公共の場でのマナー遵守徹底を 地元主導の街づくりに支援を |
東野 秀平(公明党) |
■震災対策 |
私は、先月の初め、公明党新潟中越地震対策本部の一員として、震災現場を訪れてまいりました。震度七を記録した被災現場は想像を絶するものであり、被災者の皆様の苦悩ははかり知れないものがありました。心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を願うものであります。
以下、関連して質問をいたします。
質問1
第一に、今回の新潟中越地震では、学校や公民館などの公的施設に加えて、避難所として、ホテルや旅館などの民間宿泊施設の借り上げを実施し、被災者に無料で提供しております。
都の災害対策においても、圧倒的に不足することが予想される被災者の避難所確保策として、都内や近県の旅館、ホテルを確保できるよう協定を締結すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
避難所の確保についてでありますが、今回の新潟県中越地震では、避難の長期化により、避難住民のプライバシーの確保や心のケアの実施、疲労による休養施設の必要性などの問題が指摘されております。
災害発生時に、被害状況に応じて避難所を設置することは、区市町村の役割となっておりますが、都では、避難所管理運営の指針を策定し、避難所の運営が円滑に行われるよう、基準や方法を定め、区市町村に示しております。
今後、お話のホテル、旅館など、民間宿泊施設の活用なども含めまして、避難所運営にかかわる課題の整理に努め、そこから得られた結果を指針に反映させるなど、区市町村が避難所の運営を適切に行えるよう支援してまいります。
質問2
第二に、トイレ対策でございます。
今回の地震では、トイレを我慢するために水分を控えていた方が、エコノミークラス症候群と思われる症状で亡くなった事例が報じられております。とりわけ、人口が密集している東京では、仮設トイレの確保は重要な課題であります。
都では、下水道のマンホールをそのまま利用する、便槽を必要とせず収納スペースを要しない仮設トイレの設置を準備していますが、災害時の重要な施設である約二千カ所の避難所の周辺のマンホールを積極的に活用すれば、震災時のトイレ対策は大幅に改善されるという検討結果があります。
現在、下水道局では、四百五十個程度の仮設トイレの設置できるマンホールを指定しております。仮に、避難所一カ所当たり五個程度として、二千カ所で合計一万個程度の整備を当面の目標とすべきであります。
そこで、まず、下水道のマンホールを利用した仮設トイレの設置要件について明らかにされたいと思います。
さらに、マンホールを利用した仮設トイレの設置促進については、関係区との連携をも踏まえ、積極的に取り組むべきであります。見解を伺います。
答弁2
▼下水道局長
震災時のトイレ対策について、二点のご質問にお答えいたします。
初めに、下水道のマンホールを利用した仮設トイレが設置できる条件についてでございますが、設置場所は、車両の通行を妨げないこと、避難路の確保や救援、救護活動などに支障とならないこと、投入したし尿が下水の流れを阻害しないこと、さらにマンホールぶたが容易に開閉できる構造となっていることなどが必要でございます。
このような条件をもとに、関係区と協議した上で、仮設トイレを設置するマンホールを指定しております。
次に、 普及拡大についてでございますが、ご指摘のとおり、区が設置する仮設トイレにつきましては、避難所内の排水設備のほか、周辺道路の下水道マンホールを利用することも有効な方法と考えております。
このため、避難所周辺のマンホールが条件に合致するかどうかの調査を行いますとともに、区や地域の方々と連携して、マンホールを利用した仮設トイレの設置訓練などを実施しているところでございます。
今回の新潟県中越地震の教訓を踏まえ、区の仮設トイレ設置計画と整合を図りながら、普及拡大に向けて取り組んでまいります。
質問3
第三に、障害者への対応について伺います。
今回の新潟中越地震の際、聴覚障害者が何日間も行政からの連絡がなく、また市の広報車が近くを通っても、何を呼びかけているのかわからなかったため、一週間も置き去りにされたというケースがありました。被災地の聴覚障害者からは、健常者と同じ情報が欲しいとの切実な訴えがありました。
まず、都の聴覚障害者の方々への災害時における対策を伺います。
答弁3
▼福祉保健局長
災害時の聴覚障害者への対策についてでありますが、聴覚障害者は、情報入手やコミュニケーションが困難であることから、災害時においては、避難などに関する情報を入手したり、発信したりする手段を確保することが不可欠であります。
このため、警察や消防におきましては、聴覚障害者からの電子メールなどによる通報システムが整備されているほか、区市町村においては、字幕、手話放送や災害時の緊急信号を受信できる情報受信装置の給付を行っております。
