古館 和憲(日本共産党) |
■財政再建 |
▼古館委員
決算審査の十五年度は、第一次財政再建推進プランの最終年度の年でございます。十一年六月に「危機に直面した東京の財政」、いわゆる第一次財政再建推進プランの策定に向けてが発表されました。そこでは政治行政システムの制度疲労が強調されて、これまでの制度や施策を聖域なく見直す、その財政構造改革に向けた取り組みを進める中で財政再建団体への転落を回避する、そして巨額の財源不足の解消、これらが都財政を再建していく目標だということがいわれておりました。
そこでお尋ねしますけれども、この五年間で財政再建はできたのでしょうか、まず伺いたいと思います。
▼財務局長
財政再建につきましては、今委員の方からお話がありましたように、十一年に作成しました財政再建推進プランに基づきまして全力で取り組んできた結果、財政再建団体への転落を回避するとともに、財源を着実に確保し、成果をそれなりに上げてきたところでございます。
しかし、その一方で、歳入の根幹をなす都税収入は、十五年度においてプランの見込み額を大きく下回ったことに加えまして、国から地方への税源移譲については残念ながら一向に進まなかったことなどのため、プランの最終年度である十五年度予算でも、なお二千五百億円もの財源対策を余儀なくされる状況となったわけでございます。
このように、都財政は瀕死の状態を脱出することはできたものの、十五年度においても六年連続で赤字決算となり、また隠れ借金を抱え、基金残高も底をつくなど、依然として財政再建は途半ばの状況にある、このように考えております。
▼古館委員
いつも途半ばという言葉が出てきて、それで財政の財源不足を解消するということで今答弁求めたら、また途半ばだ、こういうことなんですね。税収の問題についてはまた後ほど質問させていただきますけれども、今のご答弁で、結局都財政は再建できなかった。この事実は都民にとりまして極めて深刻であります。この石原都政の五年間に、地方自治体が第一の課題として取り組むべき福祉が大きく後退しました。医療費助成など経済給付的事業の切り下げや廃止で二百八十七億円の予算が削減され、延べ百万人を超える高齢者や障害者に負担増をもたらしました。補助金の削減では、サービス推進費の補助削減だけでも五百三十億円さらにこの五年間で削減され、また、対象になる廃止される都立施設は百を超えました。第二次財政再建推進プランにおきましても、同様の削減がこれからやられようとしています。
そこでお尋ねしますけれども、この五年間は都民には痛みだけが押しつけられた、それでも財政再建できなかった、これはどうしてでしょう。
▼財務局長
都が進めております財政再建は、決して今お話のあったような都民施策の切り捨てを意図したものではございません。強固で弾力的な財政基盤を確立し、将来の都民ニーズの変化にこたえて、東京に活力を呼び戻す新たな施策の財源を安定的に生み出すための、将来を見通した積極的な取り組みでございます。したがいまして、この間も、職員定数の削減あるいは施策の再構築など、見直すべきものは徹底的に見直しをしながら、同時に、都財政が厳しい中にあっても、都が直面する緊急課題には的確に対応しまして、例えば福祉の再構築、ディーゼル車規制などの環境対策、都市再生、そして中小企業対策など、都民生活を安定的に支える施策には財源を集中的に投入してきたところでございます。したがいまして、途半ばといえ、財政再建を進め、着実に成果を上げながら、一方で都民福祉の向上に取り組んできたということでございますので、その意味ではお話のようなご指摘は当たらない、このように考えます。
▼古館委員
今もお話にありました中で、都市再生ということがいわれましたけれども、今までの予算で最も偏重してきたのがこのいわゆる投資型経費と呼ばれているものです。
第一次財政再建推進プランは、十五年まで巨額の財源不足を解消するとしておりましたけれども、今いったようにそれは達成できなかった。しかし、我々はそのチャンスはあったというふうに思っています。その最大のキーポイントは何かといいますと、先ほどのやりとりでも明らかなように、税収であります。税収の予測を超えた増加が明らかにこの期間にありました。第一次プランは、初年度、十二年度が税収見通しが四千億近く計画を上回る増収でありました。それで、十三年度の場合は、当初と最終補正を合わせまして、増収はとにかく八千四百億円はありました。その後三年間がそれぞれ若干のマイナスになりましたけれども、四年間の通算でも七千億円を超える税収増があった。どうですか、このことはお認めになりますか。
