平成15年度公営企業会計決算特別委員会 総括質疑

木内 良明(公明党)
■臨海副都心の開発
 
 ▼木内委員
 既に分科会の質疑も終わっておりまして、同僚委員が二名、質疑を行われました。重複を避けながらポイントに絞ってお尋ねをしてまいりますので、簡にして要を得た答弁をお願いしたいと思います。
 まず初めに、臨海副都心の開発についてであります。
 今、都民の方々の精神世界の中に臨海副都心に対する大きな思いと期待が本当に光り輝いているというふうに私は認識をしているのであります。よく商業だとか経済だとか流通の面での喧伝が臨海副都心のキーワードとして行われるわけでありますけれども、実はそれ以上に、都民の生活と密接不可分な関係を持った未来都市に向けての都市機能というものがこの臨海副都心には内蔵されているわけであります。
 今でも思い出すのでありますけれども、たしか平成九年の本会議で、私はこの臨海副都心にぜひ総合病院を誘致すべきだという主張をいたしました。当時、東部医療ゾーンといわれた下町の墨田、江東、江戸川などの地域では、住民一人当たりのベッド数、人口当たりのベッド数が極めて劣弱であった。したがって、この臨海に病院をということを提案した。最初、小規模な防災用の医療機能が想定されておりましたけれども、ここには既に、誘致の結果、大塚の癌研が、あの場所を撤収して、ベッド数七百を誇るすさまじい立派な病院が今立ち上がっております。これは、都民の生命と健康を守る大きな医療拠点として今存在しようとしているわけであります。
 また、近年、多様化、凶悪化、国際化する犯罪が頻発する中で、治安こそ最大の都民福祉だと知事は標榜しておられますが、私も全く同感でありまして、警視庁の何番目かの警察署が臨海にできる。青海であります。仮称臨港警察署となっておりますけれども、私はこの警察署のネーミングとして湾岸警察とつけたらどうだ、こういうふうに主張しているわけであります。
 実は、こういったさまざまな分野で都民生活と不可分の関係を持つ機能が充実をしてきているわけであります。したがって、今日までのさまざまな困難を乗り越え、克服をしながら、この成熟したまちづくりに向けて懸命なご努力をされてきた累代、歴代の港湾局長を初め関係者の方々にまず敬意を表させていただきたいのであります。
 冒頭申し上げたように重複を避けたいと思いますので、そのとおりかどうかだけご答弁をいただければ結構であります。
 十五年度決算であります。この十五年度の土地処分収入が幾らだったのか、また、土地処分が順調に進展した要因をどう見るかということが一つのポイントでありますけれども、この年における土地処分収入は約六百七十一億円。また、土地処分が順調に進展した理由としては、港湾局を初めとして関係者の方々が二千社を超える企業を訪問されて、そうしてこの誘致を図った。また、経済環境というものが回復傾向に差しかかってきて、さらに加えて契約方式の見直しや、あるいは交通アクセスの改善等による、いわば臨海副都心の魅力向上が行われてきた、こういうことではないかと思うんですけれども、認識だけ、そのとおりかどうかだけ、港湾局長お答えください。
 
 ▼港湾局長
 ただいま木内理事が申していただいたとおりでございます。
 
 ▼木内委員
 ところで、私も理事として参加しておりました、出席していたことしの予特におきまして、共産党から、臨海副都心の開発は支出が収入を上回り破綻をしている旨の指摘があったんですが、これ、客観的にどういう内容、主張を共産党はしていたんですか。
 
 ▼港湾局長
 予算特別委員会の当時の記録によりますと、共産党のご主張は、収入が、土地の売却収入四千五百三十億円、中期リース収入九百九十億円、手持ち資金六百七十二億円、合計しますと六千百九十二億円、支出が、元金債六千五百七十億円、臨海副都心建設の借入金三千六百五十一億円、今後の追加投資千五百億円、合計すると一兆一千七百二十一億円となり、土地が全部売れても到底借金返済はできず、収益が出るどころか債務超過で大変な財政負担が発生しかねないとの内容でございました。
 
