福祉切り捨てをやめ拡充を 商調法に基づく申請に対応を |
清水 ひで子(日本共産党) |
■高齢者福祉 |
石原都政の五年間に、地方自治体が第一の課題として取り組むべき福祉が大きく後退したことを、我が党は厳しく指摘してきました。医療費助成など経済給付的事業の切り下げや廃止で二百八十七億円の予算が削減され、延べ百万人を超える高齢者や障害者に負担増をもたらしました。補助金の削減では、国民健康保険への補助、特別養護老人ホームの運営費、整備費、私立保育園などのサービス推進費補助だけでも五百三十億円が削減されました。その上、第二次財政再建推進プランで、福祉を初め千二百億円もの補助金削減が計画されています。
この五年間に廃止された都立施設は百を超え、その中で都立病院、保健所など福祉分野が三十五施設に及びます。さらに、今後、第二次都庁改革アクションプランにより、福祉分野だけで三十一もの廃止が計画されています。
その一方、知事が充実しますと約束してきた基盤整備などの状況はどうでしょうか。グループホームなど前進しているものは、福祉全体のほんの一部分にすぎません。例えば、訪問看護の目標達成率はわずか三〇%、訪問リハビリ二〇%、ケアハウス一八%にすぎません。老人保健施設やショートステイは依然として全国最低水準です。ゼロ歳、一歳の保育所待機児は今年度中に解消する計画でしたが、ことし四月で二千三百人を超えています。延長保育をふやす計画は、目標達成率一二%、一時保育は一八%、子ども家庭支援センターの整備四四%という現状です。
要するに、切る方はしっかり切ったが、充実する方は大きく立ちおくれており、その結果、この五年間に都の社会福祉関係予算は六百六十一億円もの大幅削減となったのです。高齢化、少子化対策にいよいよ本腰を入れなければならないときに、本当に異常なことです。だからこそ、全国で福祉予算のこんな大幅削減をしたところは、東京のほか、ただの一つもありません。石原都政のもとで東京の福祉は冬の時代に入ってしまったのです。
知事、今の都民生活の現状をしっかり見てください。東京都の都民の暮らし向き調査で見ても、国の医療改悪の影響で都民の医療費負担は、調査公表以来、最高額を記録しています。中でも高齢者世帯の医療費負担は大幅にふえ、毎月一万八千円もかかっています。世界一物価が高い東京で、都民の老齢基礎年金受給額は全国十八位で、平均わずか五万三千円にすぎない中での負担です。
また、不況、リストラや社会保障改悪により、この数年間で所得格差が急速に拡大し不平等が広がっており、低所得者層だけでなく、中間所得層の生活も厳しくなり、貯蓄率が急速に低下しています。
質問1
こういう状態だからこそ、私は、東京都政が住民の福祉の増進を第一の使命とする地方自治体の本来のあり方に立ち返り、福祉予算の削減から福祉拡充の方向に転換することが必要だと考えます。まず、知事の基本的見解を伺います。
答弁1
▼知事
福祉予算を転換せよとのことでありますが、これまで何度も何度も何度も同じことを申し上げてまいりましたけれども、一向にご理解いただけないようでありますが、我々が目指すべき福祉は、だれもが安心して快適に暮らせる東京の実現でありまして、そのために、狭義の福祉だけではなく、治安、医療、環境、雇用、インフラ整備など、さまざまな施策を複合的に実施する必要があります。
私はこれまで、こうした住民福祉の増進を都政の第一の使命と考え予算編成に臨み、施策の充実を図ってまいりました。
また、福祉の分野における一連の改革は、長期的、歴史的視点に立って、ばらまき的な現金給付や入所施設中心の画一的なサービスを思い切って見直し、利用者本位の福祉の実現を目指したものであります。こうした流れは、都民福祉の充実に資するものとして、既に都民の理解を十分に得ていると確信しております。
福祉は冬の時代に入ったといわれましたが、そういうことを一向に理解できない共産党こそが冬の時代に入ったのではないでしょうか。
質問2
転換、充実すべき第一の課題は高齢者福祉対策です。
我が党は、高齢者の介護状況調査を進めていますが、特別養護老人ホームの不足は深刻です。ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多く、住宅事情が悪いという大都市特有の条件のもとで、東京における施設整備の重要性は特別のものがあります。七十六歳の妻を八十一歳の夫が介護している、あるいは、痴呆がひどくなった夫を胃がんの手術をした妻が介護しているなどのケースもあります。
二年前に都が行った調査で、特養の入所待機者は二万五千人に及ぶことが明らかになったにもかかわらず、石原都政のもとで特養の整備は抑制されてきたため、高齢者人口に対する定員の割合は介護保険前より低下しています。
都として特養の整備目標を引き上げ、そのための十分な予算を確保することが必要です。また、痴呆性高齢者グループホームの緊急整備を促進するとともに、通えて、泊まれて、必要なら住むことができる小規模・多機能型施設の整備に都として踏み出すことを求めるものです。見解を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
特養への支援についてでございますけれども、ケアリビングや在宅サービスの充実を、特別養護老人ホームを含めまして進めているところでございます。施設での介護が真に必要な高齢者に対応できるよう、適正な水準の介護保険施設の整備をこれまでも進めてまいりましたが、この支援につきましては、引き続き適切に支援等を行ってまいります。
次に、特別養護老人ホームについてでありますが、現在の整備目標は、区市町村と十分な調整を図った上で、平成十四年度に策定した第二期介護保険事業支援計画において設定したものでありまして、今後とも、同計画に基づき着実に整備に努めてまいります。
