画書制度の対象外となる中小規模事業者などに対して、都はどのように温暖化対策を働きかけていくのか、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼環境局長
 中小規模事業者への働きかけについてでございますが、CO2削減に向けた積極的な取り組みを促すため、条例改正案におきましては、中小規模事業者が計画書を任意提出できることといたしました。計画書を提出し、温暖化対策に率先して取り組む中小規模事業者に対しましては、都の指導助言を通じて、計画策定や対策の実施を具体的に支援してまいります。
 また、東京商工会議所など関係団体等と協働いたしまして、温暖化対策の推進組織でございます地球温暖化対策推進ネットワークを新たに設立し、省エネ対策に関する相談窓口の開設や、インターネットによる省エネ技術情報の提供を行ってまいります。
 


質問4
 こうした中小企業者も含め、温暖化対策に積極的に取り組む事業者が、例えば金融面などでも評価され、インセンティブが得られるような動きが広まるよう、都も努力すべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁4
 ▼環境局長
 事業者に対する金融面などでのインセンティブについてでございますが、近年、幾つかの金融機関におきまして、環境に配慮した経営を行う事業者に対する低利融資など、企業の環境対策を促進する金融商品が開発されてきております。
 温暖化対策に率先して取り組む事業者が経済的なインセンティブを得られるようにすることは、対策を促進する上で有効と考えられるため、都は、こうした金融商品の拡大などを目指す環境金融プロジェクトを開始することといたしました。
 今後、都の呼びかけに賛同する金融機関との協議検討の場を設置いたしまして、企業の環境配慮行動を促す金融機関の取り組みを積極的に促進してまいります。
 
■廃棄物条例の改正

質問1
 旺盛な経済活動に伴って大量の産業廃棄物が発生しています。依然として産業廃棄物の不法投棄が全国的に問題となっており、産業廃棄物の処理に対する不信を招いています。これまで、不法投棄に対して、たび重なる法改正により規制が強化されてきました。都としても、産廃Gメンの活動や広域的な自治体連携によって不法投棄の取り締まりに努めてきていることは、承知をいたしております。
 しかし、取り締まりの強化だけでは不法投棄の問題を解決することはできず、それを生じさせる要因にまでさかのぼった対策を講じていく必要があります。今回提案されている条例改正案は、その趣旨を踏まえたものと考えます。
 そこでまず、都は、この条例を提案するに当たって、不法投棄を生じさせている要因をどのようにとらえ、その問題をどのように解決しようとするものなのか、伺います。
 
答弁1
 ▼環境局長
 廃棄物条例の改正についてでございますが、不法投棄が発生する要因といたしましては、産業廃棄物を排出する事業者が、価格優先で安易に処理業者を選定するなど、排出事業者としての責任を必ずしも十分に果たしていない現状や、また、一部の処理業者が能力を超えて処理を請け負うなど、不透明な処理を行っている状況がございます。
 そこで、排出事業者には適正処理のための取り組み状況について、また、処理業者には処理の状況について、それぞれ報告を義務づけまして、これを都が公表することとするものでございます。
 これにより、排出事業者の適正処理への取り組みが促進されるとともに、処理業者の処理状況が透明化され、不法投棄問題の解決に資するものと考えております。
 


質問2
 改正条例案では、産業廃棄物の排出事業者とともに処理業者に対しても報告を求め、その内容を公表するとされていますが、この処理業者に対する報告・公表制度を導入することによって、産業廃棄物処理業の健全な環境産業としての発展に具体的にどう結びつくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 処理業者に対する報告・公表制度についてでございますが、本制度に基づき、処理業者からの処理状況に関する報告内容を公表することによりまして、排出事業者が処理業者を選定しやすくなり、より信頼性の高い廃棄物処理が行われていく環境が整えられるものと考えております。
 また、施設における処理の状況が透明になり、産業廃棄物の処理に対する社会的な理解と信頼性が高まるものと考えております。
 このようなことを通じて、産業廃棄物処理業が健全な環境産業として発展していくものと期待しているところでございます。
 