 ▼木内委員
 大変妙な指摘をしているというふうに思うんです。この指摘だと確かに支出が収入を大きく上回り、臨海副都心開発は破綻してしまうことになる。
 分科会におきましても、この開発は順調に進んでいるという答弁もあったし、私もそれについては同じ認識を持っているわけであります。共産党の指摘だと、破綻していることになる。果たしてどっちが正しいんですか。
 
 ▼港湾局長
 先ほど申し上げましたが、予算特別委員会における指摘を拝見しますと、まず、支出におきまして東京臨海副都心建設株式会社を初めとした臨海三セクの借入金残高約三千六百五十億円を含んでおります。これは、株式会社である臨海三セクが独自に返済するべきものでありまして、本来、臨海地域開発事業会計には計上すべきではない、そういう金額でございます。
 また、土地の売却益等の金額が我々の試算額より過少に見積もられております。私どもの試算では、基準標準画地の価格を目途に街区ごとの条件を反映して個別に土地価格を推計し、積算したものでございまして、精度の高いものと考えております。実際、私たちの試算には、収入、支出ともに約八千四百億円でございまして、平成三十一年度に収支均衡する予定でありまして、臨海副都心の開発は全く問題なく進められるものと考えております。
 
 ▼木内委員
 今の答弁でもありましたように、収入、支出ともに約八千四百億円で平成三十一年度に収支均衡する予定、これに向けて努力している、またそのとおり進んでいる、こう私は見るわけであります。
 そうしますと、共産党の指摘というのは全く見当違いな指摘である、こういうふうにいえるんじゃないかと思うんですね。局長、答弁できますか。そのとおりかどうか、あるいはもし答弁したくなければ、私が今ここで結論をつけて次へ進めてまいりますが……。(笑声)何かご発言--というのは、予特のときにも、牽強付会というか、こういう発言が共産党からあったときに、篤実で温厚な局長がえらい声を荒らげて答弁したのが印象的だったものですから、何かありましたら、おっしゃっていただきたい。
 
 ▼港湾局長
 実は予算特別委員会のときの資料に--先ほど申し上げましたように、臨海三セクはそれぞれのビル事業とその事業の収入をもって返済すべきものでございます。それの残高約三千五百億円を無理やり臨海事業会計にくっつけて、それがために足が出る。そういった資料は、やはり公正な議論をする上で、非常に私としては心外だと思いまして、予算特別委員会ではそういう発言を申し上げたところでございます。
 
 ▼木内委員
 ところで、平成十五年度の土地の処分が順調であったという社会環境の変化というものについて触れたわけでありますけれども、さまざまな要因というものが努力のもとに結合してこういう結果になったんだと思いますし、今日的な有利な状況を生かして、さらにこの土地処分というものが成功裏に進むように期待をさせていただきたいと思います。
 また、平成十七年度には晴海通り、「ゆりかもめ」の延伸等が図られまして、臨海副都心は確実に交通アクセスが改善する。こうした追い風をもまた大きなファクターとして積極的な誘致を進めるべきだと思うんです。お尋ねしません。答弁、結構です。
 それから、改めて確認するわけでありますけれども、土地の処分については先ほど来私が確認したとおり着実に進んでいるわけでありまして、今後も土地の処分を進めるということの大きな加速力になりますので、ぜひご努力を願いたいと思うのであります。
 臨海副都心の開発の目的というのは、申し上げたように、職住学遊など、多様な社会的要素が機能として備わるということでありますので、ぜひよろしくお願いしたい。
 それから、先ほども議論がありましたので避けたいと思ったんですけれども、若干異なる角度からお聞きをしておきます。
 今後、大量の都債の償還を間近に控えているわけでありまして、そうしたことを考えると、臨海副都心開発も決して安穏といえる状況ではないわけでありますけれども、何といいますかね、計数的な問題でなく、いわば夢と希望を都民に与えるという立場からの港湾局長の抱負をお聞かせ願えればと思います。
 
