三宅 茂樹(自民党) |
■商店街振興 |
▼三宅委員
近年、都内各地の商店街では、経営の近代化や基盤施設の整備はもとより、地域の住民や団体と連携して福祉や環境、防犯などの課題に積極的に取り組み、コミュニティ再生の中心的役割を担っていこうという動きが着実に広がってきています。
都は、こうした商店街の多様な取り組みを広範に支援するため、平成十五年度より、これまでの商店街振興施策を再構築して、新・元気を出せ商店街事業をスタートしました。これにより、それまで単年度事業だった元気を出せ商店街事業も継続事業として組み込まれ、メニューごとに縦割りだった商店街振興施策が統合され、商店街にとってわかりやすく使いやすい制度が誕生いたしました。
そこで、まず伺いますが、新・元気を出せ商店街事業の初年度に当たる平成十五年度の決算と実績について、単年度事業から継続事業に切りかわったことでどのような点が改善されたのかという点も含めてお答えください。
▼産業労働局長
新・元気を出せ商店街事業は、予算額十五億円に対しまして、決算額は約十三億五千万円となっております。
事業件数といたしましては、イベント千六百八十四件、活性化事業で二百七十六件でございまして、都内の商店街約二千八百のうち、半数以上の商店街が本事業を活用していることになります。取り組み内容を見ますと、住民交流施設の設置や高齢者の生活援助システムの導入、安全・安心のまちづくりをテーマにしたイベント等、地域に貢献する事業が数多く見られるところでございます。
また、商店街施策を再構築いたしまして、委員ご指摘のとおり、事業として継続したことに伴いまして、事務手続についても申請時期の早期化を図ったところでございます。あわせて、区市町村の検査終了後、直ちに商店街に補助金を交付することとし、申請から交付までの期間を大幅に短縮できる仕組みに改善したところでございます。
▼三宅委員
申請は予算額いっぱいであったと聞いておりますが、決算額は約十三億五千万円とやや下がっておりますのは、継続事業となって、ご担当が初年度ということでえらく張り切って、審査が厳しかったのではないかと思いますが、いかがですか。
▼産業労働局長
審査の結果、結果的に若干予算額を下回った結果がございますけれども、適正な審査ということで、特段厳しくということではないというふうに考えてございます。
▼三宅委員
審査にたえ得る事業計画を立てるよう指導することも産業労働局さんの重要な仕事ではありますが、手続、補助の要件などについてそごや誤解がないように、しっかりとやってください。
さて、都は、十五年度、十四の商店街からの申請に対し、総額四千二百万円の補助を行って防犯カメラの設置を支援いたしました。この安全・安心まちづくりへの商店街の取り組みが大きな反響を呼び、今年度の都の防犯対策の柱へと発展したのであります。
今や商店街は、行政のパートナーとしてまちづくりの中核を担う存在となっております。今後は、行政課題にマッチし、地域振興やまちづくりへの寄与度の高い事業については、特に強力な支援のスキームをつくっていくことも必要と考えます。
今後とも、各局のさまざまな施策と幅広くリンクさせながら、商店街振興施策をより積極的に展開していくべきと考えますが、都の所見を伺います。
▼産業労働局長
商店街は、地域コミュニティの核といたしまして、地域の活性化やまちづくりなどにおいて重要な役割を果たしており、観光振興を初め、防犯、防災、福祉、環境などの分野で、行政と連携したさまざまな取り組みを行っているところでございます。
今後とも、東京都が進める施策の目的に沿った商店街の取り組みを積極的に支援するなど、各局とも十分連携を図りながら、商店街が地域においてさらに重要な役割を果たせるよう、商店街振興施策を充実強化してまいりたいと考えております。
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■新銀行 |
▼三宅委員
都は、昨年度、新銀行の設立に当たり、その具体的な調査研究を財団法人東京税務協会に委託しました。この調査研究委託は、期間については平成十五年六月から同年十二月までであったものを本年三月まで延長し、費用については予備費を措置するなどして、最終的に約八億七千万円となりました。
そこで、どのような経過でそうした措置が必要となり、また、この調査研究の内容はどのように充実したのか、お答えください。
▼新銀行設立本部長
都が東京税務協会へ委託した調査研究委託についてでございますが、当初、平成十五年十二月までの調査期間におきまして、一つは、中小企業資金需要調査など、中小企業を総合的に支援する新しい銀行の融資の基本的な調査研究と、二つ目は、ITを活用した決済システムなど、新銀行の基本的なスキームの検討に必要な調査を行い、新銀行基本スキームを作成いたしました。
その後、この基本スキームをもとに、都議会や都民などの多方面からのご意見、ご提案を踏まえまして、中小企業に対するより効果的な融資を行うため、調査期間を延長し、融資に対する保証など地域金融機関との連携や、金融商品あるいは金融先の紹介などに係るさまざまな企業との連携などについてより詳細で具体的な検討を行い、その結果を本年二月に発表いたしました新銀行マスタープランとして取りまとめたものでございます。
