平成14年 予算特別委員会総括質疑
自民党 中西一善
〔1〕 知事が羽田空港の国際化について大変な危機意識を持って、まさに焦眉の急の問題であり、国際線はパンク目前で、緊急の用事ができても非常にお客の込んでいる便には乗れなくなり、オークションで譲ってもらわざるを得なくなる、一刻も早く羽田空港の国際化を進めたいと思っているといっておられるように、私もこの問題はまさに東京の問題ではなく、日本の浮沈をかけた重大事、アジアの中の日本を決定づける、いわゆる国益にかかわる大問題であると常日ごろから思っておりました。
羽田空港はことしの七月、空港管制の工夫、つまりファイヤーブレークの一部開放によって発着枠が拡大するわけでありますが、現在二十五・六万回、この発着枠が二十七・五万回、一年間一・九万回、一日当たり五十二回これはふえるわけですね。これはソフトの工夫で、まさにこれだけ枠が出る。大変これは私、大きいことだと思っておりますが、しかし、問題なのは、この発着枠がすべて結局は国内線に振り向けられるということなわけであります。知事の多大なる尽力によって、羽田の再拡張は国から新たな案が出て、昨年の十二月にこのB滑走路平行案の基本的な考え方が決定したわけでありますが、工法その他は今後も検討が必要だと思いますが、国は、私が先ほど申し上げた都市再生本部の都市再生プロジェクト第二次決定で、羽田空港の国際化を視野に入れてこの事業を実施することを決めておるわけでございます。知事が事業の早期完工を五年ぐらいでやれと強く主張され、国の方も期間をどんどん短縮に向けて必死で手続や工法の検討を行っていると聞いていますが、これは今までの青島都政なんかではあり得なかったことであって、まさに大変な進歩であり、私は知事の政治力そのものであると思っております。この再拡張によって発着枠、この図に示してあるように、四十・七万回と、現在の二十五・六万回から十五・一万回、一年間に十五・一万回も発着回数がふえるわけであって、一日当たり四百十二回増便になるわけであります。
そこで質問なんでありますが、都市計画局長に伺いますが、国はこの増便と国際化の関係についてどのように考えておるのか、ご答弁いただきたいと思います。
〔2〕 提案なんですが、私も地元の自由民主党大田支部の--知事もかつては選挙区でございました--議員さん、具体的に名前を出しますと張替暉雄さん、有志なんかと、この国際化については何か我々地域からも提案できないかという勉強会を常々重ねてまいったのでありますが、ことしの七月の一・九万回増便、そしてB平行滑走路実現による十五・一万回の増便は、新幹線と競合している近距離である国内線は、これ以上もう一切増便なんかしないで、アジアを先行させた形で--アジアのみで結構です、国際線にすべて振り向けてしまえというようなことを今勉強会でやっておるところでございます。そもそも羽田空港からの上位路線ですね、シェアなんか見てみますと、大阪、伊丹と関空で三位と五位、何と東京、羽田の発着で一割のシェアを占めている。実にむだであります。福岡が二位、広島が六位、秋田も上位を占めている。これらはすべて新幹線で行くことが可能な都市なわけであります。ちなみにこの大阪線は六割とか七割の搭乗率しかありません。
ちなみに東海道新幹線の完成は昭和三十九年、三十七年前、私が生まれた年でありまして、東京オリンピックとともども、東京オリンピックも開催された華々しい、戦後の高度経済成長の年でありますが、工事延長五百十六キロ、単価一キロ七億円。何と安いんでしょうか。総建設費、たったの三千八百億円だったんですね。しかし、これはあくまでも当時の金額でありまして、平成九年、当時の金額を換算し直すと、平成九年の北陸新幹線に例をとってみると、一キロ当たり六十六億円で、これで換算し直してみると、東海道新幹線の長さ、さっきいった五百十六キロに直してみると、三兆四千億、約三・五兆円の投資をしておるわけでございます。また、羽田空港が一九八四年、昭和五十九年になりますが、沖合移転工事に着工してから十八年間、累積投資額が約一兆五千億円の事業費となっています。今、国鉄はもうJRとなって民間会社でありますが、新幹線の鉄道網も空港自体も、これは国民共有の公共インフラということだけは、これは間違いない、紛れもない、私、事実であると思います。
つまり私が申し上げたいのは、アメリカの国土のたった四%しかないこの日本が、何と、GDPで世界第二位、この無資源国家日本が頑張って健闘している。こういう国で公共インフラ、限りある、インフラというのは重要な資源ですよ。これをいたずらに重複投資するべきでないと私は思います。今までの日本の歴史を見ても、この日本は国土を実に上手に使い、そして自然とも調和してきた、発展してきたすばらしい国であると我々は認識いたしておるところでございます。まさに議会が知事とともに声を大にして、首都機能移転反対、これだって、こんなアメリカの四%しかない、ある意味じゃちっぽけな国の中に、何でわざわざ首都を二個--これは子どもが考えたってわかるようなことを、公共投資の二重投資、二重じゃないですか、これはまさに。これは天下の愚策ということで、私はそれと非常に相通ずるところがあると思っております。
