平成16年第3回定例会 一般質問

自動回転ドア安全対策の整備を
悪質商法から高齢者を守れ

秋田 一郎(自民党)
■三位一体改革
 
質問1
 現在、国と地方、それにみずからの省益を死守しようとする各省庁が加わって、三位一体改革についての議論が展開されていますが、それぞれが目先の利益にとらわれて、本質的な議論が行われていないのが実情です。それゆえ都民も国民も、どうして国と地方が金の奪い合いをしているのかという表面的な感想しか持ち得ない状況になっています。
 本来、三位一体改革で議論しなければならないのは、国家財政の半分近くが借金で賄われ、国と地方を合わせた長期債務が七百兆円にも上るという現状を打開し、我々の子々孫々の代まで持続可能な体制を構築するために、今何をなすべきかということです。
 そのためには、現行制度の何が問題で、その問題を解消するためにはどうすればよいのかという基本的な議論が不可欠なはずです。
 私は、国と地方の役割分担が不明確であり、国が国庫補助負担金や地方交付税を手段として地方に過剰な関与を行うことで、地方の自立を著しく制約し、その結果、日本全体の発展を阻害していると考えます。
 地方自治法第一条の二では、国と地方の役割分担について、国は、全国的な規模で、もしくは全国的な視点に立って行わなければならない施策の実施など、本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として、地方公共団体との間で適切に役割を分担すると規定しています。この基本的な考え方に沿って、国と地方それぞれが果たすべき役割について明確に区分するという作業を、まず最初に行わなければなりません。
 憲法二十六条に規定する、「義務教育は、これを無償とする」ことを、全国あまねく確保するのはだれの責任なのか。また、憲法二十五条に規定する「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを保障する生活保護制度は、だれの責任で行われるべきなのか。これらの経費は、知事がおっしゃるように、本来国が全額負担すべきいわば国の義務であります。
 もし国がこうした義務を放棄するなら、もはや国は国としての体をなしていないと私は思います。議論を積み重ねた上で、国と地方の責任分担に応じて税源を配分すべきであって、何の根拠もなく四兆円の国庫補助負担金の削減と三兆円の税源移譲という議論がなされていることは、不可解としかいいようがありません。しかし、三位一体改革の議論においては、こうした本質的な議論が行われることなく、相も変わらず東京ひとり勝ち論、東京富裕論という摩訶不思議な主張が横行しています。
 この主張は、改めて説明するまでもありませんが、国から地方に税源移譲が行われると、企業の集積している東京の税収が多くなり、豊かな東京がますます豊かになる、東京と地方との格差は広がる一方だというものです。
 しかし、東京は本当に豊かなのでしょうか。確かに、東京の鉄道は網の目のように張りめぐらされています。すてきなお店で世界の流行の最先端の情報や商品に触れることができます。けれども、せっかくの鉄道網も既に飽和状態となっており、都内で働く人の大半は、殺人的に混雑している電車を使って、長時間かけて通勤しています。自動車交通も深刻な状態です。道路の渋滞は慢性化し、このことによる経済損失、さらには渋滞中の車から排出されるガスによる大気汚染は、都内で生活する人々に深刻な健康被害を及ぼしています。
 一方、インターネットがこれだけ発達した時代においては、地方においても世界中の情報に触れ、世界中の商品を取り寄せることができます。東京と地方の情報伝達速度の差はほとんどなくなっています。それでも東京は豊かというのでしょうか。
 そもそも豊かさとは、個人個人の価値観によって異なるものだと思います。便利な東京を豊かだと思う人もいれば、私のように山や川、海など自然にあふれた地方での生活こそむしろ人間らしい豊かさを享受できると考える者もいます。
 このように考えると、これまで声高に叫ばれ続けてきた東京ひとり勝ち論、東京富裕論は幻想であり、むしろ東京から財源を奪い取るためにつくられた悪意に満ちた造語とさえ感じられます。
 実際に、東京都内で納められた国税が、交付税や国庫支出金などによって都に還元される額は、納税額の一割弱にしかすぎません。一方で、島根県に対しては、納税額の三・五倍以上もの額が還元されています。
 このような事実を、国民は正しく知るべきです。都民だけではなく、遠く四国、九州の人々にも知っていただき、本当にこのような状態でいいのか、国民全体で判断することが必要だと思います。
 私は地方にも良識ある人がいっぱいいると信じています。公民館や空港や道路が都民の払っている税金によって成り立っている事実を知れば、また、東京が抱えている固有の問題を知れば、決して東京は豊かではないこと、決して東京がひとり勝ちしているわけではないことを、必ずわかってもらえると思います。むだな道路や公民館はもう必要ないという声が地方の中から立ち上がってくると信じています。
