ものづくり教育体系の再構築を 浸水対策で集中豪雨被害を防げ |
三宅 茂樹(自民党) |
■産業振興対策 |
質問1
知事が東京の中小企業対策の第一に掲げている、ものづくりについてお尋ねしてまいります。
まず、ものづくり人材育成についてお尋ねします。
ものづくり人材を育成する教育機関として、都教育委員会が所管する二校の都立高等専門学校の改革が必要であり、都立高等専門学校の枠を超え、現在大学管理本部で構想している産業技術大学院との連携を図る必要があると考えます。
しかしながら、都立高等専門学校の卒業生は、準学士の取得のみ許されているため、現状では産業技術大学院に至るルートが確立されていないのです。ルート確立のため、現在の都立高等専門学校二校をスクラップ・アンド・ビルドの観点から再編統合し、既存の教育資源を有効に再配分しながら、大学の学部と同様に、学士の資格が取得できる専攻科を設置することにより、ものづくり人材の育成に向けた先駆的、中核的な役割を担う新しい教育システムとして、都立高等専門学校から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築すべきと考えますが、所見を伺います。
さらには、こうした産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育の実現により、都立高等専門学校の高等教育機関としての性格がより一層鮮明になるため、この際、都立高等専門学校の所管を見直し、設置運営形態についても一層の弾力化が図れるよう、産業技術大学院の設置に合わせて独立行政法人化も検討すべきと思いますが、所見を伺います。
答弁1
▼教育長
都立高等専門学校の今後のあり方についてのお尋ねでございますが、お話のとおり、都立高等専門学校から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築しますことは、より専門性の高い実践的技術者を育成し、東京のものづくりの復権や、環境、エネルギー問題など大都市東京が抱える諸課題に対しまして、技術的側面から解決を図る上で、極めて意義があることと認識いたしております。
このため、現在、東京都におけるものづくり一貫教育の観点から、都立高等専門学校の所管の見直しや、設置運営形態、大学院との接続方法等について、関係局並びに関係機関と検討を行っているところでございますが、ご指摘の点も踏まえまして、より具体的に協議、検討を進めてまいります。
質問2
次に、ものづくり技術支援について伺います。
設備危機の技術革新のスピードはすさまじいものがあり、加えて高額なために、中小零細事業者みずからの資金力でそれらのすべてを購入することは極めて困難であります。東京都の産業技術研究所では、設備機器を開放するなど技術支援を行っているようですが、ものづくりの事業者からは、既存の設備機器の更新がおくれ、まるで博物館に来ているようで、都のものづくりに対する姿勢を疑いたくなるとの声が上がっております。
東京都の産業技術研究所の設備機器が常時、世界の最先端のものであるようにすべきであります。技術支援の機能を早急に強化充実すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
ものづくり産業の育成を図る上で、中小企業が抱える技術課題の解決や技術水準の向上は不可欠であり、設備機器の開放や製品の試験などは、重要な技術支援策の一つであると認識しております。
産業技術研究所は、平成十五年度に、設備機器の利用を約八千八百件、依頼による試験を約六万六千件受けるなど、中小企業の技術開発に大いに活用されているところでございます。
今後とも、目まぐるしく変化し発展する技術動向を踏まえつつ、設備機器の更新を含め、計画的に技術支援機能の充実に努めてまいります。
質問3
目立たない存在ですが、東京のものづくりの代表の一つである、メッキ産業の抱えている困難な課題についてお尋ねいたします。
昨今、都内で廃業や事業転換に伴う工場跡地での土壌汚染が相次いで表面化しております。我が党は、これまで汚染処理コストの削減及び汚染調査の猶予など、土地汚染対策に関して中小零細事業者に対する支援策の充実を求めてきました。これらについては一定の対応が図られつつありますが、中小零細事業者の置かれた厳しい状況を考えますと、一層の支援策が必要であります。
