平成14年 予算特別委員会総括質疑
民主党 坂口こうじ
知事 〔1〕 私が国会にいるときにあの法律ができたら、あの法律に対する意識が大分違っていたと思うんですが、たまたま知事に就任しまして、その直後にあの法律ができて、今の自分の立場を踏まえて、非常に大きな期待、強い関心であの法律というものを分析しましたが、いってみれば、仏つくって魂入れずの、ただの形骸でしかないと思います。行政というのは、やはり財政というものが背景になければ運営できるものじゃありません。その財政の財源あるいは税源というものの分与は、中長期という形で棚上げされているわけでありまして、これをもって日本に新しい地方の時代、地方の位置というものが確立されて、地方の時代が始まるとはとても思えない。そんなていたらくの法律でしかないと思います。つまり小手先といいましょうか、名目だけといいましょうか、時代の推移というものを敏感に感じながら、結局、国の役人が体裁だけつくった法律でしかない。これにいかに実を入れていくかということが、地方自治体の政治を構成する、理事者にしろ、議会にしろの責任じゃないかと思うんです。
レーガンの場合には、やせた政府をつくろうということで非常に思い切った権限の分与をしまして、中央政府もそれで浮かび上がってきましたが、まだまだとてもそこまでは行っていない。地方分権の時代といいながら、その名称にはほど遠い内容のものでしかないと思います。
〔6〕 今、坂口委員がおっしゃったことは、国の連中も政治家も官僚も含めて、痛いように知っているはずなんですね。ですけど、とにかく一回握ってしまったものは絶対放さぬというのが通弊でありまして、それをどうやって崩していくかということですが、中長期といううたいがあるわけで、私、議員の経験からすれば、国会における中期というのは、どんなに短くても五年、長くて十年、長期になると二十年から、下手すると五十年を超えるわけでして、それまで待つわけにいかないわけです。
なれば、私は、つまり違う手だてを講じて、現実認識を国に迫っていく以外にない。それはやはりこの首都というものを構成している七都県市が力を合わせて、新しい試みを税制の上でもして、それを果敢に実行していくことだと私は思います。物によっては、七都県市全部歩調がそろうもの、そろわないもの、また、入るつもりもないもの、いろいろあるでしょうけれども、現に三つか四つそういうメニューをつくりまして、今、各セクターと話をしているわけですし、また、都議会の自民党の皆さんも、そういう話を持ちかけて会合を持ってくださっているようですが、いずれにしろ、この首都圏という致命的な日本の部分の幾つかの地方の自治体というものが力を合わせて新しい試みをする、新しい税制も講じるということでないと、単独、単独の自治体がやるよりもその方がはるかに力がありますから。ましてこの首都圏というのは致命的な部分でありまして、そういう意味で、私は、その角度から国を崩していく以外にない、ただただ国に強く要請を繰り返すだけでは物は絶対動かないと思っております。
〔7〕 相続税を地方税として構えるということは、一つの案だと思いますね。それが実現できれば、もっと物納されたような物件についてはユーティリティーが出てくるわけでありまして、国というのはいつまでも、それを抱えてしまうと放さなくて、そういう事例があちこち枚挙にいとまがありませんけれども、地方なら、そういったものを、要するに地方の特性に沿って、一〇〇%活用することができると思います。
大変いい案だと思います。都の税調で論議していただきまして、ぶつけるときには、国にぶつけたいと思います。
知事本部長 〔2〕 今回の分権一括法によります権限移譲につきましては、国から都道府県には、公共下水道事業計画の認可、それから保安林の指定、解除に係る事務など十三項目の事務が、それと都道府県から区市町村には、犬の登録、鑑札等の交付、身体障害児に対する補装具の交付など九項目の事務が移譲されております。
法令によります権限移譲は、このように、数的にも内容的にもわずかな項目にとどまっております。さらに都の場合には、区市町村に既に委任をしております事務が含まれておりまして、都民にとっては、さらに地方分権の実感が伴わないものとなっていると思っております。
