地方分権改革に危機意識を持て ヒートアイランド対策の充実を |
大塚 隆朗(民主党) |
■分権改革の推進 |
質問1
現行自治制度は、昭和二十二年に地方自治法が施行されて以来、六十年近くを経過しています。この間、自治法施行時に、我が国総人口の三分の二を占めていた農村部人口が三分の一に減少し、逆に、三分の一だった都市部人口が三分の二を占めるまでに増加するなど、著しい都市化が進展しております。
このように、地方自治をめぐる社会情勢が大きく変化する中で、現行の地方行財政制度は、今日に至るまで抜本的な見直しが行われていなかったため、社会実態に十分に対応することができず、機能不全を起こしているのが実態であります。
さまざまな矛盾が噴出している今こそ、時代に適合した抜本的改革を行う好機であり、また、改革を怠れば日本の将来は危ういという危機意識を持って改革に臨む必要があると考えます。
まず、この点について、知事はどのような認識をお持ちなのか、ご所見をお伺いをいたします。
答弁1
▼知事
地方分権改革についてでありますが、私はよく引用しますけれども、司馬遼太郎さんが、日本の政治のスキームというのは、徳川幕府が倒れて正式な議会が発効する前の太政官制度のころからほとんど変わっていないということを慨嘆しておられました。まさにそのとおりだと思います。
ある時期、確かに中央集権・官治の統治システムというのは、戦後のような荒廃、混乱期には、経済を復興するためにも大いに力があったと思いますけれども、しかし、それがそのままだらだら続く、しかも国際環境や社会状況が大きく質的に変化している中で、既にその有効性を失っていると思いますし、この抜本的な改革はもう歴史的な必然、蓋然だと思います。
こういう形骸化した、リアリティーのないスキームというものを踏襲するということは、国家的な危機にもつながるわけで、例えば科挙の制度のようなものを、いたずらに固執した清朝が限界に来て簡単に倒れたと同じようなことにもなりかねないと思います。
財政面から眺めましても、国と地方を合わせて、長期債務は七百兆円にも上っているわけで、もはやこれまでの行財政の仕組みが維持できないことも明らかだと思います。
その部分的な矛盾でもあります交付税の制度そのものも、直接、間接合わせますれば百二十兆という赤字を抱えているわけでありまして、小渕内閣のときにできました地方分権一括法というものが実際に実行されるということの成否は、我が国の将来を左右するものと思っております。
しかし、どうも、国、地方を通じて、政官財の各界は、既得権益の維持にきゅうきゅうとしている感じが否めません。実質的な改革を先送りし続けているという感じがいたしてなりません。
こういった認識が、政治、行政に携わる者から、またマスコミにも欠けているところに、国家の本質的な危機があるんじゃないかという気がいたします。
まあ、こういうものはある時間がかかるものでありまして、レーガン大統領がやりました思い切った地方分権というものは、財政的にはクリントンの時代になって成果を上げたわけでありますが、いずれにしろ、せっかくつくった地方分権一括法の中で、税財源の分与は中長期の目的であるというこっけいな付記までついている現況でありますが、ようやく、それから五年たった今、議論が具体化してきつつあると思ったら、先般の長野の全国知事会議のように、とりあえずだれかがいい出した三兆円なるものの金目の争奪というものにきゅうきゅうとするという、本質論を全く欠いた実態でしかございません。
質問2
こうした中で、全国知事会、全国議長会など地方六団体は、八月十九日までに国庫補助負担金等に関する改革案を取りまとめ、二十四日、小泉総理に提出しました。
この間の議論、とりわけ八月十八、十九、両日にわたる全国知事会議での深夜に及ぶ真摯な議論は、防災無線を通じて全国に放映され、各知事の自治体行政に臨む姿勢と熱意を感じさせるのに十分なものでした。
しかし、この改革案は、全国の市町村を含めた地方六団体の意見を取りまとめなければならないこと、おおむね三兆円規模の税源移譲を行う前提としての改革案であることなどの制約から、市町村に係る公共事業に対する国庫補助負担金を廃止対象から外すなど、必ずしも十分なものではありません。とりわけ、税源移譲により地方交付税の原資が減少するため、別途、地方交付税の総額を確保するための対策を講ずる必要があるとした点にこの改革案の弱さがあります。地方交付税制度をどうするのか、この弱点を各自治体は早急に克服する必要があります。
東京都は、去る五月の地方分権改革に関する東京都の基本的見解において、この秋にも制度構築に向けた具体的な提案を行うとされましたが、この地方交付税制度の抜本的見直しについてはどのようにお考えなのか、所見をお伺いいたします。
答弁2
▼知事本局長
地方交付税制度についてでございますが、現行の制度は、戦後、全国的に一定水準の行政サービスを確保する上で大きく貢献してまいりましたが、既に破綻状態にございます。現行の交付税制度を抜本的に見直し、税源移譲と一体となった新たな財政調整制度の創設が必要と考えております。
そのためにはまず、制度に累積した直接、間接合わせて百二十兆円にも上る借入金を国の責任で解消することが必要でございます。新しい制度の内容につきましては、政策誘導を排除した簡素で透明性の高いものとすることが不可欠と考えております。こうした抜本的な改革を行うことで、全国の自治体の財政的自立を高め、真の地方分権改革の実現が可能となると考えております。
質問3
今回の改革には、義務教育費国庫負担、中学校教職員分の廃止が盛り込まれました。この問題についてはいまだに賛否両論が闘わされており、石原知事は八月の全国知事会議において、少数派として反対を表明されました。
平成十二年の地方分権一括法施行により機関委任事務が廃止され、多くの事務は地方の自治事務として明快に位置づけられたにもかかわらず、相も変わらず国の官僚は、補助負担金を出すことを通じて、はしの上げおろしまで過剰に関与し、地方の創意工夫を阻害し続けております。こうした霞ヶ関の地方支配を打破し、自治体の自主性が真に発揮できる仕組みに改革することこそ、今、求められているのではないでしょうか。
東京都は、総額十二兆円を上回る予算を確実に執行し続けております。バブル崩壊に伴う税収の大幅減少の影響をまともに受け、極めて厳しい財政危機に陥りましたが、どんなに苦しいときであっても、我々はまさに米百俵の故事のごとく、教育を優先した都政運営に留意してまいりました。
現在、東京都が受けている義務教育費国庫負担金一千七百億円の全額が一般財源化された場合でも、税源移譲による税収増も大きく期待できるわけで、他府県に比べて都が必ずしも不利益にならないと思われます。このような状況の中で、あえて知事が義務教育費国庫負担金の廃止、一般財源化に反対される理由はどこにあるのか、お伺いをいたします。
答弁3
▼知事
義務教育費国庫負担金についてでありますけれども、多分総務省がいい出したんでしょう、とにかく三兆円というお金の額に目がくらんで、教育の本質論がなおざりにされて、取れるものはまず取ろうと、千載一遇の機会だという言葉が随分聞かれましたが、これはまあ、千載一遇といえば千載一遇かもしれませんけれども、事の本質を逸脱した非常に危険な認識じゃないかという気がいたしました。
いずれにしろ、国家の基幹の作業であります義務教育というものが、下手をすると毀損される可能性が十分あるわけでありまして、先ほどの答弁でるる申しましたが、私は、そういう本質論というものが政府の中でも、閣議でも一向に行われることなく、どこかの省がいい出して、一番弱い省がターゲットにされて、その予算が獲物にされるという、非常にこっけいで危険な議論でしかないと思っております。
