田代 ひろし(自民党) |
■福祉保健施策 |
▼田代委員
それでは、まず福祉保健施策について伺います。
まず、児童虐待防止対策についてでございますけれども、栃木県小山市の事件はまだ我々も記憶に新しく、最近大変繰り返されております児童虐待の悲劇を防止するためにも、親が子育てに悩む初期の段階で、十分な助言を受けたり、指導ができるように体制を整えることが必要である、それが児童虐待の予防の大きな一つの方針だと思うんですが、今現在、臨時国会において、子どもと家庭に関する相談については、基本的に、できる限り身近な区市町村を主体としつつ、都道府県は専門性の高い困難な事例、難しい事例に役割を重点化する方向と聞いております。
一方、都においては、児童福祉法の改正に先行して、これまで、子どもと家庭の身近な相談機関として、区市町村における子ども家庭支援センターの設置を促進しておりますけれども、こうした全国に例を見ない都独自の取り組みは大変大きく評価されるものだと思います。さらに、平成十五年度からは、その機能を充実させた先駆型子ども家庭支援センターを創設いたしました。
そこで、まず、この先駆型子ども家庭支援センターの果たしている機能について伺います。
▼福祉保健局長
先駆型子ども家庭支援センターは、子どもと家庭に関する総合相談など、区市町村における子育て支援のネットワークの拠点としての役割に加えまして、児童相談所と連携して、家庭における児童虐待の防止のための役割を担っております。
具体的には、乳幼児健診を受診していない家庭など、子育て支援が特に必要な家庭に対する訪問支援や、虐待等により一時保護や施設などに措置された子どもが家庭に戻った後の見守り支援などを行っており、児童虐待の未然防止などに効果が上がっていると認識しております。
▼田代委員
今のご答弁を伺いまして、先駆型子ども家庭支援センター、この仕事は児童虐待防止対策として極めて有効な取り組みであるとの思いをさらに強くしたわけですが、また、今後はこうした児童虐待防止の役割を区市町村が積極的に果たしていくべきと考えております。
そこで、従来の子ども家庭支援センターはすべて先駆型に転換していくべきだと考えますが、ご所見を伺います。
▼福祉保健局長
児童虐待に迅速に対応していくためには、発生予防から早期発見、早期対応、そして家族再統合に至るまで、児童相談所と区市町村を含む関係機関が一体となって取り組む必要があると認識しております。
こうした観点から設置されております先駆型子ども家庭支援センターが、多くの区市町村において設置されることは極めて有意義であり、都としては、ご提案の趣旨を踏まえまして、区市町村に対し積極的に働きかけてまいります。
▼田代委員
続いて、BSE対策についてお伺いいたします。
まず初めに、国内で初めてBSEが確認されて以来、東京都はどのような対策を講じてきたのか、伺います。
▼福祉保健局長
都では、平成十三年九月、国内で初めてBSEが確認された直後から、国に先駆けまして、すべての牛の解体処理に当たり、特定危険部位の除去を開始いたしました。さらに、全国一斉でのBSEの全頭検査の開始に当たっては、解体処理を行った当日中に検査結果を出すこと、検査結果が判明するまで牛肉などを厳重に保管管理すること、関係局と緊密に連携協力して安全対策を実施することなど、五つの原則を東京ルールとして独自に定め、全庁的な危機管理体制のもとに、BSE対策に万全を期してまいりました。
▼田代委員
東京都が、我が国初のBSEが確認されて以来、東京ルールですか、関係局の連携のもとにBSE対策を積極的に推進してきたということは大変高く評価されることだと思うんですけれども、十月十五日には、国はBSE対策の見直し案について食品安全委員会に諮問いたしました。その内容は、脳、脊髄などの特定危険部位の除去は引き続き全頭を対象に実施すること、現在の検査法によって発見するには困難であるとされている二十カ月齢以下の牛をBSE検査の対象から除去するなどであります。
一方、東京都は、十月二十一日に全頭検査継続の方針を発表いたしました。国の見直し案については、現在、食品安全委員会で審議中であり、どのような答申が出されるのか見守る必要はありますが、国が科学的見地からBSE検査の見直しを行っているこの時期に、全頭検査継続を表明したことについて、都民にわかりやすく説明する必要があると思います。
そこで、都はどのような考えで全頭検査継続の方針を打ち出したのか、見解を伺います。
▼福祉保健局長
国は、科学的な見地から安全が確保できるとして、BSE検査の対象を二十一カ月齢以上の牛とする見直し案をまとめ、食品安全委員会に諮問いたしました。しかし、この案に対しましては、安全・安心の観点からまださまざまな意見があり、現時点では国民のコンセンサスが得られているとはいえない状況にあると考えます。
東京は我が国最大の消費地であり、食肉流通の大きな拠点でもあることから、都民、事業者の不安を払拭するために、都は全頭検査を引き続き実施する方針を決定したものでございます。
▼田代委員
