住宅の耐震補強の促進に支援を 労働相談機能を充実・強化せよ |
富田 俊正(民主党) |
■地方分権改革の推進 |
質問1
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について何点かお伺いをさせていただきます。
まず、分権改革の推進についてお伺いをいたします。
去る十一月二十六日、国の三位一体改革の全体像が政府・与党合意の末にまとめられました。地方六団体が国庫補助負担金の改革案を国に提出して以来、削減対象とされた国庫補助負担金を所管する各省や国会議員など、利害関係者がこの改革案に一斉に抵抗するなどの混乱がありました。これに対し、改革の実現を求める自治体側が反論を展開し、三位一体改革をめぐる議論が連日新聞紙面を大いににぎわしました。
しかし、これだけ議論が盛り上がったにもかかわらず、改革の全体像として合意された内容は、三兆円の補助負担金削減を達成するため、例えば国民健康保険の国庫負担切り下げに見られるように、地方の権限を拡大するどころか、将来の国の負担増大を見越して、自治体への負担転嫁を意図したとしかいいようのないものまで持ち出されています。国の各省と、これに便乗した族議員などの利害調整ばかりが優先され、改革に関する本質的な議論は骨抜きにされてしまったというのが率直な感想であります。本当に自治体の自立実現を目指すというのであれば、国のあり方そのものにまでさかのぼった抜本的な改革が必要であり、そのためにはまさに政治が我が国の将来を見据えて、強力なリーダーシップを発揮していくことが何よりも不可欠だと考えています。しかし、地方案を真摯に受けとめるとした小泉首相は、政府と与党との調整の過程では、できれば自分のところに持ってこないでほしい、結論を出してほしい、そしてこの無惨な結果に対しては、私の出番をなくしてくれて感謝していますと述べたとされています。余りにも無責任だといわざるを得ません。
このような政治によるリーダーシップのあり方も含め、今回の改革の全体像に対する知事の率直な感想をまずお伺いをいたします。
答弁1
▼知事
いわゆる三位一体改革についてでありますが、骨太、骨太というからには、日本の政治の骨組みを本質的、根本的に変えるようなものでなければならないはずだと思います。しかし、今回国が決めました全体像なるものは、どう見ても、こうした理念からかけ離れて、国庫補助負担金削減の数字合わせでしかないような代物だと思います。国の各省や、それぞれの立場を違える政治家たちの目先の利害調整に終始しておりまして、地方分権の実現という改革の目的が全く阻害されていると思います。
どう眺めても、総理大臣が、この問題に対する歴史観、文明観というんでしょうか、大きな日本の歴史の流れの中で、これが、日本をこれから発展させながら、かつ変えていくために、歴史的に必然、蓋然の政治的なイシューであるという、そういう意識というものがほとんど欠けているというような気がいたします。
たびたび申していることでありますけれども、地方分権なるものは、徳川の体制が崩れて太政官制度が始まり、憲法の発布される前に既に明治政府ができて、結局、中央集権という形の一種の官僚統制が続いてきたわけでありますが、それをここから画期的に変えるという命題でありまして、日本の国運というものも、これからは、この政治的イシューというものがどう成就していくかということにかかっているといっても過言でないと思います。今こそ、国、地方を通じて、国民もこれを強く意識して、その意識に支えられて、政治が断固たる決意を持って抜本的な改革に取り組むべき問題であると思っております。
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■震災対策 |
質問1
去る十月二十三日、新潟県中越地方において震度七という激しい地震が発生し、その後の活発な余震活動などで甚大な被害が発生しました。亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様にお見舞いを申し上げます。
東京都では、早くも発災翌日から関係各局がそれぞれの分野で積極的に支援行動を開始しており、その中で、東京DMATやハイパーレスキューは十分に機能することが証明され、私たちは高く評価をしているところでございます。しかし、こうした被災後の対応力が充実してきているとはいえ、地震時の被害抑止力、特に住宅の耐震性にはまだまだ問題があるのではないでしょうか。
耐震診断にかかる費用は比較的安価ですが、自宅が耐震上問題ありとなった場合の工事費用の負担を心配する余りに、診断さえ受けない都民が多くいます。補強工事にかかる費用は、ある業界団体の実績データでは、木造住宅の場合、平均百十万から百二十万円程度です。この金額は被災時のリスクを考えるならば決して高いとはいえないと思いますが、それにもかかわらず耐震改修が進まないのは、やはり一時的投資に対する経済的な負担感が大きいからではないでしょうか。
折しも、国土交通省が、住宅の耐震補強工事について所得税と個人住民税の控除により支援する制度を導入する方針を打ち出したところです。これに加えて、都独自の支援制度を導入することにより、住宅の耐震補強はより一層推進するものと考えます。例えば耐震診断の経費に対する補助、耐震補強工事の借入金に係る利子補給、固定資産税の減免などが考えられますが、建物が壊れないということを公共性の一面としてとらえるならば、耐震補強工事費に対する公的補助へも踏み込むべき時期にあるのではないかと考えます。
また、工事費の低減に寄与する一方策として、多摩産材を補強材として安価に提供するということも考えられますが、これは森を守りながらまちも守るという側面をあわせ持ちます。こうした種々の施策の総合的実施により、住宅の耐震補強が一層促進されるものと思います。そればかりか、それが仮設住宅の設置、復興、復旧への公的資金の導入などを最小限にとどめるものにもつながると考えます。こうした耐震補強の促進及び支援方策に対する石原知事の見解をお伺いいたします。
また、あわせて、住宅の耐震補強の促進に対する東京都の考え方を改めてお伺いをいたします。
答弁1
▼知事
住宅の耐震化への支援についてでありますけれども、先ごろの新潟中越地震で大規模な被害が発生し、震災対策の重要性を再認識いたしました。
あそこで印象的だったのは、現地からの報告を聞きましても、同じ木造の、割と骨組みの弱い建物でも、上がトタン張りの家と、上にかわらを乗っけた家では被害状況が全然違うという、それぐらいひ弱な住宅が多かったわけですが、それでもなお、屋根の構造いかんによって被害が随分違ったようです。
住宅の耐震改修につきましては、国では減税などの支援策を検討していることは承知しておりますけれども、震災対策の基本は、自助、共助、公助という原則によって進めるべきものでありまして、都としては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域などの整備、改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発などにより、住宅の安全確保に努めてまいりました。
