今や東京の震災対策の見直しを 海洋都市・東京構想を提言する |
中嶋 義雄(公明党) |
■三位一体改革 |
質問1
都議会公明党を代表して質問いたします。
最初に、地方分権、いわゆる三位一体の改革について質問いたしたいと思います。
十一月二十六日、政府・与党の合意により改革の全体像が明らかにされました。しかし、その内容は、既に繰り返し報じられているとおり、国庫補助負担金の削減額の積み上げを優先した、数合わせの印象が否めないものであります。
元来、この三位一体の改革は、財政的裏づけを確保した地方分権の達成が目的であり、その地方分権が目指すものは、自治体の自立性を高めて、ニーズに的確に対応した行政サービスを提供し、国民生活の真の豊かさを実現することにあります。
そこで、まず第一に、このような分権改革の本来の目的に照らして、今回の改革の全体像に対する知事の所見を伺います。
答弁1
▼知事
いわゆる三位一体改革についてでありますが、今回の改革の本来の目的は、国による画一的な規制を排除し、おっしゃるとおり、地域の実情に応じて住民が真に求めるサービスを自主的、効率的に提供できる仕組みをつくることにあったはずであります。しかし、国が決定した全体像なるものは、地方の自主性を高めるにはほど遠い内容としかいいようがないと思います。数字合わせの国庫補助負担金の削減や交付金化では、分権にはとてもつながりません。
また、全国知事会の議論など見ていますと、それでもいいんだ、とにかく金が欲しいんだというような論もありまして、結局、自治体を預かる者の志の問題だと思いますけれども、やっぱり日本の大きな歴史の流れを眺めて、この問題、私は、できれば大きく仕切り直しをすべきだという気がいたします。
税源移譲により地方が実施することになる事業について国がチェックする仕組みを導入するに至っては、改革の本旨を全く理解していないというしかないと思います。
今必要なのは、自治体の営みの総和が我が国全体の発展を支える国の形を実現することでありまして、初心に帰って仕切り直しを行うことが私は好ましいのではないかと思っております。
とにかく、迂遠であろうと、まず、この時代に国はどこまでやるか、地方は何をやるかという大きな仕切りというものを国民的な討論で決める、その代表が決めるということ、そこからこの問題は始まらなくちゃいけないのに、いきなり三兆円というお金の額が出て、しかも、それが義務教育の国庫補助の削減という、非常に乱暴な第一案となって出てきて、まさに最初から手順が違っていたのではないかと思います。
質問2
さらに具体的にいえば、義務教育にかかわる補助金削減は、自治体の自立性の向上に無関係である上に、公教育の水準維持に逆行する危険性が指摘されており、国民健康保険の都道府県への負担転嫁は、国のご都合主義と厳しく指弾されております。また、協議事項として先送りされたとはいえ、生活保護費国庫負担金の削減は、国としての責任放棄にほかなりません。
住民生活に直結する行政サービスを犠牲にするような改革は、そもそも改革の名に値いたしません。今後、地方分権改革を進めていく上で、社会保障制度はあくまでも国政の基盤にかかわる課題であると考えておりますが、知事の所見を伺いたいと思います。
答弁2
▼知事
社会保障のあり方についてでありますが、生活保護や国民健康保険などの社会保障サービスは、国民生活の基盤を支えるものでありまして、本来は国が財政責任を負って行うべきものだと思います。しかし、今回の全体像では、こうした根本的な議論も全くないままに、ただ、いきなり削減の対象とされた。それも、ほかがごたついたために、一つの代案として引っ張り出された。
そもそも社会保障については、平成十八年度までに制度全般にわたる一般的な見直しを行うことが既に約束されているはずであります。今回の国庫負担金の削減と全体的な見直しの関係は一体どうなっているのか、さっぱりわからない。
繰り返して申しますけれども、改めて仕切り直しをしてでも、国と地方の役割分担を明確にしていくような本質的な議論から始まるべきだ。それなくして本当の改革はあり得ないと思っております。
|
■都の税財政問題 |
質問1
最近発表された経済指標では、我が国の企業収益は改善を示し、雇用についてもおおむね回復基調にあります。こうした景気の回復は、財政再建を進める都財政にとっても追い風であり、税収にもプラス効果があるはずであります。
まず、現状での都税収入の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
答弁1
▼主税局長
本年度の都税収入の見通しについてのご質問でございますが、本年九月までの上期の都税収入実績は、前年同期と比べ、約千六百億円の増収となっております。これは大企業の製造業を中心に企業収益が大幅に改善していることを反映し、法人二税が堅調に推移しているものでございます。
今後の税収見通しにつきましては、十一月末の中間申告状況等を見きわめる必要がございますが、現時点で確たることを申し上げる状況ではありませんが、最近の企業収益などの状況を勘案しますと、当初予算額を相当程度上回る税収が期待できるものと考えております。
質問2
いうまでもなく税収の伸びは、東京の再生を図り、都民生活の向上を目指す上で歓迎すべきことであります。しかし、現状では財政再建の手を緩めるわけにはまいりません。従来から繰り返し指摘されているように、都財政にはいまだ約一兆円もの隠れ借金が存在いたします。税収の増額は、こうした隠れた負債の解消を図り、都財政の体力を回復させるチャンスでもあります。
いずれにしても、都税収入の落ち込みが継続した過去数年間とは大幅に異なる環境の中で、今まさに来年度予算編成の大詰めを迎えております。相矛盾する要請を抱えながらの予算編成になるわけでありますが、都民の負託にこたえることができる予算編成の方針について、都の見解を伺います。
答弁2
▼知事
十七年度予算編成についてでありますが、都財政を取り巻く環境は、企業業績の上向きを受けて、税収の回復が期待できますものの、景気の行き先や三位一体改革の影響などを考慮しますと、決して楽観はできない状況にあります。また、都財政は、一兆円を超える隠れ借金──これはなかなか外から見えにくいものでありまして、議会の当事者とか、行政の当事者しかわからない。だから、外から見れば、東京はもうかっている、景気がいい、うらやましいという話になりますが、実は、皆さんよくご存じの隠れ借金を抱えるなどして、依然として危険な厳しい状況が続いているわけであります。
来年度、都税がたとえ増収となったにしても、これを改革の好機ととらえて、都財政の体力回復に努めるとともに、第二次財政再建推進プランに基づきまして、財政構造改革に取り組むことが不可欠であると思っております。
同時に、福祉、医療の充実や治安の回復、災害対策、中小企業の支援など、都政の喫緊の課題に対して重点的、効率的に財源を配分し、積極的に対応する必要があると思っております。
十七年度予算編成に当たりましては、こうした考え方に立って都民の負託にこたえていきたいと考えております。
質問3
また、行財政改革がおくれている原因の一つは、いうまでもなく行政の会計制度の欠陥であります。明治以来の単式簿記、現金主義を基本とした現在の公会計制度が、多くの財政問題への弾力的な対応を阻害していると指摘されております。複式簿記、発生主義による企業会計的な会計制度への抜本的な制度改正が不可欠であります。
現在、我が党の提案を受け、また知事の強い指示があり、都は新たな会計システムの構築に向けて努力していると聞いております。公会計制度の改革の目的は、予算の単年度主義を超えて事業達成の道筋を明らかにする一方、その達成度を客観的に評価することにより、財政の客観性と効率性を明らかにすることであります。バランスシートや行政コスト計算書などの作成は、その手段の一つにすぎません。事業目的に即した複数年度予算の編成を実現して初めて公会計制度の改革は完結いたします。
