水循環は地下水と湧水の保全で 遺伝子組換え作物に的確対応を |
大河原 雅子(ネット) |
■財政改革 |
質問1
三位一体改革に関する政府と地方団体の協議会が開かれましたが、地方側が示した補助金削減案に対して官僚は反論しており、早くも省庁側の抵抗が露呈しています。
ローカルパーティーとして分権を強く望む私たちは、今回の知事会の決定については、初めから三兆円の数字合わせと見る向きもありましたが、分権など頭にない国の政治家と官僚が三位一体改革の中身を提示できなかったことを考えれば、一応の評価をするものです。
しかし、義務教育費国庫負担については、義務というからには、補助金ではなく、全額国庫からの支出であってしかるべきです。今回の議論の悲しむべきは、教育水準と財源の議論が同じ土俵でなされたことです。
地域に合った教育を実践したい、地域の工夫で画一的な教育から脱皮したいと、多くの自治体は考えています。自治体の裁量が広がったとはいえ、国に対しては、お金は出しても、口は出させない方法を議論しなければなりません。地方分権型義務教育についての見解を東京都から出すべきだと考えます。
今回、国庫補助負担金改革に関し、知事会案が政府に投げ返されましたが、都は基本的見解で、補助金や交付税の改革の必要性を訴えています。今後、改革の具体的な考え方を、いつ、どのように示されるのか、知事の見解を伺います。
答弁1
▼知事
財政改革の具体的な考え方についてでありますが、政府の経済財政諮問会議は、十一月半ばを目途に、国庫補助負担金や交付税などについて改革の全体像を取りまとめるとしております。しかし、現状は、関係各省などの抵抗で、いまだに補助金改革の方向すら定まっておりません。
私自身、既に総理を初め関係閣僚や経済財政諮問会議の主要なメンバーに直接個々に都の見解を伝え、本質的な抜本的改革を促して、大方の同意は得てまいりました。
今後とも、真の地方分権改革につながる考え方を、東京試案として近々具体的に示しながら世論に訴え、国に働きかけていくつもりでございます。
質問2
先日発表された四月から六月期のGDP改定値は、設備投資がふえたことで上方修正されると考えられていましたが、実際には在庫投資の寄与度が下方修正されるなど、景気が上昇するばかりとは読み切れないようです。
都財政においても、法人二税の増収が伝えられていますが、消費動向は将来不安から上昇せず、また、石油高や金利の上昇など不安定要素が大きい中、第二次財政再建プランを着実に実行していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。
答弁2
▼知事
第二次財政再建推進プランについてでありますが、巨額の財源不足や隠れ借金が依然として存在しておりまして、基金残高も減少するなど、都財政の再建は道半ばにございます。景気の先行きを楽観視する一部の声に流され、ここで財政再建の手を緩めると、これまでの努力が水泡に帰してしまうことにもなりかねません。
中長期的にも、安定的に行政サービスを提供できる持続可能で強固な財政体質を確立することを目指して、財政構造改革の取り組みを進めていくことこそが重要であると思っております。短期的な景気動向にとらわれずに、さらに気持ちを引き締めて第二次財政再建推進プランを推進していくつもりでございます。
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■水道料金の改定 |
質問1
水道はすべての人のライフラインとして、事業運営には、本来の目的である公共の福祉の増進を図り、同時に効率的な事業運営が求められています。
水道料金は平成六年に改定して以来、十年間値上げを行わずに来ましたが、いいかえれば、需要構造の変化や都民ニーズにこたえる料金制度の見直しは、今日まで先送りされてきたともいえます。
水道会計は独立採算とはいいながら、収益収支のみならず、ダムなどの水源開発など資本的収支も見なければ全体像はわからず、水道の経営構造は、都民にはわかりにくいものとなっています。今後の情報提供のあり方が一層重要です。
公共事業やさまざまなサービスを一つの商品として価値を見きわめる、消費者の厳しい目が注がれていると、水道事業経営問題研究会の報告にも指摘がありますが、今回の料金体系の見直しを提案するに当たり、水道局としてアカウンタビリティーの確保をどう認識されているのか、見解を伺います。