次に、痴呆性高齢者グループホームの整備促進等についてでありますが、痴呆性高齢者グループホームの整備については、今年度の都の重点事業として痴呆性高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を実施するとともに、グループホーム設置促進事業本部を立ち上げるなど、積極的に整備促進を図っています。
また、小規模・多機能施設については、現在、国において、その整備費を国から区市町村へ直接交付する制度の対象とすることを検討中と聞いております。
質問3
介護保険の負担軽減も急務です。必要ないといっていた東京都もやっと態度を変え、国に対し、保険料の第二段階の人のうち所得が低い人について軽減する仕組みを導入することを提言しました。しかし、都独自の保険料軽減については、全国的に統一した制度の中で対応すべきだといっています。口を開けば全国画一的な福祉制度を批判する東京都が、どうしてこの問題では全国画一の制度にこだわるのか理解できません。
改めて伺います。保険料第二段階には、現行の保険料では苦しい人がいることを都は認めているのですから、国の対応を待つのでなく、都独自の保険料軽減に踏み切るべきではありませんか、お答えください。
利用料についても、都は特に暮らしが困難な人に対する軽減措置を拡充し、恒久的な仕組みにするよう国に提案するに至りました。だとしたら、都が行っている生計困難者に対する利用者負担軽減措置は、今年度で終了するのではなく、来年度以降も継続し、さらに拡充することを求めるものです。
答弁3
▼福祉保健局長
介護保険の保険料軽減についてでありますが、低所得者に対する保険料の取り扱いは、社会保険としての介護保険制度の根幹にかかわるもので、全国的に統一した仕組みの中で対応すべきものであり、都独自の軽減措置を講じるのは適当ではないと考えます。
次に、介護保険の利用者負担軽減措置についてでありますが、都では、国の特別対策をもとに、対象サービスを四種類から九種類に拡大するなど、都独自の支援策を行ってまいりました。
来年度以降の事業のあり方については、現在、国において進められている介護保険制度改正の動向を見据え対応してまいります。
質問4
知事は、国の社会保障が充実したとか、所得格差の是正や所得保障は国の責任だといって、経済給付的事業の切り下げを進めましたが、医療も介護も年金も、国は負担増を押しつけるばかりです。高齢者への経済的支援はますます重要な自治体の責務となっています。我が党の介護状況調査の中でも、多くの人から、老人福祉手当を再開してほしい、あるいは何らかの経済的支援が必要だとの切実な訴えが寄せられました。少なくとも要介護四、五の手厚い介護が必要で、利用料限度額を超える自己負担ができない人や、月十五万円に及ぶ老人病院の差額ベッド料やお世話料などの入院費用の負担に苦しむ人に対し、何らかの経済的支援が必要です。知事の見解を伺います。
答弁4
▼福祉保健局長
高齢者への経済的支援についてでありますが、老人福祉手当を初めとする一連の福祉施策の見直しは、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものであり、再検討する考えはございません。
質問5
元気な高齢者にとって最も身近な都の施策であるシルバーパスは、かつては七十歳以上の高齢者の七割が利用していましたが、全面有料化により、今では五割前後の人しか利用できなくなりました。私たちは無料に戻すべきだと考えていますが、一歩一歩改善することも必要です。
今、大きな負担感があるのは、少しでも住民税を課税されたら千円から二万五百十円にはね上がることです。せめて五千円や一万円のパスがあればいいのに、一遍に二万五百十円を払うのは苦しい、分割で払えないかなどの切実な声が寄せられています。少なくともこれくらいの声にはこたえていただきたいと思いますが、答弁を求めます。
答弁5
▼福祉保健局長
シルバーパスについてでありますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものであります。
現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、現行の仕組みは、パス本来の目的に十分沿っているものと考えます。
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■子育て支援 |
質問1
転換、充実すべき第二の課題は少子化対策です。
東京都の次世代育成支援行動計画の策定が始まっていますが、合計特殊出生率がついに一を割り込み、少子化が全国で一番深刻な東京こそ、最も本格的対応が求められています。保育の予算を削って子育て支援や少子化対策に回すというようなやり方では問題の解決はあり得ません。次世代育成支援、少子化対策の抜本的拡充は、福祉保健局だけでなく全庁的課題であり、少子化対策に必要な財源は知事が責任を持って確保するという立場に立つことが必要です。知事の答弁を求めます。
答弁1
▼知事
少子化対策などに必要な財源の確保についてでありますが、いわれるまでもなく、少子化対策は、青少年の健全育成や治安対策などと同じく、組織を超えて横断的、総合的にとるべき課題であります。
都はこれまでも、大都市特有の保育ニーズを踏まえた都独特の認証保育所を初め、子ども家庭支援センターや小児救急医療体制の整備など、安心して子どもを産み育てられる環境の整備を積極的に推進してまいりました。
今後とも、長期的、歴史的視点に立って見直すべき事業や組織は徹底的に見直し、真に必要な施策に財源を集中的に投入してまいります。
質問2