こうした幅広い調査研究によりまして、中小企業の円滑な資金供給を行うための新たな銀行の全体スキームや各種ビジネスモデルを具体化し、それらを踏まえまして、現在、新銀行において開業準備作業が進められているものでございます。
▼三宅委員
今のご説明では、新銀行が具体的なビジネスモデルを構築する上で、この調査研究は不可欠なものだということであります。だとすれば、新銀行の業務に資するものについては、当然銀行側に費用負担を求めることになるのではないでしょうか。都民の貴重な税金であり、システムなど財産として新銀行に引き継ぐものが相当あると思いますが、その負担割合はどのようになるのか、お答えください。
▼新銀行設立本部長
調査研究費用の負担についてでございますが、調査研究費用のうち、新銀行の設計など新銀行に帰属する資産を初めといたしまして、各種ノウハウの構築のために費やされた経費につきましては、新銀行東京に対し応分の負担を求めることとしております。
現在、都と新銀行とのそれぞれの負担額について、法律面、会計面から専門家の意見をいただき、具体的な算定作業に入っているところでございまして、今後、金額が確定した上で、十六年度予算の歳入として処理することとなります。
具体的な負担割合等につきましては、現時点で詳細には申し上げられませんが、調査研究の内容を踏まえますれば、銀行側の負担が過半を超えるものと考えております。
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■ディーゼル車規制 |
▼三宅委員
平成十五年度の決算を見ますと、買いかえ融資あっせんに係る経費の執行額は十六億円にとどまりますが、一方で粒子状物質減少装置への補助は当初予算を超える規模を受け付け、執行額は七十三億円となっております。融資、補助を合わせると総額で約九十億円に上り、これらの支援策の対象となった車両は、十五年度だけでも約五万台に達したと聞いております。これは、実効ある規制を行うためにも必要であると我が党が主張してきた支援策の充実が事業者の努力を後押ししたものと考えております。
このように大きな成果を上げたディーゼル車規制ではありますが、取り締まり結果からは、規制開始当初から現在まで、都外からの流入車の違反率が都内車両に比べて高いことがわかっております。規制にきちんと対応した利用者がばかを見ないよう、規制の公平性を確保するためには、今後実効ある流入車対策が必要であると考えますが、見解を伺います。
▼環境局長
ディーゼル車規制のために行いました路上や物流拠点での取り締まり結果でございますが、都内登録車両の違反率が一・六%であるのに対しまして、都外登録車両は四・三%でございまして、流入車への対策が重要と考えております。
このため、流入車の多い主要幹線道路での取り締まりを重点的に行うとともに、製造業、建設業など全国の荷主団体に対し、改めて規制適合車使用の徹底を働きかけます。また、隣接する埼玉、千葉、神奈川県の三県との間で共同で取り締まりを実施するなど、一層の連携強化を図ってまいります。
今後とも、こうした取り組みにより、規制に協力いただいた事業者の方々が不公平感を抱くようなことがないよう、流入車への取り締まりを徹底してまいります。
▼三宅委員
ディーゼル車規制への取り組みの経験を生かして、国に対して、NOx・PM法に対応する事業者への優遇税制や融資制度の一層の拡充及び制度の周知徹底など、中小事業者の負担軽減への配慮を積極的に求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
▼環境局長
都はこれまでも、自動車NOx・PM法の規制に対応しようといたします中小事業者が利用しやすい融資制度や税制上の優遇措置につきまして、国の責任ある対策を求めてまいりました。今後、事業者の法規制への対応が本格化してくることを踏まえまして、国に対し、融資あっせん制度の充実や新車取得時の税負担の軽減を強く求めてまいります。
あわせて、これらの制度について事業者への周知徹底を図るよう国に働きかけますとともに、都といたしましても、法規制の内容や国の支援制度の周知、事業者個々の状況に応じた助言など、きめ細かい対応、相談に応じてまいります。
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■東京港の物流 |
▼三宅委員
次に、東京港の国際競争力強化に向けた物流ボトルネックの解消について伺います。
平成十五年度の決算を見ますと、港湾局では、青海公共コンテナふ頭の岸壁工事に約八億円、東京港のコンテナ船の主要航路である第一航路の増深などに約十四億円の工事を実施しております。港湾施設の機能充実が着実に図られていることがわかります。
こうした予算の執行が行われておりますが、まだまだ物流経路全体について、コストの低減やリードタイム短縮の観点から、さらに改善していくことが必要であります。