答弁1
▼水道局長
アカウンタビリティーの確保についてでございますが、地方公営企業としての水道事業におきましては、アカウンタビリティーの確保が特に重要であると認識しており、経営に関する情報は、積極的かつわかりやすく公開していく必要があると考えております。
このため、定期的に経営計画を策定し、施設整備、長期目標を設定するなど、目標管理を徹底するとともに、事業評価を導入し、その成果を公表することなどで、経営内容を都民にわかりやすく説明してまいりました。
今回の計画案における料金体系の見直しにつきましても、パンフレットやホームページといった広報媒体を活用するなど、あらゆる機会を通して、これまで以上に積極的かつわかりやすい説明に努めてまいります。
質問2
また、都民にとっては、値下げは歓迎されるはずですが、財政不足や料金収入の減少がありながらの値下げはわかりにくいものです。
公営企業たるもの、内部努力を最大限行うことは当然ですが、サービスの質が落ちるようでは困ります。都民アンケートでも安全性を求める声も多いわけですが、水道、水質などの検査体制が簡素化、簡便化されるのではないかとの危惧も生まれています。見解を伺います。
答弁2
▼水道局長
水道事業のサービスの質についてでございますが、今回の料金改定は、事務事業の一層の効率化など、最大限の企業努力を実施することにより、料金水準を引き下げるものでございます。
今回の計画案におきましては、より信頼性の高い水道システムを構築していくとともに、都民ニーズに的確に対応した質の高いお客さまサービスを展開していくこととしており、そのために必要な事業を計上しております。
お話の水質に関しましても、検査体制の充実を図るなど、今後とも安全性の確保に万全を期してまいります。
質問3
水道料金の見直し案は、基本水量を十トンから五トンに引き下げ、逓増制料金体系は維持しつつ、最高単価を引き下げて逓増度も下げるなど、研究会報告を丁寧にトレースしており、納得のいくものです。
しかし、報告では、節水のインセンティブをより働かせるために、将来的には基本水量の全廃を提案しており、今後、環境への配慮を持った節水インセンティブの働く仕組みや、コストに見合った料金体系に向け検討すべきであると思いますが、見解を伺います。
答弁3
▼水道局長
今後の料金改定に向けた検討についてでございますが、基本水量は、水道の普及促進や公衆衛生の向上を目的として導入したものでありますが、今日では水道の普及率は一〇〇%に達しており、節水など環境への配慮や、コストに見合った負担の実現も社会的な要請となってきております。
基本水量のさらなる見直しなどにつきましては、都民生活に与える影響などさまざまな課題がありますことから、今回の見直し結果を十分に検証しつつ、今後慎重に対応してまいります。
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■水循環 |
質問1
都は、野川流域を対象地区とし、水循環再生事業として地下水涵養に最も効果的な雨水浸透ますの設置に補助を行っています。野川流域の住民や自治体からの強い要望を受け、平成二年度からの湧水保全モデル事業として、国分寺から始まり、順次対象区市を拡大してきました。
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例のもと、地下水の保全を図るため、雨水の地下浸透の方法などについて定めた東京都雨水浸透指針を平成十三年度に策定し、平成十四年度には、全国に先駆けて湧水を取り上げ、東京都湧水等の保護と回復に関する指針を策定しています。
また、翌平成十五年には、湧水に対する都民の関心を集め、その保護と回復を図るため、五十七カ所の湧水を東京の名湧水として選定しています。
都市の市街化により、著名な湧水までも開発の波にさらされるなど、湧水の消滅が進んでいる現状がある中で、都は、地下水の涵養、湧水量の増加による池や河川の浄化作用、河川のはんらん防止、水辺環境の向上など、大きく寄与する雨水浸透ます設置補助事業を推進してきており、これまでの湧水の保全にかかわる施策は高く評価できるものです。