〔3〕 国と地方自治体の役割分担でございますけれども、国と地方の歳出規模で考えますと、四対六でございます。で、地方自治体の方が、より多くの仕事を分担しているということがいえると思います。また一方、税収の割合で見ると、六対四という逆転の状況になっております。
主税局長 〔4〕 地方主権を確立するためには、地方税の充実を図り、安定的な税財政基盤を確立することが不可欠である、こうした認識に立ちまして、都では、平成十一年度以降、税源移譲を国に対する提案要求の最重点事項と位置づけまして、都議会のご協力をいただきながら、消費税や所得税等の移譲を強く求めてまいりました。
また、東京都税制調査会から税源移譲の具体的なシナリオを提言いただきまして、これを活用して国に強く提案要求するなどの取り組みを行ってまいりました。
しかしながら、本年一月に発表されました経済財政諮問会議の「構造改革と経済財政の中期展望」においても、税源移譲という言葉は明記しているものの、今なお総論の域を出ておらず、国の壁は依然として厚いと考えております。
〔5〕 税源移譲を実現することは容易ではなく、ご指摘のとおり、さまざまな工夫が必要であると考えております。このため、都議会のご協力をいただきながら、国に対し粘り強く働きかけるとともに、引き続き東京都税制調査会を活用し、さまざまな機会をとらえて国に強くアピールしてまいります。
また、パンフレットやインターネットを用いて、東京都税制調査会の答申内容を紹介するなど、都民に理解を深めていただけるよう努めてまいります。
さらに、七都県市など全国自治体とも連携を強め、国に迫ってまいりたいと思います。
〔7〕 我が国の相続税は、最高税率だけでなく、国民所得に占める比率で見ても、諸外国に比べて高くなっておりまして、社会経済が急速に変化する中で、その役割やあり方を含め、抜本的に見直すべき時期に来ております。
とりわけ、相続税が中小事業者の円滑な事業承継や良好なまちづくりの妨げになっている状況は、早急に解消しなければならないと考えておりまして、大幅な負担軽減を国に迫ってまいります。
相続税の地方税への移譲についてでございますが、東京都税制調査会でも具体的に提言されておりまして、地方団体間の配分など課題はいろいろございますけれども、将来的には目指すべき方向であると考えております。
〔1〕 最近、談合、汚職など公共工事の入札・契約制度をめぐる不祥事が、残念ながら絶えません。災い転じて福となす、ピンチはチャンスという言葉もあるわけでございますけれども、ぜひこれを機会に、行政や政治、または企業の信頼回復を図っていきたいと思いますし、また、その改革を通じて財政再建に寄与できるような、そういう可能性が出てくるならば、これまた大いに努力をすべきである、そのように私は考えております。
そこで、お聞きいたしますけれども、徳島の圓藤知事なども逮捕されるというような、大変ショッキングな事件が相次いでいるわけでございますが、知事のご所見について、率直なところをお聞きしたいと思います。
〔2〕 東京都では大変多くの入札・契約を行っております。登録している事業者数、それから契約件数、契約金額、そしてこの落札率ですね、これがどのようになっているか、お答えをいただきたいと思います。
〔3〕 この入札制度に関連して、やはり座視できないものに低価格入札という問題がございますね。
これは委員会でも取り上げられておりますけれども、特に、東京都におきましては、総務局の文書管理システムの開発ですね。これは東京だけではございませんで、実は国でもいろんな問題が起こっております。しかし、都政でございますので、今回のシステム開発において低価格入札が行われたわけでございますけれども、どうしてこのようなことが起こるのか、また防止策としてどのようなことを考えておられるのか、財務局長にお聞きしたいと思います。
〔4〕 今後起こらないように、総合評価システムの導入ということのようでございますけれども、いろんな国の法令その他を見ておりますと、やっぱり時代にそぐわないものを感じるんですね。
このコンピューターのソフト開発ですと、その納入が製造物ではない、物品として処理されているというようなことなんですね。そこに大変大きな問題があるということに行き当たります。
