発達障害者への支援を推進せよ ニーズ高い病後児保育の拡充を |
長橋 桂一(公明党) |
■観光振興 |
都は、観光振興プランを平成十三年十一月に策定し、東京への外国人を五年で倍増の六百万人にするという目標を立て、平成十四年四月には産業労働局に観光部を設置しました。国においても、平成二十二年までに同じく一千万人にするという目標を立て、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。
アジア諸国でも国を挙げて国際観光に取り組み始めており、アジアの中でも、観光における都市間競争が激化しております。
一方で、平成二十一年には羽田空港の第四滑走路が完成し、国際空港として生まれ変わります。羽田空港が国際化されれば、世界じゅうから多くの人が訪れます。訪日外国人が増加すれば、国際相互理解の増進のほか、旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による地域の活性化など、大きな経済効果をもたらします。
質問1
私の地元、池袋で十一月に、国土交通省のモデル事業としてオープンカフェが実施されました。歩道にテーブルといすを置き、クラシックやジャズの生演奏、路上アートを鑑賞しながら、憩いのスペースを提供する事業であります。(パネルを示す)これがオープンカフェの模様でございます。これが路上での演奏でございます。もう知事は見ていただいたと思います。
終了後のアンケートの結果は、利用者も、周辺の商店街にも大変に好評でありました。今後も継続的にやってほしいという声が圧倒的に多く、まちの景観や魅力の向上とともに環境浄化にもつながり、さらに、散歩や買い物などの途中、道路上で休憩できるなど、道路の新たな有効利用として高い評価を得ました。高齢者の方にこの話をしましたら、引きこもりがちな高齢者にとって、道路に休憩場所があることは、外へ出たくなるといわれました。
このオープンカフェは、既に丸の内で、東京都も主催者の一員として、五月と九月に開催され、同じく大好評でありました。街路空間の有効利用策として、パリやニューヨークなどではサイドウオークカフェの条例が整備され、都市の魅力を高めています。
そこで、第一に、オープンカフェ事業など地域での取り組みが、千客万来の世界都市東京を目指す都の観光振興にとって有益であると考えますが、知事の所見を伺います。
答弁1
▼知事
観光振興における地域の取り組みについてでありますが、東京には、歴史、文化、産業など、地域地域を売り出す観光の資源が数多く存在していると思いますけど、なかなかそれがうまく活用されていないうらみもございます。
今、オープンカフェとかライトアップという発想を提案されましたが、既にオープンカフェなどはあちこちでやっていまして、これはなかなか人気があるんですよね。私がよく通うテニスクラブの手前に、広尾ですか、こんなところで、この道路っ端で、狭い道路にいすを並べて、ここでお茶を飲んで、何が気持ちいいのかなと思うんだけれども、何となく外気の中でお茶を飲むのがいいのか、随分はやっていますが、あちこちにありますけど、これも、後ほど申しますけれども、先ほどの質問にも関連ありますが、隅田川のような川っぺりの護岸の上にそういうテラスを設けたりすれば、本当にすばらしい開放的なテラスになると思うし、カフェになると思います。
例えば博多などは、水道からガスまで来ている、あの有名な屋台の町がありまして、安くておいしい、本当に名物になっておりますけれども、いずれにしろ、こういった地域地域の発想を生かした取り組みは、東京全体から見ても、それぞれ魅力のある空間を創出して、つなげていく手法として、極めて有効だと思います。
こうした取り組みと埋もれてしまっている観光資源との結びつきがうまくできましたら、東京の新しい魅力の創造につながっていくと思います。
私もあちこち東京を歩きますけど、やっぱりこれは、地元の方々がもう一つ工夫しようという創意があって初めて地域が生きてくるんでありまして、そういう点では、今後も、長橋さん以下、議員の方々、それぞれの地域で、ひとつそういう発想でご努力願いたい。逆にお願いする次第です。
質問2
第二に、観光振興を強力に進めるためには、全庁挙げた取り組みが重要であります。例えば各局のホームページに観光に関するページを新たに開くなど、都の観光施策の情報発信の面でも、各局の連携を強化すべきであります。公園や河川を管理している建設局、港湾の活性化を検討している港湾局、文化施設を管理している生活文化局、都市交通を所管している交通局など、すぐれた観光資源を有する各局と産業労働局とが連携をとり、これらを広くアピールすべきであります。
また、地域でのさまざま主体的取り組みが進められておりますが、地元豊島区では、文化芸術創造都市に向けて、十二月の八日、昨日、地域再生計画の認定を受け、オープンカフェ事業を含む文化芸術振興を進めていくことになっております。