▼財務局長
今お話にありました一次プランの中の都税収入の決算ベースでの合計は、プランの税収見込み額と比較しまして、形式的には、今お話のあったように七千百七十四億円の増となっております。しかしながら、この中には銀行の外形課税や徴税努力といった、第一次プランに基づく財源確保の取り組みが含まれておりまして、単純に形式的に増収と考えるのは適切でない、このように思っております。
プランの取り組みによる財源確保額及び都税収入がふえれば当然増となります税連動経費といいますか、税連動の交付金の影響額を除いたベース、すなわち税の、一般的にいいますと自然増減ベースで比較しますと、プランの四年間の収支見通し合計の十二兆三千六百億円に対しまして、実績は十一兆八千九百五十億円でございまして、実質的には四千六百五十億円のマイナス、こういう状況になっているわけでございます。
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■福祉・医療の見直し |
▼古館委員
先ほどいろいろな都合のいい、銀行課税は差っ引きましょうとか、でも、そういうのも東京都の施策の中に入っているわけですよね。ですから、そういうことも含めて、何かそちらの答弁聞いていると、都合のいいものは外すとか、都合のいいものは引き出しから出してくるとか、そういうことでは違うというように思いますね。
今述べた税収増に加えて、さらに深刻だったのは聖域のない見直しで、これが都民の中に厳しく進められていきました。すなわち、都民生活に密着した各種の施策が、当初予算だけではなくて、予算執行の段階でも切り込まれてきた。これは今回の決算審査でも明らかだと思います。例えば高齢福祉費だとか子ども家庭福祉費、心身障害者福祉費、福祉管理費、生活福祉費、保険費、施設整備費の五つの区分ですね。このすべてが決算額でも、五年前との比較で六百三十億円も削られております。
しかも、重大なことは、知事が力を入れると公約をしていた、旧福祉局にかかわる施設整備費ですね。これが十四年度予算現額が五百五十二億円に対して、実績が三百億円と、何と二百五十億円も減額されています。十五年度の予算現額五百二十六億円に対して、実績が三百六億円と、実に二百億以上の不用額を出しております。
こうした中で、都民の痛みに加えて、寝たきり手当の打ち切りを初めとする施策の廃止、縮小が行われてきました。寝たきり手当を打ち切られた家庭では、月五万円の収入で介護と医療費で二万五千円、これからの生活が物すごく不安だ、こういうことが訴えられましたし、少しの税金を納めていて、シルバーパスが二万五百十円なんてとても買えない、医療費が高過ぎて薬も間引きしている、特養ホームに入りたいが全くめどが立たないなど、深刻で切実な声が東京じゅう渦巻いている、これが今の実態であります。
第二分科会で、吉田委員の質問で明らかにいたしましたけれども、福祉関連施設の建設実績でも、十一年度と十五年度の比較ではどうか。施設建設で、十一年度は継続が三十一ですね。新規が十九。合計で五十の施設の整備がやられていた。ところが、十五年度は継続が十、新規が十二で、合計二十二ですから、半分以下です。これは局答弁でも明らかであります。さらに、老人保健施設につきましても、全国の中で一番低いのは事実だ、このことを福祉保健局はお認めになりました。
そこでお尋ねをいたしますけれども、石原都政になってとりわけ強く打ち出されてきた主張が、現物給付など直接のサービスの提供は民間などにゆだねるが、基盤整備、施設整備などの条件整備はもっと力を入れてやるとのことでありました。しかし、ご主張のようには進んでいないのではありませんか、いかがでしょう。
▼福祉保健局長