国においても、現在、複数年度予算導入に向けた検討が始まっております。もちろん現状では法令上の制約があり、直ちに複数年度予算を導入できるわけではありませんが、バランスシートなどを活用した事業の計画的な管理を行えば、複数年度予算と同等の効果を上げることが可能であります。これは国に先鞭をつける取り組みとなり、都も早期に試みるべきであります。所見を伺います。
次に、大きな課題となるのが職員の意識改革であります。
元来、日本では、会計制度の重要性に関する認識が薄弱でありました。広く職員の会計制度に関する認識を改めない限り、改革は達成できません。新たな制度の導入まであと一年余りとなった今こそ、当初より強い問題意識を持っていた知事が先頭に立ち、職員の意識改革を促して、公会計制度の難事業の達成を目指していくべきであります。改めて知事の見解を伺います。
答弁3
▼知事
公会計制度におけるバランスシートの活用についてでありますが、これは私もかねて申し上げている持論でありまして、知事に就任して真っ先に感じたことは、どうも行政には、国も都も、どこもここもみんな役所というのはそういうものでありますけれども、金利感覚、時間、コストの感覚が非常に乏しい。それから、行った、自分が手がけた事業が、例えばある瑕瑾を生じたときに、一体だれがそれを保険、保障するか、どういう責任を負うかという、そういう責任のメカニズムが非常にあいまいであります。
ということで、私は、経営感覚という民間企業では至極当然の意識を都庁に持ち込んで根づかせたいと思いまして、国に先駆けて、その一つの助長方式であります複式簿記・発生主義の考え方を取り入れ、かつての公認会計士協会の会長の中地さんにもお願いして、あのチームで、機能するバランスシートという非常にわかりやすい会計の発想法をつくっていただきました。これを適用して、既に成果を上げつつあると思っております。
都の公会計制度改革は十八年度から本格実施となりますが、そこでお話にもあったように、主要な事業についてバランスシートを作成しまして、これを目標の達成状況のチェックに活用すれば、単年度予算の弱点を実質的にカバーして、複数年度の計画的な事業管理や予算の効率的な執行などに役立つと考えておりまして、積極的に取り入れ、運用していきたいと思っております。
また、公会計改革の達成に向けての取り組みについてでありますけれども、ご指摘のとおり、会計制度をいかにドラスチックに変えても、実際の行政を担う職員の一人一人が、これまでなじんできた、いわゆる単式簿記的発想を変えなければ、目に見える成果が上がってこないわけであります。せっかくの改革が仏つくって魂入れずにならないように、先ほど申しました金利感覚、時間、コストの感覚、それから、保険、保障というものに対するシステム、そういったものを着実に付与して、職員には相当の意識改革をしていただく必要があると思っております。
私が先頭に立ちまして、公会計制度改革による都の構造改革を推進し、東京から新しい公会計のモデルを発信していきたいと思っております。
|
■新銀行東京 |
質問1
知事は、所信表明におきまして、資金繰りに困窮する中小企業の期待にこたえて、新しい再生ファンドを立ち上げ、順次事業を展開すると述べました。東京都が創設する新銀行は、まさに中小企業を支援することが本来の使命であります。ぜひとも効果的な事業を積極的に実施すべきであります。
そこでまず、この再生ファンドの持つ企業再生の手法を具体的に示していただきたいと思います。
あわせて、再生ファンドと連携する地域金融機関にとってのメリットを明示するとともに、新銀行再生ファンドの規模について、将来的な見通しを含めて明らかにしていただきたいと思います。
以上、都の所見を伺います。
答弁1
▼新銀行設立本部長
初めに、企業再生の手法についてのお尋ねでございますが、新銀行ファンドは、まず、当該企業の経営不振の分析などを行い、再生可能性を見きわめた上で、資金繰りの改善や不要な資産の売却、新たな市場の開拓などを内容とする再生計画を策定し、企業を解体することなく再生が可能な環境を整えてまいります。
また、豊富な経験を有する提携企業、公的団体などとの連携により、経営コンサルティングなど、企業の経営力全般のレベルアップについても幅広く取り組んでまいります。
さらに、地域金融機関が債権者として残り、これと密接に連携して企業の再生を図る新たな方式も実施してまいります。
次に、地域金融機関にとってのメリットでございます。まず、再生ファンドに債権を売却することによる一般的なメリットとして、地域金融機関の不良債権処理を促進し、みずからの財務体質の強化を図ることができます。
また、新銀行ファンドならではのメリットとして、地域金融機関が、一部債権を保有することにより、引き続きその取引先の再生に取り組み、必要に応じて追加的な経営支援策を選択するなど、実情に応じた対応が可能となることから、従来の信頼関係を維持するとともに、企業再生の確実性が一層高まることが期待できるものでございます。
最後に、再生ファンドの規模についてのお尋ねでございますが、これは匿名組合契約の中で全体の枠として出資上限額を定め、実際に債権を買い取る際に、買い取り価格に応じた額の出資を行うものでございます。平成十六年度は、出資上限額として、新銀行が十億円、その他の金融機関が十億円で、合計二十億円程度の出資を見込んでおります。
平成十七年度以降、事業を順次展開していく中で、買い取り債権の状況に応じ、この出資上限額をふやしていく予定でございまして、段階を経て、将来的に二百億円程度の規模を確保したいと考えております。
|
■震災対策 |
質問1
まず初めに、新潟県中越大震災の被害者の皆様に、衷心よりお見舞いを申し上げたいと思います。
さて、この新潟県中越大震災は、大きな衝撃をもって受けとめられました。公明党は、発災直後から、支援、調査のために、神崎公明党代表を初め議員を派遣し、私も調査団の一員として、十日町市や小千谷市、震度七を記録した川口町などを訪れました。
特に印象的だったのは、川口町の田麦山地区であります。集落の家屋がすべて倒壊し、中には、百九十年前に建設されて以来、幾度もの災害に耐えてきた頑丈な民家が一瞬にしてつぶされた例もございました。住民が助かったのは、恐らく柱や、はりが太く、人がはい出る空間が残されたためだと思われます。
また、直径一・五メートルもある庭石の周囲の土が十センチ以上も盛り上がっており、どう考えても、庭石が地震の振動で空中に飛び上がり、落下したとしか考えられません。すさまじいの一語に尽きます。こんな地震が東京を襲ったらと、まさに身の毛のよだつ思いがいたしました。
今や早急に、阪神・淡路大震災はもとより、今回の新潟県中越大震災の教訓を生かして、東京の防災対策を見直すべきであります。新潟で火災の発生が少なかったのは、どんなに住民からの要請が強くても、電力会社が各家庭のブレーカーのオフを確認しない限り送電を開始しなかったためであります。これはまさに阪神・淡路の教訓にほかなりません。
そこで、多くの教訓を総括して申し上げれば、地震の第一撃で家屋倒壊による圧死者を出さない、あるいは地震の第一撃で建物倒壊による火災を発生させない、これが重要であります。ここに焦点を絞って、住宅の耐震化、不燃化を急速に進める必要があります。
屋根のふきかえなどを含む本格的な改修となると、数百万円単位の費用がかかります。これでは、たとえ補助が出たとしても、高齢者世帯などは二の足を踏みます。従来の国の耐震助成が普及しなかったのは、ここに原因があります。
先日、都議会公明党は、防災に力を入れている新宿区早稲田の商店街の代表と懇談をいたしました。そこでの話題の焦点は、人命を守ることに焦点を絞った耐震改修であります。ボランティアで参加している専門家がまとめた資料には、さまざまな専門業者が提案している数万円から数十万円までの耐震補強工事のサンプルがあります。
例えば、天井と壁を壊さず、その間の空間を利用して、金属や耐震ボードで剛性を高める工事があり、工期は半日で、費用は二十万から二十五万円。また、外壁部の一部に開口部をあけ、壁内部に金属性の筋交いと引き抜き防止装置を設置する工事、これは工期が二、三日で、費用は約百三十万円などと、補修のタイプ別に数十例が挙げられております。