国庫負担金が廃止されれば、東京はむしろもうかるんじゃないかという説明もございましたが、確かにそれはそうでしょう。しかし、それで私たち幾ばくの収入がふえても、それが都の財政にどう響くものでもありませんし、もっと大きなものを失いかねないという危険というものを私たちは認識すべきだと思います。
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■ヒートアイランド対策 |
質問1
石原知事は、本定例会の所信表明の中で、ヒートアイランド対策について、都市再生の一環として国が責任を持って対応すべきと指摘されました。
政府の都市政策には、業務機能が高度に集積した大都市に集中的な投資を行い、大都市を我が国経済の牽引車として再生するという明確な哲学が欠落しているのみならず、ヒートアイランドや大気汚染など危機的現象が集中的にあらわれている大都市の環境再生に挑むという戦略も完全に欠落しております。
私はまずもって、国が環境への配慮を欠いたこれまでの大都市政策の反省に立ち、都市再生の不可欠の課題として、ヒートアイランド対策に取り組むべきと考えます。そのためにも、石原知事がこうした方向に国を動かすために、都市環境の再生のために積極的に取り組んでいく必要があるものと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
答弁1
▼知事
ヒートアイランド対策についてでありますが、これはいうに易しい、しかし実に行うに難しいことでありまして、コストの問題もあるでしょう。例えば非常に保水性のあるコンクリートを使うとか、その他この他いろんな論もあるでしょうが、結局最後は安上がりにまちをつくってしまうという結果を出してきたわけであります。
大塚さんはよく勉強していらっしゃるので、お読みになったと思いますが、アレックス・カーという、非常に日本について詳しい、日本を愛しているアメリカ人が書いた「犬と鬼」という本を読みましたら、あの膨大な国土を抱えているアメリカ、いろいろ社会事業、社会資本の整備もしているでしょう。そのアメリカに比べて、日本の年間に使うコンクリートの量は何とアメリカの二倍あるということも、私はやっぱり、建築、社会資本の整備というもののコストパフォーマンスにいろんな問題があるのではないかという気がいたします。
いずれにしろ、これを何とかしようということで、都は都なりに独自の取り組みとして、丸の内、汐留などで保水性舗装や屋上緑化等の対策も集中的に実施しておりますし──屋上緑化といってもたかだか面積は知れていますから、壁面の緑化も私はやっぱり大きな対象になると思っております。
今後も、都民や地方自治体、民間事業者との連携を図りながら、国の積極的な取り組みを引き出して、この問題について国ごと動かしていきたいと思っております。
質問2
石原知事は、八月十三日の定例記者会見で、戦後六十年間、都市計画なしに来た、風の道など今ごろ遅い旨述べられました。確かに過去を取り戻すことはできませんが、これからさらに進む都市開発を放置するわけにはいきません。
私たちは、都市づくりの中に風の道、水の道、緑の道を位置づけるとともに、民間を含む都市開発事業についても、計画のできるだけ早い段階でさまざまな対策を導入するなど、環境政策のウエートを高めていくべきだと考えております。
また、都市開発の各段階で講ずべきヒートアイランド対策については、それぞれの地域の特性に合わせた対策を実施していくことが重要であり、東京都においても、現在、こうした観点からヒートアイランド対策ガイドラインの策定に取り組んでいるところであります。私は、このヒートアイランド対策ガイドラインを早期に示し、その対策の効果を明らかにすることで、計画の早い段階からヒートアイランド対策を講じていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼環境局長
ヒートアイランド対策ガイドラインについてですが、都が独自に整備した観測網によりまして、最高気温が都心部から足立区や練馬区にかけて高くなる一方、最低気温は品川区、目黒区周辺で高くなるなど、ヒートアイランド現象のあらわれ方に地域差のあることが明らかになりました。
この結果を受け、人工排熱や地表面の状況等を示す熱環境マップを作成し、近々公表する予定でございます。これに基づき、地域特性に応じた対策メニューやその効果等を示すガイドラインを年度内を目途に作成いたします。
このガイドラインを広く普及し、都市づくりの過程のさまざまな機会をとらえて、ヒートアイランド対策の取り組みを促進してまいります。
質問3
東京都が制度の強化に取り組んでいる建築物環境計画書制度は、ことし五月の東京都環境審議会答申においてヒートアイランド対策のための強化策が示されましたが、風通しを盛り込むことについては、さらに検討することとされていました。
しかし、国が定めたガイドラインでは、建築物の設計に際して緑地や空地を設けることによる風の通り道の確保、あるいは夏の風向きに対して建築物の見つけ面積が小さくなるような配慮を求めており、こうした風通しの項目を東京都の制度の中に取り組んでいくことは可能なものと考えております。建築物環境計画書制度におけるヒートアイランド対策の強化について、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼環境局長
建築物環境計画書制度についてでございます。
この制度は、環境確保条例により、大規模な新築建築物等における環境配慮設計を誘導する制度でございます。
本年五月の環境審議会答申を受け、現在、本制度の見直しを進めており、この中で、ヒートアイランド現象の緩和を新たに環境配慮項目として設定し、人工排熱対策や屋上緑化等の建築物被覆対策、隣接敷地を考慮した風通しについて評価することを検討しております。
こうした取り組みにより、ヒートアイランド対策の充実強化を図ってまいります。
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■大気汚染対策 |
質問1
十月一日で、ディーゼル車規制からちょうど一年を迎えます。
先日発表された平成十五年度の大気汚染状況の測定結果でも、幹線道路沿いの浮遊粒子状物質、いわゆるSPMが前年度比で九%減少するなど、ディーゼル車規制による効果は確実にあらわれております。
また、今月十七日には、東京都の要請を受けた石油連盟が、硫黄分を一〇ppm以下に抑えるという世界最高水準のガソリン、軽油を出荷することを発表いたしました。こうした関係団体の取り組みは、石原知事による問題提起の結果であり、私は、東京から日本を変えるという石原知事の意気込みと行動力を高く評価するものであります。
そこで、ディーゼル車規制から一年ということを踏まえ、このディーゼル車規制の総括とこれからの取り組みにおける決意につきまして、知事の見解をお伺いいたします。
答弁1
▼知事
ディーゼル車規制の総括、そして今後の取り組みについてでありますが、これは何も東京だけではなしに、東京から呼びかけて、神奈川、埼玉、千葉という首都圏を構成する四県が協力してくれて実施されまして、大きな効果が上がったと思いますし、いろんな人からいろんな、何といいましょうか、感謝といいましょうか、評価をいただいております。
