平成16年第4回定例会 代表質問

特殊地下壕対策国へ働きかけを
薬物対策は低学年からの学習を

執印 真智子(ネット)
■東京や首都圏のあり方
 
質問1
 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 族議員と中央官僚の高笑いが聞こえるような三位一体改革の最終決着に、分権の視点は全くなかったといえます。もちろん、地方六団体が小異を捨て大同に立って補助金の削減案を国へ提出したことは大いに評価をするものですが、やはり、国と地方の役割分担をどのようにするのか、補助金だけでなく交付税をどのようにするのか、詰めた議論がなかったところが、三兆円の数合わせを、反対に国に上手に使われてしまったことになり、反省せざるを得ません。自由度のないものを移譲し、国保の補助負担率削減など、都道府県にさらなる負担を求め、公共事業を温存したことは、まさに国に改革の意思なしといえます。
 この先、少子高齢化の中で七百兆円の借金を抱え、税収入の倍の歳出を維持しようとする国に、未来はありません。この三位一体改革の議論を出発点として、人口も総所得も右肩上がりにふえた時代の行政のあり方を根本的に見直さなければならないことを肝に銘じてほしいと思います。
 知事は、先般の国の形という考え方の中で、明治以来の中央集権的な社会のありようについて言及されています。地方分権が進展した後に、東京や首都圏のあり方をどのように描いているのか、お考えを伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 今、地方分権一括法ができた後、ようやく具体的な実現のめどとして、税財源の分与をどうするかということも、一つの大きな要因としての、三位一体の問題がごたごたしておりますが、仮にこれが淘汰されて、望ましい──東京は東京の試案をもう既に提出しておりますけれども、さらにいい案が出てくるかもしれませんが。地方分権というものが税財源の分与を伴って実現したときに、この首都圏がどういう形になるだろうかという予測についてのお尋ねですが、私は、今ちょっと触れられましたDPFの問題も含めてのディーゼル規制、これは一種の広域行政として、進め方としては成功したと思います。
 その他幾つかのことを、首都圏の業務というものを推進、サポートしている隣の神奈川県、千葉県、そしてまた埼玉県の四県の知事、そして政令指定都市の市長さんたちと話しておりますけれども、やっぱり結果として私は、首都圏というのは一つの独立した自治体になっていくと思います。それがまた望ましいと思います。
 とにかく昼間人口も、今の行政区分だと、他県から昼間人口三百万もふえるという形になっておりますし、東京都の職員にしたって半分以上が都の在住者じゃないという実態ですが、これは非常に不自然な形だと思います。いずれにしろ、私は、道州制ということがいわれて非常に久しゅうございますが、地方分権に付随して首都圏はそういう形をとっていかざるを得ないと思いますし、また、どういう区分になりますか、今の四十七都道府県というのは非常に無理な形で運営されているわけですけれども、これは幾つかの道州制という形に移行していかざるを得ない。
 私は、余計な説明になるかもしれませんが、こういう歴史的な必然性というものを、ごく最近、新しいバリアが阻害してきた。それは田中角栄さんがいい出した列島改造論で、ああいった、ある意味では破天荒な論、田舎の人の都会に対する渇望、羨望というものを表象する、つまり、各都道府県に空港があり、新幹線が走っている、高速道路が走るという、そんな均一化というのは、要するにこの日本に必要ないし、また、すべきではないと思います。
 ただ、あれを彼が強引にいい出して、一部着手したために、つまり、我々の地方も大都会と均一であるべきだという妙な行政の妄執もできまして、それが非常に事を混乱し、阻害してきたという感じがいたしますが、それが国家の財政状況から見ても無理だということも国民が知ってきましたし、新しい流れというものが兆してきた。その中で、私は、ご質問のように、道州制や地方分権というのは、それなりに確立していったときに、今の行政区分というのはやっぱり崩壊していって、新しい行政区分、もっと大きなくくり方で地方というものを構成立てていく、そういう時代が来るんじゃないかと思っております。
 
