平成15年度各会計決算特別委員会 総括質疑

東村 邦浩(公明党)
■少子化対策
 
 ▼東村委員
 いわゆる少子化問題は、社会保障制度だけではなく、国の労働・経済力をも左右してくる大事な問題でございます。これからの日本の国の重要な政策課題の一つであるということについては、多くの人が論をまたないと思っております。
 平成十五年の合計特殊出生率は一・二九と、過去最低となりました。少子化が一層進行しております。日本において少子化がここまで進展した第一の原因は、人口構成のアンバランスが長い間放置され、効果的な対策が講じられなかったことにあると私は考えております。少子化は、ある程度社会が豊かになり、高齢化が進んでいる先進国では必然でもありますが、そのことを漫然と受け入れるのではなくて、それに歯どめをかける努力をすべきであります。
 ようやく国は、平成十五年七月に、少子化社会対策基本法と次世代育成支援対策推進法を成立させ、平成十六年六月には、少子化社会対策基本法に基づく、少子化に対処するための施策指針として少子化社会対策大綱を策定するなど、少子化対策を大きく進めようと、重い腰を上げました。しかし、一向に問題解決の糸口が見えてこないというのが、多くの国民、そして都民の偽らざる実感ではないでしょうか。
 東京においては事態はさらに深刻です。都内の児童数--十八歳未満は、平成十五年一月一日現在、約百七十四万人と減少を続け、構成比も、都民全体の約一四・五%まで落ち込みました。平成十五年の合計特殊出生率は、とうとう一を割り込んでしまいました。こうした状況において、都は、平成十六年八月、福祉保健局発足に合わせて、少子社会対策部を設置いたしました。このことについては、都の少子化問題に関する並々ならぬ意気込みを感じるわけでございますが、どのような取り組みをしようとしているのか、まず福祉保健局長に伺いたいと思います。
 
 ▼福祉保健局長
 少子化の急速な進展は、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題であり、子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは、社会全体の課題であります。こうした考え方のもとに、都におきましては、地域で安心して子育てができるよう、組織を超えて横断的、総合的に少子化対策に取り組んでおります。
 福祉局と健康局を統合し、少子社会対策部を設置したのもその一環でありまして、今後、妊娠、出産から子育てまで、すべての子育て家庭を視野に入れ、子どもの発達段階に応じた福祉、保健、医療施策を総合的、一体的に推進してまいります。
 
 ▼東村委員
 今、幸田局長から、福祉保健局の発足により少子社会対策部を創設した意義について力強いご答弁をいただきまして、福祉、保健、医療の連携のとれた施策展開を大いに期待するものであります。
 しかし、具体的に何がどういうふうに変わるのかについては、都民の方々も具体的なイメージをまだ持てないのではないでしょうか。私はかねがね、小児医療の充実が必要であることを主張し、特に多摩地域の小児医療体制が区部に比べおくれている実態を指摘し、その充実をお願いしてきました。その小児医療と、それと関係の深い福祉や保健の分野でいうと、例えば保健所なども含め、どういう連携が可能となり、都民から見て、何がどのように便利になるのでしょうか。
 子育て支援策としては、小児医療の充実も重要な課題の一つであります。福祉保健局として、小児医療の分野では、福祉、保健、医療の連携をどのように進めていくのか、これについて伺いたいと思います。
 
 ▼福祉保健局長
 少子化対策を進める上で、小児医療の充実は重要課題の一つであり、これまで、三百六十五日二十四時間の安全・安心を目指し、小児救急医療体制の確保や子ども医療ガイドの開発など、小児医療基盤の整備に努めてまいりました。一方、福祉分野では、区市町村における子ども家庭支援センターの設置促進や児童相談所における専門相談など、子育て家庭への支援を行っております。
 今後、例えば区市町村におけます乳幼児健診や保健所、医療機関などにおいて早期に発見された、支援の必要な家庭に関する情報を、子ども家庭支援センターを核とした虐待防止ネットワークに円滑につなげる体制を構築するなど、区市町村とともに、福祉、保健、医療の連携の充実に一層努めてまいります。
 
