平成17年第1回定例会 代表質問

社会保障の中心は自立支援で
ニート対策に若者の実態把握を

藤田 愛子(ネット)
■今後の施策のあり方
 
 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、質問いたします。
 今年度の予算要望の柱を、私たちは、分権改革と財政再建、二○○六年をピークに顕著となる人口減少問題への取り組み、京都議定書発効を受けての環境重視政策といたしました。このことを中心に質問をいたします。
 国と地方の借金は七百兆円を超え、改めて財政改革の必要性が問われています。都においては増収ということで、都市の整備のみが増額となっていますが、今後の震災対策や都市基盤の更新を考えれば、ビルドばかりでは立ち行かなくなり、ここでも財政改革は必然です。三位一体改革による国からの財源移譲は中途半端で、地域の裁量を尊重した分権改革の視点とは全く異なったものです。今後、国と地方の役割分担のあり方を十分に検討し、真の分権をかち取ることが不可欠です。
 一方、私たちは、都から区市町村への第二次分権を確固たるものにするように、都に求めてまいりました。さらに第三の分権、いわゆる市民への分権が協働とともに重要になってきます。市民と行政の協働を進めるために、みずから納めた税の一部を応援したいNPOに助成する仕組みが実践され始めています。今後は、都も、こういった取り組みを応援することが求められてくると思います。
 

 
質問1
 まず初めに、人口減少問題に対する取り組みについて伺います。
 国の合計特殊出生率が一・二九、東京では一・○を切り、来年をピークに人口減少が現実のものとなってきます。人口減少が直ちに悪いものだとは考えませんが、これまでのピラミッド型の人口構成を基本とした社会保障制度や、右肩上がりの経済が未来永劫続くとする考えのままでは、人口減少は大きな選択のミスを誘導することになります。
 東京の適正規模の人口及び都市基盤を提示する必要があります。少子化対策を真剣に考えるならば、すべてを子どもの側から見直す体制が重要です。社会保障のために、財政のために、産業のために、という経済面だけを論じていても、少子化問題は解決をしません。人口減少を自明の前提として受けとめ、財政、社会基盤整備、福祉、就労、教育等多岐にわたる制度の転換が必要ですし、行政のあり方自体も変化を求められるようになると考えます。この問題に関しての将来ビジョンを知事にお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 人口減少社会における行政のあり方でありますが、おっしゃるとおり、人口減少というのは必ずしも悪いものではないと思います。例えば、人口が減っても、教育の総量というのはなかなか減らないそうで、つまり、そういう国家社会の教育というのは非常に重厚なものになるということを専門家はいっておりますが、しかし、やはり人口の構造の問題でありまして、今のように年寄りがふえて若者が要するに欠落するというのは、非常に社会的に危険な問題だと思います。
 でありますから、日本はやはり今、歴史的に大きな転換点にあるといわざるを得ない。人口減少への評価はいろいろあるでしょうけど、これから先、社会のあらゆる分野に影響を与えることは確かでありまして、これまでの行財政制度全般の見直しが明らかに迫られていると思います。
 しかし、どうも国は、いわゆる三位一体改革に見られるように、どうもこういう歴史的な本質的な変化というものを正確に把握しているとは思えませんで、非常に危機感が乏しく、抜本的な改革はいつも先送りをされて、しかも、結局、国家財政は、まさに破綻寸前の状況に追い込まれています。
 こういう国の姿勢を座視することはできませんで、従来から、都市インフラの整備、大気汚染対策、福祉改革、財政再建など、都としては一連の東京の再生に向けた取り組みを進めてきたつもりでございます。
 また、かねてから申し上げているように、積極的な移民の受け入れなど、大胆な政策の転換を国に対して、機会あるごとに、これからも求めていきたいと思います。
 大脳生理学者にいわせますと、異民族──もともと日本人というのは混血民族でありますから、オリジナルの日本人というのは、北はアイヌの方々、それから南は沖縄の方々で、これは本当に等質の言語感覚を持っている人たちですけれども、いずれにしろ、日本が中世、近世で徹底した混血を繰り返した、鎖国の中で。これが日本の非常に著しい急速度の近代化というものを招来したわけでありますが、そういう点で、私はやっぱり本気で移民政策というものを考える時期に来ていると思います。しかし、どうも国は、これは何かタブー視していて、なかなかやろうとしない。検討もしない。
 いずれにしろ、今後とも、時代の大きな変化を視野に入れて、都政の各分野の連携を強化し、都民の求める施策を、この人口激減の時代に備えて展開していきたいと思っております。
 