 正しい主張というものは、多くの良識ある人々に理解され、最終的には、国のへさきを進むべき方向に導く大きなうねりへと発展します。私たちはこのことを首都機能移転議論によって経験しています。都議会と行政とが一体となって、不合理性を訴えた結果、最終的にはその正しい主張が国民に理解されたのだと思います。
 三位一体改革の議論は、これから年末までの国の予算編成に向けて、紆余曲折が繰り返されることが予想されます。このように多くの関係者の利害が複雑に重なり合っている問題を解決するためには、正しい情報が関係者間において共有化されることが重要です。東京ひとり勝ち論、東京富裕論などという的外れの議論を展開させないために、今後とも、地方財政の現状や東京都の置かれている状況などを積極的に主張していくことが重要です。
 その際には、現在の日本における最も影響力のあるオピニオンリーダーである石原知事ご自身が、都民に対してだけではなく、国民に対しても直接訴えかけていくことが非常に効果的であると考えますが、ご所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 後段の演説を聞いていて、何か引退するんじゃないかと心配しましたが(笑声)再選を誓われたんで安心いたしました。
 いわゆる三位一体改革についてでありますが、いろいろご意見をいただきましたけれども、非常に同感できる点が多いと思います。国も地方も、どうも目先の利益にとらわれて、我が国の将来を見据えた本質的な議論が一向に行われていないという感じがいたします。
 この行政改革がいわれてから三位一体なる言葉が出てくる直前に、骨太の改革という言葉が一時はやりました。骨太というのはいろんな意味合いがあるでしょうけど、事を改革するに当たっては、やはり物事の本質から変えていくという、そういう改革でなきゃだめだと思いますけれども、さらに三位一体という、わかるようなわかんない言葉が出てきました。これは国庫補助の削減とそれから税源の移譲、それと交付税の税制の改革ということをあわせてどう行うか。それによって非常に不健全な日本の財政事情というものを好転させていくということなのでしょうが、どうもそれが一向に軌道に乗っていない。
 敗戦直後に構築されました我が国の行財政制度は、もはや時代の変化に適合できずに、改革が不可避になっておりますが、ともかくご指摘のように、国、地方合わせた長期債務が七百兆という膨大な額に上っているわけでありまして、これは、長期債務がGDPを上回るのは戦時体制以来のことでありますが、どうも、名前はあえて挙げませんけれども、この責任者である中枢の当事者たちに聞きますと、まあ塩漬けにすりゃあいいと。塩漬けということは、私は余り財政を要するに熟知いたしませんのでね、どういうことですかと聞きますと、要するに、借りかえ借りかえてそのうち時間がたって、だれか違う責任者が出てきて云々というような、結局、姑息な現状回避というか、その場しのぎという発想を出ないんで、私は非常に危惧を感じました。
 いずれにしろ、そういうことをあえて公言してはばからない政治の指導者たちが多く、しかもマスコミに至るまでも、こういった本質的な危機を危機として認識していないということを、国民はやっぱり実情として知るすべもない。国民も国民で、それほどスペシャリストではありませんから、正確な認識、分析というのは持ち得ないと思いますが、いずれにしろ、総体的に眺めますと、トインビーがいったように、いかに発展栄華をきわめた国家も必ず衰退滅亡もすると。しかし、それはいろいろ原因があるが、その原因は正確に分析すれば不可逆的なものはほとんどない。ただ、一番危険なことは、危険な原因は、自分で自分のことを決めることができなくなった、そういった国家というのは、あるきっかけをとらえて瞬間的に近い速度で崩壊滅亡するということをいっていますが、下手をすると、財政を誇ってきた日本は、いまだに、ボリュームとしては世界第二の経済国ですけれども、そういう危険というものを実は大きくはらんでいるという感じがいたします。
 いずれにしろ、地方分権ということを、財政というものを立て直しをしよう、政治のスキームを変えようということでいい出されたことですが、このていたらくでは、地方分権改革は空中分解をすることになりかねないという気がいたします。座視するわけにいきませんので、唯一不交付団体でもあります東京都だからこそ、冷静に客観的に物事を見据えて、東京の試案というものを、ひとり東京のためだけで決してなしに、国全体のために出しておりますが、これが何か非常にささいな目先の金の問題に血道を上げることで議論の対象にならないというのも非常に無念な感じがいたします。
 いずれにしろ、東京は東京なりのポテンシャルを持っているわけでありまして、国と一緒に衰微するわけにはいきませんから、東京なりの主張をこれからも懲りずに飽きずに繰り返し続けて、東京の主張が、国が念願している骨太の改革というものの引き金になるように努力するつもりでございます。
 
