平成14年 予算特別委員会
ネット 大西由紀子
私は、都議会生活者ネットワークを代表しまして、当委員会に付託された第二十四号議案、東京都臨海地域開発事業会計予算に反対、第一号議案、平成十四年度一般会計予算外二十九議案すべてに賛成する立場から討論を行います。
一般会計の予算規模は五兆九千七十八億円となりました。前年度に比べて約三千六百億円の減収で、歳出規模で四・八%の減でした。このため、総額で七兆円、十五年度より約六千億円を超える都債返還のピークを迎えるにもかかわらず、財政調整基金の取り崩しや都債返済のための積み立てを先に送るなどの対策を余儀なくさせられています。
本年度は、通常編成に先立ち重要施策が決定されました。この方式については、時期的に遅いなど再考すべき議論はありましたが、一定の創意工夫として評価できます。この厳しい財政の中でも、歳出の面においては、化学物質についての子ども基準の策定やグループホームなどの予算化については評価できます。しかし、一方で、都市再生の名のもとに開発型の投資的経費が重点的に予算化されました。こうした傾向は、都債の発行にも影響せざるを得ません。将来の公債費負担の軽減を図るため、抑制基調を保ったと位置づけています。しかし、結果として約二百億円もの都債を増加させていますし、今回の最終補正を見ても、より問題は明らかです。
総じて、従来の右肩上がりの幻想から脱却しておらず、いまだ都の借金体質は変わっていないといわざるを得ません。この体質の改革こそが重要な課題です。このような都債発行は、将来世代へのツケとして、将来世代の政策選択の幅を狭くするものにほかなりません。返還する都債も事実上の投資的経費であり、短期、中期的にも環境や福祉などの分野が多い経常経費を圧迫する危惧があります。こうした間接的な影響は、現に知事査定以前の局段階での一律カットや予算化見送りとなるなど施策に影響を与えています。
また、もう一つの財政改革の課題としては、監理団体等の整理統廃合の問題があります。バランスシートを事業ごとに展開することや施策原価を明らかにするための行政コスト計算書を作成するとともに、行政評価を参加型に変革することは急務です。ただでさえ一般会計以外の予算が余りにも膨大でわかりにくい現状です。このことを踏まえると、都政に関係する本格的な連結決算を導入することにより、都民への説明責任を果たし、改革を進めていく必要があると考えます。
次に、第二十四号議案、東京都臨海地域開発事業会計予算に関連して、臨海副都心開発についてです。
私たち生活者ネットワークがこの開発について問題に感じたのは、この域内のごみの管路収集システムがリサイクルに矛盾するのではとの疑問を持ったのがきっかけでした。調査するうちに、このごみの管がおさまる一メートル当たり数千万円もかかる共同溝の莫大さがわかり、開発全体の問題点に突き当たりました。この開発の一番の問題点は、初期の地価上昇を当て込んで一挙に投資と大規模な計画を実施しようとするもので、財政的にも、まちづくりという点でも柔軟性を欠いたもともと無謀な計画であり、バブルの崩壊はその契機にしかすぎないということです。
この開発の危機が露呈する中で、平成九年に見直しが行われましたが、開発目標や内容の見直しという点でも不十分なものでありました。今回の財政基盤強化プランは、昨年の三会計統合によるバランスシートから、おおむね一兆円を棒引きしたものが前提です。内容は、土地処分方式は売却を原則とすること、事業費を節減すること、都の公共施設の減額問題などが柱です。しかし、今回のプラン策定が正直な過去の問題を指摘してはいますが、都民の参加もなく開かれた形で行われなかったために、開発目標、開発内容、そして収支といった点においても不十分なプランにとどまりました。
果たして、二十三区内のオフィス供給が最大となるいわゆる二〇〇三年問題、その後の年一千億円オーダーの転貸債の大量償還期を本当にクリアできるかどうかは、立場を超えた不安要因です。機会をとらえての情報公開と、計画と事業の見直しを求めたいと考えます。
次に、先ほど判決が出された銀行税についてです。
この新税については、十分な収益を上げながら、税負担をほとんど逃れていた銀行業の状況に着目した税です。そして、この税は、地方分権一括法以降、国から自治体への税財源の移譲が進まない中、地方分権に向けた税制改革への問題提起として都が提起、議会が同意したもので、都民の大方の支持によって制度化されたものです。
したがって、判決の詳細を検討しなくてはなりませんが、都が主張するこの趣旨が理解されなかったことは残念であり、都が切り開いた自治体の課税自主権や創意工夫の流れに水を差さないためにも、直ちに控訴して、都の制度の正当性を主張していくべきだということを強く訴えまして、都議会生活者ネットワークの討論を終了いたします。