少し乱暴な極論をしてみますが、東京都は航空政策基本方針で、国際化の経済効果を試算しておりますね。この中で、年間何回ぐらいの旅客機便の発着回数を想定し、経済波及効果、雇用の誘発ですね、どの程度になっておるのかご答弁願います。
都市計画局長 〔1〕 国が昨年の七月の首都圏第三空港調査検討会で示した検討結果によりますと、再拡張後の発着枠、今のお話しの年間四十・七万回から、国内線の需要予測分を差し引きますと、二〇一五年には約三万回、二〇二〇年には約一万回の余裕枠が生ずる可能性があるとしております。
また、羽田は国内線の、成田は国際線の拠点空港であるという基本的な考え方は維持しつつ、再拡張によりふえる空港容量を活用して、国際線の受け入れの可能性について検討を行う、そのように申しております。
〔2〕 国際化の経済効果については、東京都は二つのケースで試算を行っております。
ケース一は、旅客機便一日九十回、年約三万三千回の規模を想定したものでございまして、これによると、経済波及効果は一兆五千二百億円、誘発雇用者数八万七千人と推計をしております。
ケース二は、旅客便一日百八十回、年間約六万六千回の規模を想定したもので、経済波及効果は三兆百三十億円、誘発雇用者数十七万三千人と推計しております。
去る三月四日には、EU加盟国全十五カ国が六月一日までに京都議定書、大変有名でありますが、批准をすることを決めたとの報道がなされました。一方我が国においても、小泉内閣は現在の地球温暖化対策推進大綱を見直して、新たな大綱を策定するとともに、今国会において京都議定書締結の承認を得ること等が示されたと聞いておりますが、こうした動きを見ると、我が国においても京都議定書が批准される見込みが高まっている、恐らく批准されると私も思いますが、こういう批准された場合、他国に比べて経済に対するインパクト、ちなみにこの議定書では一九九〇年に比べて六%の削減という極めて高いハードルですから、経済に対してインパクトが私、相当大きいと思います。
そこで、環境局長にお伺いいたしますが、京都議定書の実現のためには大変な困難が伴うと考えられますが、どのようにまず局長として認識しておられるのか。と同時に、東京都として、最大最強の地方自治体、国家並みの大きさの一千二百万人が住む経済の中心地である自治体として、一層のリーダーシップを図っていくのは当たり前だと思います。あわせて、この辺の考え方を伺いたいと思います。
環境局長 我が国の二酸化炭素の排出量でございますけれども、一九九九年の段階で、基準年でございます一九九〇年よりも既に九%増加しておりまして、京都議定書の、先生ご指摘のように、目標達成は容易ではございません。
しかし、地球温暖化に対しましては、国は実効性のある取り組みの導入は先送りしようとしておりまして、国の政策を動かすためにも、東京の果たすべき役割は大きいものと考えております。このため、さきに開始いたしました「地球温暖化阻止 東京作戦」を強力に進めまして、国に実効性のある施策の導入を迫りますとともに、都においても独自の行動を強めてまいります。
TDM、交通需要マネジメントの基本的な考え方、理念、また何を解消し、何を防ぐために行うのか、ちょっと簡単にご答弁ください。
環境局長 TDM、交通需要マネジメントでございますけれども、これは自動車の効率的利用や公共交通への利用転換などによりまして交通行動の変更を促しまして、道路の混雑を緩和する取り組みでございまして、都市の持続的発展を図るものでございます。
交通渋滞は、自動車走行速度の低下によります多大な経済損失や自動車排出ガスによります大気汚染をもたらすとともに、地球温暖化にも影響を与えております。東京都におきましては、これらを改善するため、TDM東京行動プランに基づきまして、各種の施策を進めているところでございます。
〔1〕 知事は、臨海地域に経済特区を提案し、私も大変すばらしいと思いますが、アジネットの構想の中で、中小型ジェット機のアジアとの共同開発を進めるなどと、臨海地域に重点投資をすべきであるとのお考えを示されておりますが、ちなみに、これ、きょうの日経新聞ですか、これは知事とも大変じっこんなオリックスの宮内会長さんがやられている総合規制改革会議というので、規制改革特区導入構想、まさに知事のお考えと非常につながられて、本当にこういうすばらしい提案がどんどん出てきてほしくて、実現していただきたいと私、思いますが。