■少子化対策
 
質問1
 私は、昨年の第四回定例会の一般質問で、少子化社会対策基本法で盛り込まれた、いわゆる不妊治療に対する経済的支援の必要性について質問しました。都では早速本年四月から経済的負担を軽減する医療費助成制度をスタートさせ、不妊に悩む方々の朗報となっています。
 さて、先日発表された、平成十五年の我が国の合計特殊出生率は、前年をさらに下回り一・二九となり、東京都ではついに一を切って〇・九九八七という状況となりました。このまま出生率が向上しなければ、我が国の人口は百年後の西暦二一〇〇年には三分の一の四千六百万人になると推計され、さらに驚くべきことに、大分先ではありますが、西暦三五〇〇年には一人になってしまう計算です。
 それでは、なぜ子どもを産まないのか。内閣府の調査結果では、経済的負担の大きさが五〇%を超え、一位、二位を占めています。実際、同世代の友人からも、子どもを産むのにも育てるのにも予想以上にお金がかかるという声を多く聞きます。にもかかわらず、先ほどの小美濃議員の発言にもあったように、一番お金がかかる子育てに奮闘している世代が最も重税感が強いという現実があります。
 このように、所得が決して多くはない若い世代が、子育てに大きな経済的負担を感じていること、すなわち子育てのインセンティブが働かないことが、少子化の進行に歯どめがかからない最大の原因だと思います。
 こうした事態を防ぐためには、例えば、子育ての間、思い切った減税を行うなどの抜本的な措置が望まれます。子どもたちが将来立派な納税者として育つことを考えれば、こうした施策は決してむだとはならないと考えます。
 私は先般初めて中国を訪れましたが、そのすべてに圧倒されました。同時に、国土や天然資源が乏しい我が国は、人こそが国の繁栄をもたらす唯一の財産だと改めて思いました。出生率を高める支援策は、基本的には国が責任を持って大胆に変えていくべきです。しかし、国に対しこれまでさまざまな改革を提案し、要求してきた東京都は、次の時代を担う若い世代を対象とした支援策について、抜本的に見直しを図るよう強力に働きかけていくべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 次代を担う若い世代への支援策についてのお尋ねにお答えいたします。
 未来を担う子どもを安心して産み育てられる環境を整備することは重要であると認識しております。都はこれまでも独自の認証保育所制度を創設するとともに、子ども家庭支援センターの整備など、地域全体で子育てをバックアップする支援策を積極的に推進してまいりました。
 ご指摘のとおり、本来、少子化対策は国が責任を持って抜本的な取り組みを講じていくべきであり、これまでも東京都は各局と一体となって国に対し提案要求をしてまいりました。引き続き、仕事と子育てが両立しやすいよう、職場環境の整備などの課題につきまして、一層強力に国に提案要求してまいります。
 