今後とも、首都東京の安全性を一層高めるために、ハード、ソフトの両面から取り組みたいと思いますが、私、あの阪神大震災のときも、直後に、運輸省から頼まれて港湾の被害状況の視察に行ったついでに、地元の友人の案内で、東灘区と長田区と二つ、非常に被害の多い地域を眺めた。特に長田区というのは住宅区でありまして、そこで見ましたものは、木造住宅は全部壊滅、ただ、鉄骨鉄筋の建物は、比較的古いものでも全部残っているという歴然たる相違であります。
東京にもいわゆる木密地域がたくさんありまして、先般の災害対策のときにも視察をいたしましたが、しかし、むしろそういう地域の人情の方が、私には何か非常に親近感がありまして、例えがよくないかもしれませんが、用を足しながら小窓を開けると、隣のうちの台所が見えて、サンマを焼いていて、きょうはサンマですか、そうなんですよというような会話がある生活状況の方が、私、実は高級マンションよりも好きといえば好きなんですが、これはやっぱり、人間というのはそういうものに対する愛着というのは簡単に捨てられませんで、地震が来なければわからないことでありますけれども、それを行政が幾ら金を積んでも、地震に強いと称する新しいまちに変えることそのものの精神的な受容というものをうまく喚起できるかできないかというのは、これは政治を超えた難しい問題だと思いますが、市民の方々が同意されたときに、それに呼応できるような資金援助の体制も含めた準備は、やっぱり行政の責任ですべきだとは思っております。
▼都市整備局長
住宅の耐震補強の促進についてのお尋ねでございますが、住宅の耐震化は、災害に強い都市づくりを進める上で重要な課題であると認識しております。
都といたしましては、これまでも木造住宅密集地域の整備改善などに取り組むとともに、耐震診断講習会の開催や簡易な診断方法の周知を行うなど、技術者の育成や都民への普及啓発に取り組んでまいりました。
今後は、耐震フォーラムを開催するなど一層の普及啓発に努めるとともに、木密事業や街区再編まちづくり制度などさまざまな施策を活用することで、建物の更新や耐震化を促進し、安全な住宅の確保に努めてまいります。
質問2
ところで、中越地震の発災直後、二十五日には、我が会派の坂口こうじ議員が、また、一週間後の先月二十九日から三十一日までは柿沢未途議員が被災地に入り、ボランティアとして汗を流しました。それを通じて感じたことは、関係者が情報を共有することの重要性であります。被災地のどこにどのようなニーズがあるのか、被害の程度はどのぐらいなのか、そういった情報を共有化できなかったことで、現地での救援活動に少なからず混乱が生じました。本来、被災時には県や市といった行政が、入ってくるさまざまな情報を集約して、関係先に適切な指示を出す司令塔の役割を果たすべきですが、地震発生直後の混乱状況の中では、そうした系統だった指示命令系統が機能しない場合も往々にしてございます。現場ごとの判断が必要とされ、そのときその場で何が起きていて、必要な物資は何か、使えるリソースは何かといった情報を関係者が広く共有化できることこそが、有効な救援活動を行えるかどうかのかぎとなります。
防災についての関心が高まっている今、都民は万が一のとき、自分の身の安全を守るための情報を求めています。にもかかわらず、現在、東京都のホームページの中にある総務局総合防災部のページは、東京における直下型地震の被害想定や避難場所の一覧、地震のときの行動マニュアルなどが掲載され、かなり充実した内容にはなっておりますが、残念ながらこのページを活用する人は少ないというのが現状であります。そこで私は、現在の総合防災部のページを、よりアクセスのしやすい防災情報に関する総合的なウエブサイトへリニューアルし、被災地支援の情報共有化にも活用できるような、東京の防災といったような防災情報の案内ページとすることを提案いたしますが、所見をお伺いいたします。
答弁2
▼総務局長
防災情報の提供についての質問にお答えいたします。
都民が防災意識を高め、災害時に適切に行動するためには、発災時はもちろん、平常時から必要とする情報が容易に得られ、共有できることが重要でございます。
このため都は、ホームぺージで、東京都の防災対策に加えまして、家庭や事業所におけます防災への取り組みにつきまして常に新しい情報を提供いたしますとともに、地震や降水量、河川水位などの緊急情報を提供しております。都民がアクセスしやすいページ立てや、わかりやすい情報を提供するなど、内容の充実に努めてまいります。
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■三宅島帰島支援 |
質問1
三宅島避難指示解除が来年二月に予定されている中、都は住宅の新築や修繕にかかった費用として、一世帯当たり最高百五十万円を住民に支給する独自の制度をつくることを決め、今定例会にその条例案が提案されています。
阪神・淡路大震災の教訓から制定された国の被災者生活再建支援法は、法施行後六年がたったことし、全壊した住宅の再建支援に最高三百万円を支給するなどの法改正が行われました。しかし、この支給の対象となるのは壊れた住宅の解体、撤去等にかかわる費用に限定されており、住宅本体の建てかえや補修については、個人の財産の形成に公費を投入することはできないとして、支給の対象から外されております。こうした国の見解に対しては、個人財産にこじつけて、国民の最低限の生活を保障する国の責任を放棄しているものだと批判の声が上がっています。全国知事会でも、相次ぐ豪雨災害や地震などを受けて、先月、住宅本体の再建、補修費を法律の支給対象に含めるよう法改正を求める緊急提言を行っています。
今回、都は、三宅島の生活再建に当たって、国が支給対象としていない住宅の新築、修繕も含めた独自の支援制度をつくり、国の制度よりも一歩踏み込んだ対応をしており、そのことは高く評価をしたいと思います。しかし、被災者の生活の基盤を確保することは、本来国の責任において行わなければならないことです。今後は、都としても、こうした住宅の新築、修繕費用について、法律の支援の対象とするよう被災者生活再建支援法の改正を国に粘り強く働きかけていくべきだと考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁1
▼福祉保健局長
被災者生活再建支援法の見直しを国に働きかけるべきとのお尋ねについてでありますが、都はこれまで、本年三月の法の見直し時期に合わせ、住宅本体の建築費、補修費を支給対象とするなど制度の拡充を図るよう、全国知事会とも連携し、国に対し強く提案要求してまいりました。しかしながら、今回の法改正では、住宅の解体、撤去費等のいわゆる周辺経費のみが対象とされました。
都としては、今後とも、住宅の建築費、補修費を法の支給対象とするよう、粘り強く国に働きかけてまいります。
質問2
災害時における生活再建のあり方として、自助、共助、公助ということがいわれます。みずからの力で生活を再建する努力をし、それで力が及ばない部分は、心ある人々や地域社会の支援を受けてともに助け合う、そして最後に公的な支援制度がある、そういう順番で考えるべきだということです。その意味で考えると、ともに助け合う共助に当たるのが義援金ではないでしょうか。中越地震の被災者に対する義援金は、発生から一カ月足らずの先月十二日の時点で、早くも百億円を突破しています。その義援金の中から、住宅が全壊した世帯には二百万円、大規模半壊には百万円が支給されることが既に決まっています。
