国会、中央省庁などを東京から東京圏以外の場所に移そうという、「首都移転」が進められようとしていることをご存じでしょうか。東京都議会は、一貫して首都移転に反対の立場を表明し、行動してきました。
こうした中で、国会における移転先候補地の絞り込みの期限とされる本年5月を迎え、都議会は、この時機をこれまでの取組の重大な節目として捉え、首都移転の白紙撤回をめざして、去る5月21日に「首都移転断固反対総決起集会」を開催しました。
平成11年12月の国会等移転審議会答申において、「栃木・福島地域」、「岐阜・愛知地域」、「三重・畿央地域」の3地域が移転先候補地として選定されています。国会では、3箇所の移転先候補地を1箇所に絞り込む期限を今年の5月に設定し、移転を前提とした検討が進められて来ました。
国は、〔1〕東京一極集中の是正〔2〕災害対応力の強化〔3〕国政全般の改革を移転の意義として挙げていますが、首都移転によってこうしたことが期待できるとは考えられません。また、昨年10月に東京都が発表した「首都移転の再検証について」によれば、移転費用は、20兆1,000億円にものぼるとともに、我が国の実質国内総生産の減少や移転先の大規模な自然環境破壊など、首都移転にはデメリットが著しいことが明らかにされています。
日時 平成14年5月21日(火曜日)午後1時30分から午後3時まで
会場 東京国際フォーラム(ホールC)
主催 東京都議会、東京都、首都移転に断固反対する会
当日は、予想をはるかに上回る約3,500人もの来場者があり、大盛況となりました。会場は、熱気に包まれ、「首都移転断固反対」の想いのもとに、場内が一つになって集会が進められました。
まず、三田都議会議長と石原都知事から首都移転阻止に向けての力強い挨拶があった後、ご来賓と都内の民間団体代表者の方々から、連帯のご挨拶と白紙撤回に向けた強いご支援の発言がありました。
総決起集会の締めくくりとして、「首都移転に断固反対する緊急アピール」が、満場一致で採択され、集会は成功裏に幕を閉じました。
総決起集会の終了後、都議会の三田議長、橋本副議長及び会派役員約30名で、政府・国会への要請を実施しました。
一行は、総決起集会で採択された緊急アピールを携え、扇国土交通大臣、安倍官房副長官、倉田参議院議長、綿貫衆議院議長を順次訪問し、首都移転白紙撤回に向けての取組を強く要請しました。
また、これと並行して、同じく総決起集会の終了後に、都議会議員、都内の区市町村議会議員、集会参加者による総勢約500名の街頭行動を実施しました。
街頭行動は、まず、総決起集会会場近くの出発地点から、「首都移転反対」をデザインした都営バス(ラッピングバス)6台と参加会派の街頭宣伝車4台に分乗し、銀座界隈を巡る車両デモを行いました。一行は、日比谷公園で下車後、国会に向けて街頭行進を行い、衆議院議員面会所で、多数の国会議員の出迎えを受け、緊急アピールを手渡しました。
今回の総決起集会、それに引き続く政府・国会への要請と街頭行動によって、首都移転の不当性を広くアピールし、都民・国民の多くが知らないうちに、移転先候補地の絞り込みという重大な決定が行われようとしている「危うさ」を訴え、首都移転反対の気運を盛り上げることができたと考えます。
国会は、5月中の移転先候補地の絞り込みを断念しましたが、都議会の今回の取組が、拙速に結論を求めようとする移転推進の動きに歯止めをかける大きな力となったものと考えます。
今後とも、都議会は、首都移転の白紙撤回をめざして活動していきます。