そこで、東京港で、民間の物流改革の動きに対応して、臨海部における物流拠点機能の強化にどう取り組もうとしているのか、所見を伺います。
▼港湾局長
近年、民間企業では、物流拠点集約化や物流施設の自動化、システム化等、物流改革の取り組みを加速しているところでありますが、こうした民間の動きに対応しまして、都は物流用地等の供給を行っており、その結果、成長著しいIT関連企業などの首都圏配送拠点の立地が着実に進みつつあります。また、世界規模で事業展開している大手の物流施設専門の不動産・開発会社も、東京臨海部を最大の戦略拠点として高機能物流施設への投資に力を入れているところでございます。
今後、民間の物流改革動向を踏まえ、大井・青海地区の物流拠点集積地域の一層の機能強化を図るとともに、中央防波堤外側埋立地等におきまして新たな物流拠点を形成することとしておりまして、今後、改訂港湾計画の中で具体像を明らかにしてまいります。
▼三宅委員
ところで、港湾から出た大型貨物自動車が都内で渋滞にはまり、なかなか動けないようでは、港湾地域の物流効率化の取り組みも絵にかいたもちになりかねません。行政としては、東京港と生産地や消費地を結ぶ輸送経路上のボトルネックを解消し、民間における輸送時間、輸送コストの低減を後押ししていくことが重要であります。
そこで、これまで東京港ではこうしたボトルネックの解消にどのように取り組んできたのか、伺います。
▼港湾局長
民間企業における貨物輸送の低廉性、迅速性、安定性確保の要請にこたえていくためには、円滑で効率的な物流ネットワークの構築が不可欠であると認識しております。
このため、港湾物流の基幹道路となる東京港臨海道路の整備を推進しております。既に第一期工事は平成十四年四月に開通し、現在、平成二十二年度の全線供用に向け、二期事業を進めております。
また、車の高さや重量により大型貨物車の通行が制限されておりました首都高速道路や主要幹線道路などにおいて規制緩和を働きかけてきた結果、本年三月から、首都高速中央環状線や青梅街道などで大型貨物車の高さや重量の制限緩和を実現させることができたところでございます。
▼三宅委員
さて、首都圏で消費されるカラーテレビやビデオなどの家電製品や食料品などの大半は東京港を経由して輸入されております。一方、北関東の工場など周辺県からは、先端的な電子部品や工業部品が東京港から輸出されるなど、東京港は今や首都圏の経済活動に不可欠な存在となっております。
東京港が真に首都圏四千万人の生活と産業を支えていくためには、都県境を越えた広域的な港湾物流のボトルネック解消が必要であるため、国や周辺県を巻き込んだ取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
▼港湾局長
東京港は首都圏物流の起点、すなわちゲートウエーとなっておりまして、港湾物流の広域的なボトルネック解消には、ご指摘のように、都がイニシアチブをとり、国や周辺県に働きかけることが重要であると認識しております。
現在、東京港に搬出入されております貨物の通行経路上のボトルネック箇所について調査を行い、対策を検討しているところでございます。既に、東京湾沿いの各県をつなぐ湾岸道路と、東京港からの物流の出発点である東京港臨海道路との接続方法については、国とともに交通の円滑化に向けた検討を開始したところでございます。
今後、港湾管理者といたしまして、庁内各局と連携し、国道など港湾物流の機軸となる幹線道路の改良を国や周辺県に働きかけてまいります。
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■都市再生 |
▼三宅委員
平成十五年度において、羽田空港の再拡張、環状二号線や山手通りなどの幹線道路の整備、そのほか、例えば首都高中央環状線に対する出資金などとして約二百七十億円が支出されるなど、東京の骨格づくりに対して着実な予算執行がなされております。
一方、こうした基盤整備とあわせ、最近、六本木や汐留など、大規模な開発により東京のまちが大きく変わりつつあります。まちに魅力や活力をもたらす都市の再開発は今後も推進していく必要があると考えますが、民間による都市開発への投資を積極的に促すため、二年前に都市再生特別措置法が制定されました。都内では、この法律に基づき、二千四百ヘクタールにわたる都市再生緊急整備地域が指定されていますが、これまでの実績について伺います。
▼都市整備局長
平成十四年七月の地域指定以来、これまで法に基づく特例を活用したプロジェクトは、既存の都市計画にとらわれず用途や容積率などを定める都市再生特別地区として、大崎駅西口の一地区が都市計画決定されております。また、金融支援などにより開発誘導を図る民間都市再生事業として、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトなど五事業が認定されております。
▼三宅委員
法に基づく制度を活用したプロジェクト以外にも、都市再生緊急整備地域では、その開発ポテンシャルを生かし、六本木ヒルズなど新しいまちが次々に生まれています。環境等に対する負荷を懸念する声もありますが、私は、このような開発の積み重ねがまちに活気や魅力を与え、東京という都市を支えていく源泉になっていると考えております。