私は、この経済特区のことを申し上げるのは、この空港施設をあくまでも配置した後の跡地に、この航空機の大型特殊整備工場を初めとした航空機のR&D--R&Dというのは研究開発でございますが、R&Dから特殊加工までの集積を、これはアメリカだとかヨーロッパから誘致することを私は提案したいと思うんですよ。これは、つまり外資の誘致でございますが、現在も通常の整備は、日本でもある程度の簡単な軽整備、中整備ぐらいは行っているんですが、軽整備の労働集約的なところは中国のアモイなんかでも行っているとのことでございます。
しかし、現状として、ボルト一個を大田区の例えば町工場でつくって、精密な技術でつくって生産し、それをアメリカに航空便で送って、船便だか何だか知りませんが、送って、FAA、連邦航空局の判こをがちょーんともらって、それを日本に送り返して装着しているという、これは極めてやはり何か効率的じゃないというか、非効率きわまりないなと私、思いますよ。
現在でも、特殊整備及び技術の根幹にかかわるところは、アメリカのボーイング、ヨーロッパのエアバスインダストリーの拠点でなければできないとのことでございますが、羽田で、この跡地で両社が魅力を感じるような環境、つまり至近距離にあり、もう間もなく海底トンネル、沈埋トンネルでつながる臨海副都心、これは非常に近くて、実際、地続きになるわけでありますが、その連携の中で、臨海副都心の経済特区的な発想とともに、そこも経済特区的なものを行っちゃって、FAAの認可を日本で行えるぐらいの部分を、できれば早急に誘致できれば大変有効だと思いますが、事前で私、申し上げておりませんが、この辺の部分で知事、どのようにお考えでしょうか。
〔2〕 昨年十月に開かれたアジネット構想、アジネットの中で中小型ジェット機の開発は、ちなみに、東京がたしか幹事都市となっていると思いますが、どんな効果をねらって、どのような趣旨で進めていくつもりなのか、お伺いいたします。
知事 〔1〕 経済特区は、私のかねての持論でございますが、何も東京に限らず、例えば川崎のコンビナート地域はどんどんどんどん、今施設が廃墟になりまして、過疎になっておりますが、ああいうところも大いに活用して、私は東京湾全体でそういうことを考えるべきだと思いますし、また、おっしゃるとおり、日本のイニシアチブがどれだけとれるかわかりませんが、しかし、一々アメリカやヨーロッパに持っていかずに、航空機の大型の修理などもそういう施設として設けるべきだと、それは思いますし、アジア全体の要するに飛行機の顧客が、飛行機を買っている会社が助かると思います。
知事本部長 〔2〕 今後アジア地域の航空旅客需要は急速にふえまして、二十年の間には三倍以上になるものと見込まれております。こういう今が、アジア独自の旅客機の開発を行いまして、欧米企業が独占しております航空機産業をアジアでも発展させる、またとないチャンスであると認識しております。
アジアでは、我が国を含めまして、インドネシアなどで旅客機開発の経験もあります。さらに、先生お話の都内の中小企業を含めまして、部品製造の高い技術を保有している企業は多い。必要な技術は既にアジアに存在していると思われます。
一方、旅客機の開発につきましては、アジアの人々の交流を促進して都市を活性化させるとともに、世界の中でのアジアの存在感を高め、アジアの諸都市の繁栄と発展に大きく寄与するものであります。
そこで、島が多く、また陸上交通網が今発達をしておりませんアジア諸国の都市と都市を結ぶための、中小型といいましょうか、比較的短い距離向けの飛行機など、アジアにふさわしい旅客機開発の促進を、今回のアジア大都市ネットワーク21に提案したものでございます。
もとより、旅客機の開発自体を都市の力だけでできるものではございませんけれども、参加都市とともに、各国政府などに対して、共同して開発に取り組むよう働きかけていくことなどによって、開発に向けた機運を盛り上げていく予定にしております。
首都圏第三空港は、これは将来必ず必要だと思いますが、また、知事のおっしゃられている横田の軍民共同利用も大変必要であり、絶対に実現しなければならないんですが、とにかく時間がないんですよ、時間が。これは、今の日本に時間がない。私の質問時間も時間が残ってない。同じでありますが、現在は大変なデフレ経済下、不景気ですよ。今手を打たなければ、我が国は国際経済競争から脱落して三等国になってしまう。
るる述べてまいりましたが、羽田空港の有効利用、そして国際化を早急に推進していくことは、この現在の経済危機からの脱却、地球温暖化防止、アジアとの交流やアジア経済圏の地位確立、まさに三方一両得であると私は思っておるわけであります。