先般も思いがけず、テニスの友人の日本に帰化したばかりの中国人から、自分はぜんそく持ちだったけれども、非常に空気が変わったということをいわれて、個人の意見でありましたけれども、意外な感じがいたしましたが、非常にうれしい思いもいたしました。
ということで、先般、石油連盟の会長がわざわざ来庁されまして、東京の努力にこたえて、我々は政府がいっているよりももっと、二年ですか、前倒しして、来年のできれば一月、実際には三月ごろになるかといっておられましたけれども、いずれにしろ数年間前倒しして、サルファーフリーとも呼ばれる、つまり硫黄分が極めて少ない、ないに等しい一〇ppmの超低硫黄の軽油を全面供給いたしますといっていただきました。これは本当にありがたい話で、私も都民を代表して感謝いたしましたが、これが普遍しますと、ヨーロッパのようにガソリン車よりもむしろディーゼル車が普遍するといった新しい動きも出てくると思います。
ただ、これは非常に民間の知恵といいましょうか、努力といいましょうか、意識というものが高いということの証左ですけれども、その一方、国は一体何をしているかということになると、これはまさに暗たんたる気分にならざるを得ない。
昨年の暮れ近かった総選挙で、私、友人の西村眞悟代議士の応援に大阪へ行きました。東京の友人の応援をしているのと違って、大阪で国道の交差点で宣伝カーの上で演説していますと、目の前にとまるバスやトラックの排気ガスで、目が痛かったりのどが痛かったりして全然違う。東京ではこういう現象がなくなったなということで、相対的に首都圏がやった努力の評価を自分なりにしたわけですが、何でこれを国が全国に普遍する努力をしないんでしょうか。これは非常に不公平だと思います。
私は、これを実施する寸前にトラック業界の会館に行きましたら、これを実施するためにいろいろ融資の問題もあったりして相談の窓口を設けてあって、その一つに座っている四十代の、恐らく零細企業の運送屋さんの社長でしょう、私を振り返って、おい、石原さん、こんなことやったらうちはつぶれるよといわれましたけれども、それでもその方は頑張って、東京の要請にこたえてやってくださった。
恐らくそういう小さな会社は、せいぜい隣県にまでしか物を運ばんでしょう。しかし、あえていえば、佐川急便だとかヤマト運輸ですか、幾つかある大手は、東京に持っていくとひっかかるトラックは全部大阪へ回したり九州へ回したりしている。何で首都圏の住民だけがきれいな空気が吸えて、ほかの日本人が悪い空気を吸わざるを得ないのか。これは本当に国の怠慢であって、どうかひとつ党派を超えて、もう共産党にもついでにお願いしますがね、何でも反対の。国全体でこれを実現する努力を東京が引き金になってやらないと、私はやっぱりいかにもこれは不公平なことでしかないという気がいたします。
今後とも、都は実効のあるディーゼル車対策を推進するとともに、国に対しても、世界一厳しい排ガス規制や抜本的な使用過程車対策の早期実施など、国としての責任ある対策を強く強く求めていくつもりでございます。
あわせて、自動車のメーカーに対しては、さらに低公害で低燃費な自動車の早期開発を求めていきたいと思っております。
質問2
ディーゼル車規制に当たり、私たちはこれまでも違反者の取り締まりの徹底を求めてきました。東京都が取り締まり強化月間として六月に実施した違反ディーゼル車の取り締まりの結果を見ると、都内の事業者の違反率が一・六%であるのに対し、全体では違反率が三%を超えております。これは、主に条例規制のない東京都外のトラックがPM減少装置等の対応を行わずに都内を走り回っているという状況を示しております。こうしたディーゼル車をそのまま放置したのでは、まじめに規制に対応した都内の事業者がばかを見ることになりかねません。
私は、これまでの取り締まりの経験を踏まえ、東京都外からの流入車両対策など、さらに違反ディーゼル車の取り締まりを徹底していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼環境局長
大気汚染対策に関しまして、違反ディーゼル車の取り締まりの徹底についてでございます。
自動車公害監察員によるこの一年の取り締まりからは、都外車両に違反が多いという結果が出ており、違反流入車対策をさらに強化する必要があります。このため、カメラによる監視や路上検査を組み合わせた取り締まりを、流入車の多い都県境の幹線道路などにおいて重点的に進めるとともに、この十月一日には、八都県市が一斉に、初めて八都県市の域外の高速道路に出向きまして、首都圏への流入車に対する規制周知活動を行うこととしております。
厳しい経営環境の中、規制にご協力いただいた事業者の皆さんが不公平感を抱くことがないよう、今後とも違反ディーゼル車の一掃に努めてまいります。
質問3
揮発性有機化合物、VOC対策について伺います。
VOCは、光化学スモッグだけでなく、浮遊粒子状物質の原因ともいわれており、その排出削減に取り組んでいくことは、東京の大気汚染を解消していく上で重要な課題です。
七月七日に発表された光化学オキシダント対策検討会の中間まとめでも、その原因物質として、かねてより指摘されていた窒素酸化物だけでなく、今後はVOCの排出削減が必要であることを指摘しております。
私は、東京都としていち早くVOCの排出削減を推進するなど、大気汚染対策に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁3
▼環境局長
光化学オキシダント対策検討会の中間のまとめでは、光化学スモッグを抑制するため、これまでの窒素酸化物削減対策に加え、揮発性有機化合物、いわゆるVOCの排出削減対策の推進が必要であると指摘されております。VOCは、光化学オキシダントの原因であるだけでなく、大気中での浮遊粒子状物質の生成や、また、それ自体の有害性、発がん性などが指摘されており、今後の大気環境の改善のために削減対策が急務であります。
VOCの発生源は極めて多様であり、都は、多様な発生源に応じてガイドラインの策定や技術支援など、排出削減の効果的な対策を積極的に推進してまいります。
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■産業振興 |
質問1
初めに、商店街の振興について伺います。
七月二十八日、私の地元である港区では、コンビニやチェーン店などの商店会への加入や事業への協力について定めた中小企業振興基本条例を改正しました。また、東京商工会議所や日本チェーンストア協会など関係八団体が「連携・協働の商業まちづくり共同宣言」を採択するなど、コンビニやチェーン店などと地域の商店会との連携、協力に向けた機運が高まっております。
私は、こうした動きを契機として、商店会がさらに発展していくための具体的な施策として、商店街の街路灯に企業広告を出せるようにし、そのことを通じて商店街の振興が図られるような仕組みづくりを提案するものであります。
商店街の街路灯に企業広告を認めることは、景観上のルールづくりを通じて、商店街の人たちがみずからの商店街の将来像を考える契機にもなり、またその収入を街路灯の電気料金に充てるなど、商店会の財政基盤の強化といった面からも意義のあることだと思います。
そこで私は、屋外広告物条例や道路占用許可を担当する関係局や地元自治体などと調整した上で、こうした仕組みづくりの構築を行いながら、商店街の振興に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁1