北海道奥尻島を中心として、津波などの大規模な被害が出た平成五年の北海道南西沖地震では二百五十六億円の義援金が集まり、全壊した住宅には一世帯当たり最大一千二百万円が支給されました。
一方、三宅島はどうでしょうか。四年以上の全島避難という大きな被害に見舞われているにもかかわらず、これまでに島民に支給された義援金は総額で十九億六千万円、支給総額は、三人世帯で百四十三万円、四人世帯でも百八十二万円となっています。一けた違うというのが実態でございます。もちろん義援金の総額は被災人口や倒壊家屋の数、そして被災規模などによって異なるため、単純に比較することはできません。しかし、義援金はただの気持ちではなく、被災地の復興に大きく寄与するものであり、より多く集めることができるならば、それにこしたことはないと思います。帰島の始まるこの機会をとらえて、都としても、報道機関や各団体と連携しながら、三宅村の今を伝え、広く生活再建支援のための義援金募集を行う、頑張れ三宅島キャンペーンともいうべき活動を展開すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁2
▼福祉保健局長
三宅村民支援のための義援金の募集についてでありますが、平成十二年の発災以来これまで、多くの都民や団体、企業の皆様から多大な募金を賜ったことに対しまして、都として心から感謝を申し上げたいと思います。
都は、本年七月、村が帰島方針を決定したことを受けまして、直ちに帰島に向けた義援金の募集を開始し、現在、区市町村などの行政機関はもとより、社会福祉団体や商工団体、報道機関などに対し幅広く募金活動への協力をお願いしております。
今後は、来年二月の村民の帰島時期に合わせ、新たに作成するポスターの交通機関や飲食店などへの掲示、報道機関と連携した効果的なPR活動、各種のイベントなどにおける募金の働きかけなど、さまざまな取り組みを強力に展開してまいります。
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■自動車公害対策 |
質問1
まず初めに、三井物産による虚偽データの使用についてであります。
都が実施しているディーゼル車規制に関して、去る十一月二十二日、三井物産は同社の粒子状物質除去装置、DPFについて、装置指定申請の際、虚偽のデータを使用し、基準に満たない装置を販売していたと発表しました。三井物産という名のある大企業のコンプライアンスの欠如はあきれるばかりですが、それ以上に、今回の不正行為は、厳しい経営環境の中、まじめに規制に対応してきた運送業者などの事業者の努力を裏切るものであり、強い憤りを感じるところであります。
既に石原知事も所信表明において、その責任を厳しく追及すると述べたところであり、昨日、東京都は、埼玉、千葉、神奈川の三県と共同して告発状を提出したところです。私たち都議会民主党も、ユーザーへの対応や補助金の返還など、その責任を厳しく追及すべきであると考えますが、改めて石原知事の見解をお伺いいたします。
答弁1
▼知事
DPF装置指定申請に際した虚偽データの使用でありますけれども、これは本当に、人の弱みにつけ込んだ卑劣きわまりない私は行為だと思います。天下の大商社が、その子会社か何か知りませんが、いずれにしろ、商社というのは薄利多売と申しますけれども、いずれにしろ、こういう事態につけ込んでデータを捏造して、それで金をもうける。
大気の汚染で苦しんでいる若い人たち、アトピーの若い女性、小児ぜんそくで悩んでいる乳幼児、そういった者の救済というものを私たちは考えて、行政機関も議会も一緒になって決めたことで、推進したことで、また、それに本当に零細の企業の方々が熱い心でこたえてくださった、そういう共同作業の中で、首都圏に限っては、ある歴然とした結果が出ました。
私いつも、ばかの一つ覚えでボトルを見せて歩いていましたけれども、報告では、結果として一日十二万本が五万本に減ったと。もしこういう虚偽行為がなかったら、それは三万本に減ったかもしれないわけでありまして、こういう背信行為というものが、相手が大企業か何企業か知りませんが、絶対に許されるべきじゃないと思います。
これからの環境行政というものは、経済活動のある犠牲を伴わなきゃならないと思いますけれども、そういったものの、企業の営利というものを踏まえた背信行為というものが許されるか許されないか、どこまで罰せられるかということの、一つの新しいこれは凡例になると思いますので、関係首都圏とも合議しまして、徹底した糾弾と、これは後は結局司法任せでありますけれども、強い意思で刑事告発を行ったところでありまして、今後ともその責任を徹底して追及するつもりであります。
質問2
三井物産の不正行為について、装置を指定した東京都の責任も問われるべきだと考えます。事件の背景には、都がディーゼル車規制に間に合うように、DPFの開発や大量供給などを要請してきたこともあるでしょう。また、DPFの認定審査が書類審査だけであったこと、さらには、都職員の立ち会いのもと行われた排気ガス測定実験でも不正を見抜けなかったことがあります。今回の不正行為は内部告発があったために発覚したものですが、内部告発がなければ、今でも基準に適合しないDPFが使われ続けていることになります。今回の事件を契機として、検査体制のあり方を見直し、都としてもしかるべき措置をとるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼環境局長
DPF装置の審査体制についてでございますが、今回の経験を踏まえまして、今後、新たに行うDPF装置の指定審査におきましては、環境科学研究所で確認試験を行うなど、虚偽申請に対する効果的な防止策を早急に講じてまいります。
質問3
また、三井物産以外のDPFについても、都は改めて基準に適合しているのかを調査する必要があると考えます。ことし三月一日、都の指定したDPFに穴をあけるという改造がされたDPFの問題が発覚し、都はこの事件を受けて、他社の装置についても同様の改造がないか調査したところ、さらに二社の不正が発覚いたしました。私は、三井物産以外のDPFについても改めて調査し、ディーゼル車規制に対する都民の信頼回復を図っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼環境局長
三井物産以外のDPFの調査についてでございますが、今後、既に指定いたしました他のメーカーの装置につきましても、指定審査会の意見を聞きながら、PM低減性能を確認するため、環境科学研究所などにおきまして装置の排出ガス測定をできるだけ早期に実施し、都民の信頼回復に努めてまいります。
質問4
都の環境確保条例では、ディーゼル車から排出される粒子状物質、PMの排出基準をさらに強化する第二弾の規制が定められており、都は去る十一月三十日、二〇〇六年四月一日から実施する旨の告示を行いました。このさらなる規制の強化は、二〇一〇年度までに都内のすべての測定地点で浮遊粒子状物質、SPMの環境基準の達成を目指す上で不可欠な取り組みであり、また、動きの緩慢な国の大気汚染対策を促していくためにも非常に意義のあるものと考えています。