仕事と子育ての両立支援と、子どもの豊かな成長を進めるために、保育の拡充は少子化対策のかなめをなす課題です。ところが、石原都政のもとで、ことしから私立保育園のサービス推進費補助の改悪、削減が実施されたのを初め、保育の現場にはあらしが吹き荒れています。
東社協保育部会がサービス推進費補助について六百八の施設を対象に調査を行っていますが、回答を寄せた三百二十七施設のうち削減されたのが二百三十七施設、そのうち六十施設は年間四百万円を超える大幅削減です。我が党も影響調査を進めていますが、ことしは職員の給与、賞与の削減でしのいだけれど、来年も再来年も削減が続けば運営の見通しが立たない、職員集団の力や質は低下せざるを得ない、貧弱な国基準の運営費では都民の保育要求にはこたえられないことをわかってほしいなどの切実な訴えが寄せられています。
その上、都は、今後、公立、私立保育園の都加算補助のあり方について検討していくとしています。ゼロ歳児保育の保健師配置や開所時間延長のための保育士の増配置、アレルギー対応など給食を充実するための調理師加配などの都加算補助の削減は絶対に許されません。
しかも、今国が進めている国庫補助負担金制度見直しで、公立保育園に続き私立保育園運営費補助の一般財源化が行われようとしています。国の三位一体改革で財源が削られ、その上、保育の運営費補助を一般財源化すれば、保育水準の低下に直結することは明らかです。そうならないよう国に働きかけると同時に、都の負担分を堅持すべきと考えますが、見解を伺います。
サービス推進費補助の削減はやめて、職員の経験年数をきちんと評価した補助制度にすることや、都加算補助は削減ではなく拡充するなど、認可保育園への支援を強めることこそ必要です。そして、都として認可保育園の整備目標を明らかにした計画をつくり、増設を進めることを求めるものです。
答弁2
▼福祉保健局長
私立保育所の運営費負担金の一般財源化についてでありますが、現段階では、この問題に関して、国は何ら考え方を示しておりません。したがって、仮定の話を前提に議論しても余り意味がありませんが、地方六団体では、保育所の運営費負担金を廃止して税源移譲すれば、地方の裁量度を高め、自主性の拡大につながるものであるとの見解を取りまとめています。
なお、一般財源化と保育水準の問題は別の次元の問題であり、保育水準の低下に直接つながるというご主張は理解できないものであります。
また、一般財源化とは、事業費の全額が何らかの形で財源措置されるものであり、仮に一般財源化されても、財政運営のルールからいって、現行の都の負担分を堅持する合理的な理由はないと考えます。
次に、保育所への補助についてでありますが、民間社会福祉施設サービス推進費補助は、職員の平均経験年数に基づくこれまでの補助が、必ずしも質の高い保育サービスの提供につながっているとはいえないことから、都として望ましいサービス水準を確保するとともに、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われる仕組みとして、施設代表者との合意を踏まえ再構築したものであります。
また、保育所運営費補助については、さきの児童福祉審議会の意見具申を踏まえ、今後、都として補助のあり方について検討してまいります。
次に、認可保育所の整備についてでありますが、認可保育所は、保育の実施主体である区市町村が、地域の保育需要を的確に把握、分析し、既存の保育所の受け入れ枠の拡大などの対策を講じた上で、なお不足が生じ、必要があると判断した場合に整備するものであります。
都としては、こうした区市町村の施設整備の取り組みに対し、必要な予算措置を行うなど、これまでも的確な対応を図ってまいりました。
なお、改正された児童福祉法の規定に基づきまして、保育サービスの供給体制の確保に関する計画を、都としても今後策定していきます。
質問3
学童クラブの不足も深刻で、希望して入れない子どもが千六百人もいます。整備計画をつくり、増設を進めることが急務です。お答えください。
答弁3
▼福祉保健局長
学童クラブについてでありますが、学童クラブは、定員設定などに関する厳格な定めがなく、あくまでも事業の実施主体である区市町村が地域の事情を的確に把握し、整備、運営を行っています。
都ではこれまで、福祉改革推進事業の活用などにより学童クラブの設置促進に努めてまいりました。その結果、本年三月末の設置状況は千三百十一カ所となっており、公立小学校数に対する設置率は全国一の九七%であります。
質問4
次に、私立幼稚園の保護者に対する支援です。
私立幼稚園への依存率は、全国的には七九%に対し、東京は九一%に及びます。ほとんど私立幼稚園しか行くところがないのが実態ですが、年間の学費は平均四十二万円。幼稚園ですから共働きではない若い世帯が、結婚、出産に費用がかかった上、子どもが三歳からの三年間で百二十六万円もの学費負担というのは深刻な問題です。一方、都民の暮らし向き調査によると、三十代前半の勤労世帯の実収入は、この三年間に月額十万円も減少しています。私立幼稚園保護者負担軽減補助の充実を求めるものです。
また、とりわけ経営が厳しい個人立幼稚園に対する経常費助成は拡充することが必要です。お答えください。
答弁4
▼生活文化局長
私立幼稚園児保護者の負担軽減補助につきましては、所得に応じた負担の適正化を図りながら、預かり保育の充実など施策の展開に努めてまいりました。
また、個人立等幼稚園については、国が補助対象外としている中で、都は単独補助を実施し、学校法人化をより一層促進する観点から、事業の見直しにも取り組んでまいりました。
今後とも、社会経済状況の変化に対応しつつ、適切に対応してまいります。
質問5