▼産業労働局長
商店街の振興についてでございますが、ご提案の商店街の街路灯への企業広告は、商店街の自主財源を確保し、その財務基盤の強化に資するものと考えられます。一方、その実施に当たりましては、広告物の安全性の確保や街並み景観への影響なども考慮する必要がございます。
今後、関係局とも調整を図り、商店街が住民や地元自治体の理解を得ながらこうした取り組みを進めていけるよう支援してまいります。
質問2
次に、観光振興について伺います。
ことし四月に日中友好議員団の中国訪問に参加した際、すばらしい上海の夜景に感動したことは、同行の議員の皆様も同感だと思います。上海の黄浦江の両側にある建築物を見事にライトアップし、その川を遊覧船が多くの観光客を乗せ、その夜景を楽しませておりました。上海の夜のまちをライトアップさせることによる夜景が一つの観光事業として成り立ち、さまざまな産業への経済的な波及効果になっていることは事実であります。
東京都でも、東京タワーやレインボーブリッジなどのライトアップは都民の目を楽しませるとともに、観光にも一役買っています。その中でも、レインボーブリッジのライトアップについては、東京の一つの名物として多くの都民に親しまれ、大変評価できることだと思います。
私は、さまざまな制約があり、簡単ではないかとも思われますが、このレインボーブリッジのライトアップに一つつけ加えてみてはどうかと、パネルを使って提案させていただきます。
(パネルを示す)ぜひ知事、また関係局長にはごらんいただきたいと思いますけれども、船や車の東京の玄関口でありますレインボーブリッジに千客万来の都市東京というシンボルサインであります「ウエルカム・ツー・トウキョウ」を映し出せないものでしょうか。私たちの調査では、技術的には可能であるという結論を得ておりますけれども、ぜひ知事のご見解をお伺いしたいと思います。
答弁2
▼知事
レインボーブリッジへの「ウエルカム・ツー・トウキョウ」サインでありますが、私はこれは余りぞっとしないね。あれをライトアップするのはいいですよ。あなたの示された、部屋でもその縮小版を拝見しましたけれども、あの柱に門人様のように仏像とか何かそういうものが映るのはいいけれども、何も英語であそこに「ウエルカム・ツー・トウキョウ」と書かなくたっていいじゃないですか。何か田舎臭くて私は余り好きじゃないね。
あのライトアップは賛成です。私は、東京新名所の一つはレインボーブリッジだと思います。あそこからとにかく内側を眺めますと、マンハッタンを眺めるみたいに実に気持ちがよくて、水路もありまして──まあ、世界の大都市にも、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジやニューヨークの自由の女神や、いろいろありますが、まさにレインボーブリッジは東京にとってのランドマークだと思いますし、これをライトアップするのは大賛成でありますが、「ウエルカム・ツー・トウキョウ」とわざわざ書かなくたっていいじゃないですか、英語で。
いずれにしろ、上野などは、幾つかの小さな古い門をライトアップして非常に効果が上がっていますし、区長さんに聞きましたら、そう大した金じゃないと。私はついでに、あのうっそうとした皇居を、何だか不気味なので、ライトアップさせていただきたいということを、天皇陛下のご進講のときに申しましたら、私はむしろ陳情申し上げたんだけれども、そのことそのものがいかぬと、宮内庁から後でおしかりいただきました。まだ返事はございませんけれども、私は、東京でライトアップすると、いろいろなところが、すばらしい印象のスポットがたくさんあると思うんです。おっしゃることは基本的に賛成でございます。
質問3
こうしたライトアップには電気代や維持管理費がかかります。この点は、先ほど述べた街路灯と同じ発想で、民間の企業広告で賄うということができないものでしょうか。
レインボーブリッジを活用した発想の延長上で、東京都が管理する公共施設にライトアップをし、その維持管理費に企業広告を活用するなど、さまざまな展開も可能と考えられます。公共施設における企業広告の活用について、屋外広告行政の立場からどのように考えるのか、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼都市整備局長
都の施設を活用した企業広告についてでございますが、地域の顔となる都の施設のライトアップは、昼間と異なるまちの雰囲気を演出し、都市の魅力を高めるなど、観光振興の面から効果が大きいと認識しております。都の施設は公共性、公益性を有するため、原則として企業広告を禁止しておりますが、一方で避難標識における広告表示など、公益的な施策を充実する場合には規制を緩和してきた実績もございます。
ご提案の都施設のライトアップに対する広告収入の活用につきましては、良好な都市景観を創出する観点から、今後、関係機関とも十分調整し、適切に対応してまいります。
質問4
コンテンツ産業の振興について伺います。
ことし五月、コンテンツビジネスの振興施策をまとめたコンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律、通称コンテンツ振興法が国会で成立しました。映画や音楽、アニメ、ゲームソフトなど、いわゆるコンテンツ産業の振興に国家戦略として取り組むことを示したもので、コンテンツにかかわる知的財産権の保護や流通の促進策などについて定めております。
日本のコンテンツ産業は、今や十一兆円と自動車産業の半分、鉄鋼産業の二倍の規模に成長しております。日本のアニメやゲームが世界じゅうを席巻していることからもわかるように、日本から発信されるコンテンツには大きなマーケットが広がっており、これからの日本の基幹産業の一つになっていくことが期待されております。
何よりも創造性、クリエーティビティーが求められるコンテンツの制作には、最先端の情報が集まってくる場所、すなわちこの東京がフロントランナーの役割を果たさなければなりません。東京におけるコンテンツ産業の振興にかねてから力を入れてきた知事のご見解をお伺いいたします。
答弁4
▼知事
コンテンツ産業の振興についてでありますが、これは確かにこれからの日本経済を牽引する非常に重要な産業であるとともに、日本人の感性というものを表象しているわけでありますが、外国に日本の文化への理解を深めさせ、また、我が国の国際的地位向上にも大きく貢献していくと思います。
東京には、映画、アニメ関連企業などが集中しておりまして、コンテンツ産業はまさに東京の一種の地場産業ともいえる存在だと思います。東京もその重要性に着目してまいりまして、平成十四年から東京国際アニメフェアを実施したりして、コンテンツ産業の世界への発信、新たな才能の発掘に取り組んできました。
ただ、あの東京映画祭はもうちょっと何とかならんでしょうかね。いかにも田舎臭くて、やっぱりパフォーマンスが下手だと思います。
さらに、本年、ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催いたします。
今後とも、コンテンツ産業の振興に大いに力を入れていきたいと思っております。
質問5
来月二十九日から三十一日まで、アジアのショートフィルムの映画祭、ショートショートフィルムフェスティバルアジアが開かれます。実行委員会と東京都の共催で開かれるこの映画祭は、アジアのショートフィルムだけに焦点を当てた映画祭として初めてのものです。