 ▼東村委員
 次に、都は、大都市住民のニーズに即した新たな保育所、つまり認証保育所を設置いたしました。十三時間以上の開所を義務づけるなど、都独自の基準により認証する保育所なんですが、平成十三年四月に制度を創設して以来、わずか三年半で二百三十六カ所が開所し、特に駅前に設置することを基本としたA型、これは急速に伸びております。これは、認証保育所が、従来認可保育所で応じ切れていなかった都民ニーズを新たに吸い上げるとともに、十分な保育サービスが提供できなかった保育室等のサービス水準を競い合いの中で大きく引き上げた結果ではないか。また、働く女性を中心に、子育てと仕事を両立させる有力な支援機能を発揮しているのじゃないか、このように思うわけでございます。
 ところで、一方では、認証保育所の設置数が平成十六年十一月現在で二百三十六カ所となり、六千九百人を超える定員をカバーできる状況ができても、依然として待機児童数はそれほど減らないという状況があります。
 そこで、都が先進的取り組みとして推進する認証保育所の設置は、子育て支援策の重要な柱の一つであると考えますが、その観点から、認証保育所を創設してどれだけの効果があったのか、また、認証保育所の設置が進んでいるのに待機児童数がそれほど変化しないのはなぜなのか、これについて伺いたいと思います。
 
 ▼福祉保健局長
 認証保育所制度の創設は、これまで認可保育所が的確に対応することができなかったゼロ歳児保育や開所時間の延長など、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえるとともに、民間企業を初めとした多様な事業者を参入させることによりまして事業者の創意工夫を促し、質の高い保育サービスを提供することを目的としております。
 認証保育所は、制度創設三年余りで、お話のとおり、二百三十六カ所、定員は六千九百五十人と、都民の広範な支持を得て設置が進んでおり、東京の保育サービス総体のレベルアップが図られてきたと認識しております。
 この間、待機児童はほぼ横ばいとなっておりますが、ベビーホテルや保育室の利用者は減少しており、認証保育所の利用者の多くは、よりよい保育環境を求めて認証保育所に移行した家庭、あるいは、仕事を持っていても勤務時間や勤務地等から認可保育所では対応が困難な家庭であると考えられております。
 今後、待機児の抜本的な解消のためには、保育の実施主体である区市町村が、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化など、実情に即した対策を講じるとともに、認可保育所自身が、ゼロ歳児保育や開所時間の延長など、サービスの充実に取り組んでいただく必要があると考えております。
 
