▼村上委員
下水道事業における震災対策と浸水対策について伺います。
震度七の激しい揺れを記録した新潟県中越地震から三週間を迎えます。新潟県の発表によりますと、十一月十日現在で今もなお一万四千人余りの避難者が肩を寄せ合いながら避難所暮らしを続けております。
この地震による犠牲者は三十九人にも達しておりますが、このうち肺の血管に血栓が詰まる、いわゆるエコノミークラス症候群と思われる症状で七名の方が亡くなっております。エコノミークラス症候群を防ぐには適度な運動と水分摂取が必要といわれておりますが、亡くなられた四十八歳の女性が生前、トイレが気になる、なるべく水分をとらないようにしているなどと話していたことがわかり、トイレの問題は今や命にかかわる問題としてクローズアップされております。
我が党の高橋かずみ議員も先般の分科会で、避難所でのトイレ不足を指摘いたしました。依然としてトイレの問題は残っております。被災地では電気や水道が徐々に復旧するなど、避難所から自宅に戻れる人もふえていることを考えると、下水道の復旧も急がなければなりません。下水道局では十月二十八日から先遣隊を現地に派遣し、下水道施設の復旧のために施設活動を行っていると聞きますが、このような災害時に自治体間での協力は大変重要なことだと考えております。そこで、災害時における下水道局の対応について何点か伺います。
まず、二十八日以降の支援隊の派遣状況はどうなっているのか、また現地ではどのような支援活動を行っているのか、お伺いいたします。
▼下水道局長
下水道局では、国土交通省からの要請に基づきまして十日町市と川西町への支援活動を行っております。近々津南町への支援も予定しているところでございます。
派遣状況につきましては、十月二十五日に職員一名を現地に派遣し、支援本部の立ち上げに従事いたしました。引き続き、先ほどお話のありました二十八日には先遣隊七名を派遣した後、支援隊としては、昨日派遣の第三次を含めまして七十七名を派遣しているところでございます。
なお、第二次支援隊からは下水道管渠の維持管理を専門に行っております下水道メンテナンス協同組合の技術者十九名も含まれているところでございます。現地では余震が続く厳しい条件のもと、職員がマンホールの中に入り、下水道管渠の状況をじかに確認するとともに、テレビカメラによる詳細な被害調査を実施しております。
また、被災した南部地域の市や町との連絡調整や支援都市の取りまとめ及び国や県との連絡調整などを行っているところでございます。
▼村上委員
現在の支援の状況はわかりましたが、今後の支援の予定についてはどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
▼下水道局長
阪神・淡路大震災を例にとりますと、被害調査に引き続いて国の災害査定を経て施設の復旧工事が実施されました。今回の震災においても、現在実施中の被害調査が完了後、災害査定に向けて、被害状況を示す写真や被害箇所図、災害査定設計書などの資料を作成する必要がございます。そのため、これらの資料作成の支援について、関係市町と協議中であり、支援要請があり次第、速やかに職員を派遣することとしております。
▼村上委員
現地での復旧活動は大変でしょうけれども、引き続き下水道局の技術力を発揮して、被災した市町村のために頑張っていただきたいと思います。
一方で、東京では関東大地震以来、大規模な地震がなく、地盤のひずみが蓄積されてきて、地震活動が活動期に入っているという説もあるそうです。万が一東京で大規模な地震が発生した場合には、下水道施設にも大きな被害が想定されると思います。このような緊急事態に迅速に対処するためには、普段から自治体間で相互の支援体制を整備しておくことが必要と考えます。
そこで、下水道事業における相互支援体制はどうなっているのか、お伺いいたします。
▼下水道局長
東京都は、政令市及び関東周辺の各県とそれぞれ災害時の相互支援に関する協定を締結しております。この協定を補完するため、都と政令市の下水道部局間におきまして、例えば区部の下水道が被災した場合には大阪市を情報連絡の総括窓口とするなど、発災時の連絡方法や、支援要請後の指揮連絡体制を具体的に定め、迅速かつ円滑な相互支援活動を行うことができることとなっております。
また、多摩地域の下水道につきましても、都と関東周辺の各県との間で災害時の相互支援体制を定めております。
▼村上委員
自治体間の広域的な相互支援体制が整備されていると聞いて、少し安心をいたしました。しかし、壊れた施設を直すには、実際に工事をする民間団体などの協力が不可欠ではないかと思います。
そこで、震災被害を受けた下水道施設の復旧に関し、民間団体の協力が得られるようになっているのかどうか、お伺いいたします。
▼下水道局長
大規模な地震によりまして下水道に甚大な被害が発生した場合には、自治体相互の広域的な支援体制に加えまして、民間の協力も得て、下水道施設を早期に復旧する必要がございます。そのため、水再生センターなどの土木・建築施設や機械・電気設備及び道路に埋設されている下水道管渠などについて、それぞれの専門的な技術を持った民間団体と局とが協定を締結いたしまして、早期に復旧できる体制を備えているところでございます。
▼村上委員
自治体間の相互協力体制や民間団体との応急復旧体制が整備されていても、いざというときに機能しなければ意味のないものになってしまいます。
そこで、関係者間の連携を強化するための訓練など、これは実施しているんでしょうか、お伺いいたします。
▼下水道局長
下水道局では、定期的な防災訓練のほか、民間団体の協力を得まして、下水道管渠や水再生センターの設備機器などの被害を想定した応急復旧訓練を実施しております。また、震災時のトイレ確保を目的として、地元区や地域の方々と連携し、マンホールを利用した仮設トイレの設置訓練などを実施しております。さらに、政令市や関東周辺の自治体間における相互支援体制の強化を目的として、被災都市を想定した情報連絡訓練を関係市とも実施しているところでございます。