今お話にありましたように、食品の安全確保に関する対応というのは、本来、科学的見地に基づいた施策を推進していくべきであるわけですけれども、しかし、お話にもありましたように、十分なコンセンサスが得られていない現状においては、消費者、事業者の安心を確保するための施策は行政として必要でありまして、都がBSEの全頭検査を継続すると表明したことについては妥当であると評価することができると思います。
国がBSE対策について見直しを行うに当たっては、リスクコミュニケーションを今後も徹底して行い、消費者、事業者の理解を得るための努力をしていくよう、都としても引き続き国に対して働きかけていただきたいと思います。
最後に、冬場をこれから迎えまして、SARSや鳥インフルエンザなどの新しい形の感染症の問題が再燃する心配もありますので、都民の健康を守るために、今後とも万全の対策を講じていただきたいと思います。
続いて、災害医療について伺います。
これは私ごとなんですが、今回の新潟県中越地震に際し、現地に入り、情報や道路の遮断などにより、医薬品や生活物資が、被災現場、特に山間部に行き渡らない、そして、ライフラインの機能不全という状況の中で、三日間、医療救護活動を行ってきました。
こういうささいな経験ではありますが、なかなか我々医師としても見ることのない現場をもとにして、今度はこの災害が東京都で起きたらどうなんだ、我々のふるさと東京で起きたらどうなんだということで、都においても、都市部はもちろん、大変東京都は広いので、島しょや山間部の、多摩地域を含めた都内全域のいろいろな、地域地域によって全く内容が違うと思うんですけれども、多様な災害発生状況に応じた災害医療体制の確保にさらに万全を期していただきたい。
阪神・淡路の教訓をもとにしっかり行っていることはよく存じておりますが、さらにそれを進めていただきたい。特に、平成十五年度の総合防災訓練においては、全国では多分初めてだと思いますけれども、知事の英断により、自衛隊を含めた関係機関との連携のもと、NBC災害訓練を行うなど、多様な事態を想定した訓練を実施しております。
今回の新潟県の中越地震に際しましても、都は、全国に先駆けて編成した災害医療派遣チーム、東京DMATをいち早く現地に派遣し、引き続き医療救護班や保健師なども派遣するなど、積極的に対応していると聞いております。
災害時の医療救護活動を行うに当たっては、状況に応じた関係機関との密接な連携が何よりも重要であると考えますが、都における災害医療への取り組みについて伺いたいと思います。
▼福祉保健局長
お話のとおり、災害時の医療救護活動を行うに当たりましては、区市町村、警察、消防など行政機関や、医師会を初めとした民間団体との緊密な連携のもとに、一体的に取り組むことが重要であります。
このため、都は、災害に備え、関係機関が迅速かつ適切な医療救護活動を行うためのマニュアルを整備しております。また、災害発生時には、現場の医療機関の被害状況や活動状況などの情報を収集するとともに、区市町村長からの派遣要請や被災状況に応じまして、医療救護班等を編成し、災害現場に派遣することとしております。
今後とも、関係機関と緊密な連携を図りながら、実践的な訓練を積み重ね、災害時における医療救護活動体制の確保に万全を期してまいります。
▼田代委員
災害時の医療救護活動に参加したいという、コメディカルを含む医師、看護師あるいはボランティアの人たち、大変多いんですね、今。私のところにも、たまたま私が校長をしておりました看護学校の卒業生で、阪神・淡路の地震のときに向こうで子ども時代を過ごして、東京に来て看護婦になっている、どうしても行きたいんだけれども、どうやって行ったらいいかわからない、そういう要望が随分届いているんですが、大規模地震のときには、行政が行う医療活動以外に、多様な災害状況に対応したボランティア活動というものを効率よく使っていかなくてはならない。阪神・淡路のときは大都市でしたが、今度は農山村地域、しかも過疎化しているというところですから、全く状況が違うわけで、そこで、物はあっても現場に到達しないという、前回の阪神・淡路とは全く逆の状況が出ているわけでありますね。これはやっぱりボランティア活動の人たちにうまく働いていただかなくてはならない。
今後は、今回の新潟県中越地震を教訓として、ボランティアが円滑に活動できるようなネットワークの仕組みづくりをつくることが大きな課題であると考えています。国もこのための体制整備を検討していると聞いておりますが、今後都としての取り組みを期待して、災害医療に関する質問を終わります。
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■生活文化施策 |
▼田代委員
次に、交通渋滞解消のための違法駐車対策、スムーズ東京21について伺います。
違法駐車が、交通事故のみならず渋滞の原因となり、快適な都民生活や効率的な都市活動の妨げになることはご承知のとおりです。特に交差点付近の違法駐車は、左折車や直進車の進行を妨げ、交通渋滞の大きな原因となります。