 ▼東村委員
 認証保育所によって、つまりベビーホテルや保育室の利用者が減少し、よりよい保育環境を求めていっている、こういう話がありました。さらに、待機児童を解消していくためには、区市町村が、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化、これらのことをやはり対策を講じなければならないという話があったんですが、私は、多くの保育園関係者と話をしたときに感じたところなんですが、待機児童を減らすためにどんどんどんどん保育枠を拡大すれば、恐らく、今必死になって手元で育てているお子さんが、今度は保育所にまた預けられる、こういった現象がふえていって、待機児童がふえていくんじゃないか。さらに、この問題については、保育園の園長さんなんかも現実にそうであるということをおっしゃられている方もたくさんいらっしゃいます。
 そこで、私はやはり、これから福祉保健局が少子化問題にどう対応していくかということが非常に難しくなってきているでしょうし、真剣に考えていかなきゃいけない問題だと思っております。平成十六年十月に、内閣府の政府広報室が、少子化対策に関する特別世論調査結果を公表しました。全体の約七七%の人が、低い出生率が続くことで我が国の将来に危機感を感じる、こう答えております。
 先進諸国における合計特殊出生率の推移を見ると、長期的なトレンドとしては出生率の低下が続いておりますが、その中で最近十年くらいの傾向を見ますと、フランスは、一九九三年の一・六五を底に出生率が上昇に転じており、二〇〇〇年には一・八九まで回復をしております。また、そのほかにもスウェーデンやアメリカなど、上昇傾向に転じている国が見られます。注目すべきは、児童手当の問題なんですが、フランスは、第二子より二十歳まで所得制限がございません。さらにスウェーデンは、第一子より原則十六歳未満まで所得制限がない、こういった実績がございます。
 こうした政策を見ると、日本においても少子化に対する歯どめ策というのは成り立ち得るのではないかと私は考えるわけでございます。当然国柄が違いますし、もともと長い時間の中での変化であり、すぐに答えが出せるものではありませんが、日本なりの解決の方向に向けて検討する価値は十分にあります。国も、平成十六年四月より、所得制限はあるものの、小学校三年生まで児童手当の支給を拡大いたしました。今後のさらなる対象年齢の拡大を望むものであります。
 少子化対策は、日々生活する都民の声に素直に耳を傾けることが何よりも私は大切なのではないかと思うわけであります。少子化問題に対応していくために、都民の意見を聞きながら子育て支援に対するニーズを十分に調査して取り組むとともに、海外の少子化問題に対する取り組みに学ぶことも必要と考えますが、福祉保健局長の見解を伺いたいと思います。
 
 ▼福祉保健局長
 ご指摘のとおり、少子化問題に対応していくためには、東京の現状を踏まえ、子育て支援に対する都民のニーズを十分に把握した上で、次代を担う子どもの育成支援策を推進していく必要がございます。
 都はこれまでも、各種の都民生活に関する調査や都政モニターなどの意見を広く聞き、施策に反映させてまいりました。また、家庭的な養育環境の中で子どもが生活をするグループホーム制度は、海外の施策などを踏まえ、都独自に制度化したものでございます。
 今後とも、国内外の事例も参考にしながら、都民ニーズに即した施策の充実に力を尽くしてまいります。
 
 ▼東村委員
 ところで、児童手当とともに大事な大きな柱の一つとして、育児休業、この問題がございます。やはり少子化の問題、何よりも大事なのは、子育て支援の観点からは、育児休業がとれるようにしていくことが何よりも肝要だと考えます。国はこの問題も厚生労働省が所管をしているんですが、育児休業となると、この問題は、都の場合、産業労働局になります。
 そこで、産業労働局長に、現在の育児休業の取得率について、東京都及び全国の状況を伺いたいと思います。
 
 ▼産業労働局長
 平成十五年度に東京都が実施いたしました、企業における両立支援の実態に関する調査によりますと、育児休業取得率は、女性が八六・七%、男性が〇・二四%となっております。また、国におきましては、平成十五年度女性雇用管理基本調査によりますと、全国ベースでは、女性が七三・一%、男性が〇・四四%となっております。
 
 ▼東村委員
 今、向こう側の委員の方から、男性よという声がありました。まさに今の答えのとおり、女性が、東京都の場合八六・七%、男性が〇・二四%。もとより日本と欧米では文化も違うと思いますが、比較的欧米では育児休業をとりやすい環境にあるわけでございます。
 そこで、産業労働局として、平成十五年度における育児休業取得促進に向けた具体的な施策の内容と今後の取り組みについて伺いたいと思います。
 
 ▼産業労働局長
 都では、育児休業を取得しやすい職場環境の整備に向けまして、平成十五年度には、各種普及啓発資料の作成、配布に加え、事業主や従業員を対象とした労働セミナーを十四回実施いたしまして、延べ千百七十四人が受講したところでございます。また、事業主団体や事業所を訪問し、育児休業を含めた雇用管理の改善、向上に関する助言、指導や普及啓発を行うとともに、都内六カ所にございます労働相談情報センターにおいても、労使双方からの相談に応じているところでございます。
 今後も引き続き育児休業の取得促進に努めてまいります。
 