お話の介護保険サービスは、いずれも保険者でございます区市町村の事業計画と調整の上、都が策定した支援計画に基づき整備を進めています。グループホームや老人保健施設の整備状況は、平成十六年四月一日現在、グループホームの定員数千六百二十人で、平成十五年度の計画比で九〇%、老人保健施設は一万二千三百三十八人、九八・七%となっております。また、デイサービスやショートステイについても、平成十五年度に供給されたサービスの実績を計画と対比すると、それぞれ八六・六%、一〇〇・三%となっており、これらのことから、計画に沿って着実に整備されていると認識をしております。
▼古館委員
これは決算というのは、非常に数字というのは明確なんですね。先ほどもご答弁の中でもありましたけれども、施設の整備実績というのも半分以下に落ちている。これは計画の中だというんですけれども、その計画自体が非常に少ないということを指摘せざるを得ません。実際に充実するといっていた施設整備では、私どもの調査でも、人口当たりで見ますと、デイサービスが四十七都道府県のうちで四十七位で、ショートステイが四十六位、グループホームが四十六位、老人保健施設が、これはご答弁でもお認めになったように四十七位なんですね。デイサービスやショートステイもそんなに進んでいるとは考えにくいんです。したがって、この現状を放置していいわけは絶対ないと思います。今後どのように対処されるか、その見解をお聞きしたいと思います。
▼福祉保健局長
地価が高いなどの東京の特性がある中で、都はさまざまな施策を展開をし、施設整備の促進に努めているところでございます。具体的には、老人保健施設への都独自の補助として、一床当たり四百万円の整備費補助を行うとともに、グループホームにつきましては、国庫補助の対象でございます社会福祉法人などに加えまして、民間企業を補助対象とするなど、設置促進策に努めているところでございます。こうした取り組みによりまして、これらのサービスの過去三年間の定員数などの伸び率は全国平均を上回っております。
なお、在宅介護サービスの中核をなしますホームヘルプサービスは、全国一の水準を維持していると思っております。
いずれにいたしましても、施設整備については計画に基づいて進めていくことが肝要であろうかというふうに認識をしております。
▼古館委員
東京の特徴は、先ほど局長、地価が高いといわれましたけれども、そういう状況があるからこそ、施設建設というのが求められていると思うんですね。しかも、ひとり暮らしの高齢者が全国でも一位、二位というふうに高いのが東京の特徴であります。しかも、東京の住宅事情というのは、都営住宅にも入れないし、それぞれの住宅そのものにもなかなかバリアフリーなどがまだ進んでいないということもあって、さらにこの福祉施設などの整備というのは求められています。こうした中で、福祉保健関連施設の建設計画そのものを私は思い切って引き上げる、このことを強く求めておきたいと思います。
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■一般国道と都負担 |
▼古館委員
都民に痛みを求める一方で、石原知事就任以来、戦略的課題として位置づけて、強力に推進してきたのが都市再生であります。その一つが、幹線道路や首都高速道路建設への都財政の投入です。この主要幹線道路づくりと都財政について、少し立ち入ってお尋ねをしたいと思います。
(資料を示す)実はこれなんですけれども、これは福祉予算と国直轄事業費負担金等--等というのは、これは先ほど質問に出ていましたけれども、首都高速道路公団への財政支出であります。これの比較でございます。この右肩に上がっているのが、いわゆる国直轄事業等なんですね。これ一に対して、これが一・三近くまで上がっていて、で、この右下がりのものが実は福祉保健費なんですね。この出発点が一九九九年で、それでこれが二〇〇三年で、いわゆる〇・九ポイント以下に落っこっているというのがこの私どもの--もちろん金額の問題でなくて、これは伸び率の問題でいっていますから、ただ、それは傾向がよくわかるというように思います。いや、大体そういうような流れで今都政が動いていますから。こうした投資的経費への集中した財政投入は、実は財政が立ち直っていかない最大の問題なんですね。
そこで、きょうは、国の道路づくりと、その維持管理にまで、都が長年にわたって積極的に財政支援を初めとする、ここまでやるかという問題があるので、少しただして見解を問いたいと思っています。