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■防災
 
質問1
 阪神・淡路大震災から約十年がたち、防災に対する意識が薄れかけたこの時期に新潟県中越地震に見舞われ、まさに備えが重要なことを改めて痛感させられました。被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。
 十二月二日、消防庁は歌舞伎町を査察しました。事業所の防災計画はつくられているものの、依然として二割が消防法違反であり、関係者の防災意識が高まったとはいえません。震度六クラスが東京を襲ったとき、大都市特有の危惧として、不特定多数の人々の混乱が挙げられます。帰宅困難者はもとより、買い物客や観光客、外国人、通学途中の子どもたちがどのような被害を受け、避難をするのか。携帯電話での家族との連絡のとり方、また、地下街、超高層のビルで陸の孤島のように取り残される状況など、これまでの被害想定以上の新たな問題が山積みとなっています。
 昼間都民の混乱防止対策として、行政の役割と事業者の役割及びその連携はどのようになっているのか、伺います。
 
答弁1
 ▼総務局長
 震災時におきます昼間都民の混乱防止対策についての質問にお答え申し上げます。
 混乱防止には、まず、自助、共助に基づく昼間都民や事業者みずからの取り組みが重要でございます。このため、東京都震災対策条例では、従業員や顧客及び周辺地域の住民等の安全確保を事業者の責務として定めております。
 一方、都は、災害時の心構えや安否確認の方法などについての普及啓発や帰宅訓練の実施とともに、事業者に対し事業所防災計画の作成などの指導を行っております。また、災害時には、報道機関、区市町村などと連携しながら、被害状況や交通機関の運行状況等について、迅速かつ的確な情報を提供することにしております。今後とも、区市町村、事業者、防災機関と十分連携を図り、昼間都民対策の充実に努めてまいります。
 

 
質問2
 防災の観点から、都内の地下ごうについて伺います。
 国土交通省は、経年変化による特殊地下ごうの劣化を起因とする大規模な陥没、崩壊による災害が発生するおそれがあることなどから、平成十三年度に特殊地下壕実態調査を実施しました。それによると、全国に五千三カ所、そのうちの危険またはその可能性がある特殊地下ごうは七百七十七カ所となっています。東京都においては四十八カ所、そのうちの危険またはその可能性がある特殊地下ごうは十二カ所となっています。
 九六年に続き二〇〇二年十月にも陥没事故があった日野市三沢地区の地下ごうは、終戦末期に陸軍からの命令で東京都水道局が築造したことが、東京都土木技術研究所の日野市三沢地区陥没事故調査報告書に記されています。
 地下ごうの上には、四十年ほど前に住宅団地が分譲されましたが、地下ごうは東西南北約三キロメートルにわたって存在しているといわれており、このうち、今年度中に五十メートルが埋め戻される予定で、約六千万円の費用が計上されています。地下ごうの埋め戻し事業は、国と基礎自治体が二分の一ずつ負担することとなっていますが、三キロメートル分を基礎自治体が負担するのは酷な話です。埋め戻されないまま残る部分が新たな陥没を引き起こすのではないかなど、近隣住民の不安は尽きません。
 実は、陥没事故があったこの地下ごうは、平成十三年度の特殊地下壕実態調査では危険箇所と指定されていませんでした。現在、危険箇所となっていないところでも、都市開発の影響や経年変化による劣化などにより、いつ陥没及び崩壊による災害が発生するかはわからない状況です。
 都民の安全を確保するため、国の責任において都内の地下ごうの再調査と埋め戻しを行うよう、国交省に働きかける必要があると考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 特殊地下ごう対策事業についてでございますが、この事業は、旧日本軍などが築造し、市街地に現存する防空ごうで、陥没等により市街地に影響を及ぼすおそれのあるものを埋め戻すなど、防災対策を行うものでございます。
 危険性の高い地下ごうにつきましては、早急に対策を講じていく必要があり、国が相応の責任を持つべきと考えております。
 都といたしましては、今後、安全性に対する監視体制の強化や、危険な箇所についての速やかな対策がとれるよう、事業主体となる区市に対する、より一層の支援を国に要望してまいります。
 