例えば東京のものづくりの一翼を担うメッキ工場は有害物質を使用しているため、工場を閉鎖する際には、環境確保条例に基づく土壌汚染調査を行い、汚染があれば対策が必要となります。汚染対策には高額の費用がかかり、汚染による土地の資産価値低下により融資も受けられなくなり、経営困難に陥るなど、土壌汚染は事業者にとり大きなリスク要因となっております。加えて、土壌の汚染原因が過去においては合法的な行為であった場合も多く、廃業しようとする事業者にとって自己責任のない過酷な費用負担を課している実態も無視できません。
借金に追われ、夜逃げする事業者もあり、汚染され再利用もできない工場跡地が町中に放置されたままになっていることさえあります。特に小規模な工場が多い二十三区内では、廃業が毎年三十件にも上り、汚染土壌対策が机上の理論で行われるのでなく、現実現場対応で実施されねば、汚染は拡散され、東京の土地が足元から腐っていくことになるといっても過言ではありません。放置汚染土壌問題は、良好な環境の確保を目的とした条例に、本来果たすべき機能を発揮していないという運用上の課題があることを都民に明らかにいたしました。
調査を行って汚染がなければ土地の転用が可能となりますが、経営難で夜逃げする零細事業者にとって、調査費用だけでも負担し切れない高額なものであります。資金力の乏しい零細事業者が汚染を放置することのないように、調査を完璧に実施できる新たな支援策が必要だと考えますが、所見を伺います。
放置はされていないが、対策費用が捻出できないために土地が遊休化してしまうことは、土地所有者の生活基盤を確保するためのみならず、地域社会の発展のためにもぜひとも避けなければなりません。そこで、汚染を拡散するおそれがない汚染土壌に、駐車場や軽量の屋舎などの造営が可能となるなど、工場跡地が有効に活用できるようにすべきと思いますが、所見を伺います。
土壌汚染対策に関する制度は、都の環境確保条例、国の土壌汚染対策法ともに、その歴史は浅いものです。そのため、汚染土壌所有者、不動産業者、金融機関などが土壌汚染に関する法令の仕組みや対策の手順を十分に理解していないことによる、土地取引や融資をめぐるトラブルも起きていると聞いています。
この際、メッキ工場経営者はもとより、融資、土地取引関係者に対し、土壌汚染に関する調査費用、処理コストの実態や制度の仕組みを周知徹底すべきと思いますが、所見を伺います。
答弁3
▼環境局長
メッキ工場の課題につきまして、土壌汚染対策に係る三点のご質問にお答えいたします。
まず、資金力の乏しい事業者の土壌汚染調査に対する支援策についてでございます。
工場が廃止された場合でありましても、建物を取り壊すことなく居住を続けるなど、調査することが困難なケースでは、調査の実施を猶予するなど、実態に即して対応してまいりました。
また、建物を取り壊した場合であっても、事業者が調査を円滑に実施するためには、調査費用の軽減が重要な課題でございます。このため、環境科学研究所を中心に、民間とも協働して、低コストで簡易な測定法の開発を促進し、調査費用の低減化を図ってまいります。
次に、工場跡地の有効利用についてですが、工場跡地に土壌汚染がある場合は、汚染の拡散を防止することが必要ですが、調査の結果、地下水の汚染がない場合は、地表面をアスファルト舗装するなど、比較的簡易な対策をとることができます。
また、このような対策を講じた場合には、掘削工事などで汚染を拡散させない限り、駐車場やイベントでの使用など、さまざまな形で有効利用することも可能でございます。
最後に、土壌汚染対策の実態などの周知についてでございますが、対策に要する費用負担が大きいことや、制度に関する理解が十分に浸透していないことが、工場跡地の適正な評価や円滑な取引の妨げとなっております。
このため、低コストの技術開発促進を目的として、本年七月、事業者が処理技術や低コスト性を競う土壌汚染処理技術フォーラムを開催し、好評を得たところでございます。
今後も、こうした取り組みを継続するほか、不動産業者や金融機関などに対しまして、対策事例に関する情報提供を行うなど、土壌汚染対策の正しい知識を普及し、工場跡地の評価の適正化や取引の円滑化に努めてまいります。
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■まちづくり |
質問1
今年度から都は、新たな事業として、商店街や駅周辺など一定の範囲の地域において連続性のある一体的、面的な整備を図る、福祉のまちづくりモデル事業を開始しました。この事業は、地域の特性やニーズを踏まえて、区市町村が行う先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを支援するものであり、私は時宜に合った大変有意義で斬新な取り組みだと大いに期待しているところです。区市町村の関心も大変高かったと聞いておりますが、その状況や選定はどのように行われ、参加した区市の今後に向けての取り組み意欲はどうだったかを伺います。