そこでお伺いしますけれども、滝山街道というのは国道なのか、それとも都道ですか、どちらでしょうか。
▼建設局長
滝山街道は、八王子市から山梨県甲府に至る一般国道四一一号の一部でありまして、延長約十三キロの国道でございます。
▼古館委員
当たり前だというんですけれども、都民はかなり都道だと思っている人も多いんですよね。それで、今お答えで国道だというふうにお答えがありました。
それで、ここに東京都の建設局の事業概要というのがありまして、これをちょっとめくってみましたら、一五四ページですけれども、資料編で一般国道というのがありまして、この中に指定区間外というのが目に入ってきたんですね。指定区間というものと指定区間外というのが一般国道にはあると。まず、この指定区間外、およそ八路線がこの中にあると書かれています。七十六キロメートルの延長ですね。これはどういう性格のものをいうんでしょうか。
▼建設局長
一般国道は、道路法の規定によりまして、指定区間国道と指定区間外国道の二種類に区分されております。指定区間国道は、一般国道のうち、政治、経済、文化上特に重要な都市を結ぶ道路など、政令で指定された区間でありまして、国が管理する道路でございます。指定区間外国道とは、それ以外の区間でございまして、都道府県などが管理する国道でございます。
▼古館委員
つまり一般国道には変わりないんですよね。答弁が今、都道府県が管理する、こういういい方をしたんですよね。ちょっとこれはおいておきますけれども、この指定区間外という国道で今進めている事業では、どういう路線がありますか。わかりやすく、ちょっと通称名でお答えいただきたいと思います。
▼建設局長
現在事業を行っている路線は、国道一二二号、国道一三一号、国道四一一号の三路線でございます。
その通称名は、一つの路線でありましても通過する地域によって異なる場合がありまして、三路線の主たる通称名は、国道一二二号は北本通り、国道一三一号は産業道路、国道四一一号は滝山街道と青梅街道になっております。
▼古館委員
この国道の指定区間外の建設費と維持管理費の負担は、国がしているのでしょうか、都がしているのでしょうか。そして、その負担割合はどうなっているでしょうか。
▼建設局長
道路法の規定では、新設または改築に要する費用のうち、都が施行する場合は、都の負担は二分の一となっております。路面の維持や街路灯の電気代などの維持管理費は、同法に基づきまして、道路管理者である都が負担しております。
▼古館委員
これは道路管理者というのはそういうふうにやらされているんですよね。それは今ご答弁ありましたが、道路法の第五十条の国道の管理に要する費用という中で、国道の維持、修繕その他管理に要する費用は、指定区間外--今質問したのは指定区間外、この国道に係るもの、これは法律で国道に係るものといっているんですね、これは都道府県の負担とすると。つまり、国道でありながら、全く国は維持管理だとか修繕のお金は出さないで、これは全部東京都が負担をしている、こういうことなんですね。つまり、国道でありながら、負担するのは建設費は国は半分だけで、国道であるにもかかわらず、維持管理費用はすべて東京都が面倒見る。維持管理費については後でやりますけれども、道路が一たんできると、その道路が廃止されない限りは都が永久に維持管理費用を全額払い続けるんですよね。こういうことが本当にあっていいのかということなんです。
総延長はおよそ七十六キロメートルとなっておりまして、これにかかった現在までの建設事業費はおよそどのくらいになりますか。
▼建設局長
事業中三路線の平成十一年度から平成十五年度までの五カ年の新設または改築に要した費用は、百十二億円でございます。
▼古館委員
つまり五カ年で百十二億円ですよね。ずっと昔からこの国道というのはあるんですよね。そのたびごとに、五カ年だけでこれだけのお金を負担している。しかも、維持管理費用は全部東京都が負担する。五カ年であります。