 ▼港湾局長
 先ほども述べましたが、今日の社会経済の状況でございますが、長いトンネルがようやく脱却しようとしてきている。実際に民間におきましても設備投資の増加や大幅な収益の向上等が見られるところでございます。
 こうした状況を追い風といたしまして、臨海副都心も他の地域と競いながら確実に開発を進める好機と考えているところでございます。もちろん、先生ご指摘のように、平成二十一年度以降の都債の大量の償還時期を間近に控えまして、決して楽観できる状況にないのも事実でございます。
 しかしながら、開発着手から十六年が経過し、人間に例えるならば立派な青年期を迎えるこの臨海副都心は、どんな苦難にも負けることなく育ってくれるものと信じているところでございます。初心を忘れることなく、また都議会議員の皆様の大きな協力をいただきながら、さらなる開発の推進に邁進していく決意でございます。
 
 ▼木内委員
 最後に非常に心強い答弁を得ました。私ども都議会公明党も存分の応援をさせていただきますので、ぜひ引き続いてのご努力を要請したいと思います。
 
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■下水道の浸水対策
 
 ▼木内委員
 次に下水道局、お尋ねをいたします。
 先ほど来、十五年度末の雨水対策事業あるいは平成十一年度から実施している雨水整備クイックプランについても言及がありましたので、お尋ねをしません。雨水対策事業では一時間五〇ミリの降雨に対応する下水道施設の整備を進め、平成十五年度末までに区部においては約五六%の区域について完了した。雨水整備クイックプランについては、平成十五年度末までに重点三十地区すべてで工事に着手し、そのうち十二地区が完了している。さらに小規模対応八十二カ所のうち八十一カ所、ポンプ対策九地区のうち三地区がそれぞれ完了しているという認識ですが、そのとおりかどうかだけ答えてください。
 
 ▼下水道局長
 ただいま先生のお話のとおりでございます。
 
 ▼木内委員
 今回の台風が下水道の整備水準を上回るものであったわけでありますけれども、先ほども議論がありましたように、決して十分ではなかったということであります。そこで、このクイックプランを既に整備完了しているところについては、その効果がどのようにあらわれていたのか、お答え願えますか。
 
 ▼下水道局長
 クイックプランの整備が完了いたしました重点十二地区のうち、今回の台風二十二号によりまして、中野区東中野・中央地区では床上浸水が、また、北区田端新町・東田端地区では床下浸水が発生しております。これまでと今回の雨の降り方とを単純に比較することはできませんけれども、クイックプランの整備前の状況と比較いたしますと、両地区ともに浸水の被害がほぼ半減しております。残りの十地区につきましては、ほとんど浸水被害が発生しておらず、各地区でクイックプランの効果が発揮できたものと認識しております。
 
 ▼木内委員
 明確に、工事が完了した地区ではこの結果が明らかになっているということは、逆にいえば、全地区について一日も早い整備を行わなければいけないということになると思うんですね。
 当初のスケジュールどおりということは、行政の事業実施としては基本的なものであると思いますが、これを早める、あるいはこの全地区整備に至るまでの、例えばハード面だけでなく、ソフト面でのあらゆる可能な手だての浸水対策等を含めて行うべきではないかと思うんですね。この点についてはどうですか。
 
 ▼下水道局長
 台風二十二号は一時間に七四ミリという降雨を記録いたしました。この降雨に対しまして、下水道の整備水準であります時間五〇ミリを大幅に超える部分につきましては、現在の下水道施設では対応するのは困難でございます。そのため、浸水被害を少しでも軽減するために、これまで繰り返し浸水が発生しておりました地域におきましては雨水整備クイックプランを実施してまいりましたが、お客様みずからも浸水への備えを行っていただけるように、東京アメッシュによる降雨情報の提供や、浸水予想区域図の公表などによりますリスクコミュニケーションの充実を図っているところでございます。
 
