平成14年第2回定例会一般質問

外環道など不要な計画を中止し
歩道の設置・整備を

伊沢けい子

伊沢けい子(市民の党)

外かく環状道路

 この都市再生計画の中に、私が住む三鷹市を通過する外郭環状道路計画があります。この計画は、三十五年前に住民の反対に遭って凍結されたものを、高架式から地下方式に変えて出したものです。しかし、三鷹市でも、この計画当該地はまさに住宅密集地で、しかも、玉川上水初め緑も豊かで、地下水も豊富な場所です。
 昨年、石原知事はこの場所を視察されていますが、こういう場所に大型高速道路である外環道を通すことに、どういう見解、感想を持たれているのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
 また、私は、昨年の議会で、この計画が地域や環境を破壊すると同時に、外環道自体が、渋滞をなくすのではなくて、さらに車を呼び込むことで、さらなる渋滞を呼び起こすことが示されていることを、先進国の例から述べました。
 また、国も都も財政難の中で、少なくとも二兆円もかかることで、さらに財政を圧迫することから、その不要性を指摘しました。
 そうした中、先日、PI外環協議会が成立されましたが、ここでは、都市計画決定以前の原点に立ち戻って、計画自体の必要性の有無から議論し直すことが確認をされております。このことはとても歓迎すべきことであり、ごく当然のことでもあります。
 しかし、その一方で、昨年末、都は国に対し、外環予定地の土地買収を進めるための制度をつくることを要求し、その結果、土地開発公社や地方公共団体、地方道路公社などを通じて買収を可能とする制度を制定しております。
 この事実は、住民に対して、都市計画決定以前の原点に戻って議論するといっておきながら、一方で、先んじて都が土地の買収を進めようとしていることを意味し、明らかに矛盾しているのではないでしょうか。ご見解を伺います。

都市計画局長  平成十一年十月に知事が現地を視察され、その際、商店街や住宅地、それぞれ対照的な意見をいただいたとの話、あるいはまた、閑静な住宅地を高架で通すのは無理と述べております。また、これまでの議会の質問に対しまして、外環は、首都圏の高速道路ネットワークを形成する重要な路線であり、首都圏の渋滞解消、環状メガロポリスの実現、さらには環境問題の解決などのために必要不可欠な路線であり、と繰り返し答弁しているところでございます。
 そして、視察を契機といたしまして、住民団体との話し合いが開始されまして、そうした場でさまざまな論議がなされ、ようやく本年六月、地域の方々も同じテーブルに着いた、PI外環沿線協議会が発足したわけでございます。
 今後、この協議会での議論も聞き、先ほど申しましたように、第三者機関である東京環状道路有識者委員会での審議、助言も受けながら、早期整備に向けて、計画案の取りまとめなどに取り組んでまいります。
 二点目は、外環の先行買収についてでございます。
 外環については、事業が凍結されている中、相続、建てかえ、転居等が発生し、地権者からは、土地を買収してほしいという要望が寄せられております。このため、都は国に対し、これらの生活再建に資する買い取り制度を要望してきたところ、本年度、既存の道路開発資金の貸付制度が拡充され、希望者に対して先買いできる制度が創設されたものでございます。
 したがいまして、この制度は、地権者の要望にこたえ得る必要かつ重要な制度であり、協議会の議論と矛盾するものではございません。