 
質問2
 世代間の不公平感や社会保障自体に対する不信感は、必要に基づく給付が能力に基づく負担を上回ることに、つまり負担しても返ってこない、返ってくるという実感が持てないというところに大きな原因があります。
 なぜこのような状況が生まれたかというと、一つには負担能力がある人を育ててこなかったということです。若者がニートになっていくのを放置する社会なのです。現在の社会保障制度が、こうした矛盾を解決できないことに問題があります。社会保障による自立援助を、若者、障害者、高齢者、女性の能力開発と自己実現の機会の創出に結びつけなければなりません。
 福祉国家といわれるスウェーデンでは、社会保障だけでなく、人材を育てるのに多大なコストと手間と社会環境を用意し、人間の尊厳を大事にする施策に熱心に取り組んでいます。今後の日本において重要なことは、最終的な社会的コストの増大を防ぐために、若者の就労支援、長期失業者の再就職支援、高齢者・障害者の雇用と社会参加の促進、子育てに対する支援など自立を促す施策を中心に据え、社会政策として一体的に推進していくことが何よりも重要です。
 その際に、これからの福祉政策においても自立を中心に位置づけていくことが必要だと考えますが、都の取り組みの展望をお聞かせください。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 これからの福祉についてでありますが、だれもが地域の中でみずから必要なサービスを選択し、利用しながら、自立して生活できるよう、東京の福祉全体の水準を向上させていくことが都の責務であります。
 都は、これまで、こうした考え方に立って福祉改革に着手し、認知症高齢者や知的障害者のグループホームなどサービス基盤の整備や、第三者評価など利用者支援の仕組みづくりを進めてまいりました。
 来年度は、こうした取り組みに加え、企業内で授産活動を行う都独自の障害者の就労支援策や、生活保護世帯の自立促進事業を開始するなど、地域での自立を支える新しい福祉の実現に向け、改革を一層進めてまいります。
 

 
質問3
 次に、次世代育成について伺います。
 ここ十年間でも多くの議員が少子化問題を取り上げました。しかし、発言は男性議員のみ、経済の観点からだけで、違和感を覚えました。
 子育てが本当に楽しいものだということを実感しない限り、女性は子どもを産まないだろうと思っていましたが、これが現実のものとなりました。終身雇用が崩れ、労働人口の四割を女性が占めるなど、女性たちが働くのは当たり前の時代なのですが、出産費用は高い、不妊治療となれば長期に費用がかさむ、二人目を産もうとすれば、会社でストップがかかります。仕事を持っていた女性の六割以上が出産後は無業となり、孤立した閉塞感のある子育てでは、個人の双肩に物心両面の重い負担がかかります。
 このような社会環境では、女性の側からすれば、少子化は当然です。少子化の原因は多様であり、解決策も、性別役割分業の固定化や男女間の賃金格差などの間接差別をなくし、男女ともの子育てと仕事の両立支援や労働時間の規制など、あらゆる分野での方策が試みられなければなりません。しかし、都議会において、女性は家庭に戻って子どもを産んで育児に専念すべきなどの意見が堂々とまかり通ってしまうことに、日々のおくれを感じています。
 さて、二○○三年に国が示した次世代育成支援に関する当面の取り組み方針の中の男性を含めた働き方の見直しは注目に値しますが、都の次世代育成支援東京都行動計画の検討状況には、その考え方が全く示されていません。女性だけが子育てと仕事を両立させるのではなく、男性の働き方を見直し、アンペイドワークをどのように分かち合えるかが大きな課題です。
 一方、都では、特定事業主行動計画を策定することになっており、父親の育児休業取得に関して、具体的な取り組みによる目標値の設定が不可欠です。スウェーデン、ノルウェーなどでは、父親だけが取得できる育児休業、パパクオーター制度を導入し、父親の育児参加、両立支援に効果を上げています。
 都の事業主としての行動計画には、民間を先導する力があります。父親の育児休業取得率の向上に向けた積極的な取り組みの方向性を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 特定事業主行動計画についての質問にお答え申し上げます。
 都は、次世代育成支援対策推進法に基づきます、特定事業主としての行動計画の策定を進めております。職員、職場の意識改革、妊娠、子育て中の職員や男性職員に対する支援などを内容とし、年度内に公表する予定でございます。
 