 ▼木内委員
 確かにいわれるようにクイックプランの工事の成果というものは非常に大きなものがあるわけであります。
 ちなみに、台風二十二号が来襲しましたとき、翌日、私は地元の深川二丁目というところから通報を得て、現場に足を運びました。明治小学校という古い小学校がありましてね、この北側道路に約二百メートルの取りつけ道路があるんですけれども、東西にわたっている。その東西の道路の端っこと、ちょうど傾斜しているすり鉢の底みたいなところとの高低差がわずか十五センチなんですよ、二百メートルの間に。ところが、大変な豪雨だったものですから、これがどんどんどんどんたまりましてね、地元では何と三十四センチ冠水しました。製本屋さんだとか、一般家庭の中までどんどん入り込んだというようなことがありました。
 私はすぐ区の総務部長を通じて土木部長に会いまして、これ何とかしろということで、何とかすべきだということで話をいたしました。調べてみたんです。そうしたら、一つは、マンホールがコンクリートのふたで目が詰まっちゃってて排水機能がなくなっているということが一つ。それからもう一つは、申し上げた明治小学校のグラウンドの砂や土が、これまでのたび重なる雨で排水口、下水管にどんどん入り込んできてしまって、中が空洞化していなくて詰まっちゃっているというような原因が明らかになったんです。
 それで私は、区の土木部長と話をいたしまして、今度こういう豪雨のときに被害が二度と起きないように何か当面の施策がないかどうか聞きました。下水道局と相談してくれた。数少ないマンホールに加えて、このマンホールに、コンクリートのところに、メッシュ式のをひとつ全部入れましょう。もう一つは、排水機能を倍加させるために、短い区間だけれども、マンホールをメッシュ式のをあと二カ所設けましょう。それから排水口、地下の下水管に詰まっている小学校から流れ込んできた砂、これを全部しゅんせつしますというのでやってくれた。これは何もクイックプランを待たないでも、こうした細やかな地方自治体、区や市との連携で可能なことなんですね。
 ですから、今いわれた例えばリスクコミュニケーションの充実を図るということにはいろいろあるでしょうけれども、こういった半分ハード、半分ソフトのような施策の展開で幾らでも可能なんですよ。これもぜひ念頭において自治体、区市町村との連携を図るようにご努力願えませんか。一点だけ答えてください。
 
 ▼下水道局長
 下水道局も先ほど来申し上げておりますように、雨水整備クイックプラン等によりまして浸水対策に努めているところでございますが、地元区市町村とも十分連携いたしまして、私どもの、先ほど申し上げましたように、時間五〇ミリを超えますと下水道管でのみ込めないという事実はございますけれども、しかし少しでも被害を軽減するために、地元区市町村と協力をして、今後少しでも被害を軽減できるように努力してまいりたいと、こう思っております。
 
 ▼木内委員
 恐縮ですが、五〇ミリ、七〇ミリという基準の雨量とは関係なく、申し上げたように、日ごろの対策が講じられていれば浸水、冠水しないでも済むというケースが幾らでもあるわけで、これについてぜひ区市町村との連携をとっていただきたいということですから、私が申し上げたことを念頭において、指摘の趣旨を踏まえて、区市町村と連携をとる、一言いってくれませんか。
 
 ▼下水道局長
 これまでも区とも連携してまいりましたけれども、今後とも道路管理者との連携をより強化いたしまして、雨水の収容能力を高めるため、先ほど先生のお話のありました雨水ますの増設やグレーチングぶたへの取りかえなどを促進していきたいと、こう思っております。
 さらに、区や町会と連携した雨水ますの点検や清掃などの取り組みを充実してまいりまして、浸水の防除に一層努力してまいりたいと、こういうふうに思っております。
 