湧水の川に下水処理水は入れるなと市民からの反対の声も上がっている下水道の野川処理区の処理場計画も、事業化が先送りとなりました。この野川流域において、清らかで豊かな水の流れを将来の世代に残すためには、雨水をより多く地下に浸透させて、地下水や湧水を守ることが重要です。
そのために、これら二つの指針の趣旨を踏まえ、都は地下水を保全するためにどのような対策に取り組んでいくのか伺います。
答弁1
▼環境局長
地下水の保全対策についてですが、都はこれまで、地下水のくみ上げ規制や雨水浸透施設の普及促進を行うとともに、東京の名湧水五十七選を選定し、この周知を図るなど、地下水の保全や湧水の保護と回復に努めてまいりました。
野川流域における地下水や湧水の保全は、流域全体での広域的な取り組みが必要であり、このため関係自治体と連絡会を設け、連携して雨水浸透を進めるための効果的な対策を検討していきます。
また、都民や事業者が地下水保全の重要性についての認識を深め、積極的に対策に取り組めますよう、雨水浸透の方法などに関する普及啓発に努めてまいります。
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■男女平等施策 |
質問1
都は、他県に先駆け、二〇〇〇年から男女平等条例を施行しています。その前文で、男女平等は前進してきているものの、なお一方の性に偏った影響を及ぼす制度や慣行が存在しているとして、平等はいまだ実現しておらず、直接的にも間接的にも差別が存在することを指摘しています。
男女雇用機会均等法の制定によって、あからさまな直接差別は解消したかに見えますが、一見、性にはかかわらないように見えても、実質的にどちらかの性に不利になる規則や制度の存在、すなわち間接差別が問題なのです。
都は、いまだ道半ばにある男女平等を目指し、東京都行動計画、チャンス&サポートを策定し、差別解消に向けた取り組みを推進中です。世界の流れは、ジェンダーの主流化であり、都の取り組みも、いわばジェンダー格差の是正の取り組みであるといえます。
都教委による男女混合名簿の推進もその一つであり、行動計画では、出席簿において男女に順序をつけるような取り扱いをしないため、都立学校において混合名簿の全校実施を推進するとしています。
さて、八月二十六日の都教委の男女混合名簿に関する決定については、男女平等条例や行動計画とは相入れないものがあるように思われます。東京都の今後の男女平等及び男女混合名簿の推進について、取り組みの姿勢を伺います。
答弁1
▼生活文化局長
男女平等及び男女混合名簿についてでございますが、今回の教育庁の通知は、男らしさや女らしさをすべて否定するような誤った考え方としてのジェンダーフリーに基づく男女混合名簿を作成することがないよう、都立学校長に配慮することを求めたものでございます。
したがって、行動計画の策定などに係る東京都の男女平等参画の考え方と基本的に矛盾するものではないと考えております。
今後も、男女平等参画基本条例に基づき、都民、事業者と連携、協力し、男女平等参画施策を推進してまいります。
質問2
また、都教委が都立学校長にあてた混合名簿に関する通知には、学校において混乱を招いているとの記述がありますが、具体的には、どの学校で、どのような混乱が生じているのか伺います。
答弁2
▼教育長
男女混合名簿における学校での混乱の事例についてですが、都教育委員会としましては、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具現化を図るため男女平等教育を推進してきたところでございます。
しかしながら、一部の学校では、身体計測や内科検診を男女混合名簿に基づき男女混合で行ったり、高学年の組体操を男女混合で行ったりする指導がございまして、これらの指導は、体に変化が生じている時期の児童に対して配慮に欠けたものであり、児童が苦痛に感じているとの苦情が保護者等から寄せられております。
また、一部の小中学校では、出席簿が学級担任の判断によって男女混合名簿であったり男女別名簿であったり、学校としての方針が統一されていないことから、学校全体で行う教育活動等に支障が生じている例もございます。
こうしたことは、校長の学校運営に支障を来すとともに、保護者や都民からの信頼を損ねる問題でもございますので、関係の区市町村教育委員会と連携を図りまして、指導助言等を行ってきたところでございます。