システム開発のような委託契約に最低制限価格の設定が採用できないものかどうか、また、国に対して、地方自治法の改正などについて働きかけをしていくことが大変重要だと思うんですが、時間の関係もありまして、一括してお聞きしますが、よろしくお願いいたします。
〔5〕 望ましい入札・契約制度のあり方をどう考えているのか。先ほどの本論に戻りますけれども、談合を排除して、公平で公正な入札制度、または契約制度を確立するためには何が必要と考えているのか、お聞きしたいと思います。
〔6〕 先ほど知事の方から事前にご発言がございましたけれども、そのような中で、横須賀を初めといたしまして、電子入札制度というものが大変注目されております。それが万能薬ではございません。その前に、やっぱり制度の改正が必要なんですね。そして電子入札、そしてその範囲を拡大していくということが必要だと思うんです。
東京におきましても、資料15に書いていただいたわけでございますけれども、電子調達システムの導入が今検討され、一部進められております。稼働時期、内容はどうなっているのか、財務局長にお聞きしまして、公営企業関係三局、交通局長、水道局長、下水道局長に、その取り組み、進捗状況をお伺いしたいと思います。
〔7〕 先進的な事例として全国から注目されております横須賀市、我々も調査団を行ってまいりました。くしくも、小泉さんのおひざ元ということであるわけでございますけれども、横須賀市の事例をどのように東京都の財務局は把握しておられるのか。
また、時間の関係でまとめますけれども、電子調達システム導入によるメリットをどのように推計しておられるのか。東京を例にとりまして、また横須賀との比較でお願いします。
〔8〕 これから電子調達システムを導入し、入札・契約制度の改革を進めるに当たりまして、知事のご決意をお伺いしたいと思います。
知事 〔1〕 この談合の問題は、非常に忌まわしい経過がありまして、実は何年前ですか、国会議員からも逮捕者が出て、ゼネコンの幹部が次々に逮捕された時期がございました。
談合がこの焦点だったんですけれども、そのときに、ある私の知己のゼネコンの社長が、あるところで会いましたら、愚痴といいましょうか、とにかく石原さん、建設省はひどいと。今までは、談合をしろしろといって、要するに、その手はずを講じてきたのは建設省自身だったと。それが時流が変わってくると、とにかく知らぬ顔をして私たちを見放して、私たちはいわれるままに談合してきたんで、いい方法とも思っていないけれども、つまり、これが日本のしきたりであるし、結局は効率がいいんだからという形で指導されてきたという愚痴をいっていましたが、私はそれは本音だと思います。そこら辺に、やっぱり政官というもののいろんな問題があるんでしょうけれども、癒着の。
電子入札も含めて、新しい方法というのが講じられる世の中になりました。ただ、この電子入札をしても、一〇〇%談合が阻止できるかといったら、これはやっぱり抜け道があってできないと思います。
ただそれは、今まで以上に談合の間口を狭くするということで効果があると思いますので、いろいろ手を講じて、東京からそういう悪き事例が新たに発生しないように努力をしていきたいと思います。
〔8〕 いずれにしましても、一兆円余のお金をいかに有効に使うかという大眼目があるわけでありまして、その入札の業務というものを透明化し、合理化し、ロスの少ないような手だてを多角的に講じていきたいと思います。
財務局長 〔2〕 競争入札の参加資格を有する者の登録者数ですが、三月一日現在で、工事関係者が約一万二千、物品関係が約一万でございます。
東京都全体の契約件数と金額ですが、平成十二年度で申しますと、工事関係は、契約件数が約三万件、契約金額は六千八百十三億円であります。それから物品関係は、契約件数が約二十万件、契約金額は四千三百三十三億円でございます。
落札率でありますが、平成十二年度の財務局契約を例にとりますと、工事関係は九五%、業務委託は八八%、その他物品関係は九〇%となっております。
〔3〕 業者が低価格で入札してくる理由でありますけれども、初めにシステム開発の受注に成功すれば、その後のシステムの保守管理等の入札で有利な立場に立つことができ、損を取り戻せると考えているためであります。