しかしながら、八都県市の状況を見ると、埼玉県は東京都と足並みをそろえていますが、千葉県、神奈川県では第二段階の規制は条例で規定されていません。私は、ディーゼル車規制のさらなる強化についても、八都県市が可能な限り連携して実施すべきと考えますが、都は二〇〇六年四月一日の規制強化に向けて、八都県市との連携協力にどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いをいたします。
答弁4
▼環境局長
八都県市での連携協力についてでございますが、昨年十月から開始したディーゼル車規制は、住民の方々が実感できる大きな成果を上げてございます。本来、対策に根本的責任を持つ国の取り組みは極めて不十分であり、首都圏の大気汚染を一層改善していくためには、八都県市が協力して、使用過程車対策をさらに強力に進める必要があるものと考えております。
平成十八年四月から実施することとしております第二段階の規制につきましては、八都県市で広域的に取り組むことができますよう、今後とも積極的に働きかけてまいります。
質問5
次に、ディーゼル車規制に関連して、PM二・五についてお伺いをいたします。
現在、環境基準が定められている浮遊粒子状物質、SPMは、その粒径が十マイクロメートル以下のものですが、それよりもはるかに小さい粒子であるPM二・五については、環境基準が定められておりません。ちなみにマイクロメートルとは百万分の一メートルであり、PM二・五は直径が千分の二・五ミリメートル以下の粒子状物質であります。PM二・五はディーゼル車が排出するディーゼル性排気微粒子など、化学物質が主な成分と見られており、ぜんそくや気管支炎を引き起こすばかりか、むしろ大きな粒子よりも、気管を通過しやすく、気道よりも奥の肺胞などに付着するため、人体への影響が大きいと指摘されています。PM二・五については測定方法が確立していないことを理由に、国は環境基準を定めることに及び腰ですが、都はPM二・五についても環境基準の設定と、その抑制に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁5
▼環境局長
PM二・五に対する取り組みについてでございますが、大気中のPM二・五は、SPMのおよそ七割を占め、特に人への健康影響が危惧されております。都の調査結果におきましては、PM二・五の大部分は、ディーゼル車から排出される粒子と揮発性有機化合物、いわゆるVOCなどからの二次生成粒子でありまして、大気汚染の測定結果からも、今回のディーゼル車規制により大幅に削減された状況が明らかになっております。
今後、ディーゼル車対策に加えましてVOC対策に取り組むなど、その一層の削減に努めるとともに、国に対し、引き続きPM二・五の環境基準の設定等を求めてまいります。
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■廃棄物行政 |
質問1
容器包装リサイクル法の見直しが国において検討される中、都は、都内区市町村と連絡会を設置し、去る十一月十五日に法律の抜本改正を国に提案しました。私は特に、現行法に欠けている発生抑制と再使用の促進という考え方を盛り込み、それを実施するために、事業者に容器包装利用量の報告を求め、公表するといった具体的な制度を提案している点を評価したいと思います。私は、都と区市町村との共同提案の実現に向け、都が国を動かすよう積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁1
▼環境局長
廃棄物行政に関しまして、まず、容器包装リサイクル法の見直しに係る共同提案の実現についてでございますが、現在の法律は、リサイクルの推進に一定の成果を上げているものの、発生抑制や再使用は進んでおらず、これらを進めるための仕組みが必要であるものと考えております。
今回の国への提案は、事業者が発生抑制や再使用に向けて取り組むべき事項について国が定めることなどを、都及び区市町村が共同して取りまとめたものでございます。
今後、都は、八都県市を初め全国の自治体とも連携して、国に提案の実現を強く求めてまいります。
質問2
ペットボトルなどの廃プラスチックの発生抑制を徹底した上で、再使用、再生利用もできない廃プラスチックについては、今までのように埋立処分するのではなく、国を上回るダイオキシン規制を前提として、熱として回収するサーマルリサイクルを導入すべきだと考えています。プラスチックはそもそも化石燃料の固まりであり、軽くて丈夫でかさばるために、これを埋立処分するには大変なコストがかかります。また、付着混入している有機物の分解によりメタンガスが発生し、汚水の原因にもなります。プラスチックを埋立処分することは、環境負荷を何年にもわたり与え続けるということなのです。これまで燃えないごみとして出してきたプラスチックを燃えるごみとすることに、不安や抵抗を覚える都民も少なくないと思います。しかしながら、私は、都としても廃プラスチックのサーマルリサイクルの導入を促進していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼環境局長
廃プラスチックのサーマルリサイクルの促進についてでございますが、廃プラスチックは貴重な資源でありまして、本来埋め立てには適さないものでございます。したがって、廃プラスチックの埋立処分を見直し、発生抑制と再生利用に加え、熱エネルギーとして有効利用するサーマルリサイクルを推進することが必要なものと考えております。そのためには、都民の不安を払拭し理解を得ることが重要であり、都は、区市町村と連携し、清掃工場の安全性やサーマルリサイクルに関する正確な情報を都民に十分に伝えてまいります。
質問3
産業廃棄物の不法投棄の防止についてお伺いいたします。
不法投棄の防止に向けて、ことし五月の廃棄物審議会では、排出事業者の適正処理への取り組みを公表する制度や、処理業者の産業廃棄物処理の状況を公表する制度といった、全国でも初めての制度を答申しました。私は、早期に制度を構築するとともに、八都県市が連携して産業廃棄物の不法投棄の防止に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
また、産業廃棄物の不法投棄防止に向けて、GPSやICタグなどのIT技術を活用した追跡システムについても積極的に導入していくべきだと考えます。十七年度の重点事業では、医療廃棄物でのICタグの活用を打ち出していますが、廃棄物審議会で求めていたPCB廃棄物や、福岡県で実施されている公共機関からの廃棄物など、他の産業廃棄物へのIT技術の活用を拡大し、不法投棄の防止に役立てていくべきだと考えています。IT技術を活用した産業廃棄物の不法投棄防止への取り組みについての見解をお伺いいたします。
答弁3
▼環境局長
産業廃棄物の不法投棄の防止に向けた新たな制度の構築についてでございますが、東京都廃棄物審議会の答申は、排出事業者や処理業者に、適正処理への取り組みや処理状況などの報告を求め、公表する制度を提言しております。
この答申を受け、現在、具体的な内容の検討を行っているところでございまして、できるだけ早期に、報告、公表の仕組みを構築してまいります。
また、産業廃棄物は都県を越えて広域的に処理されるため、八都県市の調整を図り、広域的な仕組みを構築するよう努めてまいります。
次に、IT技術を活用した産業廃棄物の不法投棄防止への取り組みについてでございますが、不法投棄を防止し、適正な廃棄物管理を行うには、IT技術を適切に活用することが有力な方法と考えております。