都教育委員会としましては、これまで、望ましい男女平等参画社会の実現に向けた取り組みの一環として、男女混合名簿の導入を推進してきたところでございますが、今後とも外部からの圧力に影響されることなく、男女平等教育が適正に行われるよう、各学校を指導してまいります。
質問3
一九九九年に改正男女雇用機会均等法が施行され、それまで努力義務だった募集、採用、配置、昇進などにおける女性への差別が禁止されました。
しかし、昨年、ニューヨークで開催された国連女性差別撤廃委員会でも、日本は、労働市場におけるポジティブ・アクションの推進や、コース別雇用管理に基づく事実上の間接差別の是正を求める勧告を受けています。
また、ことし六月、厚生労働省が発表した男女雇用機会均等政策研究会報告は、ポジティブ・アクションについては企業の理解は進みつつあるが、なお大きな広がりを持った動きには至っていないと指摘しています。
男女間の明白な差別的取り扱いは払拭されつつあるものの、このように事実上の格差が雇用の場に依然として残っているのです。
こうしたことから、都も二〇〇三年に、企業が取り組む際の指針として、ポジティブ・アクション実践プログラムを作成するなど、普及啓発に努めてきました。こうした取り組みに対し、もう一歩踏み込んだ対応が必要であると考え、今後ポジティブ・アクションを効果的に普及するため、どのような取り組みを行っていくのか伺います。
答弁3
▼産業労働局長
ポジティブ・アクションについてでございますが、ポジティブ・アクションの普及啓発を効果的に進めていくためには、企業の意識や取り組み状況を的確に把握し、問題点を分析していくことが重要でございます。
このため、今年度、企業における女性の活躍とポジティブ・アクションに関する調査を実施し、今後の普及啓発に活用していく予定でございます。
また、新たに、企業間の意見交換や情報収集を行うポジティブ・アクション・ネットワーク会議を開催するなど、引き続き普及啓発に積極的に取り組んでまいります。
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■公立学校の教員不足 |
質問1
今年度、都内公立中学校の教員が九月現在で約五十人も不足し、学校は臨時採用の教員で対応せざるを得ず、保護者の間から不安の声が上がっています。
東京都では、教員が昨年より四百人多く採用されたにもかかわらず、教員の不足は隠せない事実です。一般退職や年度途中の退職がふえたためといわれますが、子どもの学びを保障する上での環境整備は都教委の果たすべき責務です。こうした事態を来年度避けるためには、どのような対応をされるのか伺います。
答弁1
▼教育長
来年度の教員採用に向けた対応でございますが、平成十六年度は、お話のとおり、年度途中における退職者数が想定を上回り、新規採用者で補充できないケースが一部生じたため、区市町村教育委員会とも連携して非常勤講師等を充てるなど、教育活動に支障が生じないよう適切に対応してきたところでございます。
こうした状況を踏まえまして、平成十七年度教員採用におきましては、児童生徒数の推移、年度途中の退職者の数等を十分に精査をしまして、必要数の確保に努めてまいります。
質問2
さらに五年後、団塊の世代が定年退職を迎える時期には、教員の数は激減します。
都教委は今春、東京教師養成塾を設置し、小学校教員を志望する大学四年生約百人を集め、一年間の実習や講義プログラムで指導力を磨いた塾生には特別選考で採用することや、都内公立校の五年以上の正規教員経験者の採用に特例を設けています。
しかし、安定した教員の確保のためには、子どもたちを取り巻く状況の変化や、学校運営をめぐり教員に求められるものも多様化していること、また、何よりも都教委の管理体制の強化など、教員の置かれている現状について、都教委みずからが厳しく分析を行わなければなりません。教員が働きやすい学校運営が行われなければ、教員確保について根本的な問題解決にはつながらないと考えます。
今後、少人数指導の定着や特別支援教育の推進には、専門性の高い教員の配置が求められることからも、都の教育行政そのもののあり方を問い直すときと考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼教育長