以上のほか、乳幼児医療費助成の所得制限をなくすとともに、小中学生の医療費助成に踏み出すこと、企業における育児休業制度の充実と利用しやすい環境づくり、子育て中は家族そろって食事ができるようにするなど労働条件を整えること、子育て世帯のための安くて質のよい住宅の確保などを都の次世代育成支援行動計画に具体化する必要があると考えますが、答弁を求めるものです。
答弁5
▼福祉保健局長
次世代育成支援行動計画についてでありますが、東京の未来を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは社会全体の課題であります。
このような考え方から策定する都の行動計画には、施策の優先度や効果などを十分考慮しながら、すべての子育て家庭を視野に入れた子育て支援策を盛り込む方針であります。
なお、ご提案いただいた施策については、ただいまの観点から申し上げれば、実現可能性が薄いものが多いと思います。
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■都市再生問題 |
石原知事のこの五年間は、都市再生の名のもとに、東京のこれまでの都市政策を覆し、東京の環境や都財政をさらに悪化させる方向に踏み出した五年でもありました。
知事は、就任早々に東京構想二〇〇〇を発表し、都心を中心とした地域内の開発を打ち出し、続いて都内七カ所の都市再生緊急整備地域を指定することで、かつてない規模の再開発に踏み出しました。そして、都市再生を推進するための規制緩和、すなわち環境影響評価条例改悪を初め、大規模建築物の容積や日影などの規制緩和を相次いで行ってきました。
こうしたもとで、この五年間に、高さ百メートル以上の業務・商業ビルだけでも、四十六地区、延べ床面積およそ五百七ヘクタールという巨大な超高層ビル群が建設され、東京の環境に大きな影響を及ぼし、このため東京の環境は、二酸化炭素の増大を初め、ヒートアイランド現象や自動車排気ガス公害などによって、かつてない深刻な事態を迎えようとしているのです。
先日、我が党は、丸の内、汐留、虎ノ門・新橋間、さらには海の上から、都心と臨海部の開発の現状をつぶさに視察してきました。これらの地区では、容積率一三〇〇%という巨大ビルや高さ百五十メートルを超える超高層ビルが相次いで建設されており、海の上から見ると、これが品川から汐留、丸の内にかけて、巨大ビルによる壁が海風をふさぐ形で建っているのがよくわかりました。
こうしたビル開発が、既に東京の環境に悪影響を与えていることを、ことしの異常気象が示しました。とりわけ、ことしの夏、東京では四十二・七度という観測史上最高温度を記録、また、真夏日はこれも過去最高の六十八日を記録するというヒートアイランド現象に見舞われました。そして、多くの専門家が、これらの東京の異常気象の原因として、巨大開発、とりわけ海風をふさぐ形で臨海部に沿って建設されているビル群にあることを指摘しています。
ところが、石原知事は、記者会見で都の責任を問われて、戦後六十年間、都市計画なしに来た、都市が非常に悪化していくという予測はだれも立て得なかったという無責任な発言を行いました。しかし、東京には本当に都市計画がなく、環境悪化の予測は行われてこなかったのでしょうか。とんでもありません。
そもそも東京都も国も、曲がりなりにも、東京、とりわけ都心に経済や人口が集中することの弊害、例えば公害の発生、住宅の不足、交通渋滞などの弊害を認め、その弊害を回避するために、集中を是正する政策、すなわち多極分散型の国土政策、多心型都市づくりの政策をとってきたのではありませんか。
質問1
これに対し石原知事は、集中は必要論の立場から、これまでの都市政策を転換し、丸の内地区や汐留地区などの開発を促進する都心集中政策を打ち出したのであり、その責任は重大です。
例えば、三菱地所が中心となった丸の内の再開発計画は、かつてマンハッタン計画といわれたものですが、都心一極集中の弊害が明らかになる中で、計画が凍結されていたものです。これを石原知事が都市再生の目玉に据え、緊急整備地域に指定し、至れり尽くせりのサービスをすることで息を吹き返させたのです。
しかも、都は、丸の内地区の開発を促進するために、全国で初めて特例容積率制度の適用地域に指定し、容積率の緩和と東京駅などの未利用容積率の転用も可能にすることで、一三〇〇%などという超高層ビルの建設を可能としてあげたのです。
また、環境アセス条例を、ビルの高さ百八十メートル、面積十五万平方メートルまでに緩和することで、丸の内地区では既にアセス手続に入っていた東京ビルディング、丸の内北口開発、丸の内二丁目一街区ビルが自動的にアセス対象外となり、また別の建物では、ビルの高さを一メートル下げただけで、アセスの適用を逃れて百七十九メートルの超高層ビルを建てることができるようになりました。
知事は、ビルを乱立させてきた責任はみんなの責任だといわれましたが、都市再生と規制緩和でビル建設をあおっているのは知事自身なのではありませんか。知事自身の責任についてどう認識しているのか、答弁を求めます。
答弁1
▼知事
都市再生におけるビルの建設についてでありますが、政経不可分の文明論からいえば、日本の首都東京のように、行政、立法、経済の中枢が隣接して集積しているという機能的な都市は、余りほかにございません。
丸の内周辺には経済活動の合理性から高層ビルが集中しているのであります。それは日本全体の機能にとっても大変よいことだと思います。
今後とも、この地域の機能を維持し、大都市東京の国際競争力を高めていくためには、老朽化したオフィスビルの新陳代謝を図る都市開発が不可欠と思います。
質問2
さらに重大なことは、知事の都市再生がこれから本格化するということです。
