平成14年 予算特別委員会
日本共産党 松村友昭
〔1〕 昨年の練馬の三十度を超えた最高気温日数、光化学スモッグ注意報発令日について、まずお尋ねいたします。
〔2〕 集中豪雨も起きていますけれども、練馬区内において、ここ数年間の間で時間雨量一〇〇ミリ近い降雨があったかと思いますけれども、どうでしょうか、伺います。
〔3〕 練馬区の事務所の床、それと、緑被率についても、二十三区対比でどうなっているか、伺います。
〔4〕 光化学スモッグの被害を防ぐために、光化学スモッグの発生が予想される場合には、少なくとも環八とか、練馬は今、外環問題が大きな問題となっておりますけれども、今、関越まで外環が来ております。こういう周辺地域に自動車流入を規制することは、できないことではないというふうに思いますし、そういう要望も強いわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〔5〕 子どもたちは、光化学スモッグになれば窓を閉め切った教室に入らざるを得ません。大都市現象であるこうした被害から子どもたちを守るために、都として、小中学校の冷房施設の支援をすべきではありませんか。
〔6〕 ここ数年、ヒートアイランド現象のもとで集中豪雨がふえています。練馬や世田谷区、多摩東部では、幸いにして農地や緑地が多く残されており、この保水能力をどう生かすかがやはり問われております。
練馬区は雨水の流出を抑える必要があるとして、学校や公園への雨水浸透施設をつくり、生活道路を透水性舗装にしていますけれども、敷地面積四百平米未満の宅地にも二十万円を限度とする助成金を出して、雨水浸透ますなどの雨水浸透施設を取りつける制度をつくり、区民にも、ぜひ利用してくださいと呼びかけています。
この地域は、石神井川、それから白子川、少し上流に行きますと神田川や妙正寺川という、こういう上流部にも当たるわけでありますから、こうした取り組みが下流の浸水被害を未然に防ぐ上で効果があります。
この雨水浸透ますは、東京都が先行して実施し、これを受けて区市が始め、練馬区だけではありません、今や多くの区が実施にも踏み切っておりますけれども、ようやく定着してきた。ところが、昨年度、都市計画局はこの制度を廃止したのですよね。区市町村からの強い継続の要望が出ていながら、なぜ廃止したのですか。
〔7〕 練馬区ですけれども、緊急クイックプラン、これで箇所づけが行われてやっておりますけれども、先ほどいいましたような昨年の浸水被害が、このクイックプランの箇所づけ以外にも起きているのですね。そこの対応を、今、区議会、意見書を上げたりして求めているのですけれども、ぜひこの拡充をお願いしたいと思います。この点については、いかがでしょうか。
〔8〕 私、この問題で、最後に知事にもちょっと意見を求めたいと思うのですけれども、こうしたヒートアイランドがもたらす被害から都民の生活を守ることとともに、ヒートアイランドそのものをなくすことが欠かせないというふうに思います。
この点では、既に本会議で関係局長が、ヒートアイランド現象は都市化による緑の減少、人工排熱の増大など、環境配慮が十分でなかったこれまでの都市づくりの結果として生じておりますと、こういうふうに原因について述べているわけですね。
知事、であれば、この立場に立った対策が、おのずから東京都の責務となると思いますけれども、ご所見を伺いたいと思います。
教育長 〔5〕 公立小中学校の施設につきましては、学校の設置者でございます区市町村の責任で整備すべきものでございますが、お話の光化学スモッグ対策としましては、経費面で国庫補助制度がございまして、公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づきまして、冷房施設の設置を含む公害防止対策事業につきまして、十分の五・五の国庫補助が行われることになっております。
東京都としましては、必要に応じまして、こうした助成措置について区市町村に周知をしてまいります。