 ▼木内委員
 下水道局長、最後に一問。これは下水道局の所管にわたらないかもしれませんけれども、今回私、豪雨のときに都内を回って感じた、いわゆる社会環境といいますか都市構造、建物の構造の変化によりまして、新しい被害が実は出ている。埋め込み式、パレット式の駐車場。これには浸水、冠水の防止策が今ほとんどないんですね。このために排水機能も持っていないものだから、実はマンションなんかでパレットで三段になっていて、上の段、それから地面の高さ、それから地下に埋め込む。ここにどんどんどんどん水が入って雨水がたまって、そうしてエンジンをオシャカにしちゃうんです、車の。私も現場見たんですよ。そしたらね、こんなすき間から下見たら、地下に埋め込みのパレットに駐車している車のボンネットのすき間からばちばちばちばち火花が出てる。これ、私はどういう理由かわからないけれども、実はもうそこまで水が達しちゃっているんですね。このために実は電気系統に障害が出て、接触が悪くなったのか、その車はだめになりました、ということもあるんですね。
 だから、これは下水道局長にお聞きするのは酷かなとも思うんですけれども、まちづくりの大きな視点からのやはり新しい課題だと思います。何か感慨があればおっしゃっていただけますか。この解決に向けての私は強い要請をするわけでありますけれども。
 
 ▼下水道局長
 近年では土地の有効利用を図るために地下室や半地下を有する建物が増加しておりまして、地下室等への浸水被害がふえていることを認識しております。このため、下水道局では排水設備の届け出時に、建築主や施工業者に対しまして、浸水の危険性を説明し、ポンプ施設の設置についての指導に加えまして、水の流入を防ぐ土のうや止水板などの準備について説明を行っております。
 また、区などの建築確認機関に対しましては、地下室や半地下建物にポンプ施設の設置指導をお願いしますとともに、建築業界や建築事務所関連団体などにも、地下室や半地下建物への対応を要請しております。
 さらに、毎年六月に実施しております浸水対策強化月間では、実物大の地下室浸水模型による浸水時の避難体験の実施や、戸別訪問による浸水対策リーフレットを配布するなど、啓発活動にも取り組んでいるところでございます。
 
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■水道事業
 
 ▼木内委員
 水道局にお尋ねします。
 新潟中越地震の当日に--御園技監、見えていますか--が地方へ出張された。飛行機で羽田に着陸をしようとしたところ、たまたま新潟中越地震とのタイミングのせいで着陸が差しとめられたりして、空港で技監の乗っている飛行機が旋回を何回かした。これ自体で、報道される以上に深刻な状況ではないかという判断をされた。で、東京に戻ったときに高橋局長に連絡を入れた。十二時間後、ほぼ半日後、いち早く対策本部を、高橋局長の英断で支援対策のためのスタートを切った、こういうふうに聞いております。
 やはり指揮官の即断、迅速な判断というものが深刻な被害に対して実は大きなサポートになるということだと思いまして、高橋局長、本当にご苦労様でありますけれども、今回の中越地震における水道の被害状況と、水道局が実施している応援の状況、簡単に報告願います。
 
 ▼水道局長
 新潟県の災害対策本部のまとめによりますと、発生直後には県内で合計約十万戸以上が断水をしておりました。昨日現在で、約四千戸がまだ断水中という被害の状況でございます。水道局では、震災発生の翌日でございます十月二十四日早朝から情報収集に努めまして、午前七時三十分、初動態勢を確保するための暫定の応急支援対策本部を設置いたしました。
 続きまして、二十六日に応急復旧支援対策本部を本格設置いたしまして、小千谷市を中心に復旧支援活動を実施しておりまして、二十四日以降、第四次まで延べ十五名を派遣しております。
 また、現地に応急復旧活動の拠点を設置いたしまして、これまで延べ八十七名を派遣して、精力的な応急復旧のための調査活動等を展開しております。
 
 ▼木内委員
 今なお不便な作業環境の中で、水道局の職員の方々は交代で向こうで常駐して頑張っておられるわけで、特にライフラインの中では水というのは最もやはり重要なものの一つであります。現地の期待もこれ以上大きな問題はないかと思います。
 さて、さっき同僚委員の質問にありましたので、ポイントだけお答えいただけばいいんですが、全国の大都市と災害時の相互応援協定というのがあるわけですけれども、この主な項目と今回の中越地震から得た教訓をここにどう生かすかという二点について簡単にご報告願います。
 