■道路行政

質問1
 三環状道路の整備は、羽田空港や東京港と軍民共用化による横田など多摩の内陸部との連絡をする極めて重要な取り組みであります。知事は、就任以来一貫して、東京の再生に不可欠な三環状道路の整備に積極的に取り組み、先般も中央環状品川線を有料道路事業に先駆けて、十七年度から街路事業として整備に着手すると英断されました。
 そこで、改めて品川線の早期完成に向けた知事の決意を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 中央環状品川線の早期完成についてでありますが、三環状道路の整備は、高コスト構造を是正し、首都圏全体の活性化を図るために不可欠なものでありまして、品川線を整備することで最も内側の中央環状線が完成し、首都圏の屋台骨としての重要な役割を果たすはずであります。
 本年秋には、首都高速道路公団の民営化が予定されておりますが、そのことによって品川線の整備がおくれることがあってはならないと思います。そのために、民営化後の新会社が行う有料道路事業に先駆けて、都みずからが十七年度の街路事業で品川線の建設に着手し、早期完成を目指していくつもりでございます。
 


質問2
 現在整備中の新宿線に続き品川線が完成することで、中央環状線が全線開通し、東京の都市再生にとってはかり知れない効果が発揮されると思われますが、東京の都市機能向上にどのような効果をもたらすのか、伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 中央環状線の完成と都市機能の向上についてでございますが、中央環状線は、都心部への過度な交通の負荷の軽減や、人や物の円滑な流れを実現するなど、都市再生を推進する上で重要な路線であります。
 品川線の完成により、東京港や羽田空港が、東名や中央道、圏央道と連結し、国際物流機能が強化されるとともに、新宿から羽田空港までの走行時間が、現在の四十分が半分になるなど、利用者全体に大きな時間短縮便益が発生いたします。
 加えて、品川線の整備により交通分散が図られ、一般街路の渋滞解消や環境改善などの効果が期待できます。
 


質問3
 品川線を、公団民営化に先立ち、都が十七年度に先行着手するとのことですが、有料道路事業とあわせ、今後、どのように事業に取り組んでいくのか、具体的に伺います。
 
答弁3
 ▼建設局長
 中央環状品川線の具体的な取り組みについてでございますが、品川線は、中央環状線のうち唯一未着手の区間で、その完成により高速道路全体のネットワークを効率よく機能させ、首都東京の再生に資する極めて重要な路線であります。
 品川線の早期完成のため、有料道路事業に先駆け、十七年度に都が街路事業に着手いたします。
 現在、事業の実施に向け、施行区分、工程、施設の管理運営などにつきまして国及び首都高速道路公団と協議を行っております。
 今後、財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、環境に配慮し、事業に積極的に取り組んでまいります。
 


質問4
 ところで、道路整備のおくれによる慢性的な交通渋滞は、社会経済活動や都市環境に大きな影響を及ぼしています。三環状道路の整備にあわせ、骨格幹線道路ネットワークの早期完成などに向けたさまざまな取り組みが、そろそろ実を結ぶ時期に差しかかっていると考えます。このような取り組みの平成十七年度末の成果をどのように考えているのか、伺います。
 
答弁4
 ▼建設局長
 骨格幹線道路整備などの取り組みの成果についてでございますが、十七年度には、区部では環状第八号線が全線開通するとともに、新交通「ゆりかもめ」の有明─豊洲間の延伸部が完成いたします。
 多摩では、JR南武線の高架化による踏切の除却や多摩川原橋の完成などにより、調布保谷線の川崎街道から甲州街道までが四車線となります。また、府中清瀬線も、西武新宿線と交差するトンネルが完成するなど、甲州街道から清瀬市の小金井街道まで交通開放いたします。
 この結果、都内の渋滞が緩和され、交通利便性や臨海地域へのアクセスが大幅に向上し、首都東京の再生に大きく寄与するものと考えております。
 


質問5
 これまで進めてきた道路整備効果をより一層発揮させ、都民にその効果を実感していただくには、既存道路のボトルネックの解消を進めることも重要であります。その主要な対策の一つとして、都では、渋滞対策に大きな効果を上げている、都民の高い評価を得ている、交差点すいすいプランを実施しています。
 現行のすいすいプランもおおむね完了し、新たな展開を図るため、今回、第二次交差点すいすいプランを策定しましたが、現行プランの成果と今後の取り組みについて伺います。
 