■自動回転ドアの安全対策
 
質問1
 本年三月、六本木ヒルズにおいて、自動回転ドアに児童が挟まれて死亡するという痛ましい事故がありました。こうした事故は、二度と繰り返されてはなりません。東京には、超高層建築物や大規模建築物が多く、自動回転ドアの設置箇所が他都市に比べて多いことから、早急に安全対策を講じ、事故の再発防止に取り組むことが必要です。
 そこで、都は全国に先駆け、自動回転ドアの安全対策としての条例案を本定例会に提案していますが、条例案における考え方について伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 自動回転ドアに関する建築安全条例の改正案の考え方についてでございますが、改正案は、六本木ヒルズで起きた痛ましい事故を踏まえ、自動回転ドアによる重大事故を繰り返さないため、都独自に安全対策を講じるものでございます。
 具体的には、本条例に安全対策を規定し、建築確認制度の中で審査及び検査を行うことにより、実効性を担保いたします。また、事故の七割が高齢者、幼児という実態を踏まえ、こうした人々が主として利用する施設には設置を禁止することといたしました。
 今後とも、東京を安全・安心な都市にしていくため、建築物の安全対策に積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問2
 都内には、既存の自動回転ドアが多数存在しますが、これらに対する安全対策も重要です。既存の自動回転ドアに対する安全対策の取り組みについて伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 既存の自動回転ドアに対する取り組みについてでございますが、条例改正案による規制は、原則として既存の自動回転ドアに適用されるものではございませんが、都内には既に約百八十台の自動回転ドアが設置されており、これらに対する安全対策も重要でございます。
 都といたしましては、施設利用者の安全を確保するため、既に自動回転ドアを設置している施設の管理者及びメーカーなど関係団体に対し、条例改正案の内容について周知を図り、安全対策の遵守を求めてまいります。
 

 
質問3
 自動回転ドアについては、安全対策とともに、事故が起きたときの行政への報告体制を整備することが、次の事故を防ぐためにも大切です。所見を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 事故が起きたときの報告体制についてでございますが、建築物における重大事故が発生した場合、早急に事故情報を収集し、緊急対策や再発防止策などの安全対策を講じていくことは重要なことと認識しております。
 これまでエレベーター、エスカレーターなどについては、建築物の管理者などから事故情報の報告を求めてまいりました。今後は、自動回転ドアを含め建築物に関する事故情報をより機敏かつ的確に把握するため、都は消防庁等関係行政機関並びに建築物の管理者との間で情報を共有する体制を構築してまいります。
 
■都民の安全・安心の確保
 
質問1
 都民を取り巻く状況を見ると、さまざまな面でその安全・安心が脅かされている状況があります。例えばおれおれ詐欺の都内での被害は、ことしの一月から八月までだけで八百件以上、被害額も十五億四千万円にも上っており、その被害者では高齢者が多いといわれております。また、高齢者をねらったさまざまな悪質商法が依然として多く、最近は住宅リフォームなどの住宅関連工事をめぐるトラブルがふえているそうです。
 弱い立場の高齢者の安全・安心を確保するため、悪質商法を行う事業者を取り締まることは極めて有効な対策です。都はこれまで以上に高齢者に焦点を当てた取り組みを進めるべきと思いますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 高齢者に焦点を当てた悪質商法に対する取り組みについてでございますが、悪質事業者に対しましては、これまでも局内に警視庁職員を加えた特別機動調査班を設置し、事業者名の公表など厳正な行政措置を行ってまいりました。
 今年度は新たに、床下や屋根の点検などを口実にしたいわゆる点検商法など、高齢者被害の多発している訪問販売を対象に、集中調査を九月から実施し、悪質事業者について処分や指導を行ってまいります。また、被害が広域にわたるものについては、四都県合同による初の行政処分にも積極的に取り組んでまいります。
 さらに十月には、新たに八都県市合同で、高齢者相談一一〇番を実施するなど、今後とも悪質商法による高齢者被害の防止に努めてまいります。
 

 
質問2
 はがきや電子メールなどで、利用した覚えのない有料情報サービスの支払いなどを一方的に請求する、いわゆる架空請求が急増し、大きな社会問題となっています。都内の消費生活相談窓口に寄せられた架空請求などの相談件数は、平成十五年度では、前年度の三倍以上の六万件を超えたそうです。
 架空請求を行うこのような悪質業者は、会社の実態がないなど、取り締まりが難しいとも聞きますが、まずは都民に対する被害の未然防止、拡大防止のための方策を講じることが重要です。その際には、幅広い都民の方々にその情報が届くよう、例えばマスコミの活用などが必要だと思いますが、この架空請求による被害の未然防止策について伺います。
 