 
質問3
 一方、陥没事故のあった日野市三沢地区の南側に、新たに斜面地マンションの建設が計画され、開発許可が申請されています。このような過去に二度も陥没事故のあった場所に斜面地マンションがつくられることは、地下ごうの劣化や、工事による地盤の微妙な変化等も考えられ、さらに危険が増すのではないでしょうか。このような開発許可に対して、都はどのような審査をするのか、伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 日野市三沢地区の開発の審査についてでございますが、都市計画法では、良質な宅地水準を確保するため、宅地の開発に当たり事業者が守るべき技術基準を定めております。
 今回の開発許可において、都は現在、宅地の安全性の観点から、事業者に対し、敷地内の地下ごうの調査とその対応策を求めているところでございます。それらの結果も含め、法令の基準に照らし合わせ、適切な開発計画となっているかどうか、こういったことを審査してまいります。
 

 
質問4
 一九九四年の建築基準法の改正により、ゆとりのある住宅の供給を目的とした住宅地下室の容積率が不算入措置となり、がけ地など傾斜地にマンションの建設が始まりました。業者側は、利益を優先するため、住宅の質、床面積の増加よりも、住宅の戸数の増加に地下室の容積率不算入措置を悪用する結果となっています。斜面を切り崩し、大量の盛り土をして地盤面を操作し、大部分の階層を地下室扱いとした中層階型マンションの建設は、その結果として、斜面地に残された貴重な緑を破壊し、建物による圧迫感、日照被害、斜面の崩壊や大雨被害など、各地で住民の不安を呼び起こしています。
 景観上や住環境の問題などから、横浜市や川崎市などを初め、日野市においても独自の条例で規制に乗り出しているところですが、都はどのようにお考えか、伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 斜面地マンションの条例による規制についてでございますが、容積率の緩和を活用し、傾斜地に建設されるいわゆる斜面地マンションにつきましては、住環境の悪化を招くとして、紛争に至る例が見られます。このため、自治体が必要な措置をとれるよう、本年六月、建築基準法が改正されました。
 一方、ご指摘のように、横浜市や日野市など、独自の条例を制定し、斜面地マンションを規制する自治体も出てきております。
 都といたしましては、こうしたマンションの建設により、市街地環境を悪化させるおそれがある場合には、自治体の条例により地域の実情に応じた適切な規制がなされるよう、区市町の取り組みを技術的に支援してまいります。
 

 
質問5
 次に、土砂災害防止対策についてですが、新潟県中越地震では、土砂災害により大きな被害が生じました。その一方で、新たな宅地開発に伴い、災害の危険性のある箇所も年々増加しています。
 平成十一年の広島の土砂災害をきっかけに、平成十三年四月、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律が施行されました。都道府県では、斜面や渓流及びその下流など、土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況等について基礎調査を実施し、土砂災害のおそれのある区域を指定するとともに、その結果を市町村地域防災計画に生かし、必要な情報を住民に周知させるよう努めることとなっています。
 都においても、昨年度から、多摩西部の斜面を中心に調査を進めておりますが、災害から都民を守るために基本となる重要な調査であると考えます。このような危険性のある箇所については、土砂災害防止対策として、都民へ積極的に情報提供していくべきであると考えますが、見解を伺います。
 
答弁5
 ▼建設局長
 都は、都民の生命や財産を守るため、これまで、土砂災害の危険の高い箇所について、砂防ダムやがけ崩れ防止施設の整備を進めてまいりました。
 また、土砂災害防止法に基づき、平成十五年度から、土砂災害のおそれのある区域を具体的に明らかにする調査を実施しております。今後、この調査結果を踏まえ、土砂災害のおそれのある区域の指定について、地元自治体と連携して説明会を開催するとともに、現地での掲示やインターネットなどにより住民に周知してまいります。
 