また、都は、聴覚障害者が日ごろから準備すべき防災対策や災害時の行動などに関し、既に指針を策定しており、この指針に基づきまして、区市町村が防災行動マニュアルを早期に作成するよう、今後とも働きかけてまいります。
質問4
障害者や要介護高齢者などは、災害弱者あるいは災害要援護者と呼ばれており、日ごろから各自治体がその情報を把握しておくことが必要とされております。しかしながら、先日発表された消防庁の全国調査では、消防防災部局が災害要援護者の状況を把握している自治体は、約二割でありました。東京都でも実態は同様であります。これでは、災害発生時に自治体と防災部局との連携に支障を来すことが懸念されます。
そこで、都は、区市町村に対して、災害要援護者の把握を強く要請すべきであります。また、障害当事者や障害者団体等に対策を十分周知するとともに、具体的対応のあり方についても十分な協議を日ごろから行うべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
答弁4
▼福祉保健局長
災害要援護者の把握などについてでありますが、災害発生時に迅速かつ適切に災害要援護者を支援するためには、区市町村が日ごろから災害要援護者の所在などについて情報を把握しておくとともに、地域における協力体制を確保しておくことが重要であります。
都は、災害要援護者の把握や防災行動マニュアルの策定などを区市町村に働きかけ、安全対策の徹底を図るとともに、災害時における障害者への対応について、障害者団体や民生・児童委員等を通じて周知を図ってまいりました。
今後とも、あらゆる機会をとらえて災害要援護者の防災対策の強化に努めてまいります。
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■心の東京革命 |
質問1
心の東京革命では、心の東京ルールとして、ねだる子どもには我慢をさせようとか、他人の子どもでもしかろうなど、七つの呼びかけを行っています。しかし、この呼びかけがどのぐらい浸透しているかと考えるとき、極めて不十分な実態があります。
多くの人が集まる公共の場において、基本的なルールやマナーを守ることは社会の一員として当然の心得だと思いますが、現在の公共の場でのマナーの実態についての認識を伺うとともに、最も基本的、日常的な生活の現場での人としてのマナーの遵守などの重要性について、知事の率直な見解をまずお聞かせいただきたいと思います。
答弁1
▼知事
人間としてのマナーの遵守の問題でありますけれども、かつて、日本人の精神性には、有名なベネディクトの「菊と刀」にも語られておりますように、恥を忌み嫌う崇高なものがありました。
どうも当節の社会風俗を眺めますと、日本人がそういった観念といいましょうか、精神性といいましょうか、人間のしんにあるものを失うというか、希薄になってきたような気がいたします。これはいろんな諸条件が加わってのことでしょう。結局、家庭においてもそうでありますけれども、親子という大事な人間関係、まして外側では、友人とか企業の中での、組織の中での人間関係というものの連帯感が喪失されて、個人個人のエゴは非常に肥大して、しかし中身は非常に衰弱しているという、そういう兆候のあらわれだと思います。
特に、青少年の公共の場での行動には、もう目を背けるような行動が非常に多くて、問題があると思いますが、ただ、これは何も若い人だけじゃなしに、この間、おもしろい話を聞きましたが、比較的暇な時間の電車の中で、どこかへ出かけていく女の子が隣で何か道具を広げて化粧し出したんで、横に座っているおじさんが、あんた、やっぱり若い女の子が電車の中でそういうことをするもんじゃないよといったら、いいじゃないの、知らん顔していたら、そのうちに携帯電話がかかってきたら、そのおじさんが、あ、もしもしってそこで返事して、(笑声)おじさんだってそうじゃないっていわれて、まあ返す言葉もなかったようでありますが、ルールやマナーの遵守とは、自分が望まぬことを他人に向かって行わないという基本的な控え目な姿勢だと思います。
次代を担う子どもたちに、親と大人が責任を持って正義感、倫理観、人が生きていく上で当然の心得を伝えていくということが必要で、これをあえて心の東京革命とうたって、割と当たり前のことを何項目か挙げて普遍しようと努力をしておりますが、これはもう一部の人たちでできることでもございません。別にその運動に参加する、しないは別にして、我々は、ある人生の経験を経た、人生の先達たちが若い人たちに、人間が人間の社会の中で生きていくための基本的なルールというんでしょうかね、そういったものを折節にわかりやすく教えてやるということが必要だと、改めて痛感する今日でございます。
質問2
最近では、民間でもボランティア団体やNPOなどが子どもたちとキャンプを行ったり、お祭りを実施するなど、地道な活動に取り組んでいます。また、私の知人は、社会活動を営む上で、生きるとはどういうことか、そして生きるために何が必要かということを専門家に任せず、親と子が真剣に話し合って実践すべきだという運動を提唱しております。