そこでちょっと具体的に聞きますけれども、十一年から十五年までの国道の指定区間外の整備費の推移、これでいいますと、先ほどいいましたように百十五億円でしたね。それで、問題なのは維持管理費についてであります。都民は国道という認識よりも、都の道路という認識の方が強いのはなぜかというと、いつも車が走って道路を直しているのは東京都の車だからですね。国道なんだけれども、維持管理費は全部都が負担することになっているから、何となく、国道なんだけれども東京都の都道のように思ってしまう。国が維持管理費を払うのは私は当たり前だというふうに思いますけれども、おかしいと思いませんか。いや、これは大事なことだから、東京都でもやってもらいたいですよ。
▼建設局長
お話しの指定区間外国道の維持管理費は、道路法の規定によりまして、道路の管理に関する費用は当該道路の道路管理者が負担することになっておりまして、道路管理者である都が負担しております。
▼古館委員
私どもは今、国の直轄事業の負担金だっておかしいという声を上げていますよね。今、全国知事会だってそういう声は上げているんです。東京都だって、百歩譲って、維持管理の費用というのは、これは東京都が負担するのはおかしいということまでいっているわけですから、我々としてはこういう問題に対して、やはりおかしいんじゃないの、なぜ維持管理費用を国道でありながら東京都が一〇〇%も負担しなきゃいけないのか。私は、都から国を変えるんだということでは、はっきり、法で決まっていますからといわれたのでは、うたい文句が泣くんだというふうに思うんですね。
維持管理費は供用を開始してから延々と都だけが負担している。この負担額がはっきりとわかるようにしないと、国に対して、維持管理の費用負担を強く求めていく上でもできないというふうに思うんですね。私は何度もこれを質問するためにちょっと聞いたんですけれども、維持管理費用は出せないというんです。わからないというんですね。だけれども、国の直轄事業に対する管理費用は幾らですかというのは、これはわかるんです。なぜかといったら、十分の五・五が国が払って、十分の四・五分は東京都が維持管理費用を負担している。だから、これはきっちりと維持管理費用というのが出るんだけれども、はなから国に対して何か物を申そうという気がないから、維持管理費用についての全貌がわからないんですね。私は、この維持管理費用の全貌をつかむのは当然だと考えています。今後の重要課題として引き続き取り上げていきますので、作業に取りかかることを強く求めておきたいと思います。
さらにもう一つ、一般国道指定区間というのはどういう性格の道路で、通称道路名やわかりやすい路線名を一、二紹介してほしいと思います。
▼建設局長
指定区間国道は、先ほどもご説明しましたとおり、一般国道のうち、政治、経済、文化上特に重要な都市を結ぶ道路でございまして、政令で指定された国道でございます。東京都内の指定区間の国道の例といたしましては、国道四号である日光街道や国道二〇号である甲州街道がそれに当たります。
▼古館委員
この負担割合はどうなっているでしょうか。
▼建設局長
指定区間における地方の負担割合でございますけれども、道路法におきまして、いわゆる国直轄事業負担金といたしまして、新設、改築が三分の一、維持管理が十分の四・五と定められております。平成十五年度に都が負担した金額は、新設、改築が二百九十六億円、維持管理費が四十九億円でございます。
▼古館委員
これがさっき私が見せた、実は国の直轄事業の道路なんですよ。ですから、今考えれば、国の直轄事業、国の一級国道といわれているこれも、東京都が三分の一負担し、維持管理費用も十分の四・五負担をし、今度は、二級国道といっているらしいんですけれども、そのさっきいった区間外の道路については、折半で道路はつくるけれども、後の維持管理は全部東京都が見る、こういうふうな仕掛けになっているわけですね。この直轄事業、ちょっと十年間で計算すると、二千七百九億円に達しています、国の直轄事業が。この五年間でも、千六百五十五億円もの国直轄事業負担金を支出しているんですね。それで、福祉を削ったというのは六百六十一億円ですから、本当にこれがいかに巨額であるかということがわかるかと思います。