このような観点から、都はこれまでも、バーコードを活用した医療廃棄物適正処理モデル事業を支援しているところでございますが、来年度からは、重点事業として、病院を対象にICタグを活用した医療廃棄物追跡システムのモデル事業を実施するほか、PCB廃棄物の処理において、処理事業者に対し、運搬車両の位置が随時確認できるGPSの採用を処理施設への受け入れ基準とするよう働きかけてまいります。
質問4
廃棄物問題の最後に、循環型社会の形成についてお伺いをいたします。
循環型社会形成推進基本法では、政策の優先順位として、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用、そして熱回収、さらに適正処分という順を掲げております。しかしながら、現行の廃棄物行政での税金のかけ方は、こうした優先順位に基づいているとは思えず、逆に、埋立処分することにウエートを置いているように思われる例があります。
十一月十九日、私たち都議会民主党は、食品廃棄物を家畜の飼料としてリサイクルする工場を視察してきましたが、事業者からは、行政の廃棄物手数料が低く抑えられているため、リサイクルが事業として成り立たないとの意見を伺いました。もちろん一般廃棄物を適正に処理することは区市町村の責任ですし、むやみに手数料を上げろという話ではもちろんございません。しかしながら、ごみを出す側からすれば、清掃工場で燃やし、最終処分場に埋め立てた方が税金で低く抑えられた費用で済むため、何の補助金も受けていないリサイクル業者に引き渡すよりも有利ということになります。これではリサイクルが円滑に進みません。私は、循環型社会の形成に向け、食品に限らず、さまざまなリサイクルが産業として成り立つような政策を都においても積極的に推進すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁4
▼環境局長
リサイクルが産業として成り立つ政策の推進についてでございますが、循環型社会形成のためには、リサイクル産業の発展が不可欠でございます。
都はこれまでも、スーパーエコタウン事業による新たなリサイクル産業の育成などの取り組みを行ってまいりました。
今後、これらの取り組みとともに、再生資源の一層の需要拡大などを通じて、さまざまな分野においてリサイクルが産業として成り立ち、円滑な資源循環が進むよう、区市町村などとも連携して積極的に取り組んでまいります。
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■雇用就業対策 |
質問1
まず、若年者対策について伺います。
九月十日に厚生労働省が発表した労働経済白書によると、二〇〇三年のフリーターは前年比八万人増加し、二百十七万人。十五歳から三十四歳の若年層のうち、仕事もせず、学生でもなく、職業訓練もしていない無業者、いわゆるニートが五十二万人にも上り、一年間で四万人も増加していることが明らかになりました。十七年度重点事業では、青少年対策として若者の社会的自立を支援する取り組みを掲げていますが、都がこれまで取り組んできたフリーター対策や新卒者の就労支援などに加え、これからは、アルバイトもせず、就労意欲もないニートに対しても積極的に支援をしていく必要性があると考えます。
また、既にニートとなっている人は二十代、三十代にも多く、十八歳未満という青少年というカテゴリーではとらえることはできません。そこで、まずニート対策に向けた都の基本認識をお伺いいたします。
ニートは、学校を初め公共機関に抵抗感を抱いている人も多いように思います。十七年度重点事業では、しごとセンターでの取り組みや高校中退者への支援などを打ち出していますが、公的機関であるしごとセンターに立ち寄りたくない人、あるいは自分がやめた学校やその担任から連絡をもらいたくない人などには、その対策は及びません。労働政策研究・研修機構副統括研究員の小杉礼子氏は、ニートを、反社会的で享楽的、今が楽しければいいというヤンキー型、社会との関係を築けず、こもってしまうひきこもり型、就職を前に考え込んでしまい、行き詰まってしまう立ちすくみ型、一たんは就職したものの早々にやめ、自信を喪失したつまずき型の四つに類型化しており、ニート対策はこれらのタイプに分けて、必要に応じた取り組みをとるということが求められています。
私は、ニート対策に取り組む上で、まず実態をしっかり把握し、その上で適切で有効な施策を講じていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁1
▼竹花副知事
いわゆるニート問題についてでございますけれども、次代を担うべき若者が少なからず、働くことも学ぶこともなく、またそうした意欲にも欠けるということは、本人はもちろん、社会全体にとっても大きな損失でございます。
こうした状況は、既にイギリスでは大きな問題として取り上げられておりまして、数年前から、青少年を対象とした対策が政府により進められていると聞いております。
一方、我が国においては、この問題が本格的に取り上げられたこと自体、最近のことでございまして、その実態はよくわかっておりませんけれども、若者が社会に適応できない状況の一つのあらわれでありまして、何らかの対応が必要であると思います。
もとより、本人の自覚、保護者の指導が重要でありますけれども、都といたしましても、中学生の職場体験や高校生のキャリア教育、奉仕体験活動などの取り組みを拡充するなどいたしまして、生活の糧をみずから得ることのできる自立した青少年の育成に努めてまいりたいと思っております。
また、都は今年度から、ひきこもりで悩む若者へのインターネット相談を実施しておりますが、さらに来年度以降は、高校を中退し、将来を決めかねているような若者への支援を実施することといたしておりまして、これらを通じまして、いわゆるニートといわれる方々の実態がより明らかになれば、さらに有効な手だてを講じることも期待できるものと考えております。
質問2
ニートの自立には、就業を通じた社会参加が不可欠です。都は、ことし七月に開設したしごとセンターに、東京版ジョブカフェであるヤングコーナーを設置し、若者に対する就職相談、セミナー、職業紹介等の総合的な就業支援サービスを提供し、これまでに一定の成果を上げています。しかし、こうした施設は、しごとセンターにみずから出向いてくる若者に対しては有効な施策ではありますが、ニートと呼ばれる、就業をためらっている若者や就業に自信を喪失している若者が、飯田橋にあるしごとセンターにわざわざ出向くことは余り期待できません。都は、いわゆる待ちの姿勢ではなく、しごとセンターから出て、若者に身近な場所でサービスを提供するとともに、しごとセンターについても、若者が親しみやすい雰囲気づくりを行うべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
若年者の就業支援についてでございますが、就業を支援するには、さまざまな方法により若者と接する機会をふやし、働きかけを行うことが必要でございます。このため、しごとセンター事業の一環として、新たに若者や家族の目にとまりやすい場所に出向いてカウンセリングを行うなど、身近な地域できめ細かな就業支援サービスの積極的な展開を図ってまいります。また、当事者の声も参考にしながら、しごとセンターのヤングフロア等を、若者が気軽に足を運び、一層親しみが持てるものとするよう努めてまいります。