 ▼水道局長
 水道局では、政令指定都市十三都市をカバーいたします水道局との間におきまして災害相互応援に関する覚書等を締結しております。この覚書等におきましては、原則としまして、被災都市の要請によりまして、応急給水や応援物資の調達、その他必要な活動を行うこととしております。
 また、災害時に迅速な対応がとれますよう、これは今回の教訓でもあるわけでございますけれども、各都市との間で平常時から活動の基本となります災害対策マニュアル等の情報交換を行っております。
 なお、東京で発災した場合の対応でございますが、他都市からの応援者の受け入れ並びに支援拠点施設といたしまして活用できるように、港区にございます芝給水所の会議室や備蓄倉庫を整備しているところでございます。
 
 ▼木内委員
 水道局へのお尋ねは以上にいたしますけれども、時々刻々やはり社会対応必要だし、新しい教訓や体験のもとに新しいノウハウというものを今答弁されたようにつけ加えて、ぜひ都民が、あるいは国民が安心する事業の展開、災害支援をお願いしたい、こういうふうに思います。
 
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■災害時医療救援活動
 
 ▼木内委員
 最後に病院経営本部、お尋ねをします。
 やはり、中越地震をどうとらえ、今後の発災時の都民の生命と健康を守るために対応願えるか、こういう話であります。
 中越地震では死傷者は約四十人程度、負傷者はおよそ二千から三千人。さらに、各避難所におけるさまざまな不幸な出来事がありました。脳動脈塞栓症、いわゆるエコノミー症候群の多発が報告されるなど、災害時における医療面のケアというものが極めて重要である。検証すべき課題も多いんだと思います。
 私ども都議会公明党は、石井幹事長を先頭にいち早く先に現地調査を行いました。で、被災地への支援に一層力を注ぐとともに、街頭募金等も党を挙げて東京都本部で行いました。これを、またさらに教訓を生かすための研究を今重ねているところでございまして、石原知事に対しましても、将来予測される東京における震災への万全の備えに全力を尽くすよう、先日、緊急申し入れを行ったところであります。
 都立病院は、発災直後に府中病院から災害医療派遣チームとして三名、十一月二日には医療救護班として、広尾病院、墨東病院、駒込病院から医師、看護師、薬剤師など八名を派遣したと聞いています。医療スタッフの派遣はもちろん現地の被災者のためでありますけれども、こうした災害地での活動の経験は極めて貴重なものだと思います。申し上げているように、こうした経験を東京の災害対策のために鋭意役立てていただきたいと思うわけであります。
 さて、都内には都が指定した災害拠点病院が六十一カ所あり、災害時にはこれらの病院が中心となって医療の提供を行っていくことになります。都立病院も八施設が指定されていますが、こうした都立病院が、拠点病院の中でも特に中心的な役割を今後果たしていくものと、こう私は認識しているわけであります。
 そこで、これは確認でありますけれども、災害発生時の都立病院の役割と医療提供体制についてご報告をまず願います。
 
 ▼病院経営本部長
 災害時におけます都立病院の役割でございますけれども、災害拠点病院として指定されております都立病院は、災害が発生した場合、負傷者を受け入れ、適切な治療を行うとともに、必要に応じて迅速に被災地域に医療救護班を派遣する役割を担っております。そのため、災害医療用資器材の備蓄や自家発電設備の整備あるいは飲料水、医療用水の確保などを行いますとともに、あり得べき事態を想定して、定期的に防災訓練を行ってきているところでございます。
 さらに、広尾、墨東、府中の各病院におきましては、核物質や細菌あるいは化学物質によります災害にも対応できるよう、除染テント、防護服等を配備し、きちんとした体制をとっているところでございます。
 
 ▼木内委員
 さて、平成十五年度には広尾病院救急災害対策用施設を建設した、こういう報告がありました。この広尾の機能はどうなっていますか。
 
 ▼病院経営本部長
 平成十五年度、広尾病院に建設をいたしました救急災害対策用の施設の機能でございますが、職務住宅の一階部分に整備をしたものでございまして、災害用資器材の備蓄倉庫と研修室から成っております。
 研修室には医療ガスの配管の配備をいたしまして、平常時には災害対策などの研修に使用をしておりますが、一たん事があった場合には、直ちに臨時病室として転用することができるようになっております。
 また、この職務住宅に入居している職員につきましては、災害時における緊急対応要員として迅速果敢に救護活動に従事することとしております。
 