都も平成十五年度において、例えば市街地再開発事業への助成金として約十六億円を執行していますが、このような民間によるプロジェクトは、東京の都市再生にとってどのような効果があると認識しているのか、伺います。
▼都市整備局長
現在進められている都市開発の多くは、民間の知恵と工夫が凝らされた複合開発型のプロジェクトでございます。これらのプロジェクトの実施により、多数の来訪者でにぎわう活気と魅力にあふれたまちが形成されます。また、オフィスビルの機能更新が進むことにより、すぐれた就業環境を持ち、防災上も安全な国際的水準のビジネス環境が整備されます。さらに、周辺環境に配慮した緑やオープンスペースの創出、良質な住宅の供給などが図られ、都市環境の改善や都心居住の推進につながってまいります。
このように、優良な民間プロジェクトは、多様な機能の集積による都市の拠点性、安全性や快適性を高めるものであり、東京の都市再生にとって重要な役割を果たすと考えております。
▼三宅委員
国内総生産の伸びが上向きに転じるなど、景気回復の兆しが明らかになってきております。しかし、回復の足取りを確固たるものにするために、何といっても我が国経済の牽引役たる首都東京を元気にする都市再生の取り組みを強力に進めていかなければなりません。優良な民間プロジェクトがその一翼を担うものと思いますが、都として今後、どのように都市再生に取り組んでいくのか、見解を伺います。
▼都市整備局長
首都東京を元気にしていくためには、経済活動などにおける高コスト構造を是正し、国際競争力を高めていくことが必要であります。そのためには、おくれている環状道路や空港などの交通インフラ整備を進めていくことが不可欠であります。また同時に、民間による開発プロジェクトを推進し、拠点整備を進めていくことが、都心の魅力や活力を高めていく上で重要であります。
今後とも、都は、インフラ整備と拠点整備をあわせて実施することにより、首都東京のポテンシャルを引き出す都市再生を積極的に進めてまいります。このことが、都民生活の安定につながるものと考えております。
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■地下鉄十三号線の整備 |
▼三宅委員
さて、さきの第三回定例会において、道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書を賛成多数で可決し、国に提出したところですが、道路特定財源を地方譲与税化することなく、都市再生、地方再生に資する道路整備は、国が引き続き責任を持って重点的に補助することが重要と考えます。
そこで、道路特定財源を活用した地下鉄十三号線の整備について伺います。
地下鉄十三号線は、池袋と渋谷を結ぶ路線で、並行する山手線や埼京線の混雑を緩和するとともに、鉄道ネットワークの充実による利用者の利便性の向上と、沿線のまちづくりに寄与する重要な路線であると認識しております。この地下鉄十三号線を、道路特定財源の使途拡大により、平成十五年度から街路事業として整備を進め、決算額を見ると百五十億円を超える事業を執行しております。
そこで、まず、地下鉄十三号線の整備に道路特定財源を投入する意義と効果について伺います。
▼建設局長
地下鉄十三号線の整備につきましては、道路特定財源の使途拡大によりまして、お話のように、平成十五年度から街路事業として進めております。今回、地下鉄十三号線の整備に、安定した財源である道路特定財源を投入したことによりまして、着実な事業の推進が図られます。
こうした地下鉄十三号線の整備は、自動車交通から公共交通への利用転換を促し、道路の交通渋滞の緩和や環境改善につながるなど、東京の都市機能を早期に高める上で有効であると考えております。
▼三宅委員
現在、地下鉄十三号線については、明治通りという非常に交通量が多い道路内で、厳しい条件のもとに大規模な工事を進めているようですが、その事業概要と平成十五年度の工事内容について伺い、そして最後に、沿線地域からも非常に期待を寄せられている地下鉄十三号線の平成十九年度の開業に向けた今後の取り組みと決意を伺い、私の質疑を終わります。
▼建設局長
まず、事業概要と工事内容につきましてでございますが、本事業は、池袋から渋谷に至る区間のうち、明治通りの地下に建設する延長七・九キロのトンネル及び六つの駅舎のインフラ部を整備するものでございます。事業期間は平成十五年度から十九年度、全体事業費は九百四十億円を予定しております。
十五年度の工事内容は、駅舎部の開削工事とシールド掘削機の製作であり、百五十六億円を執行いたしました。
この地下鉄十三号線につきましては、現在、六つの駅すべてとシールドトンネル工事に着手するなど、全区間において事業を進めております。今後とも、国費等の財源確保を図りながら、東京地下鉄株式会社と連携し、地元の理解と協力を得まして、十九年度開業に向け、事業を着実に推進してまいります。
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