 
質問4
 ひとり親家庭の次世代育成、子育て支援も急務です。特に母子家庭の収入状況が厳しい中、確実な現金給付としての児童扶養手当の一般財源化が、三位一体改革の中で検討されることになります。
 主要先進国では、経済基盤の脆弱なひとり親に対する生活維持のための経済支援が行われていますが、日本のひとり親に対する支援は余りに乏しいといわざるを得ません。所得保障をベースに、低家賃の住宅の確保や安定した就労を支援する自立支援をいかに充実させるかによって、今後の社会的コストは変わってきます。
 都では現在、次世代育成支援東京都行動計画とあわせて、ひとり親家庭育成支援計画を策定すると聞いていますが、その内容について伺います。
 
答弁4
 ▼福祉保健局長
 ひとり親家庭自立支援計画についてでありますが、母子家庭などひとり親家庭が地域で自立して生活していくためには、住まいや就労、子育てなど、さまざまな面からの支援が重要と考えています。こうした考え方のもとに、都は、これまでも、区市町村による、地域の実情に応じた柔軟かつきめ細かな取り組みを支援するひとり親家庭総合支援事業や、児童育成手当の支給などを独自に実施してまいりました。
 現在策定中の計画におきましては、就労による自立の支援や身近な地域での相談体制の整備などの施策を中心に据え、ひとり親家庭の自立をより一層促進する内容とする予定でございます。
 

 
質問5
 人口減少社会における社会保障は、まず人口構造の変化に中立的な制度に迅速に変更することが必要です。また、近い将来、高齢者人口が総人口の三分の一を占める規模になったときに、制度上、従来のように年齢によって一くくりにとらえることが可能かという問題もあります。
 今後は、老若共同参画社会ともいうべきエージフリーの観点で施策を位置づけ直す必要に迫られ、六十五歳以上をすべて高齢者として位置づける今の施策のあり方が問われることになります。都としての基本的な考え方を伺います。
 
答弁5
 ▼福祉保健局長
 人口減少社会における社会保障制度についてでありますが、現行の社会保障制度は、公的年金制度に見られるように、基本的に人口の増加と右肩上がりの経済成長を前提につくられております。将来にわたって制度を安定的に維持し、国民全体の信頼を得ていくためには、人口減少社会の到来を踏まえ、制度のあり方を国全体で議論しながら、公の責任、国と地方自治体の役割分担、給付と負担の公平性などについて根本から問い直すことが必要であると認識しています。
 年齢を基準とした個別の福祉施策も、このような視点から検討し、社会経済状況を踏まえながら、適時適切に見直していくことが必要であると考えます。
 
■若者施策
 
質問1
 右肩上がりの経済が終えんし、社会全体が目標を喪失した感がある中で、漠然とした将来不安と、努力しても仕方ないという感覚が一気に広がっています。ここ数年、三万人を超す中高年男性の自殺とホームレスの増加が顕著です。反面、個人消費が冷え込んでいるにもかかわらず、都心の億ションが即日完売するという現実があります。単なる不況というにとどまらない、深刻な二極化が進行しているといわざるを得ません。
 このような中で、問題になっているのがニートと呼ばれる、教育も就労も就職活動も職業訓練もしていない若い人のことです。労働人口の中にカウントされるフリーターとは異なり、このニートと呼ばれる人は非労働力人口なのです。昨年九月の労働経済白書で五十二万人という数字が出ましたが、実際には百万人近くいるであろうというふうにいわれています。
 労働力人口が減少する時期を目前にして、企業も次世代に対し、雇用に向けた訓練などの社会的責任を負わなければなりませんが、都の役割も大きいものがあると思います。就労問題の観点から、こうした若者の実態を把握する必要があると思いますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 就労問題から見た、いわゆるニートの実態把握についてでございますが、若者に対する就労支援といたしまして、現在、しごとセンターにおいて、キャリアカウンセラーによる相談や求職活動支援セミナー等を実施しております。来年度は、カウンセリング機能をさらに強化するなど、一層の充実を図る予定としております。
 こうした取り組みを通じまして、また、NPOや有識者との情報交換などにより、お話のような若者の実態の把握にさらに努めてまいります。
 