答弁5
 ▼建設局長
 交差点すいすいプランについてでございますが、現行プランは、対象交差点百カ所のうち、本年度末で一部完成を含め八十三カ所が完成する予定でございます。完成した主要交差点では、平均通過時間が半減するなど、大きな整備効果を上げております。
 本事業は、比較的短期間に少額の投資で効果があり、都民や市、町の強い要望もあることから、本年二月に第二次交差点すいすいプランを策定いたしました。
 このプランでは、対象交差点百カ所、計画期間を十七年度から十カ年とし、実施に当たっては、地元市、町との緊密な連携など、より効率的な執行体制を築きまして、ボトルネックの解消に積極的に取り組んでまいります。
 
■地域経済の活性化

質問1
 まず、金融施策について伺います。
 中小企業の資金繰りは、ここ二、三年、改善傾向にあり、かつての貸し渋り、貸しはがしは鎮静化しているといわれております。しかしながら、最近の都の調査では、金融機関の貸し出し姿勢が厳しいとする中小企業の割合が二割程度で推移するなど、資金繰りの改善は頭打ちの傾向にあります。さきの第四回定例会において、我が党は、資金繰りの改善や新たな事業展開を支えるため、制度融資の一層の充実を図るべきと訴えました。
 そこで、新年度に向けた制度融資の見直しでは、具体的にどのような面で充実を図ろうとしたかを伺います。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 制度融資についてでございますが、十七年度は過去最高の融資目標額一兆七千五百億円を維持するとともに、経営の自律性の向上や新たな事業展開を支える観点から、次のような見直しを行いました。
 第一に、税理士連合会作成のチェックリストを活用したクイック融資を創設し、会計情報の適正化に取り組む企業に対し、迅速な資金供給を行ってまいります。
 第二に、例えば従業員が事業を引き継ぐ場合など、第三者の事業承継に対する融資メニューを創設いたします。
 このほか、中小企業の海外への事業展開を対象に加えるとともに、新たなチャレンジを行う企業を金利面でさらに優遇するなど、一層の充実を図ってまいります。
 


質問2
 新銀行東京については、先日、知事の施政方針表明で開業時期が明らかにされ、いよいよ四月から、融資や預金などの銀行業務が開始される運びとなりました。一方、日本の金融界においては、大手銀行の不良債権処理が峠を越え、大規模統合や証券会社との複合企業化、中小企業に対する無担保融資の積極化などの動きが出ています。また、インターネット銀行への異業種参入が始まるなど、本格的な金融競争の時代に入る様相を見せています。
 このような状況において、新銀行は、我が党がかねてから主張してきたように、地域金融機関と緊密に連携し、中小企業融資に軸足を置いた銀行として開業するわけですが、真に都民、中小企業に貢献する銀行として、実績を着実に上げていただきたいと考えます。
 そこで、新銀行の開業を間近に控え、改めて知事の新銀行への期待と展望について伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 新銀行についてでありますが、日本の金融界には、これまで顧客重視の視点に立ったサービスを競い合うという土壌が非常に希薄でありました。今回の大手銀行の経営統合などの動きも、いわば金融機関側の利益に沿った動きでしかなくて、地域経済を支える中小企業にとって必ずしも有益とはいい切れません。
 新銀行が金融界の新しいプレーヤーとして中小企業支援を中心に活動する意義はきわめて大きいと思っております。地域金融機関を初めとする多様な連携を基軸とした新銀行の業務の仕組みは、中小企業支援の先進的な試みとして、従来の金融機関ではできなかった新しい金融、つまり新しいシビルバンキングを創設していきたいと思っております。
 新銀行が将来にわたって日本の金融界に健全な競争を生み出すとともに、都民や中小企業にとって真に貢献する民間金融機関として着実に成長していくことを強く期待しております。
 


質問3
 新銀行の業務については、当初、本店業務を開始した後、段階的に店舗開設を行い、七月中に全面的に業務展開をするとのことです。国内金融機関トップクラスの高い格付を手にした新銀行の開業時期等を決定するに当たっては、ペイオフの全面解禁に伴う金融環境の変化などにも配慮しながら、相当慎重な判断が行われたものと推測しますが、開業時期の決定に至った考え方と業務及び店舗展開の具体的な内容について伺います。
 