そこで、都は観光の視点から、このような公共施設や公共空間を利用してにぎわいを創出する事業に対して、各局が連携し、まずは特区やモデル地区を指定するなど、規制緩和を含む支援を積極的に進めるべきと考えます。こうした各局連携による観光施策の推進について所見を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
各局連携による観光施策の推進についてでございますが、にぎわいの創出に向けた地域の主体的な取り組みに対し、課題となります規制の緩和などや、観光に関する都の施策の情報発信などにつきまして、各局と連携を図っていくことが重要であると認識しております。
こうしたことから、各局の事業を観光の視点からとらえ直し、効果的に連携するため、このたび庁内に観光施策連携推進会議を設置したところでございます。この会議体をてこに、各局との連携を一層強化し、東京の魅力の向上に向けた施策の展開に取り組んでまいります。
質問3
第三に、東京の観光の魅力を高めるには、観光施設の整備だけではなく、観光客を迎える地元地域の主体的な取り組みが重要であります。
そこで、各区市町村の観光協会同士が集まり情報交換をし、課題の解決に向け連携する場が必要と考えます。各観光協会も横の連携を強く望んでおります。
さらに、各県の観光協会と連携を図ることにより、地方と都市との交流を通して広域的な観光振興が可能となり、東京の魅力を一層拡大することができます。都は観光振興のため、各区市町村観光協会の連合会の組織づくりを進めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁3
▼産業労働局長
各区市町村の観光協会についてでございますが、現在、都内に四十三ある観光協会が相互に連携、協力して、広域的な視点から観光振興を図ることは、東京全体の魅力の向上はもとより、地域の活性化にとっても極めて重要であると考えております。
各地の観光協会の連携推進役といたしましては、観光情報や外客誘致のノウハウを持つ、都の監理団体でもございます東京観光財団が担うことが適切であると考えております。
都といたしましては、区市町村の観光部門との連携をさらに強化するとともに、各地域の観光協会が相互に連携、協力し、都全域の観光振興に資するよう、東京観光財団を指導、育成してまいります。
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■発達障害者対策 |
次に、自閉症対策について伺います。
自閉症とは、千人に一人から二人以上生まれる発達障害の一つだといわれています。人や物に変わったかかわり方をしたり、大人や同年代の子どもとのコミュニケーションがうまくとれなかったり、あるいは、興味や関心が非常に偏っていて、同じことを繰り返したがる特徴を持っています。
特に近年話題になっている高機能自閉症、アスペルガー症候群については、知的な発達のおくれを伴っておらず、その障害や支援に対する理解を得ることが大変困難であります。手帳取得など、法制度上の支援がほとんど皆無であるのが現実であります。
無理解、無支援の中で苦しんできた障害者や保護者の方々が心から待ち望んでいた発達障害者支援法が、我が党の推進により十二月三日成立をしました。いよいよ発達障害者への支援が具体的に大きく前進することが強く期待されます。
文部科学省が担任教師の回答をもとにまとめた調査によりますと、知的障害はないものの、学習面や行動面で著しい困難を持っているとされる児童生徒は、通級学級で六・三%に上るとの結果が出ております。都も、教育委員会が同じ調査を公立の全小中学校生に行い、四・四%、約三万三千人の児童生徒に問題があることが明らかになりました。こうした発達障害者への支援に対して、専門家の育成や発達障害者支援センターなど、都道府県における体制整備が急務であります。
質問1
そこで、第一に、おくれている発達障害者への支援策について、都の認識を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
発達障害者への支援に対する認識についてでありますが、自閉症や学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害は、対人関係や行動面、学習面で社会的に不適応を起こす障害でありますが、これまでは法律上の明確な規定がなく、社会的な認識も不十分で、また、発達障害にかかわる専門家も少なく、地域における関係者の連携が十分でない状況であります。
都としては、このたびの法の成立を踏まえ、発達障害者の実態把握とともに、区市町村や関係機関との連携による発達障害の早期発見、早期療育など、地域における支援体制の確立が重要であると認識しております。
質問2
第二に、自閉症・発達障害支援センターの整備についてであります。
全国で十九カ所のセンターを、来年は三十六カ所にふやすとしていますが、設置する単位は、都道府県と各政令指定市に一カ所となっています。政令指定都市のある道府県では複数のセンターを設置できますが、人口の最も多い東京には一カ所しか設置できません。