このショートショートフィルムフェスティバルアジアは、もともとは昨年、我が会派の柿沢議員の一般質問にこたえて、ショートショートフィルムフェスティバルを見に行った石原知事が、その場で、来年からアジアのショートフィルムの映画祭をやりますと宣言したのがきっかけとなっております。
若手のクリエーターが手がけることの多いショートフィルムは、映像分野における新しい才能の発掘の場として、またブロードバンド時代に適した短時間の映像コンテンツとして、最近注目を集めております。ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催する意義について見解をお伺いいたします。
答弁5
▼生活文化局長
ショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催する意義についてでございますが、ショートフィルムは、シャープな切れ味が魅力の短編映画であり、パソコンや携帯電話を通して気軽に楽しむことができる映像コンテンツとしても期待されております。
ショートショートフィルムフェスティバルアジアは、国内で初めての、アジアに焦点を絞った短編映画祭でございます。欧米の作品にはない魅力あふれる作品が期待でき、アジアからの新しい映像文化の発信、若手映像作家の育成などに寄与するものと考えております。
質問6
また、東京都が支援する映画祭として、東京国際映画祭のほか、先ほどのショートショートフィルムフェスティバルアジア、そしてアニメに焦点を絞った東京国際アニメフェアの三つがそろったわけですが、コンテンツ産業のリーダーといえる映画を中心とした映像文化の振興を東京都としてどのように図っていくか、見解をお伺いいたします。
答弁6
▼生活文化局長
映画を中心とした映像文化の振興についてでございますが、都はこれまでも、東京国際映画祭の共催や撮影許可等に関する総合窓口である東京ロケーションボックスを設置するなど、その振興に努めてまいりました。また、平成十四年から東京国際アニメフェアを、今年度からは新たにショートショートフィルムフェスティバルアジアを開催することといたしました。
東京の魅力を高め、さらに海外に広めるという点で、映像文化が持つ影響力は非常に大きいものがあると認識しており、今後とも映像文化の振興に努めてまいります。
質問7
次に、島しょ産業の振興について伺います。
我が会派では、島嶼振興等調査会として、毎年、伊豆諸島から小笠原諸島まで各島の視察を行っていますが、どの島を歩いても共通して、漁業者は各島に適した効果的な漁場整備を強く望んでおります。
この漁場整備をさらに効果あるものにし、漁業資源の長期的な減少傾向を打開するためにも、磯焼けなど海の異変の発生メカニズムを解明し、その成果を資源増殖の取り組みに生かしていくことが重要と考えます。
さきの六月都議会での私たちの代表質問にこたえて、東京都は先月、調査研究のプロジェクトチームを立ち上げ、早速活動を開始しました。今回のプロジェクトチームへの期待は大きいものがありますが、今後、プロジェクトチームでは具体的にどのような調査研究を行い、水産資源の回復につなげていくのか、改めてその考え方をお伺いいたします。
答弁7
▼産業労働局長
水産海洋研究推進プロジェクトチームの具体的な取り組みについてでございますが、このプロジェクトでは、東京の豊かな海を取り戻すため、海域・課題別に五つのチームを設置し、漁場環境悪化の原因究明と漁場回復技術の開発に取り組んでまいります。
先月下旬から活動を開始いたしまして、短期的には三宅島の漁場の回復、東京海域におけるアマモ等の海藻の人工増殖や効果的な魚礁の開発等を進めてまいります。
また、中長期的には、伊豆諸島に広がる、海藻がなくなる、いそ焼けの発生メカニズムの解明に取り組んでまいりまして、これらの研究成果を漁場整備に生かし、東京の海の資源増殖につなげてまいります。
質問8
また、東京の島々では、現在、アシタバ、芋、観葉植物などの特産品があり、それぞれの島において特産品を生かした農業振興への取り組みが行われています。私たちが昨年訪れた青ヶ島にある農地は、池之沢地区のカルデラ内や岡部地区の丘陵地など地形的に険しい場所にあり、営農通作や出荷などの交通条件は決して十分なものではありませんが、各農家は意欲的かつ熱心に農業を営んでおりました。
今後とも、各島の農業生産上の立地的、地勢的に不利な面を克服し、特産品の生産拡大に向けた計画的、積極的な基盤整備と輸送ハンデを克服する高付加価値化などの販売戦略対策の充実が求められます。
私は、島しょ地域のさらなる自立的な経済の確立に向け、こうした各島の農業振興の取り組みを積極的に支援していくべきと考えますが、東京都の見解をお伺いいたします。
答弁8
▼産業労働局長
都では、これまで農道や農業用水等の農業基盤及び温室やパイプハウスなどの生産施設、農作物の集出荷施設などの整備について支援してまいりました。お話しの青ヶ島村では、限られた農地や資源を最大限に生かし、黒毛和牛や芋じょうちゅうなどのすぐれた産物を生み出しており、島しょ産業の先駆的なモデルとして評価できるものでございます。
こうした意欲的かつ創意に満ちた取り組みを支援することは、広く島しょの自立的な経済の確立に寄与するものと考えております。今後、一層の生産拡大のため、農道等の整備や特産品の開発、販売力強化など、積極的に支援してまいります。
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■築地市場の移転 |
質問1
ことし七月、東京都は豊洲新市場基本計画を策定するとともに、今月十五日には、初めての適用となる計画アセスメントに向けた環境配慮書を発表しました。豊洲新市場の平成二十四年度の開所に向けて、ついに具体的な手続がスタートを切ったわけです。
このような中、私たち都議会民主党は、今月十六日の深夜から十七日の早朝にかけて、私を含めた九人の議員で築地市場の現状や豊洲の移転予定地を視察してまいりました。
市場関係者とも懇談を持ちましたが、老朽化した現在の築地市場のままでは、生鮮食品の流通をめぐる時代の変化に対応できないという意見が確かに多いように感じました。と同時に、今回の豊洲新市場の基本計画にも、まだまだクリアすべき課題が残されていることも感じました。
一つは、新市場の真ん中を横切る補助三一五号線の問題です。この道路があることで、新市場の水産部門は上下真っ二つに分断されてしまいます。上は卸の街区、下は中卸の街区として利用する計画のようですが、幅三十メートルもの道路を隔てて二つの街区を一体的に利用できるのか、大きな疑問を持たざるを得ません。
東京都と市場関係者でつくる新市場建設協議会においても、補助三一五号線がこの位置にあると市場としての戦力が半減してしまうとして、東京都に再考を求める意見が市場関係者から繰り返し出されております。
新市場の建設には別途都市計画決定の手続が必要です。今後の計画策定に当たっては、今後も市場関係者などの意見を聞きながら、必要に応じて基本計画の見直しも柔軟に行っていく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁1
▼中央卸売市場長
豊洲新市場の計画策定についてでありますが、七月に公表した基本計画は、市場業界のすべての団体の代表者を含む多くの関係者と協議を重ね、策定したものであります。現在、市場関係者との協議会のもとに課題別に検討会を新たに設け、施設配置や効率的な物流システムなどの具体化に向け、業界と協働して検討を行っているところであります。