答弁3
 ▼新銀行設立本部長
 新銀行の開業時期の考え方などについてでございますが、新銀行においては、一刻も早い開業を待つ中小企業の期待にこたえるために、四月一日から、原則としてすべての業務を開始することといたしましたが、ペイオフ解禁に伴う地域金融機関への影響等を勘案して、開業時は本店のみとし、段階的な業務展開を行うことといたしました。
 具体的には、四月から原則としてすべての業務を取り扱いますが、ポートフォリオ型融資、インターネットバンキング及びJR東日本との提携カードの取り扱いについては、顧客への周知等も考慮して、七月からといたします。また、店舗については、本店に引き続き、五月上旬に新宿、蒲田、七月上旬に上野、錦糸町、立川の各店舗を開設することといたします。
 現在、監督官庁と調整しながら、円滑な開業に向けた準備を進めております。
 


質問4
 新銀行東京では、都からの出資一千億円に加え、民間企業から幅広く出資を募ることとしていますが、開業を目前に控え、出資の確保状況はどのようになっているかを伺います。
 
答弁4
 ▼新銀行設立本部長
 民間企業からの出資状況でございますが、新銀行東京は幅広い都民からの支持を体現するため、多様な企業からの出資を確保いたします。あわせて、資本コストや市場金利などを考慮した弾力的な資本構成とするため、普通株式とともに、市場を活用した資金調達を実施してまいります。
 具体的には、開業年次に民間企業五十社程度の資本参加を含む五百億円を超える自己資本調達の見通しがつき、現在、その準備を進めております。
 その後、新銀行の業務拡大に合わせて、引き続き適切な資本調達を行ってまいります。
 


質問5
 次に、商店街振興について伺います。
 商店街が大型店やショッピングセンターに負けずに繁栄していくためには、住民と密接なコミュニケーションをとりながら、地域のニーズにきめ細かくこたえていくことが大切です。今、都内各地の商店街では、高齢者への配慮や防犯、防災など、さまざまな地域課題に住民と連携して取り組み、コミュニティ機能を高めようとする動きが盛んです。こうした動きが、町のにぎわいや地域経済の活性化につながる例も数多く見られます。
 これは、我が党の提唱により創設された、新・元気を出せ商店街事業の大きな成果であります。我が党の要望にこたえ、来年度予算は大幅に拡充されており、都は、商店街の振興にさらに力を入れていくものと期待をいたしております。来年度の都の商店街振興施策の方針について伺います。
 
答弁5
 ▼産業労働局長
 来年度の商店街振興施策についてでございますが、商店街は都民生活を支え、地域経済を活性化させるとともに、コミュニティの維持発展に重要な役割を果たしており、都内各地の商店街では、地域住民やNPO等と連携して、まちづくりなどに取り組む例も数多く芽生えております。
 都は、今後こうした取り組みがさらに多く実施されるよう、新たに先進的な取り組みを表彰する制度を創設いたします。
 また、商店街が地域と連携して、まち全体の活性化に取り組む事業を支援するなど、区市町村との協力体制を一層強めながら、商店街振興施策を拡充してまいります。
 
■固定資産税、都市計画税の負担緩和

質問1
 我が党は、さきの定例会において、現在の固定資産税が、同じ評価額の土地でも土地ごとに負担額が異なるという矛盾を抱えていることを指摘するとともに、そうした不均衡を是正し、過重な負担を緩和するため、二十三区の商業地等については負担水準の上限を引き下げるよう求めました。また、小規模非住宅用地などに対する都独自の軽減措置についても、引き続き景気に配慮し継続すべき旨を申し上げました。
 知事が、商業地等の負担水準の上限を引き下げる都税条例改正案を今定例会に提出し、また、都独自の軽減措置を継続するとされたことは、我が党の主張に合ったものであり、英断を高く評価をいたします。
 そこで、知事は、今回の一連の措置の意義及び効果をどのように考えているのか、改めて所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 固定資産税、都市計画税についてでありますが、税制は公正公平でなくてはならないことはもとよりであります。社会経済の変化に対応したものでなくてはまたなりません。
 今回の新たな条例措置は、バブルに伴って生じた制度のゆがみにより著しく不均衡となっている商業地等の負担を是正するものでありまして、これにより、負担水準が高い約六割の商業地等で新たに百六十億円の負担軽減となるはずでございます。
 小規模非住宅用地などに対する軽減措置とあわせて負担の公平を図り、固定資産税に対する納税者の信頼を確保するとともに、東京の活力の再生に資するものと考えております。
 
