平成14年 予算特別委員会
民主党 藤川隆則
私は、都議会民主党を代表して、本委員会に付託された第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算、第二号議案、第十一号議案、第十二号議案、第十七号議案から第三十一号議案については付帯決議を付して原案に賛成、その他の議案については原案に賛成の立場から討論を行います。
まず、冒頭に、本日いい渡されました銀行業に対する外形標準課税に関する判決について申し述べさせていただきます。
本日、東京地裁は、東京都が定めた条例を無効とし、銀行側が既に納付した税金並びに損害賠償金を支払うよう命じました。東京都の全面敗訴であり、課税自主権が認められず、極めて残念といわざるを得ません。自治体の課税自主権を拡充していくためには、今回の銀行業に対する外形標準課税も含めて、自治体がその課税権を行使することによって、税制は国が定めるという既存の固定観念を覆していくことが重要であります。しかし、今回の判決は、そのために乗り越えなければならない大きな壁となりました。
都議会民主党としては、今後、この判決を精査して対応策を検討するとともに、引き続き自治体東京都の課税自主権拡充に努めていくことを表明させていただきます。
次に、第一号議案、平成十四年度東京都一般会計予算について申し上げます。
十三年度予算では、三年ぶりの増額予算を編成しましたが、十四年度予算案はアメリカ経済の急減速の影響もあり、法人二税の大幅な減収を見込むマイナス予算となっています。そうした中にあっても、既存の施策を聖域なく見直すとともに、重要施策を選定し、財源を重点的に振り向けることによって、めり張りのある予算編成を行っている点は評価できるところでありますが、重要施策の選定基準や財源が不明確だったため、選定された事業が総花的な嫌いがあります。今後も同様の手法を講じられる場合は、目標、基準、財源を明確にして取り組まれるよう求めるものであります。
また、政策的経費である一般歳出を四兆三千七百六十三億円確保し、福祉と保健に七千六十七億円、教育と文化に九千七百五十八億円を充て、それぞれ構成比を高めるなど、限られた財源を都民福祉の向上に重点的に投じていることは評価されてよいと考えます。しかし、さまざまな工夫にかかわらず二千五百七十七億円の財源不足が生じ、特別な財源対策を余儀なくされています。この結果、減債基金の積み立て不足額四千六百七十四億円を初めとした隠れ借金が一兆円を超えることとなっています。
十四年度予算案では、都職員千四百十七人削減、八十八事業の廃止、休止など、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などの財政債権の取り組みを進めていますが、事業評価にバランスシートが活用し切れていないなど、十三年度から本格的に実施された行政評価制度の活用が不十分で、施策の見直し、再構築に的確に反映できたとはいえません。今後、施策の見直し、再構築を都民とともに考え、実行していくためにも、事業ごとに行政コスト計算書や貸借対照表などの事業別バランスシートを作成し、行政評価制度に組み込んでいくことが必要だと考えます。
いずれにしても、東京都の財政は都税収入の主要な部分を法人二税が占めるため、景気動向に大きく左右されます。地方税財政制度の抜本的改革が強く求められるところですが、同時に、今後の都政の安定的運営を確保するために、バブル崩壊以降のこれまでの経験を総括し、財政運営の基本原則を定める条例の制定をも視野に入れるべきです。
個々の課題においては、私たちが主張してきた官民の役割分担の見直しや分権改革、市町村合併を推進するとともに、都市再生や観光産業の振興などを進めることにより、東京都の活力を取り戻していくべきだと考えております。