今後、都は、心の東京革命のメッセージがより幅広い都民に届くよう、社会的なマナー向上に取り組んでいるこうした団体やNPOとの連携を深めるべきであります。見解を伺います。
答弁2
▼生活文化局長
社会的なマナー向上に取り組んでいるNPOなどとの連携についてでございますが、社会の基本的ルールを子どもたちにきちんと教え、伝えていくためには、都民や関係団体等と協力し、家庭、学校、地域そして社会全体の運動として展開していくことが必要でございます。
このため、心の東京革命では、心の東京革命推進協議会を中心としまして、子ども会など民間団体と協力して、マナーの向上を目的とする、あいさつ運動などに取り組んでおります。
ご指摘の趣旨を踏まえ、今後とも、子どもたちの社会性をはぐくむ活動を実施している団体や、環境浄化活動の実践からマナー、ルールを学ぶNPOなどの民間団体等と連携し、心の東京革命の積極的な普及に努めてまいります。
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■自由が丘地区のまちづくり |
自由が丘地区は、目黒区における最大の広域的商業拠点の一つであり、文化性、ファッション性の高いイメージのまちとして発展してまいりました。こうしたまちのイメージを生かしたまちづくりを進めるため、目黒区では、市街地の整備改善と商業等の活性化を目指し、平成十四年三月に中心市街地活性化基本計画を策定いたしました。
この計画により、平成十四年七月に、地元の商店街振興組合や町会等が主体となり、まちづくり会社、いわゆるTMOが設立されるなど、まちづくりに対する地元の機運が近年急速に高まっています。
こうした状況のもと、現在、目黒区とTMOでは、自由が丘の市街地の整備に向けて、生活道路の整備や自由が丘らしい街並みづくりの形成など、具体的なまちづくり計画の検討が進んでいます。
質問1
このような地元によるまちづくりに対して、都としても大いに支援をしていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼都市整備局長
自由が丘地区のまちづくりについてでございますが、東京の活力や魅力を高めるためには、都心や副都心などに加え、地域ごとに個性的で魅力ある拠点を育成していくことが重要でございます。
都は、自由が丘を、ファッションや文化を発信する魅力と活気あふれる地区として育成するよう位置づけており、地元目黒区においても、駅周辺市街地の整備や、安全で快適な歩行者ネットワークの形成など、拠点整備に向けた検討が進められております。
今後、都は、自由が丘地区のまちづくりの推進に向けて、技術的助言を行うとともに、まちづくり交付金の導入が図られるよう、区の取り組みを支援してまいります。
質問2
こうした自由が丘のまちづくりを促進する観点からも、踏切による地域の分断や交通渋滞の解消が重要であり、早期に踏切対策を検討すべきと考えます。東急自由が丘駅周辺の踏切問題に関する都の認識を伺うとともに、踏切対策についての今後の都の具体的な方針を明らかにされたいと思います。
答弁2
▼都市整備局長
東急自由が丘駅周辺の踏切問題に関する都の認識についてでございますが、自由が丘駅周辺では、大井町線の緑が丘駅から等々力駅までの間に、都道自由通りを含む十七カ所の踏切があり、交通の円滑化や地域分断の解消などが、まちづくりを進める上での課題となっております。
このため、都といたしましては、本年六月に策定いたしました踏切対策基本方針の中で、自由が丘駅付近を、鉄道立体化の可能性を検討していくべき区間として位置づけたところでございます。
次に、踏切対策についてでございますが、鉄道立体化などの検討に当たりましては、沿線のまちづくりと連動させていくことが重要であります。昨年三月に、目黒区及び世田谷区が、踏切対策や沿線まちづくりの推進に向けて、鉄道事業者を含む関係者から成る検討会を設置しており、これまでに、踏切の現状やまちづくりの課題整理などを行ってきております。
都といたしましては、引き続き、この検討会に参画し、沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、関係者とともに議論を重ねてまいります。
質問3
ところで、このような自由が丘を初めとして、都内には歩行者中心のまちづくりを推進する観点から、鉄道立体化を図ることにより、大きな効果が期待できる地域が幾つか存在いたします。こうした都民生活に密着した駅周辺からの都市の再生をも視野に入れたまちづくりを進めるべきであります。幹線道路の整備のみを必要条件とするのではなく、まちづくりの面からも鉄道立体化を進めていく新たな方策も検討すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