こうした工事を家屋や地域の特性に応じて選択し、そこに国や都、自治体から補助が出れば、多くの都民が耐震改修に着手できます。地震の第一撃から人命を守り、火災を発生させないため、早急に助成制度を導入して、個人住宅の耐震化を推進すべきであります。
従来から指摘されてきた改修工事の施工に伴う一般耐震診断への補助、耐震改修工事に対する助成、国でも現在検討中の耐震改修費用に関する税の優遇措置などを含め、知事の所見を改めて伺いたいと思います。
答弁1
▼知事
住宅の耐震化への支援についてでありますが、今回、特に比較的東京に近い新潟のあの惨状を見まして、改めてあの悲惨さに他人事でないという実感を都民の皆さんは持たれたと思いますが、住宅の耐震改修については、いうに易しく、また、その被害を受けやすい住宅に住んでいらっしゃる方々もよくわかっていらっしゃるんでしょうが、ここには来まいという、そういう楽観が蔓延しているようですけれども、しかし、新潟もかなりの被害を受けましたが、東京もいわゆる木造密集地帯、木密地帯というものがあちこちにありますし、これほど過密な大都市もないわけであります。
先般、二、三年前ですか、鳥取県に関東大震災並みの地震が来ましたけど、死者が一人も出ない。つぶれた住宅は何軒あったか、被害はあの程度で済んだというのは、つまり、そういういい方も失礼かもしれないが、過疎の田舎と大都市がいかに災害に対して違うか、弱いか強いか、そういうことの如実な対比だったと思います。
住宅の耐震改修については、国において減税などの支援策を検討していることは承知しておりますけれども、震災対策の基本は、自助、共助、公助という原則で進められるべきものでありまして、都としては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域などの整備改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発などによって、住宅の安全確保に努めてもまいりました。今後とも、首都東京の安全性を一層高めるため、ソフト、ハードの両面から取り組み、災害への備えに万全を期したいと思います。
繰り返して申してきたことですが、日本は、世界最大の火山脈の上にあります。世界に現存する八百の活火山のうち八十五が日本にある。しかも、日本のすぐ東側の海底には、これは日本人の発見によったものですけれども、ある緯度からアラスカに上陸するまで、神武、綏靖、安寧、懿徳といって、徳川時代のある天皇の名前まで、数十の名前のついた海底火山が現に海底で火を噴いている。そういう国土に住んでいるわけでありまして、地震が来ないのがおかしいような話でありますが、私は、そういう認識を国全体が持ち直して、一種の年金のような──しかし、地震保険というのは現にありますが、非常に高くてなかなか入りにくい。そういうものでなくて、国が、つまり年金に似た形で、半強制というんでしょうか、ともかく何か互いに支え合って、いざというときに活用できるみたいな、そういうシステムというものを地震に対する保障として考えるべきではないかと思っております。
質問2
都は、来年一月に、我が党提案による耐震フォーラムを開催する予定ですが、そこでも、わかりやすいパース等を活用して、これらの耐震手法を展示し、都民への周知を図るべきであります。そのほか、耐震工法の普及について局の所見を伺います。
答弁2
▼都市整備局長
耐震フォーラムの開催と耐震工法の普及についてのお尋ねでございますが、近年、耐震改修につきましては、コストが低く工期が短いなどの面ですぐれた工法が開発されております。これらの工法について、その性能を公益法人により技術評価する制度がこのたび開始されたところであります。
都といたしましては、各工法の概要や評価内容について耐震フォーラムで紹介するとともに、ホームページやパンフレットなどで広く都民へ情報提供するなど、耐震工法の普及に努めてまいります。これらを通じて、住宅の耐震化をより一層促進してまいります。
質問3
今回の地震では、震度四から六クラスの余震が何日間も繰り返し発生いたしました。都の防災計画では、震度六の余震が繰り返し発生するなどという事態は一切想定しておりません。前提が変わった以上、対策の軸となる被害想定を見直すべきであります。
大都会東京で新潟のような地震が起きたら一体どうなるのかとの都民の不安を抑えるためにも、地域防災計画や被害想定などの総点検、見直しを早急に進めるべきであります。見解を伺います。
答弁3
▼総務局長
まず、地域防災計画や被害想定の総点検、見直しについてでございますが、都はこれまでも、阪神・淡路大震災等、過去の震災の教訓や被害想定に基づきまして、地域防災計画を見直してまいりました。平成十五年度には都民協働、広域連携、危機管理強化を主な柱といたしました修正をいたしました。また、平成十五及び十六年度には、東海及び東南海、南海地震に係る地域指定を踏まえた計画を新たに追加いたしました。
今後、新潟県中越地震の教訓や、今年度中に発表予定の、国の首都直下地震対策専門調査会による想定結果をも踏まえまして、地域防災計画、被害想定の見直しについて検討してまいります。
質問4
次に、避難の体制です。
新潟では約十万人の避難者でしたが、東京では約二百十万人が予想されております。ところが、東京では、大量の仮設住宅を設置できるスペースは限られております。また、一時避難場所である小中学校での長期の避難生活は、精神的、肉体的な健康の観点、また学校の再開の問題とあわせて、困難な側面があります。
そこで、一つのアイデアは、国内各地との避難協定の締結であります。実は、これも既に早稲田商店街で実施されております。希望者は年間五千円を支払い、みずから選んだ地方と疎開契約を結び、いざというときには、そこで疎開生活を営めるというシステムであります。
都内各自治体では、さまざまな地域と協定を結び、交流事業を行っております。そうした関係を活用し、高齢者や児童あるいは障害者、いわゆる災害弱者の避難場所を確保する努力が必要であります。自治体、商店街、町会、NPOなどの取り組みを促し、支援するシステムを検討すべきであります。見解を伺います。
答弁4
▼総務局長
避難体制についてでございますが、都は、災害時には、避難所生活の長期化を避けるため、公的住宅や民間住宅の空き家の一時的な供給及び応急仮設住宅の建設に努めますとともに、復旧復興には地域住民主体の活動が不可欠でありますことから、復興市民組織の育成に取り組んでいるところでございます。
また、八都県市を初めといたします相互応援協定を締結し、他県市の公共住宅の確保にも努めております。
災害要援護者の避難生活におきましては、とりわけ住民が助け合う共助が重要であります。今後、区市町村と連携し、お話の仕組みなど、さまざまな取り組みについて都民の選択の幅が広がるよう努めてまいります。
質問5
ライフラインの根幹である水道の復旧について質問いたします。
平成七年の阪神・淡路大震災では、電気や電話が一、二週間で復旧したのに対し、水道は応急復旧に約三カ月もかかっております。今回の新潟県中越地震でも、発生から一カ月以上が過ぎた現在、震源である川口町や小千谷市などでは、いまだに断水している世帯が数多く存在いたします。
平成九年の都の被害想定によれば、発災一日後における水道の断水件数は約百五十万件に上り、復旧に必要な日数は三十一日としております。しかし、阪神・淡路より十年、この間、水道局は、管路の耐震性強化を初めさまざまな震災施策を実行し、復旧に必要な日数も間違いなく短縮されているはずであります。現時点における水道復旧に必要な時間を明らかにしていただきたいと思います。
また、本格的な復旧までは、当然応急給水での対応となりますが、東京都のような大都市では、断水の解消までに時間がかかり、都民に不自由と我慢を強いる期間が長期に及ぶ可能性があります。そうした事態を避けるためには、引き続き施設の耐震性強化が不可欠であります。
一方、我が党は、災害時の断水被害を最小限にするために、近隣の自治体と水の相互融通を行うべきであると主張してまいりました。その結果、埼玉県と川崎市の間で相互融通が実現したことを高く評価いたしております。そこで次は、浄水場から遠く離れた町田市など、給水の末端地域における水の相互融通の実現を図るべきであります。所見を伺いたいと思います。