環境局長 〔1〕 昨年の三十度を超えました最高気温日数、いわゆる真夏日の日数は、練馬では五十九日でございました。また、光化学スモッグ注意報の発令日数は、練馬区を含む区西部では十三日でございます。
〔3〕 練馬区におきます事務所の床面積でございますけれども、約七十六ヘクタールで、二十三区では二十番目の大きさでございます。
また、練馬区の緑被率でございますけれども、約二三%でございまして、二十三区で最も高くなっております。
〔4〕 光化学スモッグ発生の際、特定の地域への自動車進入規制についてでございますけれども、これは極めて高濃度にならない限り、法令上できないことになっております。
また、規制する区域の外周部におきまして、新たな交通渋滞や局地汚染の発生源も懸念されるということでございます。
このため、東京都は、環境確保条例に基づきまして、光化学スモッグが発生したとき、または発生のおそれが高いときは、注意報等を発令いたしますとともに、工場等については燃料使用量の削減、自動車等を使用する者に対しましては、不要不急の目的に自動車を使用しないことなどの協力を要請しているところでございます。
今後とも、ディーゼル車対策を初め、大気汚染の改善に全力を尽くしてまいります。
〔8〕 一昨日の当委員会におきまして、和田委員に知事がお答えしたとおり、ヒートアイランド現象は、近代都市、大都市の利便性、快適性を支えるための膨大なエネルギーの消費がこういった事態をもたらしているわけでございまして、文明全体のもたらした一つの弊害であるとの認識のもとに、ラインをまたいで、多極的、複合的に対処しなければならない問題でございます。
今後の都市づくり、都市活動におきますエネルギー消費の抑制など、環境配慮を徹底して、持続的発展が可能な東京の実現に取り組んでまいります。
建設局長 〔2〕 ここ十年間におきます一〇〇ミリ近い降雨と申しますと、練馬区豊玉の気象庁練馬観測所におきまして、平成十一年七月二十一日に、一時間九一ミリという降雨を一度記録しております。
都市計画局長 〔6〕 都の補助制度は、制度開始から既に十年が経過し、地域住民への普及啓発という先導的役割は達成したことから、今後は事業主体である区市において実施するよう、制度を見直したものでございます。
この点については、区市においても了解を得ているところでございます。
下水道局長 〔7〕 練馬区内の緊急重点雨水対策については、大泉地区など三つの地区を重点地区といたしまして、既に雨水貯留管などの整備を進めているところでございます。今後とも、着実に推進してまいります。
また、昨年の集中豪雨、これは計画を上回る豪雨でございましたけれども、浸水被害を受けた地区につきましては、地元区などと連携を図り、雨水ますやグレーチングますなどの増設など、既に地域特性を踏まえた効果的な対策を実施しているところでございます。
〔1〕 対人関係や社会的関係を断ち切り、引きこもりという状態にある青年は、全国で八十万人とも百万人ともいわれています。平均年齢二十三、四歳、三十歳を超えるケースが二割くらい、心身のバランスを崩したといった軽度のものから、医学的対応が必要なものまでさまざまですが、長期にわたる場合、本人も苦しいが、家族の葛藤も大変なものがあります。
私は、家族会の方や引きこもり青年の支援に取り組むNPOの方々とお会いし、話を伺いました。引きこもりから抜け出した当事者や家族が異口同音にいうには、家族だけで抱え込んでも解決ができない、第三者のかかわり、支援があったことをきっかけとしたということです。
厚生労働省も、昨年五月、引きこもりはだれにでも起き得る事態であることを重視して、社会的引きこもりにどう対応し、援助するのかのガイドラインを作成しました。どこにも相談できず、家族だけで抱え込んでいるという状況からの、貴重な前進が始まっています。
東京都の関係局における引きこもりの実態の把握状況と対策、どうなっているでしょうか。衛生局、教育庁、生活文化局にお尋ねします。
〔2〕 思春期を初めとした引きこもりの青少年の心のケア対策を総合的に取り組むために、関係機関のネットワークづくりが重要と考えますが、いかがでしょうか。
〔3〕 具体的には事業の内容はどのようなもので、その成果はどうでしょうか。