今後、都はこの福祉のまちづくりモデル事業を積極的、継続的に展開し、ユニバーサルデザインを基本とした、先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを他の地域にも波及させていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
福祉のまちづくりに関します二点のご質問にお答えいたします。
まず、モデル事業についてでありますが、この事業は、区市町村が地域の特性やニーズを踏まえたテーマを設定し、創意工夫を凝らして取り組む、先駆的な福祉のまちづくり事業に対して都が支援するものであります。
駅や商店街などの一定の区域を、ハード、ソフト両面から集中的、一体的に整備できることから、区市町村の関心も大変高く、選定枠の二件に対しまして、六つの区市から応募があり、その計画内容はいずれも意欲的なものでありました。
また、事業計画のプレゼンテーションを公開で行いましたが、その際、多数の自治体関係者などが傍聴に訪れておりまして、この事業に対する関心には高いものがございました。
次に、福祉のまちづくりモデル事業の展開についてでありますが、東京をだれもが暮らしやすいまちにしていくために、先駆的な福祉のまちづくりの取り組みを支援し、それを全都的に波及させていくことは極めて重要であります。
今回選定したモデル事業においては、商店街の店舗のバリアフリー化、店舗と歩道との段差解消、音声による誘導や統一的な案内表示の整備など、ユニバーサルデザインの考え方に基づく、連続性のある一体的、面的な整備が計画されております。
今後、こうした先駆的な取り組み内容や手法を幅広くPRすることなどにより、だれもが安心して快適に暮らすことのできる福祉のまちづくりの普及促進に努めてまいります。
質問2
まちづくりにとり重要であるがなかなか進まないのが、木造住宅密集地域整備です。都は本年三月に防災都市づくり推進計画の整備プログラムを策定し、昨年の九月に指定した都内十一の重点整備地域について具体的な整備目標や整備計画などを定めました。加えて本年四月に都市整備局を発足され、今まで都市計画、住宅、建設の各局で行っていた木密整備への取り組みが一つの組織でできるようになり、木密整備の飛躍的進展を大いに期待するところです。
世田谷区の太子堂・三宿地区も重点整備地域に指定され、近接する都営池尻アパートの建てかえと連携した取り組みは、先駆的なものとして評価するところです。都が主体となって世田谷区を初め関係機関との協力体制を構築していくことが重要であり、また、池尻アパート周辺のまちづくりに貢献することも大切であると考えます。そこで、太子堂・三宿地区の木密地域整備の現在の主な取り組みを伺います。また、池尻アパートの建てかえに当たって、近隣町会と住民の要望にどうこたえていくのか、具体的にお答えください。
答弁2
▼都市整備局長
太子堂・三宿地区の木造住宅密集地域での主な取り組みについてでございますが、当地区では、約八千平方メートルの三宿の森緑地を世田谷区が整備し、引き続いて、地区中央の区道拡幅の地元説明を行っております。
こうした取り組みにあわせ、都は、地区内を通る補助第二六号線を、第三次事業化計画の優先整備路線に選定いたしました。
また、国立小児病院跡地及びその周辺では、都市再生機構や東京都住宅供給公社などが、道路や公園の基盤整備と良質な住宅供給を一体的に進めております。
今後も、都、区などが連携して、多様な施策を計画的に展開し、木造住宅密集地域の防災性の向上に努めてまいります。
次に、都営池尻アパートの建てかえについてでありますが、当団地は、本年度中に建築工事に着手する予定であり、現在、近隣の町会や住民に対し説明を行っております。
建てかえに当たりましては、良好な住環境の形成はもとより、敷地の有効活用や地域のまちづくりにも貢献することが重要であります。そのため、防災まちづくり用地を創出し、木造住宅密集地域の整備への活用を検討するとともに、高齢者福祉施設の併設、歩道状空地や広場、地域開放型の集会所の整備を予定しております。
今後とも、地元区と連携し、周辺環境やまちづくりに配慮し、建てかえ事業を進めてまいります。
質問3
次に、まちづくりの視点から浸水対策について伺います。