我が党の試算では、今後開発が計画されている地域は、緊急整備地域を初め七十七地区のビルで約八百二十ヘクタールとなることが予想されます。そうなったら、ビル自体と新たに発生する自動車交通によって二酸化炭素や排熱が大幅に増大し、今でさえ四十度を超えるヒートアイランド現象が激化し、灼熱化することは間違いありません。だからこそ、今、都市づくりのあり方を抜本的に見直し、転換することが緊急課題となっています。
私は何より、今後建設が予定されているビル開発を都として掌握し、環境や住まいなどへの影響について総合的に調査、公表することによって、都民とともに今後の開発がどうあるべきかを検討することが必要と考えますが、見解を伺います。
また、東京一極集中、都心一極集中の是正の立場に立ち返り、欧米で取り入れられている都市の開発をコントロールする成長管理や環境を重視した修復型のまちづくりの仕組みを都市計画に取り入れることが急がれていると考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼都市整備局長
今後のビル開発について総合的に検討することの必要性についてでございますが、都市間の国際的な競争が激化する中、おくれている道路などの都市基盤の整備とあわせ、優良な民間プロジェクトを推進する都市再生の取り組みを強力に進めていくことが必要でございます。
プロジェクトの具体化に当たっては、これまでも条例に基づく環境影響評価を実施してきております。
また、特定街区や総合設計制度などに基づく都市開発につきましても、計画策定時に、環境に与える影響などについて調査、検討を行っており、ご提案のような検討は必要ないものと考えております。
次に、都市の成長管理や修復型のまちづくりについてでございますが、大都市東京の再生にとって今必要なことは、首都東京のポテンシャルを引き出し、その活力や国際競争力を回復させることであります。
このため、都は、交通ネットワーク、とりわけ三環状道路など広域的交通基盤を強化するとともに、業務、居住、産業、文化など、多様な機能を地域や拠点が分担し合う環状メガロポリス構造の構築を目指しております。
このことが、バランスのとれた活力ある東京圏の形成のみならず、交通渋滞の解消や環境負荷の軽減、ひいては、環境と共生した都市の実現にもつながると考えております。
質問3
東京のヒートアイランド対策として専門家が共通して取り上げているのは海風の利用です。ある学者は、熱をうまく捨てるのは河川か風、自然の力しかありませんと述べ、大手町で幅一キロメートルの空間に都心より五度涼しい海風が吹くとすれば、その冷却能力は百キロワットに匹敵するとも述べています。
知事は、風の道を今ごろいい出しているなどといっていますが、実は研究者は二十年も前から指摘しており、福岡県では既に風の道に着目した施策を実施しています。
そこでまず、少なくとも海風をふさぐような臨海部でのビル群の開発を抑制することを提案するものです。
また、開発に当たっては、冷房排熱を空中以外に排出する空調システム、都市排熱処理システムを附置させること。エネルギーについても、再生可能エネルギーや風力、太陽熱、小型水力などを開発、普及させることを積極的に進めるよう提案するものです。
クールスポットの確保も重要です。全国で最低水準の都市公園の増設、ビルの屋上や壁面、さらには公開空地の緑化、学校敷地の芝生化、さらには暗渠化されている河川の復元などに全力を尽くすことを求めるものですが、どうか。
答弁3
▼都市整備局長
海風をふさぐようなビル開発を抑制せよとの提案についてでございますが、大都市東京の魅力や活力を高めていくためには、東京臨海地域の持つポテンシャルを生かし、今後とも優良な都市開発を推進していく必要がございます。
風の通り道については、都の基本的な計画である東京ベイエリア21や東京都環境基本計画において、建物や緑の計画的な配置などにより確保することとしております。
臨海地域における開発においても、このような考え方に基づき、風の通り道の確保について、可能な限り配慮してまいります。
▼環境局長
都市排熱処理システムや再生可能エネルギーの普及についてでございます。
都市排熱処理システムについては、その効果や排熱エネルギーの処分先での環境影響などについて研究が必要であります。
再生可能エネルギーについては、都の率先導入事業として、臨海部に風力発電施設を設置するとともに、都議会議事堂屋上や浄水場などに太陽光発電施設を設置するなど、取り組みを進めております。今後とも、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。
次に、クールスポットの確保についてですが、ヒートアイランド現象を緩和するためには、公園、緑や水辺などのクールスポットを充実させ、都市を冷やしていくことが有効でございます。
ヒートアイランド対策取り組み方針では、都の率先行動として、公園の整備促進、街路樹の再生、屋上緑化の推進などに取り組むこととしております。
今後とも、この方針に基づき、ヒートアイランド対策に取り組んでまいります。
質問4
人工排熱の二割を占める自動車交通の抜本的対策も急がれています。ところが、都市再生は、二十三区内の自動車交通を十万台もふやすことが我が党の試算で明らかにされています。この点からも、今進められている間違った都市再生を見直すことが欠かせないのです。
交通需要の対応を専ら道路建設によるのではなく、総合的な方法で対応しようとしているイギリスの事例などに学び、公共交通の拡充を基本に、自動車を総量として抑制する都市政策が必要です。そのためにも、ビル建設や商業施設の建設に当たっては、駐車場を最低限に抑制し、TDM、モーダルシフトなどの対策を組み合わせて、公共交通機関の利用に振りかえることで、自動車に依存しがちな交通利用を転換することが重要であると考えますが、それぞれ答弁を求めます。
答弁4
▼都市整備局長