 ▼東村委員
 産業労働局がやっていることは、どちらかというと広報活動であり、相談活動に限定をされているわけなんですけれども、私はやはり、企業側にとって育児休業をとらせるメリットがないとなかなかこれは進まないんだろうなと思っているわけでございます。
 そこで、私は、育児休業の取得を促進するために、企業に対してインセンティブを与えること、つまり減税ということを考えることが非常に有効なんじゃないかと考えるわけでございます。
 そこで、提案をしたいんですけれども、今、都の税制の中で事業所税というのがございます。余り知られてないんですけれども、この事業所税、企業の規模が大きくなればなるほど事業所税の負担というのは結構大きいわけでございまして、従業員の給与総額が課税標準となっております。しかし、年齢六十歳以上の高齢者や障害者の給与については、その雇用を促進するという観点から、課税標準から除外をするという特例措置が講じられているんです。私は、そこで、育児休業中の従業員に給与を支払っている企業、これはなかなか少ないという先ほどの現状があったんですけれども、事業所税について、高齢者の雇用を促進する観点と同様に、いわゆる育児休業をとらせている企業の育児休業中の方の給与、これについても同様の措置が講じられれば、企業にとって、育児休業をとらせるという取得促進につながるのではないか、このように思うわけでございます。
 そこで、育児休業中の従業員の給与を事業所税の課税標準から除外するよう、法改正をぜひとも国に都から求めてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 
 ▼主税局長
 少子化対策の一環として、企業における育児休業取得を促進していくことは重要であると考えております。そのためのインセンティブの一つとして、委員ご提案の、事業所税の課税標準である給与総額から育児休業中の従業員の給与を除外するよう国に求めることにつきましては、少子化対策を積極的に推進するという視点に立ちまして、関係局と連携を図りながら今後検討してまいります。
 
 ▼東村委員
 ぜひともこれは国にいってもらいたいんですね。というのは、国会議員の人で、この事業所税について、ぴんとこない人が結構いますので、これはむしろ所管する都から上げてもらって国を動かしていただきたい、このように考えるわけでございます。
 最後に、少子化の問題で質問したい点がございます。
 我が党は、第三回定例会の代表質問で、石原知事にこの少子化問題についてぶつけました。そのときに石原知事も、少子化は、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題だという認識を示されております。少子化問題は、個人の人生観にも深く関係するものでありますが、行政においても幅広く関連する課題でもあります。都庁でも事業が各局に関係してまいります。今私が質問しただけでも、福祉保健局や産業労働局、さらに減税といった話になると主税局からも答弁をいただかなければならない。こうした複合的な課題に対して各局がばらばらに対応したのでは、効果というのは生まれないんじゃないか。確かに、福祉保健局に少子社会対策部をつくっていただきました。しかしながら、一番大事なのは、局横断的なプロジェクトチームの設置など総合的な取り組みが必要だと考えております。
 前川局長も、福祉局長の時代に、子育て支援にかなりの力を入れられておりました。特に養育家庭制度の充実、子どもは絶対的な愛が必要なんだということで、この養育家庭制度をかなり積極的に進めてこられました。少子化問題に対して、庁内の連携を強化し、全庁的な視点から総合的に取り組むべきだと考えます。全庁的な調整を行う立場から、知事本局長の見解を伺いたいと思います。
 