■東京港の港湾計画の改訂

質問1
 現在、港湾局では、おおむね十年後を目標年次とする第七次改訂港湾計画の策定に取り組んでいると聞いております。東京港が将来にわたって世界の主要な国際貿易港として発展していくためには、産業構造の変化や進展著しい民間の物流革新に適切に対応できるよう、港湾機能強化のための戦略的な港湾計画を策定し、着実に施設整備を進めていかなければなりません。
 そこでまず、国際貿易への依存度が高まり、その相手国について、中国が米国を抜いて第一位となるなど、我が国の貿易に大きな変化が見られる中、東京港における物流動向はどのような状況なのか、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼港湾局長
 東京港における物流動向についてでございますが、昨年の貨物取り扱いについて見てみますと、外国貿易貨物が国内貨物を上回る勢いとなっておりまして、輸出入貿易額で過去最高の九兆九千億円余に上るとともに、外貿コンテナの取扱個数においても約八%の伸びを示して、日本最高を更新する三百三十万個程度の実績を達成する見込みでございます。
 ご指摘のとおり、日本の貿易相手国は、昨年初めて中国が米国を抜いて第一位となりましたが、東京港においても中国航路のコンテナ取り扱いの伸びが著しく、既に一昨年から、中国が東京港最大の相手国となっております。
 このように、我が国を代表する国際貿易港東京港の物流動向に、全国の貿易の趨勢が先行して象徴的にあらわれてきているところでございます。
 


質問2
 羽田空港の再拡張に伴い、東京港を含む臨海地域では、陸海空の結節点として、今後一層重要度を増すことになりますが、これらの動向に適切に対応し、東京港の将来に対して新たな戦略的道筋をつけていくことが、日本の国際競争力の強化に結びつくものと考えます。東京港における物流機能の強化策を第七次改訂港湾計画にどのように反映していくのか、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼港湾局長
 新しい港湾計画におきましては、急増する輸出入貨物に対応する新規コンテナふ頭の整備、国内貨物船の大型化に対応するふ頭の再編、さらに、羽田空港再拡張に伴い、中央防波堤外側埋立地に、航空貨物も視野に入れた高機能物流拠点の整備を位置づけてまいります。
 来年度じゅうに改訂港湾計画を策定し、外貿貨物の増大など、新たな国際貿易の動向に適切に対処していきたいと考えております。
 このため、コンテナふ頭などの早期整備を進めるとともに、東京港と直結する中央環状線等の道路網や、ITを活用した民間の新しい物流システムとの連携を図るなど、東京港の物流機能の一層の充実強化に取り組んでまいります。
 
■福祉保健施策

質問1
 昨年八月、新たに福祉保健局が誕生しましたが、それ以降、従来、旧福祉局と旧健康局が実施していた施策を統合化し、都民サービスの向上に結びつけようとする姿勢が顕著に見られるようになったと感じます。
 十七年度の重点事業を見ても、例えば高齢者分野では、老人保健法による健康診査と介護予防健診「おたっしゃ21」の取り組みをうまく一体化させ、高齢者が要介護状態に陥ることを防ぎ、健康寿命の延伸を図る真の意味での介護予防を全国に先駆けて打ち出しました。今後とも、子育て支援などさまざまな分野で、こうした福祉、保健、医療の総合的かつ一体的な施策展開を一層進めていくべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 福祉、保健、医療の施策の展開についてでありますが、福祉保健局は、少子高齢社会に的確に対応し、健康に対する都民の不安を払拭するため、福祉局と健康局が統合し、昨年八月に発足いたしました。
 統合後、児童相談所や保健所など専門機関の連携による児童虐待の早期発見と未然防止に向けた仕組みづくりに着手するとともに、社会福祉施設などにおける感染症予防対策の強化、健康づくりや疾病予防の観点も含めた介護予防に関する取り組みなど、質の高い福祉、保健、医療サービスの総合的、一体的提供に努めております。
 今後とも、局統合のメリットを具体的に都民の皆様に実感していただけるよう、施策の充実に取り組んでまいります。
 