先日、世田谷にある都内唯一の自閉症・発達障害支援センター「トスカ」に視察に行ってまいりましたが、わずか四人の職員で全部をカバーするため、大変にご苦労されていました。都は、早急に自閉症・発達障害支援センターの増設、拡充を図るべきであります。見解を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
自閉症・発達障害支援センターについてでありますが、都は平成十五年一月に自閉症・発達障害支援センターを開設し、自閉症などの発達障害者本人やその家族を初め、福祉施設職員などさまざまな関係者からの相談を受けるとともに、療育支援などを行っております。
この支援センターは、発達障害者に対する支援を行う拠点として、国の補助を受けて、各都道府県や政令指定都市が一カ所ずつ整備を行うものであります。
都は今後、本支援センターを中核として、区市町村単位で学校、医療機関、就労支援センターなどから成るネットワークを構築することにより、発達障害者が身近な地域で総合的な支援を受けられるよう取り組んでまいります。
質問3
第三に発達障害の早期発見、早期支援についてであります。
全国唯一の小児精神科専門病院である都立梅ケ丘病院を視察してまいりました。自閉症を診断できる専門的医療機関が絶対的に不足しているため、初診の申し込みをしてから実際に診察を受けるまでに、年単位で待たなければならない状況にあります。それでも担当の医師は、多いときには一日八十人以上の自閉症児などを診察してまいりました。
こうした状況を改善するため、身近な保健所の保健師や保育園の保育士、あるいは区市町村や児童相談所で相談に当たる職員等に、発達障害の研修や訓練を実施すべきであると考えますが、所見を伺います。
答弁3
▼福祉保健局長
健診などを行う職員の研修等についてでありますが、発達障害の早期発見、早期支援には、ご指摘のように、健診や相談に当たる職員が障害を正しく理解することが極めて重要であります。
都はこれまで、母子保健研修の中で保健師や保育士などを対象に発達障害をテーマにした研修を実施しており、また、自閉症・発達障害支援センターにおいても、区市町村や児童相談所、福祉施設などからの研修の要望に対応してまいりました。
今後は、これまでの支援センターや保健所などにおける相談事例や支援の実績を十分検証した上で、研修内容の充実とともに体系的な研修を実施してまいります。
質問4
第四に、教員、保護者への啓発であります。
現在、自閉症児はクラスに必ず一名、二名はいます。したがって、通級指導学級を含むすべての教員に対する研修を行い、理解を深めるとともに、保護者に理解、啓発を図るべきであります。所見を伺います。
答弁4
▼教育長
発達障害に関します教員研修と保護者への理解、啓発についてのお尋ねでございますが、自閉症などの発達障害のある児童生徒の教育を充実させるためには、教員研修の充実や保護者に対する啓発などを積極的に進めていくことが大切でございます。
このため、都教育委員会としましては、発達障害に関する講習会を実施しましたり、都内公立学校のすべての教員にリーフレットを配布したりするなど、教員の研修の充実に努めておりますが、今後は、お話のように、特別支援教育推進計画に基づき、発達障害に関する新たな研修の実施や、保護者会等でのリーフレットの活用による啓発などを通しまして、学校と家庭が一体となって、発達障害に関する教育の一層の充実が図られるよう支援を行ってまいります。
質問5
第五に、発達障害者への就労支援についてであります。
生きがいを持って社会参加を果たすために最も重要な支援は、就労支援であります。ノーマライゼーションの理念に基づいて、働きがいのある雇用の場を確保すべきであります。見解を伺います。
答弁5
▼産業労働局長
障害者の働きがいのある雇用の場の確保についてでございますが、障害者の雇用を推進するに当たっては、その能力や特性に応じて雇用の機会を確保するとともに、働きがいのある職業生活を送れるよう環境を整備することが重要であると認識しております。
発達障害者の就労支援につきましては、発達障害者支援法の成立を受けた国の動向を踏まえ、ハローワークを初めとする就業支援機関や、医療、福祉、教育分野の関係機関と十分に連携し、対応を検討してまいる必要があると考えております。
さらに、早期発見のための支援策について一点要望いたします。
現在、区市町村は、一歳六カ月健診、三歳児健診を行っておりますが、軽度の自閉症は、この年代で発見することは困難であります。そこで、就学前、早期に自閉症を発見し、適切な支援、治療等を行うために、新たに五歳児健診を導入すべきであります。
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■病後児保育 |