 ▼知事本局長
 いわゆる少子化が、今後の東京、ひいては日本の将来を左右する重大な問題であることは十分認識をいたしておりまして、都としても早くから問題意識を持ってまいりました。
 ただ、この問題にどう対応いたしますかは、委員もよくご承知のとおり、大変難しいわけでございます。国においてもさまざまな提言や取り組みがなされているものの、なかなか実効性のある施策が見られないのが実情でございます。
 もちろん、難しいからといって、都として手をこまねいていいわけではありませんし、現にこまねいてきたわけではなくて、福祉を初め、医療、労働、住宅などさまざまな取り組みを実施してまいりました。現在も、福祉保健局が中心となって、次世代育成支援のための行動計画の全庁的な取りまとめを行っております。
 私ども知事本局としても、ご指摘のとおり、都民の声に耳を傾けながら、少子化問題に対して都全体として実効性の高い総合的な取り組みが行えるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
 ぜひとも前川局長が調整的な役割を果たしていただいて、福祉という分野はもう、かなり精通されているわけですから、この少子化問題、全庁的なレベルでぜひとも取り組んでもらいたいと思います。
 
■首都高速道路公団
 
 ▼東村委員
 次に、多摩格差の一つといわれております首都高速道路の中央高速八王子インターまでの延伸について、多摩の議員として何点か質問させていただきたいと思います。
 多摩格差というのは、昔から三つありました。電話番号の〇三化、中央線の連続立体交差化、そしてこの中央高速八王子インターまでの首都高の延伸の問題、この三つがあったんです。その中で、〇三化は、〇三は無理だけれども、〇四化、また、〇四五とか〇四二で統一するとか、今いろんな方向で検討も進められておりますし、中央線の連続立体交差も、ご存じのとおり今進められております。残された中で手がつけられていないのは、ここだけでございます。
 多摩在住の都民が高速道路を利用して都内に来るには、中央高速道路料金を払い、改めて高井戸で首都高速道路料金を払うという、いわゆる二重料金が徴収されております。これから質問する都市整備局長も、毎日毎日この二重料金を払って都庁にいらっしゃっていると思うんですが、この問題に関しては、我が党を初め府中や国分寺の市議会、さらに多摩の自治体から、幾度となく、首都高速道路を八王子インターまで延伸してほしいと要望してきておりました。本年第三回定例議会においても、多摩の二十二市が、中央道の料金撤廃や八王子までの延伸について要望しております。
 そこで、なぜこの問題がこれほどまでに時間を要しているのか、その原因についてまず伺いたいと思います。
 
 ▼都市整備局長
 現行の首都高速道路は、東京区部を中心としたいわゆる都市内高速道路として、首都高速道路公団によって逐次整備がなされてきております。一方、首都高四号線と接続する中央自動車道は、都市間高速道路として、日本道路公団によって高井戸から八王子インター間が整備されてきております。このように、現行制度上では、首都高と中央道とでは、路線の性格、設置主体、管理主体が異なることから、それぞれ路線ごとに料金が設定され、運営されてきております。
 ご提案の件につきましては、制度上困難でございます。
 
 ▼東村委員
 今、制度上困難という話がありました。これは今までの議論の中でです。これから分割民営化という大きな流れが出てきております。私も、本会議、予特を通じて再三指摘をしてまいりました。都は、都としても関係機関にあらゆる機会をとらえて地域の実情を伝えていくという回答をしております。非常に木で鼻をくくったような答弁がありましたけれども、このような回答をしているわけです。
 そこで、関係機関へ要望するだけでなく、都としても独自の取り組みを行うべきであると私は考えるんですが、見解を伺いたいと思います。
 
 ▼都市整備局長
 都は、これまでも機会あるごとに、首都高速道路公団や日本道路公団に要望するなど、地元の意向を伝えてまいりました。また、平成十五年十二月には、首都圏の高速道路を一体的に整備、管理する、仮称でございますが、首都圏高速道路構想を公表し、国及び関係自治体にその構想の必要性を訴えてまいりました。この構想が実現いたしますと、首都圏の利用者にとってよりよい料金体系になるものと考えております。
 
 ▼東村委員
 首都圏高速道路構想については、私もその必要性は十分に理解しております。本年第一回定例会においても私も質問しておりますが、その後その構想というものはどのような状況になっていて、今後どのように取り組んでいくのか、これについて伺いたいと思います。
 