質問3
また、ニートになった人への施策だけでなく、ニートになる前のなるべく早い段階で本人の意識改革を促し、これ以上にニートになる若者を増加させないための取り組みも重要です。十七年度の重点事業では、中学校において一週間程度の職業体験を実施したり、高校においてもキャリア教育の充実に向けた事業を展開することになっており、私はこうした取り組みをさらに拡大していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼教育長
学校教育におきます職場体験やキャリア教育の充実についてのお尋ねでございますが、職場体験や就業体験は、生徒に働くことの意義を理解させまして、社会的自立を促す上で極めて重要な教育活動の一環でございます。
平成十五年度には、都内の八三%の公立中学校、四六%の都立高校におきまして、地元の商店街や福祉施設、企業等で職場体験や就業体験を行いまして、生徒の望ましい勤労観や職業観の育成を図っておりますが、今後、中学校におきまして、一週間程度の職場体験モデル事業を実施しまして、その成果と課題を踏まえまして、区市町村教育委員会と連携して、実施校の拡大を検討してまいります。
また、高校におきましては、社会で活躍する卒業生の話を聞く機会の充実や、経済団体が主催する研修講座への教員の派遣、インターンシップの充実を図るためのモデル校の指定などによりまして、各学校におけるキャリア教育の一層の推進を支援してまいります。
質問4
次に、労働相談の充実について伺います。
東京都における中小企業の景況は三カ月連続の悪化で、景気回復に陰りが出るなど、憂慮すべき状況にあります。また、雇用状況につきましても、完全失業率が再び五%台となり、対前年同期と比べて〇・二ポイント上昇となるなど、依然として厳しい状況が続いています。労使関係に目を向けますと、賃金の不払いや、解雇予告なく解雇がされるなど、労働法規が遵守されないといった問題が顕在化しています。また、パートタイム、派遣労働など、就業形態の多様化に伴い、労働相談も個別化、複雑化の傾向を強めています。
こうした状況の中で、都はことし四月、労政事務所を再編し、新たに労働相談情報センターを設置しました。三月の予算特別委員会で私の締めくくり総括質疑に対して、都は、再編に当たっては労働相談情報センターの各所における相談情報を集約し、情報の共有化など、相談機能の充実強化を図っていくと答弁しています。現在、相談が困難性を増す中、働く都民の駆け込み寺として新しくスタートした労働相談情報センターが、さまざまな労働相談に的確に対応していくことが強く求められています。今後とも、労働相談機能の充実強化に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
ところで、解雇等、迅速な対応を必要とする労働相談は、やはり相談する都民にとって身近なものでなければなりません。都ではこれまでも、出張労働相談や平日夜間及び土曜の相談実施など、都民の利便性向上に向けた取り組みを実施していることは承知しています。しかし、事務所の立地についても、相談者にとって利用しやすいものとすべきです。既にこの問題も、私たちが議会で指摘してきたところでありますが、労働相談や労使紛争の未然防止の拠点にふさわしい事務所の配置について見解をお伺いいたします。
答弁4
▼産業労働局長
労働相談機能の充実強化についてでございますが、昨今の労働相談は、個別化、複雑化の度合いを増しており、労働相談情報センターは、こうした相談に的確に対応することが必要とされております。
このため本年度は、外部の有識者等で構成する労政事業評価委員会におきまして、相談機能の強化策を検討しているところでございます。また、本年度、労働相談の研究会を設置し、困難な事例を収集、分析しているところであり、今後、相談現場に還元するなど、労働相談情報センターの相談対応力の向上を一層図ってまいります。
労働相談情報センターの事務所の配置についてでございますが、各事務所が地域でその役割を十分果たしていくためには、配置についても、都民の利便性をより一層高める配慮が必要でございます。
こうした観点から、老朽化した王子事務所を廃止し、新たに、山手線等多くの鉄道の結節点である池袋に事務所を整備する方向で、現在、準備を行っているところでございます。
来年度早期の開設に向けて、着実に取り組んでまいります。
質問5
雇用の回復、促進にとって、今なお厳しい状況にある中小企業の再生は喫緊の重要課題であります。そうした中で、知事はさきの所信表明において、新銀行東京において、資金繰りで困窮する中小企業の期待に少しでも早くこたえるため、従来の方式に加え、地域金融機関とより緊密に連携をとった新しい再生ファンドを今年度から立ち上げ、順次事業を展開するとされました。
しかし、去る十月には、産業労働局においても、地域金融機関等との共同出資による再生ファンドを創設し、中小企業の再生支援に乗り出しております。
中小企業再生の手段が数多く提供されることは基本的に歓迎するものではありますが、今回の新銀行東京のファンドと産業労働局のファンドとは何が違うのか、また、双方がどのような関係にあるのか、お伺いをいたします。
また、新銀行東京は、平成十七年四月以降に開業を予定しており、十六年度はその準備期間であることから、一部業務停止状態にあると聞いておりますが、このような状況において本格開業前に再生ファンドを設立することは、特に監督官庁である金融庁との関係において支障はないのか、お伺いをいたします。
答弁5
▼新銀行設立本部長
新銀行と産業労働局との二つのファンドの違いと関係についてでございますが、新銀行のファンドは、商法に基づく匿名組合方式をとる債権買い取り型であり、再生可能性を比較的弾力的にとらえ、金融機関の保有する債権の一部買い取りも行うなど、幅広い業務状況にある企業を対象にするものでございます。
産業労働局のファンドは、投資事業有限責任組合法に基づく組合方式をとっておりまして、債権買い取りに加え株式取得も可能であり、再生対象企業に手厚い経営支援を行っていくことが特徴であります。
このように、それぞれがその強みを発揮し、相互に補完し合うことで、より幅広く中小企業の再生に取り組んでまいります。
次に、金融庁との関係についてでございますが、金融庁からは、主に開業準備期間中の預金者等の混乱を避けるため、業務上の措置として業務の一部停止命令が出されており、再生ファンドの立ち上げに当たっては、この業務停止命令の一部解除が必要でございます。
再生ファンドは、今年度から立ち上げ、新銀行の審査体制の整備に合わせて順次事業を展開していくこととしておりますが、こうした方針を新銀行から金融庁に十分説明しており、手続上円滑に進むものと考えております。
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■DV対策 |
DV、ドメスチックバイオレンスは、配偶者や恋人など親密な関係にある、または過去にあった者からの暴力であります。他人の介入しにくい親密な人間関係において行われる、人の目に触れない場所で暴力を振るう、物理的に閉ざされた空間での行為であり、こうした特徴があります関係で、被害者は周囲からの助けも得られず、結果として長期間にわたり暴力を受け続けることがあります。暴力から逃れて自活の道を選ぶにしても、経済的な不安や子どもの養育への不安などから、なかなか踏み切れない人が多いのが現状であります。