答弁5
▼水道局長
まず、震災時における水道施設の復旧日数についてでございます。水道局では、これまで、震災対策を重要課題の一つに位置づけまして、地震発生時の被害を最小限にとどめるため、経年管の取りかえや送水管ネットワークの構築などによりまして、施設の耐震性強化を計画的に実施してきております。その結果、お話の平成九年の想定の南関東直下地震が発生した場合、被害を受けた送配水管の修理や仮設の蛇口を設置するなどの応急復旧に必要な日数は、現在では約一週間短縮でき、三週間程度になっております。
なお、発災した場合、直ちに管路の系統変更などの緊急的な方策を講ずることによりまして、四日後には、十分な水圧、水量は確保できないものの、家屋の被害による断水を除きまして、九割以上の区域で最低限の水道水の供給が可能な状態になると見込んでおります。
次に、今後の水の相互融通の考え方についてでございますが、近隣事業体との水の相互融通は、地震などの非常時における給水安定性の向上に効果的でありますことから、積極的に推進しております。これまで、埼玉県の朝霞や川崎市の登戸での相互融通実施につきまして基本協定を締結してきております。また、町田市域につきましても、かねてからのご指摘を踏まえまして、今年度中に合意の上、基本協定を締結できるよう、川崎市と鋭意協議を進めております。今後とも水道施設の耐震性強化を図りますとともに、こうした広域連携を積極的に推進いたしまして、震災時にも強く、より一層信頼性の高い水道システムを構築してまいります。
質問6
次は、東京港の震災対策の強化であります。
一般に、軟弱地盤が多い湾岸地域では地震の揺れが激しいといわれ、現実に阪神・淡路では大きな被害が発生しています。しかし、一たび大規模地震が発生したら、阪神・淡路大震災の教訓からも、海上からの緊急物資の輸送が極めて重要であります。しかし、さきに述べた中央防災会議・首都直下地震対策専門調査会では、東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の直下型地震の切迫性が最も高いと発表しております。
したがって、直下型地震に対する東京港の対策には万全を期すべきであり、新潟県中越地震の教訓や中央防災会議の指摘を踏まえて、震災対策の着実な推進を図るべきであります。局の所見を伺います。
また、復旧対策とともに、東京港には首都圏四千万人の消費生活と産業活動を支える重要な機能があります。こうした物流機能は、たとえ震災時でも休止することは許されません。震災時においても経済活動を継続、維持していくため、東京港の国際物流を支える岸壁のさらなる耐震化を実行すべきであります。所見を伺います。
答弁6
▼港湾局長
まず、港湾施設の耐震対策についてでございますが、ご指摘のとおり、震災時における緊急物資の輸送には、耐震性の高い港湾施設の整備が喫緊の課題でございます。このため、東京港では、阪神・淡路大震災級の直下型地震を考慮した新たな基準に基づき、強度の高い耐震強化岸壁をこれまでに十バース整備してきたところでございます。
このたびの中央防災会議では、東京湾北部の直下型地震の切迫性が指摘されるなど、東京港の港湾施設の耐震性の確保がますます重要となってきていると認識しております。中央防災会議における被害想定など、今後の検討結果を十分に踏まえ、港湾施設の耐震対策を鋭意進めてまいります。
次に、国際物流を支える岸壁の耐震強化についてでございますが、東京港は、我が国の海上コンテナの約四分の一を取り扱うなど、首都圏の経済活動を支える国際貿易港でございます。このため、震災時においても、国際コンテナ物流を確保する拠点として、耐震性の高い港湾施設を整備することが重要であり、東京港では、先ほどの十バースに加えまして、大井ふ頭の三バースを耐震強化岸壁として再整備してまいりました。
さらに、スーパー中枢港湾として、震災時における京浜三港間での耐震強化岸壁の相互利用について、早期の協定締結に向けた検討を進めるなど、ハード、ソフトの両面から東京港の震災対策の充実強化を図ってまいります。
|
■教育問題 |
質問1
まず、特別支援教育推進計画についてであります。
第一に、この計画では、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校を、平成十九年度までに三校設置することが公表されました。この新しいタイプの学校は、職業教育を充実し、将来の職業的自立を目的としており、知的障害のある生徒やそのご家族から大きな期待が寄せられております。
今後、全都的なバランスを考えて増設に取り組む方針ですが、それには時間がかかります。しかし、一日も早く東部地区などに設置してほしいという要望が強く、我が党にも多くの意見が寄せられております。しかし、都立高校跡地の活用という条件から、早期に設置することは難しく、実際には二次、三次計画まで待たねばなりません。
そこで、本格設置までの間、現在ある養護学校の中で、比較的施設に余裕がある学校に職業コースを設置して、本人や保護者の要望に対応し、あわせて、本格的な設置に備えて職業教育に関するノウハウとデータ等を蓄積すべきであります。所見を伺います。
答弁1
▼教育長
知的障害が軽い生徒のための職業教育の充実についてでございますが、都教育委員会としましても、区部東部地区などに知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校が設置されるまでの間、地域バランスを考慮しまして、既存の知的障害養護学校高等部において職業自立を目的とした職業教育の充実を図りますとともに、今後の養護学校設置に備えた研究等を行っていくことが必要であると認識しておりますので、その具体化に当たりましては、ご指摘のように、第二次実施計画を待つことなく、企業就労を目指す職業コースの設置も含めて検討してまいります。
質問2
第二に、LD児等の子どもたちへの対応であります。
こうした児童生徒は、通常の学級で過ごすことには相当の困難があり、適宜適切な支援が必要であります。しかし、実際には適切な支援は提供されておりません。国においても、現在、特別支援教育を推進するための制度のあり方を検討中であり、現実的には国の動向を踏まえて慎重に対処していく必要がありますが、法改正まで拱手傍観して待つのではなく、都独自に取り組める事項に関しては、国に先んじて着手する必要があります。
都教委は、小中学校における特別支援教育体制を整備するため、実践的な研究を行う特別支援教育体制モデル事業を、北区、八王子市、調布市、あきる野市等で実施しておりますが、こうした取り組みを他の地域へも拡大すべきであります。
国が準備不足のまま特別支援教育に移行するとの方針を示したため、都内でも、保護者や教育現場に不安と混乱が生じたのは事実であります。それを払拭するためには、モデル事業の対象となっていない区市町村に対しても、特別支援教育への移行に向けた支援を行っていく必要があります。見解を伺います。
答弁2
▼教育長
特別支援教育体制整備に向けた区市町村への支援についてでございますが、都教育委員会としましても、小中学校におけます特別支援教育体制の整備のための支援として、国の動向を踏まえますとともに、実践的な研究を行う特別支援教育体制モデル事業を、四区市をモデル地域として、今年度から平成十八年度まで実施いたします。
今後、各区市町村にモデル事業の成果や課題について広く情報提供することによりまして、モデル地域以外の区市町村においても特別支援教育体制への移行に向けた準備が適切に行えるよう支援してまいります。
質問3
また、教育にかかわるすべての人々が特別支援教育に対する理解を深めることが必要でありますが、それと同時に、小中学校における特別支援教育の核となるような人材の養成が急務であります。都教委は、区市町村の人材育成に対して積極的に支援策を講じるべきです。所見を伺います。
答弁3
▼教育長