交通需要への対応についてでありますが、効率的な都市活動と快適な都市生活を実現するためには、三環状道路を初めとする道路ネットワークの構築はもとより、駅へのアクセス道路やバスレーンの整備などにより定時性を確保し、公共交通への利用促進を図ることが重要でございます。
あわせて、都市の機能更新や都心居住を推進し、職と住が近接した市街地の形成に取り組むことにより、交通負荷の軽減を図ってまいります。
今後とも、おくれている道路整備を推進するとともに、交通需要マネジメントなどによる、ハード、ソフトを含めた総合的な都市交通を推進してまいります。
最後に、ビル建設などにより集中する自動車交通の抑制策についてでございますが、商業・業務施設などの建設に当たりましては、利用者に必要な駐車場設置を義務づけておりますが、これらを抑制することは、違法な路上駐車を招くなど、道路交通の円滑化を妨げることになります。
一方、公共交通機関につきましては、山手線内側のほぼ全域が徒歩十分以内で鉄道駅まで到達できるよう整備が進み、世界の大都市の中で最も便利で使いやすい公共交通網が既に形成されております。
今後とも、バリアフリーによる乗りかえ利便性の向上策や、パーク・アンド・ライドなどの駐車マネジメントを推進するなど、公共交通機関の利用促進を一層進めてまいります。
多国籍企業のための都市づくりとしての都市再生は、都財政をも大きくゆがめています。すなわち、この五年の間に、石原知事は、都市再開発と幹線道路などを中心に、毎年、一般歳出の二割を超える一兆円規模の投資を続けることで都債を積み増ししました。その結果、都の一般会計の借金残高は六兆九千六百八十二億円と都政史上最高となり、都財政を圧迫しています。
しかも、重大なことは、国直轄事業負担金、首都高速道路公団への無利子貸付、羽田空港再拡張への負担金など、これらの借金の少なくないものが、本来東京都が負担しなくてもよい投資によってもたらされています。また、臨海副都心開発や破綻した三セクなど、都が当然メスを入れるべきであるにもかかわらず容認してきた浪費的公共事業や、むだな財政支出も、都財政をゆがめる要因となっています。
全国でも異常な石原都政の福祉切り捨ての本当の理由は、財政危機などでは断じてありません。こうした不要不急の投資こそ福祉切り捨ての理由だったことは今や明白です。投資のあり方を抜本的に見直すことによって、都民の暮らしと福祉を守るという地方自治体の最大の使命を最優先にした政治に転換することこそ、今都政に緊急に求められていることを、強く申し述べておくものです。
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■商業支援 |
都民の暮らしを守る上で緊急の課題となっている問題の中で、存亡の危機に立たされている商業支援に絞って伺います。
二〇〇〇年の大規模小売店舗法の廃止後、第二次の出店ラッシュといわれる大型店の出店攻勢が続いています。しかも、その特徴は、商圏が広域にわたる超大型化した複合商業施設になっていることと、既存の大型店をも閉店に追い込む熾烈なものになっていることです。
八王子でも、中央道八王子インター北地区周辺に超大型ショッピングセンターの出店計画が浮上し、大問題となっています。計画では、大型総合スーパー、大型ホームセンター、百店舗を超える小売店、飲食店、シネマコンプレックス、スポーツ・娯楽施設で構成され、駐車台数は実に三千五百台という巨大なセンターです。商圏は、八王子や周辺地域はもちろん、関東一円に及び、年間千五百万人の集客を見込むというすさまじいものです。
八王子商工会議所などが行った影響調査によれば、同ショッピングセンターには一日六万人を集客する一方、市内の商店街は三万千五百人もお客が減少し、売り上げでは年間数百億円の被害を受けると推計しています。
また、この計画は、既に地元商店の減少と既存大型店の撤退で衰退を重ねている八王子駅周辺の中心市街地に壊滅的な打撃を与えるものになりかねません。このため、八王子市商店街連合会は挙げて反対し、市長に対してショッピングセンター出店計画の白紙撤回を求める意見書を提出しています。
このような超大型店の出店計画は、葛飾区の亀有で延べ床面積十六万平方メートルのイトーヨーカ堂出店、大田区大森ではアサヒビール工場跡への、これもイトーヨーカ堂の出店計画などメジロ押しで、しかも、そのいずれもが地域商業の壊滅的な破壊をもたらす危険が指摘され、地元での反対運動が巻き起こっているのです。
このような今日の事態は、超大型店栄えて地域商業枯れるという事態を招きかねないものです。そして重要なことは、高齢者を初め消費者にも深刻な影響をもたらし、地域商店街が支えてきた地域社会の成り立ちに、取り返しのつかない打撃を与えかねないということです。
質問1
知事に伺います。このように地域経済や地域社会に甚大な影響を与えることが予測される大型店の出店が、事実上、野放しにされている状況をどう認識されているのですか。答弁を求めます。
答弁1
▼知事
大店舗の出店についてでありますが、大型店はもとより、商店街などの小売業者が、創意と努力により消費者の求める商品、サービスを提供することは、東京の経済活性化にとって重要なことであります。
消費者ニーズの多様化、モータリゼーションの進展などにより、複合的な機能を持つショッピングセンターがふえていくことも十分承知しております。
一方、大型店は、交通量の増加や騒音など周辺環境に与える影響も大であります。大型店の出店に際しては、決して野放しではなく、大規模小売店舗立地法により地域の生活環境保持の観点から必要な規制が行われておりまして、法の趣旨を踏まえ、適切に運用してまいります。
質問2