そこで、東京都は、警視庁と連携してスムーズ東京21を平成十三年度から十五年度まで実施してきたところでございますが、まず、この三カ年での取り組み並びに事業効果はどのようになっているのかをお伺いいたします。
▼生活文化局長
まず、取り組み実績についてでございますが、靖国通り、明治通りなどの四つの幹線道路及び新宿、渋谷、池袋の繁華街地域における四十六交差点で、交通の円滑化を阻害する交差点付近の違法駐車を排除するために、駐停車禁止区間を法定の五メートルから原則三十メートルに拡大して、これを赤系の舗装で明示いたしました。また、違法駐車車両に所轄警察署から音声で警告する駐車抑止テレビシステムを整備したほか、指導啓発を行う交通指導員を配置するとともに、取り締まりを強化いたしました。あわせて、荷さばきスペースの確保、タクシープールの整備、駐車場への誘導案内などを実施いたしました。
次に、事業効果についてでございますが、まず、対策を講じる前と講じた後で比較すると、靖国通りでは、市ヶ谷駅前から浅草橋までの通過に要する時間が約三割減少するなど、交通の円滑化が図られました。次に、明治通りの池袋駅東口付近におきましてタクシープールを整備したことによって、以前は最大で四十台ほどあった客待ちタクシーの路上駐車が解消いたしました。また、渋谷エリアでの沿道商店会へのアンケートでも、約四割の方が違法駐車の減少を実感していただいている結果となっております。
▼田代委員
スムーズ東京21を今お話しのように実施したところでは、交通渋滞が解消されて大変改善されたことがある、これはよくわかるんですけれども、しかしながら、これは今のお話のように限られた路線や地域での効果にとどまっておりまして、交通渋滞は都内各地域どこにでもある共通の問題だと思うんですね。ほかの地域にも拡大していくことが大変重要だと思うんですが、今後どのように取り組んでいかれるのか、教えていただきたいと思います。
▼生活文化局長
ご指摘のような観点から、平成十五年度から十九年度までの予定で、スムーズ東京21拡大作戦を実施しております。本事業では、対策箇所を国道を含めて大幅に拡大するとともに、右折レーンの延伸、左折レーンの設置などの道路施設等の改善や、カーナビゲーションによる駐車場案内誘導の本格展開など、新たな対策メニューを加えて集中的な渋滞対策を実施していくこととしております。
今後とも、関係各局、警視庁、国土交通省などと緊密に連携しながら、事業の積極的な推進を図ってまいります。
▼田代委員
都民生活に多大な経済的損害を与えて、排気ガスの原因ともなっている交通渋滞を解消するということは、大都市東京の再生に必ず必要なことであります。このため、今後とも関係機関と緊密に連携して、スムーズ東京21拡大作戦を着実に推進していただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
平和祈念館についてですけれども、現在建設が凍結されておりますが、その後、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑が完成し、また、東京空襲犠牲者名簿の整備が進んでいるわけですが、この際、凍結ではなく、建設中止ということに踏み切るべきと考えますが、いかがでしょうか。
▼生活文化局長
東京都平和祈念館(仮称)についてでございますが、平成十一年第一回定例都議会におきまして、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること、また、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと、また、東京空襲犠牲者名簿の収集・作成を平成十一年度の早期に開始することとの付帯決議が付されております。
また、平成十一年七月に策定されました財政再建推進プランにおきまして、大規模施設の新規建設は行わないと決定されております。
これらの経緯を踏まえまして、東京都では、平成十三年三月に、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑を建立するとともに、東京空襲犠牲者名簿の収集を進めているところでございます。
東京都平和祈念館(仮称)に関しましては、都議会の付帯決議の重みを十分認識しまして、今後とも慎重に対応してまいります。
▼田代委員
続いて、エステティックサービスについて伺いたいと思いますけれども、店舗数が全国で約一万店もあるといわれているエステティックサービスについては、消費者トラブルが依然減ってまいりません。契約上のトラブル以外に、お客さんの体への危害、相談も大変多いと聞いております。
このような中で、法の規制がないエステティックサービスに関する安全対策について、消費者行政の立場から、都はどのような具体的取り組みを行っているのか、伺います。
▼生活文化局長