また、お話しの補助三一五号線についてでありますが、同路線は臨海部における広域幹線道路であり、豊洲地区の東西を結ぶ骨格となる道路であります。市場予定地は同路線の両側に位置しますが、敷地の一体的利用が図れるよう道路を高架化し、その下に十分な幅の通路を確保することといたしております。今後とも、市場関係者と知恵を出し合い、よりよい市場づくりに取り組んでまいります。
質問2
築地市場の豊洲移転は、市場関係者だけでなく、地元自治体の理解と協力が不可欠です。とりわけ移転先となる江東区は、一日一万五千台もの車両が流入する巨大な市場が移転してくることで、周辺に交通渋滞や違法駐車など深刻な被害が生じるのではないかと強い懸念を持っております。
私たちが真夜中の築地市場を視察したところ、市場の正門や青果門あるいはその付近の公道上では、深夜にもかかわらずトラックが折り重なるように駐停車し、ほかの地方に転配送するための荷物を積みおろししておりました。
この時間帯は、駐車場を初め市場の中はがらがらでしたが、市場の外の公道上は活況を呈しておりました。市場の外での積みおろしは、行政当局による取り締まりもほとんどない野放し状態と聞いております。このような状況を放置したまま市場が豊洲に移転するのであれば、地域の住環境は破壊され、豊洲あるいは江東区全体のまちづくりに致命的な打撃を与えることになりかねません。
私は、豊洲新市場では、市場周辺での荷の積みおろしによる交通渋滞などが生じないようにする必要があるものと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼中央卸売市場長
新市場の周辺での交通渋滞などについてであります。築地市場は、七十年前の貨車輸送時代に開設されたものであり、トラック輸送や他市場への転配送など、今日の新たな物流に十分対応できない状況にあります。
新市場では、首都圏の基幹市場として、転配送などを新たに市場機能として位置づけ、転配送センターや多様な取引形態に対応した荷さばきスペースを設置し、荷の積みおろしをすべて市場内で行うこととしております。
さらに、外周道路の設置による車両の円滑な入退場や必要な駐車場の確保などにより、市場周辺で交通渋滞が生じないよう、地域環境に十分配慮してまいります。
質問3
地元自治体としては、場外市場を抱える中央区が最も深刻です。中央区では、築地市場移転に断固反対する会の下命を受けた築地市場地区の活気とにぎわいビジョンづくり委員会が九月二十一日に中間まとめを報告しました。
移転を前提とした跡地利用計画を中央区が提案したことだけをとらえて、中央区が移転に向けて歩み寄ったと受けとめる向きもありますが、地元区民の東京都に対する不信感は払拭されたとはいいがたく、東京都は今回の提案が、断固反対する会によって、やむにやまれず提案されたものだと認識し、最大限尊重すべきであると思います。東京都の中央区のビジョンに対する認識と今後の協議に向けての見解をお伺いいたします。
答弁3
▼都市整備局長
中央区が作成した築地市場地区におけるビジョンに対する認識と今後の協議についてでございますが、区がこのビジョンを発表したことは、これまでの反対の姿勢から方針転換し、市場移転や環状第二号線の地上化を前提とした、都との具体的協議に入ることを初めて公にしたものと受けとめております。
ビジョンの内容は広範多岐にわたっており、また、豊洲新市場や環二などの整備の進捗状況と整合をとる必要性があることから、今後、関係局と連携し、地元中央区と十分協議してまいります。
質問4
環状二号線の整備について伺います。
築地市場の移転計画を受け、東京都では昨年十二月、築地から晴海間の環状二号線を地下式から地表式へと変更する都市計画の素案の取りまとめをしました。これを受けて、中央区では大きな反発があったことは当然ですが、私の地元港区でも、東京都による突然の都市計画変更に大きな不安を訴える声が上がりました。
環状二号線の新橋・虎ノ門地区は、マッカーサー道路として都市計画決定されたものの、五十年以上もの長きにわたりその整備が放置されておりました。それがようやく整備に向けて動き出し、地下道路の構造をめぐっては、掘り割り方式から完全地下化への変更について、東京都と地元の町会などと熱心な協議が進められているところであります。
こうした経過を踏まえ、環状二号線の新橋・虎ノ門地区については、地下道路の早期整備に向けて、地元との協議に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解をお伺いします。
答弁4
▼建設局長
環状二号線の整備に向けた取り組みについてでございますが、環状二号線は、都心部と臨海部を結び、交通や物流ネットワークを強化する重要な路線でございます。
本年二月、新橋・虎ノ門地区の道路構造につきまして、地元から、地表に開口部を設けるトンネル計画を、開口部がないトンネルに変更する要望がありました。この構造では、沿道環境保全の観点から換気塔が必要となります。
そこで、地元住民、港区、都で構成する協議会を設け、換気塔を含む道路構造につきまして現在協議を進めております。
今後とも、地元との話し合いを精力的に行いまして、理解と協力を得て事業を推進してまいります。
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■水道料金体系の見直し |
質問1
去る九月七日、東京水道経営プラン二〇〇四が発表されました。この中では、水道事業の現状と今後の事業運営方針、プランの基本方針とその概要が示されており、特にマスコミなどでは、平成六年以来十年ぶりとなる水道料金体系の見直しに注目が集まっております。
平成十五年七月、東京都水道事業経営問題研究会から、今後の水道料金のあり方について、基本水量の付与のあり方、生活用水に対する軽減措置、最高単価及び水量区画の見直しなどを内容とする最終報告がなされています。今回の料金改定では、この報告書に基づき料金体系が見直されているわけですが、見直しに至った背景と基本的考え方について所見をお伺いいたします。
答弁1
▼水道局長
料金体系見直しの背景についてでございますが、水道事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、現行の料金体系では使用者の半数近くが画一料金となるなど、水利用実態にそぐわなくなってきておりまして、もはや見過ごせない状況にございます。
また、都民からも、節水努力が報われる仕組みやコストに見合った負担の実現を求める声が多く寄せられております。
こうしたことから、東京都水道事業経営問題研究会の最終報告に基づきまして、今回、基本水量を十立方メートルから五立方メートルへ引き下げるとともに、最高単価を引き下げるなど、料金体系の見直しを実施するものでございます。
質問2
水道事業は、いうまでもなく都市の基本的インフラとして、水源から蛇口に至るまで膨大な施設を有する典型的な装置型産業です。すなわち、水道事業においては、八ッ場ダムを初め施設整備に要するコストがその大半を占めており、その必要性については、長期的な影響も含め、十分に精査した上で経費を見積もることが求められます。
そうした観点から見ると、今回のプランの計画期間は平成十六年度から十八年度の三カ年であり、また、既に十六年度も半年が過ぎようとしているこの時期においては、今後の計画としてはいかにも短期間であるとの思いがぬぐえません。