教員の確保等についてでございますが、都の教育改革を着実に推進していくためには、高い志を持ち実践力にすぐれた教員の確保と育成が必要と考えております。このため、人物評価の重視など選考方法の改善を図り、人材の確保に努めますとともに、採用後も教員の資質、能力の向上を図るために、教員のライフステージに応じた研修を充実させるなど、人材の育成に力を入れております。
また、学校の経営基盤を強化するために、主幹制度の導入や異動要綱の見直しなど、さまざまな施策を展開しているところでございまして、都教育委員会としましては、今後とも教育に対する都民の信頼にこたえるために、こうした施策を積極的に展開し、すぐれた教員の確保に努めてまいります。
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■個人情報保護 |
質問1
情報処理技術や通信技術の進展によって、情報の大量自動処理や多面的な利用が可能となり、公的部門のみならず、民間部門においても、個人情報が大量に収集、データ化され、利用されています。生活の利便を増すのに役立つ反面、個人情報の取り扱いに適正を欠いた場合は、プライバシーの侵害ばかりか、人権侵害につながるおそれがあります。
国においては、二〇〇三年五月、個人情報の保護に関する法律を初め関連五法が成立し、個人情報保護制度が整備されました。これを受け、七月、東京都情報公開・個人情報保護審議会は、個人情報保護制度の新たなあり方についての提言を発表しました。
今回の提言では、自己に関する個人情報の開示及び訂正を求める請求権に加え、利用停止請求権を設けることとされています。
ただし、開示決定された情報だけが対象であり、種々の状況から見て、個人情報が利用されていると本人が判断しても、文書不存在といわれることも懸念されます。都民のプライバシーを積極的に保護し、基本的人権の擁護を図る上の権利保障は不十分であると考えます。
また、個人情報の保護をさらに徹底するため、公安委員会が実施機関に加えられていますが、警察責務の遂行に支障が生じることのないよう、犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持にかかわる事務については、例外規定を定める必要があるとの提言です。犯罪の予防といえば何でも例外規定になるとも受けとめられます。条例改正には、この点において公安委員会と十分な話し合いを持つことが必要です。開示、収集の制限、取扱事務の届け出、公表がその対象ですが、事務の届け出については、情報の取扱の透明性を確保するために、できるだけ例外規定を排除する視点を持つべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼生活文化局長
東京都公安委員会、警視庁が、個人情報保護制度の対象となる実施機関となった場合の事務の届け出でございますが、審議会答申では、都公安委員会、警視庁が取り扱う個人情報についても、その存在を広く都民に知らせる必要があることは他の事務と変わりないとしており、遺失物に関する事務、運転免許証の発給に関する事務等は、都の一般的な事務と同様に扱われることが適当としております。
一方、犯罪の予防、捜査等公共の安全と秩序の維持にかかわる事務については、秘匿性が強く要求されるものであるので、届け出、公表の対象外とするのが適当としております。
今後、東京都としては、答申の趣旨を踏まえ、検討を進めてまいります。
質問2
オンライン結合については、高度情報通信社会における都民の利便性や、行政の効率化に結びつくものではありますが、通信回線等からのアクセスによる情報の不当な改ざん、破壊、漏えいといった事故が発生する危険性も生じます。
オンライン処理については、プライバシー保護のために十分な安全対策が求められています。現行条例では、事務の執行上必要かつ適切と認められ、必要な保護措置が講じられている場合を除き、原則外部提供してはならない、とした点について、国は、原則提供してはならない、を削除するよう求めているようですが、条例改正に当たっては、これまでの都の考えを遵守すべきと考えます。見解を伺います。
答弁2
▼生活文化局長
個人情報のオンライン結合についてでございますが、行政機関等相互で事務の必要性に基づきオンラインで情報提供を行うことがありますが、現行条例は、事務の執行上必要かつ適切と認められ、個人情報について必要な保護措置が講じられている場合を除きオンライン結合による個人情報の外部提供をしてはならない旨、規定されております。