 ▼都市整備局長
 本年六月に成立いたしました道路関係四公団民営化関係法において、首都圏高速道路構想は実現に至りませんでした。しかし、民営化法では、民営化後も必要な見直しを行うことを規定しておりまして、今後の見直しに向け、本構想が実現するよう、引き続き国や関係自治体に働きかけてまいります。
 
 ▼東村委員
 さっきは過去の制度上の問題でございまして、これから民営化に向けて大きな流れがあるんですけれども、何よりも大事なことは、私は、図っていくというよりも、関係県市との連絡協議会ぐらい立ち上げないと、この問題は進まないんじゃないかと思うわけでございます。ただ、今のところ、そこまでいってないということなんですけれども。
 そこで、本年六月に成立した道路関係四公団民営化関係法によると、現在の首都高速道路公団はどのようになるのか、これについて伺いたいと思います。
 
 ▼都市整備局長
 首都高速道路公団は、平成十七年十月以降に首都高速道路株式会社に移行することとなっております。また、公団が保有する道路資産及び承継債務は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に引き継がれる予定となっております。
 なお、機構は、その道路資産を株式会社に貸し付け、その貸付料をもって債務を返済することとなってございます。
 
 ▼東村委員
 都はこれまで、高速道路の整備促進を図るため、出資金のほかに無利子貸付を行ってきました。民営化では、道路資産を独立行政法人の機構が保有し、借金も保有し、そして株式会社にその道路を貸し付けることによって債務を返済する、こういうことになっております。
 そこで、これはもう民営化になるわけですから、機構が保有する道路資産の無利子貸付に相当する部分を有利子として機構に負担させることによって、その財源で首都高を八王子まで延伸する、こういった方法が考えられないのか、これについて伺いたいと思います。
 現在、累計の無利子貸付は約三千五十六億九千八百万円、これに、現在財投から借り入れているわけですから、平成十六年度の予算の率で申しわけないんですけれども、二・八五%掛ければ結構な利息が入ってくるわけなんです。この利息で八王子までの分をある程度延伸するということを、私は、それくらいのことを都も考えてもいいんじゃないかと思うんですね。というのは、中部の会社が東京都の中に堂々と入ってきて、永福まで使われて、おまけに料金は全部持っていかれる。おまけに、税法を見たら、償却資産税は非課税とするとまで書いてあるんです。ここまでやられていて、東京都として手をこまねいている必要があるのかということを私はいいたいわけですが、いかがでしょうか。
 
 ▼都市整備局長
 平成元年度から無利子貸付を実施しておりますが、その目的は、建設利息、すなわち建設コストの削減による料金引き上げの抑制及び早期整備促進による渋滞解消でございます。お話のように、有利子にした場合、機構の債務返済計画にも多大な影響を与えることとなるため、料金の値上げにつながることとなります。このことから、有利子とすることにより利息分を首都高の延伸の財源に充てることは困難でございます。
 
 ▼東村委員
 それでは、機構は、首都高速道路公団以外にも日本道路公団などの債務も承継して返済する、このようになっているんです。そこで、機構が四十五年以内に承継した債務を一括して返済するのならば、機構自体は独立行政法人で一つですから、その全体の中でやりくりしても構わないんじゃないかと私は思うんですね。そうすることによって今いったことができるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 
 ▼都市整備局長
 大変教科書的なご答弁になりますけれども、機構が承継する債務は、株式会社ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理することと法に規定されており、全体の中でやりくりすることはできない仕組みとなってございます。
 