東京でも今月四日、七〇ミリを超える豪雨に見舞われ、日比谷交差点や渋谷駅前など、首都東京の顔ともいえる場所で、道路冠水による立ち往生やビル地下街が浸水するなどの被害が発生いたしました。
都は、新・雨水整備クイックプランを策定し、新たに浸水被害の発生している地区を重点地区に追加するとともに、完了した地区については事後評価を実施するなど、きめ細かな対策に取り組んでいます。そこでまず、既に工事が完了した重点地区について、実施事例とその効果について伺います。
下水道は、区境を越え、流域単位で下水道管理のネットワークを構成している施設です。下水道事業は、大都市が担っている事務事業であり、広域事務として重要な役割を果たしております。一方、区は、地元に密着した取り組みを行うことで、浸水対策をより効果的に進めることができます。そこで、このプランの都と区の役割分担はどのようになっているのか、伺います。
また、平成十四年八月には、世田谷区上馬地区で集中豪雨による浸水被害が発生し、重点地区の一つとして対応しているところです。この上馬地区では、都と区の連携により、短期間に計画を立案し、事業を進めたと聞いております。この地区における事業の進捗状況と今後の見通しについて伺います。
答弁3
▼下水道局長
浸水対策についての三つの質問にお答えいたします。
まず、雨水整備クイックプランの重点地区についてでございますが、これまで、雨水調整池や貯留管を整備するほか、既設の下水道管の排水能力不足を補うバイパス管の新設や、下水道管をより大きな管に入れかえる対策などを実施してまいりました。計画期間の前半が終了した平成十五年度末までに、計画三十地区のうち、十二地区が完了したところでございます。
バイパス管を新設した北区西ケ原地区や、より大きな管に入れかえた新宿区中落合地区を例に挙げますと、これまでは、一時間五〇ミリ以下の降雨でもたびたび浸水被害が発生しておりましたが、対策完了後には、一時間五〇ミリを超える降雨でも浸水被害が発生しないなど、確実に効果があらわれているところでございます。
次に、新・雨水整備クイックプランにおける都と区の役割分担についてでありますが、都は、雨水調整池や貯留管などの基幹的な施設を整備しております。また、お客様みずからも浸水への備えを行っていただくために、東京アメッシュ等による降雨情報の提供や、区等の水防活動を支援するために、光ファイバーを活用した下水道幹線内の水位情報の提供などを行っております。
一方、区は、雨水を速やかに下水道施設に取り入れるための区道の雨水ますの増設や清掃、雨水を浸透させる透水性舗装の整備などを実施しているところであります。
このように都と区が役割を分担し、連携を図りながら、効果的に浸水対策を推進しております。
最後に、世田谷区上馬地区についてでございますが、当地区は、都と区で雨水対策連絡会を設置し、雨水調整池や貯留管などの施設整備を、計画段階から緊密な連携のもとに進めております。
このうち、雨水調整池は、既に本年三月に工事に着手し、また雨水貯留管は、年度内には工事に着手する予定となっており、平成十九年度末には当地区の対策を完了する見通しでございます。
両施設の完成により、二十五メートルプール約二十個分に相当する五千七百立方メートルの雨水が貯留できることになり、浸水被害の大幅な軽減を図ることができるものと考えております。
今後とも、区と連携いたしまして、浸水対策に積極的に取り組んでまいります。
質問4
安心・安全のまちづくりに対する大きな課題の一つに、大都市東京であるがゆえに直面している、あかずの踏切対策があります。
昨年二月に、京王線笹塚─仙川間のうち、世田谷区内各駅の駅前十五商店街が結集し、京王線立体化推進協議会が結成され、まちづくりの観点から、踏切解消に向け、組織的な運動が始まりました。加えて、本年七月には、区民、区、区議会が中心となり、世田谷区「開かずの踏切」解消促進協議会の結成大会が開催され、今後、踏切問題解消に向けた運動を継続的に進めていくことになりました。
私も本大会に出席し、踏切対策の一層の推進に向け、決意を新たにしたところです。
踏切があるがゆえに整備が進まない、都市計画道路の京王線笹塚─仙川間における状況を含め、この区間の踏切に対する都の認識と今後の取り組みについて伺います。
答弁4
▼都市整備局長
京王線の踏切対策についてでございますが、京王線の笹塚─仙川間七キロの区間には、優先整備路線である放射第二三号線を初め、京王線と交差する未整備の都市計画道路が七本ございます。また、同区間には二十五カ所の踏切があり、これらのほとんどが、ピーク時間帯一時間当たりの遮断時間が五十分以上となっているなど、交通の円滑化や地域分断の解消が課題となっております。