〔4〕 次に、家族会やNPOへの支援です。孤立していた親が家族会や家族教室などで励まされて、それが子どもとの関係が変わるきっかけとなり、事態が好転したとか、また郵送されてくるようになった自助グループの会報に誘われて、外に出られるようになった青年もいます。こうした会ではみんなでやることが極めて有効で、さらに専門家などの参加も欠かせないとのことです。
また、訪問サポートも有効です。引きこもっている青年は外に出られないのだから、訪問して系統的に働きかけてくれる人がいれば、大きな力になります。また、外に出てみようかなという気になっても、長い間、社会と切り離されているので、実際に一歩を踏み出すのに、非常にやはり勇気が要る、恐ろしいことなんです。安心でき、一緒に行動してくれる人が必要です。
岡山県では、ボランティアと保健婦さんが一緒になって訪問しています。また、そうしたサポートができる人材育成も持たれています。引きこもりから抜け出て、社会とのつながりを回復していく過程で、居場所づくりや就労支援を行っているNPOなどもあります。自分が社会に役立っている、そういう自覚が、引きこもりから抜け出る極めて有力なきっかけになります。
例えば、精神保健福祉の分野から、家族会やNPOなどの支援も検討されてはいかがでしょうか。
〔5〕 引きこもりの青年は、不登校からずっと継続の場合も少なくありません。厚生労働省の調査では、引きこもりの約四割が不登校を経験しているといいます。全中学校に、今、配置するとしているスクールカウンセラー、これを小学校にも配置することや、養護教諭の複数配置を行うことが重要と考えますけれども、どうでしょうか。
〔6〕 二十二期東京都青少年問題協議会答申、大人も青少年も自立した社会づくりでは、一切の対人関係を断ち切り、ほとんど自分の部屋だけで生活する青少年もいるとして、このような青少年について、今後、動向を把握していく必要があるとしていますけれども、その後、具体化が進捗していません。
引きこもりの実態調査を行い、青少年問題協議会等で総合的支援策について検討する必要があると思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
〔7〕 埼玉県は実態調査に乗り出すとか、愛知県は民間地域ネットワークづくりの行政支援システムづくりだたと、広島県では家族支援や家族教室の定期開催、こういうふうに既に各県でも動き出しております。
未来あり、いよいよこれからという若者が社会参加せずに家に引きこもっているということは、本人にとっても社会にとっても大変惜しいことだと思います。未来ある青年が青春をむだに過ごすことのないよう、社会的引きこもりへの対策が急がれると思いますが、認識を伺いたいと思います。
また、各局が連携した総合的な対策をぜひ進めてほしいと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〔8〕 知事は東京構想二〇〇〇で、子どもの虐待や思春期の問題行動に迅速に対応するとして、引きこもりなどから子どもを守ることを重要課題としています。ぜひ東京都各局が連携して総合的な対策を一層強めていただきたいと思いますが、この問題では、最後に知事にご答弁をお願いしたいと思います。
知事 〔8〕 今までの引きこもりの問題についての議論を聞いていますと、肝心のことに触れられていない気がするんですね。それは、引きこもりの子どもの、一番内面の原因が何かということをとらえ切れていないと思います。
私の友人に、斎藤環君という非常に優秀な、若い精神病学者がおりますが、彼はこの問題のエキスパートでして、彼にいわせると、先進文明国の中で、あの年代で引きこもりが圧倒的に多いのは日本だけだというんです。
彼の分析は、必ずしもこれは一〇〇%合っているかどうかわかりませんけれども、なるほどなと思うんですが、これは非常に単純な理由でして、要するに、こらえ性がないんです、その子どもは。子どもをそういうふうにこらえ性をなくしたのはだれかといったら、親の責任でしょう。それから、学校の責任でしょう。そして、大事なことは、他人と議論する、そこで自分がいい負かされたり、人ととにかく競り合うことそのものがもう怖くて、煩わしくて、人の前に出ていかない。