 
質問2
 次に、ニート対策ですが、まず第一に、教育の問題です。
 小中学校にも課題はありますが、ここでは、都立高校で、生活するということと職業をどのように教えているかについて伺います。
 現在、インターンシップが実施されていますが、一日のみの経験では仕事ということを知ることにはなりません。すべての都立高校で、せめて二週間の実践をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁2
 ▼教育長
 都立高校におけるインターンシップについてでございますが、一人一人の生徒が将来にわたる生き方を考えまして、主体的に進路を選択する能力と、望ましい勤労観や職業観を身につけることは重要なことでございます。
 現在、都立高校では、校長の学校経営計画に基づきまして、九十八校が、保育園、介護施設、地域企業などにおいてインターンシップを実施しておりまして、なお、二週間以上行っている学校は十五校ございます。
 来年度は、職業観を育成するため、職業観育成推進校を十校指定しまして、インターンシップの充実等に取り組みまして、その成果を検証してまいります。
 

 
質問3
 都立高校の中退者総数は減少傾向にあるようですが、それでも実数は約五千人を超えています。実際にその高校が子どもに合わないとしても、他の高校を紹介し、卒業までたどり着かせるべきです。成績不振による退学も、入試ではそのレベルに達していたわけですから、後の指導が足りなかったということではないでしょうか。達成感を味わわせないことが、その後の職業観にも関係してきます。ひきこもりやニートを生み出してしまうことにもなるのです。
 本人の意思を尊重することはいうまでもありませんが、学校側としては一人の中退者も出さないということに評価があってしかるべきです。高校改革で種々の学校をつくっても、目標値を持たない、評価をしないということでは、やりっ放しになってしまいます。一人の中退者も出さないことは教育長の責任であると考えますが、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼教育長
 中途退学への対応についてですが、中途退学対策は、高等学校教育における最も重要な課題の一つでございまして、生徒一人一人が豊かで充実した学校生活を送ることができるよう、その解決に努めなければならないと受けとめております。
 これまで都教育委員会は、チャレンジスクールやエンカレッジスクールなどの新しいタイプの高校の設置を初め、習熟度別授業や少人数による指導、スクールカウンセラーの配置等、さまざまな取り組みを行ってまいりました。その結果、東京構想二〇〇〇で定めた、二〇一五年度までに達成すべき中途退学率の数値目標は、既に実現をいたしました。
 中途退学には、みずからの信念に基づいて主体的に進路変更するという場合もございますが、今後とも、生徒の能力、適性に応じた学習指導や進路指導を充実させまして、個々の生徒に十分配慮した適切な指導を行いますとともに、学校の実態に応じて中途退学率の数値目標を掲げるなど、中途退学の防止に努めてまいります。
 

 
質問4
 ニートに陥る原因を、若者の能力不足といった個人の問題に帰するのではなく、社会構造の問題として受けとめるべきです。イギリスでは、若者に提供されてきた従来のさまざまなサービスを互いにつなぎ合わせ、若者が社会とのつながりを持つよう包括的支援を行っています。
 ところで、東京都では、しごとセンターに就労に関する窓口としてジョブカフェがありますが、この相談窓口を若者に身近な繁華街などに設置するなど、きめ細かな対応が求められていると考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 若者に身近な就労相談窓口の設置についてでございますが、就労を支援するためには、若者と接する機会をふやし、さまざまな働きかけを行うことが効果的でございます。このため、しごとセンター事業の一環といたしまして、新たに区部や多摩の繁華街等において相談に応ずる街角カウンセリングを開始し、効果的かつきめ細かな支援サービスを展開してまいります。
  