質問2
 次世代育成支援について伺います。
 我が党の要請を受け、都は、十七年度予算案に二十億円の次世代育成支援緊急対策総合補助制度の創設を盛り込みました。都として、この次世代育成支援の基盤整備を緊急的に進めていく決意のあらわれと、高く評価するものであります。
 現在、次世代育成支援東京都行動計画の最終的な取りまとめを行っている段階と聞いております。
 そこで、本計画の基本的な考え方及び計画に盛り込む予定の具体的な内容について伺います。
 

 
 なお、すべての子育て家庭を支援していくためには、今後、地域における認証及び認可保育所の役割がますます重要になります。その際には、施設運営の中核となる専門性の高い保育士の確保が不可欠であります。このことについて、特段の配慮をお願いしておきます。
 加えて、これまでも我が党が主張してきました今後の次世代育成支援対策の一環として、対象年齢の拡大など、乳幼児医療費の助成をさらに拡充することを強く要望しておきます。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 次世代育成支援東京都行動計画についてでありますが、次代を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは、親はもとより、私たち大人に課せられた責務であり、社会全体の課題であります。
 こうした基本的な考え方のもとに、本計画では、お話の、次世代育成緊急対策総合補助制度の創設や、福祉、保健、医療、教育が一体となって子どもと家庭を支援する、仮称子ども家庭総合センターの設置のほか、区市町村や企業、学校などと連携した、すべての子育て家庭を視野に入れた取り組みや、子どもの自立に向けた支援策などを盛り込む予定であります。
 


質問3
 介護保険制度改革について伺います。
 平成十二年度に創設された介護保険制度は、現在開会中の通常国会に介護保険制度改革関連法案が提出され、審議が進められております。改正法案の内容を見ますと、高齢者ができる限り自立した生活を継続できるよう、介護予防を重視する仕組みに改めることや、施設入所者の居住費及び食費について、在宅の方とのバランスなどの観点から見直すこと、要介護高齢者の地域での生活を支えていくため、地域密着型サービスを創設することなどが盛り込まれています。
 また、今回示された介護保険法の改正案についても、都の提案がかなり取り入れられたと聞いております。大きな制度改革の際には、多くの混乱が生じるのが常であります。来年四月の制度改革が円滑に実施できるよう、都としても事前準備を十分に尽くすべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 介護保険制度改革に向けた取り組みについてでありますが、都は、よりよい制度改革が実現されるよう、国に対し、昨年四月の制度全般に及ぶ提案に加え、本年一月には、介護サービスの質の向上に向けた適切な対応など実務的な提案を行いました。
 法案成立後、具体的な事項を定めた政省令が公布されますが、都としては、引き続き国に働きかけるとともに、介護予防重視の観点から、制度改正に先駆けて来年度新たに、介護予防マネジメントを担う人材の養成や介護予防拠点の整備などに取り組んでまいります。
 今後とも、区市町村と密接に連携し、改革後の制度の円滑な実施に向けた準備に遺漏のないよう努めてまいります。
 


質問4
 国民健康保険制度の見直しについて伺います。
 国は、唐突に昨年十二月、三位一体改革の一環として、国民健康保険制度における国庫負担と都道府県負担のあり方を見直す方針を打ち出しました。地方への権限移譲という名目のもとに決定されたこの方針では、これまで国が行ってきた財政調整の一部を都道府県が行い、あわせて、新たに都道府県に財政負担を求めています。
 一方、保険者である区市町村にとっては、従来、医療給付費等の四〇%が国から定率で措置され、一〇%が国の財政調整として実施されていたものが、定率負担は平年度ベースで三四%となり、残りの一六%は国と都道府県による財政調整となります。こうしたことから、今回の見直しは、区市町村の事業運営にも大きな影響を与えるものと懸念をされます。
 そこで、仮にこの方針が実施されることになった場合、都として、区市町村への国民健康保険制度上の財政調整をどのように行っていく予定か、所見を伺います。
 