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■景観づくり
 
質問1
 次に、景観法施行に関連して伺います。
 一九九二年の都市計画法改正において、市町村レベルで都市計画決定できる、市町村の都市計画に関する基本的な方針、市町村マスタープランを住民参加のもとで策定することが義務づけられ、多くの自治体でまちづくり条例ができました。
 東京都においても、二〇〇三年三月、東京のしゃれた街並みづくり推進条例ができ、住民の創意工夫を生かして、個性豊かで魅力のある街並みをつくる新しい制度として、現在、六地区を街並み景観重点地区に指定し、取り組みが進んでいます。
 このような地域の取り組みが国を動かし、ことし、我が国で初めての景観に関する総合的な法律として、景観法が成立し、いよいよ十二月十七日から施行されます。良好な景観の維持や向上には、景観要素となる個々の建物や外構の保全や規制、つまり、財産権の部分的な制限が不可欠なため、法律が条例の後ろ盾になることが必要です。その意味では、遅かったとはいえ、ようやく景観保全や形成を目的とした法体系が整い、これまでの条例による景観形成をさらに発展させる道具が備わったものとして評価、期待されます。
 景観法では、良好な景観を国民共通の資産とすることを基本理念とし、自治体が取り組む上での具体的な規制や支援も盛り込んでいます。この法律の大きな特徴として、都道府県、政令指定市、中核市または都道府県と協議をして同意を得た市町村が景観行政団体となり、建築物の形態やデザインを誘導したり、緑や里山の保全などを目的とした景観計画を策定することができます。
 そこで、初めに、景観行政団体に対する都の考え方について伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 景観法に基づく景観行政団体についてでございますが、法律では、都道府県などが景観行政団体になり、また、区市町村は知事の同意を得て景観行政団体になることができるとされております。
 都は、法に先立ち、条例を制定し、東京全体から見て景観の骨格となる基本軸を指定して、届け出制度により景観を誘導するなど、広域的な視点から景観づくりを進めてまいりました。都といたしましては、このような従来からの取り組みを一層充実させるとともに、法に基づく景観行政団体として、区市町村と協力しながら、良好な景観づくりを推進してまいります。
 

 
質問2
 景観法では、市区町村が景観行政団体になった場合、都道府県との二重行政を避ける仕組みとなっています。例えば、丘陵や河川のように広域的な視点からの連携が必要な地区について、市区町村の景観計画が個別に策定されることも考えられます。都は、こうした点について市区町村とどのように調整していくか、考えを伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 景観計画に関する区市町村との調整についてでございますが、河川や連檐した市街地などにおいて良好な景観を形成するためには、行政区域を超えた取り組みが必要であると認識しております。
 このため、都は、区市町村とも連携し、東京を特徴づける地形や自然、風格ある街並みを生かしたまちづくりなど、広域的な景観づくりに取り組んでまいりました。今後、景観計画の策定など,景観法を活用する場合には、区市町村の意見も踏まえつつ、東京全体として施策の一体性、整合性が確保されるよう適切に対応してまいります。
 

 
質問3
 目指している都市の景観を、美しい風景、街並みだけではなく、心地よい風景、歩いて楽しむ視点、安心・安全の視点という発想の転換を図り、日常の生活レベルに近い視点を多く取り入れる必要があるのではないでしょうか。見解を伺います。
 この法律を一言でいえば、地域の特色を生かした多様なまちづくりが可能となる法律といえます。地域に合ったまちづくりを進めれば、当然、多様なまちづくりが展開されます。都は、市区町村が景観行政団体となって、景観の保全と創造に取り組むことを進めるという立場に立ち、技術的支援等の必要な支援を行うべきです。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 日常生活レベルの景観づくりについてでございますが、良好な景観は、視覚的な美しさにとどまらず、自然、歴史、文化など地域固有の特性を生かし、その多様な形成を図る必要があると認識しております。
 ご指摘の日常生活レベルの景観づくりにつきましては、区市町村が地区計画などを活用し、地域住民とともに取り組むことが望ましいと考えております。都は、区市町村との適切な役割分担のもとで、東京の持つ多様な魅力や個性を発展させるよう、総合的かつ計画的に景観づくりを進めてまいります。
 