知事、知事は、私は常々グレートコミュニケーター、私は本当に、知事が知事に就任してから、グレートコミュニケーターと、ずっと思っております。それだけ世の中を動かす力があると思いますが、東京よりの国家観のある議論を国家レベルの問題として提起する力が知事にあります。ぜひとも--私も知事からは、政策提言型の議員を目指せ、知恵を出す議会を目指せということを常日ごろいわれています。私もそういうつもりで、きょう余り質問が多くなくて一方的にお話ししたのは失礼だったと思いますが(笑声)しかし、私はあすの日本を憂えております。あすの東京も憂えています。日本民族は優秀なんですよ。必ず立ち直れます。立ち直らなければなりません。ぜひとも現在の状況も、現在の日本の状況を含めて、長くなりましたが、今までのトータルの私の提案につきまして知事の見解を最後に求めまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
知事 私は、運輸大臣のときに、ちょうど運輸行政の転換期でありまして、何かいいキャッチフレーズないかということで、ロゴマークも決めまして、そのときにも、運輸は文明のアクセスという言葉を登録いたしました。
いずれにしろ、人間が行き来しなければ情報も通ってきません。情報がやっぱり新しいものを生んだりするわけでありまして、私はそういう意味で、国際空港というのは、国家の存亡にとって致命的な意味を持つと思います。
そういう意味でも、日本には余りにもとにかく空港が欠乏しているというか、日本の心臓部、頭脳部である、この三千三百万の人口のヒンターランドのある首都圏に、残念ながら、ジャンボならジャンボを満タンにしてニューヨーク、ワシントンに飛んでいくことのできる、離発着のできる、発進のできる滑走路が成田一本しかないというのは、これはもう本当に国際的には恥辱であると思うし、アキレス腱でもあると思います。
そういう意味で羽田の提言をいたしましたが、羽田は、イギリスのヒースロー空港と同じキャパシティーを持っていまして、ヒースローはたしか五十五万便ぐらい飛ばしておりますが、羽田は、北側の進入というのを部分的に認めれば、もっともっと有効性が増してくるわけであります。
これはこれからの新しい問題だと思いますけれども、しかし、何も国家のために、千葉だけに要するにこの負担を負わせるわけにいかないと思いますし、また、そういうことの進路の研究もこれから始めるべきだと私は思っておりますが、いずれにしろ、国が国際空港というものの意味合いをしっかりとらえてくれて、ある危機感を持ちませんと--この間も予算を強引につけましたときの相棒であります亀井政調会長に、おまえがもう少ししっかりしろといって、彼は国交省にどなり込んでいって、一体何を考えているのか、さっさとやれということをいってくれたようでありますが、アセスメントも、既に羽田の埋め立てが済んでいる部分もあるわけで、こういうものをどんどん活用して、お役人というのは何か仕事をとにかくふやしたがりますが、あっという間にできることはできるので、私はやはり羽田というものを、国際線がパンクする前に、もう間に合わぬかもしれませんが、少なくとも三、四年の間には国際化をすることで国を持ち上げたいと思っております。
これはもう国家の--相まって、YS11というすばらしい飛行機の代替機がない。これは、アメリカの陰謀で、つぶされ、つぶされ、つぶされてきたわけでありまして、アメリカはもう日本のゼロ戦に対する一種のトラウマがありまして、日本の航空機産業が復活することを本当に恐れている。
ですから、三菱重工も住友重工も、幾つかのすぐれた企業が、ボーイングなり、先ほどおっしゃったボンバルディアとか外国の有力な航空会社のパーツメーカーに甘んじているわけで、中曽根さんのときに、三菱重工が企画したFSXのごときは、宙返りの半径がF15、16の二分の一でありますから、いかなる空中戦でも相手に逆にライドオンし直すことができる。
アメリカはそれを恐れてつぶしました。中曽根さんもつぶされたわけですが、私は別に軍用機だけじゃなくて、むしろこういう民間の使用にたえる--何もジャカルタから日本へ飛んでくる必要はない。ジャカルタ-クアラルンプールを飛ぶような、日本の東京から北海道へ飛ぶような、あるいはYSが担当した、ごく近い距離を飛ぶ飛行機は優にできると思いますし、あとは決心だと思います。
最近ちょっと記事を読みましたら、三菱重工がやっと重い腰を上げて、とにかくYSの代替機をつくろうという意思表示をしたようでありまして、これは東京でできることは幾らでも協力したいし、そういうかけ声のもとに、アジアの各地に遍在している新しい飛行機のための可能性というものを、東京の責任で集約して組み立て直していければと思っております。