六月に改正されたDV法が十二月二日から施行され、保護対象の拡大ほか、民間と連携した取り組みや、区市町村による配偶者暴力相談センターの設置が可能となるなど、対策の充実、改善につながる内容となっています。
そこで、都におけるDV対策の充実について幾つかお伺いをいたします。
質問1
暴力の被害者がまず必要とするのは、支援の情報提供を受けることです。現在、各市町村にも相談機能が置かれており、行政の支援を受けるための一次窓口の役割を果たしています。
都に寄せられたDV相談件数は、平成十二年度の一千六百九十四件から、平成十五年度には九千百二十七件へと増大しており、安全・安心の確保や心のケアの必要な相談者の増加もうかがえます。これらの相談に適切に対応するためには、区市町村も含めた相談機能のさらなる充実が必要です。
そこで、DVに関する相談機能についてどのように充実強化を図っていくのか、お伺いをいたします。
答弁1
▼生活文化局長
都においては、東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターが中心となりまして、さまざまな困難な状況にあります被害者からの相談に応じまして、弁護士や精神科医師による専門的アドバイスも含め、助言や情報提供を行ってまいりました。また、身近な地域における相談窓口の整備が重要であることから、区市町村の相談員や、福祉事務所など関係機関の職員に対する研修等も実施してまいりました。
今回の法改正で可能となった区市町村における配偶者暴力相談支援センター機能の整備や相談事業のレベルアップに向けて、研修内容の充実を図るなど、今後とも、都と区市町村が連携した相談体制の整備に努めてまいります。
質問2
次に、一時保護についてお伺いをいたします。
配偶者などによる暴力の被害者が緊急時に必要とするのは、一時的に身を寄せることができる場所であります。一時保護の件数は、平成十二年度が二百二十七件、十五年度は六百十四件へと、これも増大しています。一時保護件数の増加に対応できるよう、一時保護の受け入れ可能体制を充実する対策が早急に必要と考えます。
改正法では民間との連携が盛り込まれました。一時保護について、民間委託などの方策で充実する必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼福祉保健局長
配偶者などからの暴力被害者にかかわる一時保護についてでありますが、都はこれまでも、女性相談センターで実施している一時保護に加え、四カ所の施設に委託し、配偶者などからの暴力被害者の保護に努めてまいりました。
今後とも、今回の法改正の趣旨も踏まえながら、活動実績のある民間団体に一時保護を委託するなど、受け入れ体制の確保に努めてまいります。
質問3
次に、被害者の自立支援についてであります。
改正法では自立支援が明文化されたこと、これは大きな成果だと考えています。被害者が暴力の影響から回復するためには欠かせないものであります。自立支援については地方公共団体の責務とされており、福祉事務所の役割も明示されました。今後の取り組みが求められますが、都は自立支援をどのように行うのか、お伺いをいたします。
答弁3
▼生活文化局長
配偶者暴力被害者の自立支援についてでございます。
東京都はこれまで、関係機関と連携し、生活の援護、就労の支援や心のケアのための講座等を実施してまいりました。被害者の自立支援のためには、都や区市町村、民間団体などが協力し、被害者のニーズに応じたきめ細かな対応を行っていくことが重要と考えております。
このため、区市町村などの関係機関と連携しながら、被害者の総合的、体系的支援のための基本プログラムを新たに作成し、各支援機関のネットワークの構築など、支援体制の整備に取り組んでまいります。
質問4
DVについて伺ってまいりましたが、家族の間で起こる暴力はDVだけではありません。このほか、児童虐待、そして、子どもから親に対する暴力、いわゆる家庭内暴力もあります。ご承知のとおり、これまで述べてきましたDVや児童虐待に関しては法整備がされていますが、子どもの親に対する暴力の場合、家族の中で解決すべきだという考え方が強くあり、また、暴力の対象者が親であるために、児童虐待やDVのように絶対的な弱者とみなされないなどの理由から、法整備などの特別な枠組みができないという考え方があります。
しかしながら、子どもによる親への暴力に関しては、当事者の関係が近いがゆえに、家族では解決できないほど深刻な事態に陥ってしまいがちです。外からの支援を得て、なぜ暴力を振るうようになったのかという家族の問題にアプローチしなければ、解決には結びつきません。
先月二十五日に、茨城県土浦市で、長男が父母と姉を殺害するという事件が起こりました。犯行に及んだ長男は、日常的に母親に対して暴力を働いていたといいます。また、二〇〇〇年一月に明らかになった、新潟県で九年間少女を監禁していたという衝撃的な事件でも、母親に対して長期にわたり暴力を加えておりました。どちらのケースも、重大な結果になる前に行政が何らかの支援ができていたならば、最悪の事態は避けられたかもしれません。
家庭内暴力についても早期の対応が重要であり、暴力が深刻化しないうちに、特に小学校、中学校の時期に、子どもに問題行動が見られるようになった段階で、家庭から相談を受け、支援をしていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁4
▼福祉保健局長
子どもの問題行動に対する支援についてでありますが、子どもの家庭内暴力は、思春期における心の問題の一つとして大きな課題となっていますが、その背景には、家庭環境や親の養育力など、複雑かつ多様な要因があります。
都では、児童相談所において、十八歳未満の子どもに関する性格行動の相談を受け、問題行動に至った原因や子どもの心理状態を把握し、本人や親への指導助言を実施しております。また、精神保健福祉センターを中心に、学校、保健所などが連携して援助活動チームを編成するなど、地域で、本人を含む家族を支援する取り組みを進めています。
今後とも、こうした関係機関が連携を図り、必要な場合には一時保護をするなど、適切な支援に努めてまいります。
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■犯罪対策 |
質問1
東京の犯罪というと、残念ながら有名になっているのが、都庁のおひざ元、歌舞伎町です。警察と地元区、商店会、自治会とが連携した浄化作戦が展開されており、都民のだれでもが安心して楽しめるまちへと確実に変貌を遂げていると感じられています。
しかし、警視庁が公開しているホームページの中の犯罪発生状況を見ると、ひったくり、侵入盗、車上ねらい、粗暴犯などの発生件数では、相変わらず歌舞伎町周辺の濃い赤さが目立ちます。この赤さというのは、犯罪件数が多くなると赤くなるというわけでございます。やはり歌舞伎町を完全に浄化することというのは困難なのでしょうか。歌舞伎町が浄化されれば、東京都全体の安心・安全感、体感安全度が増すことは容易に想像できます。そこで伺います。
