東京発世界文化

 このコーナーでは、東京から世界に向けて新しい文化や創造力を活かし活躍する「ヒト」、「モノ」、「コト」などを紹介してまいります。
 世界に誇るアニメーションスタジオ、スタジオジブリの映画の世界を体験!子どもも大人も楽しめる、ワクワクドキドキがいっぱい。
 今回は三鷹の森ジブリ美術館を紹介します。


三鷹の森ジブリ美術館
武蔵野の緑に囲まれたアイデアいっぱいの美術館

 東京・武蔵野の雰囲気がただよう井の頭恩賜公園の木々の間に、カラフルな不思議な建物があります。それが三鷹の森ジブリ美術館です。地下一階、地上二階建てのこの美術館は、日時指定の予約制となっており、ゆっくりと館内を見ることができます。「となりのトトロ」や米アカデミー賞の長編アニメ賞を受賞した「千と千尋の神隠し」など、数々のアニメーション作品を手掛け、世界が注目する宮崎駿監督が館主を務めており、普通の美術館とはひと味もふた味も違います。

 夢と冒険がぎっしりつまった宝箱のような三鷹の森ジブリ美術館をご案内します。


ジブリの世界を“体験”する

 トトロが迎えてくれるニセの受付をすませ、中に一歩足を踏み入れると、そこは随所に発見があるジブリ映画の世界。何と、入場チケットは映画のフィルムを利用してつくられています。なかなか手にすることのできない貴重なフィルムを手に、さあ冒険のはじまりです。

 地下一階から二階までの吹き抜けの中央ホールは、太陽の光が差し込む開放的なスペースです。ここを歩いてゆくと、ここでしか見ることのできないオリジナル短編アニメーションを上映する映画館「土星座」の入り口があります。入場チケットにスタンプを押してもらい、いざ中へ。映写室は路面電車型になっており、映写技士により短編が上映され、15分という短い時間を感じさせない程の本格的なアニメーションを堪能できます。同じく地下にある「動きはじめの部屋」では、アニメーションのしくみを知ることができます。

三鷹の森ジブリ美術館館内 三鷹の森ジブリ美術館
らせん階段やガラス張りのエレベーターなど、どこか懐かしく、暖かい雰囲気がただよう館内。

 一階には、常設展示室の「映画が生まれる場所(ところ)」があり、アニメーションの制作過程を見ることができます。この部屋に山積みされた本や壁一面に張り巡らされた絵コンテなどを見ていると、さっきまで誰かが作業していたのかも?なんて想像してしまうくらいとても凝った造りの展示室です。

 ちょっと歩き疲れたら併設のカフェ「麦わらぼうし」でひと休み。ここでは素朴でおいしい家庭の味を楽しめます。実はここのカフェで使われているストロー(英語で麦わら)はその名の通り、正真正銘の麦わらでできたものを使っています。無農薬で丁寧に作られた麦わらのストローが、カフェのあたたかい雰囲気に一役かっています。

 二階には、ギャラリーやオリジナルグッズを扱うショップ、また「トライホークス」という図書閲覧室があり、宮崎監督と美術館のお薦めの絵本や児童書を閲覧できます。そして、二階の人気コーナーといえば、映画“となりのトトロ”に登場したネコバスに会える「ネコバスルーム」です。この部屋を楽しめるのは小学生以下の子どもだけとは残念ですが、子どもたちの楽し気な様子に大人たちも思わず顔がほころびます。

 らせん階段を上ると緑溢れる屋上庭園があり、“天空の城ラピュタ”に登場するロボット兵がお出迎えです。

 館内のいたるとこで見かける数々のキャラクターが描かれたステンドグラスは一つ一つが作家による手作り作品で、光が差し込むステンドグラスが館内をいっそう暖かい雰囲気にしています。

フワフワの巨大なネコバス
フワフワの巨大なネコバスは子どもたちに大人気。

子どもも大人も迷子になる空間

 三鷹の森ジブリ美術館のキャッチコピーは、“迷子になろうよ、いっしょに。”。ジブリのアイデア溢れる館内には従来の美術館の様な順路はありません。子どもも大人もみな迷子になって、見て、触れて、ぬくもりを感じられる楽しい一日を過ごしてみてはいかがですか?

 世界が注目する、日本のアニメーションスタジオが作った、まったく新しい美術館、三鷹の森ジブリ美術館。今後も、多くの人が訪れ、そして、多くの人々が心あたたまる体験をすることでしょう。

三鷹の森ジブリ美術館
ページ先頭に戻る