審議会答申におきましても、この規定を維持すべきとしており、今後もオンライン結合に関するこれらの制限を維持し、IT社会における都民の利便性の向上や行政の効率化を達成しつつ、都民の個人情報の保護をより一層図ってまいります。
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■遺伝子組みかえ作物 |
質問1
遺伝子組みかえ作物については、アメリカやオーストラリアなどの自治体で栽培規制をするなど、世界的に動きが活発になっています。ドイツ議会では、非遺伝子組みかえ(非GM)食品の生産を保護する法案が採択されています。日本でも、北海道や岩手県に続き、滋賀県でも、遺伝子組みかえ作物に対する栽培指針が策定されました。いずれも、消費者や農業者などの不安にこたえてのことです。
都は、遺伝子組みかえ作物について、多くの都民や農業者の不安にこたえるため、年内に検討組織を設け、検討するとしており、期待するところです。この検討委員会では、東京産農産物に対する風評被害などに関する混乱を未然に防ぐ対策について、多くの農業者や都民、消費者の参加で進めるべきであると考えますが、検討方向について伺います。
答弁1
▼産業労働局長
遺伝子組みかえ作物の栽培に関する検討委員会についてでございますが、現在、検討委員会の設置に向けて準備をしているところでございまして、学識経験者、農業者、消費者等のさまざまな立場からの幅広い参加により論議を深めてまいりたいと考えております。
この検討委員会では、国の制度の問題点を明らかにし、栽培予定者からの事前の情報提供や、近隣住民等への説明を求めることなど、都の指導指針のあり方などについて検討してまいります。
質問2
この四月に政府広報室が、科学技術と社会に関する世論調査の結果を発表しました。科学技術の発展によりどの分野に不安を感じるかと聞いたところ、遺伝子組みかえ食品などの安全性を挙げた人の割合が約六〇%と最も高くなっています。科学技術に関する政策の形成には、研究者や行政官といった専門家だけでなく、国民自身の参画がより一層必要となってくると思う人の割合は約七二%、これに対して、科学技術について知りたいことを知る機会や情報を提供してくれるところは十分あると思う人の割合は、約一八%という低さです。遺伝子組みかえ農作物に対する市民の関心に的確にこたえていくことが重要です。
このため、農林水産省では、遺伝子組みかえ作物に関する市民からの要請、提案にこたえていくための取り組みとして、市民会議を開催しています。西東京市の東大農場での実験栽培に関して、東大側からの説明が都民の理解を得られなかった経緯を踏まえ、都においては都民との相互理解の醸成や信頼関係の構築を図るため、リスクコミュニケーションのあり方について重点を置いた取り組みが重要であると考えます。都としても今後、遺伝子組みかえ技術のあり方をめぐる社会的合意形成に向けた市民対話や市民参加のあり方、情報提供のあり方、相互理解のための場づくり等、さまざまな手法を試みていくべきであると考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
遺伝子組みかえ技術に対する相互理解のための場づくりなどについてでございますが、専門家が遺伝子組みかえに関する技術開発等を行う上で、その技術に関する情報を積極的に提供するとともに、都民の抱く不安や関心について理解することが重要でございます。現在準備を進めている検討委員会では、意見交換の場づくり等も指導指針策定上の課題としていく予定でございます。今後とも、相互理解を進めるためのさまざまな手法について考えてまいります。
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■再質問 |
質問1
混合名簿による混乱は一部の小中学校であったと答弁されました。つまり都立学校では混乱はなかったと理解しますが、よろしいでしょうか。お答えください。
答弁1
▼教育長
今答弁しましたのは、象徴的に小中学校の話をしましたが、高等学校でもあります。
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