今回のプランでは、企業努力により生み出される原資を活用して、料金を平均で二・二%引き下げるとしておりますが、そのこと自体は評価できるとしても、今後の施設整備の見通しが不透明な中で、長期的な事業運営が懸念されることもまた事実であります。今後の施設整備の実態を踏まえ、長期的な財政見通しの上に立った事業運営が必要と考えますが、所見をお伺いいたします。
答弁2
▼水道局長
長期的な財政見通しに立った事業運営についてでございますが、経営計画は、社会経済状況の変化に的確に対応するため、一定の見通しが立つ三年程度を計画期間としておりまして、今回の経営計画もそれに沿ったものでございます。
また、施設整備につきましては、おおむね十年後を見据えた施設整備長期目標を設定するなど、長期的な視点に立って必要な施策を実施することとしております。
この計画案に盛り込みましたさまざまな施策を着実に推進することにより、今後とも、首都東京にふさわしい水道サービスの実現に向けて全力で取り組んでまいります。
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■個人情報保護審議会の答申 |
質問1
去る七月、都の個人情報保護制度の新たなあり方についての提言が、情報公開・個人情報保護審議会から出されました。
情報技術の進展で電子データによる情報処理が主流となり、事務の効率化に資する一方で、短時間で大量のデータをやりとりでき、情報の加工、写しが容易なため、情報がひとり歩きしてしまうため、自分の情報をコントロールすることが困難な時代になっており、個人情報保護に対しての都民の要請は高まっているものと考えます。
完璧はないといわれる情報セキュリティーですが、情報を直接扱う職員の意識と技術が伴わなければ安全の確保はできません。東京都においては、組織的に継続的な改善を行って、安全性の向上と、都民の安心感や信頼の確保に努めていただきたいと思います。
そこでまず、東京都の保有する個人情報の取り扱いについて伺います。
個人情報の中でも、特に子どもやひとり暮らしの高齢者、障害、健康や財産に関する情報は、一般的に他人に知られたくないと強く感じるものであり、万が一漏えいし、悪用されれば、詐欺や強盗など深刻な犯罪のほか、悪徳商法などの消費者被害など、犯罪発生につながる確率の高いものであります。また、おれおれ詐欺にも個人情報が使われる劇団型が出現するなど、被害額、被害者数ともに増大し、悪質、巧妙化しているようです。
東京都は、業務上こうした個人の健康、資力に関する情報を多様かつ大量に保有していることから、条例改正に当たっては、これまでに加え、個人情報への不正アクセス防止や事後チェックなどについても徹底すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁1
▼生活文化局長
東京都の保有する個人情報の取り扱いについてでございますが、都では、都民の生活に係る多くの個人情報を保有していることから、職員に対し個人情報の適正な取り扱いについて通知し、周知するとともに、研修を行っております。また、電算処理を行う場合の安全確保策としては、専用端末の設置、IDカードやパスワードによるアクセス制限などを行っております。
審議会答申では、IT化の進展により、さらに技術面及び組織面のセキュリティー確保が必要であるとして、生体認証の導入、個人情報の管理責任者の設置、職員のアクセス記録の点検などを行うとともに、教育、訓練の充実強化による職員の情報倫理の確立が必要としております。
今後は、ご指摘を踏まえ、関係部局と調整、連携を図り、セキュリティー確保に十分配慮し、個人情報の保護に遺漏のないよう体制整備を図ってまいります。
質問2
政府が明らかにしたところによると、二〇〇一年から二〇〇四年五月までの間に起きた個人情報漏えい事件は、国や地方の行政機関によるものが二百五十四件、同時期の民間事業者の流出百二十四件の約二倍に上っております。
行政機関の個人情報保護については、法律、条例、各機関が定める規則や指針など、決まりはたくさんつくられています。それにもかかわらず行政機関による漏えいが多いのは、つくっただけで、その決まりが守られているかどうかをチェックする機能が存在しないことが一つの原因ではないでしょうか。
そこで、行政による個人情報の取り扱いが適切に行われているかどうかを第三者がチェックする機能が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼生活文化局長
行政機関による個人情報の漏えいを防止するチェック機能についてでございますが、都においては、個人情報を適正に管理するために、電算処理管理規程の整備、個人情報を取り扱う職員の研修教育などを行っております。
チェック機能の充実を図るため、審議会答申では、組織面のセキュリティー確保として、先ほど申し上げましたように、個人情報の管理責任者の設置、職員のアクセス制限、職員のアクセス記録の定期的な点検など、マネジメントシステムの重要性が提言されております。
都は今後、組織的な点検を行うとともに、その結果を審議会へ報告するなど点検体制の整備を図り、都民の個人情報の保護を一層徹底してまいります。
質問3
東京都の民間事業者における個人情報の保護について伺います。
この間、情報関連事業者や小売業者による、購買履歴などを含む顧客情報の流出が明らかとなり、都民の不安も増大しています。こうした事態を受け、既に民間事業者の間には、既に蓄積した詳細な個人情報を消去する方針を明らかにしたり、セキュリティー対策をアピールするなどの動きが見られます。
本来、民間事業者に対する規制は最小限のものとし、自主的な取り組みに任せるべきです。しかし、都民の消費行動など個人的な情報を管理する上で事業者が負う責任と、漏えいにより起こる結果は重大です。法律の規制対象外となる、保有する個人情報が五千人分以下の小規模事業者についても、セキュリティー対策の重要性を周知するための施策を実施した上で、悪質な業者に対しては厳しく対処することが必要であると考えます。条例改正にはこれを盛り込むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼生活文化局長
法の規制の対象外となっている民間小規模事業者における個人情報の保護についてでございますが、個人情報保護の重要性は事業者の規模の大小で変わりがないことから、都では、小規模事業者に対しても個人情報保護の理念や仕組みなどを周知し、事業者みずから個人情報保護に取り組んでいくよう、理解の促進を図ってまいります。
また、審議会の答申を踏まえ、法の規制の対象外となっている個人情報が五千人以下の小規模事業者に対しても、必要に応じ調査、助言、指導等を行う仕組みを検討する必要があると考えております。
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■障害者施策の推進 |
質問1
障害者の施設から地域生活への移行を促進し、地域生活を支えることを掲げて昨年からスタートした支援費制度ですが、地域サービスの不足による売り手市場化への懸念と、財源の不足が当初から指摘されておりました。個人の選択による契約制度ですが、実際には選択できるほどのサービスがない、専門性のあるサービス提供者が不足しているなどの指摘があります。
今後、障害者の地域生活移行を進め、支援を充実していく上での課題についてどのような認識をお持ちか、お伺いいたします。
答弁1
▼福祉保健局長