この直轄事業に対する都の姿勢は、国が行う事業であるから、整備費の負担はするけれども、維持費は都が負担をという、何かよくわからないような態度で終始しているんですけれども、全国知事会というのは非常に明快なんですね。全国知事会はどういうふうにこの国直轄事業についていっているかといいますと、国直轄事業が全国的視野のもとに国家的政策として実施されながら、地方公共団体に対して個別に財政負担を課する国直轄事業負担金は極めて不合理であるため、これを廃止すべきである、また、本来管理主体が負担すべき維持管理費について、直轄負担金として地方公共団体に財政負担させることは極めて不合理であり、早急にこれを廃止するべきである、実はこれが、全国知事会がずっと前から出しているんです。この意向はいまだに変わっておりません。私はこの間電話して聞いたんですね、全国知事会に。こういう方針は今でも変わっていませんかといったら、変わっていません、なぜかといったら、一方的にこれだけ払いなさいといってくる、こんな無慈悲な話というのはないんだということをいわれておりました。
そこでお聞きしますけれども、これら国直轄事業である国道、指定区間にしても、指定区間外にしても、国道という役割を担っているものでありまして、都として整備費にしても維持管理費にしても、その負担などは合理性もないものであると考えています。したがって、廃止を求めるべきだし、負担するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
▼建設局長
東京の都市基盤施設の整備状況はいまだ不十分でありまして、東京を魅力と活力のある都市に再生し、産業の活性化や国際競争力の向上を図るためには、都市基盤の整備は極めて重要でございます。国道の整備につきましては、指定区間の内外を問わず、東京の道路ネットワークを形成し、都民生活や都市活動を支える上で重要かつ緊急性の高い事業でございまして、今後とも国と連携し、積極的に事業を進めてまいります。
また、維持管理費につきましては、本来管理者が負担すべきものでございます。したがって、指定区間におきましては、管理者たる国が全額負担すべきものでございまして、引き続き国に対し維持管理費の地方負担の廃止を強く求めてまいります。
▼古館委員
今そこまでご答弁になったんですから、私は全部、建設費も本来負担すべきじゃないと思っていますけれども、百歩譲って、維持管理費について、国直轄事業については今いわれました。さっきの指定区間外のことについてはいかがですか。全額東京都が負担するというのは私はどこにも理がないと思いますけれども、その点いかがですか。
▼建設局長
先ほども申し上げましたけれども、維持管理費につきましては、本来管理者が負担すべきものでございまして、都が負担している、指定区間におきましては、現在は直轄負担金で都が支払っておりますけれども、これは不合理であるということで是正を求めて、これまでも国に対して要請してまいりましたので、今後その維持管理費の地方負担の廃止を引き続き強く求めていく、こういう考えでございます。
▼古館委員
ガードがかた過ぎてちょっとあれなんですけれども、管理者といっても、一般国道だと認めていて、それで管理者というふうに東京都がいう--これは法的なものというのはわかりますけれども、これはやはり是正をさせるという態度が必要だと思います。
このほかに、首都高速道路公団への無利子貸付が、十年間で、先ほどもお話がありましたが、ちょっと私ども考え方が違うんですが、千九百六十二億円です。この五年間では一千六十一億円。そして公団への出資金は、この十年間で千百七十四億円、この五年間でも五百四億円に達しています。この五年間で、道路での国直轄事業に千六百五十五億円、首都高の出資金で五百四億円、首都高の無利子貸付で千六十一億円、合計で石原都政五年間でこれらを合わせますと、何と三千二百十七億円にもなります。今年度までに福祉、医療で削った、先ほどもいいましたが、六百六十一億円の四・九倍、およそ五倍ものお金を支出しております。
石原都政が進める都市再生は、環境破壊だけではなくて、財政破壊の大きな要因であって、こうした国直轄事業への負担金や首都高への膨大なお金の支出こそ大胆なメスを入れることが求められていると思います。今こそ都政が、住民福祉の増進という自治体本来の原点に立ち返り、都民の暮らしと営業、福祉と健康を守るためにあらゆる手だてを講ずることを強く求めて、質問を終わります。
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