 ▼東村委員
 これ以上質問してもなかなかいい答弁が返ってこないんですけれども、私、一つだけ、大変失礼ですけれども、要請としていっておきたいんですが、独立行政法人というのは非常にやりやすい法人で、補助金はいっぱいもらうけれども、裁量権はかなりあるわけなんですね。そのような中で恐らく、今は区分経理しているといっていますけれども、ある程度の段階で独立行政法人が、私は、中はもうごちゃごちゃになるだろうと、今までの道路公団のやり方を見ていたら。そういったときには、独立行政法人という一つのものがある。そして、それぞれの、日本道路公団、首都高速、阪神高速道路公団がある。資産と借金は一つの機構が持っているわけです、独立行政法人が。持って、そして資産を持っているところから道路を使用料を払って借りる。お金を払う。新会社というのは簡単な会社で、サービスエリアとパーキングエリアを借方に、資産に持っていて、そして出資金と借金を貸方、負債に持っているわけです。また、負債と資本の部に持っているわけです。こういった簡単な会社なんです。
 単純に普通の人が冷静に考えれば、永福で切らなくても、八王子で切っても、もらう機構は、どの公団からお金をもらっても全然問題ないわけなんです。したがって、どこで切ったって全然問題ないんです。これは明らかに、私は恐らく国の道路族が、まあ地方の道路建設をしたいがために、いわゆる中部のこの会社のところでこういう区分経理をさせて、そしてその中だけできちっとドル箱路線--私は国土交通省に行って調べてきました。中央高速の高井戸間は、大体年間で二百三十五億五千七百万円あるんです。大変ドル箱路線なんです。ここを手放す手はない、これを放すと新規道路が建設できないということで、恐らく道路族たちがうまくやって、議員さんなんかも、私は東京の議員にもっとしっかり頑張ってもらいたかったと思うんですけれども、議員さんなんかもまんまとその話に乗せられて、単純に冷静に考えれば、新会社というのは本当にSAとPAしか持ってないわけですよ。出資金と借入金しか持ってないんです。そういうところが使用料を借りてやるんだったら、どこで切ったって同じだということなんです。もらうところは一つですから。こういったところをもっともっと都からつついていただいて、工夫をして、ぜひとも私は八王子までを延伸していただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 
■震災対策
 
 ▼東村委員
 ご承知のとおり、先般の新潟中越地震では、建物、道路被害だけでなく、土砂崩れ、液状化など、地域により異なっているが、大きな被害が発生しました。被災された方々に対して心からお見舞い申し上げます。
 島を抱える都においても、大島、三宅島の火山噴火災害に加えて、津波災害が心配です。北海道奥尻町では、平成五年七月に発生した北海道南西沖地震とその直後に発生した大津波に襲われ、壊滅的ともいえる被害を受けました。都では、平成十四年四月、新島村、神津島村、三宅村が東海地震の対策強化地域の指定を受け、昨年十二月には、八丈町、小笠原村が東南海・南海地震の対策推進地域に指定されています。これらを踏まえた対策をどのように進めているのか、伺いたいと思います。
 また、津波災害が発生すると想定されている島では、対策として訓練が重要になりますが、これまでどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。
 
 ▼総務局長
 二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、島民の生命、財産の安全確保のために、津波対策を強化することは極めて重要でございます。東京都は、東海地震及び東南海・南海地震の地域指定に伴いまして、地域防災計画を見直し、平成十六年六月に、伊豆諸島の浸水予測図を作成いたしますとともに、小笠原諸島につきましても、今年度中に作成する予定となっております。今後も、島しょ町村の津波災害への取り組みに対し、積極的に助言、支援してまいります。
 次に、これまでも津波災害が予想されます島しょ町村と合同の防災訓練を実施してまいりましたけれども、今年度は神津島村で、津波とがけ崩れによる災害を想定いたしまして、十一月二日に実施いたしました。また、島しょ町村でも独自に防災訓練を実施しております。今後とも引き続き、島しょ町村の防災能力の向上を図るため、合同訓練を実施いたしますとともに、各町村での独自訓練を積極的に支援してまいります。
 