安心して子どもを産み育てられる環境には、病後児保育事業の拡充が重要であります。例えば豊島区で行った聞き取り調査で、子育てをつらく思うときはとの問いに、回答が最も多かったのは、子どもが病気で会社を休まなくてはならない場合でありました。
都は、平成十二年策定の福祉改革推進プランにおいて、病後児保育を平成十六年度までに八十カ所で実施するとしていますが、いまだ一カ所もない区市が多数あり、保護者のニーズにこたえられていないのが実態であります。
質問1
そこで、第一に、病後児保育事業の実施状況と認識について伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
病後児保育事業の実施状況についてでありますが、平成十五年度実績では二十九区市において三十八カ所でありましたが、今年度は三十二区市、四十五カ所の実施が見込まれており、過去五年で約四倍に施設がふえるなど、着実に整備が進んでいると認識しております。
質問2
第二に、病後児保育事業は安定した利用が見込みにくいなど、採算面で運営が厳しく、事業者の参入がなかなか進まないのが実態であります。しかし、全国で最も要望が多く、ニーズが高いのが東京であります。病院や事業所内の保育施設などを活用し、行政が率先して事業を拡大していくべきであります。見解を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
病後児保育の拡充に向けた取り組みについてでありますが、病後児保育のニーズが高いことは都としても認識しておりますが、本事業には、安静室などの専用スペースが必要であることや、容体が急変しやすい児童を預かる困難性など、事業実施に当たっての課題がございます。
このため、都においては、今年度から、事業を開始する際の改修費を補助するとともに、民間保育所に対するサービス推進費補助の努力加算項目に病後児保育の実施を加え、事業の推進に努めております。
今後、利用実態の検証を行い、実施主体である区市町村が地域の実情に合わせて事業に積極的に取り組んでいけるよう働きかけてまいります。
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■環状第五の一号線 |
質問1
私の地元豊島区では、平成十九年度完成予定の環状五の一号線の整備が進んでおります。既に用地は九〇%を取得し、工事も一〇%進捗しております。また、地下鉄十三号線も同じく平成十九年度開通に向けて工事が進んでおります。都は平成八年五月に、環状五の一号線の道路整備計画のあらましを公表いたしました。それによりますと、地下鉄十三号線の導入空間として期待も高いので、早期整備を図るとし、さらに、将来、地下四車線道路を整備するとしています。
地下道路が整備されなければ、池袋駅前の渋滞は解消されません。地上部だけの整備では、明治通りに接続しないため、池袋から新宿に向かう車が千登世橋周辺で大混乱を起こすことが予想されます。したがって、この地下道路は池袋副都心の再生に大きく関係し、何としても整備しなければならない道路であります。整備日程が迫っている今、今後の方針を早急に明らかにすべきであります。見解を伺います。
答弁1
▼建設局長
本路線は、池袋、新宿など副都心の連携強化や、池袋駅東口周辺の渋滞緩和に寄与する重要な幹線道路でございます。特に雑司が谷地区は、地下鉄十三号線の導入空間として整備が急がれることから、平成十年度に目白通りからグリーン大通りまでの区間を二車線で事業化し、現在、用地取得を進めております。
本路線の幹線道路としての機能を確保するためには、グリーン大通りや千登世橋付近での明治通りとの接続方法など解決すべき課題が多々あり、今年度末を目途に、現在、その検討を行っております。
今後、この結果を踏まえ、課題を整理した後、地元区など関係機関と調整してまいります。
質問2
あわせて、環状五の一号線の周辺である南池袋二丁目地区は、池袋駅から七百メートルと近くにありながら、小規模な敷地や狭隘な道路が多く、小学校跡地や駐車場などの大規模な低未利用地があり、防災や環境の面から整備が求められています。現在、整備が進められている環状五の一号線の開通に伴って大きくさま変わりするこの地区の今後のまちづくりの方針について所見を伺い、私の質問を終わります。
答弁2
▼都市整備局長
環状第五の一号線が計画されている当地区は、池袋副都心に隣接するとともに、防災都市づくりの重点整備地域に位置づけられており、環五の一の整備と一体となった安全で快適なまちづくりが求められております。
このため、当地区では、まちづくりへの地元の合意形成に向けて、地域特性に応じた建築ルールと規制緩和策を事前に示すことのできる、しゃれた街並み推進条例に基づく街区再編まちづくり制度の活用を考えております。
現在、本制度による街並み再生地区の指定につきまして豊島区と調整を行っており、本年中の指定を目指しております。
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