まちづくりの面からの鉄道立体化についてでございますが、踏切対策を効率的、効果的に進めていくためには、連続立体交差事業を初め、さまざまな手法を活用していく必要があります。
ご提案の、駅周辺のまちづくりの面から立体化する方策も、踏切対策推進のためには有効な手法の一つであると認識しております。
踏切対策基本方針の中では、駅周辺を局所的に立体化する制度を、新たな取り組みとして掲げております。
こうしたことから、都といたしましては、引き続きこの制度の創設について国に求めてまいります。
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■上目黒の旧国鉄官舎跡地の活用 |
中目黒地区は、最近、渋谷区代官山地区とともに人気スポットとなっております。ヒルサイドテラスを中心とした代官山は、おしゃれなまちとして有名ですが、目黒川に沿ったかいわいも個性的なブティックやレストランが次々と進出し、桜の時期には多くの人が訪れます。また、武蔵野の面影を残す緑と鎌倉街道という歴史的遺産があり、大正時代に建てられた旧朝倉家住宅も、本年十月、重要文化財に指定するよう、文化審議会から答申がされたところであります。
これらの二つの地区の中間、上目黒に旧国鉄官舎の跡地約八千平米の土地があり、都と区が半分ずつ所有しています。この土地を効果的に活用することで、地区間の連携ができ、地域全体の活性化を促し、新しいトレンドが生まれることが期待されます。
そこで伺います。
質問1
跡地活用に際して、民間事業者のノウハウや資金力を生かすことが重要だと思います。都は、これまでも、民間活力を生かした事業を先駆的に実施してきております。旧国鉄官舎跡地の活用においても、これらの成果を生かし、民間活力を導入すべきと考えます。今後、都としても、リーダーシップを発揮して、地域にふさわしい跡地活用の方策を取りまとめ、まちづくりを進めるべきと考えます。
答弁1
▼都市整備局長
上目黒の旧国鉄官舎跡地の活用についてでございますが、当地区は、洗練された商業施設が集積する代官山と、駅周辺の再開発により変貌著しい中目黒の中間に位置し、この地域にふさわしい魅力あるまちづくりを進めるべき地区と考えております。
このため、当該跡地の活用に当たりましては、今後、区とも協議をしながら、民間活力の導入も含め幅広く検討してまいります。
質問2
跡地周辺の、現在目黒区への移管が検討されている都営住宅の敷地及び隣接する民間遊休地を視野に入れた一体的なまちづくりを進めるべきと考えますが、あわせて見解を伺います。
答弁2
▼都市整備局長
跡地活用と周辺のまちづくりについてでございますが、都と区が所有する土地は、敷地の形状などから、それぞれ単独では有効活用することが困難であるため、都は、跡地の一体的活用について区と協議を重ねているところであります。
導入する機能や財産管理の取り扱いなど、解決すべき課題もございますが、都といたしましては、跡地活用の早期具体化に向けて主体的に取り組んでまいります。
また、跡地活用に当たりましては、都営上目黒アパートや周辺の民間開発の動向などを考慮しつつ、周辺のまちづくりにも資するよう検討してまいります。
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■東老連大学校の復活 |
質問1
老人クラブ及び東老連大学校について伺います。
急速に進む高齢化社会において、高齢者が老後も元気に地域において活動を続けることは大切なことであり、その点、各地域における老人クラブの存在は大変に意義あるものと考えます。
東京都では、区市町村を通じて、各老人クラブ及び老人クラブ連合会への活動費の助成を行っているほか、東京都老人クラブ連合会の活動に対する支援も行っています。老人クラブの活性化のために、老人クラブにおける、いわゆる若手高齢者のリーダー養成が重要であり、その点で、連合会がかつて行っていた東老連大学校の活動は極めて重要な意議を持つものでありました。この際、かつて実施されていた大学校の内容と意義を明らかにされたいと思います。同時に、改めて、東老連大学校の復活のための支援を強く求めるものであります。
見解を伺い、質問を終わります。
答弁1
▼福祉保健局長
東老連大学校についてでありますが、本事業は、東京都老人クラブ連合会が若手高齢者のリーダーを育成するため、クラブ運営やリーダーのあり方を内容とする講座などを行う事業で、全国老人クラブ連合会からの助成を受け実施してまいりましたが、平成十四年度で運営を取りやめております。
現在、東京の老人クラブは、高齢者が興味を持てるような活動メニューが少なく、会員数が伸び悩むなどの課題を抱えております。本事業のような場で育成された人材が魅力的な活動を展開することは、高齢者の入会を促し、老人クラブを活性化させる有効な手段の一つになると考えており、お話も踏まえながら検討してまいります。
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