東京都は、昨年十一月から、消費者、事業者、学識経験者などで構成する安全問題協議会におきまして、エステティックサロン用レーザー脱毛機の安全性をテーマとして検討を行い、本年八月に業界への要望及び消費者への注意喚起を行ったところでございます。
この中で、特にエステティックサロンにおける脱毛施術の危険性が高いことから、業界の統一基準によるエステティシャンの教育や資格制度を設けること、業界で進めているサロン認定制度について、公平な第三者機関により認定を行うとともに、認定制度の実効性を高めるための方策を講ずることなどを要望しております。
また、エステティックサロンにおける危害防止の観点から、エステティシャンへの国家資格制度などの導入を含め、適切なルールを設けることの必要性については認識しておりまして、ご質問の趣旨を踏まえて、今後、関係局と調整、連携の上、適切な対応について検討してまいります。
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■教育問題 |
▼田代委員
障害を持っていらっしゃるお子さんたちが、親御さんが亡き後も一人の人間として生きていく力を身につける環境づくりをしていく必要があるわけですけれども、障害のある児童生徒一人一人の能力を最大限に伸ばして、学校卒業後、社会の担い手となる可能性を拡大していくためには、将来の社会参画と自立に向けた後期中等教育の充実が必要であると考えますが、東京都特別支援教育推進計画の中ではどのように推進していこうと考えているのか、見解を伺いたいと思います。
▼教育長
ご指摘のとおり、今後、特別支援教育を推進するに当たりましては、障害のある生徒の将来の社会参加と自立のための後期中等教育は重要であると認識いたしております。
そこで、今後策定予定の東京都特別支援教育推進計画におきましては、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部における職業教育の充実や資格取得に向けた進学への対応、ろう学校における中高一貫型教育の実施など、障害のある生徒の社会参加と自立に向けた後期中等教育の施策の充実に努めてまいります。
▼田代委員
知的障害の軽い生徒を対象とした高等部や中高一貫型のろう学校など、障害のある子どもの将来の職業自立に向けた施策を早急に実現していくべきと考えております。
特別支援教育を推進するに当たり、これまでの学校の閉鎖性を打破し、より開かれた学校として、教育の質の向上を図っていく上でも、東京都心身障害教育改善検討委員会最終報告や教育モニターの結果も踏まえ、積極的に民間の活力の導入をしていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
▼教育長
都教育委員会としましては、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告及び教育モニターを初め都民の意見を踏まえまして、近日中に東京都特別支援教育推進計画を策定していく予定でございますが、ご指摘の特別支援教育への民間活力の導入につきましては、盲・ろう・養護学校の活性化や、児童生徒及び保護者による学校選択の幅の拡大を図るために、多様な主体による学校運営について検討してまいります。また、民間企業及びNPOと連携しました就労支援の仕組みなどにつきまして検討し、教育の質の向上を図ってまいります。
▼田代委員
次に、教科書採択について伺います。
ことしの都立白鴎高等学校附属中学校の教科書採択については、外部から大きな圧力があったにもかかわらず、都教育委員会の権限と責任において適正に採択が行われたことを高く評価するものであります。
ところで、来年度は全国の中学校で使用する教科書の採択がえの年に当たりますけれども、三年前の中学校用教科書の採択がえの際には、人間の鎖と称して暴力行為が行われ、また、教育委員に脅迫の手段としてかみそりの刃が送りつけられるなど、不当な圧力によって公正かつ適正な採択に支障を与えかねない事態が生じました。これは、区市町村の教育委員会の教育委員の中には、少数かもしれませんが、そのような圧力に簡単に屈してしまうという人物がいることにも原因があるとは思いますが、来年度の教科書採択に向けて、このような不当な圧力に対抗するため、東京都のすべての採択地区の採択日を同一にするなど、教科書採択の正常化に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。
▼教育長
教科書採択は、採択権者でございます教育委員会の権限と責任におきまして公正かつ適正に行われるべきものでございまして、外部からの不当な圧力などによりまして採択に影響があってはならないものでございます。
お話のように、前回の中学校用教科書の採択がえに当たりましては、教育委員に対して、深夜の無言電話があったり、あるいはかみそりの刃が送られたり、あるいは庁舎を包囲し教育委員の行動を制限するなど、教育委員の権限を脅かし、教育委員に身の危険を感じさせる状況があったことは事実でございます。