これを防止する決定打は、今のところ見当たりませんが、低価格によって品質も落ちてしまうのではないかという、そういう懸念があるような場合には、価格だけではなくて、性能や機能なども総合的に評価した上で落札者を決定する、いわゆる総合評価方式の入札を採用することによりまして、低価格入札に伴う弊害をなるべく除去したいと考えております。
〔4〕 低価格入札を防止するためには、入札に際して、最低価格をあらかじめ設定しまして、これ以下の入札を無効にする、いわゆる最低制限価格制度、あるいは低価格の入札があった場合に、その価格で履行が可能なのかどうかを調査した上で契約を結ぶ、いわゆる低入札価格調査制度、こういう方法が考えられますが、このような方法は、地方自治法の規定によりまして、工事または製造の請負の場合に限られておりまして、システム開発などの委託契約ではできないこととなっております。
平成八年十月、平成九年七月に、こういう点についての改正を、自治省への要望を行っておりまして、ことしに入ってからも、低入札価格調査制度あるいは最低制限価格制度を導入するために法改正してくれという要望を行っております。
現在のところ、文書による正式な回答は得ておりませんが、国とのやりとりの中で、低入札価格調査制度の導入については、前向きの感触を得ているところであります。
〔5〕 地方公共団体の入札や契約というのは、どこからも疑惑を持たれない、公平性、公正性、信頼性が命であります。これに加えまして、効率性、経済性、それから履行の確実性などが強く要請されております。
東京都は、これらの要請を踏まえまして、今後、さらに入札や契約の制度の改善を進めていきたいというふうに思っております。
とりわけ、先ほどお話がありました談合や、さまざまな不正行為を防止するためには、徹底した予定価格の事前公表あるいは現場説明会の段階的な廃止など、従来の枠にとらわれない入札・契約制度の見直しが必要でありまして、一層改善努力を行っていきたいと思っております。
〔6〕 ことしの四月には、東京都の入札予定や入札結果をインターネットで一元的に提供する入札情報サービスシステム、これを本格稼働させます。秋には、資格審査申請をインターネットで行う入札参加資格申請システム、これを稼働させる予定です。さらに、平成十四年度後半から電子入札システムの実証実験を行います。平成十五年度の早い時期に、財務局が発注する大規模工事につきまして、電子入札を開始いたします。
その後、大規模工事以外の工事や物品等につきまして、順次、電子入札を行っていく予定であります。
〔7〕 電子調達システムを取り入れました横須賀市では、競争性の向上、談合の懸念の減少、受注機会の拡大、発注情報の透明性の向上、落札価格の低下などといった効果があったというふうに聞いております。
東京都における電子調達システムの導入による効果の予測を、さまざまな仮定を置きまして試算してみますと、これは一つの試算でありますが、第一には、民間企業における業務の効率化という点では、現在、入札の都度、最低三回は来庁する必要性がありますが、こういうものとか、資格審査が省かれる結果、約百七十八万時間の業務の節減が可能となるというふうに思っております。
第二には、来庁に要する交通費の負担軽減といたしまして、機械的に計算しますと、約三億二千万ほど削減ができるのではないかと思います。
それから第三に、これは重要なことでありますが、都の調達コストにつきまして、競争性の向上によりまして、例えば落札率が一%低下すると仮定いたしますと、約六十億円の調達コストの節減を図ることができます。
それから、業務の効率化によりまして、都の職員の勤務時間を契約一件当たり一時間短縮できると仮定いたしますと、約二十三万時間の業務の効率化を図ることができるというふうに試算できます。
交通局長 〔6〕 交通局におきましても、入札・契約制度の効率性、透明性、公平性の確保等に取り組んでおりますけれども、さらにこれを進めるために、電子調達システムの導入につきまして、積極的に取り組んでまいります。
水道局長 〔6〕 水道局といたしましても、入札・契約制度の透明性、競争性を高めるため、電子調達システムの早期導入に向け、積極的に取り組んでいるところでございます。
下水道局長 〔6〕 下水道局におきましても、入札・契約制度の透明性、競争性を高めるため、電子調達システムの導入に積極的に取り組み、今後とも下水道事業を着実に推進してまいります。