昨年9月に発生した米国同時多発テロにより多大な被害を受けたニューヨーク市を見舞い激励するとともに、同市及び米国で一元化されている危機管理体制などを調査する。
期間 平成14年5月22日から5月31日
調査地 アメリカ合衆国 ニューヨーク市及びワシントンDC
団長 三田敏哉(自民党)
副団長 比留間敏夫(自民党)
団員 樺山卓司(自民党)
団員 いなば真一 (自民党)
団員 近藤やよい(自民党)
団員 服部ゆくお(自民党)
団員 田中良(民主党)
団員 和田宗春(民主党)
団員 木内良明(公明党)
団員 藤井一(公明党)
団員 藤田愛子(ネット)
ニューヨーク市の危機管理室では、昨年9月11日の同時多発テロの際の対応を中心に説明を受け、質疑応答を行いました。危機管理室は、1996年ジュリアーニ市長の下、市内における大きな緊急事態に市の関係機関が効果的に連携、調整するために設置されたものであります。
危機管理室は、世界貿易センタービル7号館の中に在りましたが、このビルは9月11日の夕方に倒壊しており、このため、仮設の危機管理室を設置して指揮に当たったとのことでした。
質疑応答では、危機管理室の権限、指揮命令系統、FEMAとの関係などについて熱心な議論が交わされ、仮設の本部機能を設置するのに相当時間を要したことから、本部のバックアップ機能を設けておくことの必要性が明らかになりました。
市の情報技術通信局からは、9月11日のテロ災害時の情報通信手段の確保について説明を受けました。情報技術通信局は、危機管理室同様に世界貿易センタービル7号館に入居しておりました。事件後は、有線回線はもちろんのこと携帯電話もほとんど機能しなかったため、まず最初に移動型のコマンダーで通信を確保し、仮設の情報技術通信局を一夜で設置して、市民へのインターネットでの情報提供、関係機関との通信の確保を行ったということであります。
ニューヨーク市消防局では、今回のテロ災害で343名と最も多くの殉職者が発生しました。
事件当時の問題点としては、〔1〕建物の中との通信の確保が円滑にいかなかったこと〔2〕危機管理室や警察、消防などそれぞれの機関が別の周波数の無線をもっているわけですが、それぞれを繋ぐシステムが必要であったことなどが明らかになりました。 ニューヨーク市警の案内で、世界貿易センタービルの跡地・グランドゼロを視察いたしました。16エーカーに及ぶ広大な土地に地下6階分の大きな穴が開いている状況を直視し、その被害の甚大さに驚嘆いたしました。その後、慰霊碑において犠牲者の皆さんのご冥福をお祈りしました。今回の同時多発テロの経験を生かして、今後の問題として、〔1〕最初の対処方法の選択〔2〕大統領とFEMAとマスコミの言うことが違うと混乱が起きてしまうということでの情報整理〔3〕寄付金や膨大な援助物資の処理〔4〕NGOなどへの対応 などがあげられました。
その他、ニューヨーク市では、ハーレム、バッテリーパークシティ、サウスストリートシーポートなどの都市再開発事例を視察し、ニューヨーク市の発展と都市化に伴う荒廃、そして、再開発による再生の現場を調査いたしました。
また、ワシントンDCにおいて、国際姉妹都市連盟及び全米州議会評議会を訪れました。国際姉妹都市連盟は、世界共通の都市問題の解決を草の根レベルで解決していきたいと考えているNGO団体であります。その際、国際姉妹都市連盟から東京にも是非加入していただき、東京の取り組みが先行している気象、環境問題について共同事業を進めていきたいとの要請を受けました。
全米州議会評議会では、各州の議会の特徴や知事との関係などについて説明を受けた後、ロビー活動と利権との関係などについて意見交換を行いました。今回、危機管理を主要なテーマに調査を行いましたが、おりしも、われわれ調査団の訪米期間中に新たなテロが発生するかもしれないとの情報が流れ、厳戒態勢の米国を身をもって体験いたしました。特にニューヨークからワシントンへ移動するときの飛行機では、乗る前のセキュリティチェックの厳しさは当然のことで、機中では座席から立ち上がることすら許されないという厳しい状況でありました。
最後に、テロで犠牲になられた多くの方のご冥福を心からお祈りするとともに、都民の生命と財産を守るため、東京における緊急事態に備えた危機管理対策の充実を図るよう都議会を挙げて、執行機関、都民の皆様とともに取り組んでまいりたいと思います。