東京発世界文化

このコーナーでは、東京から世界に向けて新しい文化や創造力を活かし活躍する「ヒト」、「モノ」、「コト」などを紹介してまいります。

今月は、東京で生まれた和太鼓音楽のパイオニア、大江戸助六太鼓をご紹介いたします。

大江戸助六太鼓の音をお聞きになれます。
大江戸助六太鼓1枚目
大江戸助六太鼓2枚目

太鼓のリズムが世界に響く 江戸の“粋” 大江戸助六太鼓

 最近、日本の音楽業界では、老若男女問わず、和楽器が注目されています。三味線や笙、琴など、日本に古くからあった“音”が若い人には新鮮に聞こえることが人気の理由のひとつのようです。その中でも、和太鼓は、ダイナミックでエネルギーに溢れ、日本人はもとより、江戸の“粋”を今に伝える楽器として外国人に人気が高く、高い注目をあつめています。
 和太鼓音楽を世間に広く知れわたらせたのが、この『大江戸助六太鼓』です。宗家をつとめる小林正道さんは、東京で初めて和太鼓の組太鼓を作りあげ、1959年に大江戸助六太鼓を発足しました。
 「東京の湯島に伝わる太鼓を継承するために、杵屋佐三造氏に師事し、邦楽の基本的なリズムを学びました。そこから初代の4人のメンバーにより現在の大江戸助六太鼓の基本を考え出していきました」。

 普通の太鼓との違いは、その高い芸術性とスポーツ感覚に溢れたエンターテイメント性にあるといいます。
 「体でも音を表現する、大江戸助六太鼓を一言で言えば、“太鼓音楽スポーツ芸術”。私の兄の晟高がつくり出した斜め台を使用し、太鼓に体全体で打ち込み、自然体で太鼓を打つ。それが助六流なのです」。これにより、ただ太鼓を打つのではなく、体も音楽の一部として表現できると言います。
 「自然体で打つことにより、より自然な音が出るのが特徴です。ですが、動きながら音を出すことは意外と難しいものなんです。技の修得はとても大変です。今は門下生が約120人程いますが、やはり人前で演奏できるようになるにはかなりの練習をつまなければなりません。門下生たちがどんどん上達していくのを見るのは楽しいですね」。軽快なリズムアンサンブルの中で、一人ひとりが身体表現を駆使し、江戸の“粋”を表現できるのが大江戸助六太鼓の最大の魅力と小林さんは言います。

大江戸助六太鼓リズムアンサンブル 大江戸助六太鼓の音楽活動

 昭和40年頃にラスベガスで行った演奏を皮切りに、それ以後世界中で大江戸助六太鼓の音楽活動が続いています。
 「ここ15年間はヨーロッパを中心に公演を行っています。他にもブラジルやスペインなどにも行きました。6名編成で2時間の演奏なのですが、やはり国によって反応が違いまね。ヨーロッパでは演奏に集中し、演奏が終わると大きな拍手とアンコールで迎えられますが、日本やアメリカなどではエンターテイメント的要素が強く、演奏の聞きどころでとても盛り上がります」。特に海外は評価が厳しいと小林さんは言います。その中でも15年以上も公演を繰り返しているのはやはりその高い音楽性が認められているからなのではないでしょうか。大江戸助六太鼓では、同じ曲でも年々アレンジを加え、時代にあった和太鼓音楽を作り出しています。
 「世界中の方々に高いレベルの和太鼓音楽を知って欲しいですね。そのためにも時代に合った和太鼓の表現にチャレンジしています」。
 見る者を目で、耳で楽しませ、江戸の“粋”を表現する大江戸助六太鼓。これからも世界中にダイナミックな太鼓の音を響かせていくことでしょう。


宗家 小林正道さん
大江戸助六太鼓 宗家 小林正道さん


永田泉さん
大江戸助六太鼓 永田泉さん

 太鼓を叩くカッコよさにひかれて和太鼓の世界に入って以来、ずっとこの世界にいたいと思う程にのめり込んでます。楽しいと感じられるまでは地道な努力が必要ですね。ただ力だけで打つのではなく、踊りの要素をとりいれたり、表情で表現したり、自分自身の最大限の美しい表現をするために努力はかかせません。


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