答弁4
 ▼福祉保健局長
 国民健康保険制度の見直しについてでありますが、お話のとおり、国は、区市町村の国民健康保険財政の安定化を図るとの考えから、新たに都道府県調整交付金を導入するための改正法案を今国会に提出しています。
 それによれば、調整交付金は、都道府県が条例を定めて交付することとされており、国はそのためのガイドラインを作成する予定であると聞いておりますが、現時点では、何ら詳細は示されておりません。
 都としては、今後、国の動向も踏まえながら、保険者である区市町村の代表などで構成される東京都国民健康保険委員会に諮り、調整に当たっての基本的考え方や具体的な配分基準などを検討してまいります。
 
■文化政策

質問1
 石原知事は、就任以来、さまざまな文化施策を展開してこられました。民間人の館長を登用し、その経営感覚を生かした文化施設の改革、公園や地下鉄駅などの公共空間の開放として始まったヘブンアーチスト事業など、先駆的な取り組みもなされています。
 一方、財政再建を進める中で、限られた予算を有効に使うためにも、文化政策全体をこれまで以上にめり張りあるものにしていく必要があります。
 そこで、知事に伺います。二期目の折り返し点を迎えた今こそ、これまでの取り組みを集大成し、時代を先取りした文化政策のビジョンを示すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁1
 ▼知事
 文化政策についてでありますが、東京は、文化芸術にかかわるさまざまな人材が集まっておりまして、例えばワンダーサイトなどで、いわゆる現代芸術、美術の展覧会へ応募しますと、年ごとに、ことしなどは、昨年が五百点だったのが八百点の応募がありまして、非常に水準も高くなりましたし、また、画商たちの手に届かなかったそういう若い芸術家に画商たちが注目して、画商が、要するに、ついたといいましょうか、扱うような芸術家も数人誕生しておりますし、また、ある画商などは、この次のビエンナーレに自分の責任でそういった作品を提出してオークションにかけるというところまで来ておりますが、いずれにしろ、ここには芸術に関する、美術に限りませんけれども、非常に分厚いヒンターランドがありまして、そういった方々が創造的な文化を生み出す大きな可能性を持っているわけであります。
 行政の役割は、行政が感覚をいじることは非常に危険ですし、またできっこありませんが、しかし、いずれにしろ行政の責任は、みずから切磋琢磨する芸術家の創造の場や発信のチャンスを広げていくことだと思います。そういう観点から、これまでもワンダーウオール、ワンダーサイト、ヘブンアーチストなどの取り組みをしてまいりました。
 今後、東京都の文化施策を語る会において徹底的に議論をしていただきまして、二十一世紀の首都東京にふさわしい文化施策をまとめていきたいと思っております。
 
■教育問題

質問1
 大阪府寝屋川市の小学校において、教員が卒業生に襲われるという大変悲しい事件が発生をいたしました。亡くなられた先生のご冥福をお祈りするとともに、子どもたちの心の傷が一刻も早くいやされることを願っております。
 この事件を受け、幾つかの自治体においては、安全対策を強化するという新聞報道等がされています。都教委といたしましても、学校の安全対策をより一層強化すべきであると考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼教育長
 学校の安全対策についてでございますが、本来、児童生徒が安心して学ぶ場でございます学校におきまして、生命が脅かされるようなことは絶対にあってはならないことでございまして、設置者の責務として、学校における安全対策に万全を期すことは極めて重要なことでございます。
 平成十三年に発生しました大阪教育大学附属池田小学校の事件を受けまして、東京都では、警視庁の協力を得て、都内のすべての公立、私立の幼稚園、小中学校及び保育所等に緊急通報体制、学校一一〇番を設置しまして、学校の安全管理体制の整備を図ってまいりました。
 また、今回の寝屋川市立中央小学校の事件を受けまして、各区市町村においては、警備員の配置や防犯設備の配備などさまざまな安全対策に努めているところでございますが、東京都におきましても、緊急に区市教育委員会の生活指導担当者連絡会を開催しまして、学校一一〇番の有効活用や学校の安全管理の総点検を改めて行うよう指導してまいりました。
 今後、学校の安全管理についてのチェックリストを掲載しましたリーフレットを新たに作成しますとともに、平成十七年度からはすべての小中学校を対象にした防犯教室指導者講習会を実施するなど、学校の安全対策を一層強化してまいります。
 