警視庁では、新宿歌舞伎町地区における盛り場対策を重点的に進めておりますが、取り組みとその成果についてどのように認識されているのでしょうか。改めて警視総監にお伺いをいたします。
答弁1
▼警視総監
歌舞伎町対策の取り組みとその成果についてでありますが、警視庁といたしましても、我が国有数の盛り場である歌舞伎町の環境浄化は、東京の治安回復の一つの象徴的な意義を持つものであると考えております。
そこで、この歌舞伎町に池袋、六本木を加えました三地区の環境浄化を図るため、この春から三地区特別対策本部を設置いたしまして、本部捜査員を集中投入しての一斉摘発や、新宿署と周辺警察署との共同捜査、あるいは東京入管との合同摘発等を集中的かつ継続的に行っているところであります。
対策を始めました四月から十月末までの歌舞伎町での摘発の成果を申し上げますと、違法マッサージ店など風俗営業関係事犯を百六十二店、人数にいたしまして約五百人、また暴力団員を約二百人、それから不法滞在等の不良外国人約七百人をそれぞれ検挙いたしておりまして、その結果、違法風俗店等は相当数廃業するに至っております。
また、この期間中の歌舞伎町における刑法犯全体の認知件数でありますが、昨年の同期に比べまして一六%減少しております。また、ご質問にありました、ひったくり及び侵入窃盗はいずれも六〇%減少、車上ねらいが五〇%減少、暴行、傷害等の粗暴犯が二四%減少など、着実に成果が上がってきているところであります。
今後とも、この歌舞伎町を含めました三地区対策は引き続き強力に推進してまいりたいと考えております。
質問2
新宿歌舞伎町を初めとする都内の繁華街では、さきに述べました犯罪行為のみならず、性風俗店への客引き、性風俗店で性的サービスへの従事やポルノビデオ出演等に関する勧誘、現行法では規制できないピンクビラ、そして暴力団による威嚇行為など、目に余る行動が横行しており、来訪者や地域住民の安全・安心を守り、都内繁華街の健全な発展を図るためには、これらの迷惑行為に対する取り締まりが求められております。
そこで、本定例会には、これらの行為を取り締まるための迷惑防止条例等の一部改正案が提出されています。これらの条例案は、これまでの脱法行為に対する禁止規定が厳密に規定されており、まさに徹底的に取り締まるものとなっています。
しかし、歌舞伎町で徹底的な取り締まりを行っても、この種の需要がある限り、他の地域で同様の行為が繰り広げられることになります。こうした迷惑行為等の他地域への拡散についてはどのように対処されるのか、警視総監にお伺いいたします。
答弁2
▼警視総監
歌舞伎町以外の地域への対処についてでありますが、歌舞伎町の取り締まりを強化した場合、歌舞伎町で行われているような迷惑行為がほかの地域に拡散するということはあり得るものと考えております。
このため、歌舞伎町以外の盛り場を管轄する警察署につきましても、盛り場総合対策を進める重点警察署に指定をいたしまして、例えば上野や錦糸町等の各地区におきましても、客引きなどを鋭意検挙しているところであります。
また、今回上程されております、いわゆる迷惑防止条例等の一部改正案は、そのほとんどが都内全域を対象としておりますので、歌舞伎町以外の地域でも大いに有効性を発揮するものと考えております。
いずれにいたしましても、警視庁といたしましては、いろいろな施策や取り締まりを総合的に推進いたしまして、都内における盛り場環境の浄化に一層努めてまいります。
質問3
歌舞伎町を所管する警察は新宿警察署であり、この都庁から歩いて数分の西新宿六丁目にあります。この警察署と歌舞伎町の間にはJR線があり、駆けつけるには、常に渋滞している靖国通りを使うことになります。緊急車両ですから、それほどの時間はかからないにしても、一たん歌舞伎町の中に入るとどうなのでしょうか。容易ではございません。
そこで交番の出番となるわけですが、歌舞伎町の中には、大久保病院の隣に、歌舞伎町二丁目に歌舞伎町交番があります。常時パトカーが二台待機しておりますが、これだけであります。あとは、二〇〇二年二月に五十台設置された防犯カメラで、二十四時間体制で監視するシステムです。やはりカメラで監視するということではなく、人の目が大切なのではないでしょうか。まちに掲示されている、だれかが見ているという標語と、あの目は、やましい気持ちがなくても、どきっとするものであります。
ここで、警視庁が進めている盛り場対策をさらにバックアップする意味から、夢物語かもしれませんが、ちょっと提案をしてみたいと思っております。
それは、思い切って、歌舞伎町の真ん中にある新宿区役所と新宿警察署の場所を交換するということでございます。犯罪の発生を抑制するには、短絡的なようですが、犯罪多発地帯に警察署をつくるという、これに尽きるわけでありまして、昔、シムシティというパソコンゲームがありましたが、このゲームで都市をつくるわけですが、都市に犯罪が多発するというと、そこに警察をつくる、そうするとその都市が安定するというようなゲームがございました。新宿区役所を利用する方々にとっても、日本一の繁華街のど真ん中にあるよりも、都庁のそばにある方がよいと考える方が大方だと思います。
もちろんのこと、一方では新宿区役所の移転を前提とするものですから、地方自治法に定める地方公共団体の事務所の位置の変更として、地元の新宿区及び区民の賛同が必要であることは承知しております。しかし、治安の改善は、新宿区民、都民がこぞって願うところであり、歓迎されると思います。
政治家として石原知事に、この提案についてどのように受けとめられるか、感想があればお聞かせをいただきたいと思います。
答弁3
▼知事
新宿警察署の移転についてでありますが、これはまあ、ただ、大体建物の大きさも同じようなものでして、離れているようで近い、近いようで離れているんですが、あなたも選挙区のあそこら辺でいつも演説していると、なかなかファンの方も多くて、そういう人からもそういう声があるのか知りませんが、ただ、これはやっぱり警察の治安活動のこけんにもかかわることで、新宿署にしてみれば、わずか数百メートルのところに移したことで状況が変わるんだったら、これまで一体、おまえたち今まで何していたということになるわけで、私、野沢君という法務大臣を昔から知っているので、ちょっと動かして、入管の事務所を少しこっちに移して、そのために視察にも行きました。
要するに、警察も含めて行政の機関がちょっと動くと、たちまちあそこから不良の外人たちは姿を消して、翌日には黄金町、日ノ出町にいる。数日後、横浜の市長の中田君に会いましたら、東京が歌舞伎町をやったので、あの連中、次の日には横浜に来て、参りましたというから、じゃ横浜で同じことをやってくれと。今度、横浜を追い出したら、どんどん追い詰めて、要するに日本にいちゃいけない、いてはならない、そして、悪いことをしている外国人は最後は日本からたたき出せばいいんだということを私は申しました。そのかわり──そうすると、またいろいろ物議を醸すでしょうけれども、私は、日本はもうちょっと徹底した大幅な移民政策をすべきだと思っております。それとこの問題は関係ありませんが……。
さあ、これはなかなか富田さんらしい発想でありますけれども、もう少し熟慮させて、結論を出したいと思います。
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