このため、本年六月に策定いたしました踏切対策基本方針の中で、鉄道立体化の可能性を検討していくべき区間として位置づけたところであります。
都としては、引き続き、地元区が設置している検討会に参画し、沿線まちづくりと一体となった道路と鉄道の立体化について、関係者とともに議論を重ねてまいります。
質問5
まちづくりに関しては、私は、近未来都市といわれる臨海副都心についても、注目すると同時に、その発展に期待をしております。
しかし、最近は、汐留や六本木など大都市開発が進み、地域間での競争が激しくなってきています。
昨年は、臨海副都心では、東京ディズニーリゾートの年間来訪者数の約一・七倍にも相当する、過去最高の四千百八十万人の来訪者を記録しましたが、ことしに入って、その勢いもとまり、六月までの来街者数は前年よりも減少傾向にあるということです。これでは、企業進出が今後順調に進むのか、懸念されます。そこで、今後開業が予定されている事業がどのようなもので、どのくらいあるのかを伺います。
また、企業進出だけでなく、臨海副都心をより魅力的なものにしていくためには、来街者を増加させ、にぎわいのあるまちづくりが不可欠と考えます。今後、都はどのように対応しようとしているのか、伺います。
答弁5
▼港湾局長
臨海副都心のにぎわいの創出についての二点のご質問にお答えいたします。
まず、臨海副都心の開業予定の事業についてでございますが、平成十三年以降、土地処分における売却方式の導入や、りんかい線延伸などの交通アクセスの改善等により、事業者の進出意欲が喚起され、企業集積が進展しております。
今後は、平成十七年一月に大手企業の業務中枢ビルが、また三月以降には、高度先進医療を担う病院やバイオ・IT融合研究施設が開業予定でございます。
十八年以降も、有明北地区の私立中学・高校の開校に始まって、数件の施設が順次開業予定でありまして、暫定利用等も含めた土地活用の割合は、現在、約八割に達しているところでございます。
次に、にぎわいのあるまちづくりについてでございます。
臨海副都心がさらに発展していくためには、企業集積の促進だけではなく、まちを訪れる来街者を増加させるため、継続的ににぎわいをつくり出していくことも大切であると認識しております。
このため、第十回目を迎えるトライアスロン大会などに加え、先日、二万人を集めた「東京JAZZ二〇〇四」のような文化イベントを展開するなど、常に脚光を浴びる新たな催しを打ち出していく中で、臨海副都心の地域ブランドを形成し、魅力ある地域づくりを進めてまいります。
今後も、民間と緊密に連携しながら、臨海らしさを生かし、来街者を引きつける戦略的なまちづくりに取り組んでまいります。
質問6
組合施行としては国内最大のまちづくりである世田谷区二子玉川東地区再開発事業は、昭和五十七年に地元地権者による再開発についての勉強会が発足し、平成七年に準備組合が結成されました。平成十二年の都市計画決定を経て、二十二年余の歳月をかけて再開発事業についての合意形成が進み、このたび、準備組合により事業計画案が作成され、組合認可申請が行われたと聞いています。
いよいよ事業に向けて大きな一歩を踏み出そうとしていますが、都としてこの市街地再開発事業の推進についてどのように考えているのか、伺います。
また、この再開発地区にある既存の商店街への対応や、再開発によって生ずる周辺道路の走行自動車数の増加についての対策はどのように考えているのか、所見を伺います。
答弁6
▼都市整備局長
二子玉川東地区市街地再開発事業の推進についてでございますが、この事業は、民間が主体となった大規模な再開発であり、鉄道、バスなどの交通結節点の機能強化を図るため、交通広場や道路を整備いたします。加えて、国分寺崖線や多摩川の豊かな自然と調和した、住宅、商業、業務の機能を兼ね備えた複合拠点の整備を行うものでございます。
都といたしましては、地元区と連携して、本事業を適切に誘導し、円滑な事業推進に向け支援してまいります。
次に、地区内の既存商店街への対応についてでございますが、本事業では、にぎわいのある商店街の形成を図るため、駅周辺の施設建築物の低層部に、連続性を持った小規模店舗を配置する計画としております。
こうしたスペースを活用し、これまで地域を支えてきた地元の商店街が営業を継続していくことは、地域の個性を生かしたまちづくりにつながるものでございます。
今後は、地元区とともに、施行者となる再開発組合と協議、調整しながら、魅力ある商店街の形成を促してまいります。