人材育成についての区市町村への支援についてでございますが、区市町村におきましては、小中学校におけるLD等を含め、障害のある児童生徒や保護者のニーズに適切に対応していくため、具体的な支援策の調整などを行う特別支援教育コーディネーターの育成が急務でございます。このため、都教育委員会としましても、平成十七年度から、区市町村における特別支援教育コーディネーター育成の中核的な役割を果たすことのできる人材を養成する研修を実施しまして、区市町村を支援してまいります。
質問4
一方、都立高校においても、LD児等の特別な教育的支援を必要とする生徒が実は存在しています。こうした生徒や保護者への対応のために、例えば臨床発達心理士などを学校に配置して支援を行うことが効果的であります。あわせて都教委の見解を伺いたいと思います。
答弁4
▼教育長
都立高校のLD等の生徒に対する支援についてでございますが、都立高校に在籍しますLD等の生徒に対して、現在、各学校におきまして、個別の進路指導や生活指導などを行っているところでございますが、これに加えて、より専門的な見地からの支援が求められていると認識しております。
都教育委員会としましても、今後設置される知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部に臨床発達心理士などを配置しまして、都立高校に在籍するLD等の特別な教育的な支援を必要とする生徒やその保護者に対し、巡回相談等による支援を行ってまいります。
質問5
最後に、少人数指導、習熟度別学習の充実について伺います。
現在、都内の一クラス当たりの児童生徒数は、小学校で三十・八人、中学校で三十三・七人となっています。そこに三十人を上限とする三十人学級制を導入すると、結果的に、十五人から十六人の小規模クラスが増加する結果となります。学校生活の基礎集団であるクラスには一定規模が不可欠であると考えますが、学級のあり方と教育効果の関係について、都教委の見解を明らかにすべきであります。
答弁5
▼教育長
学級編制に関しまして、学級のあり方と教育効果との関係についてでございますが、児童生徒に望ましい人間関係や豊かな社会性を培うためには、学級集団として一定の規模が必要でございます。現在、都内の公立小中学校では、学習指導や生活指導などのさまざまな教育活動におきまして、そのねらいに応じた集団の形態を工夫して、児童生徒が充実した学校生活を送ることができるよう指導いたしております。
お話のように、三十人を上限とする規模の学級にした場合、例えば、三十一人の学年では十五人と十六人の二学級となるなど、必然的に小規模な学級が増加することになりますが、このような状況では、学級内の人間関係が固定化したり、子ども同士の切磋琢磨する機会が不足したりするなど、生活集団として望ましいものとはならないと考えております。
したがって、都教育委員会としましては、今後とも、現行の学級編制基準のもとで各学校が学習形態等を工夫して、児童生徒への教育効果を高めていけるよう支援してまいります。
質問6
また、学力低下が指摘されている今日、少人数指導と習熟度別学習は大変に重要であります。これまでの成果と効果、そして今後の拡充の方針を明らかにすべきであります。見解を伺います。
答弁6
▼教育長
少人数指導と習熟度別指導の成果等についてですが、少人数指導は、習熟の程度や個人差に応じて、きめ細かな指導を行うことができる、極めて有効な指導法でございます。都教育委員会が指定した研究推進校の報告によりますと、少人数指導を通して、児童生徒が学習に対する理解を深めたり、意欲を高めたりすることができるなどの成果が上げられておりますし、複数の教員が協力して指導計画の立案や教材の作成などを行うことによって、教員が相互に指導力を高めることができるという成果も上げられております。
都教委としましても、これらの成果を踏まえまして、今後とも区市町村教育委員会との連携を深め、少人数指導の充実を図ってまいります。
|
■若年者の雇用対策 |
質問1
若年者の雇用を取り巻く状況は依然として厳しく、東京都における完全失業率が、全年齢では五・〇%であるのに対し、十五歳から二十四歳までは八・二%、二十五歳から三十四歳までは七・一%となっております。また、フリーターやニートと呼ばれる無業者も依然としてふえ続けております。
我が党はこれまで、若年者雇用について再三にわたり取り上げ、都の対策を求めてまいりました。しかし、若年雇用の問題は、都の取り組みのみで解決できるものではなく、区市町村や企業などの関係者と連携して、社会全体として取り組むことが重要であります。
そこで、都は、各区市町村の実情に応じた若年の雇用就業対策が行われるよう、区市町村に対し的確な情報提供を行うとともに、先進的な取り組み事例の普及に努めるなど、具体的に今後連携していく必要があると考えます。見解を伺います。
答弁1
▼産業労働局長
若年者雇用就業対策の区市町村との連携についてでございますが、お話のとおり、若年者に対する就業の支援は、区市町村にとっても重要な課題となっております。今後は、しごとセンターのさらなる展開として、都と各地域との連携を深めていくとともに、先進的な取り組み事例の紹介や、情報交換の一層の充実を図るため、今年度から区市町村との連絡会議を開催いたします。
今後とも、こうした取り組みを通じまして、地域の実情に応じた若年者対策が講じられるよう努めてまいります。
質問2
さきに発表された都の平成十七年度重点事業においては、若年者の社会的自立を促進する事業を盛り込み、若年者の就職を支援する企業を若者支援サポーター企業として組織化するとしております。若年者の就業を支援するためには、企業の協力が不可欠であります。今後、サポーター企業が若年者の応援団としての役割を十分に発揮できる、実効ある仕組みを構築すべきであります。見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
若者支援サポーター企業についてでございますが、都は、平成十七年度から新たに、企業と連携して若年者の就業を支援する仕組みとして、若者支援サポーター企業の組織化を進めてまいります。賛同いただいた企業につきましては、就業体験の場の提供や、しごとセンターのセミナーを通じた企業現場の紹介等の協力を依頼する予定でございます。さらに、若年者向けの就職面接会や各種就職支援講座への参加を初め、都が実施する事業への協力を働きかけるなど、この仕組みが若年者の就業支援策として有効に機能するよう努めてまいります。
|
■次世代育成支援 |
現在、国は、深刻化する少子化の流れを変えるため、官民が一体となって、家庭や地域社会における子育て機能の再生を実現することを目的に、次世代育成支援対策推進法を制定し、地方公共団体や企業に対して具体的な行動計画の策定を求めるなど、対策に本腰を入れてきました。
次世代の育成を図る上では、真に保育を必要としている働く女性や、育児に積極的に参画する男性等に対して、地域や企業等も含め、社会全体でサポートしていくことが重要であります。また、家庭で育児に専念するケースも含めて、すべての子育て家庭をサポートするための体制を早急に整備すべきであります。
こうした中にあって都は、平成十七年度の新規事業として、子どもの施設の安全・安心の実現、すべての子育て家庭への支援策、さらなる保育サービスの向上、そして青少年の放課後拠点の確保の四つを柱にした、都独自の総合的な補助制度を検討しているとのことであります。まさに時宜を得たものとして高く評価いたします。
そこで、二点質問いたします。
質問1
まず第一点目は、すべての子育て家庭への支援策についてであります。
核家族化とともに、地域のコミュニティ活動や近隣との関係が希薄化している現在の東京においては、だれにも相談できないで悩んでいる数多くの親が存在いたします。こうした人々をサポートするためには、地域全体での支援体制を早急に整備していくことが必要であります。具体的には、子育て親子の交流や育児相談などを行う、いわゆる子育て広場の整備とともに、ショートステイや一時保育など、在宅サービスの提供のための施設の整備を進めていくことが重要であります。