少なくとも都として都内地域商業の現状を調査掌握し、都市政策として地域商業のあり方について方向を示すべきと考えますが、どうですか。見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
地域商業についてでございますが、都は、東京の小売業の調査や中小企業経営白書などにより、都内の地域商業の現状を調査し、実態の把握に努めているところでございます。また、具体的な大型店の出店に当たっては、区市町村から意見を聞いているところでございます。
都としては、大規模小売店舗立地法や中心市街地活性化法などを適切に運用し、地域の生活環境保持と地域商業の活性化に努めてまいります。
質問3
大店法廃止に当たって立地法が制定されたといいますが、これが何の役にも立っていないことは、今日の出店ラッシュを見れば明らかです。それは、立地法が環境に着目したものであり、こうした問題解決に欠かせない商業調整の機能が持たされていないからです。
そこで今、小売商業調整特別措置法に着目することが重要だと考えるものです。同法は、大店法と競合するということで、事実上凍結されていた法律ですが、大店法廃止によってその規制が解除されました。この法律の理念と過去の適用事例はどうなのか。商調法に基づく調査、調停はどのように行われるのか。また、商調法に基づく調査、調停の申請があった場合、速やかに作業に入ることが必要と考えますが、所見を伺います。
答弁3
▼産業労働局長
小売商業調整特別措置法についてでございますが、この法律は、小売商の事業活動の機会の適正な確保等を目的としており、中小小売業がかかわる紛争解決等のための緊急避難的な措置を規定したものでありまして、商業調整につながるものではないとされております。都における適用事例はございませんが、全国では、過去に調査、あっせんが延べ十六件あったと承知しております。
調査の申し出があった場合、相当の理由があると認めるときは調査を行うものとされております。また、調停の申請については、物品の流通秩序の適正を期するために必要があると認めるときは調停を行うものとされております。いずれの場合も、法に基づき適切に対処してまいります。
質問4
大型店の対策とともに、地域商業の支援を強化することが急がれており、そこで幾つかの問題に絞って提案を行います。
初めに、新・元気を出せ商店街事業についてですが、この事業は、今では夏、冬のイベント事業など商店街振興にとっては欠かせないものとなっており、今後の継続と予算の拡充は強い要望となっており、拡充が求められています。事業執行に当たっては、事業の詳細な認定は区市町村の裁量にゆだねることや、申請書類の簡素化など、改めて商店街や区市町村の要望を聞き、改善が必要と考えますが、どうか。
また、都が昨年実施した輝け店舗支援事業は、思ったほど反応がなかったことを理由に打ち切られました。しかし、その後、改めて我が党が行った調査では、多くの区市町村でこの事業が歓迎されていたこと、東京都が打ち切った今年度、二十三区では五つの区が単独で事業を継続、もしくは新規に事業化していることがわかりました。ある区の担当者は、これで東京都も本気になったと思ったと述べ、来年度は事業として復活してほしいと要望していました。
改めて伺いますが、商店街の個々のお店を支援し、輝かせる事業の意義についてどう考えているのか、お答えください。
答弁4
▼産業労働局長
新・元気を出せ商店街事業についてでございますが、都はこれまでも、区市町村と綿密に情報交換をするとともに、商店街への定期的な実態調査等を通じて意見の把握に努めてまいりました。これらを踏まえて、申請書類の簡素化や交付決定時期の早期化など、必要な改善を図ってきたところでございます。
次に、商店街の個店支援についてでございますが、商店街を活性化するためには、集客の核となるような魅力的な店舗が必要でございます。このため、都は、専門家の派遣や講習会の開催など、商店主の経営力向上や魅力的な店舗づくりへの支援に努めているところでございます。
質問5
さらに、区市町村が都の提案を受けて商店街振興に関するプランを一斉に策定したことは、我が国の中小企業行政の中で画期的なことではなかったでしょうか。私は、区市町村が策定したそれぞれのプランに基づいて商店街を総合的に支援することは、商店街の活性化の大きな力になると考えるものですが、見解を伺います。
答弁5
▼産業労働局長
商店街への総合的な支援についてでございますが、都は既に新・元気を出せ商店街事業において、区市町村が策定した振興プランに基づく商店街の自主的、意欲的で多種多様な取り組みを支援しているところでございます。
質問6
これらの事業はいずれも商店街や区市町村が事業化や拡充を切に求めているものばかりですが、都の商店街支援の予算は要望にこたえるには十分ではありません。新・元気を出せ商店街事業、輝け店舗支援事業、商店街を総合的に支援する包括的補助事業、後継者対策など、商店街支援に必要な対策が図られるよう予算を拡充することを強く求めるものですが、見解を伺います。
答弁6
▼産業労働局長
商店街振興に関する予算についてでございますが、都は平成十五年度において、それまでの商店街振興施策を再構築するとともに、予算規模を大幅に拡充しているところでございます。
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■水道料金体系の見直し |
質問1
我が党はかねてより、都の水道事業の料金の収支は大幅な黒字であり、水道料金は値下げすべしと要望してきました。値下げなど不可能だという議論には、実際の水需要を大きく上回る需要計画を前提にして続けられている過大な投資を見直せば、値下げは可能であるということを、議会審議でのさまざまな機会で論証してきました。今回、都の水道行政史上初めて、基本的には値下げの内容で提案されたことは、かねてからの我が党の指摘が裏づけられたものであり、歓迎するものです。