最後に、周辺道路の自動車交通対策についてでございますが、二子玉川地区は、交通の結節点となっているものの、交通広場や駅周辺道路の整備が十分ではなく、事業地区周辺の交通渋滞が慢性化している状況にあります。このため、本事業により、交通広場、道路などの基盤整備を行うとともに、地区外についても、都市計画道路の整備を進め、道路のネットワークを強化していく必要があります。
都といたしましては、自動車交通の円滑化に向け、本再開発事業の進捗にあわせ周辺の都市基盤整備が推進されるよう、区とともに取り組んでまいります。
質問7
知事は、東京の喫緊の課題は治安の回復と教育の再生と言明されております。治安の悪化と教育の崩壊は、東京の地域社会の崩壊と軌を一にしていると思えます。大都市東京も、子細に見れば地域社会の集まりです。そこに住み、働く人たちが互いに防犯に目を光らせ、子どもたちを教育し、お年寄りをいたわるなどの独自のコミュニティが培われてきたところです。
本年五月、ものづくり産業の集積施策のあり方に関する東京都中小企業振興対策審議会の答申が行われました。私も委員として会議に参加いたしましたが、近隣の工場が減少し、その跡地にはマンションや住宅が建ち、操業しづらくなっているという切実な声が寄せられました。
町工場や商店街のある地域は、都市計画法に基づいて、準工業地域や商業地域といった用途地域が指定されていますが、用途として住宅は排除されておりません。逆に、居住系の用途の指定がされている地域に比べて、相対的に容積率が高いため、マンションの立地を促進しているのが実態であります。
私の地元でも、町工場の集まっている地域にマンションが唐突に立地し、昔から地域で町工場を営む住民との間で、騒音やにおい、車の出入りをめぐるトラブルが多発し、工場の操業縮小や転出が余儀なくされる事例が数多く見られます。
また、商店街においても、新たな居住専用のマンション立地により、商業施設の連檐性が失われ、地域社会の構成員としての自覚に目覚めていない新住民と、イベントの実施をめぐるトラブルも発生しています。
このように地域産業の集積が損なわれることが、コミュニティ崩壊の一つの要因となっていることは、否めません。
知事はよく、東京に世界に誇れる中小企業がたくさんあると申されますが、このままでは、すぐれた技術力を持つ町工場がどんどん失われ、東京のものづくりの現場はすべて中国ということにもなりかねません。また、地域の交流の場である商店街も、東京から姿を消してしまいます。
二十三区の用途地域は、都が広域的な視点に立って定めることになっております。知事にお伺いいたします。東京の地域産業力や地域社会の活力を維持発展させるために、東京のまちづくりはどうあるべきか、大所高所からお考えをお聞かせいただくことをお願いをして、私の一般質問を終わります。
答弁7
▼知事
私、かねがね思ってきたことでありますが、つい最近まで、東京にも都市計画局なる局がありました。しかし、東京も含めて、この国に都市計画なるものが本当にあったかということになれば、よく例に出しますけれども、今、議会に通ってくるあそこの回廊にも、要望があったんで、その写真を載せましたけど、江戸時代のまちづくりの方がはるかに計画性があり、合理的になっていたと思います。それに比べて、今の東京は、物はひしめいてあるけれども、非常に混沌として、計画性がない。
そういう中で、やっぱり、今ご指摘の厄介な問題が起こっているわけでありまして、非常に可能性を持った、すばらしい技術を潜在して持った、現にまたすばらしい仕事もして、製品もつくっている町工場、小っちゃな企業は、周囲に高層住宅ができる、その人たちの今度は生活権ということを盾にとられた苦情で、非常に窮地に追い込まれているというのは、否めない事実でございます。
これを一体どういう法整備で調整していくかということは、非常に難しい問題でありまして、また議会の方からも逆に、ぜひ案を出していただいて、現場というものの実情を踏まえた調整というものを、やっぱりしていかなくちゃならないと思うのです。
それはやっぱり、東京の人口がふえるということ、人がたくさん住んで、まちがにぎわうことも結構でありますけれども、従来東京に居を踏まえて、日本の産業を一番見えないところで支えていた、そういう小さな企業、工場が余儀なくして消えていくということは、非常に無念でありますし、ひとつ議会の方からもいろいろアイデアを出していただきたいということを改めてお願いいたします。
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