そこで、既存事業に加えて、今回の新たな補助制度を通じ、こうした在宅で子育てをしている家庭への支援を強化すべきであります。所見を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
在宅の子育て家庭への支援強化についてでありますが、次代を担う子どもたちの健全な育成を図るためには、すべての子育て家庭への支援策を強化していくことが重要であります。今回、都独自の総合的な支援策として創設を検討している次世代育成支援緊急対策総合補助制度は、区市町村が、これまでの取り組みに加え、次世代育成のための基盤を緊急に整備することを目的としております。その中で、在宅で子育てをしている孤立しがちな親を対象とした子育てひろば事業や一時保育などの在宅サービス事業についても検討してまいります。
質問2
次に、青少年の放課後拠点の確保についてであります。
ここでは、児童館の活用を訴えたいと思います。現在、都内には六百を超える児童館があります。児童館は、単に幼児や小学生の遊び場ではありません。実際、杉並区の児童館である「ゆう杉並」のように、楽器演奏やスポーツ、工芸などが行える設備を整備し、中高生に開放している先駆的な児童館もあります。このような児童館が全都に広がっていくことは極めて有意義であると思います。
そこで、今回の補助制度においては、こうした児童館を活用した中高生の居場所づくりの整備についても対象とすべきであります。所見を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
児童館を活用した中高生の居場所づくりでありますが、子どもたちの健全育成の観点から、地域の実情に応じて、小学生だけでなく中高生の居場所としても利用できるよう児童館を整備することは意義があると考えております。現在、都内六百二十九の児童館のうち四十九館で、音楽活動を行うスタジオや体育活動を行うトレーニング室など、中高生向きの設備を備えております。総合補助制度におきましては、一定規模以上の児童館を中高生の居場所として整備できるよう検討してまいります。
|
■先駆型子ども家庭支援センター |
質問1
繰り返される児童虐待の悲劇を防止するため、我が党は本年二月、児童虐待防止対策プロジェクトを立ち上げ、児童相談所を初めとする現場を視察し、その結果を踏まえて具体的な提案を行ってまいりました。そして今回は、先駆型子ども家庭支援センターの拡充を強く求めたいと思います。
我が党が児童相談所を視察した際、児童福祉司から、虐待を認めない親や、時には職員に暴力を振るう親など、数多くの困難な事例を伺ってまいりました。また、一人の児童福祉司が常時百ケース以上の相談を抱え、きめ細かな対応が困難な現状も見てまいりました。
こうした現状を改善するため、身近な相談窓口である子ども家庭支援センターの機能をさらに充実させ、児童相談所と連携して、児童虐待防止の機能を持つ先駆型子ども家庭支援センターを東京都が創設したことは、高く評価したいと思います。
我々は、過日、足立区の先駆型子ども家庭支援センターを視察してまいりました。このセンターは、住民に身近なところで、子どもの状況や家庭の状況をいち早く把握することができ、子育ての不安を抱えた家庭への支援や、軽度の虐待への早期対応、施設を退所した後の子どもと家庭の見守り等に大変効果があると実感いたしました。しかし、この先駆型子ども家庭支援センターは、現在、都内に八カ所しかありません。
そこで今後、すべての区市町村に先駆型子ども家庭支援センターが設置できるよう、都は努めるべきであります。所見を伺いたいと思います。
答弁1
▼福祉保健局長
先駆型子ども家庭支援センターの設置促進についてでありますが、児童虐待に迅速に対応していくためには、発生予防から早期発見、早期対応、家族再統合に至るまで、児童相談所と区市町村を含む関係機関が一体となって取り組むことが極めて重要であります。このため、都は、区市町村における総合的な相談支援の拠点としての役割に加え、家庭における児童虐待防止のための機能も付加した先駆型子ども家庭支援センターの設置を、全国に先駆け推進してまいりました。来年度の都の重点事業におきましても、大幅な拡充を図ることとしており、区市町村に対し積極的に働きかけてまいります。
|
■高次脳機能障害対策 |
質問1
平成十年第四回定例会での公明党の提案以来、都はマニュアルの策定、社会復帰のためのモデル事業の実施など、国を先導する事業を実施してまいりました。こうした都の取り組みに促され、国も平成十三年度からモデル事業を開始し、診断基準や各種訓練、支援のプログラムが作成されました。本年度からは、これらに基づく支援サービスの試行が進められております。そして今後は、新たな社会復帰支援事業の展開が必要であります。
都は、東京都リハビリテーション病院において、医学的リハビリを実施するほか、職業訓練を主とした社会復帰マニュアルの策定に取り組み、来年度からは、このマニュアルに基づいて支援が実施されることになっております。一方、福祉の分野では、心身障害者福祉センターの更生施設等において種々の生活支援が実施されています。
そこで、このたびの福祉保健局の発足を機に、医療と福祉の二つの機能を連携させ、さらに地域の保健福祉センターなどとも協力して、医療、リハビリから社会復帰、生活支援、さらに就労支援という一貫したサービスが提供できるシステムを構築すべきであります。所見を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
高次脳機能障害対策における医療と福祉の連携についてでありますが、高次脳機能障害者の支援については、これまで、東京都リハビリテーション病院が主として医学的見地から、心身障害者福祉センターが社会復帰の観点から、さまざまな取り組みを行ってまいりました。お話のように、これらの専門機関と地域の福祉、医療機関が連携し、生活面や就労面での自立を目指して一貫したサービスを提供することは、重要であると認識しております。今後、今回の局統合のメリットを最大限に生かし、福祉と医療が一体となった施策を展開させていく中で、関係機関が密接な連携を図っていけるような環境づくりに取り組んでまいります。
質問2
あわせて、区市町村の窓口で相談に応じる職員や福祉サービスの従事者、さらに医療関係者への知識、技術の一層の普及と理解の徹底が、高次脳機能障害対策には極めて重要であります。今後の具体策について所見を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
福祉、医療関係者への普及啓発についてでありますが、障害者本人やその家族に適切なサービスを提供するためには、障害者に接する機会の多い福祉や医療の関係者が、広く障害に対する理解を深めることが重要であります。高次脳機能障害に適切に対応するため、都はこれまでも、区市町村職員やリハビリテーション医療に従事する医師等を対象とした研修会などを開催し、知識、技術の普及に努めてまいりました。今後は、これらの取り組みに加えて、区市町村が主催する研修などへの技術的助言や、リハビリテーション医療を実施していない医療機関への普及啓発にも取り組むなど、高次脳機能障害のより一層の理解促進に努めてまいります。
|
■空港行政 |
質問1
羽田空港国際化について質問いたします。
今月一日、羽田空港に第二ターミナルが開業いたしました。都議会公明党は、開業直前、公明党神崎代表ほかの国会議員とともに視察を行いました。第一ターミナルを凌駕するすばらしい施設であります。その後、四番目の滑走路の建設予定地と国際線ターミナル予定地を国土交通省の案内で確認してまいりました。
ご存じのとおり、国の説明では、滑走路の増設で、発着回数は約十二万回増加し、そのうち国際線は三万回としております。この三万回という数字には明確な根拠はありません。空港事務所で航空局長らと懇談した際に神崎代表も指摘しておりましたが、国内線の需要は頭打ちになったとの見方が有力であります。そうであるならば、増加する発着回数の国内、国際線の割合を見直す必要があり、東京都は国際線枠の大幅な拡大を国に要求すべきであります。