 ▼東村委員
 訓練は観光客をもにらんでいると思いますが、観光を産業とする島しょ町村にとって、観光客の安全確保は何をおいても重要でございます。島民のみならず、観光客にもわかりやすく避難路を案内するなど、避難誘導施設等の整備が必要と考えますが、島によっては、避難路が確保されていない、宿泊施設でも案内していないなどの問題があります。こうしたことは、島のみならず、都も取り組むことが重要ですが、見解を伺いたいと思います。
 
 ▼総務局長
 津波対策につきましては、まず何よりも島民みずからがその重要性を認識することが大切でございます。また、観光客の安全確保対策は、まず島しょ町村が取り組むべきものでございますけれども、都といたしましても、観光案内所や宿泊施設等へのハザードマップの設置、観光客に対します啓発、海水浴場や釣り場におけます避難路の確保などにつきまして、島しょ町村と連携して積極的に取り組んでまいります。
 
 ▼東村委員
 三宅村は、来年二月に避難指示の解除を行う方針を発表しております。避難指示が解除されて、島民の皆様が待ちに待った帰島が実現するのはまことに喜ばしいことでございます。島のインフラ整備も着々と進んでおり、特に泥流などの被害から島民の命と財産を守る砂防ダムなどの整備も順調に進み、夏から秋にかけて押し寄せた台風による豪雨でも、泥流被害は全く発生しなかったと聞いています。
 しかし、今回の三宅島災害が四年以上もの長期にわたる全島避難という極めて異例の事態となった原因は、火山ガスです。その放出は当分継続すると考えられており、火山ガス対策を抜きにした島民の帰島は考えられません。火山ガスに関する安全対策は、基本的には村が実施すべきものですが、火山ガスとの共生という状況の中での生活を余儀なくされる島民のことを考えると、都の支援や協力が不可欠です。
 そこで伺います。村はどのような火山ガス安全対策を考えているのでしょうか。また、それに対する都の支援の状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。
 
 ▼総務局長
 火山ガスに対します安全対策でございますけれども、まず島民みずからがガスの危険性について正しく理解し、適切に対応することが必要でございます。村は、帰島までに高濃度地区等を指定いたしまして、危険地域を明確にいたしました上で、ガス濃度の監視、観測や情報伝達、避難体制などを整備いたしますとともに、島民へのリスクコミュニケーションの実施、ガスマスクの配布などを行うことにしております。
 これら安全確保対策は、国、都、村が共同で検討いたしました三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告を踏まえたものでございまして、東京都は、今後も島民の安全を確保するため、引き続き必要な支援をしてまいります。
 
 ▼東村委員
 火山ガスに対する安全対策が十分に考えられていることはわかりましたが、多くの島民が、帰島に当たってハードルと考えていることはほかにもあります。それは、四年にもわたる避難生活の間に、生活の基盤である住宅が深刻な被害を受けていることです。長期間にわたって住宅を放置せざるを得なかったことにより、帰島に当たって、居住環境を回復するために島民の皆さんが苦労するとすれば、これは三宅島災害の特有の事情であると考えます。
 こうした背景を考慮し、我が党が第三回定例会の代表質問の中でも問いただした、都独自の新たな支援制度がぜひとも必要であると考えます。来年二月の避難指示の解除に向けて、島民の生活再建を後押しするための新たな生活支援制度を実施すべきです。現在、検討はどのように進んでいるのか伺って、私の質問を終わりたいと思います。
 
 ▼福祉保健局長
 村民の生活再建は、自助努力を基本に、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を活用しながら進められるべきものと考えております。しかしながら、今回の三宅島噴火災害は、お話のように、村民が四年以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている、過去に例のない災害でありまして、村民生活の基盤となる住宅も甚大な被害をこうむっているという状況にございます。
 現在、関係局と緊密に連携をとりながら、村民の本格的な帰島時期を視野に入れ、国制度との整合性を図りつつ、具体的な支援策の検討を進めております。

戻る