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■福祉のまちづくり
 
質問1
 福祉のまちづくりは、高齢者や障害者などに対するさまざまな障壁を取り除いていこうというバリアフリーの視点で進められてきましたが、これからの社会には、すべての人にとって暮らしやすい環境づくりをいうユニバーサルデザインの考え方が重要になってきます。
 東京都の福祉のまちづくり推進協議会では、ユニバーサルデザインについて議論が行われ、各分野における取り組みの方向性についての中間的なまとめが七月末に発表されました。これまでのバリアフリーからユニバーサルデザインへの観点で政策転換を図ろうとする取り組みに期待するところですが、基本的な考え方と今後の検討の方向性について伺います。
 これまでのバリアフリーのまちづくりで、段差の解消やエレベーターの設置など、車いすでの移動の制約はかなり改善されてきました。それにつれて、これまで外出を控えがちであった重度の障害者も外出の機会が広がり、さらにきめ細かい福祉のまちづくりが必要になっています。
 ユニバーサルデザインには、利用者の声による改善の積み重ねが重要であり、改善を継続していくための仕組みづくりが求められていると考えます。そこには、当事者の参画、情報の公開、隠れたニーズへの配慮などを踏まえて評価が行われる必要があります。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 ユニバーサルデザインのまちづくりについてでありますが、本年七月の福祉のまちづくり推進協議会の中間のまとめでは、ユニバーサルデザインとは、すべての人にとって暮らしやすい環境をつくっていこうとする利用者本位の考え方であり、都がこうした考え方を基本に、安心して安全かつ快適にだれもが暮らすことのできる福祉のまちづくりを進めることの重要性を述べております。
 今後、推進協議会では、建築物、公共交通などの専門部会を設置し、検討を進めることとしており、都としても、その議論を踏まえ、ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりの進め方について検討してまいります。
 

 
質問2
 例えば、だれもが必ず必要なトイレの問題は深刻です。食事を一食抜くことはできても、トイレを一回抜くことはできません。障害者団体が実際にまちに出て一つ一つ調べた結果でも、幾つかの不備が指摘されています。特に、おむつ着用の体の大きな障害児及び障害者が、おむつを交換できるトイレが非常に少ないのは問題です。
 平成十二年十二月に出された施設整備マニュアルでは、誘導基準として、広いスペースがあれば、長いすまたは寝台を設けるとされています。市や区の施設の中には、折り畳み式のベッドが設置されている例もありますが、残念ながら、この都庁舎には一カ所もありません。多くの人が出入りする施設が誘導基準を採用することが望まれますが、まずは都が率先して庁舎に設置していただきたいと思います。見解を伺います。
 
答弁2
 ▼財務局長
 都庁舎における障害者のトイレ利用についてのご質問にお答えいたします。
 都庁舎は、福祉のまちづくり整備方針に基づき、障害者などの方々の利用に最大限配慮して建設しており、また、その後に制定された条例などにも適合するよう、改修や整備を行ってきております。
 このうち、車いすの方などが使用するトイレについては、幅の広い出入り口の確保など、施設整備の誘導基準をおおむね満たしてきてはおりますが、お尋ねの長いすまたは寝台の設置は、スペースの確保が困難なことから、これまで対応がおくれてきた面がございます。近年、折り畳み式などコンパクトな製品の開発もされてきたことから、今後、可能な箇所については設置に努めてまいります。
 
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■薬物乱用防止
 
質問1
 麻薬と同じ作用がありながら法の規制外となっている脱法ドラッグについては、大都市を中心に流通実態が拡大しており、子どもでも簡単に、また気軽に携帯やインターネット等で手に入れることができる状況になっています。
 国では政令を改正し、麻薬に追加指定する方向にあり、都においても来年には脱法ドラッグを規制する条例の制定を予定しています。
 一方、直接子どもたちに危険を教え、子どもを薬物から守ろうと、南多摩保健所管内では、薬物乱用防止対策を南多摩保健医療圏の課題に位置づけ、保健所と地域の関係機関等の協働で、学年別薬物乱用防止教育プログラムを作成しました。未然防止の観点から小中学生に重点を置いたこの取り組みは、大変評価できるものです。
 今後さらに活用を進めていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 学年別薬物乱用防止教育プログラムの活用についてでありますが、青少年の薬物乱用を未然に防ぐためには、小中学生に対し、その発達段階に応じて薬物に対する正しい知識を普及することが重要であると認識しております。
 お尋ねの教育プログラムは、こうした観点から、保健所と地域の関係機関などとが協働して作成したものであります。これまでも、その活用に向けて、各市の教育委員会や学校などへの説明及び講演会の開催などに取り組んできており、今後とも、薬物乱用の未然防止に資するよう、広く普及に努めてまいります。
 