質問2
 教育は国家百年の計といわれるように、国家戦略としての国家、社会の形成者たる国民の育成にそのねらいがあるといっても過言ではないと思います。しかしながら、現在、教育内容やそのあり方などをめぐって、さまざまな問題が生じております。
 昨年十二月に、相次いで二つの国際機関により、世界の児童生徒の学力に関する調査結果が公表されました。現在、国内で児童生徒の学力低下に関するさまざまな議論が活発になされているところであります。我が党としても、二十一世紀の東京、ひいては日本の創造的発展を支える人間を育成するためには、児童生徒に基礎、基本を確実に身につけさせる教育を着実に推進し、東京の子どもたちの学力を向上することが極めて重要であります。
 今後、都として、児童生徒の学力向上を図るため、どのように取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 学力向上を図るための今後の取り組みについてでございますが、お話のように、国におきましても児童生徒の学力に関しましてさまざまな議論がなされており、学力向上への都民の関心にも極めて高いものがございます。
 都教育委員会では、これまで、児童生徒の学力向上を図るため、授業改善の具体策を発信します研究推進校の先進的な授業の公開や、各学校の成果や課題を協議する教科別協議会の開催、さらに、各教科の専門の指導主事がチームで指導する特別訪問等を実施してまいりました。
 今後、これらの取り組みの充実をさらに図りますとともに、平成十七年度からは新たに、計画、実施、評価、改善による授業改善推進プランの着実な実施や、大学教授などによる授業改善アドバイザーの導入、少人数指導等の優秀な、すぐれた実践を紹介する指導事例集の作成等を行いまして、各学校の授業改善を一層支援してまいります。
 


質問3
 教育の成否は、学校教育の直接の担い手である教員の資質、能力に負うところが極めて大きいと考えます。次代を担う子どもたちを託することができる高い志と豊かな感性を持ち、実践的にすぐれた教員を育成することは、変化の激しい時代にあってますます重要なことであります。
 児童生徒の学力向上のためには、教員の資質、能力の向上、とりわけ授業力の向上が急務であると考えますが、このことに関して、今後、都はどのように取り組む所存なのか、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼教育長
 教員の資質、能力の向上についてでございますが、お話のように、児童生徒の学力向上を図るためには、教育に直接携わる教員の意識を改革しまして、資質、能力、中でも授業力の向上を図ることが極めて重要でございます。
 このため、都教育委員会では、教員のライフステージに応じた研修体系を整備しますとともに、人事考課と連動した能力開発型の研修を効果的に実施してまいりました。
 今後、これらの研修を充実しますとともに、平成十七年度以降、初任者研修の実施に加えまして新たに、教職経験二年、三年目の教員を対象とした二、三年次授業研究の実施、授業リーダー育成のための東京教師道場の設置や校内研修担当者の育成などを行いまして、組織的、計画的に教員の授業力の向上に努めてまいります。
 

 
 我が国は今、官民挙げて、デフレからの脱却、景気回復に全力を挙げております。都の予算案にも、そのことがにじみ出ています。先進国の経済成長には、とりわけ技術進歩が重要とされています。これからの経済社会においては、どれだけつくるかよりも何をつくるかの方が重要であり、そうした意味からの技術革新こそが今後の我が国の死命を制する最重要課題だといっても過言ではありません。
 いうまでもなく、技術革新の究極の要因は人的資本であり、単なる頭数だけではありません。昨年の国際特許出願件数ではトップの米国に次ぐなど、我が国の科学技術は世界のトップクラスにあります。まさに人材こそ宝です。
 二十一世紀は、知恵が世界を制します。官庁や企業の中枢部門、それに多くの高等教育機関や研究機関が立地する東京において、我が党は知事としっかり連携し、産学公連携や、新たな価値創造に向けた研究開発、人材育成などの推進に全力を挙げて邁進することを申し上げ、代表質問を終わります。

 

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