同時に、提案には見過ごすことのできない問題も含まれています。それは、新しい料金体系を組み込んでつくられた東京水道プラン二〇〇四が、水需給計画を見直さず、過大な投資計画に基づいて財政計画がつくられていることです。
都は既に日量六百二十三万立方メートルの既得水源を持ち、一日当たり六百九十六万立方メートルの施設能力を持っていて、なおかつ、既に十年以上にわたって一日最大配水量が六百万立方メートルを超えた日は一日もないというのに、さらに新たな水源開発と称して、多くの人が反対している八ッ場ダム開発に巨額の税金をつぎ込むなど、過大な投資事業を改めようともしていません。
このため、今回は値下げが行われたものの、プラン二〇〇四が終了する二年後には、また累積収支不足という料金値上げの口実が生ずる仕組みになっているのです。そうでないというならば、二年後には値上げしないと、この際はっきりと明言していただきたいと思います。お答えください。
答弁1
▼水道局長
今回の計画案終了後の料金改定についてでございますが、今回の計画案は、昨年十二月に見直しを行いました水道需要予測を踏まえまして、八ッ場ダムなどの必要な施設を盛り込むとともに、最大限の企業努力を実施することにより、料金値下げを行った上で、平成十八年度末の収支を均衡させることとしたものでございます。
また、本計画案終了後の水道料金につきましては、水道事業を取り巻くさまざまな状況変化を踏まえる必要がございますので、現時点で判断することはできません。
なお、今回の料金改定は、東京都水道事業経営問題研究会の最終報告に基づきまして実施をするものでございまして、共産党のかねてからのご主張に沿ったものではございません。
質問2
また、基本的には値下げ提案だというものの、大口の需要者がすべて大きく値下げされるのに対して、小口の、それも生活が厳しい人々に値上げが押しつけられていることも見過ごすことはできません。そこで、口座振替を使わなくともすべての利用者が値下げになるようにすること、生活保護世帯については従来どおり十立方メートルまでは料金を免除すること、公衆浴場などについても値上げを抑えることを求めるものですが、答弁を求め、再質問を保留して、質問を終わります。
答弁2
▼水道局長
料金値上げとなる使用者への対応についてでございますが、今回の料金見直しは、節水を促す仕組みやコストに見合った負担の実現を求める都民の声にこたえるとともに、都民生活への配慮から、最大限の企業努力を実施することにより、料金を平均で二・二%引き下げたものでございます。
なお、生活保護世帯、公衆浴場につきましては、引き続き、一般世帯に比べ安価な料金としております。
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■再質問 |
質問1
第一に、私は福祉予算の拡充を求めたのです。それには答えていません。福祉予算を六百六十一億円も削ったのは異常なことなんです。このことを、知事は何度いっても理解できないようです。
経済給付や補助金を大きく削り、先ほど指摘したように、充実すると約束したものは、一部を除いて大きくおくれています。その結果、高齢者を初め都民から、特養に入れない、介護保険の負担が重いなど、本当に切実な訴えが上がっています。
少子化対策もますます重要になります。二十三区では、中学卒業までの医療費助成に次々踏み出しています。
どう考えても福祉予算をふやす必要があるのではないですか。このまま減らし続けてよいというのですか。知事、お答えください。
知事がいった広義の福祉で見ても、ますます後退しています。医療では、都立病院の廃止や医療費助成の廃止を進め、環境も、ヒートアイランド現象はひどくなり、雇用も大変な状態です。インフラ整備も、都営住宅は新規建設ゼロなど、生活の質を高めるインフラ整備は進んでいない。そのことを厳しく指摘しておきます。
答弁1
▼財務局長
福祉の分野における予算についてのお尋ねでございますが、ただいま知事から答弁がございましたように、福祉改革を進めていく中で、必要性が薄れた施策などは思い切って見直す一方で、厳しい財政状況にありましても、新しいニーズに沿い、大都市東京の特性に合った利用者本位の福祉の実現を目指して、さまざまな施策の充実を図ってきたところでございます。
また、その間には、児童扶養手当を区市に移管することによる予算の大幅な当然減などもありまして、単純に予算額だけを問題としてとらえ、福祉サービスの後退とのご主張は余り意味がない、このように考えます。
質問2
第二に、超高層ビルを林立させる知事の都市再生路線は、ヒートアイランド現象をひどくし、東京の環境に重大な影響を与えていることは、多くの専門家やマスコミも指摘しています。この責任について、知事は人ごとのように答えましたが、それでは済まされません。
知事は、多国籍企業のために超高層ビルを集中させることはよいことだ、不可欠だと答えるだけですが、それでは、多国籍企業が栄えて、環境や地域経済、都民生活滅ぶの道を進むことになります。みずからの責任についてきちんと答えていただきたいと思います。
答弁2
▼都市整備局長
先ほど知事の方からご答弁ありましたとおり、現在、都心部などで多くのオフィスビルの建設が行われておりますが、これにより、国際的に見ても優良なオフィスが供給され、機能更新が一層進むことになると思います。このことが、都市の魅力や国際競争力の向上につながるものと確信しております。
都は、引き続き首都東京の都市再生を積極的に進めてまいります。
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