四こまストーリー

街で見かけるごく日常的なイメージをもとに、東京の新たな物語をみなさんと一緒につくり上げていく企画。それが『東京四こまストーリー』です。

真冬のファンタジア
超イケ面オリオンの笑顔が降り注ぐ

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真冬の東京の空1枚目
真冬の東京の空2枚目
すみだ生涯学習センター「ユートリア」のプラネタリウム館
真冬の東京の空3枚目

冬の東京の空を見上げてみよう!燃えるようにまっかに輝くベテルギウス、クールに青白い光を放つリルゲ。両者の中央にみえる美しい三つの星の並び-といえば、そう、冬の星座、オリオン座のこと。“星の俳人”ともいわれた山口誓子のこんな一句もオリオンをごく身近な存在として歌いあげる。
 寒き夜のオリオンに杖さしいれむ
 冬といえば星たちの輝きがもっとも映える季節。なかでもオリオン座の輝きは最高!ダイヤモンド級だ。ということで、さっそく天体望遠鏡を片手に真冬の夜空を探索してみたい。えっ?星座のことがあまりわからない?ご安心を。そんな方は都内のプラネタリウムを訪れてみてはいかが。まずは星たちの世界を疑似体験といきたいところ。たとえば、墨田区東向島のすみだ生涯学習センター「ユートリア」のプラネタリウム館“ユートリアスターガーデン”もそんなお勧めスポットのひとつ。子どもから大人まで十分に満喫できるプログラムが毎月用意されている。なかでも“星空ナイトリィ”というコーナーでは、今夜の星空を解説してくれるのでお見逃しなく!
 さて、プラネタリウムで楽しんだあとは、いよいよ本物の夜空で星座を発見してみよう。ギリシャ神話がお手もとにあればなお結構。星たちの今に伝わる物語を知る絶好の機会だ。たとえば、今、夜空に見えるオリオン座。ギリシャ神話では狩人のオリオンのことで、お父さんは何とあのポセイドン。何でもベッカム顔負けの超イケ面だったそうだ。そのオリオンと恋仲にあったのが女神アルテミス。ところが彼女の兄アポロンが結婚を認めず、二人の仲を裂こうと計画。なんとアルテミスが放つ矢がオリオンに命中し、死んでしまう。悲しみに暮れるアルテミスがオリオンを天に上げて、星座の列に加えたという。おお何とも悲劇的な逸話ではないか。
 ちなみに、オリオンの後ろからお伴するのが猟犬、おおいぬ座のシリウスだ。猟犬を従え、おうし座と戦う姿は勇者そのものだが、そんな彼にも弱点が。なんと、さそりにはめっちゃ弱いとか。だからさそり座と一緒に夜空を飾ることはないんだって。なるほど。さてさて、ギリシャ神話に導かれながら、深まり行く真冬の夜空のもと、星たちの放つ瞬きのシャワーを浴びるのもなかなかのテラピー効果!心地よいロマンティックな気分に浸れることまちがいなし!超イケ面のオリオンの素敵な笑顔をみればあなたの心も熱くなるはず。


写真:武居 英俊/文:麒 麟