ソフトの分野においても、高齢者施策を初め男女平等施策や児童虐待対策の推進、心の東京革命や障害者との統合教育、さらにはホームレス対策や食の安全、治安対策などに適切に取り組まれるよう要望しておきます。中でも、雇用の確保については、IT訓練など職業訓練の充実やワークシェアリングの導入に取り組むとともに、NPOの活性化に向けた総合的な支援を求めておきます。また、石原知事が掲げているディーゼル車NO作戦や「地球温暖化阻止 東京作戦」の実現に取り組むとともに、ヒートアイランド対策では、私たちの提案する風の道の検討を初め、道路や公園などのコンクリートをはがすことによって、環境に優しい都市づくりを進めるよう求めておきます。また、森林再生や里山保全など、緑の回復、保全についても、NPOと連携しながら積極的に取り組まれることを要望しておきます。
さらに、医療行政については、小児科医の確保のために、診療報酬制度の改善や小児科医の養成を国に働きかけるとともに、東京都としても地域で小児医療を担う医師を育成するための研修制度の創設や小児初期救急医療体制の整備を、特に多摩地域において充実させることを求めるものであります。
あわせて、来年度から実施する予定のウイルス肝炎総合対策は、早期発見から早期治療に至る一貫した体制づくりを目指すものであり、評価するものであります。しかし、同時に、難病指定の見直しによって、これまで医療費助成を受けていた患者さんたちに大きな影響を及ぼすことにもなります。私たちが求めていた低所得者に対する経過措置などを実施し、ウイルス肝炎総合対策を着実に取り組んでいただくことを要望しておきます。
次に、第十二号議案、平成十四年度東京都都営住宅等事業会計予算及び第十四号議案、平成十四年度東京都都市開発資金会計予算について申し上げます。
これらは、いずれも事業収支の明確化を図る上で十四年度から新設されるものであり、今後、事業コストを意識した適切な事業展開を求めるものであります。特に、都営住宅については昨年秋に期限つき入居制度が導入され、今年二月には使用承継制度が見直されました。私は、こうした東京都の姿勢を評価するとともに、今後さらに不適正使用の是正に取り組み、都営住宅がそこに住んでいる二十六万世帯のためだけではなく、千二百万都民の共有財産として広く活用されることを強く要望しておきます。
次に、二十二号議案、平成十四年度東京都中央卸売市場会計について申し上げます。
同案には、築地市場の再整備に係る豊洲地域の防潮護岸整備工事費などが計上されております。地権者と臨海会計など関係者間の負担区分が明確に定まっているにもかかわらず、地権者でもない市場会計が、十四年度予算案にその経費を計上することは時期尚早ではないかと思います。
豊洲地域では、ベンゼンやシアンなど六種類の化学物質が環境基準を超えて検出され、その処理も十八年度までかかる予定であります。地元自治体や一部の業界団体の理解が得られないまま、既成事実だけを積み上げる手法については疑問があることを申し述べておきます。
次に、二十四号議案、平成十四年度東京都臨海地域開発事業会計予算について申し上げます。
当会計は、十三年度において、埋立、羽田、臨海の三会計を統合した会計ですが、私たちは、三会計統合が単に臨海副都心開発の救済策であってはならず、その長期収支をできるだけ早期に示すべきだと主張してきました。また、長期収支の策定に当たっては、都庁内だけで検討するのではなく、外部の声を聞きながら進めるべきだと提案するとともに、今後の基盤整備費の縮減を主張してきました。
今回、東京都が示した臨海地域開発財政強化プランは、私たちの主張を取り入れながら、臨海副都心開発の長期収支の均衡年次を四十八年度から三十一年度へと大幅に前倒しする内容となっています。今後、私たちが委員会などで主張した開発目標や土地処分のあり方などについても配慮しながら、財政強化プランに沿った着実な取り組みを進められるよう要望しておきます。
最後に一言つけ加えさせていただきますが、十四年度予算案策定後とられた小規模非住宅用地の固定資産税、都市計画税の減免措置による歳入減約二百六十億円並びに職員団体との合意に基づく職員等の給与の特例措置による歳出減約二百二十億円については、本来ならば同時補正によって対処すべき事柄であります。しかし、これまでの経緯等を踏まえて原案を了といたしますが、今後、歳入歳出に係る補正措置を可及的速やかに講じられるよう求めるものであります。
以上で都議会民主党を代表しての討論を終わります。