 
 若者の自立を阻む一因として住宅問題があります。東京の住宅は、高い、狭い、遠いが当たり前ですが、多摩ニュータウンのように一挙にまちが高齢化してしまうところには、若者を積極的に誘導することも有効と考えます。人との関係性を紡ぐ意味でのルームシェアが可能となるような住宅の提供も求められています。公営住宅法による制限も承知をしていますが、その時代に応じた公営住宅の使い方が積極的に考えられるべきと強く要望しておきます。
 

 
質問5
 青少年健全育成条例改正事項の青少年の性に対するかかわり方に関してですが、都では、これまで、一九八八年、一九九七年の青少年問題協議会で議論を深め、児童福祉法で規定されている淫行処罰には踏み込まずに来ました。取り締まり対象が大人とされているにもかかわらず、かかわった青少年が偏見を持たれがちであり、行為に愛情があるかないかなどもあいまいで、罰則規定を設ける改正には問題が残ります。現在の青少年の性の乱れを正すことと罰則規定を設けることが直結するとは考えにくいものです。
 自己決定権を持つ子どもたちに、自分の身を守るための性教育や、メディアリテラシーの教育の実施など、子どもに正面から向かい合う施策を早急に実施することが何よりも重要と考えますが、条例改正による具体的な取り組みをお示しください。
 
答弁5
 ▼生活文化局長
 青少年健全育成条例改正の具体的な取り組みについてでありますが、青少年は、現在、インターネットや性の問題が生み出す大きな危機に直面しております。改正条例は、青少年がこの危機を乗り越える力を身につけることができるように、大人社会が青少年に向き合うための基本的な考え方を定めたものでございます。
 改正条例を踏まえ、青少年の性のあり方について、学校での生徒に対する指導を行うとともに、心の東京革命の事業においても、保護者に対し啓発等の取り組みを強化することにより、青少年の性に関する判断能力の育成を図ってまいります。
 また、青少年がインターネットを適正に利用するため、保護者向けガイドブックの作成や、小学生及び保護者等に対するセミナーの実施により、啓発に努めてまいります。
 
■地球温暖化対策
 
質問1
 京都議定書が二月に発効され、ようやく世界規模の温暖化防止への第一歩が踏み出されました。社会経済活動の中心であり、直接、間接に大量のエネルギーを消費している大都市東京が、国に先駆けて持続可能な社会の構築を目指して率先行動をとろうとしていることは、日本全体の地球温暖化対策にとって意義のあることと考えます。
 しかしながら、都としてのエネルギー政策全般の見直しが行われていないことは問題です。特に、CO2削減目標を達成するためには、部門ごと、年度ごとの削減目標の設定、持続可能な社会実現のための制度を整備し、着実に成果を上げていかなくては、最終目標を達成することはできません。一九九九年に策定された東京エネルギービジョンを改定して、二十一世紀型のエネルギーシフトを視野に入れた新たなエネルギービジョンを構築する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁1
 ▼環境局長
 新たなエネルギービジョンの構築についてのお尋ねですが、都では、平成十四年に策定いたしました環境基本計画に基づきまして、現在、省エネ対策及び再生可能エネルギーの普及などの地球温暖化対策を進めております。この基本計画を踏まえ、今回、四つの制度を創設、強化するための条例改正案を提出いたしました。
 大規模事業者につきましては、都の指導助言と評価公表により、より高いCO2削減目標の設定と着実な対策の実施を誘導してまいります。
 また、新たにエネルギー環境計画書制度を創設いたしまして、電力の供給事業者にエネルギーの環境性の向上を求めてまいります。
 さらに、来年度には、再生可能エネルギー普及プロジェクトとして、民間における導入の促進に関する調査を行うこととしております。
  

 
 京都議定書のCO2削減の数値目標は、今ある緑の保全が前提となっていますが、緑を残すだけではなく、いかに育てるかが重要なポイントです。臨海副都心構想で、森づくりを市民団体とともに提案したものとして、十三号埋立地の百年の森構想を大いに評価をしています。
 ソローの「森の生活」を思い浮かべながら、大木も一粒のドングリからという海の森づくりに、環境問題に関心のある多くの都民、特に若者の参加を期待し、また、東京が環境重視のまちづくりに転換することを期待して、質問を終わります。

 

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