答弁2
 ▼生活文化局長
 架空請求による被害の未然防止策についてでございますが、これまで全力を挙げて都民からの相談に対応してきましたが、八月からは、被害の拡大防止を図るため、新たに消費生活条例違反として事業者名を公表しております。また、携帯電話事業者に対しては、架空請求に使用された電話の利用停止を要請しているところでございます。さらに、九月からは、相談員等が相談を受けた後、速やかに架空請求事業者に対し警告を実施しているところでございます。
 なお、警視庁と共同で啓発用チラシの作成・配布を行うなど、都民に対する注意喚起に努めてきましたが、さらに効果を上げるためには、ご提案のマスコミの活用が大変重要であると認識しております。このため、ご指摘のようにテレビや新聞の特集などにおいて、手口や対応方法等についてわかりやすく、インパクトのある形で取り上げてもらえるよう、積極的に働きかけを行うなど、被害の未然防止に向けてより一層の努力を行ってまいります。
 
■身近な都市再生
 
質問1
 東京が国際競争を勝ち抜いていくためには、東京の都市再生を促進することが不可欠であり、都市再生緊急整備地域内においてはさまざまな開発計画が検討されていますが、これらを適切に誘導していくことが必要です。さらに、東京全体のポテンシャルを高めるためには、地域の生活拠点となる駅前地区など身近な地域においても、都市再生を広範に展開することが重要です。
 東京都は昨年、しゃれた街並みづくり推進条例を施行し、東京の魅力を高める東京都独自の取り組みが推進されています。このたび、この条例の三つの柱の一つである街区再編まちづくり制度を適用した街並み再生地区の第一号が品川区の駅前の密集市街地で指定されました。そこで、街並み再生地区指定の目的及びその効果を伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 街区再編まちづくり制度による街並み再生地区の目的及びその指定の効果についてでございますが、東京の活力を高めていくためには、都心部などの機能更新にとどまらず、密集市街地の整備など身近な地域の都市再生を広範に展開することが重要と考えております。
 街並み再生地区は、こうした身近な地域において、高さなどをそろえた計画的な共同建てかえや、跡地を活用した周辺市街地との一体整備により、安全で魅力ある街並みの実現を図ることを目的としております。また、指定の効果としては、空地の整備など地域貢献に応じて建築規制の緩和を示すことにより、地元の合意形成の促進と早期事業化が期待できるものでございます。
 

 
質問2
 私の地元、新宿区においても密集市街地があり、防災上の観点から早急に改善を進めることが重要です。このような市街地を再編整備し、身近な都市再生を進めるためには、この街区再編まちづくり制度の活用が有効と考えますが、東京都としてどのように取り組んでいくのか伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 街区再編まちづくり制度を活用するための都の取り組みについてでございますが、商店街の活性化や密集市街地の改善を図るため、先般、武蔵小山駅東地区において街並み再生地区第一号の地区指定を行いました。
 都内には、ご指摘の新宿区を含め、防災上課題のある密集市街地が広範に存在しております。今後、これらの地域において区市と連携して地元住民や民間事業者の参加を促す取り組みを積極的に行うなどにより、着実に街並み再生地区の指定を拡大してまいります。
 

 
 さて、第十六期も残すところわずかとなりました。本会議場で質問できる最後の機会ですので、私なりの思いを述べさせていただいて質問を閉じたいと思います。
 三年前の私の初めての質問の際に、知事から本当にありがたいご助言をいただきました。
 新人議員のときは、はたから注意されるくらい、好奇心を持つままいろいろなところに顔を突っ込みなさい。多くの知己を得、知識を得て、政治家として大成しなさい。
 知事のこの言葉を胸に、私なりに一生懸命努力を重ねてまいりました。
 この間、強力なリーダーシップを発揮し、スローガンどおり、まさに東京から日本を変えてきた知事、新人の私のくだらない疑問にも丁寧に答えてくださった面倒見のいい先輩たち、議論闊達、よき相談相手の同期、陰にひなたに助けていただいた政調会を初めとするスタッフの方々、そして、海のものとも山のものともわからない私を支えてくれた支援者の皆さん等、本当に多くの方からたくさんのことを学ばせていただきました。心から感謝を申し上げます。
 かのウインストン・チャーチルはこう述べています。
 民主主義の政治について学説は多いが、それを知ろうと思えば、凄愴苛烈な選挙戦を実際にやってみることだ。選挙戦ほど政治家にとって格好の教育はない。
 来るべき凄愴苛烈な戦いを通じて、民主主義とは何か、政治とは何かを一層学び、何よりはってでも必ず勝ち抜いて、もう一度この場に登壇することを誓って、私の質問を終わります。
 

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