 
質問2
 薬物対策は、低学年からの学習の積み重ねにより、健康を阻害することの恐ろしさを学習することが重要であり、有効であると考えますが、今後どのように取り組みを進めていくのか、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 学校教育での薬物乱用防止の取り組みについてのお尋ねでございますが、薬物の乱用を防止するためには、児童生徒の発達段階に応じて、薬物に関する正しい知識を身につけさせ、適切に判断し、行動する態度を育てることが重要でございます。
 都教育委員会としましては、青少年の薬物問題の深刻な状況を踏まえまして、薬物乱用防止に関する指導資料やチェックリストの作成・配布、薬物乱用防止教室の実施等を通しまして指導の充実を図っておりますが、今後とも、小中高等学校で実施しておりますセーフティー教室に、薬物乱用防止の内容を計画的に取り入れるなど、警視庁、医師会及び学校薬剤師会、福祉保健局等と連携をしまして、児童生徒がみずからの健康を適切に管理し、改善していく力を育てる教育を推進してまいります。
 
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■DPFデータ偽装事件
 
質問1
 次に、三井物産によるディーゼル車粒子状物質除去装置、DPFをめぐるデータ偽装事件についてです。
 この問題は、条例に基づいてDPFの指定承認を行う権限の行使を妨害するものであり、確かにデータの捏造を見破れなかったゆえに、不十分で基準に満たない装置を流通させた都の行政上の責任は重大です。この問題は、単なる怠慢の問題に終わらせることなく、徹底的に究明する必要があります。
 しかし、三井物産の行為は、それ以上に都民と事業者に対する背信行為です。生活者ネットワークは、その意味は、条例違反という以上の政治問題であると考えています。
 第一に、この施策は、周知のように、遅々として進まない国の自動車公害対策に対する都の自治権の行使であり、先駆施策であるということです。今日、三位一体改革が議論されていますが、二○○○年の地方分権一括法にあらわれるように、分権、自治は大きな時代の流れであり、都のDPF対策はその流れと軌を一にするものでした。
 第二に、それゆえ、この自治の施策の推進のため、都内の関係業者は、その経済的負担などを含め、大変な思いで対応してきました。企業の社会的責任が問われる中で、国内の一流企業といわれる三井物産の行為は、その意図は定かではありませんが、この分権と自治の試みに対する重大な妨害といわざるを得ません。これを単に行政上の罰の行使だけで終わらせることは、分権の推進にとってマイナスです。
 この施策は、石原都政の施策の目玉です。これを大企業三井物産がないがしろにしたことは、自治にかかわる政治問題ととらえるべきです。知事のお考えをまず伺います。
 私たち生活者ネットワークは、この議場にいらっしゃる皆様とともに、この施策に賛成してきました。私たちにとっても、自治の侵害であり、議会議決をないがしろにするものであります。こうした自治にかかわる政治問題の解明や追及に関しては、議会として最大限に調査権限を行使すべきと考えます。三井物産を告訴したことで、司直の手に渡ってしまうと、都民の目には見えにくくなります。
 生活者ネットワークは、この場をおかりして、本会議場にいらっしゃるすべての議員の皆様に、委員会での参考人招致、特別委員会の設置、百条調査権を行使することを提案させていただきます。
 そこで、知事に伺います。この問題に関して、都議会への協力についての基本的考えを伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 三井物産による虚偽データの使用はまさに政治問題でありまして、本当に怒りとともに情けなさを感じる。つまり、日本人のモラル、誇りあるはずの大企業のモラルがここまで堕落したのかという慨嘆を禁じ得ません。
 これが議会でこれからどう扱われるか、議会の判断ですけれども、都はもちろん、それに協力をさせていただきますし、具体的なことは担当の局長が申し上げるでしょうが、いずれにしろ、司直の手に一応ゆだねられたわけであります。しかし、東京の主張は、あるいは関係都道府県の主張は、そこの法廷でもなされるわけでありまして、私は、単に彼らがいい出している賠償行為というものが満たされただけで、この問題の円満な解決には全くならない。私は、やっぱりここで大きな反省をすべきだし、その主張を東京も法廷でしたいと思っております。
 
 ▼環境局長
 三井物産の虚偽データ使用に対する調査についてでございますが、都は既に三井物産に対し、詳細な調査報告を行うよう指示しているところであり、また、都といたしましても、関係書類の調査、分析を進めるなど、事実関係の解明に努めております。今後とも、議会からのお求めには誠実に対応してまいります。
 
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