危険な都道への歩道の整備

 平成十二年に建設省と都が共同で、外環道路計画予定地の七区市を中心とする広範な都民に対し行った、首都圏の社会資本整備と外環に関するアンケートの中で、あなたのお住まいの地域で整備が必要と思われる施設は何ですかという質問項目があり、五つまでの複数回答を求めたものがありました。その中で第一位となったのは歩道であると、七区市の住民の四六・一%が答えております。一方で、高速道路と答えた人は一○%で、十七位となっております。
 実際に三鷹市内でも、都道は車道が狭い上に、大型バスが歩道ぎりぎりまで通っていて、設置されている歩道は非常に狭く、とても危険です。自転車はとてもすれ違えないどころか、雨の日に傘を差していれば、歩行者も、どちらかが車道におりるか、住宅側によけるかという状況です。また、市内の都道のうち、歩道の全くないところも七キロ延長あります。それでも、多摩地区の中では三鷹市は歩道率が高いそうです。ただ、三鷹市は他市と比較すると交通量が多いため、危険度は高いものの、多摩を中心とする他市、区の状況も相当悪いものと思われます。
 最近の建設・住宅委員会でも、何人かの議員が、都道への歩道の設置については訴えていることからも、歩道についてのニーズの高さがうかがわれます。
 そこで、質問です。
 〔1〕 外環道のような不要な道路計画は中止をして、まず歩道を整備することこそ必要と思いますが、いかがでしょうか。
 〔2〕 三鷹市では、基本計画の中のまちづくりの最重点プロジェクトの一つに、バリアフリーの道路づくりを掲げ、昨年はバリアフリーの実現のための協議会も発足し、市民、交通事業者、市職員など二十九名の共同で会合が重ねられております。
 先日、協議会が千三百人の三鷹市民を対象に行ったアンケート調査で、市民要望の上位だったのが道路、そして公共交通のバリアフリー化でした。道路については、連雀通り、吉祥寺通り、人見街道の三つの都道が重点整備路線として取り上げられています。
 さらに、自宅周辺の道路上で感じるバリアは何ですかという質問に対し、一位は、歩道がない、狭い、これが三二・八%となっています。二位は、歩道上の違法駐輪や障害物で一七・六%、そして三位は、道路の段差や勾配が大きいということでした。これらの三つの都道への歩道設置、整備への取り組み、進みぐあいは今どうなっていますか。今後の取り組みの予定はどうでしょうか。
 三鷹市も少子高齢化が急速に進んでおり、二○一五年には住民の二○%、五人に一人が六十五歳以上の高齢者となります。また、身体に何らかの障害を持つ人の数は年々増加の一途をたどっていて、最近六年間でも、八百人以上増加しているということです。これは、年をとるとともに障害を負う人がふえるためです。
 昨年、私は足を骨折して、松葉づえを一カ月間ついた経験がありますが、高齢者でなくても、障害を持つと、自分の住んでいる町は一変して、とても不自由で危険なものとなり、外出が困難となります。わずか数ミリのタイルにつまずきそうになったり、ふだん何げなく使っている駅自体がバリアとなったりするのです。
 東京都は、平成七年に制定した福祉のまちづくり条例の中で、東京は自由で豊かな都市として発展したけれども、一方では、都市の形成において、だれもが住みやすく自立できるようにするための視点が十分でなかったと総括をしています。
 その上で、福祉のまちづくりの目標として、そこで生活するすべての人が基本的人権を尊重され、自由に行動し、社会参加のできる優しいまち東京の実現をうたっています。こういう理念につながる政策こそ、真の東京の都市再生に必要ではないでしょうか。
 したがいまして、外環道計画は中止をし、都道に安全な歩道の設置、整備を行うことを求めます。

建設局長 〔1〕 都市の骨格を形成する幹線道路は、広範な都市活動や都民生活を支える基本的な都市施設でございます。とりわけ多摩地域におきましては、交通流の円滑化を図り、住宅地など生活道路に進入する通過交通を排除するため、南北道路など骨格幹線道路の体系的な整備を進めることが重要でございます。
 一方、地域の生活を支える道路の中には、歩道が狭小なものや、歩道のない道路もございます。このため、高齢者や障害者を初め、だれもが安全で安心して利用でき、生活の利便性、快適性の向上が図れるよう、歩道の整備を進めることも重要であると考えております。
 〔2〕 整備対象延長約十四・六キロのうち、約十一キロに歩道が設置されております。現在、連雀通り、吉祥寺通り、人見街道の三路線六カ所におきまして、歩道の新設約一キロ、歩道の拡幅約一・二キロの整備を進めているところでございます。
 また、路面補修工事に合わせまして、歩道の段差解消、勾配の改善、電柱の移設などを、三カ所、約○・六キロメートルで実施しております。
 今後とも、地元の協力を得ながら、安心して通れる歩道の整備、改善に努めてまいります。

一般質問目次へ戻る