成田を抱える千葉が反発すると国はいいますが、首都圏の航空需要の受け皿は、将来的には、羽田、成田、横田の三空港をワンセットに検討し、それぞれが機能別にすみ分ける必要があります。
羽田の滑走路は最大三千メートル。これでは燃料を満載した欧米向けの大型機は離陸できません。したがって、羽田は本格的に国際化しても、アジア、オセアニア中心にならざるを得ません。
羽田国際化の結果、成田の枠に余裕が出れば、現状でも数多く寄せられている世界各地からの増便要求にこたえることができます。成田の地盤沈下はあり得ません。むしろ、成田の第二滑走路の完工を急ぐことにより、国際長距離便のアジアの中心空港として、さらに活性化が図られるはずであります。
いずれにせよ、これからの世界経済を左右するのは国際物流であります。特に飛躍的に増大する中国の物流をだれが制するかが焦点になっています。したがって、中長期の国家戦略からも、羽田の圧倒的に有利なロケーションを生かした国際化を迅速に行い、アジアのハブ空港機能を確保することが極めて重要であります。一千億円の無利子貸付を行う東京都は、その当然の権利として、国際線枠の拡大を強く国に迫るべきであります。知事の見解を伺います。
答弁1
▼知事
羽田空港の国際化についてでありますが、大変いいご質問で、これはここでやるよりも国会行ってやっていただきたい。国会には、そういう認識を持った政治家が非常に少なくて、私も運輸大臣時代に往生したんですけれども、とにかく増大する首都圏の国内線及び国際線の航空需要に対応するために、羽田空港の再拡張が本年度やっと事業化されます。これも、亀井静香君が政調会長のとき、私の弟分でありまして、両方とも運輸大臣をやりました、このままでは済まぬぞということで、政調会室に行きまして、私と二人で電話をとり合って、詳しく話しませんが、運輸省を脅迫するような形で調査費をつけて、ここまで来たんですけど、そうでもしなかったら、まだ羽田は滑走路があのままで済んでいたんじゃないかと思います。
ただ、首都の空港で、羽田ほどダウンタウン、つまり中心地に至近の距離にある空港は世界にございません。これは東京の都心に対しても、横浜の中心地についても非常に近い。まして、これは二十四時間あいている空港ですから、日本のホテルのサービスの緊密さからいえば、たとえ深夜二時、三時に着いても、きちっとしたブッキングができるわけでありまして、何ら痛痒を感じない。こういう羽田というものを、当然国際化して、二十四時間これをフルに使う。しかも幸い東京湾があるわけでありますから、この東京湾をフルに利用して、騒音の対策も講じながら、これを活用するということが、日本の国力の維持のためにも絶対に必要であると思っております。
台頭著しいアジア諸国の空港機能というものに対抗して、いかに我が国が国力を確保するための空港整備をするかという視点が、どうも国には欠けているんじゃないかという気がいたしてなりません。このため、長期的視点に立った航空政策のあり方を示すよう国に対して求めてまいりましたし、今後も再拡張後の羽田を十二分に活用した国際化の推進を引き続き国に働きかけてまいります。
質問2
横田に関しては、管制空域の返還を急ぐべきであります。管制空域が返還され、最も効率的な羽田への航路を選択できれば、年間で、燃料が約一億五千万ポンド節約でき、コストが約四十四億円削減できます。また、CO2は一〇%から一二%削減でき、約二十万トンの削減になると、実は航空各社で構成する定期航空協会が試算しております。経済効果もさることながら、東京の環境に大きな影響があります。
改めて知事の積極的な取り組みと、国への強力な働きかけを要請いたしたいと思います。あわせて知事の所見を伺います。
答弁2
▼知事
横田空域の返還に向けての都の取り組みについてでありますが、動いてから随分もたもたもたもた、特に外務省が変なバリアになって、あったんですが、一昨年ですか、昨年の五月のブッシュとの首脳会談で、前日、総理から電話がありまして、外務省を通すと手間暇かかるので、自分がじかに持ち出しますということで、それが俎上に乗りまして、ブッシュもわかったということで、これが首脳の一致ということで、日米間の正式な議題として登録されたわけです。
そこら辺がちょっとアメリカと日本の違いは、アメリカは非常に早くて、首脳が合意したんだということで、これは国務省のマターを外れて、国防総省マターになって、すぐ国防総省の太平洋の総司令官からこちらにアプローチがあったりしましたが、残念ながら、日本の場合には防衛庁は防衛省に昇格しておりませんで、反対する勢力も随分ありまして、ですから、一々防衛庁に関する外交マターというものは外務省を通さざるを得ない。そこで非常に時間がかかり、いろいろな意識が屈曲して、特に今、アメリカ側との合議のチームがやっとできましたけど、率直にいって、ここから東京都を外したいというのがいろいろな人たちの意向なんじゃないでしょうか。彼らがつくってくる英文の文書を見ても、意識的に東京を外して、直させたりしておりますけれども、いずれにしろ、私たち、この問題を、アメリカが後にいい出したトランスフォーメーション、アメリカの戦略転換の中で、日本における基地をどう変えていくかという大きな問題も重大でありますけど、しかし、その前にこれは登録された問題でありますから、それとは切り離してやってほしいし、また、やるべきであるという要求を続けております。
いずれにしろ、これがうまく展開しますと、各県の知事さんがおっしゃってくださっていますが、特に、山梨県、長野県、埼玉県、それから神奈川県の北部の方たちは非常に便利になるわけでありまして、これまた一つの人間の往復、情報の往復、その他この他国力の推進になると思っております。
今後も我が国の航空政策を日本自身の手で推し進めるためにも、引き続き横田空域の返還について広範な働きかけを行うとともに、その実現を強く国に、要求したってしようがないので、場合によってはけ飛ばすぐらいして、実現したいと思っております。
|
■海洋都市・東京構想 |
質問1
余り知られておりませんが、日本の排他的経済水域の約四割は東京が占めております。小笠原まで直線距離にして約一千キロ、およそ百七十一万平方キロメートルの海域は、日本海を上回ります。東京湾から広がる広大な海域は、壮大な可能性、潜在力を秘めており、東京は世界有数の海洋都市であることに改めて着目したいと思います。
区部中心部は高機能で効率的な先進都市として整備を進め、多摩は、その田園と山間の自然を生かし、また集積する大学と情報産業を結びつけて、新しいタイプの田園・情報都市としての展望が開けます。そして、そこにもう一つの広がりをつけ加えるのが海洋都市・東京であります。
折しも、小笠原は、世界自然遺産の登録とあわせた観光政策が立案され、テクノスーパーライナーの就航も間近であります。また、三宅島では、小笠原で生産されたハタとシマアジの稚魚の放流など、本格的な栽培漁業が試みられ、さらに東京の海域でとれたしゅんの魚を都民の台所に届ける事業も始まりました。また、島しょ部では、さまざまな特色ある農業生産がなされ、観光資源にも恵まれております。
こうした東京の海域を舞台にして、自然体験や、農業や漁業のインターンシップ、エコツーリズムなどの新たな観光、さらに、リタイアした中高年の農業、漁業への参入などを特区制度などを活用した大幅な規制緩和によって可能にする海洋都市・東京構想を策定し、従来の島しょ振興策の総合化、体系化を図ると同時に、東京の新しい魅力と可能性を開拓する努力を行うべきであります。
税金を使うのではなく、都が規制緩和などの誘導策を編み出し、民間の活力で東京の海域の活性化を図り、都民のみならず、内外の多くの観光客を招くことができる事業の展開を求めたいと思います。
閉塞感がいまだ払拭できない日本にあって、東京が先陣を切って明るい展望を指し示す意味でも、海洋都市・東京構想をぜひとも検討すべきであります。知事の所見を伺います。
答弁1
▼知事
海洋都市・東京構想についてでありますが、東京には伊豆・小笠原諸島を初め日本最南端の沖ノ鳥島、これはとても大事なんです。それから、最東端の南鳥島など、大小二百余りの島がありまして、その存在は日本の排他的経済水域にとって極めて重要であります。排他的というのは、言葉があんまり印象よくないんですが、いずれにしろ、ここは日本の商売、経済に関係のある領域で、うちの店先だということでありますから。これがしばしば侵犯されているのが現況であります。