ご提案の採択日を同一にすることにつきましては、公正かつ適正な教科書採択のため有効な対策の一つと考えますが、都教育委員会としましては、今後とも、外部からの不当な圧力に対しましては、区市町村教育委員会と連携を図りながら厳正に対処しまして、混乱を来さないように具体的な方策を検討してまいります。
▼田代委員
最後に、養護学校の卒業式について伺います。
卒業式は学習指導要領に基づき実施される儀式的な行事であり、障害のある児童生徒も、障害のない児童生徒と同様に、晴れがましい姿を多くの人に見てもらい、希望と自信に満ちたその中で、卒業証書を舞台壇上で授与することが大切であると考えております。
しかしながら、肢体不自由養護学校の卒業式においては、介助によって壇上に上がっても自力で車いすを動かすスペースがない場合、特例として壇上に上がらないで卒業証書を授与するなど、個別に配慮して実施することはあり得ると考えますが、所見を伺います。
また、ことしの春に行われた肢体不自由養護学校の卒業式においては、舞台が狭く、壇上での卒業証書の授与が難しいという状況の学校の校長が、さまざまな困難を乗り越えて立派に成長した児童のあるいは生徒の姿をすべての出席者の方々に見ていただきたいと考えまして、舞台の拡張工事を行い、壇上での卒業証書の授与を実現させたと聞いております。このような工夫により、この春行われた肢体不自由養護学校の卒業式においては、すべての児童生徒に対して壇上での卒業証書の授与が行われたと聞いております。
確かに、安易に特例を認めますと、壇上での卒業証書の授与が行われなくなってしまう可能性がありますので、このことに十分留意して、都教育委員会は校長への指導を行うべきであると考えますが、所見を伺います。
▼教育長
各学校は、校長の権限と責任によりまして、学習指導要領に基づき、卒業式を適正に実施しなければならないことは当然のことでございます。
児童生徒は、やがて学校を巣立ち、社会生活をしていく中で、国旗を掲揚し、国歌を斉唱する場面に出会うことが多々ございます。そのために必要となる態度やマナーについての学習の場を用意することは公教育の果たすべき役割であると考えております。
このような教育を通して、児童生徒は規律やルールを守ることの大切さと責任ある自由を学び、国際社会の一員として活躍していくことができるものでございまして、今後とも、卒業式、入学式等における国旗・国歌の指導の一層の徹底を図ってまいります。
なお、肢体不自由養護学校の卒業式におきましては、介助によって壇上に上がっても自力で車いすを動かすスペースがないなどのやむを得ない場合において、特例として壇上に上がらないで卒業証書を授与するなど、個別に配慮して実施することは当然あり得ることでございます。
そこで、こうした肢体不自由養護学校の卒業式における特例の考え方についてでございますが、壇上で卒業証書を授与しないことが認められるのは、物理的なスペースの問題より、都教育委員会の指導のもとに校長が特例として判断した、あくまでも限定的なものでございます。その場合、壇上での卒業証書の授与ができない児童生徒につきましては、式典の参列者に対して、やむを得ない状況であることを事前に説明し、理解を求めていく必要があると考えております。
今後とも、安易な理由で特例の基準をあいまいにしたりおろそかにしたりするなど、壇上での卒業証書授与を実施しないということがないよう、校長の指導を徹底してまいります。
▼田代委員
校長は状況によって難しい判断をしなくてはならないということがあると思いますが、そのためには、それだけの資質や能力を有する校長が必要だと考えますが、それについて所見を伺いたいと思います。
▼教育長
校長には、その職責の重さを自覚して、先見性を持って学校経営を推進しますとともに、学習指導要領の趣旨を深く理解し、教育課程を適正に編成、実施するなど、適切な判断ができる高い資質、能力が不可欠でございます。
お話のように、校長は状況に応じて難しい判断をしなくてはならないときもございますが、都教育委員会としましては、校長が適切な判断を下し、適正な卒業式の実施ができるよう支援をするなど、万全を期してまいります。
また、都教育委員会としましては、こうしたすぐれた校長を登用するため、教育庁次長を委員長とし、関係の四部長で構成します任用審査会で厳格に審査した上で任用を行っているところでございます。
▼田代委員
今、教科書の採択の問題で、ある英語の教科書の中に、英語ということで、全く間違えた歴史的な認識のことを書いて通っていたという、東京都の関連の学校にも随分採用されて、その会社の名前はここであえて裁判中ですから申し上げませんけれども、手をかえ品をかえ、歴史教科書以外のところで完全に間違っている認識のものを使っていくというのが大変はやっているわけでありますから、教育庁の方もしっかりと教科書の内容をチェックするという努力を続けていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
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