 ▼木内委員
 災害時には恐らく、今もいわれましたがベッドの増床等が必要になるわけでありまして、そうした場合でも重傷者に対応できるよう、医療ガスが配備され、臨時病室に転用できる施設というのは極めて貴重な位置づけになろう、こんなふうに思います。
 災害時にこうした施設設備を十分に活用して、一人でも多くの都民がこれを活用できるよう、また都民の命が救済されるよう、同時に医療スタッフが十分な訓練、研修を受けて、即応体制というものを日ごろから準備しておく必要があるんじゃないか。このスタッフの育成というのは極めて重要だと思うんですが、どうですか。
 
 ▼病院経営本部長
 災害対策に対応すべきスタッフの育成でございますけれども、平成十五年度から都立病院が独自に災害医療に関する専門知識を有します看護師を育成しておりまして、現在二十名を養成中でございます。また、広尾、府中、墨東の各病院では、災害派遣医療チーム・東京DMATの隊員を三十四名確保しております。引き続き全都立病院の職員を対象といたしまして、医療救護班研修など、災害医療に関するさまざまな研修を実施いたしまして、必要なスタッフの育成を図り、災害に対する対応能力を高めてまいりたいと存じます。
 
 ▼木内委員
 中越地震ではハイパーレスキューの存在が大きく顕在化したわけですけれども、実は、都立病院の所管でDMATが派遣されたことも現地では大変な救いの状況であったということも聞いております。ぜひ、今DMAT三十四名という話がありましたけれども、スタッフの育成に懸命なご努力を願いたい、こう思います。
 それから、災害時には、病院の立地する地域周辺の被災者への対応がまず初期的段階はもとより、多くなるのではないか。そのため、周辺区やあるいは関係機関、地域との日ごろからの密接な連携というものが重要ではないか。そのために、継続的な連携体制の確認も含めて、情報の交換等、システムをさらに充実させるべきと思いますが、どうでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 ご指摘のとおり、災害時には地元の自治体やあるいは地域の医療機関などと密接な連絡、連携をとりながら対応することが極めて重要となります。そのため、救急災害医療センターである広尾病院では、地元区の防災体制の一翼を担いますとともに、定期的な連絡会にも参画をいたしまして、関係機関との密接な情報交換に努めているところでございます。
 さらに、地元の区や消防署などと合同で防災訓練を実施するなど、実践的な取り組みを行いまして、先生ご指摘のような災害時における連携システムの構築に努めているところでございます。
 
 ▼木内委員
 個別的には広尾病院でそういう先進的といいますか、モデルになるような地域や関係団体との連携システムもできている。もとよりこの広尾病院は救急災害対策用施設という位置づけでありますから、そうした行き方なんだと思うんです。
 最後にお尋ねをするんですけれども、いうところのこうした広尾方式、こうした広尾の取り組みというものを広尾だけで終わらせないで、他の都立病院にもこれを敷衍して、より量的、質的、地域的拡大を図って、発災時に備えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 ただいまご提言のございましたとおり、広尾病院の取り組みを私ども一つのモデルとしてまいりたいと思います。したがいまして、他の都立病院におきましても、災害発生時におきまして、その病院が立地をいたします地域の特性を踏まえた迅速かつ的確な行動を行えるような体制を構築してまいりたいと存じます。
 
 ▼木内委員
 きょうは約四十分間の質疑でありましたけれども、事実の確認、今後への方針、提案に対する姿勢、それぞれ大きな成果のあった議論だと思います。それぞれの局においては、ぜひ、申し上げたことをさらにひとつ肝に銘じていただいて事業の展開に反映をしていただきたい、このことを強く要請をいたしまして、私の質問を終わります。
 
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