都は、これまでも、島しょの生活基盤整備、水産業の振興、東京版のエコツーリズムによる観光振興などに取り組んでまいりました。来年には、これは大事なことですが、小笠原へのテクノスーパーライナーが就航します。これは従来二十七、八時間かかったものが十五時間で行くわけでありまして、小笠原は、これによって一変すると思います。あそこで、今からやっても遅いぐらいですが、きちっとした都市計画を立てて、観光計画を立てませんと、またあの島はずたずたになってしまう。
ご存じかどうか知りませんが、屋久島は世界遺産に登録されました。された結果、何になったかというと、国は何もコントロールしないから、屋久島は今めちゃくちゃになりました。実態を私たちは知って、国にすべき勧告をして、せっかくこういうものが就航したときに、多くの観光客が繰り込むでしょうが、そのときに、世界遺産に登録される、そういう資質を持ったかけがえのない小笠原が、一体どういう形で維持されるかという計画を我々自身が立てて、これを国にも協力させて実現していく必要があると思っております。
|
■三井物産のDPFデータ捏造事件 |
質問1
昨日、都は、一都三県共同で刑事告発を行いました。今後は、事件の解明は司直の手にゆだねることになりましたが、都としても全容を解明すべき責務があります。今後の都の調査の体制を明らかにしていただきたいと思います。
答弁1
▼環境局長
三井物産の虚偽行為に係る調査についてでございますが、都は、第一報を受けた十一月十八日、詳細な調査報告を行うよう、即時、三井物産に指示するとともに、事実関係を確認するため、職員を相手方本社に派遣し、関係者の事情聴取を行いました。現在、DPF装置の指定に関する書類の調査分析などを進めており、今後とも局を挙げて事実関係の解明に努めてまいります。
質問2
知事は、これまで都庁の先頭に立ってディーゼル規制を推進してこられました。今回の三井物産の行為は、そうした努力を裏切る行為にほかなりません。この事件に対する知事の所見、あるいは思いを伺いたいと思います。
答弁2
▼知事
三井物産による虚偽データの使用についてでありますが、これは本当に怒りを禁じ得ない。先ほど申しましたけど、人の弱みにつけ込んでというか、やり方は本当にやくざに近い方法であって、釣りに行った職員が、釣りに行こうが行くまいが、ごまかされたと私は思いますけれども、別に職員をかばうわけじゃありませんが、いずれにしろ、素人には非常にわかりにくい装置というもののわかりにくいデータというものを簡単に捏造して、人をいいくるめて、けしからぬ利益を上げる。これは本当に人類の将来を左右しかねない環境問題に取り組んでいる、協力してくださった東京在住の中小の運輸業者というのは、本当に血を流し、涙を流して、身銭を切って協力してくださった。そういう人たちをまさに裏切る行為でありまして、絶対に許せないと思います。
彼らがいい出している四つの賠償というものをコンペンセーションする、しないじゃなしに、それプラス、三井物産という天下に名の通った企業というものが、企業の良心においてこれをどうとらえるか。それは社長が頭を丸めてここで土下座しても済むことじゃない。私は、非常に猛省を促して、どういう形で都民のあだをとるか、今でも考えていますけど、考えれば考えるほど腹が立つ問題であります。
いずれにしろ、昨日、刑事告発を行いました。今後とも皆さんと協力して、徹底的に責任を追及してまいりたいと思います。
質問3
今回の捏造事件に関して、三井物産は四点の措置を発表いたしました。告発した後も、これらの三井物産の発表した事項を誠実かつ着実に実行させるべきであります。局の所見を求めます。
答弁3
▼環境局長
三井物産のユーザーへの対応についてでございますが、先般、三井物産が発表した対応策は当然の措置でありますが、具体的な方策、スケジュールなど不明な点が多く、速やかに詳細な計画を明らかにさせるとともに、事業者の実情を踏まえた必要な対策をとるよう求めてまいります。
また、これらの対応策につきましては、早期かつ誠実に実行していくよう、三井物産を強く指導してまいります。
質問4
また、現在使用している他のメーカーのPM減少装置については心配ないのかどうか、改めて試験をし、ユーザーの不安を払拭すべきであります。
また、今後、このようなデータ改ざん等の事件が起きないように、都の審査体制を抜本的に見直すべきであります。
答弁4
▼環境局長
他のメーカーのPM減少装置についてでございますが、装置の指定に当たっては、専門家で構成される指定審査会において、PM低減性能、信頼性等について総合的に審査しているところでございます。しかしながら、今回、こうした事態が生じたことを踏まえ、今後、既に指定した他のメーカーの装置につきましても、審査会の意見を聞きながら、PM低減性能を確認するための排出ガス測定を行い、ユーザーの不安の払拭に努めてまいります。
最後に、都の審査体制の整備についてでございますが、今回の経験を踏まえまして、今後、新たに行うDPF装置の指定審査におきましては、環境科学研究所で確認試験を行い、虚偽の申請に対する効果的な防止策を早急に講じますほか、都の責務を重く受けとめ、的確な執行体制の整備に努めてまいります。
以上の所見を伺うとともに、一言申し上げます。
さきに、職員が検査の場を離れて釣りに行った事実が暴露されました。要するに、そうした気の緩みにつけ込まれて不正が行われたといわれても仕方がありません。猛省を促したいと思います。
|
■三宅島帰島支援 |
質問1
特別養護老人ホームについてであります。
三宅村の阿古地区には特別養護老人ホームあじさいの里がありますが、この地域は火山ガスの高濃度地区と隣接しているため、入所者を復帰させることができません。そこで、別地域での建てかえに対する支援、あるいはそれにかわる在宅サービスでの支援などを総合的に講じるべきであります。
答弁1
▼福祉保健局長
三宅村の介護サービス基盤の整備についてでありますが、帰島後も高齢者が安心して暮らしていけるようにするためには、介護サービス基盤の整備復旧が大変重要であると認識しております。特別養護老人ホームにつきましては、お話のように、解決すべきさまざまな課題があり、別地域での建てかえも視野に入れ、村や、あじさいの里の設置主体である社会福祉法人と鋭意協議を行っております。当面は、来年二月の帰島開始に向けて、デイサービスやショートステイなどの在宅サービス基盤の整備が最優先の課題であり、村とも協議の上、総合的な支援に努めてまいります。
質問2
農業復興についてでありますが、三宅島の園芸用ハウスは壊滅状態にあります。また、農地についても降灰除去や土壌改良が必要であります。そこで、島の農家が速やかに営農を再開できるように、これらに対しての支援策を講じるべきでありますが、以上二点について所見を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
三宅村の農家の営農再開への支援についてでございますが、三宅島では、降灰や火山性ガス、さらに長期にわたる避難により、農地の土質が変化し、雑木なども繁茂しており、農作業の再開が困難な状況にございます。このため、都では、三宅村が行っている農地復旧のための土壌改良等につきまして、計画段階から技術的、財政的支援を行ってまいっているところでございます。
また、共同利用のパイプハウスなど、栽培施設の整備につきましては、早期の営農再開に向け、農業者の負担を可能な限り軽減できるよう、国に一層の支援を要請してまいります。
最後に、これは要望であります。
都が帰島村民の住宅再建支援制度を創設することは高く評価いたしますが、この制度は、帰宅が認められていない火山ガスの高濃度地区には適用されません。同じ村民でありながら、住宅再建支援に大きな格差があってはならないと思います。火山ガスの高濃度地区に対しても総合的な支援策を検討すべきであります。
以上を要望して私の代表質問を終わります。
|