▼村上委員
次に、浸水対策について伺います。
ことしは地震だけではなく雨による被害も大変大きなものとなりました。新潟や福井、さらに兵庫などが豪雨に見舞われたほか、東京でも集中豪雨や台風二十二、二十三号の影響などで浸水被害が広い範囲で発生いたしました。十月の雨量は各地で観測史上最多を記録し、東京では平年の五倍に当たる七八〇ミリとなっております。そのために、下水道に収容し切れなくなった雨が至るところで床上床下浸水や道路冠水をひき起こしてしまいました。また、地下鉄や地下街、建物の地下室などにも雨が流れ込み、都民生活に甚大な影響を及ぼしました。
そこで、まず、下水道局が進めている雨水対策事業の基本的な考え方についてお伺いいたします。
▼下水道局長
下水道局では、浸水被害からお客様である都民の方の生命と財産を守るため、三年に一回程度発生する一時間五〇ミリの降雨に対応できるようにするため、幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を基本とする浸水対策を進めております。
▼村上委員
一時間五〇ミリの整備を進めているということですが、最近は局所的に一時間五〇ミリを超える雨の降るケースが大変多くなっているようです。
このようなことを踏まえると、一時間五〇ミリでは、東京の浸水対策はうまくいかないのではないでしょうか。率直な感想をお伺いいたします。
▼下水道局長
一時間五〇ミリの降雨に対応する下水道施設の整備を着実に実施していくことに加えまして、繰り返し浸水被害を受けている地域を対象とした雨水整備クイックプランを推進してまいりました。
しかしながら、最近では局所的に一時間五〇ミリを超える降雨がたびたび発生しております。このような降雨に今後どのように対応していくかが局にとっても大きな課題であるというふうに認識しております。
▼村上委員
私の地元の渋谷駅周辺では道路冠水で車が立ち往生したり、通行人が膝まで水につかるなどの光景がたびたびテレビや新聞で報道、放送されました。このような光景を見るたびに、地下街が浸水し、大変なことになりはしないかと大きな危惧を抱いております。
地下街などの浸水は都市活動に大きな影響を与えるばかりでなく、人命も危険にさらされるなど、その影響ははかり知れないものがあります。ことし九月に発表した新・雨水整備クイックプランでは、浸水対策の重要な柱として地下街等対策地区を計画していますが、その内容についてお伺いいたします。
▼下水道局長
大規模な地下街を有します東京、新宿、渋谷、池袋の各駅周辺では、浸水が発生した場合に甚大な被害が予想されることから、地下街等対策地区として選定いたしまして、一時間七〇ミリの降雨に対応できるように施設整備を進めております。
具体的には、新たに雨水を貯留するための下水道管を建設したり、あるいは排水能力が不足しております区間の下水道管をより大きな管に入れかえるなどの対策を実施しているところでございます。
▼村上委員
東京や新宿、渋谷などの地下街が浸水したときの影響が大きいことを認識して、浸水に対する安全性を高めていることが理解できました。
それでは、渋谷駅では具体的にどのような対策を実施しているのでしょうか。また、進捗状況はどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
▼下水道局長
渋谷駅地下街の浸水対策として、二十五メートルプール約十三個分に相当します四千立方メートルが貯留できる雨水貯留管の整備を進めております。既に貯留管本体の工事が完成いたしまして、現在、雨水を取り入れる取水施設の工事を進めており、平成十八年度から貯留を開始する予定でございます。
この施設による雨水貯留と、区が進めております道路雨水ますの増設によりまして、当該地域の浸水被害の大幅な軽減が図れることができるというふうに考えております。
▼村上委員
整備レベルを高くして安全性を高めているとはいえ、自然現象に対してはこれで万全ということではないと思います。いざというときのために情報提供などソフト面での対策もあわせて必要と考えます。
渋谷駅周辺では浸水に備えるためのソフト対策としてどのようなことを進めているのか、お伺いいたします。
▼下水道局長
渋谷駅周辺では、地元区や町会と連携した道路雨水ますの点検、浸水対策強化月間におけます地元の皆様へのリーフレットの配布などを実施しております。また、今年度から周辺の幹線水位情報を光ファイバーによりリアルタイムで渋谷区の防災部署に配信いたしまして、初動態勢などの判断材料の一つとして役立てていただいているところでございます。
▼村上委員
渋谷駅周辺の地下街対策については工事の早期完了を目指して、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
ソフト対策といえば、区などとの連携は大変重要だと思います。先日の台風二十二号のときに六百個準備していた土のうを、台風二十三号のときには三千個にまでふやし、区や消防団が事前に配布することで浸水被害軽減に効果を発揮したと聞いております。
自分の地域は自分で守るということが防災の原点です。都はハードとしての下水道施設を所管するとともに、ソフト対策に有効な情報を数多く有しています。地元の区などと連携をし、円滑な情報交換による効果的な予防策を実施することがますます重要になってくると思います。今後ともハード、ソフト両面の浸水対策を一層充実していただくように要望をして、私の質問を終わらせていただきます。
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