支援費制度の課題についてでありますが、障害者の自己決定を尊重し、障害者みずからがサービスを選択するという支援費制度への移行により、障害者の地域生活を支えるホームヘルプサービスなどの利用実績は大きく伸びております。
今後、障害者の地域生活を一層支援していくためには、グループホームや通所施設などの基盤整備、個々の障害者の特性に対応できる人材の育成、確保は重要な課題であると認識しております。
また、支援費制度を安定的に運営していくための財源確保は制度の根幹にかかわる問題であり、今後とも必要な財源確保について国に強く働きかけてまいります。
質問2
支援費制度の導入からまだ一年余り、支援費制度と介護保険制度の統合議論が本格化しようとしております。
障害の原因は、先天的なものから病気や交通事故などさまざまであり、私たちのだれしもが、年老いて介護が必要となる可能性があるのと同様に、障害を持つ可能性もあります。そのため、年齢や原因を問わず、高次脳機能障害や自閉症、難病、がんの終末介護をも対象として、必要があればだれもが介護を受けられる制度をつくることは重要な課題です。
しかし、障害者に対して、全国的に見ても高い水準でサービス提供をしてきた東京都内の区市町村と全国一律の介護保険制度ではサービス水準が異なることなどから、統合により現行サービス水準が低下するおそれがあります。この問題について東京都の見解をお伺いいたします。
十年後には団塊世代が高齢期に入り、さらに十年後には高齢者人口が三千五百万人に達し、ピークを迎えるため、介護保険制度では、支え手を拡大し、財政の安定を図ることが必要となっています。そのため国は、介護が必要になる可能性が低い若年層に保険料負担を求め、同時に、給付対象を老化に伴うニーズ以外にも広げることを急いでおります。
私たちは、財政の安定ありきで殊さらに介護保険と支援費制度の統合を急ぐことで、吸収合併となってしまい、障害者福祉の専門性が損なわれることを危惧しております。地域に障害の専門性があるサービス提供基盤ができることが先決であり、その上での対等合併とすることが、だれもが安心して暮らせる地域福祉の推進につながると考えます。
答弁2
▼福祉保健局長
支援費制度と介護保険制度の統合についてでありますが、両制度には、サービス給付量の支給決定方法、利用者負担の考え方、ケアマネジメントの仕組みのあり、なしなどに違いがあります。
また、都内の区市町村においては、支援費制度のもとで障害者が全国レベルより高い水準でサービスを利用している実態にありますが、現在の介護保険制度では全国一律の支給限度額が適用されます。
そのため、統合につきましては、それぞれの違いを踏まえ、両制度が目指す自立支援、自己決定の理念を発展させる観点から十分な議論を行う必要があると認識しております。
質問3
次に、支援費制度に関連して、三障害者施策の格差是正について伺います。
障害者基本法は、身体、知的、精神のいわゆる三障害を対象とし、すべて同様の扱いとなっていますが、精神障害者は支援費制度の対象外であり、サービス提供を含めた制度面で、ほかの障害に立ちおくれています。
身体、知的障害については、十分とはいえないものの、サービス提供基盤は拡大傾向にあるのに対し、精神障害者施策は、東京都が医療的ケアを中心とした施策を進めてきましたが、ホームヘルプサービスの利用率は一%以下、ショートステイは都内で十床など、地域生活に必要なサービスが絶対的に不足しています。
健康局と福祉局との統合により、障害者施策の担当が一つの部になり、医療と福祉との有機的連携や三障害者施策の格差解消とともに、障害者施策の推進に取り組まれることと期待するものです。
多くの課題を抱えている区市町村が精神障害者施策の推進に取り組むためには、東京都が一層の支援を図っていく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁3
▼福祉保健局長
精神障害者施策の推進についてでありますが、精神障害者が地域で安心して暮らしていくためには、今般、国が精神保健医療福祉の改革ビジョンで示したように、区市町村を主体としたサービスの提供体制を計画的に整備することが重要であります。
都におきましては、これまでも区市町村が実施するホームヘルプサービスなどの居宅生活支援を初め、地域の相談拠点である地域生活支援センターの整備促進、人材育成などに取り組んでまいりました。
今後とも、区市町村を主体とした総合的な地域生活支援体制の構築に向けて、都民の理解を得ながら積極的な支援に努めてまいります。
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■東京都庁舎の警備 |
質問1
約一万人の職員が働き、毎日二万人以上の人々が訪れる都庁舎は、地震などの大きな災害に対応するばかりでなく、かつての都知事をねらった小包爆弾のようなテロにも対応する必要があります。都庁舎がこれらの災害やテロに突然見舞われた場合、職員や来庁者を混乱なく無事安全なところへ避難させることが重要な課題となってきます。東京都はそのためにどのような具体的対策をとっているのでしょうか。まず現状についてお伺いいたします。
答弁1
▼総務局長
災害時等における避難誘導等についてでございますが、災害やテロに見舞われた場合、都庁を訪れております都民や職員を安全な場所へ避難させることは重要な課題でございます。
都はこれまで、東京消防庁とも連携して、年二回、非常放送や監視カメラを活用いたしました避難誘導訓練などを実施しております。
今後とも、災害等の発生時に被害誘導が効果的に行えるよう、東京消防庁など関係機関と連携を強化し、より実践的な訓練となるよう工夫してまいります。
質問2
広く都民に親しまれ、また、都民のシンボルとしてだれもが自由に利用できる建物であり、極めて多岐にわたる機能を持った都庁舎を警備するためには、一律に警備するのではなく、決してその機能を侵してはならないコアともいうべき中枢ゾーンや、一般都民に開かれたさまざまな相談や受付などの窓口ゾーンなど、各ゾーンごとの特性に注目し、濃淡のある、めり張りのきいた警備とすべきであると考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
▼総務局長
具体的な警備体制についてでございますが、都は、多くの都民が利用する場所や中枢部門など、その特性を踏まえた警備を実施してまいりました。
今後とも、状況に即応して警備員の増員や都庁舎の利用制限など、庁内のそれぞれのゾーンや機能に応じた効果的でめり張りのある警備を行い、秩序維持と安全確保に努めてまいります。
質問3
災害やテロなどにいち早く対応するためには、庁内警備を所管する総務局を中心として、横断的に取り組む協議機関の設置を検討すべきと考えます。このことは都庁舎に限らず、学校、美術館、博物館、動物園、地下鉄などの東京都が管理する施設全般にいえることだと考えますが、最後に所見をお伺いいたします。
答弁3
▼総務局長
協議機関の設置についてでございますが、都は、これまで都庁舎におきます安全を確保するため、国や警視庁等と連携し、警備警戒に当たってまいりました。昨年十一月からは、都庁舎出入り口の一部閉鎖や展望室等への入室者に対する手荷物検査など特別警戒を実施しております。
今後、警備に関します情報を共有し連携を強化するため、警視庁や関係各局で構成いたします連絡会等の設置を検討してまいります。
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