もう一つは、周りに自分があこがれる、見習うような大人がいない、自分の親も含めて。さっき指導力不足の先生の話が出ましたが、黒板を見たきり、学校で子どもの顔を見ることができない教師がいて、何で子どもが大人に対する評価というか、あこがれを持てますか。そういう大人をつくったのは、戦後の教育だけじゃなしに、家庭の責任もあるでしょうけれども、私たち、そういうものを究明し切れずに、やたらに局をまたいで組織をつくって何とかしろなんていっても、どうなるものじゃないんですよ、これは。やっぱり個々の人間、閉じこもりの周りに、一番身近にいる大人が反省しませんと、その子どもたちはとても立ち上がってこないと思いますね、私は。
教育長 〔1〕 都教委としましては、何らかの心理的理由、あるいは情緒的理由などによりまして、年間三十日以上、学校を欠席している児童生徒数を把握しておりますが、平成十二年度におきます公立学校の不登校児童生徒数は、小学校で二千三百二十二人、中学校で七千八百二十人、合わせて一万百四十二人でございます。
こうした不登校対策としましては、スクールカウンセラーの計画的な配置、あるいはアドバイザリースタッフの派遣を初めとした教育相談体制の充実を図っております。
〔5〕 お話のスクールカウンセラーにつきましては、課題の多い中学校には配置しておりますが、今後、計画的に全中学校に配置を拡大しまして、小学校からの相談や派遣要請を受けやすくする体制づくりを進めているところでございます。
また、養護教諭につきましては、児童生徒の健康管理や保健指導など、養護にかかわる職務を行うために学校に配置しておりまして、一定規模以上の学校を対象に、複数配置をいたしております。
衛生局長 〔1〕 衛生局では、精神保健福祉センターや都保健所、及び都立精神病院におきまして、精神保健福祉相談や医療の中で対応しております。
いわゆる引きこもりを理由とした相談件数は、平成十二年度、二十四件となっております。
〔2〕 衛生局といたしましては、医療的側面から支援するために、さまざまな悩みを抱えている思春期の心のケア対策といたしまして、地域の関係機関が連携できる仕組みづくりに向けたモデル事業を、今年度から実施しておるところでございます。
〔3〕 今年度はモデル事業を連携をしてやっておりますけれども、十四年度は、今年度のモデル事業を検証した上で、関係機関の連携による支援体制の構築などを検討していきたい、こう思っております。
〔4〕 衛生局といたしましては、医療的側面からの技術支援といたしまして、精神保健福祉分野の広い分野で、各種研修会や講演会への講師派遣などを実施しておるところでございます。
〔7〕 次代を担う青年の引きこもりなどの問題は、その原因が複雑かつ多様で、また、社会問題化するなど、解決の難しい、大変困難な問題と認識しております。課題解決には、関連する局が大変多いために、また、事務局も決まっておりません。とりあえず私が答えますけれども、衛生の分野、医療の分野におきましては、さまざまな要因から起こる思春期の心の悩みや問題を早期に発見し、効果的に解決していくために、精神保健福祉の取り組みを始めたところでもあります。
生活文化局長 〔1〕 生活文化局では、東京都青少年センターにおきまして、青少年のための一般相談事業を実施しております。
平成十二年度に青少年センターで受けた相談件数は二千三十九件でございますが、その中には、いわゆる引きこもりに関する相談が五十七件含まれており、これらに対しては、しかるべき専門機関を紹介するなどしているところであります。
〔6〕 生活文化局では、これまで、大都市における青少年及び子どもの意識や行動の実態調査や、青少年を取り巻くメディア環境の調査など、その時々の課題について、必要に応じて実態調査などを行ってまいりました。
青少年を取り巻く問題状況の一つとしての引きこもりにつきましては、今後、その動向について把握するよう努めてまいります。